説明

包み焼き食品及びその製造方法

【課題】手を汚すことなく簡単に食べられる手軽さ、何か作業をしながら片手でも食べられる食べやすさ、満腹になることが可能なボリューム感、価格の安さ、おいしさの5点を十分満たし、製造面でも利便性が高い包み焼き食品と、その製造方法を提供すること。
【解決手段】食品内容物が皮材食品によって包まれた包み焼き食品において、食品内容物が、調理済みの蕎麦類と所定の具材とを含み、皮材食品が、流動性の生地を加熱処理により固化させた焼き物であり、その加熱処理によって食品内容物が皮材食品に包まれ一体化した形態に加工される。皮材食品を、穀類粉を主含有物とする水溶液から成る粉生地を加熱固化させた下部皮材食品と、卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を加熱固化させた上部皮材食品とから構成してもよい。全体形状を、包丁を模した形状とし、大きさを、片手で把持可能な大きさとし、下部皮材食品及び上部皮材食品を、それぞれ包丁の刃及び柄の片面を模した形状にしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品内容物が皮材食品によって包まれた包み焼き食品と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
間食には多種多様なものがあるが、粉物食品には不景気下でも根強い人気がある。その理由として、手を汚すことなく簡単に食べられる手軽さ、何か作業をしながら片手でも食べられる食べやすさ、満腹になることが可能なボリューム感、価格の安さ、おいしさなどの5点が挙げられる。
このような粉物食品のうち、製造面でも利便性が高いものに、包み焼き食品がある。それに類するものとしては、お好み焼き、たこ焼き、いか焼き、たい焼き、大判焼き、クレープ、餃子、シウマイが例示できる。
【0003】
しかし、例えば、たこ焼きなら、食べやすさとボリューム感の点で十分でなく、これらの各食品には一長一短あり、そのような食品や、材料、製造装置に関連する従来技術に、特許文献1〜9もあるが、上記5点を全て十分満足する食品はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−154801「小麦粉含有食品用の品質改良剤」
【特許文献2】特開2010−104244「和風スナック用ミックス粉及び和風スナック」
【特許文献3】特開2009−56261「回転焼き物装置」
【特許文献4】特開2008−67676「お好み焼き類用湿熱処理小麦粉、お好み焼き類用ミックス、およびお好み焼き類」
【特許文献5】特開2007−82443「模様付き焼き菓子の製造方法」
【特許文献6】特開2005−278622「型焼き菓子製造装置」
【特許文献7】特開2004−344151「蕎麦たこ焼き」
【特許文献8】特開2002−223702「たい焼きあるいはたい焼き状菓子類の製造方法」
【特許文献9】実用新案登録第3159904号「包み食品の成形器」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、手を汚すことなく簡単に食べられる手軽さ、何か作業をしながら片手でも食べられる食べやすさ、満腹になることが可能なボリューム感、価格の安さ、おいしさの5点を十分満たし、製造面でも利便性が高い包み焼き食品と、その製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の包み焼き食品は、食品内容物が皮材食品によって包まれた包み焼き食品であって、食品内容物が、調理済みの蕎麦類と所定の具材とを含み、皮材食品が、流動性の生地を加熱処理により固化させた焼き物であり、その加熱処理によって食品内容物が皮材食品に包まれ一体化した形態に加工されたことを特徴とする。
【0007】
ここで、皮材食品を、穀類粉を主含有物とする水溶液から成る粉生地を加熱固化させた下部皮材食品と、卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を加熱固化させた上部皮材食品とから構成してもよい。
【0008】
また、全体形状を、包丁を模した形状とし、大きさを、片手で把持可能な大きさとし、下部皮材食品及び上部皮材食品を、それぞれ、包丁の刃及び柄の片面を模した形状にしてもよい。
【0009】
下部皮材食品に、加熱処理によって刻印された文様を設けてもよい。
【0010】
上記包み焼き食品を、真空チルドされた保管状態にして、包み焼き保存食品として提供してもよい。
【0011】
同様に、上記包み焼き食品を、冷凍された保管状態にして、包み焼き保存食品として提供してもよい。
【0012】
本発明の包み焼き食品の製造方法は、食品内容物が皮材食品によって包まれた包み焼き食品の製造方法であって、下部鋳型に穀類粉を主含有物とする水溶液から成る粉生地を流入させると共に加熱処理を施し、下部皮材食品を成形するステップと、その下部皮材食品の上に、調理済みの蕎麦類を載置するステップと、その蕎麦類の上に、具材を載置するステップと、その具材の上に、調理済みの蕎麦類を載置するステップと、上部鋳型に卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を流入させると共に加熱処理を施し、上部皮材食品を成形するステップと、下部鋳型と上部鋳型を接合させ、下部皮材食品と上部皮材食品を一体化させるステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、下部鋳型に、包丁の刃及び柄の片面を模した形状の型枠を用い、上部鋳型に、下部鋳型と接合可能であり、下部鋳型における包丁の刃及び柄の他方の片面を模した形状の型枠を用いてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、蕎麦類及び所定の具材を含むことで、蕎麦類特有の食感の他、ボリューム感とおいしさを満たし、皮材食品を備えることで、手軽さと食べやすさを満たし、鋳型による簡易な製造により安さも満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】包み焼き食品を製造するための鋳型の例を示す平面図
【図2】包み焼き食品の側面断面図(写真)
【図3】同、斜視図(写真)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記の例示に限らず、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、前記特許文献など従来公知の技術を用いて適宜設計変更可能である。
【0017】
図1は、本発明における包み焼き食品を製造するための鋳型の例を示す平面図である。
製造装置には、電気ヒーターの接続された鉄板等が簡易に用いられる。例えば従来公知のたい焼き器のような2つ折り式の鉄板が利用でき、図示の例では、2枚の各鉄板(10)(11)に5個の鋳型(20)(21)が配列されているが、数や配置は任意である。また、各鋳型(20)(21)の配向も任意である。
【0018】
本実施例の鋳型(20)(21)は、包丁の形を模した包み焼き食品を製造するための形状及び配置をしている。すなわち、下部鋳型(20)には、包丁の刃及び柄の片面を模した形状の型枠が備わり、上部鋳型(21)には、下部鋳型(20)と接合可能であり、下部鋳型(20)における包丁の刃及び柄の他方の片面を模した形状の型枠が備わる。
2枚の鉄板(10)(11)の間に位置する軸部(12)を介して、一方の鉄板(11)を回動させ、下部鋳型(20)と上部鋳型(21)を接合させることで、その鋳型に内包された食品が形成される。
なお、鋳型の形状は、適宜設計される。
【0019】
図2及び3は、上記鋳型により製造された包み焼き食品の側面断面図及び斜視図(写真)である。
包み焼き食品を製造するには、まず、小麦粉などの穀類粉を主含有物とする水溶液から成る粉生地を、下部鋳型(20)に流入させると共に加熱処理を施し、皮の片面となる下部皮材食品(31)を形成する。
【0020】
次いで、下部皮材食品(31)の上に、焼き蕎麦などの調理済み蕎麦類(32)を載置し、その蕎麦類の上に、具材(33)を載置し、その具材の上に、調理済み蕎麦類(34)を再度載置することで、蕎麦類(32)(34)の間に具材(33)を挟んだ構造にする。
蕎麦類(32)と蕎麦類(34)は、同一でもよいし、味付けや素材などの点で異なるものを用いてもよい。
具材(33)としては、例えば、豚ミンチの甘辛炒め及び牛スジ及びコンニャクをはじめ、野菜、肉、海産物など様々なものが可能である。
【0021】
一方、上部鋳型(21)には、卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を流入させると共に加熱処理を施し、上部皮材食品(35)を成形する。
そして、下部鋳型(20)と上部鋳型(21)を接合させ、下部皮材食品(31)と上部皮材食品(35)を一体化させることで、包み焼き食品を形成する。
これにより、食品内容物として調理済みの蕎麦類と所定の具材とを含み、皮材食品として流動性の生地を加熱処理により固化させた焼き物を備え、鋳型によって成形された包み焼き食品が製造される。本実施例では、全体形状が包丁を模した形状であり、大きさが片手で把持可能な大きさである。
【0022】
なお、調理済み蕎麦類(34)の上に、全溶き卵や半溶き卵など卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を被覆し、上部鋳型(21)を接合させると共に加熱処理を施して、上部皮材食品(35)を形成する手順も可能である。
また、卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を、下部鋳型(20)に流入させ、下部皮材食品(31)を成形すると共に、穀類粉を主含有物とする水溶液から成る粉生地を、上部鋳型(21)に流入させ、上部皮材食品(35)を形成することによって、下部皮材食品(31)と上部皮材食品(35)を逆にした構成にしてもよい。
【0023】
鋳型(20)(21)に所定の凹凸を設けておき、皮材食品(31)(35)に所望の模様(36)を形成してもよい。また、加熱処理による焦げ目として、文様(36)が刻印されるようにしてもよい。
【0024】
包み焼き食品は、製造後に真空チルドした保管状態にし、保存食品として提供してもよい。同様に、製造後に冷凍した保管状態にし、保存食品として提供してもよい。真空チルドや冷凍には、従来公知の方法が利用できる。
なお、蕎麦類としては、蕎麦粉によって製造された狭義の蕎麦に限らず、穀類粉によって製造された麺類一般を指す。蕎麦、特に焼き蕎麦が好適であるので、ここでは蕎麦類と記した。ただし、冷凍保存食品としては、冷凍解凍時における水分移動の影響により、焼き蕎麦よりパスタの方が好ましい食感が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の包み焼き食品は、蕎麦類及び所定の具材を含むことで、蕎麦類特有の食感の他、ボリューム感とおいしさを満たし、皮材食品を備えることで、手軽さと食べやすさを満たし、鋳型による簡易な製造により安さも満たすので、間食として需要が見込まれ、産業上利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品内容物が皮材食品によって包まれた包み焼き食品であって、
食品内容物が、調理済みの蕎麦類と所定の具材とを含み、
皮材食品が、流動性の生地を加熱処理により固化させた焼き物であり、
その加熱処理によって食品内容物が皮材食品に包まれ一体化した形態に加工された
ことを特徴とする包み焼き食品。
【請求項2】
皮材食品が、
穀類粉を主含有物とする水溶液から成る粉生地を加熱固化させた下部皮材食品と、
卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を加熱固化させた上部皮材食品とから成る
請求項1に記載の包み焼き食品。
【請求項3】
全体形状が、包丁を模した形状であり、大きさが、片手で把持可能な大きさであり、
下部皮材食品及び上部皮材食品が、それぞれ、包丁の刃及び柄の片面を模した形状である
請求項1または2に記載の包み焼き食品。
【請求項4】
下部皮材食品が、加熱処理によって刻印された文様を備える
請求項1ないし3のいずれかに記載の包み焼き食品。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の包み焼き食品が、真空チルドされた保管状態である
ことを特徴とする包み焼き保存食品。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の包み焼き食品が、冷凍された保管状態である
ことを特徴とする包み焼き保存食品。
【請求項7】
食品内容物が皮材食品によって包まれた包み焼き食品の製造方法であって、
下部鋳型に穀類粉を主含有物とする水溶液から成る粉生地を流入させると共に加熱処理を施し、下部皮材食品を成形するステップと、
その下部皮材食品の上に、調理済みの蕎麦類を載置するステップと、
その蕎麦類の上に、具材を載置するステップと、
その具材の上に、調理済みの蕎麦類を載置するステップと、
上部鋳型に卵を主含有物とする溶液から成る卵生地を流入させると共に加熱処理を施し、上部皮材食品を成形するステップと、
下部鋳型と上部鋳型を接合させ、下部皮材食品と上部皮材食品を一体化させるステップと、を有する
ことを特徴とする包み焼き食品の製造方法。
【請求項8】
下部鋳型に、包丁の刃及び柄の片面を模した形状の型枠を用い、
上部鋳型に、下部鋳型と接合可能であり、下部鋳型における包丁の刃及び柄の他方の片面を模した形状の型枠を用いる
請求項7に記載の包み焼き食品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−29645(P2012−29645A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172276(P2010−172276)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【特許番号】特許第4802293号(P4802293)
【特許公報発行日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(506040098)株式会社ウィズ (1)
【Fターム(参考)】