説明

動脈硬化及び高血圧症の予防及び治療のための医薬

【課題】動脈硬化、高血圧症、心臓疾患、腎臓疾患、又は脳血管性疾患の予防及び/又は治療のための医薬の提供。
【解決手段】下記の成分:(A)オルメサルタン・メドキソミル等及び薬理学的に許容されるその塩からなる群から選ばれるアンジオテンシンII受容体拮抗剤;及び(B)1,4−ジヒドロピリジン系化合物及び薬理学的に許容されるその塩からなる群から選ばれるカルシウム拮抗剤(例えばアゼルニジピンなど)を有効成分として含む医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動脈硬化の予防及び/又は治療のための医薬に関するものである。
また、本発明は、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈(突然死を含む)、心
不全若しくは心肥大]、腎臓疾患(糖尿病性腎症、糸球体腎炎若しくは腎硬化症)又は脳
血管性疾患(脳梗塞若しくは脳出血)の予防及び/又は治療のための医薬に関するもので
ある。
【背景技術】
【0002】
現在、カルシウム拮抗剤及びレニン・アンジオテンシン系の抑制薬は、臨床において高
血圧の治療や予防のための医薬として広く用いられている。カルシウム拮抗剤としては種
々の系列の薬剤が用いられているが、なかでも1,4−ジヒドロピリジン系化合物である
アムロジピン、ベニジピン、ニトレンジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン
、ニソルジピン、シルニジピン、レルカニジピン、ニグルジピン、ニモジピン、アラニジ
ピン、エホニジピン、バルニジピン、フェロジピン、ニルバジピン、及びアゼルニジピン
などは持続性のカルシウム拮抗剤であり、高血圧症の第一選択薬として臨床で汎用されて
いる。また、レニン・アンジオテンシン系の抑制薬としては、アンジオテンシンII受容
体拮抗剤が、従来のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤にみられる咳などの副作
用がなく、また、心血管や腎臓の障害に対し保護効果を示すことから使用が拡大している
。しかし、これら既存の1種類の薬剤では、患者の血圧を十分にコントロールできない場
合も多い。
【0003】
カルシウム拮抗剤は、血管拡張作用に加え、ナトリウム利尿作用も有することから、体
液貯留性(レニン非依存性)の高血圧にも有効である。一方、アンジオテンシンII受容
体拮抗剤は、レニン依存性の高血圧に特に有効であり、また、優れた臓器保護効果を有し
ている。従って、カルシウム拮抗剤とアンジオテンシンII受容体拮抗剤の併用により、
高血圧の病因によらず安定かつ十分な降圧治療が期待できる。
【0004】
カルシウム拮抗剤及びアンジオテンシンII受容体拮抗剤を組み合わせた医薬が種々提
案されており(例えば、国際公開第01/15674号パンフレット、国際公開第01/
78699号パンフレット、国際公開第02/43807号パンフレット、国際公開第0
1/76632号パンフレット、国際公開第01/74390号パンフレット、特表20
02−524408号公報、国際公開第92/10097号パンフレット、特公平7−0
35372号公報、英国特許出願公開2268743号明細書、特開平6−56789号
公報、特開平5−155867号公報、米国特許出願公開第2001/0004640号
明細書、米国特許第6204281号明細書、特許第3057471号公報、特許第29
30252号公報、特表2002−507213号公報、特表2001−513498号
公報、特表2000−508632号公報、特公平7−91299号公報、特公平7−1
4939号公報、特開平6−65207号公報、特開平5−213894号公報、特表2
002−518417号公報、特表2002−506010号公報、及び特表2001−
522872号公報)、これらのうちのいくつかの刊行物には、両者の組み合わせにより
、いっそう望ましい降圧作用が達成されることが開示されている。しかしながら、本発明
の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と特定のカルシウム拮抗剤とを併用した例に
ついては知られていない。
【0005】
一方、動脈硬化の初期病変の特徴は、中又は大動脈における病的な内膜肥厚であり、内
皮傷害、血管平滑筋細胞(VSMC)の内膜への遊走と増殖、及び細胞内への脂質蓄積(
泡沫細胞)などにより特徴付けられる。また、動脈硬化の進展にかかわる高血圧などの病
態では、血管にかかる種々の負荷に反応して血管壁の細胞構築が変化し、血管のリモデリ
ングが生じることが知られている。血管リモデリングとは、血流量変化や血管壁の張力の
変化などの血行動態変化に対してもたらされる血管の構造上の変化のことである。この過
程には、成長因子やサイトカインなどの物質のほか、血管作動物質も関与することが示唆
されている。例えば、内皮由来血管収縮因子であるアンジオテンシンIIは血管平滑筋細
胞に対して増殖促進作用を有するが(臨床医,Vol.21,1924,1995)、リ
モデリングに対して促進的に作用する物質であることが知られている(医学のあゆみ、V
ol.193,361,2000)。
【0006】
もっとも、動脈硬化の発生から進展のメカニズムについては未だ十分に解明されておら
ず、血管リモデリングのメカニズムについても不明な点が多い。アンジオテンシンII受
容体拮抗剤と血管リモデリングとの関連については報告があるが(Circulatio
n,104,2716,2001)、カルシウム拮抗剤が動脈硬化性病変や血管傷害に与
える影響やメカニズムに関してはほとんど解明されておらず、カルシウム拮抗剤とアンジ
オテンシンII受容体拮抗剤との組み合わせによる動脈硬化の予防及び治療効果について
はほとんど報告がない。特に、カルシウム拮抗剤の作用とレニン−アンジオテンシン系と
の関わりや両薬剤の効果の相乗性については、治療面でも重要な問題であるにもかかわら
ず未だ不明な点が多い。
【0007】
また、経皮的冠動脈形成術(PTCA)やステント植え込み術をはじめとする冠動脈イ
ンターベンション(PCI)は、その低侵襲性ゆえに現在の虚血性心疾患の治療において
中心的地位を占めているが、術後数ヶ月以内に30〜45%の割合で生じる再狭窄が問題
となっている。PCI後の再狭窄の機序としては、平滑筋細胞群の増殖とそれらの産生す
る細胞外基質の蓄積による新生内膜の増生や肥厚に加えて、遠隔期の全血管径の縮小(す
なわちリモデリング)が重要視されている(Coronary Interventio
n,Vol.1,12;臨床医,Vol.21,1924,1995)。このような状況
下にあってPCT後の血管再狭窄を効果的に予防できる医薬の開発が求められているが、
いまだ高い有効性を発揮できる薬剤は開発されていない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の課題は、動脈硬化の予防及び/又は治療のための医薬を提供することにある。
より具体的には、血管平滑筋増殖及び新生内膜形成を抑制することができる医薬を提供す
ることが本発明の課題である。また、本発明の別の課題は、血管リモデリングを有効に抑
制でき、動脈硬化の進展やPCI後の再狭窄を予防することができる医薬を提供すること
にある。
【0009】
また、本発明の別の課題は、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患の予防又は治療のた
めの医薬を提供することにある。より具体的には、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗
塞、不整脈(突然死を含む)、心不全若しくは心肥大]、腎臓疾患(糖尿病性腎症、糸球
体腎炎若しくは腎硬化症)又は脳血管性疾患(脳梗塞若しくは脳出血)の予防及び/又は
治療のための医薬(特に、高血圧症の予防又は治療のための医薬)を提供することにある

【0010】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のカルシウム拮抗剤
と特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤とを組み合わせることにより、血管平滑筋増
殖及び新生内膜形成を強力に抑制することができること、及びその抑制作用が両者の相乗
的作用により達成されており、両者のそれぞれの有効用量を下回る用量においても優れた
抑制効果が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、上記の組み合わせにより血
管リモデリングを顕著に抑制することができ、この医薬がPCI後の再狭窄の抑制に極め
て有効であることを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、上記の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と特定のカル
シウム拮抗剤とを組み合わせることにより、優れた血圧降下作用が達成できることを見出
した。また、本発明者らは、この医薬が、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整
脈(突然死を含む)、心不全若しくは心肥大]、腎臓疾患(糖尿病性腎症、糸球体腎炎若
しくは腎硬化症)又は脳血管性疾患(脳梗塞若しくは脳出血)の予防及び/又は治療に極
めて有効であることを見出した。本発明は、これらの知見を基にして完成されたものであ
る。
【0012】
すなわち、本発明は、動脈硬化の予防及び/又は治療のための医薬であって、下記の成
分:
(A)下記の式(I):
【0013】
【化1】

【0014】
で表される化合物及び薬理学的に許容されるそのエステル、並びに薬理学的に許容される
それらの塩からなる群から選ばれる物質を含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤;及び
(B)1,4−ジヒドロピリジン系化合物及び薬理学的に許容されるその塩からなる群か
ら選ばれる物質を含むカルシウム拮抗剤
を有効成分として含む医薬を提供するものである。
【0015】
また、本発明の別の観点からは、血管平滑筋細胞の増殖抑制のための医薬であって、上
記の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬;血管新生内膜形成の抑制のた
めの医薬であって、上記の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬;及び、
血管リモデリングの抑制のための医薬であって、上記の成分(A)及び成分(B)を有効
成分として含む医薬が提供される。これらの医薬は、例えば、冠動脈インターベンション
後の再狭窄の予防のための医薬として用いることができる。この観点からは、本発明によ
り、成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む冠動脈インターベンション後の再狭
窄の予防のための医薬が提供される。
【0016】
さらに、本発明により、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患の予防及び/又は治療の
ための医薬であって、下記の成分:
(A)上記の式(I)で表される化合物及び薬理学的に許容されるそのエステル、並びに
薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれるアンジオテンシンII受容体拮
抗剤;及び
(B)1,4−ジヒドロピリジン系化合物及び薬理学的に許容されるその塩からなる群か
ら選ばれる物質を含むカルシウム拮抗剤
を有効成分として含有する医薬;並びに
心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈(突然死を含む)、心不全、又は心肥大など]、腎
臓疾患(糖尿病性腎症、糸球体腎炎、又は腎硬化症など)、又は脳血管性疾患(脳梗塞又
は脳出血など)の予防及び/又は治療のための医薬であって、下記の成分:
(A)上記の式(I)で表される化合物及び薬理学的に許容されるそのエステル、並びに
薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれるアンジオテンシンII受容体拮
抗剤;及び
(B)1,4−ジヒドロピリジン系化合物及び薬理学的に許容されるその塩からなる群か
ら選ばれる物質を含むカルシウム拮抗剤
を有効成分として含有する医薬
が提供される。
【0017】
上記の各発明の好ましい態様によれば、上記医薬は成分(A)及び成分(B)の両者を
有効成分として含む医薬組成物として提供される。この医薬組成物は、1種又は2種以上
の製剤用添加物を含んでいてもよい。上記の各発明の別の好ましい態様によれば、成分(
A)及び成分(B)を同時に、又は成分(A)及び成分(B)を時間を変えて投与するた
めの上記医薬が提供される。
【0018】
また、上記の各発明のさらに好ましい態様によれば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤が(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−プロピル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]イミダゾール−5−カルボキシレート(以下、本明細書において「オルメサルタン・メドキソミル」と呼ぶ場合がある。)である上記の医薬;カルシウム拮抗剤が、(±)−2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル5−イソプロピルエステル(以下、本明細書において「アゼルニジピン」と呼ぶ場合がある。)、アムロジピン、ベニジピン、ニトレンジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、シルニジピン、レルカニジピン、ニグルジピン、ニモジピン、アラニジピン、エホニジピン、バルニジピン、フェロジピン、及びニルバジピンからなる群から選ばれるカルシウム拮抗剤である上記の医薬;及びカルシウム拮抗剤がアゼルニジピンである上記の医薬が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の観点からは、上記の医薬の製造のための上記式(I)で表される化
合物及び薬理学的に許容されるそのエステル、並びに薬理学的に許容されるそれらの塩か
らなる群から選ばれる物質を含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤の使用;上記の医薬
の製造のための1,4−ジヒドロピリジン系化合物及び薬理学的に許容されるその塩から
なる群から選ばれる物質を含むカルシウム拮抗剤の使用が本発明により提供される。
【0020】
また、本発明により、動脈硬化の予防及び/又は治療方法であって、上記の成分(A)
及び成分(B)の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含
む方法;ヒトを含む哺乳類動物の生体内において血管平滑筋細胞の増殖を抑制する方法で
あって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工
程を含む方法;ヒトを含む哺乳類動物の生体内において血管新生内膜形成を抑制する方法
であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する
工程を含む方法;ヒトを含む哺乳類動物の生体内において血管リモデリングを抑制する方
法であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与す
る工程を含む方法;及び、冠動脈インターベンション後の再狭窄を予防する方法であって
、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含
む方法が提供される。好ましくは、上記の各発明において、成分(A)及び成分(B)の
組み合わせにおける各成分の有効量は、成分(A)及び成分(B)をそれぞれ単独で用い
た場合の有効用量の下限付近又はそれを下回る量である。
【0021】
また、本発明により、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患の予防及び/又は治療方法
であって、上記の成分(A)及び成分(B)の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺
乳類動物に投与する工程を含む方法;高血圧症を予防又は治療する方法であって、上記の
成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;
心臓疾患を予防又は治療する方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量を
ヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;狭心症を予防又は治療する方法であっ
て、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を
含む方法;心筋梗塞を予防又は治療する方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)
の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;不整脈を予防又は治療する
方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与
する工程を含む方法;突然死を予防する方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)
の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;心不全を予防又は治療する
方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与
する工程を含む方法;心肥大を予防又は治療する方法であって、上記の成分(A)及び成
分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;腎臓疾患を予防又
は治療する方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類
動物に投与する工程を含む方法;糖尿病性腎症を予防又は治療する方法であって、上記の
成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;
糸球体腎炎を予防又は治療する方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量
をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;腎硬化症を予防又は治療する方法で
あって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工
程を含む方法;脳血管性疾患を予防又は治療する方法であって、上記の成分(A)及び成
分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;脳梗塞を予防又は
治療する方法であって、上記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動
物に投与する工程を含む方法;及び/又は、脳出血を予防又は治療する方法であって、上
記の成分(A)及び成分(B)の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方
法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】0.1〜1.0mg/kg/dayの範囲でカルシウム拮抗剤であるアゼルニジピン投与により血管平滑筋細胞のDNA合成が抑制された結果を示した図である。
【図2】0.1〜1.0mg/kg/dayの範囲でカルシウム拮抗剤であるアゼルニジピン投与により新生内膜形成が抑制された結果を示した図である。
【図3】0.5〜3.0mg/kg/dayの範囲でアンジオテンシンII受容体拮抗剤であるオルメサルタン投与により血管平滑筋細胞のDNA合成が抑制された結果を示した図である。
【図4】0.5〜3.0mg/kg/dayの範囲でアンジオテンシンII受容体拮抗剤であるオルメサルタン投与により新生内膜形成が抑制された結果を示した図である。
【図5】アゼルニジピン0.1mg/kg/dayとオルメサルタン0.5mg/kg/day(それぞれ単独では有意な効果を示さない用量である)の同時投与により血管平滑筋細胞のDNA合成が抑制された結果を示した図である。
【図6】アゼルニジピン0.1mg/kg/dayとオルメサルタン0.5mg/kg/day(それぞれ単独では有意な効果を示さない用量である)の同時投与により新生内膜形成が抑制された結果を示した図である。
【図7】ラット培養血管平滑筋細胞でのアンジオテンシンII刺激によるDNA合成亢進がアゼルニジピン投与により用量依存的に抑制された結果を示した図である。
【図8】それぞれ単独では効果の認められない低用量のアゼルニジピンとオルメサルタンとの併用により培養血管平滑筋細胞におけるDNA合成が有意に抑制された結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の医薬は、(A)上記の式(I)で表される化合物及び薬理学的に許容されるそ
のエステル、並びに薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれる物質を含む
アンジオテンシンII受容体拮抗剤;及び(B)1,4−ジヒドロピリジン系化合物及び
薬理学的に許容されるその塩からなる群から選ばれる物質を含むカルシウム拮抗剤を有効
成分として含むことを特徴としている。
【0024】
上記の式(I)で表される化合物〔4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−
プロピル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル
]イミダゾール−5−カルボン酸〕は公知であり、例えば、特開平5−78328号公報
(米国特許第5,616,599号明細書)等に記載された方法により容易に入手可能で
ある。上記の式(I)で表される化合物の薬理学的に許容される塩の種類は特に限定され
ず、当業者が適宜選択可能である。上記の式(I)で表される化合物の薬理学的に許容さ
れる塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属
塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩
、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;又はアンモニウム塩、t−オクチ
ルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンア
ルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエ
チルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジル
エチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−
ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(
ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のようなアミン塩などを挙げることができるが、これ
らに限定されることはない。好適には、アルカリ金属塩を用いることができ、特に好適に
は、ナトリウム塩を用いることができる。
【0025】
上記の式(I)で表される化合物の薬理学的に許容されるエステルは、上記の式(I)
で表される化合物のカルボン酸部分がエステル化された化合物を意味している。薬理学的
に許容されるエステルの種類は特に限定されず、当業者が適宜選択可能である。該エステ
ルは生体内で加水分解のような生物学的方法により開裂し得るものであることが好ましい
。該エステルを構成する基(該エステルを−COORで表した場合にRで表される基)と
しては、例えば、メトキシメチル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチ
ル、1−(イソプロポキシ)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、1,1
−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシ
メチル、ブトキシメチル、t−ブトキシメチルのようなC−CアルコキシC−C
アルキル基、2−メトキシエトキシメチルのようなC−Cアルコキシ化C−C
ルコキシC−Cアルキル基、フェノキシメチルのようなC−C10アリールオキシ
−Cアルキル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエト
キシ)メチルのようなハロゲン化C−CアルコキシC−Cアルキル基、メトキシ
カルボニルメチルのようなC−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル基、シア
ノメチル、2−シアノエチルのようなシアノC−Cアルキル基、メチルチオメチル、
エチルチオメチルのようなC−Cアルキルチオメチル基、フェニルチオメチル、ナフ
チルチオメチルのようなC−C10アリールチオメチル基、2−メタンスルホニルエチ
ル、2−トリフルオロメタンスルホニルエチルのようなハロゲンで置換されてもよいC
−CアルキルスルホニルC−C低級アルキル基、2−ベンゼンスルホニルエチル、
2−トルエンスルホニルエチルのようなC−C10アリールスルホニルC−Cアル
キル基、ホルミルオキシメチル、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリ
ルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、バレリルオキシメチル、イソバレリルオキシ
メチル、ヘキサノイルオキシメチル、1−ホルミルオキシエチル、1−アセトキシエチル
、1−プロピオニルオキシエチル、1−ブチリルオキシエチル、1−ピバロイルオキシエ
チル、1−バレリルオキシエチル、1−イソバレリルオキシエチル、1−ヘキサノイルオ
キシエチル、2−ホルミルオキシエチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキ
シエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−ピバロイルオキシエチル、2−バレリルオキ
シエチル、2−イソバレリルオキシエチル、2−ヘキサノイルオキシエチル、1−ホルミ
ルオキシプロピル、1−アセトキシプロピル、1−プロピオニルオキシプロピル、1−ブ
チリルオキシプロピル、1−ピバロイルオキシプロピル、1−バレリルオキシプロピル、
1−イソバレリルオキシプロピル、1−ヘキサノイルオキシプロピル、1−アセトキシブ
チル、1−プロピオニルオキシブチル、1−ブチリルオキシブチル、1−ピバロイルオキ
シブチル、1−アセトキシペンチル、1−プロピオニルオキシペンチル、1−ブチリルオ
キシペンチル、1−ピバロイルオキシペンチル、1−ピバロイルオキシヘキシルのような
−C脂肪族アシルオキシC−Cアルキル基、シクロペンチルカルボニルオキシ
メチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシ
エチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、1−シクロペンチルカルボニルオ
キシプロピル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシプロピル、1−シクロペンチルカル
ボニルオキシブチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシブチルのようなC−C
クロアルキルカルボニルオキシC−Cアルキル基、ベンゾイルオキシメチルのような
−C10アリールカルボニルオキシC−Cアルキル基、メトキシカルボニルオキ
シメチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(メトキシカルボニルオキシ
)プロピル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(メトキシカルボニルオキ
シ)ペンチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、エトキシカルボニルオキシ
メチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)
プロピル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(エトキシカルボニルオキシ
)ペンチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、プロポキシカルボニルオキシ
メチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(プロポキシカルボニルオキ
シ)プロピル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)ブチル、イソプロポキシカルボニル
オキシメチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソプロポキシ
カルボニルオキシ)ブチル、ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(ブトキシカルボニ
ルオキシ)エチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(ブトキシカルボ
ニルオキシ)ブチル、イソブトキシカルボニルオキシメチル、1−(イソブトキシカルボ
ニルオキシ)エチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(イソブト
キシカルボニルオキシ)ブチル、t−ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(t−ブト
キシカルボニルオキシ)エチル、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ペンチ
ルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル
、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)エ
チル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピルのようなC−Cアルコキシ
カルボニルオキシC−Cアルキル基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル
、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロペンチルオキシ
カルボニルオキシ)プロピル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)ブチル、
シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニル
オキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(シク
ロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ブチルのようなC−Cシクロアルキルオキシカ
ルボニルオキシC−Cアルキル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレ
ン−4−イル)メチル、(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)
メチル、(5−プロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5
−イソプロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−ブチル
−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルのような[5−(C−C
ルキル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基,(5−フェニル−
2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、[5−(4−メチルフェニル)
−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−メトキシフェニ
ル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−フルオロフ
ェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−クロロ
フェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチルのような[5−(C
−Cアルキル、C−Cアルコキシ若しくはハロゲンで置換されてもよいフェニル
)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基又はフタリジル、ジメチル
フタリジル、ジメトキシフタリジルのようなC−Cアルキル若しくはC−Cアル
コキシで置換されてもよいフタリジル基などを挙げることができる。好適には、ピバロイ
ルオキシメチル基、フタリジル基、又は(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレ
ン−4−イル)メチル基を用いることができ、さらに好適には(5−メチル−2−オキソ
−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基を用いることができる。
【0026】
上記の式(I)で表される化合物のエステルが薬理学的に許容される塩を形成する場合
、薬理学的に許容される塩の種類は当業者に適宜選択可能であり、特に限定されることは
ない。例えば、弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化
水素酸塩;硝酸塩;過塩素酸塩;硫酸塩;燐酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメ
タンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のようなハロゲンで置換されてもよいC−C
アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなC
−Cアルキルで置換されてもよいC−C10アリールスルホン酸塩;酢酸、りんご酸
、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩のようなC
−C脂肪酸塩;又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミ
ン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などを挙げることができる。好適には、塩
酸塩、硝酸塩、硫酸塩、又は燐酸塩を用いることができ、特に好適には、塩酸塩を用いる
ことができる。
【0027】
成分(A)として用いられるアンジオテンシンII受容体拮抗剤として、好適には、上
記式(I)で表される化合物又は薬理学的に許容されるそのエステルを用いることができ
、より好ましくは、上記式(I)で表される化合物の薬理学的に許容されるそのエステル
を用いることができ、更により好適には、上記式(I)で表される化合物のピバロイルオ
キシメチルエステル、フタリジルエステル、又は(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジ
オキソレン−4−イル)メチルエステルを用いることができる。最も好ましくは、(5−
メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル4−(1−ヒドロキシ−
1−メチルエチル)−2−プロピル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビ
フェニル−4−イルメチル]イミダゾール−5−カルボキシレートを用いることできる。
【0028】
上記式(I)で表される化合物及び薬理学的に許容されるそのエステル、並びに薬理学
的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれる物質としては、水和物又は溶媒和物を
用いることもできる。上記式(I)で表される化合物の薬理学的に許容されるそのエステ
ルを用いる場合には、該エステル化合物が1又は2以上の不斉炭素を有することがあるが
、該不斉炭素に基づく純粋な形態の光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体
、あるいは立体異性体の任意の混合物又はラセミ体などを成分(A)として用いることも
できる。
【0029】
成分(B)として用いられる1,4−ジヒドロピリジン系化合物を含むカルシウム拮抗
剤は、分子内に1,4−ジヒドロピリジン部分構造又はそれと化学的に等価な部分構造を
有することを特徴とするカルシウム拮抗剤である。1,4−ジヒドロピリジン系化合物を
含むカルシウム拮抗剤として種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されている
ので、当業者は本発明の効果を奏する適宜の薬剤を選択することが可能である。1,4−
ジヒドロピリジン系化合物を含むカルシウム拮抗剤として、例えば、アゼルニジピン、ア
ムロジピン、ベニジピン、ニトレンジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、
ニソルジピン、シルニジピン、レルカニジピン、ニグルジピン、ニモジピン、アラニジピ
ン、エホニジピン、バルニジピン、フェロジピン、又はニルバジピンなどを用いることが
できるが、これらに限定されることはない。なお、アゼルニジピンは特開昭63−253
082号公報(米国特許第4,772,596号明細書)等に記載の方法に従い、容易に
製造することができる。また、アムロジピンは米国特許第4,572,909号明細書又
は米国特許第4,879,303号明細書に記載の方法に従い容易に製造することができ
る。
【0030】
1,4−ジヒドロピリジン系化合物の薬理学的に許容される塩の種類は特に限定されず
、当業者が適宜選択可能である。薬理学的に許容される塩は、酸付加塩又は塩基付加塩の
いずれであってもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカ
リ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩
、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;又はアンモニウム塩、t−
オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリ
シンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩
、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベ
ンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩
、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、ト
リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のようなアミン塩などの塩基付加塩;あるいは
弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸
塩;過塩素酸塩;硫酸塩;燐酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸
塩、エタンスルホン酸塩のようなハロゲンで置換されてもよいC−Cアルカンスルホ
ン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなC−Cアルキル
で置換されてもよいC−C10アリールスルホン酸塩;酢酸、りんご酸、フマール酸塩
、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩のようなC−C脂肪酸
塩;又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパ
ラギン酸塩のようなアミノ酸塩などを挙げることができるが、これらに限定されることは
ない。
【0031】
1,4−ジヒドロピリジン系化合物を含むカルシウム拮抗剤としては、上記の化合物又
は薬理学的に許容されるその塩の水和物又は溶媒和物を用いてもよい。また、1,4−ジ
ヒドロピリジン系化合物を含むカルシウム拮抗剤は、分子内に1又は2個以上の不斉炭素
を有する場合があるが、該不斉炭素に基づく純粋な形態の光学異性体又はジアステレオ異
性体などの立体異性体、あるいは立体異性体の任意の混合物又はラセミ体などを成分(B
)として用いることもできる。成分(B)としては、(±)−2−アミノ−1,4−ジヒ
ドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸3−(
1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル5−イソプロピルエステル、(R
)−2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5
−ピリジンジカルボン酸3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル5
−イソプロピルエステル、アムロジピン・ベシレート、又はアムロジピン・マリエートが
好ましい。
【0032】
本発明の医薬は、本明細書の実施例に具体的に示すように、成分(A)及び成分(B)
が相乗的に作用することにより血管新生内膜形成及び血管平滑筋細胞増殖を抑制し、その
結果として血管リモデリングを抑制することができる。上記の作用に基づいて、本発明の
医薬は、動脈硬化症の予防及び/又は治療のほか、冠動脈インターベンション後の再狭窄
の予防に用いることもできる。
【0033】
本発明の医薬では、成分(A)及び成分(B)をそれぞれ単独で用いた場合の有効用量
の下限付近又はそれ以下の用量で組み合わせることによっても、優れた血管新生内膜形成
抑制効果及び血管平滑筋細胞増殖抑制効果を達成できるという特徴がある。特に、それぞ
れの成分の単独投与では効果が認められない低用量での組み合わせが好ましい。
【0034】
また、明細書の実施例に具体的に示すように、本発明の医薬では、成分(A)及び成分(B)が相乗的に作用することにより、より効果的に血圧を降下させることができる。上記の作用に基づいて、本発明の医薬は、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈(突然死を含む)、心不全、又は心肥大など]、腎臓疾患(糖尿病性腎症、糸球体腎炎、又は腎硬化症など)又は脳血管性疾患(脳梗塞又は脳出血など)の予防及び/又は治療、好ましくは治療に用いることができる。本発明の医薬では、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤が組み合わせて使用されることにより、それぞれ単独で投与された場合に比べて優れた効果を示す。
【0035】
本発明の医薬としては、上記の成分(A)及び(B)の両者を有効成分として含む医薬
組成物(いわゆる「合剤」の形態である)として調製することもできる。例えば、両者の
有効成分を混合して物理的に1個の単位投与形態として調製することができる。また、上
記の成分(A)及び(B)をそれぞれ別々の単位投与形態として調製しておき、それらの
投与形態の組み合わせを含む医薬として提供することもできる。後者の医薬は、上記の成
分(A)及び(B)を同時に、又は時間を変えて投与するための医薬として用いることが
できる。
【0036】
本明細書において、成分(A)及び(B)を「同時に」投与するとは、両者の成分をほ
ぼ同じ時間に投与することを意味しており、厳密に同時に投与する態様に限定して解釈し
てはならない。同時に投与するための投与形態は特に限定されず、例えば、一方の成分を
経口投与し、他方の成分を非経口投与する形態なども包含されるが、両者の成分を単一の
組成物として調製して投与することが好ましい。
【0037】
本発明に於いて、成分(A)及び(B)を「時間を置いて別々に」投与するとは、両者
の成分を異なった時間に別々に投与することを意味している。時間をおいて別々に投与す
るための投与形態は特に限定されず、例えば、最初にアンジオテンシンII受容体拮抗剤
を投与し、次いで、所定の時間の経過後にカルシウム拮抗剤を投与する形態、あるいは最
初にカルシウム拮抗剤を投与し、次いで、所定の時間の経過後にアンジオテンシンII受
容体拮抗剤を投与する形態などが包含されるが、これらの態様に限定されることはない。
【0038】
本発明の医薬は、有効成分である上記成分(A)及び(B)のほか、必要に応じて適宜
の薬理学的に許容される賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤
、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法に従い製造される、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、
散剤、若しくはシロップ剤等の経口投与に適した医薬、又は注射剤若しくは坐剤等の非経
口投与に適した医薬として調製して投与することができる。本発明の医薬に含まれる成分
(A)及び(B)は、一般的には経口的に投与される薬剤であることから、本発明の医薬
は、経口的に投与することが望ましい。
【0039】
「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール若しくはソルビトー
ルのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉若しくはデ
キストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴ
ム;デキストラン;又はプルランのような有機系賦形剤;あるいは、軽質無水珪酸、合成
珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪
酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は
、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。
【0040】
「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム若しくはステア
リン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワッ
クス若しくはゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫
酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウリル硫酸ナ
トリウム若しくはラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸若しくは
珪酸水和物のような珪酸類;又は、上記澱粉誘導体を挙げることができる。
【0041】
「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は、前記賦形剤と同様の化合
物を挙げることができる。
【0042】
「崩壊剤」としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カルボキシメ
チルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドン;又は
、カルボキシメチルスターチ若しくはカルボキシメチルスターチナトリウムのような化学
修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
【0043】
「乳化剤」としては、例えば、ベントナイト若しくはビーガムのようなコロイド性粘土
;水酸化マグネシウム若しくは水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸
ナトリウム若しくはステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザル
コニウムのような陽イオン界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステルのような非イ
オン界面活性剤を挙げることができる。
【0044】
「安定剤」としては、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンのようなパラ
ヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニ
ルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール若しくは
クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又は、ソルビン酸を挙
げることができる。
【0045】
「矯味矯臭剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム若しくはアスパルテームのよ
うな甘味料;クエン酸、リンゴ酸若しくは酒石酸のような酸味料;又は、メントール、レ
モン若しくはオレンジのような香料を挙げることができる。
【0046】
「希釈剤」としては、例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、スクロース、
硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロー
ス、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、
デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はこれらの混合
物のような、通常、希釈剤として用いられるものを挙げることができる。
【0047】
有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤との投与量と投
与比率は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により適宜選択し
得る。その投与量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、各々、1回当た
り下限0.1mg(好適には0.5mg)、上限1000mg(好適には500mg)を
、非経口的投与の場合には、1回当たり下限0.01mg(好適には0.05mg)、上
限100mg(好適には50mg)を、成人に対して1日当たり1ないし6回程度、症状
に応じて同時に又は時間を置いて別々に投与することができる。例えば、成分(A)と成
分(B)との投与量比率は、重量比で1:10000ないし10000:1の範囲内、好
適には1:1000ないし1000:1の範囲内であり、さらに好適には1:100ない
し100:1の範囲内とすることができる。
【0048】
本発明の医薬を動脈硬化の予防及び/又は治療のために用いる場合には、一般的には、
投与後の成分(A)及び成分(B)の血中濃度が、それぞれ単独での有効血中濃度の下限
付近又はそれを下回る濃度となるように適宜調整することが望ましい。
【0049】
本発明の医薬を高血圧の予防及び/又は治療のために用いる場合には、アンジオテンシ
ンII受容体拮抗剤の容量は、本来的な用途である降圧剤としての通常の用量よりも低く
設定することができ、カルシウム拮抗剤との併用による優れた効果により一般的には投与
量を大幅に下げることができる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により限定されることはない。実施例中、オルメサルタン・メドキソミルを単に「オルメサルタン」と呼ぶ。
【0051】
例1:動脈硬化抑制作用
(A)材料及び方法
(1)カフ血管損傷モデル
動物は10週齢のC57BL/6マウスを使用した。一部の実験においてはAT1a受容体遺伝子欠損(AT1aKO)マウスを使用した。マウスの大腿動脈周囲にポリエチレンチューブをカフ状に留置し、炎症性血管傷害を誘発した。この傷害血管において、以下の項目について検討した。なお、血管リモデリング解析へのこのモデルの有用性に関してはすでに報告がある(Physiol.Genomics.,2,pp.13−30,2000;Circulation,104,pp.2716−2721,2001;Circulation,106,pp.847−853,2002)。
(2)新生内膜形成とDNA合成
カフ留置14日後の傷害血管のパラフィン切片を作成し、Elastica van Gieson染色を行い、新生内膜および中膜の断面積を画像解析ソフトにより計測した。血管平滑筋細胞のDNA合成の定量化は、カフ留置7日目のマウスにBrdUを投与し、その細胞核への取り込み指数を算出した。
(3)野生型マウスにAT1受容体ブロッカーであるオルメサルタンを浸透圧ミニポンプ
を用いて腹腔内に投与して上記(2)の測定を行い、オルメサルタンの用量依存性を検討
した。野生型マウスに、カフ留置術時よりアゼルニジピンを経口投与したのち、上記(2
)の測定を行い、アゼルニジピン効果の用量依存性について検討した。
(4)野生型マウスに、オルメサルタンとアゼルニジピンの両者を同時に投与して上記(
2)の測定を行い、併用投与の効果を単独投与の場合を比較検討した。オルメサルタンと
アゼルニジピンはそれぞれ単独投与でも有効な用量での検討と、相乗効果をより明らかに
観察するため、単独投与では効果のない用量どおしでの併用効果を観察した。
(5)ラット培養血管平滑筋細胞を用い、アンジオテンシンII刺激によるDNA合成亢
進([H}チミジン取り込みにて測定)に及ぼすオルメサルタンとアゼルニジピンの併
用効果を検討した。
【0052】
(B)結果
(1)野生型マウスにカフ血管傷害を惹起させた場合において、血管平滑筋細胞のDNA
合成増加と増強新生内膜形成とが認められた。この変化は0.1〜1.0mg/kg/d
ayの範囲でアゼルニジピン投与により血圧に影響することなく用量依存的に抑制された
(第1図及び第2図)。また、オルメサルタンも血圧に影響を与えない用量である0.5
〜3.0mg/kg/dayの範囲で用量依存性の抑制作用を示した(第3図及び第4図
)。野生型マウスに、アゼルニジピン0.1mg/kg/dayとオルメサルタン0.5
mg/kg/day(それぞれ単独では有意な効果を示さない用量である)を同時に投与
すると、カフ傷害血管における血管平滑筋細胞のDNA合成増強及び新生内膜形成が有意
に抑制された(第5図及び第6図)。この結果により、アゼルニジピンとオルメサルタン
の併用により両者が相乗的に作用し、血管平滑筋細胞の増殖を抑制するとともに血管リモ
デリングを改善することがイン・ビボの実験で示された。
(2)上記の相乗作用をイン・ビトロの実験において検討した。第7図に示すように、ラ
ット培養血管平滑筋細胞でのアンジオテンシンII刺激によるDNA合成亢進は、アゼル
ニジピン投与により用量依存的に抑制された。単独では効果の認められない低用量のアゼ
ルニジピンと、単独では効果の認められない低用量のオルメサルタンとを併用すると、培
養血管平滑筋細胞におけるDNA合成が有意に抑制された(第8図)。
【0053】
例2:降圧作用
56匹の20週齢雄性SHR[Spontaneously hypertensiv
e rat、SPFグレード、生産元:株式会社星野試験動物飼育所:高血圧自然発症ラ
ット]に、血圧測定用テレメトリー送信機(TA11PA−C40、DATA SCIE
NCES.Inc.)の埋め込み手術を実施した。手術からの回復を待ち、24週齢から
血圧のモニターを開始し、いずれの動物にも、0.5%カルボキシメチルセルロースNa
(CMC−Na)水溶液(2ml/kg)を7日間連日(1日1回)経口ゾンデで経口投
与した。0.5%CMC−Na水溶液投与から5日及び6日目の測定値を基準に血圧が均
一になるように7群(各群8匹)に動物を分け(群構成を表1に示す)、25週齢から、
0.5%CMC−Na水溶液(2ml/kg:コントロール群)もしくは被験物質を0.
5%CMC−Na水溶液に縣濁した液(2ml/kg)を、14日間連日(1日1回)経
口投与し、血圧の推移を観察した。群6及び群7の血圧の変化を表2に示す(表中の数値
は平均値±標準偏差を示す)。オルメサルタン・メドキソミルとアゼルニジピンの併用群
で、優れた降圧作用が確認された。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
例3:降圧作用
12週齢の雄性アポリポプロテインE(ApoE)ノックアウトマウスを、コントロール群(0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液投与)、オルメサルタンメドキソミル(3mg/kg)投与群、アゼルニジピン(3mg/kg)投与群、オルメサルタンメドキソミル(3mg/kg)/アゼルニジピン(3mg/kg)併用群の4群(各群15例)にわけ、24週間薬物を経口投与した。またいずれの群にも、薬物投与開始時(12週齢)から高脂肪食(0.15%コレステロール、15%無塩バター含有)を与えた。薬物投与23週めの投薬21−24時間後に、ラット・マウス用無加温型非観血式血圧計(MODEL MK−2000、室町機械株式会社)を用いて収縮期血圧を測定した。結果を表3に示す(表中の数値は平均値±標準誤差を示す)。
【0057】
【表3】

【0058】
上記結果のように、オルメサルタンメドキソミル/アゼルニジピン併用群では、単独投
与群ではみられないような顕著な降圧作用(p=0.0063;ダネットの多重比較検定
)が認められ、単独投与群に比べその効果は相乗的であった(p=0.0065;2元配
置分散分析)。
【0059】
製剤例1
錠剤(合剤)
オルメサルタン・メドキソミル 10.0mg
アゼルニジピン 10.0mg
乳糖 278.0mg
トウモロコシデンプン 50.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
上記処方の粉末を混合し、打錠機により打錠して、1錠350mgの錠剤とする。この
錠剤は必要に応じて、糖衣を施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の医薬は、動脈硬化及び高血圧症の予防及び/又は治療のための医薬として有用
である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高血圧症又は高血圧症に由来する疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、下記の成分:
(A)下記の式(I):
【化1】

で表される化合物及び薬理学的に許容されるそのエステル、並びに薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれる物質であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤;及び(B)1,4-ジヒドロピリジン系化合物及び薬理学的に許容されるその塩からなる群から選ばれる物質であるカルシウム拮抗剤(但し、アゼルニジピンを除く)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項2】
高血圧症の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項3】
高血圧症に由来する心臓疾患の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項4】
高血圧症に由来する狭心症の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項5】
高血圧症に由来する心筋梗塞の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項6】
高血圧症に由来する不整脈の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項7】
高血圧症に由来する突然死の予防の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項8】
高血圧症に由来する心不全の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項9】
高血圧症に由来する心肥大の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項10】
高血圧症に由来する腎臓疾患の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項11】
高血圧症に由来する糖尿病性腎症の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項12】
高血圧症に由来する糸球体腎炎の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項13】
高血圧症に由来する腎硬化症の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項14】
高血圧症に由来する脳血管性疾患の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項15】
高血圧症に由来する脳梗塞の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項16】
高血圧症に由来する脳出血の予防及び/又は治療の為の医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項17】
動脈硬化及び高血圧症の予防及び/又は治療のための医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項18】
血管平滑筋細胞の増殖抑制並びに高血圧症の予防及び/又は治療のための医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項19】
血管新生内膜形成の抑制並びに高血圧症の予防及び/又は治療のための医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項20】
血管リモデリングの抑制並びに高血圧症の予防及び/又は治療のための医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項21】
冠動脈インターベンション後の再狭窄の予防並びに高血圧症の予防及び/又は治療のための医薬であって、請求項1に記載の成分(A)及び成分(B)を有効成分として含む医薬。
【請求項22】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル 4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−プロピル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]イミダゾール−5−カルボキシレートである、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項23】
カルシウム拮抗剤が、アムロジピン、ベニジピン、ニトレンジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、シルニジピン、レルカニジピン、ニグルジピン、ニモジピン、アラニジピン、エホニジピン、バルニジピン、フェロジピン、及びニルバジピンからなる群から選択されるカルシウム拮抗剤である、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項24】
カルシウム拮抗剤がアムロジピンである、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項25】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル 4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−プロピル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]イミダゾール−5−カルボキシレートであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピンである、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項26】
成分(A)及び成分(B)の両者を有効成分として含む医薬組成物の形態の請求項1乃至25のいずれか1項に記載の医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項27】
物理的に1個の単位投与形態である、請求項26に記載の医薬(但し、徐放性医薬を除く)。
【請求項28】
成分(A)及び成分(B)を、同時に、又は成分(A)及び成分(B)を時間を変えて投与する為の請求項1乃至25のいずれか1項に記載の医薬(但し、徐放性医薬を除く)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−189426(P2010−189426A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100986(P2010−100986)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【分割の表示】特願2006−164437(P2006−164437)の分割
【原出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】