説明

勾配推定装置および車両情報提供装置

【課題】車両の地図上での現在位置に関わらず道路勾配データを簡易に且つ精度良く推定することができる勾配推定装置、および、該装置に勾配推定用の車両情報を提供する車両情報提供装置を提供する。
【解決手段】自装置たる勾配推定装置120に対応する車両101の車両情報発信部115が発した当該車両でのエネルギー消費に係る情報および速度情報を自装置120の車両情報受信部121で受信し、該受信した情報に依拠して道路勾配を推定する。これにより、車両の水準位置の変化と相関が高く且つ水平面上への投影位置(地図上の位置)の精度に依存し難い当該車両でのエネルギー消費に係る情報を利用して道路勾配データを簡易に且つ精度良く推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勾配推定装置、および、この勾配推定装置に勾配推定用の車両情報を提供する車両情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
正確な勾配情報を取得するために、自律航法により実測した勾配値を、予め計測されている標高データから求めた勾配値で検証する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
即ち、特許文献1には、所定時間内の自立航法による移動距離と該移動距離を水平面に投影した平面距離との差に基づく勾配情報と、国土地理院が提供している高度情報による勾配情報とを比較して精度のより高い勾配情報を得る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−236714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1所載の技術で必須とされる国土地理院が提供している高度情報では、橋やトンネルなど地形と一致していな人口構造物に関する高度情報については代表的な値が示されるに留まる場合もある。このため、場所によって高度情報の精度にばらつきが生じ、これに起因して如何なる場所でも十分に精度の高い勾配情報を得ることが難しい等の問題がある。
【0005】
上述のとおり、従来の技術では、道路勾配データを用いて電気自動車やその他の車両におけるエネルギー消費量に着目した航続可能距離の推定やエネルギー最小走行経路の割り出し等の処理を行うに際し、処理結果の信頼性に問題が生じるおそれがある。
本発明は上述した状況に鑑みてなされたものであり、車両の地図上での現在位置に関わらず道路勾配データを簡易に且つ精度良く推定することができる勾配推定装置、および、該装置に勾配推定用の車両情報を提供する車両情報提供装置を具現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の勾配推定装置では、自装置に対応する車両の車両情報発信部が発した当該車両でのエネルギー消費および速度に係る車両情報を自装置の車両情報受信部で受信し、該受信した情報に依拠して道路勾配を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行中の実際の車両でのエネルギー消費に係る情報に基づいて、車両の現在位置によらずに道路勾配データを簡易に且つ精度良く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態としての勾配推定装置および車両を含む勾配推定システムを表す機能ブロック図である。
【図2】図1のシステムの車両情報提供装置での処理を表すフローチャートである。
【図3】図1のシステムの勾配推定装置での処理を表すフローチャートである。
【図4】車両におけるエネルギー消費の内訳を表す概念図である。
【図5】推定車両重量の算定手順を表すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態としての勾配推定装置および車両を含む勾配推定システムを表す機能ブロック図である。
【図7】図6の勾配推定システムの車両情報提供装置での処理を表すフローチャートである。
【図8】踏み込み速度および踏み増し量に応じて設定した運転者特性の区分を例示する図である。
【図9】図6の勾配推定システムの勾配推定装置での処理を表すフローチャートである。
【図10】図6のシステムの勾配推定装置における勾配推定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
(本発明の第1実施形態としての装置を含む勾配推定システムの構成)
図1は、本発明の第1実施形態としての勾配推定装置および車両情報提供装置を含む勾配推定システムを表す機能ブロック図である。
勾配推定システム10は、車両101とサーバ120とを含む。本例では、サーバ120が本発明の実施形態としての勾配推定装置を構成している。
車両101は、CAN(Controller Area Network)102および車両情報提供装置110を搭載している。
後述するように、車両101側の本発明の実施形態としての車両情報提供装置110と、勾配推定装置120とが通信を行なう。
【0010】
勾配推定装置120は、この通信によって得た情報を用いて車両101の走行経路に係る勾配データを算出する。該算出による勾配データは車両101の走行経路に係る道路勾配の推定値である。
CAN102は、シリアル通信であるCANプロトコルによる車両内通信を行なう。この車両内通信により、不図示の該当する各検出部から車両101のエネルギー消費量や速度などの情報を含む所用の車両情報を車両情報提供装置110に伝達する。
【0011】
車両情報提供装置110は、GPS装置111、車両情報取得装置112、点列データ保存装置113、および、車両情報送信装置114を有する。
GPS装置111は、人工衛星を利用して位置情報を得る。また、車両情報取得装置112は、GPS装置111からの位置情報およびCAN102からの上述のような車両情報を収集する。
【0012】
車両情報取得装置112は、上述の如く取得した車両情報が含んでいる位置情報およびエネルギー消費量や速度などの情報に基づいて点列データを生成する。
ここに、点列データとは、車両の走行経路における各リンクの開始ノードと終了ノードとの間の点列を表すデータ、および当該点列に関連する諸データである。より具体的には、後述するところから明らかになる。
【0013】
点列データ保存装置113は、車両情報取得装置112が生成した車両情報を少なくとも一時的に保存する。
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置112で取得した情報を勾配推定装置120に送信する。
尚、一つの構成例では、点列データ保存装置113における点列データの保存期間は、当該点列データを保存した時点から上述の車両情報送信装置114によって勾配推定装置120に送信する時点までの期間である。
【0014】
一方、勾配推定装置120は、車両情報受信装置121、車両情報データベース122、車両特性データベース123、道路勾配情報推定装置124、および、地図データベース125を備えている。
車両情報受信装置121は、車両101側の車両情報提供装置110における車両情報送信装置114が送信する車両情報を受信する。
【0015】
車両情報データベース122は、車両情報受信装置121が車両101の車両情報提供装置110から受診した車両情報を保存する。
車両特性データベース123は、様々な車種の特性を保持している。
道路勾配情報推定装置124は、車両情報データベース122が保持している車両情報、および、車両特性データベース123が保持している該当車両(車両101)の特性情報に基づいて該当車両の走行経路に係る道路勾配の推定値を算出する。
【0016】
尚、本例における道路勾配情報推定装置124は、勾配推定部124aと重量推定部124bを有している。勾配推定部124aは道路勾配推定の処理を行い、重量推定部124bは当該車両の重量を推定する。
また、地図データベース125は、地図情報を保持している。道路勾配情報推定装置124は、該当車両の走行経路に係る道路勾配の推定値を算出する際に、適宜、この地図情報を参照する。そして、道路勾配情報推定装置124は、該算出した勾配の推定値を地図データベース125に供与し地図情報に反映させることができる。
【0017】
(勾配推定システムにおける処理)
次に、図面を参照して、図1のシステムにおける処理に関して説明する。
(勾配推定システムにおける第1実施形態としての車両情報提供装置での処理)
図2は、図1のシステムの車両101(車両情報提供装置110)における処理を表すフローチャートである。順次に説明するように、このフローチャートにおける手順では、ドアの開閉やブレーキの作動状態、エアコンや補機類等の原動機以外のエネルギー消費機器の作動状態の監視と作動情報の取得を行う。
【0018】
図2のフローチャートにおいて、図1の車両情報提供装置110では、処理が開始すると、車両情報取得装置112がGPS装置111または図示しない自律航法装置から走行経路上の現在位置の緯度経度情報を取得する(ステップS201)。
次いで、車両情報取得装置112がCAN112からエネルギー消費量(車両101がガソリン車である場合には燃料消費量、EVである場合には電力消費量など)の情報、速度の情報を取得する(ステップS202)。
【0019】
更に、車両情報取得装置112がCAN112から車両101のドアの開閉状態の情報を取得可能か否かを判断する(ステップS203)。
このステップS203で、ドアの開閉タイミングの情報が取得可能であると判断した場合には(ステップS203:Yes)、ドアの開閉タイミングの情報を取得し(ステップS204)、ブレーキの動作状態の情報が取得可能か否かの判断に移行する(ステップS205)。
【0020】
一方、ステップS203で、ブレーキの動作状態の情報が取得不可能であると判断した場合には(ステップS203:No)、ステップS204をスキップして、ステップS205に移行する。
ステップS205で、ブレーキの動作状態の情報が取得可能であると判断した場合には(ステップS205:Yes)、ブレーキの動作状態の情報を取得する(ステップS206)。
【0021】
ステップS206に次いで、エアコンや補機類の状態の情報が取得可能か否かの判断に移行する(ステップS207)。
一方、ステップS205で、ブレーキの動作状態の情報が取得不可能であると判断した場合には(ステップS205:No)、ステップS206をスキップして、ステップS207に移行する。
ステップS207でエアコンや補機類の状態の情報が取得可能であると判断した場合には(ステップS207:Yes)、エアコンその他の補機類の状態の情報を取得する(ステップS208)。
【0022】
次いで、ステップS202で取得した情報、および、ステップS204、206、208の該当するステップで取得できた各情報を、ステップS201での緯度経度および時刻の情報に対応付けて、点列データとして保存する(ステップS209)。
ステップS209における点列データの保存は、既述のように、車両101の点列データ保存装置113にて行う。
一方、ステップS207でエアコンその他の補機類の状態の情報が取得不可能であると判断した場合には(ステップS207:No)、ステップS208をスキップしてステップS209に移行する。
【0023】
また、車両情報取得装置112は、点列データ保存装置113に保存している情報を勾配推定装置120に送信する周期的なタイミングの到来を監視している(ステップS210)。
車両情報取得装置112は、上述のタイミングの到来を監視しながら待機し(ステップS210:No)、このタイミングが到来すると(ステップS210:Yes)、点列データ保存装置113の保存情報を勾配推定装置120に送信する(ステップS211)。
【0024】
即ち、ステップS211では、車両101の車両情報送信装置114が勾配推定装置120の車両情報受信装置121に向けて点列データ保存装置113が保存している情報を送信する。
ステップS211での送信が完了すると、車両101側から勾配推定装置120への情報の転送処理の一つのサイクルが完了し、リターンに到る。
【0025】
尚、ステップS203〜ステップS204におけるドアの開閉タイミングの情報に替えて、或いは、これと共に、当該車両の起動/停止タイミングの監視とこの監視結果の情報の取得を行うようにしてもよい。
ここに、当該車両の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す情報を、適宜、運転者操作タイミング情報と総称する。
【0026】
(勾配推定システムにおける第1実施形態としての勾配推定装置での処理)
図3は、図1のシステムの勾配推定装置での処理を表すフローチャートである。
勾配推定装置120側では、その車両情報受信装置121が、車両101側の車両情報送信装置114からの点列データの受信を行い、点列データを現に受信しているか否かを判断する(ステップS301)。
【0027】
そして、点列データを現に受信していることを確認するまで待機して(ステップS301:No)、点列データの受信を確認すると(ステップS301:Yes)、該受信した点列データを車両情報データベース122に保存する(ステップS302)。
上記保存した点列データに、車両の起動/停止やドアの開閉等に係る新たな情報が現われたか否かの監視を続ける(ステップS303:No)。
【0028】
監視中に新たな情報が現われたときには(ステップS303:Yes)、その新たな情報に係る点列データの区切りが認識できるか否かを判断する(ステップS304)。
ステップS304で、点列データの区切りが認識できないときには(ステップS304:No)、停止時間やデータの無い時間(たとえば、20分など)をもって、点列データに区切りを付与する(ステップS305)。
【0029】
ステップS304で点列データの区切りが認識できたとき(ステップS304:Yes)、および、ステップS305で点列データに区切りを付与したときには、この区切り毎に点列データを分析する(ステップS306)。
次いで、エアコンやオーディオ、補機類の状態の情報(動作状況の情報)が取得できているか否かを判断する(ステップS307)。
【0030】
ステップS307で、これらの情報が取得できていないと判断したときには(ステップS307:No)、次のステップS308の処理を実行する。
即ち、ステップS308では、エアコンやオーディオ、補機類の動作状況と車両特性データベース123が保持するその車両のエアコンや補機類の性能特性とにより推測されるエネルギー消費量を点列データのなかのエネルギー消費量から減算する。この減算結果が走行のために使われているエネルギー消費量の推定値である。
【0031】
尚、車両特性データベース123に上記推測を行う性能特性のデータが無い場合は、既定の標準的な補機類の動作状態とエアコンの動作状態に対応するエネルギー消費量を仮定し、該仮定した値を点列データ情報中のエネルギー消費量から減算する。
即ち、エネルギー消費量の仮定値を用いて走行のために使われているエネルギー消費量の推定値を得る。
一方、ステップS307で、エアコンやオーディオ、補機類の動作状況の情報が取得できていると判断したときには(ステップS307:Yes)、この動作状況に係るエネルギー消費量の値を点列データ情報中のエネルギー消費量から減算して走行のために用いたエネルギー量を算出する(ステップS309)。
【0032】
ステップS309に次いで、車両特性データベース123の保持データに依拠して、速度域毎にその速度を維持して巡航するに要するエネルギー消費量(駆動ロスや空気抵抗等を勘案した量)を取得し、エネルギー消費量から減算する(ステップS310)。
ステップS308でエネルギー消費量の推定値を得たときには、このエネルギー消費量の推定値を上述のエネルギー消費量としてステップS310での減算を実行する。
【0033】
ステップS301〜ステップS310の処理(機能)によって、エアコンや補機類によるエネルギー消費量と巡航するためのエネルギー消費量、加減速によるエネルギー消費量、即ち、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量の影響を除去することができる。
即ち、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量(非相関エネルギー消費関連情報で表す)を減算することによって、本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求めることができる。
【0034】
図4は、上述のようなエネルギー消費量の内訳を表す概念図である。
図4の如く、順次の時間区間における点列データt−2、t−1、tのエネルギー消費量の内訳は、図3のステップS315にて既述のような実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を含んでいる。
即ち、一つの点列データにおけるエネルギー消費量は、高度変化分のエネルギー消費量(Ec1)の他に、加速分、巡航するための分、エアコンや補機類による分の各エネルギー消費量(Ec2、Ec3、Ec4)を含んでいる。
図4の例における点列データでは、高度変化分のエネルギー消費量(Ec1)の比率は寧ろ少なく、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量(Ec2、Ec3、Ec4)を相対的に多く含んでいる。
【0035】
図3のフローチャートに説明を戻す。
加減速に関しては、点列データの、現在の速度域よりも一つ前の処理周期での速度の値と現在値との差分と、推定車両重量から、加減速による消費されたエネルギーを推定し、該推定値をエネルギー消費量から減算する(ステップS311)。即ち、ステップS311の減算によって、加減速に起因するエネルギー消費量の変動を補正する。
【0036】
次いで、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できるか否かを判断する(ステップS312)。
ステップS312で、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できると判断したときには(ステップS312:Yes)、ブレーキが作動中の場合で上述の減算後のエネルギー消費量が0以下であるか否かを判断する(ステップS313)。
【0037】
一方、ステップS312で、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できないと判断したときには(ステップS312:No)、ブレーキによる減速度が大きく、減算後のエネルギー消費量が0以下であるか否かを判断する(ステップS314)。
先のステップS313で、減算後のエネルギー消費量が0以下であると判断したとき(ステップS313:Yes)には、後述するステップS315に移行する。
【0038】
また、ステップS314で、減算後のエネルギー消費量が0以下であると判断したときにも(ステップS314:Yes)、ステップS315に移行する。
上述におけるエネルギー消費量が0以下であるとの判断は、道路勾配が下り勾配を呈していると推定したことを意味する。この判断(ステップS313;S314:Yes)に続くステップS315では、道路が下り勾配であるとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
【0039】
道路が下り勾配でエネルギー消費量が0以下であるということは、エネルギーがブレーキによる熱エネルギーに変化している可能性が高いことを意味する。このため、エネルギー消費量と道路勾配との相関が希薄である。従って、道路勾配下り範囲にあるとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
また、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できない場合であっても(ステップS312:No)、の場合(ステップS314:Yes)には、道路勾配下り範囲にあるとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
【0040】
上述のように除外するのは、下り勾配範囲では、ブレーキによるエネルギー消失や回生によるエネルギー回収動作(エネルギー消費量が0以下)が生じる場合があり、エネルギー消費量と高低差との相関が特定し難く勾配推定が困難であるからである。
ステップS313で、ブレーキが作動中の場合で上述の減算後のエネルギー消費量が0以下ではないと判断したときには(ステップS313:No)、ステップS316で変化高度を算出する。
【0041】
即ち、ステップS316では、上述の実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算したエネルギー消費量を高度変化分のエネルギー消費量として、該エネルギー消費量と推定車両重量より変化高度を算出する。
そして、走行距離とステップS316で算出した変化高度から、勾配角度を推定し、該推定による勾配角度を地図データベースに進行方向とともに当てはめて記録していく(ステップS317)。
【0042】
勾配角度の推定では、異常値などを除いた勾配角度のデータで学習を行うが、下り勾配の推定値は確度が低いため、対向車線を走行する他の車両から登り勾配データを取得して用い下り勾配の推定値とする。
即ち、車両が下り勾配を走行中の場合、その走行における対向車線の車両は登り勾配を走行しているため、同じ勾配について、対向車線の車両から勾配算出のための基礎データとして確度のより高いデータを取得することができる。そして、該取得したデータに依拠して、下り勾配についても、原理上、登り勾配と同等の確度で勾配を算出することができる。
【0043】
上り勾配と推定した勾配角度を学習する場合、重みを大きくし、ほぼ平坦と推定されたものや、下りと推定されたデータよりも重点的に学習する(ステップS318)。
このステップS318では、同一地点について複数の車両からのデータに基づいて多数の推定勾配値を算出し、該算出した勾配値に係る統計学習によって勾配情報を生成する。
ステップS318の処理が完了すると、リターンする。
【0044】
(車両重量の推定)
次に、図を参照して推定車両重量の補正方法について説明する。
図5は推定車両重量の算定手順を表すフローチャートである。
上掲の図3を参照して既述の点列データの区切り毎に、その点列データにおける、平坦路と推定した場所の有無を判断する(ステップS501)。即ち、平坦路と推定した場所を探索する。
【0045】
ステップS501の探索で平坦路が見出されたときには(ステップS501:Yes)、その平坦路における一定速で巡航する区間の有無を判断する(ステップS502)。
ステップS501の探索で平坦路が見出されないときには(ステップS501:No)、
当該車両のカタログデータによる車両重量と、乗車人員1名で平均65kgという想定値を加算した値を採用するものとして扱い(ステップS503)、この後、処理を終了(リターン)する。
【0046】
また、ステップS502で、その平坦路には一定速で巡航する区間が無いと判断したときにも(ステップS502:No)、既述のステップS503に移行する。
ステップS502で、その平坦路には一定速で巡航する区間があると判断したときには(ステップS502:Yes)、エアコンやオーディオ、補機類の状態の情報(動作状況の情報)が取得できているか否かを判断する(ステップS504)。
【0047】
ステップS504で、これらの情報(動作状況の情報)が取得できていないと判断したときには(ステップS504:No)、次のステップS505の処理を実行する。
このステップS505では、エアコンやオーディオ、補機類等の原動機以外のエネルギー消費機器の動作状況と車両特性データベース123が保持するその車両のエアコンや補機類の性能特性とにより推測されるエネルギー消費量を点列データの中のエネルギー消費量から減算する。この減算結果が走行のために使われているエネルギー消費量の推定値である。
【0048】
一方、ステップS504で、これらの情報(動作状況の情報)が取得できていると判断したときには(ステップS504:Yes)、この動作状況に係るエネルギー消費量の値を点列データ情報中のエネルギー消費量から減算して走行のために用いたエネルギー量を算出する(ステップS506)。
既述のステップS505の処理の後、この処理で得たエネルギー消費量を車両特性データベース123が保持する巡航用のエネルギー消費量と比較する(ステップS507)。
【0049】
ステップS506の処理の後も、既述のステップS507に移行する。
ステップS507に次いで、巡航用のエネルギー消費量から車両重量の増減を推定し、推定車両重量を補正して勾配角度推定の精度を高くする(ステップS508)、以降、リターンする。
このステップS508における補正では、車両重量以外の走行抵抗は定常であるものと仮定している。
【0050】
(第1実施形態の車両情報提供装置および勾配推定装置によるシステムの作用)
車両101側に備えた車両情報提供装置110では、その車両情報取得装置112が当該車両101におけるエネルギー消費量の情報および速度情報を含む車両情報を取得する。そして、該取得した車両情報を勾配推定装置(サーバ)120に提供する。
【0051】
車両情報提供装置110は、更に、当該車両101の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す運転者操作タイミング情報をも勾配推定装置120に提供する。また、ブレーキの動作状態の情報、エアコンや補機類等原動機以外のエネルギー消費機器の状態の情報をも勾配推定装置120に提供する。
【0052】
勾配推定装置120では、車両情報提供装置110から受けた車両情報が含むエネルギー消費量の情報および速度情報に基づいて道路勾配を算出する。この算出による値が道路勾配の推定値である。
道路勾配算出の過程では、車両情報中の当該車両の高度変化と実質的に相関がない非相関エネルギー消費(図4:Ec2;Ec3;Ec4)に関連する非相関エネルギー消費関連情報を用いて高度変化と相関があるエネルギー消費情報を補正する。そして、該補正後のエネルギー消費情報に基づいて道路勾配を推定する。
【0053】
また、該補正後のエネルギー消費情報から道路勾配を推定する処理では、推定車両重量を道路勾配算出に適用する。
上述の車両情報は、運転者操作タイミング情報または既定の時間に依拠して区切った点列データの形態で取り扱う。
勾配推定装置120は、複数の車両(その車両情報提供装置)からの車両情報を用いて道路勾配の推定を行う態様を採り得る。
また、勾配推定装置120は、道路勾配が下り勾配であることを検知したときには、対向車線の車両からの車両情報を用いて道路勾配を推定する。
【0054】
(本発明思想の構成要件と第1実施形態の勾配推定装置における各部との対応関係)
本発明思想の構成要件における勾配推定装置には第1実施形態における勾配推定装置(サーバ)120がこれに該当し、以下同様に、車両情報受信部には車両情報受信装置121が、勾配推定部には道路勾配情報推定装置124が各該当する。
【0055】
(第1実施形態の勾配推定装置の効果)
(1−1)第1実施形態としての勾配推定装置120は、自装置120に対応する車両101から受信した情報に基づいて当該車両101の進行に係る勾配を推定する。
勾配推定装置120の車両情報受信部(車両情報受信装置)121が、車両101が発信する当該車両101でのエネルギー消費に係る情報および速度情報を受信する。
そして、勾配推定装置120の勾配推定部(道路勾配情報推定装置)124が車両情報受信部121で受信した前記エネルギー消費に係る情報および速度情報に基づいて当該車両101の進行に係る勾配を推定する。
【0056】
車両のエネルギー消費費に係る情報は車両の水準位置の変化と相関が高く且つ水平面上への投影位置(地図上の位置)の精度に依存し難い。
従って、(1−1)の場合には、道路勾配データを簡易に且つ精度良く推定することができる。
更にまた、(1−1)の場合には、GPSに依らずに道路勾配データを推定するため、GPSを利用することを必須とするような装置におけるような問題が原理的に生じない。
一般に、GPSによる高度情報はジオイド(重力ポテンシャル面)とは異なるため、正確に受信できたとしても、15m〜30m程度の誤差を含んでいる。従って、緻密なエネルギー消費量の算定の基礎とするに足る程の高い精度での道路勾配を推定することは難しい。
【0057】
具体例を示せば、重量が1トンの車両が1秒間に1m上昇するには9800Wのエネルギーが必要であり、1秒毎に5mの誤差があると仮定した場合には、1時間当り186MW(ガソリン換算で概ね5リットルに相当)の誤差を生じてしまう。そして、ガソリン1リットルによるエネルギーは34.6MJであることから、時速40kmで走行する場合には、上述の誤差に対応する燃費はリッター当り8kmに匹敵する。これは、重量が1トンの車両の燃費がリッター当り16kmであると仮定しても、走行距離の誤差が50%以上あるということを意味している。
【0058】
これに対し、(1−1)の場合には、緻密なエネルギー消費量の算定の基礎とするに足る十分な精度での道路勾配を推定することができる。
(1−2)上記(1)の勾配推定装置において特に、車両情報受信部121は、複数の車両が発信する当該各車両のエネルギー消費に係る情報および速度情報を受信可能である。そして、道路勾配推定装置124は、車両情報受信部121が受信した複数の各車両のエネルギー消費に係る情報および速度情報に基づいて、道路勾配を推定する。
従って、(1−2)の場合には、単一の車両からのエネルギー消費に係る情報および速度情報に依拠して推定するよりも高い確度で勾配を推定することができる。
【0059】
(1−3)上記(1−1)または(1−2)の勾配推定装置において特に、道路勾配が下り勾配を呈していると推定したときには、当該車両の対向車線を走行する当該他の車両の車両情報を取得し、該取得した車両情報に基づいて道路勾配を推定する
従って、(1−3)の場合には、車両が下り勾配を走行中には確度の高い勾配推定は出来ないが、対向車線の車両は登り勾配を走行しているため、同じ勾配について、対向車線の車両から勾配算出のための基礎データとして確度のより高いデータを取得することができる。そして、該取得したデータに依拠して、下り勾配についても、原理上、登り勾配と同等の確度で勾配を推定することができる。
【0060】
(1−4)上記(1−1)、(1−2)、(1−3)の何れか一の勾配推定装置において特に、前記車両情報が含む当該車両の高度変化と実質的に相関がない非相関エネルギー消費に関連する非相関エネルギー消費関連情報を用いて高度変化と相関があるエネルギー消費情報を補正し、該補正を行ったエネルギー消費情報に基づいて道路勾配を推定する。
上記(1−4)の場合には、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算することによって、本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求め、道路勾配を高い確度で推定することができる。
【0061】
(1−5)上記(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)の何れか一の勾配推定装置において特に、道路勾配情報推定装置124は、前記車両情報中の当該車両のブレーキの動作情報をも利用して道路勾配を推定する。
上記(1−5)の場合には、ブレーキの動作とエネルギー消費量とを関連付けて、車両が下り勾配に位置していることを識別することができる。従って、確度の十分に高い勾配情報を取得することができる。
【0062】
(1−6)上記(1−4)の勾配推定装置において特に、道路勾配情報推定装置124は、車両情報受信部121で受信した前記エネルギー消費に係る部位の作動を表す情報としての当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも用いて前記補正を実行する。
上記(1−6)の場合には、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算して本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求める。そして、特に、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量として、当該車両のエアコンやオーディオなどの車室内の機器や補機類の作動によるものを考慮し、それによる影響を除去することができる。
【0063】
(1−7)上記(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)の何れか一の勾配推定装置において特に、道路勾配情報推定装置124は、車両情報受信部121で受信した運転者操作タイミング情報を車両情報受信部での受信情報の区切りに利用して勾配を推定する。ここに運転者操作タイミング情報とは、当該車両の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す情報である。
上記(1−7)の場合には、車両情報提供装置110から受信した情報を、運転者操作タイミング情報に基づいて区切った点列データとして取り扱うことができる。従って、この点列データに基づいて適確に勾配を推定することができる。
【0064】
(本発明思想の構成要件と第1実施形態の車両情報提供装置における各部との対応関係)
本発明思想の構成要件における車両情報提供装置には第1実施形態における車両情報提供装置110がこれに該当し、以下同様に、車両情報取得部には車両情報取得装置112が、車両情報送信部には車両情報送信装置114が各該当する。
(1−8)第1実施形態としての車両情報提供装置110は、上記(1−1)ないし(1−7)の何れか一の勾配推定装置120に車両情報を提供する。
【0065】
この車両情報提供装置110の車両情報取得装置112が、車両情報を取得する。
また、車両情報提供装置110の車両情報送信装置114が、車両情報取得装置112で取得した前記エネルギー消費に係る情報を勾配推定装置120に送信する。
上記(1−8)の車両情報提供装置110では、車両情報を取得して自装置に対応する勾配推定装置120に供給することができる。従って、勾配推定装置120側では、この供給による車両情報を利用して道路勾配を推定する。この場合、車両情報が含むエネルギー消費費に係る情報は車両の水準位置の変化と相関が高く且つ地図上の位置の精度に依存し難い。
従って、(1−8)の車両情報提供装置110では、勾配推定装置120における、簡易且つ高精度な道路勾配推定を可能にする。
【0066】
(1−9)上記(1−8)の車両において特に、車両情報取得装置113は前記非走行用途情報をも取得し、
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置113が取得した非走行用途情報を勾配推定装置120に送信する。
上記(1−9)の場合には、勾配推定装置120において、車両101における全体のエネルギー消費量から非走行用途のエネルギー消費量を減算することによって、本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求めることができる。
【0067】
(1−10)上記(1−9)の車両において特に、車両情報取得装置113は、当該車両のブレーキの動作情報をも取得し、
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置113が取得した当該車両のブレーキの動作情報をも勾配推定装置120に送信する。
上記(1−10)の場合には、勾配推定装置120において、ブレーキの動作とエネルギー消費量とを関連付けて、道路勾配が下り勾配であることを識別することができる。従って、勾配推定装置120において、確度の十分に高い勾配情報を取得することができる。
【0068】
(1−11)上記(1−9)の車両において特に、車両情報取得部113は、前記非走行用途情報としての当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも取得し、
車両情報送信装置114は、車両情報取得部113が取得した当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも勾配推定装置120に送信する。
上記(1−11)の場合は、勾配推定装置120において、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算して本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求める。そして、特に、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量として、当該車両のエアコンやオーディオなどの車室内の機器や補機類の作動によるものを考慮し、それによる影響を除去することができる。
【0069】
(1−12)上記(1−9)の車両において特に、前記車両情報取得装置112は、前記エネルギー消費に係る部位の作動を表す情報としての当該車両の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す運転者操作タイミング情報をも取得し、
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置112が取得した前記運転者操作タイミング情報をも前記勾配推定装置120に送信する。
上記(1−12)の場合には、勾配推定装置120において、車両情報提供装置110から受信した情報を、当該運転者操作タイミング情報に依拠して区切った点列データとして取り扱うことができる。従って、この点列データに基づいて適確に勾配を推定することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、図面を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態としての勾配推定装置および車両情報提供装置を含む勾配推定システムを表す機能ブロック図である。
図6の勾配推定システムにおける既述の図1の勾配推定システムとの相違点は、車両情報提供装置610側が運転者特性学習装置615を有し、勾配推定装置620側が運転者特性データベース621を有して、運転者の運転特性を反映した処理を行う点である。
【0071】
以下、本発明の第2実施形態につき逐次説明するが、既述の第1実施形態と同様な部分については両者の対応関係を表記するに留め、個々の詳細については図1を参照して既述の説明を援用する。
図6の勾配推定システム60は、車両601とサーバ620とを含む。本例では、サーバ620が本発明の第2実施形態としての勾配推定装置を構成している。
車両601は、CAN602および本発明の第2実施形態としての車両情報提供装置610を搭載している。
【0072】
図1の勾配推定システム10におけると同様に、車両情報提供装置610と、勾配推定装置620とが通信を行なう。
勾配推定装置620は、この通信によって得た情報を用いて道路勾配データを算出するという点では、図1における第1実施形態の勾配推定装置110と同様である。
CAN602は、図1を参照して既述のCAN102と同様のものである。
車両情報提供装置610は、GPS装置611、車両情報取得装置612、点列データ保存装置613、車両情報送信装置614、および、運転者特性学習装置615を有する。
【0073】
GPS装置611は、既述のGPS装置111と同様のものである。
車両情報取得装置612は、運転者特性学習装置615との間で運転者の運転特性に係る情報を授受するが、その他の点では、既述の車両情報取得装置112に略対応する機能を営む。
点列データ保存装置613は、既述の点列データ保存装置113と同様のものである。
車両情報送信装置614、既述の車両情報送信装置114と略同様のものであるが、本例では特に、運転者の運転特性に係る情報をも送信する。
【0074】
運転者特性学習装置615は、運転者の運転特性(運転習性)を学習する装置であり、その作用については後に図7(a)のフローチャートを参照して説明する。
既述のように、運転傾向学習装置615は車両情報取得装置612との間で運転者の運転特性に係る情報を授受する。
一方、情報を勾配推定装置620は、車両情報受信装置621、車両情報データベース622、車両特性データベース623、道路勾配情報推定装置624、地図データベース625、および、運転者特性データベース626を備えている。
【0075】
車両情報受信装置621は、既述の車両情報受信装置121と略同様のものであるが、本例では特に、運転者の運転特性に係る情報をも受信する。
車両情報データベース622および車両特性データベース623は、既述の車両情報データベース122および車両特性データベース123と同様のものである。
道路勾配情報推定装置624は、運転者特性データベース626に保存された運転者の運転特性に係る情報をも用いて道路勾配を推定するが、その他の点では既述の道路勾配情報推定装置124に略対応する機能を営む。
【0076】
本例の道路勾配情報推定装置624においても、道路勾配情報推定装置124と同様に勾配推定部624aと重量推定部624bを有している。勾配推定部624aは道路勾配推定の処理を行い、重量推定部624bは当該車両の重量を推定する。
運転者特性データベース625は、車両情報提供装置610(その車両情報送信装置614)から車両情報受信装置621が受信した運転者の運転特性に係る情報を蓄積し、保持している。
【0077】
(第2実施形態における処理)
図6の第2実施形態における処理について、主として、図1ないし図5を参照して説明した実施形態との相対における特徴点を説明する。
一般に、運転者の運転の仕方により同じ速度まで加速する場合にも、エネルギー消費量が異なる可能性がある。このような運転者毎の運転習性の違いに対処するため、図6における第2実施形態のでは、車両情報提供装置610の運転傾向学習装置615が、速度域毎に運転者の運転者特性を推定する。
【0078】
次に、図面を参照して、図6のシステムにおける処理について説明する。
(勾配推定システムにおける第2の実施形態としての車両情報提供装置での処理)
図7は、図6の勾配推定システム600の車両情報提供装置610における処理を表すフローチャートである。
図7(a)は、図6の勾配推定システム600の車両情報提供装置610に関し、図2のフローチャートを参照して既述の車両情報提供装置110と同様な部分の処理を表すフローチャートである。
【0079】
図7(a)のフローチャートにおけるステップS701〜ステップS712の各ステップは、図2のフローチャートにおける既述のステップS201〜ステップS212と同じ処理である。このため、図7(a)のフローチャートについては、順次のステップ毎に対応する図2のフローチャートに関する既述の説明を援用する。
図7(b)は、図6の勾配推定システム600の車両情報提供装置610における運転者特性の推定処理について説明するフローチャートである。
【0080】
この運転者特性の推定処理は、車両情報提供装置610における運転者特性学習装置615が、各速度域毎に実行する。
各速度域毎の運転者特性の推定処理では、先ず、走行経路において加速の発生を待機する(ステップS713:No)。そして、加速を検出すると(ステップS713:Yes)、アクセルの踏み込み時のアクセル操作速度を取得する(ステップS714)。
【0081】
更に、アクセルの踏み増し量を取得する(ステップS715)。尚、上記ステップS714およびステップS715の手順は一例であり、この順序に従うことを必須とするものではない。
更に、速度域毎に、アクセル操作速度、踏み込み量に基づいて、各該当する速度域の運転者特性を推定する(ステップS716)。
ステップS716の推定処理は、踏み込み速度、踏み増し量がそれぞれ異なる特性の区分を予め設定しておき、ステップS714およびステップS715で取得したアクセル操作速度、アクセルの踏み増し量と照合して行う。
【0082】
図8は、踏み込み速度および踏み増し量に応じて設定した運転者特性の区分を例示する図である。
図8に示す例では、想定踏み込み速度および想定踏み増し量をそれぞれ基準にして、該基準との相対値として設定した複数の各閾値に従って、運転者特性を区分している。
そして、ステップS716で推定した各該当する速度域毎の運転者特性が既に学習されている場合には、学習による既得のデータとステップS716で新規に推定したデータとを既定の重み付けで学習し(ステップS717)、リターンする。
【0083】
ステップS717の学習における重み付けは、例えば、既得の学習データ6割に対して新規に推定したデータ4割とするが、この割合に限定されるものではない。
運転傾向学習装置615は、ステップS717での学習による加速時の運転者特性を車両情報取得装置612に供給する。
車両情報取得装置612は、この供給による運転者特性を車両情報送信装置614を介して勾配推定装置620側の車両情報受信装置621に送信する。
【0084】
(勾配推定システムにおける第2実施形態としての勾配推定装置での処理)
図9は、図6の勾配推定システム600における勾配推定装置620での処理を表すフローチャートである。
勾配推定装置620側では、車両情報受信装置621における車両情報送信装置614からの点列情報としての運転者特性の受信を待機する(ステップS901:No)。
車両情報受信装置621が運転者特性の点列情報を受信すると(ステップS901:Yes)、運転者情報データベース622が、該受信した運転者特性の点列情報を受けて自己に保存する(ステップS902)。
更に、運転者特性データベース626が、該受信した運転者特性のデータを自己に保存する(ステップS903)。
【0085】
(第2実施形態としての勾配推定装置における勾配推定処理)
図10は、図6のシステムにおける勾配推定装置の勾配推定処理を表すフローチャートである。
勾配推定装置620では、図9のステップS902で車両情報データベース622に保存した点列データに、車両の起動/停止やドアの開閉等に係る新たな情報が現われたか否かの監視を続ける(ステップS1001:No)。
監視中に新たな情報が現われたときには(ステップS1001:Yes)、その新たな情報に係る点列データの区切りが認識できるか否かを判断する(ステップS1002)。
【0086】
ステップS1002で、点列データの区切りが認識できないときには(ステップS1002:No)、停止時間やデータの無い時間(たとえば、20分など)をもって、点列データに区切りを付与する(ステップS1003)。
ステップSS1002で点列データの区切りが認識できたとき(ステップS1002:Yes)、および、ステップS1003で点列データに区切りを付与したときには、この区切り毎に点列データを分析する(ステップS1004)。
【0087】
次いで、エアコンやオーディオ、補機類の状態の情報(動作状況の情報)が取得できているか否かを判断する(ステップS1005)。
ステップS1005で、これらの情報が取得できていないと判断したときには(ステップS1005:No)、次のステップS1006の処理を実行する。
即ち、ステップS1006では、エアコンやオーディオ、補機類の動作状況と車両特性データベース623が保持するその車両のエアコンや補機類の性能特性とにより推測されるエネルギー消費量を点列データの中のエネルギー消費量から減算する。この減算結果が走行のために使われているエネルギー消費量の推定値である。
【0088】
尚、車両特性データベース623に上記推測を行う性能特性のデータが無い場合は、既定の標準的な補機類の動作状態とエアコンの動作状態に対応するエネルギー消費量を仮定し、該仮定した値を点列データ情報中のエネルギー消費量から減算する。
即ち、エネルギー消費量の仮定値を用いて走行のために使われているエネルギー消費量の推定値を得る。
【0089】
一方、ステップS1005で、エアコンやオーディオ、補機類の動作状況の情報が取得できていると判断したときには(ステップS1005:Yes)、この動作状況に係るエネルギー消費量の値を点列データ情報中のエネルギー消費量から減算して走行のために用いたエネルギー量を算出する(ステップS1007)。
ステップS1007に次いで、車両特性データベース623の保持データに依拠して、速度域毎にその速度を維持して巡航するに要するエネルギー消費量(駆動ロスや空気抵抗等を勘案した量)を取得し、エネルギー消費量から減算する(ステップS1008)。
【0090】
ステップS1008でエネルギー消費量の推定値を得たときには、このエネルギー消費量の推定値を上述のエネルギー消費量としてステップS1008での減算を実行する。
ステップS1008の減算処理の結果は、加減速と勾配によるエネルギー消費量を表している。
ステップS1008に次いで、前回の周期のデータを用いて現在の速度データとの差分値から加速度を算出する(ステップS1009)。
【0091】
そして、ステップS1009で算出した加速度から、速度が加速方向に向かっているか否かを判断する(ステップS1010)。
ステップS1010で速度が加速方向に向かっていると判断した場合(ステップS1010:Yes)、運転者の運転特性の影響があると考えられる。
上述のように運転者の運転特性の影響があると考えられる場合(ステップS1010:Yes)、現在時点での速度域の運転者特性が運転者特性データベース626にあるか否かを判断する(ステップS1011)。
【0092】
運転者特性が運転者特性データベース626にある場合には(ステップS1011:Yes)、加速によるエネルギー量を該運転者特性によって補正した値をエネルギー消費量から減算する(ステップS1012)。
ステップS1012での減算における減数たる加速によるエネルギー量は、前回の周期の速度データと現在の速度データとの差分と推定車両重量とから推定する。
【0093】
そして、この推定値に対する運転者特性による補正は、加速によるエネルギー量の推定値に対して、例えば、運転者特性が+1の場合には1.1倍とし、+2の場合には1.2倍とするなど、既定の係数を乗じて行う。尚、上述における運転者特性の値は、上掲の図8に例示したものである。
一方、ステップS1010で、速度が加速方向に向かっていないと判断した場合(ステップS1010:No)、運転者の運転特性の影響がないと考えられる。従って、この場合には、ステップS1009で算出した加速度に対応するエネルギー量をエネルギー消費量から減算する(ステップS1013)。
【0094】
また、ステップS1011で、現在時点での速度域の運転者特性が運転者特性データベース626にないと判断したときにも(ステップS1011:No)、ステップS1013に移行する。
ステップS1012およびステップS1013の何れかでの減算によってエネルギー消費量を補正した後、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できるか否かを判断する(ステップS1014)。
【0095】
ステップS1014で、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できると判断したときには(ステップS1014:Yes)、ブレーキが作動中の場合で上述の減算後のエネルギー消費量が0以下であるか否かを判断する(ステップS1015)。
一方、ステップS1014で、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できないと判断したときには(ステップS1014:No)、ブレーキによる減速度が大きく、減算後のエネルギー消費量が0以下であるか否かを判断する(ステップS1016)。
【0096】
先のステップS1015で、減算後のエネルギー消費量が0以下であると判断したとき(ステップS1015:Yes)には、後述するステップS1017に移行する。
また、ステップS1016で、減算後のエネルギー消費量が0以下であると判断したときにも(ステップS1016:Yes)、ステップS1017に移行する。
ステップS1017では、当該車両が下り勾配範囲に位置するものとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
【0097】
即ち、ステップS1015での判断結果が肯定的で、減算後のエネルギー消費量が0以下であることは、エネルギーがブレーキによる熱エネルギーに変化している可能性が高いことを意味するため、道路勾配下り範囲にあるとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
また、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できない場合であっても(S1014:No)、エネルギー消費量が0以下の場合(ステップS1016:Yes)には、道路勾配下り範囲にあるとして扱い、勾配推定範囲から除外する(ステップS1017)。
【0098】
ステップS1001〜ステップS1013の機能によって、エアコンや補機類によるエネルギー消費量と巡航するためのエネルギー消費量、加減速によるエネルギー消費量、即ち、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量の影響を除去することができる。
即ち、全体の消費量から、上述のような実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算することによって高度変化分の位置エネルギーを求めることができる。
【0099】
更にまた、ステップS1014〜ステップS1017の機能によって、当該車両が下り勾配範囲に位置しているときには勾配推定範囲から除外するものとして扱う。
これは、下り勾配範囲では、ブレーキによるエネルギー消失や、回生によるエネルギー回収動作(エネルギー消費量が0以下)が生じる場合があり、エネルギー消費量と高低差との相関が特定し難く勾配推定が困難であるからである。
そして、第2実施形態では特に、運転者の運転特性を勘案したエネルギー消費量の補正を行うことができる。
尚、第2実施形態におけるその他の構成・作用については第1実施形態と同様である。
【0100】
(第2実施形態の車両情報提供装置および勾配推定装置によるシステムの作用)
既述の第1実施形態の車両情報提供装置110および勾配推定装置120による勾配推定システム10の作用に加え、車両情報提供装置610の車両情報取得装置612が、運転者特性学習装置615との間で運転者の運転特性に係る情報を授受する。この運転者特性学習装置615は、運転者の運転特性(運転習性)を学習する装置である。
また、勾配推定装置620の道路勾配情報推定装置624が、運転者特性データベース626に保存された運転者の運転特性に係る情報をも用いて道路勾配を推定する。
従って、第2実施形態では特に、運転者の運転特性を勘案したエネルギー消費量の補正を行うことができる。
【0101】
(本発明思想の構成要件と第2実施形態の勾配推定装置における各部との対応関係)
本発明思想の構成要件における勾配推定装置には第2実施形態における勾配推定装置(サーバ)620がこれに該当し、以下同様に、車両情報受信部には車両情報受信装置621が、勾配推定部には道路勾配情報推定装置624が各該当する。
【0102】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、更に、次のような効果を奏する。
(2−1)第2実施形態としての勾配推定装置620は、既述の第1実施形態としての勾配推定装置120と同様の作用に加え、車両情報受信装置621で受信した当該車両の加速度を表す情報および車両側で学習した運転者の運転傾向を表す情報をも用いて勾配を推定する作用を持つ。
上記(2−1)の勾配推定装置620では、運転者の運転特性を勘案したエネルギー消費量の補正を行うことができる。
【0103】
(本発明思想の構成要件と第2実施形態の車両情報提供装置における各部との対応関係)
本発明思想の構成要件における車両情報提供装置には第2実施形態における車両情報提供装置610がこれに該当し、以下同様に、車両情報取得部には車両情報取得装置612が、車両情報送信部には車両情報送信装置614が、運転傾向学習部には運転特性学習装置615が各該当する。
【0104】
(2−2)第2実施形態としての車両情報提供装置610は、運転者の運転習性を学習して運転傾向情報を生成する運転傾向学習装置615を更に備え、
車両情報取得装置612は、運転傾向学習装置615から運転傾向情報をも取得し、
車両情報送信装置614は、車両情報取得装置612が取得した運転傾向情報をも勾配推定装置620に送信する。
【0105】
上記(2−2)の車両情報提供装置610では、自装置に対応する勾配推定装置620に、当該車両の加速度を表す情報および車両側(従って、車両情報提供装置610)で学習した運転者の運転傾向を表す情報をも提供する。
従って、勾配推定装置620で、これらの情報を勘案したエネルギー消費量の補正を行ない、より高い確度で勾配推定を行うことができる。
【0106】
尚、以上説明した第1実施形態であると第2実施形態であるとに拠らず、車両は、ガソリン車であるかディーゼル車であるかを問わない。また、車両は、駆動輪の動力源としての内燃機関および電動機の双方または何れか一方が、或る設定した条件に応じた態様で、選択的に稼動する動力系を備えたハイブリッド車両であり得る。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0107】
10,60……………………勾配推定システム
101,601………………車両
102,602………………CAN
111,611………………GPS装置
112,612………………車両情報取得装置
113,613………………点列データ保存装置
114,614………………車両情報送信装置
120,620………………勾配推定装置
121,621………………車両情報受信装置
122,622………………車両情報データベース
123,623………………車両特性データベース
124,624………………道路勾配情報推定装置
125,625………………地図データベース
615…………………………運転傾向学習装置
626…………………………運転者特性データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置に対応する車両の車両情報提供装置から受信した情報に基づいて道路勾配を推定する勾配推定装置であって、
車両情報提供装置が発信する当該車両でのエネルギー消費に係る情報および速度情報を含む車両情報を受信する車両情報受信部と、
前記車両情報受信部で受信した前記車両情報に基づいて道路勾配を推定する勾配推定部と、
を備えたことを特徴とする勾配推定装置。
【請求項2】
前記車両情報受信部は、複数の車両が発信する当該各車両の車両情報を受信可能であり、
前記勾配推定部は、前記車両情報受信部が受信した各車両情報に基づいて、道路勾配を推定することを特徴とする請求項1に記載の勾配推定装置。
【請求項3】
前記勾配推定部は、道路勾配が下り勾配を呈していると推定したときには、当該車両の対向車線を走行する当該他の車両の車両情報を取得し、該取得した車両情報に基づいて道路勾配を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の勾配推定装置。
【請求項4】
前記勾配推定部は、前記車両情報が含む当該車両の当該車両の高度変化と実質的に相関がない非相関エネルギー消費に関連する非相関エネルギー消費関連情報を用いて高度変化と相関があるエネルギー消費情報を補正し、該補正を行ったエネルギー消費情報に基づいて道路勾配を推定することを特徴とする請求項1、2、および、3の何れか一項に記載の勾配推定装置。
【請求項5】
前記勾配推定部は、前記車両情報中の当該車両のブレーキの動作情報をも利用して道路勾配を推定することを特徴とする請求項1、2、3、および、4の何れか一項に記載の勾配推定装置。
【請求項6】
前記勾配推定部は、前記車両情報受信部で受信した前記車両情報が含む当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも用いて前記補正を実行することを特徴とする請求項4に記載の勾配推定装置。
【請求項7】
前記勾配推定部は、前記車両情報受信部で受信した当該車両の加速度を表す情報および車両側で学習した運転者の運転傾向を表す情報をも用いて勾配を推定することを特徴とする請求項4に記載の勾配推定装置。
【請求項8】
前記勾配推定部は、前記車両情報受信部で受信した当該車両の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す運転者操作タイミング情報を前記車両情報受信部での受信情報の区切りに利用する処理を実行して勾配を推定することを特徴とする請求項1、2、3、および、4の何れか一項に記載の勾配推定装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れか一項に記載の勾配推定装置に前記車両情報を提供する車両情報提供装置であって、
前記車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部で取得した前記車両情報を前記勾配推定装置に送信する車両情報送信部と、
を備えたことを特徴とする車両情報提供装置。
【請求項10】
前記車両情報取得部は、前記非走行用途情報をも取得し、
前記車両情報送信部は、前記車両情報取得部が取得した非走行用途情報を前記勾配推定装置に送信することを特徴とする請求項9に記載の車両情報提供装置。
【請求項11】
前記車両情報取得部は、当該車両のブレーキの動作情報をも取得し、
前記車両情報送信部は、前記車両情報取得部が取得した当該車両のブレーキの動作情報をも前記勾配推定装置に送信することを特徴とする請求項9に記載の車両情報提供装置。
【請求項12】
前記車両情報取得部は、前記非走行用途情報としての当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも取得し、
前記車両情報送信部は、前記車両情報取得部が取得した当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも前記勾配推定装置に送信することを特徴とする請求項10に記載の車両情報提供装置。
【請求項13】
運転者の運転習性を学習して運転傾向情報を生成する運転傾向学習部を更に備え、
前記車両情報取得部は、前記運転傾向学習部から運転傾向情報をも取得し、
前記車両情報送信部は、前記車両情報取得部が取得した運転傾向情報をも前記勾配推定装置に送信することを特徴とする請求項10に記載の車両情報提供装置。
【請求項14】
前記車両情報取得部は、前記エネルギー消費に係る部位の作動を表す情報としての当該車両の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す運転者操作タイミング情報をも取得し、
前記車両情報送信部は、前記車両情報取得部が取得した前記運転者操作タイミング情報をも前記勾配推定装置に送信することを特徴とする請求項10に記載の車両情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−7570(P2013−7570A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138378(P2011−138378)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】