説明

勾配ベース補正

バイオセンサシステムは、被分析物の光識別可能な種またはレドックス反応から生成された出力信号から、被分析物濃度を判定する。バイオセンサシステムは、出力信号から抽出された1つ以上の指数関数で、出力信号から被分析物濃度を判定するために、相関関係を調整する。指数関数は、1つ以上のエラーパラメータからの、少なくとも1つの勾配偏差値ΔSまたは正規化勾配偏差を決定する。被分析物濃度と出力信号との間の勾配調整された相関関係は、バイアスに起因する成分を含む出力信号から、改善された確度および/または精度を有する被分析物濃度を判定するために使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、参照によって本明細書に全体が組みこまれる、2007年12月10日出願の“Slope−Based Compensation”と題する米国仮出願番号61/012,716の恩典を主張する。
【0002】
背景技術
バイオセンサシステムは、全血、血清、血漿、尿、唾液、間質液、または細胞内液などの、生体液の分析を提供する。通常、該システムは、センサストリップ内に存在する試料を分析する測定装置を含む。試料は通常、液体状態であり、そして生体液であるのに加えて、抽出液、希釈液、濾液、または再構成沈殿物などの、生体液の派生物であってもよい。バイオセンサシステムが実行する分析は、生体液中の、アルコール、グルコース、尿酸、乳酸、コレステロール、ビリルビン、遊離脂肪酸、トリグリセリド、タンパク質、ケトン、フェニルアラニン、または酵素など、1つ以上の被分析物の存在および/または濃度を判定する。分析は、生理学的異常の診断および治療に役立つかも知れない。例えば、糖尿病患者は、食餌療法および/または投薬の調整のために全血中のグルコースレベルを判定するために、バイオセンサシステムを使用してもよい。
【0003】
バイオセンサシステムは、1つ以上の被分析物を分析するように設計されていてもよく、異なる量の生体液を使用してもよい。いくつかのシステムは、0.25〜15μリットル(μL)などの量の、一滴の全血を分析する。バイオセンサシステムは、ベンチトップ型、携帯型などの測定装置を使用して実行されてもよい。携帯型測定装置は、手持ち式であってもよく、試料中の1つ以上の被分析物の識別および/または定量化を可能にする。携帯型測定システムの例は、ニューヨーク州タリタウンにあるバイエルヘルスケア社のAscensia(登録商標)、Breeze(登録商標)およびElite(登録商標)を含み、一方ベンチトップ型測定システムは、テキサス州オースティンにあるCH Instruments社から入手可能な電気化学ワークステーションを含む。
【0004】
バイオセンサシステムは、光学的および/または電気化学的方法を用いて生体液を分析してもよい。いくつかの光学システムでは、被分析物あるいは被分析物と反応する化学指示薬から形成される反応または生成物などの、光識別可能な種と相互作用したかまたは光識別可能な種によって吸収された光を測定することによって、被分析物濃度が判定される。その他の光学システムでは、励起ビームで照射されたときに、被分析物に応じて、化学指示薬が蛍光または光を発する。光は、電流または電位などの電気出力信号に変換され、電気化学的方法からの出力信号と同様に処理されてもよい。いずれの光学システムでも、システムは試料の被分析物濃度を測定し、これを光と相互に関連付ける。
【0005】
光吸収光学システムでは、化学指示薬は、光を吸収する反応生成物を生成する。ジアホラーゼなどの酵素と共に、テトラゾリウムなどの化学指示薬が使用されてもよい。テトラゾリウムは通常、被分析物のレドックス反応に応じてホルマザン(クロマゲン)を形成する。光源からの入射入力ビームは、試料に向けられる。光源は、レーザ、発光ダイオードなどであってもよい。入射ビームは、反応生成物による吸収のために選択された波長を有していてもよい。入射ビームが試料を通過すると、反応生成物が入射ビームの一部を吸収し、従って入射ビームの強度を減衰または減少させる。入射ビームは、試料から検出器へ反射または透過されてもよい。検出器は、減衰した入射ビーム(出力信号)を集めて測定する。反応生成物によって減衰された光量は、試料中の被分析物濃度を示すものである。
【0006】
発光光学システムでは、被分析物レドックス反応に応じて、化学物質検出器が蛍光または光を発する。検出器は、発生した光(出力信号)を集めて測定する。化学指示薬によって発生させられた光量は、試料中の被分析物濃度を示すものである。
【0007】
電気化学バイオセンサシステムでは、試料の酸化/還元すなわちレドックス反応によって生成された電気信号、あるいは試料に入力信号が印加された時に被分析物に反応する種から、被分析物濃度が判定される。入力信号は、電位または電流であってもよく、一定、可変、またはAC信号がDC信号オフセットと共に印加される場合のように、その組み合わせであってもよい。入力信号は、単一パルス、多重パルス、連続パルス、または周期パルスとして印加されてもよい。レドックス反応の間に第一の種から第二の種への電子移動を促進するために、酵素または類似の種が試料に加えられてもよい。酵素または類似の種は、1つの被分析物と反応してもよく、従って生成された出力信号の一部に特異性を与える。酵素の酸化状態を維持するために、メディエータを使用してもよい。
【0008】
電気化学バイオセンサシステムは通常、センサストリップ内の導電体に接続する電気接点を有する測定装置を含む。導電体は、固体金属、金属ペースト、導電性カーボン、導電性カーボンペースト、導電性ポリマーなどの、導電性物質から作られていてもよい。導電体は通常、作用、対、基準、および/または試料リザーバ内に延在するその他の電極に接続する。電極によって提供されない機能を提供するために、1つ以上の導電体も試料リザーバ内に延在してもよい。
【0009】
測定装置は、電気接点を通じてセンサストリップの導電体に入力信号を印加する。導電体は、電極を通じて試料リザーバの中にある試料内に入力信号を伝達する。被分析物のレドックス反応は、入力信号に応じて電気出力信号を生成する。ストリップからの電気出力信号は、電流(アンペロメトリまたはボルタンメトリによって生成)、電位(電位差測定/ガルバノメトリによって生成)、または蓄積電荷(クーロメトリによって生成)であってもよい。測定装置は、出力信号を測定し、そして生体液中の1つ以上の被分析物の存在および/または濃度と相互に関連づける処理能力を有してもよい。
【0010】
クーロメトリでは、被分析物を完全に酸化または還元するために、試料に電位が印加される。クーロメトリを利用するバイオセンサシステムは、米国特許第6,120,676号に記載されている。アンペロメトリでは、測定される出力信号は電流であるが、定電位(電圧)の電気信号がセンサストリップの導電体に印加される。アンペロメトリを利用するバイオセンサシステムは、米国特許第5,620,579号;第5,653,863号;第6,153,069号;および第6,413,411号に記載されている。ボルタンメトリでは、可変電位が生体液の試料に印加される。ゲートアンペロメトリおよびゲートボルタンメトリでは、それぞれ国際公開公報第2007/013915号および国際公開公報第2007/040913号に記載されているように、パルス入力が使用される。
【0011】
多くのバイオセンサシステムでは、センサストリップは、生体の外部、内部、または部分的に内部での使用に適合していてもよい。生体外で使用する場合、生体液の試料が、センサストリップの試料リザーバの中に導入されてもよい。センサストリップは、分析用試料の導入の前、後、または最中に、測定装置に配置されてもよい。生体の内部または部分的に内部の場合、センサストリップが継続的に試料に浸されるか、または試料が断続的にストリップに導入されてもよい。センサストリップは、試料の量を部分的に隔離するリザーバを含んでもよく、あるいは試料に対して開放されていてもよい。開放の場合、ストリップは、生体液と接触して配置される繊維またはその他の構造の形態を取ってもよい。同様に、試料は分析のため、継続的監視などのためにストリップを通じて継続的に流れてもよく、あるいは断続的監視などのために中断されてもよい。
【0012】
バイオセンサシステムの測定性能は、確度および/または精度に関して定義される。確度および/または精度の向上は、測定性能、バイアスの低下、およびシステムにおける改善を提供する。確度は、基準被分析物測定値と比較したセンサシステムの被分析物測定値のバイアスとして表され、バイアス値が大きいと、確度が低いことを示す。精度は、中間値に対する複数の被分析物測定値の間のバイアスの分布または分散として表される。バイアスは、バイオセンサシステムから判定された1つ以上の値と、生体液中の被分析物濃度のための1つ以上の許容基準値との差である。このように、測定された分析における1つ以上のエラーが、結果的にバイオセンサシステムの判定された被分析物濃度のバイアスとなる。バイアスは、「絶対バイアス」または「パーセントバイアス」として表されてもよい。絶対バイアスは、mg/dLなどの測定単位で表されてもよく、一方パーセントバイアスは、基準値を上回る絶対バイアス値のパーセンテージとして表されてもよい。許容基準値は、オハイオ州イエロースプリングスのYSI社から入手可能なYSI 2300 STAT PLUS(商標)などの基準装置から取得してもよい。
【0013】
バイオセンサシステムは、1つまたは複数のエラーを含む生体液の分析中に出力信号を提供してもよい。これらのエラーは、1カ所または複数箇所または出力信号全体が試料の被分析物濃度に反応しないかまたは不適切に反応する場合など、異常出力信号に反映されてもよい。これらのエラーは、試料の物理的特性、試料の環境的側面、システムの動作条件、妨害物質など、1つ以上の要因に起因するかも知れない。試料の物理的特性は、ヘマトクリット(赤血球)濃度などを含む。試料の環境的側面は、温度などを含む。システムの動作条件は、サンプルサイズが十分に大きくない場合の条件不足、試料の供給遅延、試料とセンサストリップ内の1つ以上の電極との間の間欠電気接触、被分析物と相互作用する試薬の劣化、などを含む。エラーを起す要因またはその組み合わせは、他にもあるかも知れない。
【0014】
多くのバイオセンサシステムは、分析に関連するエラーを修正するための1つ以上の方法を含む。エラーを含む分析から得られた濃度値は、正確ではない可能性がある。従って、これらの不正確な分析を修正する能力は、得られた濃度値の確度を向上する可能性がある。エラー修正システムは、基準温度または基準ヘマトクリット含有量とは異なる、試料温度または試料ヘマトクリット含有量などの、1つ以上のエラーを補正するかも知れない。例えば、従来のバイオセンサシステムは、試料の実際のヘマトクリット含有量に関わりなく、全血に対するヘマトクリット含有量を40%(v/v)と仮定して、グルコース濃度を報告するように構成されているかも知れない。これらのシステムでは、40%より多いかまたは少ないヘマトクリットを含有する血液試料で行われたいかなるグルコース測定もエラーを含むことになり、従ってヘマトクリット効果に起因するバイアスを有することになる。
【0015】
いくつかのバイオセンサシステムは、試料中の異なるヘマトクリット濃度を補正する、エラー修正システムを有する。グルコース測定におけるヘマトクリット効果のバイアスを減らすために、様々な方法および手法が提案されてきた。いくつかの方法は、ヘマトクリット効果を補正するために、正または逆電位パルスからの電流比率を利用する。電極面から赤血球を濾過するためにシリカ粒子を使用すること、またはセンサストリップ全体に血液を行き渡らせるためにメッシュ層と組み合わせて広い電極間隔を使用することなど、ヘマトクリット効果のバイアスを減らすための他の方法も提案されてきた。
【0016】
いくつかのバイオセンサシステムは、温度を補正するエラー修正システムを有する。そのようなエラー修正システムは、一般的に器機または試料温度に応じて、具体的な基準温度で定められた被分析物濃度を変更する。多くのバイオセンサシステムは、相関式から被分析物濃度を計算する前に出力信号を修正することによって、温度を補正する。その他のバイオセンサシステムは、相関式によって計算された被分析物濃度を修正することによって、温度を補正する。一般的に、従来の温度補正方法は、エラーが分析のバイアスに与える全体的な効果ではなく、特定のパラメータに対する温度効果を対象としている。試料温度のためのエラー検出および/または補正システムを有するバイオセンサシステムは、米国特許第4,431,004号;第4,750,496号;第5,366,609号;第5,395,504号;第5,508,171号;第6,391,645号;および第6,576,117号に記載されている。
【0017】
いくつかのバイオセンサシステムは、干渉物質およびその他の要因を補正するエラー修正システムを有している。このようなエラー修正システムは一般的に、作用電極信号からバックグラウンド干渉物質信号を減じることができるようにするため、1つ以上の作用電極試薬が欠落している電極を使用する。
【0018】
従来のエラー補正システムは様々な長所と欠点のバランスを取っているが、理想的なものはない。従来のシステムは通常、温度またはヘマトクリットのいずれか特定のタイプのエラーを検出し、そのエラーに反応するように方向付けられている。このようなシステムは一般的に、複数のエラー源を補正する能力を持たない。これらのシステムは大抵、特定の試料からの出力信号に基づいてエラーの補正を変更する能力も欠落している。その結果、従来のバイオセンサシステムは、所望の性能限界を超えた被分析物濃度を判定した分析結果を提供するかも知れない。
【0019】
従って、改良型バイオセンサシステム、特に試料中の被分析物の濃度のさらに正確および/または精密な判定結果を提供するバイオセンサシステムの需要が、今なお存在する。本発明のシステム、装置、および方法は、従来のバイオセンサシステムに関連する欠点の少なくとも1つを克服する。
【0020】
発明の概要
本発明は、判定された被分析物濃度にバイアスをかける可能性のある1つ以上のエラーに反応する1つ以上の指数関数を有する出力信号から生体試料の被分析物濃度を判定するために関係を調整する、バイオセンサシステムを提供する。バイアスは、勾配偏差ΔS値、および1つ以上のエラーパラメータから得られた正規化勾配偏差によって表されてもよい。ΔS値は、エラーパラメータから1つ以上の指数関数を用いて決められた勾配偏差を表す。指数関数は、出力信号から抽出される。
【0021】
試料中の被分析物濃度を判定する方法であって、試料の被分析物の濃度に応じて出力信号値が生成される。少なくとも1つのエラーパラメータから少なくとも1つのΔS値が決定され、少なくとも1つの出力信号値は、試料中の被分析物濃度を判定するために、少なくとも1つの基準相関および少なくとも1つのΔS値で補正される。少なくとも1つのΔS値は、指数関数f(Index)から決定されてもよい。f(Index)は、少なくとも1つのエラーパラメータをΔS値に関連づける。この反応は、電気化学的なレドックス反応であってもよい。
【0022】
エラーパラメータから指数関数を決定する方法であって、試料中の判定された被分析物濃度でのパーセントバイアスに反応する少なくとも1つのエラーパラメータが決定される。少なくとも1つのエラーパラメータは、少なくとも1つの指数関数によって少なくとも1つのΔS値に関連づけられており、少なくとも1つのΔS値は、基準相関からの勾配と、バイアスのない試料中の被分析物濃度を提供するであろう出力信号値のための直線の仮想勾配との、勾配の差を表す。
【0023】
試料中の被分析物濃度を判定するためのバイオセンサシステムは、測定装置およびセンサストリップを含む。測定装置は、センサインターフェースおよび記憶媒体に接続されたプロセッサを有する。センサストリップは、ストリップによって形成されたリザーバに隣接する試料インターフェースを有する。プロセッサは、センサインターフェースからの試料中の被分析物の濃度に応じて出力信号値を決定する。プロセッサは、エラーパラメータから少なくとも1つのΔS値を決定し、そして少なくとも1つのΔS値および記憶媒体の中に存在する少なくとも1つの基準相関で、出力信号値を補正する。
【0024】
バイオセンサシステムは、エラーパラメータに応じて、少なくとも1つのΔS値で、被分析物濃度と出力信号との間の相関関係を調整する。プロセッサは、試料インターフェースからの出力信号に応じて、勾配調整された相関関係から、被分析物濃度を判定する。
【0025】
試料中の被分析物濃度を判定する別の方法では、試料から1つ以上の出力信号が生成される。1つ以上の指数関数が決定される。指数関数が少なくとも1つのエラーパラメータに反応するところである。試料中の被分析物濃度は、指数関数に応じて出力信号から判定される。
【0026】
試料中の被分析物濃度を判定するさらなる方法では、1つ以上の電位シーケンスが試料に印加される。1つ以上の出力信号が、試料から記録される。1つ以上の指数関数が決定される。試料中の被分析物濃度は、1つの指数関数に応じて出力信号から判定される。
【0027】
本発明のその他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を調べることにより、当業者には明白となるであろう。このような付加的なシステム、方法、特徴、および利点が本明細書に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の請求項によって保護されることを、目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、以下の図面および説明を参照することで、より良く理解されるであろう。図に示す構成要素は、必ずしも寸法通りではなく、むしろ発明の原理を図解するために強調されている。
【図1】%バイアスと比率パラメータに基づく指数関数との間の相関関係を示す。
【図2】%バイアスと指数関数の結合との間の相関関係を示す。
【図3】試料中の被分析物濃度を決定する方法を示す。
【図4】ゲートアンペロメトリを使用する電気化学システムのための入力信号に関連する出力信号を示すグラフである。
【図5】Scal、Shyp、ΔS、Acorr、Acal、およびΔAの間の関係を示す。
【図6】ΔSをエラーパラメータに関連づける一次指数関数f(Index)を示す。
【図7A】ΔS値に対する複数の温度で記録された出力信号値を示す。
【図7B】勾配ベース補正からのパーセントバイアスの改善を示す。
【図7C】f(Index)Tempが温度をΔSに関連づける際の一次および二次多項式を示す。
【図7D】別のセンサタイプでの温度に対するΔSの温度感受性を示す。
【図8A】入力信号が複数の励起および緩和を含む場合のゲート・パルス・シーケンスを示す。
【図8B】入力信号からの出力信号電流を示す。
【図8C】入力信号がゲートアンペロメトリを使用する複数の励起および緩和を含む場合の、別のゲート・パルス・シーケンスを示す。
【図8D】図8Cの電流標識に関する共通指数R6/5に対するΔStotalとΔS−40%との間の相関関係を示す。
【図8E】補正の前と後のバイアス/%バイアスを示す。
【図9A】バイオセンサシステムのための、ΔSと、R2/R3、R4/3、指数I、および指数IIのエラーパラメータとの間の、相関関係をそれぞれ示す。
【図9B】バイオセンサシステムのための、ΔSと、R2/R3、R4/3、指数I、および指数IIのエラーパラメータとの間の、相関関係をそれぞれ示す。
【図9C】バイオセンサシステムのための、ΔSと、R2/R3、R4/3、指数I、および指数IIのエラーパラメータとの間の、相関関係をそれぞれ示す。
【図9D】バイオセンサシステムのための、ΔSと、R2/R3、R4/3、指数I、および指数IIのエラーパラメータとの間の、相関関係をそれぞれ示す。
【図10A】試料中の被分析物に反応する異なる試薬を使用するバイオセンサシステムのための、ΔSと、R4/3、R5/4、およびR6/5のエラーパラメータとの間の、相関関係をそれぞれ示す。
【図10B】試料中の被分析物に反応する異なる試薬を使用するバイオセンサシステムのための、ΔSと、R4/3、R5/4、およびR6/5のエラーパラメータとの間の、相関関係をそれぞれ示す。
【図10C】試料中の被分析物に反応する異なる試薬を使用するバイオセンサシステムのための、ΔSと、R4/3、R5/4、およびR6/5のエラーパラメータとの間の、相関関係をそれぞれ示す。
【図11A】ΔSとエラーパラメータR4/3との間の相関関係を示す。
【図11B】+10%のバイアス制限範囲内に収まる補正済みおよび未補正の濃度値の分布およびパーセントを示す。
【図11C】未補正およびR4/3エラーパラメータ補正済みのグルコース濃度値の中間値および標準偏差値の改善を示す。
【図12A】ΔSとエラーパラメータ指数Iとの間の相関関係を示す。
【図12B】ΔSとエラーパラメータR4との間の相関関係を示す。
【図13A】ΔSと比率R5/4に対応する指数関数との相関関係を示す。
【図13B】ΔS/Scalと比率R5/4に対応する指数関数との相関関係を示す。
【図14】SNMLと比率R5/4に対応する指数関数との相関関係を示す。
【図15】生体液の試料中の被分析物濃度を判定するバイオセンサシステムの模式図を示す。
【図16】生体液の試料中の被分析物濃度を判定する別の方法を示す。
【0029】
詳細な説明
バイオセンサシステムは、出力信号の中間信号から抽出された指数関数で、出力信号から試料中の被分析物濃度を判定するために、相関関係を調整する。被分析物は、光識別可能な種またはレドックス反応に応じて出力信号を生成してもよい。中間信号は、出力信号などの1つ以上の箇所であってもよい。指数関数は、判定された被分析物濃度のバイアスの原因となり得る分析中の1つ以上のエラーのため、出力信号から被分析物濃度を判定するための相関関係を補正する。
【0030】
指数関数は、分析における1つ以上のエラーによる、被分析物濃度と出力信号との間の相関関係における%バイアスに対応する。相関関係における%バイアスは、1つ以上のエラーパラメータから得られた1つ以上のΔS値によって表される。ΔS値は、1つ以上のエラーパラメータから判定された被分析物濃度と出力信号との間の相関関係の勾配偏差を表す。勾配または勾配の変化に対応する指数関数は、出力信号における変化の統計的な効果を減少し、出力信号の変化の差を改善し、出力信号、その組み合わせ、などの測定値を標準化するために、正規化されてもよい。その他の指数関数が使用されてもよい。調整された相関関係は、出力信号から生体試料中の被分析物濃度を判定するために使用されてもよく、従来のバイオセンサと比較して、確度および/または精度が向上していてもよい。補正システムは、複合生体試料を分析する際には実質的な利益を提供するが、補正システムは他のタイプの分析の確度および/または精度を向上するために使用されてもよい。
【0031】
図1および図2は、被分析物濃度分析の出力信号から抽出された、%バイアスと指数または指数関数との間の相関関係を示す。この例では、被分析物は、ゲートアンペロメトリ電気化学分析のパルスシーケンスに応じて出力信号を生成する。その他の電気化学および光学分析が使用されてもよい。
【0032】
図1は、%バイアスと、比率パラメータ(R5/4)に基づく指数関数との間の相関関係を示す。比率パラメータR5/4は、図8Cのゲート・アンペロメトリ・パルス・シーケンスの第四および第五のパルスに反応して被分析物によって生成される電流の間の関係を示す。その他の比率パラメータおよび指数関数が使用されてもよい。このように、全血中のグルコースなど、生体液中の測定された被分析物濃度の%バイアスは、例えばゲート・アンペロメトリ・シーケンスに反応して被分析物によって生成される中間電流など、分析の出力信号から決定されるか、または出力信号と相互関連していてもよい。
【0033】
図2は、%バイアスと、指数関数の結合との間の相関関係を示す。図1に示す%バイアスと指数関数との間の相関関係は、図2に示す複数のパラメータの一次結合によって改善されるかも知れない。図2の回帰分析は0.8377のRを有するが、これは図1における0.6987のRよりも高く、従って単一のパラメータ(図1)と比較して、複数のパラメータ(図2)を使用すると相関関係が改善されることを示している。図2では、%バイアス軸に±7パーセントおよび±10パーセントの2つの境界線があり、これらは指数軸に投影されている。中間電流から計算された指数値がこれらの境界内にあれば、測定された被分析物濃度と出力信号との間の相関関係の補正は必要ないかも知れない。境界線は、実験的に決められてもよく、使用される1つ以上のパラメータに基づいて選択されてもよく、あるいはその他の基準を用いて選ばれてもよい。このように、指数関数は、測定された被分析物濃度と出力信号との間の相関関係の一部または全部を補正するために使用される。
【0034】
%バイアスと指数関数との間の相関関係は、以下のように表すことができる。
【数1】


ここで、%バイアスは(ΔA/Aref)*100%に等しく、f(index)はa*Index+aに等しい。ΔAは、測定または計算された被分析物濃度Acalと、基準被分析物濃度Aref(生体試料中の既知の被分析物濃度)との差である。従って、式1の項を代入すると、%バイアスと指数関数との間の相関関係は以下のような結果になる。
【数2】

【0035】
式2の項を並べ替えると、以下のような関係になる。
【0036】
【数3】

【0037】
補正は以下のように表すことができる。
【0038】
【数4】

【0039】
ここで、Acorrは修正または補正された被分析物補正であって、Aは分析からの被分析物初期値である。ΔAは式3から得られるが、式3のArefは、生体試料の分析中には得られないかも知れない。しかし、当初の被分析物値Aは、Arefの代わりに分析で使用されるかも知れない。従って、式3は、以下の関係によって近似値を求めることができる。
【0040】
【数5】

【0041】
最後に、式5を式4に代入した結果、以下の関係となる。
【0042】
【数6】

【0043】
式6より、測定された被分析物濃度と基準被分析物濃度との差ΔAは、当初の被分析物値Aに基づいており、これは分析中の1つ以上のエラーによってバイアスがかかっている可能性がある。このように、測定された被分析物濃度の基準となる基準点または値はない。
【0044】
出力信号との被分析物濃度の相関関係における%バイアスは、1つ以上のエラーパラメータから得られる、1つ以上の勾配偏差ΔSによって表されてもよい。出力信号の部分を含有するエラーは、出力信号の仮想勾配と基準相関の勾配との間のずれに反映される。1つ以上のエラーパラメータから勾配におけるこのずれを反映する1つ以上のΔS値を決定することによって、分析の確度および/または精度が向上するかも知れない。分析のための1つ以上のΔS値は、1つ以上のエラーパラメータから決定されてもよい。ΔS値と1つ以上のエラーパラメータの値との間の関係は、指数関数によって記述されてもよい。基準相関式に加えて指数関数も、事前に決められてバイオセンサシステムに記憶されていてもよい。エラーパラメータ値は、分析の前、最中、または後に決定されてもよい。勾配ベース修正方法は、分析の95%より多くを±20%のバイアス制限範囲内、より好ましくは±10%のバイアス制限範囲内に維持する能力を、バイオセンサシステムに提供する。
【0045】
図3は、生体液の試料中の被分析物濃度を判定する方法を示す。302において、バイオセンサシステムは、生体液の試料中の被分析物の、光識別可能な種または酸化/還元(レドックス)反応に応えて、出力信号を生成する。304において、バイオセンサシステムは出力信号を測定する。306において、分析での1つ以上のエラーに対応する1つ以上のΔS値が決定される。308において、少なくとも1つのΔS値および出力信号を含む勾配補正式から、被分析物濃度が判定される。310において、被分析物濃度が表示され、将来の参照のために保存され、および/またはさらなる計算のために使用されてもよい。
【0046】
図3の302において、バイオセンサシステムは、生体液の試料中の被分析物の光識別可能な種または酸化/還元(レドックス)反応に応えて、出力信号を生成する。出力信号は、光センサシステム、電気化学センサシステムなどを使用して生成されてもよい。
【0047】
図4は、ゲート式電流滴定を利用する電気化学システムについての入力信号に関連する出力信号を図示しているグラフである。このバイオセンサシステムは、約400mVの電位がある第一パルスを作用電極および対向電極へ約1秒間、印加する。この第一パルスは次いで、基本的に開回路などであってもよい0.5秒の緩和を受ける。この第一パルスの内部における出力信号あるいは電流は、測定して、記憶装置の中に記憶することができる。このシステムは、第二パルスを作用電極および対向電極へ約200mVで約1秒間、印加することができる。この第二パルスの内部における出力信号あるいは電流は、測定して、これまた記憶装置の中に記憶することができる。このバイオセンサシステムは、入力信号からのパルスを作用電極および対向電極へ所望の時間帯について印加し続ける。このシステムは、それぞれのパルスの内部における出力信号あるいは電流を測定するとともに記憶することができる。他の入力信号、出力信号および他の電気化学システムを使用することができる。
【0048】
入力信号は、ある設定シーケンスでパルスあるいはターンを開始させかつ終了させる、電流あるいは電圧のような電気信号であってよい。従って、入力信号は、緩和によって分離された一連の励起パルスである。パルスの間、電気信号は存在している。ゲート式電流滴定では、その電圧はパルスの間に比較的一定に保持され、一方、ゲート式ボルタンメトリでは、その電圧はパルスの間に変化する。緩和の間、その入力信号はオフである。オフには、ある電気信号が存在しないときの時間帯が含まれるが、ある電気信号が存在するものの基本的に振幅を有しないときの時間帯は含まれない。この電気信号は、ある電気回路を閉鎖したり開放したりすることで、オンとオフとの間でそれぞれ切り換えることができる。この電気回路は、機械的手段で、電気的手段で、あるいはその他の手段で、開放しかつ閉鎖することができる。
【0049】
入力信号には1つ以上のパルス間隔がある。パルス間隔は、パルスと緩和との総計である。それぞれのパルスには振幅と幅とがある。振幅は、電気信号の電圧、電流などの強度を表すものである。振幅は、電流滴定の間、パルスの間などにおいて変化してもよく、あるいは実質的に一定であってもよい。パルス幅はパルスの持続時間である。ある入力信号の中のパルス幅は、変化してもよく、あるいは基本的に同一であってもよい。それぞれの緩和には、緩和の持続時間である緩和幅がある。ある入力信号の中の緩和幅は、変化してもよく、あるいは実質的に同一であってもよい。
【0050】
出力信号は、入力信号に対応する、試料から発生した電流あるいは電圧である。電流滴定式電気化学システムでは、試料は、入力信号に応じて被分析物のレドックス反応から出力信号を発生することができる。これらの出力信号には、初めに減少するもの、増大し次いで減少するもの、定常状態に達するもの、および一過性のものが含まれていることがある。例えば、図4における第一パルスの出力信号は、第一電流値から最終電流値まで増大するのに対して、第二〜第五パルスにおける電流値は、第一電流値から最終電流値まで減少するかあるいは減衰する。他の型の出力信号が発生することがある。
【0051】
図3の304では、このバイオセンサシステムは、試料へ加えられた入力信号に応じて、被分析物のレドックス反応からのような、被分析物によって発生した出力信号を測定する。このシステムは、出力信号を連続的にあるいは断続的に測定することができる。例えば、このバイオセンサシステムは、図4におけるそれぞれのパルスの間に出力信号を断続的に測定して、それぞれのパルスの間に8個の電流値を得た。このシステムは、出力信号をディスプレイに示すことができ、かつ/または、出力信号をあるいは出力信号の一部を記憶装置に記憶することができる。
【0052】
図3の306では、1つ以上の誤差に対応する1つ以上のΔS値が決定される。これらのΔS値は、温度、ヘマトクリット、および他の諸要因について決定することができる。
【0053】
図3の308では、試料の被分析物濃度は、少なくとも1つのΔS値と出力信号とを含む勾配補正式から決定される。この勾配補正式は、出力信号値を用いて被分析物濃度を提供する。この勾配補正式は、出力信号と被分析物濃度との間の基準相関関係を調整して、補正されあるいは修正された被分析物濃度を提供することによって、誤差について補正する。この勾配補正式は、次のように表現することができる。
【0054】
【数7】

【0055】
ここで、Acorrは修正された被分析物濃度であり、iはバイオセンサシステムからの出力信号の値であり、Intは基準相関式からの切片であり、Scalは基準相関式からの勾配であり、また、ΔSは、Scalと、試料の被分析物濃度を誤差なしで提供する出力信号値についての線の仮想勾配(Shyp)との間の勾配における偏差を表している。基準相関式についてのInt値およびScal値は、このバイオセンサシステムにおけるプログラム番号割当(PNA)表、別の参照表、その他として実行することができる。少なくとも1つのΔS値および出力信号が含まれる他の勾配補正式を用いることもできる。
【0056】
式7において、指数関数f(index)を、ΔSについて代入することができる。この指数関数f(index)がbIndex+bの一般形を有するときには、他の指数関数を用いることができる。従って、式7は次のように書き換えることができる。
【0057】
【数8】

【0058】
式8と式5および式6とを比較すると、その%−biasを表して、勾配偏差を用いることからの改善が示されている。式5および式6における被分析物濃度の補正は、所定の被分析物濃度Aに基づいている。これに対して、式8における被分析物濃度の補正は、その分母における項を通してその相関勾配を調整することに応じるものである。加えて、式5および式6からその被分析物濃度の補正で組み入れられた参照値あるいは参照点はない。ArefはAによって近似される。式8において、勾配Scalは、被分析物濃度の補正で組み入れられており、また、この補正システムを実施する装置の中に記憶することができる。被分析物濃度の算出の間におけるScalの近似はない。従って、式8からの被分析物濃度の補正は、式5および式6からの被分析物濃度の補正よりも正確であろう。
【0059】
式7は、勾配偏差ΔSを用いて決定された修正済み被分析物濃度の表示であり、ここで、ΔSは、この被分析物分析に関連した全誤差に基本的に関連した基本的に全勾配偏差である。この全勾配偏差は1つ以上の誤差発生源によって引き起こされることがある。式7は、実質的に線形の応答を有している任意の信号で用いることができる。従って、その出力信号は、試料の中の被分析物濃度との間に線形関係を有しているのが好ましく、また、レドックス反応、光確認可能種、あるいは他の過程から生じることができる。基準相関式には、バイオセンサシステムから、基準計器によって決定された被分析物濃度値までの出力信号に関連する関数が説明されている。例えば、特定の試料についてのバイオセンサシステムからの出力信号は、同一の試料についてのYSI基準計器によって決定された被分析物濃度値に関連していることがある。式7は、線形に近いかあるいは部分的に線形である信号のような他の信号に用いることができる。
【0060】
ΔSは、出力信号iにおける1つ以上の誤差に応答するものであり、また、試料の被分析物濃度に応答しない出力信号の部分を含む誤差を表している。従って、Shyp=Scal+ΔS。IntおよびScalについての1つ以上の値は、出力信号iと比較してその試料についてのAcorrを決定するために、バイオセンサシステムの中へ記憶することができる。1つ以上のΔS値は、1つ以上の指数あるいは類似関数からの分析の間に決定される。
【0061】
図5は、Scal、Shyp、ΔS、Acorr、Acal、およびΔAの間の関係を示している。線Aは、勾配Scalを有するとともにバイオセンサシステムから試料についてのYSI基準計器あるいは他の基準計器によって得られた被分析物濃度値までの電流値の形態にある出力信号に関連する基準相関を表している。バイオセンサシステムによる試料の分析の間に用いられると、線Aの基準相関には、不正確かつ/または不的確な被分析物濃度値がもたらされるかもしれない1つ以上の誤差が含まれることがある。線Bは、勾配Shypを有するとともに基準計器によって得られた試料被分析物濃度値のあるシステムから得られた電流値に関連する誤差補正済み相関を表している。この誤差補正済み相関は、その1つ以上の誤差を減少させるかあるいは実質的に排除するために、調整されあるいは修正された。ΔSはこれらの相関線どうしの間の勾配の切片である。ΔAは、補正されていないかあるいは修正されていない値(Acal)と被分析物濃度値によって決定された誤差補正済みあるいは誤差修正済み値(Acorr)との間の差である。
【0062】
補正あるいは修正がないときには、特定の出力信号値が、Shyp誤差補正済み線からではなくScal基準相関から提供されるであろう。Shyp誤差補正済み線から得られたAcorr値によって、試料における被分析物濃度のいっそう正確な値が提供される。従って、式1は、ΔSを用いて電流値Scalおよび Intを補正済み被分析物濃度値Acorrに変換する。このようにして、百分率偏りはΔSによって式7の中へ組み入れることができる。この百分率偏り値は、百分率偏りへのΔSの組み入れによって、偏り分布の中心へ向かって引き寄せることができる。ΔSが偏りに応答すると、ΔSを変更することによって、試料の補正済み被分析物濃度の中に残る偏りの量に影響がおよぶ。
【0063】
図3の310では、被分析物濃度値は、表示し、将来の参照のために記憶し、かつ/または、追加計算のために用いることができる。
【0064】
1つ以上の誤差に対するΔSの応答性は、指数関数によって表示することができる。1つ以上の指数関数を決定するために、1つ以上の誤差(ΔScal)に応答する相関式の勾配における偏差は、工場較正の間のような実験データから、次のように決定することができる。
【0065】
【数9】

【0066】
ここで、iはバイオセンサシステムからの出力信号の値であり、Intは基準相関式からの切片であり、Arefは基準計器から得られたような試料の基準被分析物濃度であり、また、Scalはi=Scalref+Intのような基準相関式からの勾配である。1つ以上のΔScal値は、それぞれの基準被分析物濃度で相異なるシステム出力信号から決定することができる。この方法では、多数の知られた被分析物濃度について、バイオセンサシステムおよび決定された対応ΔScal値から出力信号値を得ることができる。式9からいくつかのΔScal値を採択し、それらをエラーパラメータに相関させることによって、最初の指数関数を決定することができる。
【0067】
指数関数は、被分析物濃度分析において測定された被分析物濃度を1つ以上の誤差について補正する。1つ以上の指数関数を利用することができる。全勾配偏差ΔSに相関関係のある指数関数によって、この被分析物濃度の最終的な全誤差補正が提供されるであろうが、その理由は、この指数関数が、勾配偏差ΔSの正確な原因を、従って、測定された被分析物濃度の偏りを知る必要なく、分析における全誤差を補正するために用いることができるからである。指数関数は、別の手段によって測定することのできる温度のようなエラーパラメータに応答するものであってもよい。指数関数は、ヘマトクリットのようなエラーパラメータに相関関係があるとともに勾配偏差ΔSに関するこのエラーパラメータの影響を表す算出数であってもよい。従って、エラーパラメータは、出力信号における1つ以上の誤差に応答する任意の値であってもよく、また、他の手段によって測定され、算出され、あるいは決定されてもよい。指数関数は、ΔScalとエラーパラメータとの間のプロットの回帰方程式として実験的に決定することができる。
【0068】
他の方法を全血試料の%ヘマトクリットレベルのようなエラーパラメータに関連付けることができる。例えば、米国特許第7,338,639号には、全血試料に関連付けられたヘマトクリットレベルおよび温度誤差を決定するために交流位相角測定法を利用することが記載されている。ヨーロッパ特許出願第1,742,045A1号には、独立電極によるヘマトクリットの決定と、ヘマトクリットレベルおよび出力電流の関連付けとが記載されている。従って、これらの方法の出力信号は指数関数を構成するために用いることができる。しかしながら、これらの方法は、実施するためには、検討されたような勾配偏差ΔSとの相関を利用することよりもいっそう複雑であるかもしれない。勾配偏差との相関は、ヘマトクリット補正を決定するための出力信号を発生させるために3つ以上の電極を必要としないゲート式電流滴定の中間直流信号を用いて実施することができる。加えて、ゲート式電流滴定のこの中間直流信号には、ヘマトクリット補正を決定するために出力信号を励起して発生させるどのような複雑な交流回路も必要としない。ゲート式電流滴定の利用は、計器へ変えられ、従って、被分析物濃度補正システムを実施するために使用される電子装置のコスト節約へ変えられる。
【0069】
図6は、エラーパラメータへのΔSに関連する線形指数関数f(Index)を示している。エラーパラメータは被分析物濃度分析における誤差の原因である。エラーパラメータには、温度、ヘマトクリットレベル、および検討された類似のものが含まれる。指数関数は、検討されたような分析における1つ以上のエラーパラメータあるいは誤差についての測定被分析物濃度を補正する。指数関数は、電流、交流位相角信号、およびその他のような出力信号の一部あるいは全部を用いて算出することができる。従って、1つ以上の指数関数f(Index)を決定するために、式9から決定されたエラーパラメータおよびΔScal値を用いることができる。ΔSが、出力信号から決定されたある試料中の被分析物濃度についてのShypと、特定の出力信号についての基準相関式から得られたScalとの差を表しているので、f(Index)関数はΔSと1つ以上のエラーパラメータとの関係を表している。指数関数は、誤差に寄与する出力信号の一部を説明する任意の因子について決定することができる。
【0070】
線形指数関数は次のように決定することができる。
【0071】
【数10】

【0072】
ここで、aおよびbは、それぞれ指数関数の勾配および切片についての所定値であり、また、1つ以上のエラーパラメータはバイオセンサシステムによるある試料の分析から決定される。線形指数関数については、aおよびbの値は、ΔScal値をエラーパラメータに関連付ける任意の線から採択することができる。この指数関数f(Index)はまた、近似線形式あるいは多項式で記載することもできる。指数関数を記載するために線形式および二次多項式を用いることができる。指数関数は多数のエラーパラメータのためにあらかじめ決定することができ、また、バイオセンサシステムの中に記憶することができる。例えば、線形指数関数のaおよびbの値は、このバイオセンサシステムにおけるプログラム番号割当(PNA)表、別の参照表、その他として実行することができる。他の指数関数を用いることもできる。
【0073】
温度は、分析のためのエラーパラメータとみなすことができるが、その理由は、濃度値における誤差は基準相関が決定されない温度で分析を実行することから生じることがあるからである。例えば、温度は、全血の試料の中におけるグルコースの酸化および拡散と、光学的に活性の分子の拡散とに影響を及ぼす。この分析のための温度は、熱電対、算出された推定値、およびその他のようなあらゆる原因から決定することができる。
【0074】
図7Aは、10、15、20、25、30、および40℃での温度と式9との関数として記録された出力信号値から決定されたΔScal値をプロットしている。その結果の線は、R=0.8444相関が示されたものであり、また、温度補正のための指数関数f(Index)Tempが提供されたものである。この場合には、f(Index)Tempは、基準温度で決定された基準相関勾配と、この分析が実行された温度で温度の影響を受けた被分析物濃度を提供するであろう線の仮想勾配との間の勾配における偏差への温度に関するものである。温度についての指数関数f(Index)Tempは、基準相関式でこのバイオセンサシステムの中に記憶することができる。
【0075】
図7Bは、百分率偏り値における、図7Aに由来したf(Index)Temp指数関数を用いる図3の方法と勾配値および切片値の同時改変を用いる従来の方法とからの改善を示している。勾配相関によって示されたように、従来の方法に対して温度偏りが減少した図3の方法では、0.1543から−0.005まで減少しており、ここで、より大きい数字の勾配値は温度と百分率偏りとの間の増大関係を意味している。図7Aからのような線形指数関数に加えて、エラーパラメータとΔScal値との関係を説明するために多項式を用いることができる。図7Cは、線形式および二次多項式を温度へのΔScalSに関連するf(Index)Tempとして示している。この場合には、R相関は多項式についてのわずかな改善を示したが、しかしながら、ΔScalへの他のエラーパラメータに関連する指数関数は、線形式と多項式との間にいっそう大きい差を示すことがある。図7Dは、別のセンサ型についてのΔS対温度の温度感受性を表している。40%ヘマトクリット全血試料から生成されたデータは二次多項式に適合する。従って、温度は勾配偏差ΔSを引き起こしたエラーパラメータである。
【0076】
単一のf(Index)関数に加えて、ΔSはf(Index)関数どうしの組み合わせによって表すことができ、ここで、ΔSは概念上、次のように表される。
【0077】
【数11】

【0078】
ここで、それぞれのf(Index)は、出力信号の中に存在している相異なる誤差から生じる勾配偏差ΔSの異なった部分を表している。分析に左右されるが、相異なるエラーパラメータを表す多数の指数関数でΔSを表すことが好ましいであろう。好ましいのは、f(Index)によって表されたときに、相異なるエラーパラメータが互いに独立していることである。f(Index)関数で表現されたような相異なる誤差発生源どうしの間の独立関係によって、それぞれの誤差発生源についての独立補正がもたらされ、それによって、試料の被分析物濃度のより正確な決定がもたらされる。例えば、温度およびヘマトクリットから生じる誤差がf(Index)関数として表されたときのものに実質的に関連がない場合には、f(Index)は温度誤差を表すことができ、また、f(Index)はヘマトクリット誤差を表すことができる。温度あるいはヘマトクリットに実質的に関連がない他の誤差発生源は、f(Index)およびその他によって表すことができる。実質的に関連がない誤差発生源からの指数関数が好ましいときには、他の指数関数を用いることができる。
【0079】
被分析物濃度値の補正あるいは修正は、出力信号の中の最大誤差を説明するエラーパラメータで開始することができる。最大影響についての補正の後に、ΔSの中に残っているあらゆる誤差は、先に説明したように、最大誤差に応答するパラメータとは独立した付加的エラーパラメータで補正しあるいは修正することができる。f(Index)Tempのような初めの指数関数が決定された後に、次の指数関数を、付加的エラーパラメータと次の式から決定されたΔS2calとから決定することができる。
【0080】
【数12】

【0081】
ここで、ΔS2calは、第一のf(Index)補正の後に残っている勾配偏差であり、また、その第一補正の後の第二エラーパラメータについてのScalとShypとの間の勾配の差を表しており、Scalは、基準相関式からの勾配であり、Acorr(1)は、温度のようなf(Index)で修正された被分析物濃度であり、また、Arefは、基準計器で決定されたような試料の基準被分析物濃度である。付加的な指数関数は、第二のAcorr(2)が第一および第二の指数関数を考慮に入れることによって決定された後に決定することができる。これらの指数関数および他の指数関数は、このバイオセンサシステムの中に、PNA表、別の参照表、その他として記憶することができる。連続的なAcorrが付加的な指数関数を用いて決定されるので、決定された濃度値の中における偏りは、その偏りレベルが分析の不規則ノイズレベルに近づくまで、減少するであろう。第一指数関数および第二エラーパラメータからΔS2cal値を決定するために、他の式を用いることができる。
【0082】
ヘマトクリットおよび他の影響から生じる濃度値の誤差は、被分析物の被分析物濃度、出力信号値の比、出力信号値の数学的組み合わせ、および出力信号および/または他の発生源に由来する他の値を決定するために用いられるもの以外の出力信号値のような、その誤差に応答する多数のパラメータによって表すことができる。これらのエラーパラメータは、出力信号の中間値に内在的なものであってもよく、あるいは、出力信号の中間値に由来するものであってもよい。例えば、f(Index)Hctを決定するために、特定の出力信号値で式12から決定されたΔS2cal値は、図6のY軸の上にプロットすることができ、また、特定の出力信号値に対応しているとともにヘマトクリット偏りに応答するエラーパラメータ値は、X軸の上にプロットすることができる。その結果としての相関は、ヘマトクリット応答エラーパラメータに基づいたf(Index)Hctであろう。
【0083】
ΔSを説明するために多数の指数関数が用いられるときには、修正された被分析物濃度は、次のように表された式を用いて算出することができる。
【0084】
【数13】

【0085】
ここで、Acorr(2)は2つのΔS値で修正された被分析物濃度であり、iは相異なる要因からの誤差の多数発生源を含む出力信号の値であり、Intは基準相関式からの切片であり、Scalは基準相関式からの勾配であり、また、ΔSおよびΔSは2つの誤差要因に帰する勾配の偏差を表している。修正された被分析物濃度を多数の指数関数から決定するために、他の式を用いることができる。
【0086】
偏り要因に応答するエラーパラメータを決定するために多くの技術を利用することができるが、ヘマトクリット誤差のようないくつかの種類の偏り要因を説明するためには出力信号値が好ましい。図8Aはゲート式パルスシーケンスを表しているが、ここで、その入力信号には多数の励起および緩和を含んでおり、また、これらの励起E2−E7はラベル付けされている。図8Bは、電流減衰D2−D7としてラベル付けされた入力信号からの出力信号電流を表している。i値の下付き文字における第1番目の数字は励起数を表示しており、その下付き文字における第2番目の数字は減衰が説明される出力信号値を表示している。例えば、i2,3は、D2について記録された第三電流値を表示している。
【0087】
変化する複雑性のエラーパラメータを決定するために、多数の出力信号値を組み合わせることができる。以下の表1は、図8からの多数のエラーパラメータおよび対応する出力信号値を示している。
【0088】
【表1】

【0089】
2つ以上のエラーパラメータについて補正するために1ステップを用いる一例は、ここで付与された図8C−図8Dを参照して提供されている。図8Cは別のゲート式パルスシーケンスを表しているが、ここで、その入力信号には、ゲート式電流滴定を用いる多数の励起および緩和を含んでいる。この電位シーケンスは、図8Cにおける第一パルスが2つのパルスに分割される点で、図8Aに示されたものとはわずかに異なっている。以下のパルスのタイミングは図8Aにおけるものと同一である。従って、電流のラベル付けおよび単比指数は1数字だけ異なっている。例えば、図8Cについての比R4/3は図8Aについての比R3/2と同値であり、また、図8Cについての比R5/4は図8Aについての比R4/3と同値であり、以下、同様である。約50人のドナーからの室温で試験された毛細血管血液試料と、平均15.7℃のより低い温度で試験された静脈試料とについて、研究が行われた。図8Dでは、ΔStotalおよびΔS-40%(ΔSへの温度偏りを調整することを表している)が、図8Cにおける電流ラベルに関する共通指数R6/5に対してプロットされている。その開放正方形はΔStotalを表している。その開放ひし形は温度偏りをΔStotalへ調整した後のものを表している。これら2つのプロットは回帰切片の点だけ異なり、両方とも基本的に同一の勾配を有している。ΔSプロット対R6/5プロットの切片の相違は、全体のデータ集団における平均温度影響を表している。ΔStotal対R6/5からの回帰方程式が式7に代入されると、グルコース読取値は温度およびヘマトクリットの両方について補正される。図8Eは、補正の前後の偏り/%-偏りのプロットを示している。その開放ひし形は、オリジナルデータの集団を、−21の平均偏りと6.75の標準偏差(SD値)とで表している。その開放三角形は、すべての誤差補正の後の手段を、−0.08の平均偏りと4.32の標準偏差とで表している。平均%-偏りの減少は、データ集団における温度影響の除去のためである。SDの減少は、広がった偏りの減少を、従って、精度の増大を意味している。
【0090】
図9A−図9Dは、バイオセンサシステムについてのΔScalと、R2/R3、R4/3、指数−I、および指数−IIのエラーパラメータとの間の相関をそれぞれ示している。被分析物としてのグルコースをさまざまな濃度で含有する、50人の被験者からの約100の試料(1被験者あたり2つの試料)が使用された。指数−IIについては、pおよびqのために6の整数値が選択された。それぞれの図には、ΔSを関連したエラーパラメータから決定するために用いられることがある指数関数を表示する回帰方程式が含まれている。相関についてのR値が大きければ大きいほど、偏りへのエラーパラメータの応答がいっそう多くなる。最も大きいR値のために、試みられたエラーパラメータのうち、指数−IIが偏り値に最もよく応答する。従って、この分析についてのΔSを決定するために指数−IIを指数関数として用いるべきときには、f(Index)式であるy=29.746x−10.338を用いることができるが、ここで、xはこの分析からの指数−IIのエラーパラメータの値であり、また、yはΔSについて決定された値である。
【0091】
図10A−図10Cは、図9のときとは異なった試薬を用いるバイオセンサシステムについてのΔScalと、R4/3、R5/4、およびR6/5のエラーパラメータとの間の相関をそれぞれ示している。約100の全血試料から決定されたグルコース濃度が用いられた。式9から決定することができるように、全体の偏り誤差を表すΔScalについての値が用いられた。R4/3、R5/4、およびR6/5についてのR値はそれぞれ、0.1133、0.4533、および0.6982であったが、これはR6/5が誤差に対して最も応答したことを示している。ΔScalを決定するためにR6/5エラーパラメータを用いた場合には、R値が0.1133から0.4533まで、そして最終的には0.6982まで増大したときに、決定された被分析物濃度値の百分率は、±10%偏り限界の内部で、79.6%から89.8%まで、そして最終的には95.4%に至るまで増大した。式7についてのΔS値を決定するために用いられたそれぞれのエラーパラメータは、偏りをその分布の中心へ向けて引き寄せることで、決定された被分析物濃度の百分率偏りの広がりを首尾よく減少させた。従って、エラーパラメータから決定されたΔS値は、±10%偏り限界の内部に入る被分析物濃度の数値を75.5%(補正なし)から95.4%(R6/5で補正済み)まで増大したことで、精度が20%改善された。
【0092】
図11Aは、図9あるいは図10に見られるものとは異なった試薬を用いるバイオセンサシステムについてのΔScalとエラーパラメータR4/3との間の相関を示している。図9あるいは図10のバイオセンサシステムとは異なり、図11Aのシステムについては、R4/3によって0.5064のR値が提供された。従って、試薬組成、電極構造、センサストリップ構成、光確認可能種、光学的検出方法、およびその他のような相異なるバイオセンサシステム変数に関連した偏りは、相異なるエラーパラメータによって記載することができる。図11Bに示されたように、このシステムで決定された被分析物濃度のうち、91.7%が補正の前に±10%偏り限界の内部に入ったのに対し、その被分析物濃度の99.1%がR4/3のエラーパラメータでの補正の後に±10%偏り限界の内部に入った。図11Cは、補正なしについての平均値および標準偏差値における改善と、グルコース濃度値の補正されたR4/3のエラーパラメータとを示している。そのヒストグラムに示されたように、標準偏差は、その補正された濃度値について5.826から4.057まで減少し、約30%の改善がなされた。
【0093】
図9、図10、および図11では、補正のための単一のΔSを決定するために単一のエラーパラメータが用いられた。図12Aは、ΔS1calとエラーパラメータ指数−I(R=0.4693)との間の相関を示しており、図12Bは、ΔS2calとエラーパラメータR4(R=0.3429)との間の相関を示している。ΔS1calは式9で決定されたのに対し、ΔS2calは式4で決定された。これら2つの指数関数のうち、ΔSはヘマトクリットに関連付けすることができるのに対し、ΔSは他のエラーパラメータ要因に関連付けすることができる。式5による組み合わせに用いられると、百分率偏りの標準偏差は、ΔS指数関数での補正の後には5.45から4.89まで減少し、また、ΔS指数関数およびΔS指数関数での補正の後には3.99まで減少した。このΔS指数関数によって、およそ10%の標準偏差の減少がもたらされたのに対し、ΔS指数関数およびΔS指数関数を組み合わせると、およそ27%の標準偏差の減少がもたらされた。従って、勾配に基づく補正によれば、±10%偏り限界の内部に入る決定された被分析物濃度の数値が、以下の表IIに示されたように、99.1%まで増大した。
【表2】

【0094】
これらの結果によれば、多数の試料に関して実行された補正なしの分析では、決定された被分析物濃度値のうちのほとんど7%が±10%偏り限界から外れるのに対し、補正の後には補正された値のうちの1%未満が限界から外れる、ということが立証されている。ある分析を補正する目的で後に用いられるΔSを決定するためにエラーパラメータを用いると、精度の増大をもたらすことができ、ここで、決定された被分析物濃度値のうちの少なくとも85%が±10%偏り限界の内部に入り、また、より好ましくは、決定された被分析物濃度値のうちの少なくとも90%が±10%偏り限界の内部に入る。現在では、特に好ましい勾配に基づく偏り修正方法によって、決定された被分析物濃度値のうちの少なくとも95%あるいは少なくとも97%が±10%偏り限界の内部に入る被分析物濃度値をもたらすことができる。
【0095】
勾配偏差ΔSおよび/または関連指数関数は、被分析物濃度と出力信号との相関における%偏りを表すために標準化されることがある。標準化では、この勾配偏差、指数関数、あるいは他のパラメータが、同パラメータの変化の統計的影響を減少させるために、同パラメータの変化量の相違を改善するために、同パラメータ、その組み合わせ、その他の測定値を標準化するために、ある変数によって調整(乗算されるか、除算されるかなど)される。
【0096】
式7における勾配偏差ΔSは、基準相関式の勾配Scalによって標準化されることがあり、それによって、ΔS/Scalと指数関数との間に補正相関がもたらされる。
【0097】
式7において、ΔSはScalによって次のように除算される。
【0098】
【数14】

【0099】
ΔS/Scalは指数関数f(Index)であり、これは次のように表すことができる。
【0100】
【数15】

【0101】
式15の指数関数f(Index)は、式14に次のように代入することがある。
【0102】
【数16】

【0103】
勾配偏差ΔSについて解くと、次の関係がもたらされる。
【0104】
【数17】

【0105】
calによって勾配偏差ΔSの標準化を行うと、Scalの相異なる較正からの潜在的影響が基本的に除去される。図13Aは、の比R5/4に応答する指数関数でΔSの相関を表している。図13Bは、ΔS/Scalとの比R5/4に応答する指数関数との相関を表している。
【0106】
式7における勾配偏差ΔSもまた、標準化済み勾配関数SNMLで乗算することによって標準化されることがあり、それによって、SNMLと指数関数との間に補正相関がもたらされる。
【0107】
標準化済み勾配関数SNMLは次のように表すことができる。
【0108】
【数18】

【0109】
式18を式7に代入するとともに、SNMLを指数関数f(Index)で置き換えると、次の関係がもたらされる。
【0110】
【数19】

【0111】
図14は、SNMLとの比R5/4に応答する指数関数との相関を表している。図13A、図13B、および図14における指数関数との相関は、これら3つの指数関数が数学的に関連しているので、類似している。
【0112】
先の結果と同様に、標準化済みの勾配に基づく補正によれば、±10%偏り限界の内部に入る決定済み被分析物濃度の数値は、以下の表IIIに示されたように、99.1%まで増大した。
【表3】

【0113】
図15は、生物学的流体の試料の中における被分析物濃度を決定するバイオセンサシステム1500の模式的説明図を表している。このバイオセンサシステム1500には測定装置1502およびセンサストリップ1504が含まれており、これは、ベンチトップ装置、携帯型あるいはハンドヘルド型の装置、またはその他が含まれる任意の分析機器において実施することができる。これらの測定装置1502およびセンサストリップ1504は、電気化学センサシステム、光学センサシステム、これらの組み合わせ、あるいはその他を実施するために適合することができる。このバイオセンサシステム1500は、出力信号から被分析物濃度を決定するための相関を少なくとも1つのΔS値で調整する。このΔSで調整された相関によれば、試料の被分析物濃度を決定するときにバイオセンサシステム1500の確度および精度を改善することができる。このバイオセンサシステム1500は、グルコース、尿酸、乳酸塩、コレステロール、ビリルビン、およびその他の濃度が含まれる被分析物濃度を決定するために利用することができる。特定の構成が示されているが、バイオセンサシステム1500は、付加的構成要素が備わったものを含む他の構成を有していてもよい。
【0114】
センサストリップ1504には基部1506があり、この基部はリザーバ1508と開口1512の備わった溝1510とを形成している。リザーバ1508および溝1510は通気口のある蓋で覆われていてもよい。リザーバ1508は部分的に包囲された容積部を画定している。リザーバ1508には、水膨張性ポリマーあるいは多孔性ポリマーマトリックスのような液体試料を保持するのに役立つ成分が含有されていてもよい。試薬をリザーバ1508および/または溝1510の中に沈積させることができる。この試薬には、1つ以上の酵素、結合剤、媒介物質、および類似の種が含まれていてもよい。この試薬には、ある光学系のための化学指示薬が含まれていてもよい。センサストリップ1504にはまた、リザーバ1508に隣接して配置された試料インターフェース1514が備わっていてもよい。この試料インターフェース1514は、リザーバ1508を部分的にあるいは完全に包囲することができる。センサストリップ1504には他の構成が備わっていてもよい。
【0115】
ある光学センサシステムでは、試料インターフェース1514は、試料を観察するための光入口あるいは光窓穴を有している。この光入口は基本的に透明な材料によって覆われていてもよい。試料インターフェースは、リザーバ1508の反対側側面に光入口を有していてもよい。
【0116】
ある電気化学システムでは、試料インターフェース1514は、作用電極および対向電極へ接続された導線を有している。これらの電極は、実質的に同一の平面にあってもよく、あるいは2つ以上の平面にあってもよい。これらの電極と蓋との間に他の隔離距離が用いられてもよい。これらの電極は、リザーバ1508を形成する基部1506の表面に配置することができる。これらの電極は、リザーバ1508の中へ延びるかあるいは突出することができる。誘電体層が導線および/または電極を部分的に覆っていてもよい。試料インターフェース1514には、他の電極および導線があってもよい。
【0117】
測定装置1502には、センサインターフェース1518およびディスプレイ1520へ接続された電気回路系1516が含まれている。この電気回路系1516には、信号発生器1524へ接続されたプロセッサ1522、随意の温度センサ1526、および記憶媒体1528が含まれている。
【0118】
信号発生器1524は、プロセッサ1522に応じて、センサインターフェース1518へ電気入力信号を供給する。光学系では、この電気入力信号は、センサインターフェース1518の中における検出器および光源を作動させるかあるいは制御するために用いることができる。電気化学システムでは、この電気入力信号は、この電気入力信号を生物学的流体の試料へ供給するために、試料インターフェース1514へセンサインターフェース1518によって送信することができる。この電気入力信号は、電位であるかあるいは電流であり、また、一定のものであってもよく、可変のものであってもよく、あるいは、交流信号が直流信号偏りとともに供給されるときのように一定のものと可変のものとの組み合わせであってもよい。この電気入力信号は、単一パルスとして、または多重のパルス、シーケンス、あるいはサイクルで供給することができる。信号発生器1524は、センサインターフェースからの出力信号を発生器−記録器として記録することもできる。
【0119】
随意の温度センサ1526は、センサストリップ1504のリザーバの中における試料の温度を測定する。この試料の温度は、出力信号から測定し、算出することができ、または、周囲温度あるいはこのバイオセンサシステムを実施する装置の温度と同一であるかあるいは同等であると推定することができる。この温度は、サーミスタ、温度計、あるいは他の温度感知装置を使用して測定することができる。同試料温度を測定するために他の技術を用いることができる。
【0120】
記憶媒体1528は、磁気記憶装置、光学記憶装置、あるいは半導体記憶装置、別の記憶装置、またその他であってよい。この記憶媒体1528は、固定型の記憶装置であってもよく、メモリーカードのような取り外し可能な記憶装置、遠隔アクセス型記憶装置、またはその他であってもよい。
【0121】
プロセッサ1522は、コンピュータ読取可能なソフトウェアコードと記憶媒体1528の中に記憶されたデータとを用いて、被分析物分析およびデータ処理を実施する。このプロセッサ1522は、センサストリップ1504の存在に応じてセンサインターフェース1518で被分析物分析を、ユーザの入力に応じてセンサストリップ1504への試料の適用を、あるいはその他を開始することができる。このプロセッサ1522は、先に検討したような勾配調整済み相関式を用いて、出力信号からΔS補正済み被分析物濃度を決定する。この被分析物分析の結果は、ディスプレイ1520へ出力することができるとともに、記憶媒体1528の中に記憶することができる。
【0122】
被分析物濃度と出力信号との間の相関式は、図表によって、式によって、その組み合わせによって、あるいはその他によって表すことができる。この相関式は、記憶媒体1528の中に記憶されたプログラム番号(PNA)表、別の参照表、あるいはその他によって表すことができる。この被分析物分析の実施に関する指示は、記憶媒体1528の中に記憶されたコンピュータ読取可能なソフトウェアコードによって提供することができる。このコードは、目的コードであってもよく、あるいは、以下に記載された機能性を記載しあるいは制御する他のあらゆるコードであってもよい。この被分析物分析からのデータは、プロセッサ1522の中で、減衰率、K定数、比、およびその他が含まれる1つ以上のデータ処理を受ける。
【0123】
電気化学システムでは、センサインターフェース1518には、センサストリップ1504の試料インターフェース1514の中における導線と接続されるかあるいは電気的に連絡が行われる端子がある。センサインターフェース1518は、信号発生器1524からの電気入力信号を、端子を介して信号発生器1524の中におけるコネクタへ送信する。センサインターフェース1518はこれまた、試料からの出力信号を、端子を介してプロセッサ1522および/または信号発生器1524へ送信する。
【0124】
吸光光学系および発光光学系では、センサインターフェース1508には、光を集めて測定する検出器が含まれている。この検出器は、その液体センサから信号発生器1524における光入口を介して光を受ける。吸光光学系では、センサインターフェース1508には、レーザ、発光ダイオード、あるいはその他のような光源も含まれている。その入射ビームには、反応生成物による吸収のために選択された波長がある。センサインターフェース1508は、光源からの入射ビームを試料インターフェース1514における光入口を介して導く。検出器は、試料から反射した光を受けるために、光入口に対して45度のような角度で配置することができる。この検出器は、試料を透過した光を受けるために、光源から試料の他方側面における光入口に隣接して配置することができる。この検出器は、反射光および/または透過光を受けるために、別の場所に配置することができる。
【0125】
ディスプレイ1520は、アナログ式のものであってもよく、ディジタル式のものであってもよい。このディスプレイは、数値示度を表示するように適合されたLCDディスプレイであってもよい。
【0126】
使用に際しては、分析のための液体試料が、その液体を開口1512へ導入することでリザーバ1508の中へ移送される。この液体試料は、溝1510を通って流れ、リザーバ1508を満たし、先に含有された空気を排出する。この液体試料は、溝1510および/またはリザーバ1508の中に沈積された試薬と化学的に反応する。
【0127】
センサストリップ1502は測定装置1502に隣接して配置されている。隣接してという意味には、試料インターフェース1514がセンサインターフェース1508と電気的にかつ/または光学的に連絡している位置が含まれる。電気的連絡には、センサインターフェース1518における端子と試料インターフェース1514における導線との間の入力信号および/または出力信号の転送が含まれる。光学的連絡には、試料インターフェース1502における光入口とセンサインターフェース1508における検出器との間の光の転送が含まれる。光学的連絡にはまた、試料インターフェース1502における光入口とセンサインターフェース1508における光源との間の光の転送も含まれる。
【0128】
プロセッサ1522は温度センサ1526からの試料温度を受信する。このプロセッサ1522は、信号発生器1524に、入力信号をセンサインターフェース1518へ供給するように指示する。ある光学系では、センサインターフェース1518は、入力信号に応じて、検出器および光源を作動させる。ある電気化学システムでは、センサインターフェース1518は、試料インターフェース1514を介して入力信号を試料へ供給する。プロセッサ1522は、先に検討したように、試料の中における被分析物のレドックス反応に応じて生成された出力信号を受信する。
【0129】
プロセッサ1522は試料の被分析物濃度を決定する。測定装置は、被分析物濃度と出力信号との間の相関を少なくとも1つのΔS値で調整する。この被分析物濃度は、勾配調整済み相関および出力信号から決定される。
【0130】
図16は、生物学的流体の試料における被分析物濃度を決定するための別の方法を表している。1602では、バイオセンサシステムが作用電極および対向電極を越えて第一電位シーケンスを印加する。この第一電位シーケンスは、ポーリング電位シーケンスであってもよく、あるいは同様のシーケンスであってもよい。このポーリング電位シーケンスには拡張型ポーリング構成があってもよい。1604では、このバイオセンサは、先に検討したように、全血あるいはその他のような生物学的試料で満たされる。1606では、このバイオセンサは、センサセルの中に存在する生物学的試料が分析のために充分な容積であるかどうかを判定する。このバイオセンサは、第一電位シーケンスに応じて生物学的試料によって生成された電流あるいは他の出力信号が1つ以上のポーリング電位で1つ以上の閾値に合致するかどうかを判定することができる。1608では、このバイオセンサシステムが第二電位シーケンスを印加する。このバイオセンサシステムは、センサセルがいったん満たされると、第二電位シーケンスを印加することができる。この第二電位シーケンスは、ゲート式電流滴定あるいは別の電気化学的プロセスに応答することができる。1610では、このバイオセンサシステムは電極からの出力信号を記録する。1612では、このバイオセンサシステムは出力信号に応じて指数関数を決定する。この指数関数には1つ以上の表示器指数値が含まれていてもよい。この指数関数は、先に検討したように、%−偏り、勾配偏差、勾配標準化、これらの組み合わせ、あるいはその他に基づいた相関に応答するものであろう。この指数関数は、%−偏りとR5/4のような出力信号どうしの比との間の相関を表すことができる。1616では、このバイオセンサシステムは、指数関数に応じて、システム誤差が1つ以上の誤差境界の外側にあるかどうかを判定する。1618では、このバイオセンサシステムは、出力信号および指数関数に応じて被分析物濃度を決定する。このバイオセンサシステムは、指数関数に応じて出力信号と被分析物濃度との間の被分析物相関式を調整し、その後、調整済みあるいは補正済みの被分析物相関式を用いて被分析物濃度を決定する。このバイオセンサシステムは、システム誤差が1つ以上の誤差境界の外側にあることを指数関数が表示すると、被分析物相関式を調整することができる。この被分析物相関式は、出力信号と基準被分析物濃度との間の相関の勾配であろう。
【0131】
本発明のさまざまな実施形態が説明されてきたが、他の実施形態および実施例が本発明の適用範囲内で可能であるということは当業者に明らかであろう。従って、本発明は、添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物に照らす場合を除いて、制限されることはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の被分析物濃度を判定する方法であって、
試料中の被分析物の濃度に応じて少なくとも1つの出力信号値を生成するステップと、
少なくとも1つのエラーパラメータから少なくとも1つのΔS値を決定するステップと、
少なくとも1つの出力信号値を、少なくとも1つの基準相関および少なくとも1つのΔS値で補正するステップと、
少なくとも1つの出力信号値から試料中の被分析物濃度を判定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
試料が生体液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被分析物がグルコースを含み、そして試料が全血を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
判定された被分析物濃度のパーセントバイアスが最大で±10%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該方法から判定された分析の95%より多くが±20%のバイアス制限範囲内に収まる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
判定された被分析物濃度のパーセントバイアスが実質的にΔSと一次関係にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのΔS値が、少なくとも1つのエラーパラメータおよび少なくとも1つの指数関数から決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
エラーパラメータが、少なくとも1つの出力信号値の変化を引き起こすエラー要因に対応している、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのエラーパラメータが、温度、ヘマトクリット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
エラーパラメータが、異なるエラー要因に対して独立して対応する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
エラーパラメータが、少なくとも0.3のΔScalとのR相関関係を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの指数関数が、少なくとも1つのエラーパラメータを少なくとも1つのΔS値に変換する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
出力信号値が、パルス電気的励起を含む入力信号に対応して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
出力信号値が、光から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの基準相関が、基準器を使用して事前に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
補正が、
【数20】


で表され、ここでAcorrは判定された分析物濃度であり、iは試料中の被分析物の濃度に対応する少なくとも1つの出力信号値であり、Intは基準相関からの切片であり、Scalは基準相関からの勾配であり、そしてΔSは少なくとも1つのΔS値である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのΔS値が、基準相関からの勾配と、バイアスのない試料の被分析物濃度を提供するであろう出力信号値のための直線の仮想勾配との、勾配の差を表す、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの基準相関および少なくとも1つの出力信号値が、第二のΔS値で変更され、各ΔS値は異なる指数関数から決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
異なるエラーパラメータが、少なくとも2つのΔS値を提供するために、異なる指数関数によって変換される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
被分析物濃度と異なるエラーパラメータとの間の相関関係が、
【数21】


で表され、ここでAcorr(2)は2つのΔS値で修正された被分析物濃度であり、そしてΔSおよびΔSは少なくとも2つのΔS値である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ΔSが、判定された被分析物濃度の最大のバイアスを提供するエラー要因に対応するエラーパラメータを表す、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ΔSが、
【数22】


で表され、ここでΔSは第一のf(Index)補正の後に残る勾配偏差であって、Scalと第一の補正の後の第二のエラーパラメータのためのShypとの間の勾配の差を表し、Scalは基準相関からの勾配であり、Acorr(1)は第一のf(Index)で修正された被分析物濃度であり、そしてArefは試料の基準被分析物濃度である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
補正が、パーセントバイアスを電流に関連づける式によってなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
試料が、生体液、生体液の派生物、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
判定が、携帯型測定装置によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのΔS値を正規化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
基準相関式の勾配に応じて少なくとも1つのΔS値を正規化するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
正規化された勾配関数に応じて少なくとも1つのΔS値を正規化するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
エラーパラメータから指数関数を決定する方法であって、
試料中の判定された被分析物濃度のパーセントバイアスに応じて少なくとも1つのエラーパラメータを決定するステップと、
基準相関からの少なくとも1つのΔScal値、試料中の被分析物の基準濃度、および出力信号を決定するステップと、
少なくとも1つのエラーパラメータを少なくとも1つの指数関数によって少なくとも1つのΔScal値に関連づけるステップと、を含む方法。
【請求項30】
少なくとも1つのΔScal値が、
【数23】


で表され、ここでiは試料中の被分析物の濃度に対応する少なくとも1つの出力信号値であり、Intは少なくとも1つの基準相関からの切片であり、Arefは試料の基準被分析物濃度であり、そしてScalは少なくとも1つの基準相関からの勾配である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
試料が、生体液、生体液の派生物、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの指数関数が、一次方程式である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの指数関数が、多項式である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
ΔScal値および指数関数のうち少なくとも1つを正規化するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
基準相関式の勾配に応じてΔScal値および指数関数のうち少なくとも1つを正規化するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
正規化された勾配関数に応じてΔScal値および指数関数のうち少なくとも1つを正規化するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
試料中の被分析物濃度を判定するためのバイオセンサシステムであって、
ストリップによって形成されるリザーバに隣接する試料インターフェースを有するセンサストリップと、
センサインターフェースに接続されたプロセッサを有する測定装置であって、センサインターフェースは試料インターフェースと電気的に連絡し、プロセッサは記憶媒体と電気的に連絡しており、
プロセッサはセンサインターフェースから試料の被分析物の濃度に対応する出力信号値を決定し、
プロセッサはエラーパラメータから少なくとも1つのΔS値を決定し、
プロセッサは少なくとも1つのΔS値および記憶媒体の中に存在する少なくとも1つの基準相関で出力信号値を補正する、測定装置とを含む、バイオセンサシステム。
【請求項38】
プロセッサが、記憶媒体の中に存在する少なくとも1つの指数関数を使用して、エラーパラメータから少なくとも1つのΔS値を決定する、請求項37に記載のバイオセンサシステム。
【請求項39】
測定装置が、携帯型である、請求項37に記載のバイオセンサシステム。
【請求項40】
請求項2〜24のいずれか1つに記載の限定のうち1つ以上を含む、請求項37に記載のバイオセンサシステム。
【請求項41】
プロセッサが、少なくとも1つのΔS値を正規化する、請求項37に記載のバイオセンサシステム。
【請求項42】
プロセッサが、基準相関式の勾配に応じて少なくとも1つのΔS値を正規化する、請求項41に記載のバイオセンサシステム。
【請求項43】
プロセッサが、正規化された勾配関数に応じて少なくとも1つのΔS値を正規化する、請求項41に記載のバイオセンサシステム。
【請求項44】
試料の被分析物濃度を判定するバイオセンサシステム用のセンサストリップであって、判定された被分析物濃度のパーセントバイアスとΔSとの間の実質的な一次関係を有するようにストリップが配置および構成されている、センサストリップ。
【請求項45】
判定された被分析物濃度のパーセントバイアスと正規化されたΔSとの間の実質的な一次関係を有するようにストリップが配置および構成されている、請求項44に記載のセンサストリップ。
【請求項46】
試料中の被分析物濃度を判定する方法であって、
試料から少なくとも1つの出力信号を生成するステップと、
少なくとも1つの指数関数を決定するステップであって、少なくとも1つの指数関数が少なくとも1つのエラーパラメータに対応する、ステップと、
少なくとも1つの指数関数に対応する少なくとも1つの出力信号から試料中の被分析物濃度を判定するステップと、を含む方法。
【請求項47】
少なくとも1つの入力信号を試料に印加するステップと、
少なくとも1つの入力信号に応じて試料から少なくとも1つの出力信号を生成するステップと、をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも1つの入力信号がゲートアンペロメトリに対応する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ポーリングシーケンスを印加するステップと、
十分な量の試料が存在するか否かを判断するステップと、
パルスシーケンスを印加するステップと、をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1つの指数関数に応じて被分析物相関式を調整するステップと、
被分析物相関式および少なくとも1つの出力信号から試料中の被分析物濃度を判定するステップと、をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つの指数関数が、システムエラーが少なくとも1つのエラー境界線の外側にあることを示すときに、被分析物相関式を調整するステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも1つの指数関数が、%バイアス、勾配偏差、および勾配正規化のうち少なくとも1つに基づく相関関係に対応する、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
少なくとも1つの指数関数が、基準相関式の勾配によって正規化される、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
【数24】


の基準相関式の正規化された勾配に対応する指数関数で被分析物濃度を判定するステップであって、
ここでAcorrは判定された分析物濃度であり、iは少なくとも1つの出力信号であり、Intは基準相関の切片であり、そしてScalは基準相関からの勾配である、ステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1つの指数関数が正規化された勾配関数に対応する、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
正規化された勾配関数が、
【数25】


で表され、ここでSNMLは正規化された勾配関数であり、Sは相関勾配であり、Scalは基準相関からの勾配であり、iは少なくとも1つの出力信号であり、Intは基準相関の切片であり、そしてArefは基準分析物濃度である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
【数26】


の正規化された勾配関数に対応する指数関数で被分析物濃度を判定するステップであって、
ここでAcorrは判定された分析物濃度であり、iは少なくとも1つの出力信号であり、Intは基準相関の切片であり、Scalは基準相関からの勾配であり、そしてSNMLは正規化された勾配関数である、ステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1つの指数関数が、%バイアスと少なくとも1つの出力信号の比率との間の相関関係に対応する、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つのエラーパラメータが、温度およびヘマトクリットレベルのうち少なくとも1つを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
試料が、生体液である、請求項46に記載の方法。
【請求項61】
被分析物が、グルコースを含み、そして試料が全血を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項62】
判定された被分析物濃度のパーセントバイアスが最大で±10%である、請求項46に記載の方法。
【請求項63】
該方法から判定された分析の95%より多くが±20%のバイアス制限範囲内に収まる、請求項46に記載の方法。
【請求項64】
試料中の被分析物濃度を判定する方法であって、
試料に少なくとも1つの電位シーケンスを印加するステップと、
試料からの少なくとも1つの出力信号を記録するステップと、
少なくとも1つの指数関数を決定するステップと、
少なくとも1つの指数関数に応じて少なくとも1つの出力信号から試料中の被分析物濃度を判定するステップと、を含む方法。
【請求項65】
第一電位シーケンスを印加するステップと、
十分な量の試料が存在するか否かを判断するステップと、
第二電位シーケンスを印加するステップと、をさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
第一電位シーケンスが、ポーリング電位シーケンスである、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
ポーリング電位シーケンスが、拡張ポーリングを有する、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1つの電位シーケンスがゲートアンペロメトリに対応する、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
少なくとも1つの指数関数が、%バイアス、勾配偏差、および勾配正規化のうち少なくとも1つに基づく相関関係に対応する、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1つの指数関数が、基準相関式の勾配によって正規化される、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
【数27】


の基準相関式の正規化された勾配に対応する指数関数で被分析物濃度を判定するステップであって、
ここでAcorrは判定された分析物濃度であり、iは少なくとも1つの出力信号であり、Intは基準相関の切片であり、そしてScalは基準相関からの勾配である、ステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1つの指数関数が、正規化された勾配関数に対応する、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
正規化された勾配関数が、
【数28】


で表され、ここでSNMLは正規化された勾配関数であり、Sは相関勾配であり、Scalは基準相関からの勾配であり、iは少なくとも1つの出力信号であり、Intは基準相関の切片であり、そしてArefは基準分析物濃度である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
【数29】


の正規化された勾配関数に対応する指数関数で被分析物濃度を判定するステップであって、
ここでAcorrは判定された分析物濃度であり、iは少なくとも1つの出力信号であり、Intは基準相関の切片であり、Scalは基準相関からの勾配であり、そしてSNMLは正規化された勾配関数である、ステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項75】
少なくとも1つの指数関数が、%バイアスと少なくとも1つの出力信号の比率との間の相関関係に対応する、請求項59に記載の方法。
【請求項76】
少なくとも1つの指数関数が、少なくとも1つのエラーパラメータに対応する、請求項59に記載の方法。
【請求項77】
少なくとも1つのエラーパラメータが、温度およびヘマトクリットレベルのうち少なくとも1つを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項78】
少なくとも1つの指数関数が、システムエラーが少なくとも1つのエラー境界線の外側にあることを示すときに、被分析物相関式を調整するステップをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項79】
試料が生体液である、請求項59に記載の方法。
【請求項80】
被分析物が、グルコースを含み、そして試料が全血を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項81】
判定された被分析物濃度のパーセントバイアスが最大で±10%である、請求項59に記載の方法。
【請求項82】
該方法から判定された分析の95%より多くが±20%のバイアス制限範囲内に収まる、請求項59に記載の方法。
【請求項83】
本明細書に開示された、全ての新規な特徴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−506966(P2011−506966A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538067(P2010−538067)
【出願日】平成20年12月6日(2008.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/085768
【国際公開番号】WO2009/108239
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】