説明

動脈圧脈拍波形による心拍出量決定の方法と装置

動脈圧波形、大動脈圧波形や頸動脈圧波形及び/又はこれらの動脈径波形を直接又は間接に測定して大動脈流速を計算する方法で、圧波の反射成分は排除し、ピーク収縮期流速Vを式(I)を用いて中心圧波形の振幅P1から計算する方法で、ここでCは大動脈脈拍流速である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上肢(橈骨動脈、上腕動脈や鎖骨下動脈)や首(頸動脈)での圧力波形や血管径波形分析による心臓心拍出量(流速又は流量)の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
多年にわたる臨床科学の目的は動脈圧による心拍出量(心臓による吐出血流)を測定することであった。動脈圧脈拍波形と血管径脈拍波形はこの吐出により発生するが、年齢による動脈物性の差異、年齢と左心室筋の衰えによる心臓からの吐出流パターンの差異及び安静状態での心拍数の変化により、この目的は正確には達成されていない。
【0003】
更なる問題としては中心動脈と末梢血管間の圧脈拍増幅が可変的な動脈樹での波の進行と反射の影響がある。これについてはケリー、フィチェット(Kelly and Fitchett)、ジャーナルオブアメリカンカレッジオブカージオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.)、1992年、20巻、952−63頁;バンボルテル等(van Bortel et al.)、ジャーナルオブハイバーテンション(J. Hypertens.)、2001年、19巻、1037−44頁;パウカ、コン、オッルーク(Pauca, Kon and O'Rourke)、ブリティッシュジャーナルオブアネスソロジー(Br. J. Anaesth.)、2004年、92巻、651−7頁及び他方法、例えば米国特許5,265,011に取り扱われている。
【0004】
本発明の目的は老化と心臓病により起こる主な問題を末梢血管での圧脈拍増幅の問題と同様に解決し、大動脈脈拍に変換する橈骨動脈脈拍か上腕動脈脈拍又は首の頸動脈脈拍か鎖骨下脈拍を用いて心臓から大動脈への吐出ごとの血液吐出速度(平均吐出速度)と全心拍での血液吐出速度(平均大動脈流速)を計算可能にすることである。
【0005】
大動脈の大きさと身長体重との既知の関係又は心エコー検査による大動脈の大きさの直接測定を利用した式を用いて血流速度から血液量を計算できる。
【発明の開示】
【0006】
本発明の一様態によると圧力波の反射成分を排除し且つピーク収縮期流速Vを以下の水撃式を用いて中心圧波形の振幅P1から計算した動脈圧波形、大動脈圧波形、頸動脈圧波形及び/又はそれらの血管径波形を直接又は間接的に測定して、大動脈流速を計算する方法を提供する。
V=P1/(1.05*C)
ここでCは大動脈脈波速度である。
【0007】
好ましくは水撃式に用いる上行大動脈脈波速度は直接測定し、波形最下部から第一収縮期ピークかショルダーでの遅れを評価するか、米国国立老化研究所(US National Institute of Aging)や被験者年齢に関する他の適切な情報源からの公表データを用いる。
【0008】
大動脈脈波速度(PWV)と動脈圧との差は個人に対し正規化した大動脈PWVを適応して割り引く。
【0009】
後期収縮期での心室収縮性の減少により起こり、左心室(LV)荷重の増加とLV肥大かLV疾患に起因する高齢化による大動脈流速の低下も割り引く。
【0010】
左心室の衰えと心臓ポンプ活動の“流れ発生源”から“圧力発生源”への相対的変化により起こる後期収縮期での大動脈流速の更なる低下も割り引く。
【0011】
大動脈での平均速度は好ましくは吐出時間と心臓周期時間や他の時間(例えば一秒当たりか一分当たり)として計算する。
【0012】
本発明の好ましい方法によりその個人に正規化した大動脈流速は心エコー検査や他方法で求めるか、表から得た大動脈断面積を乗じた体積で表すことができ、次いで一分当たりの体積心拍出量として表すことができる。
【0013】
本発明の他様態による心拍出量測定法が提供され、その方法は
(i)上行大動脈での圧波形を測定し、
(ii)大動脈圧波形の初期ピークの振幅(P1)を測定し、
(iii)大動脈脈波速度(C)を測定し、
(iv)以下の式を用いてピーク流速(V)を計算し、
V=P1/(1.05*C)
(v)平均収縮期流速(Vms)を所定因子を割り引いたピーク流速(V)の所定パーセントとして決定し、
(vi)以下の式を用いて平均周期流速Vmcを計算し、
Vmc=Vms*収縮期時間/心臓周期時間
(vii)平均周期速度に大動脈断面積を乗じて心拍出量を計算する。
【0014】
脈拍速度は平均動脈圧に正規化しても良い。
【0015】
平均収縮期流速を有効心拍数に関して割り引いても良い。本発明の好ましい形では平均収縮期流速を一分間の拍動が65以上では一分当たり各拍動の0.9%だけ減ずる。
【発明を実施する最良の形態】
【0016】
本発明の好ましい形では上行大動脈での圧力波形は頸動脈圧波形か頸動脈径波形を記録し、ケリー、フィチェット(Kelly and Fitchett)(ジャーナルオブアメリカンカレッジカージオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.)、1992年、20巻、952−63頁)かバンボルテル等(van Bortel et al.)(ジャーナルオブハイパーテンション(J. Hypertens.)、2001年、19巻、1037−44頁)の方法か類似法で較正し、これを大動脈圧波形の代理として採用し求める。
【0017】
代わりに米国特許5,265,011に記載の方法か他の適切法を用いて上腕動脈や橈骨動脈で観血的又は非観血的に記録した較正圧波形に一般化伝達関数を適応しても良い。
【0018】
上記文献に記載のように微分を用いるか他方法により大動脈圧力波形の初期ピークかショルダーを同定し、波形の最下部からのピーク又はショルダーの高さ(通常圧波形の最下部から90―120ミリ秒後)を計算する。これにより有意な波反射に戻る前に心室吐出で発生した圧波を表すと考えられる。
【0019】
代わりにこの初期圧ピークかショルダーの振幅を上腕増大/橈骨増大と大動脈増大間の既知の関係を利用し(ニコルス、オッルーク(Nichols and O'Rourke)、マクドナルドの動脈での血流(McDonald's Blood Flow in Arteries)、アーノルド社(Arnold)、4版、ロンドン、1998年、368頁、図16.20)、大動脈脈拍圧から大動脈増大を差し引いて橈骨圧波か上腕圧波から直接計算できる。
【0020】
水撃式(V=P/ρ.C)を用いて血液密度(ρ)=1.05と仮定して波反射に影響されない圧波(P)からピーク吐出での血流速度(V)を計算する。項Cは大動脈脈波速度であり、この大動脈脈波速度に血液密度を乗じたものは大動脈特性インピーダンスである。
【0021】
これは頸動脈と大腿動脈間の波下位部の遅れから直接記録できるし、又大動脈脈波速度と年齢とを関連づけ、性別による差を示さない米国国立老化研究所のラカッタ等(Lakatta et al.)(ラカッタイージー(Lakatta E.G.)、健康における心臓血管の老化、高齢者における心不全(Cardiovascular Aging in Health、 Heart Failure in the Elderly)、クリニックスインジェリアトリックメディシン(Clinics in Geriatric Medicine)、2000年、16巻、419−43頁)により作成されたデータから間接的に記録できる。
【0022】
例えばアボリオ等(Avolio et al.)、サーキュレーション(Circulation)、1983年、68巻、50−58頁又はニコルス(Nichols)、オッルーク(O'Rourke)、1998年での他正常値を代わりに用いても良い。これらデータの例を図3に示す。(ラカッタ(Lakatta)のデータに関しては以下の式を用いる。C=8.52*年齢+222で、Cはcm/秒での大動脈脈波速度である)。
【0023】
脈拍速度はアスマール等(Asmar et al.)、ハイパーテンション(Hypertension)、2001年、38巻、921−6頁に記載の平均圧低下による大動脈脈波速度の既知の受動的低下に由来する式、調整C=C―7.1*(100―平均圧)により100mmHgでの平均動脈圧に正規化する。
【0024】
波形下位部から心切痕への吐出時間を測定し全周期の長さと比較する。これにより異なる条件下で、例えば心拍数変化で見られる左心室収縮時間と減衰時間で差ができる。この切痕は微分法や他の方法を用いて記録した橈骨動脈波形、上腕動脈波形、鎖骨下動脈波形や頸動脈波形により決定する。吐出時間は通常250乃至350ミリ秒の領域であり、収縮期の相対的時間は心臓周期の30−40%である。
【0025】
拡張期には流れがないと仮定して、大動脈流の波形を考慮し、この波形が心室筋の老化と衰えで如何に影響されるかを考慮する必要がある。第一の点で既に同定したショルダーでピーク流れに達し、切痕を同定した時には流れは停止していると仮定する。又60才以下の健康人のこの曲線下面積は、水平方向の吐出時間と垂直方向の前進流速ピークの80%により特徴づけられる長方形に等しいと仮定する。更に拡張期には流れがないと仮定する。この段階が心収縮と心拡張の間欠性を説明するのに必要である。
【0026】
高齢化の影響はニコルス等(Nichols et al.)(アメリカンジャーナルオブカージオロジー(Am. J. Cardiol.)、1985年、55巻、1179−84頁)により示されたように、初期の流れピーク後の収縮期の後半での前進流速は比較的低いと仮定して割り引く。第一近似として80%の値を採用し60才以上では10年ごとに絶対値の10%を減ずる、即ち80才では60%で90才では50%となる。より多くの正常人の高齢化データが利用できるようになるとより正確な近似が可能となる。
【0027】
損傷左心室収縮の脈拍波形に対する影響(ウエスターホッフ、オッルーク(Westerhof and O'Rourke)、ジャーナルオブハイパーテンション(J. Hypertension)、1995年、13巻、943―53頁)はLV吐出比(LVEF)が25乃至40%の間(即ち60才では80%で70%の間)と考えられる場合には絶対値の10%だけ、LV吐出比が25%以下(即ち60才では80%で60%の間)と考えられる場合には絶対値の20%だけ上に計算した年齢値を割り引く。心不全があり且つ吐出比が未知の場合、10%という最初の数値(LVEF25−40%に関して)を用いる。
【0028】
流れ波形に関する有効心拍数は平均周期速度に関する平均収縮期速度予測値を一分間の拍動が65以上の場合一分間拍動ごとに0.9%だけ割り引く。この補正を年齢と既に補正した値に適応する。
【0029】
かくして吐出ごと(即ち拍動ごと)の計算流速を求める。水撃式は圧力変化と速度変化とを関連づけるのでこの値を体の大きさに正規化する。各個人について超音波による大動脈断面径と大動脈断面積測定からか、身長体重と大動脈断面積とを関連づけるラカッタ等(Lakatta et al.)の計算図表(ラカッタ、イージー(Lakatta E.G.)、健康における心臓血管の老化、高齢者における心不全(Cardiovascular Aging in Health. Heart Failure in the Elderly)、クリニックスインジェリアトリックメディシン(Clinics in Geriatric Medicine)、2000年、16巻、419−43頁)から速度を体積流量(一拍動当たりmlとしての1回拍出量)に変換できる。
【0030】
ラカッタ(Lakatta)のデータから式
D=(0.0654*年齢)+12.63
を用いることができるが、ここでDは体表面積1平方メートル当たりの直径である。
【0031】
体表面積(BSR)はデゥボイス、デゥボイス(Du Bois, Du Bois)の式
BSA=質量0.426(Kg)*身長0.725(cm)*71.84
でデゥボイス、デゥボイス(Du Bois, Du Bois)(アーカイブ(Arch.))インターナルメディシン(Intern. Med.)、1916年、17巻、863頁を参照して計算するか、ガイギーの科学表(Geigy Scientific Table)(図5参照)の計算図表で換算しても良い。
【0032】
心拍出量の計算は平均大動脈流速に計算大動脈断面積を乗じても良い。大動脈断面積の正確な測定や評価が困難なため、全周期速度として平均流量で表すのが好ましい。(これは丸一分での平均流速と同じである。)
記載の方法には他様態があり、本発明の精神と範囲内での変形と追加が可能なことが分かる。以前のこの形の方法では中心圧脈拍波形か末梢圧脈拍波形に関して水撃式の応用が用いられた。本法特有の新規性は高齢化と共に起こる左心室吐出パターンの変化(初期の波反射と後期の収縮期圧増大の結果)、後負荷の増加共に高齢化による心臓の“流れ発生源”から“圧力発生源”への進行性変化(ニコルス等(Nichols et al.)、アメリカンジャーナルオブカージオロジー(Am J. Cardiol.)、1985年、55巻、1179−84頁)及び心室肥大や内因性心(例えば冠状動脈)疾患による心室筋の衰えで起こる他の更なる変化(オッルーク、エムエフ(O'Rourke MF)、ブラッドプレッシャー(Blood Pressure)、1994年、3巻、33−37頁)を考慮していることである。本法は又体積流量よりむしろ線速度の観点でピーク流量と平均流量の尺度化値に焦点を合わしている。
【0033】
本発明の他様態ではNIAや他表からの代わりに大動脈脈波速度の直接測定か反射波の戻り時間の評価(ロンドン等(London et al.)、ハイパーテンション(Hypertension)、1992年、10−19頁)が可能になる。他様態では吐出で発生するインパルス(反射なしで)を決定するための較正頸動脈圧脈波波形か較正上肢圧脈波波形と大動脈断面積を計算するために超音波法か他方法の使用が必要である。総動脈幹上の近位大動脈に対する年齢による異なる組織的影響のために、異なる条件下での圧力からピーク速度を計算するのに用いる式に尺度化項を導入する必要がある。又高齢化や心不全の動脈脈拍に対する影響を説明するために現在提案された定数を変える必要があるだろう。
【0034】
心拍数が一分当たり65以上の場合には安静時の異なる心拍数での流れ波形輪郭線を最初に計算した計算平均流速以下の流速に減じるように変えるのが好ましい。
【0035】
心拍出量や心係数(上で行ったように体の大きさに縮尺する)の測定は重要な臨床的手段であり、運動や妊娠或いは甲状腺過剰や“白衣高血圧症”を含むいくつかの形の“高血圧症”で増加する。心係数は失血や体液喪失、肺塞栓や多重原因による心不全で減少する。心臓の主機能は血液をくみ出すことであるから、くみ出し量の測定は有益な臨床的徴候となる。これを論理的に生理的過程で簡単に決定するのは重要な進展である。
【0036】
図1に、直接記録若しくは末梢圧波形から合成した中心(大動脈か頸動脈)圧波形を示す。点0は波最下部であり、波最下部から約90―120ミリ秒後に圧力が点1の局在ピークかショルダーになだらかに上昇する。圧力はこの点1以後も更に上昇しても良いが、通常波最下部から約250―350ミリ秒後に変曲点か切痕に下降する。この切痕は大動脈弁の閉鎖と心室吐出の終了を意味する。
【0037】
点0から点1への圧上昇(P1-P0)は時間T1-T0での流れの吐出により、水撃式による大動脈脈波速度と血液密度により決定する。波最下部ゼロからそのピーク、次いで切痕のゼロに戻る流速変化を点線示す。圧と流量のピークは点1に対応する。
【0038】
収縮期での図2に示した大動脈流速波形は吐出時間に相当する底辺とピーク流量の80%に相当する高さからなる長方形(点線)に通常近似する。これは左心室負荷の増加と心室肥大により高齢化により変化する。吐出時間は増加するかもしれないが、後期収縮期流れのパターンは変化して、後期収縮期で遅い速度となり平均収縮期流量は通常ピーク流量の60%に減少する。
【0039】
心不全では同様の現象である後期収縮期での流量低下が見られる。収縮期時間も又減少するが、これは吐出時間及び吐出時間/心臓周期時間減少として直接測定できる。現在流れパターンのわずかな変化は後期収縮期で予期されるより低い程度の増加によると推察される。
【0040】
大動脈脈波速度と年齢間の関係に関する計算図表はNIAの研究で示された(ラカッタ、イージー(Lakatta E.G.)、健康における心臓血管の老化、高齢者における心不全(Cardiovascular Aging in Health. Heart Failure in the Elderly)、クリニックスインジェリアトリックメディシン(Clinics in Geriatric Medicine)、2000年、16巻、419−43頁)。
【0041】
大動脈径と体表面積間の関係に関する計算表はNIAの研究で示された(ラカッタ、イージー(Lakatta E.G.)、健康における心臓血管の老化、高齢者における心不全(Cardiovascular Aging in Health. Heart Failure in the Elderly)、クリニックスインジェリアトリックメディシン(Clinics in Geriatric Medicine)、2000年、16巻、419−43頁)。
【0042】
体表面積計算の計算図表はガイギーの科学表(Geigy Scientific Table)に含まれる。
【0043】
本発明の一方法でのステップは図3a−3fを参照して以下のようになる。
【0044】
ステップ1:ピーク流吐出により起こる大動脈での圧上昇の計算(P1)(多重法可能)―図3a。
【0045】
ステップ2:水撃式を用いた(P1)に対応するピーク流速(F)の計算。規範データによる大動脈脈波速度の決定とこの値の個人の平均動脈圧適合値への補正―図3b。
【0046】
ステップ3:平均収縮期流量がピーク流量の80%と仮定した収縮期での平均流速の計算―図3c。
【0047】
ステップ4:後期収縮期で流量がピーク時の80%以下になるように流れパターンに対する年齢の影響を割引―図3d。
【0048】
ステップ5:後期収縮期でいずれかの所定年齢で流量がピーク時の80%より遙かに低くなるように心不全の影響の割引―図3e。
【0049】
ステップ6:収縮期流量の一分間当たりの心拍数が65以上では80%より更に遙かに小さくなるように心拍数の割引。
【0050】
ステップ7:(平均収縮期速度)xZによる平均周期流速の計算―図3f。
ここで
Z=収縮期時間/周期時間
である。
【0051】
ステップ8:心拍出量として平均周期速度と大動脈断面積からの体積流量の計算。
【実施例1】
【0052】
被験者:男性、67才、身長168cm、体重76kg
平均血圧:87mmHg
初期ピーク振幅(P1):33mmHg
心拍数:67bpm
収縮期時間/心臓周期時間:36%
上に示したステップを用いて一分間でのリッター当たりの心拍出量を以下のように初期ピーク振幅(P1)から計算する。
(i)脈拍波速度(C)=8.52*年齢+222
=8.52*67+222
=792.7cm/秒
(ii)平均血圧に正規化して脈拍波速度=C―7.1(100―mbp)
=792.7−7.1(100−87)
=700.4cm/秒
(iii)ピーク流速(V)=P1/(1.05*C)
=33(980*1.36)/1.05*700.4
=59.8cm/秒
(iv)年齢調整因子(正常心臓機能)(AAF)=80%及び60才以上の一年ごとに1%マ
イナス
=80%―7%
=73%
(v)平均収縮期流速=ピーク流速の73%
=0.73*59.8
=43.65cm/秒
(vi)心拍数調整=(心拍数―65)の90%
=(67−65)*0.9
=1.8%
(vii)調整平均収縮期流速(Vms)=(100%―1.8%)*43.65
=42.86cm/秒
(viii)平均周期流速(Vmc)=Vms*収縮期時間/心臓周期時間
=42.86*36%
=15.43cm/秒
(ix)大動脈断面積(A c/s)=7.8
(x)心拍出量=Vmc*A c/s
=15.43*7.8*60
=120.3 ml/秒*60
=7.22 リッター/分
本発明の範囲領域から逸脱することなく本法の詳細で種々な修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】大動脈圧波形を示す。
【図2】一心臓周期での大動脈液流波形を示す。
【図3】a―fは本発明の一実施形態による心拍出量計算法の種々段階での波形を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動脈圧波形、大動脈圧波形や頸動脈圧波形及び/又はこれらの動脈径波形を直接又は間接に測定して大動脈流速を計算する方法で、圧波の反射成分を排除しピーク収縮期流速Vを下式を用いて中心圧波形の振幅P1から計算する方法で、
V=P1/(1.05*C)
ここでCは大動脈波速度である。
【請求項2】
大動脈脈波速度を直接測定するか、波の最下部から第一収縮期ピークかショルダーへの遅れを評価するか、公表データを採用して、続いて平均圧に正規化する請求項1による方法。
【請求項3】
後期収縮期での心室収縮性の減少により起こり、左心室(LV)負荷とLV肥大や疾患に起因する後期収縮期での高齢化による大動脈流速の減少に関して割り引く請求項1による方法。
【請求項4】
左心室の衰えと心臓くみ出し活動の流れ発生源から圧発生源への相対的変化により起こる後期収縮期での大動脈流速の更なる減少に関して割り引く請求項1による方法。
【請求項5】
大動脈での平均速度を吐出時間と心臓周期時間に関して計算する請求項1による方法。
【請求項6】
個人に正規化した大動脈流速を大動脈断面積を体積に乗じた項で表し一分当たりの体積心拍出量として表す請求項1による方法。
【請求項7】
心拍出量決定法が
(i)上行大動脈での圧波形を決定し、
(ii)大動脈での圧波形の初期ピークの振幅(P1)を決定し、
(iii)大動脈脈波速度(C)を決定し、
(iv)下式を用いてピーク流速(V)を計算し、
V=P1/(1.05*C)
(v)平均収縮期速度(Vms)を所定因子を割り引いたピーク流速(V)の所定パーセントとして求め、
(vi)下式を用いて平均周期流速Vmcを計算し、
Vmc=Vms x 収縮期時間/心臓周期時間、
(vii)平均周期流速に大動脈断面積を乗じて心拍出量を計算することからなる方法。
【請求項8】
上行大動脈での圧波形は頸動脈圧波形か頸動脈径波形を記録しこの波形を用いて上行大動脈圧波形を評価して求める請求項7による方法。
【請求項9】
上行大動脈での圧波形を上腕動脈か橈骨動脈で観血的か非観血的に記録した較正圧波形に一般化伝達関数を適応して求める請求項7による方法。
【請求項10】
大動脈での圧波形の振幅P1を大動脈圧波形の初期ピークかショルダーを同定し波形最下部からこのピークの高さを計算して求める請求項7による方法。
【請求項11】
大動脈での圧波形の振幅P1を上腕動脈/橈骨動脈拡大と大動脈拡大間の関係を用い、且つ大動脈脈拍圧から大動脈拡大を差し引いて橈骨動脈圧波形か上腕動脈圧波形から直接計算する請求項7による方法。
【請求項12】
大動脈脈波速度(C)を頸動脈と大腿動脈間での波の最下部の遅れを記録することで求める請求項7による方法。
【請求項13】
大動脈脈波速度(C)を性別に関係なく年齢から求める請求項7による方法。
【請求項14】
大動脈脈波速度(C)を以下の式を用いて計算する請求項7による方法。
C=8.52*年齢+222
【請求項15】
平均収縮期流速(Vms)がピーク流速(V)の80%以下である請求項7による方法。
【請求項16】
所定因子が年齢、損傷左心室収縮及び/又は心不全である請求項7による方法。
【請求項17】
年齢因子を初期ピーク流れ後の後期収縮期での前進流速が比較的低いと仮定して割り引いた請求項16による方法。
【請求項18】
平均収縮期流速(Vms)を平均収縮期流量が心臓収縮と緩和の間欠性を考慮してピーク流量の80%であると仮定して求める請求項7による方法。
【請求項19】
平均収縮期流速(Vms)を流れの初期ピーク後の後期収縮期での前進流速が比較的低いことを仮定して高齢化の影響を割り引いた請求項18による方法。
【請求項20】
年齢効果による減少が60才以上では10年ごとに絶対値の10%とする請求項19による方法。
【請求項21】
平均収縮期流速を左心室吐出比が25乃至40%の間であることが分かっている場合には絶対値の10%だけ、左心室吐出比が25%以下であることが分かっている場合には絶対値の20%だけ大動脈圧波形での損傷左心室収縮の影響に関して割り引く請求項19による方法。
【請求項22】
心不全が有り且つ左心室吐出比が未知の場合は平均収縮期流速を10%だけ減ずる請求項21による方法。
【請求項23】
収縮期時間を大動脈波形の最下部から心臓切痕までの吐出時間を測定して求める請求項7による方法。
【請求項24】
大動脈断面積を超音波で測定する請求項7による方法。
【請求項25】
大動脈断面積を身長体重と大動脈断面積との相関から求める請求項7による方法。
【請求項26】
大動脈断面積を下式
D=0.0654x年齢+12.63
を用いて身長体重から体表面積(D)を平方メーターとして確立し体表面積を平方メーターとして計算する請求項25による方法。
【請求項27】
平均収縮期流速を有効心拍数を割り引いた請求項7による方法。
【請求項28】
平均収縮期流速を一分間の拍動が65以上では一分当たりの拍動を0.9%だけ更に減ずる請求項27による方法。
【請求項29】
脈拍速度を平均動脈圧に正規化する請求項7による方法。
【請求項30】
正規化脈拍速度(調整C)を下式
調整C=C―7.1(100−mbp)
を用いて計算し、ここでmbpは平均動脈圧である請求項29による方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−526040(P2007−526040A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501067(P2007−501067)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000311
【国際公開番号】WO2005/084536
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506297027)アトコー メディカル ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】