包装への使用に適した酸素捕捉ポリマーブレンド
遷移金属;1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー;並びに1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ例えば約3〜約60ppmの量のアルミニウム原子及び例えば約1〜約25ppmの量の1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含む触媒系を用いて溶融相重合によって得られた1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーを含む、包装に適したポリマーブレンドを開示する。開示したポリマーブレンドは、従来型の触媒系を用いて製造されたブレンドに比較して、改善された酸素捕捉活性を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ポリマーブレンドに関し、詳細には、酸素捕捉性を有するために酸素感受性製品の包装への使用に適するポリマーブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の食品、飲料及び他の包装品(例えばビール及び果汁、ある種の化粧品及び医薬品など)は酸素暴露に対して感受性があり、内容物の鮮度を保ち且つ風味、質感又は色の変化を避けるために、高酸素バリアを有する包装容器を必要とする。多く用途については、従来のPETホモポリマー及びコポリマーの酸素バリア性は満足のいくものである。しかし、極めて酸素感受性の高い製品については、このようなポリマーの酸素バリア性は製品を充分に保護しない。
【0003】
PETのパッシブバリア性(passive barrier properties)を向上させるために、樹脂の透過性を低下させる高バリアポリマー又は添加剤とのブレンド、不透過性充填剤の組込み、被覆又は多層構造の使用及び未改質PETよりも透過性の低いポリマーを生成するコモノマーとの共重合を含む種々のアプローチが用いられてきた。
【0004】
包装容器内容物への酸素流入を更に低減するために、PET包装容器のための酸素捕捉技術が開発された。これらは、PET中にブレンド又は反応されるポリアミド、ポリジエン又はポリエーテルのような被酸化性部分を含むことができる。典型的には、少量の有機酸の遷移金属塩、例えばコバルト塩も被酸化性部分の酸化を触媒し且つ積極的に促進するために組み込まれる。包装容器の壁を通って移動する酸素を化学的に除去するこのような活性酸素捕捉剤の使用は、包装に使用されるプラスチックの酸素透過速度(oxygen transmission rate)を低下させるのに非常に有効な方法であることができる。
【0005】
特許文献1は、被酸化性有機化合物及び遷移金属触媒を含む組成物によって酸素捕捉を開始する方法を開示している。この方法は、組成物を放射線に暴露することによる捕捉の開始を含む。この方法は、食品及び飲料のような酸素感受性製品のための包装層又は包装用物品中における捕捉の開始に使用できる。
【0006】
特許文献2は、主にポリエステルセグメントを含み且つ酸素捕捉量のポリオレフィンオリゴマーセグメントを含む縮合コポリマーを含む酸素捕捉用組成物を開示している。ポリエステルセグメントは、PET及びPENのような典型的なボトリング用及び包装用ポリエステルに由来するセグメントを含む。コポリマーは、好ましくは反応性押出の間にエステル交換によって形成され、典型的には約0.5〜約12重量%のポリオレフィンオリゴマーセグメントを含む。これらの酸素捕捉組成物のボトルへの使用は非改質ポリエステルボトルと外観が類似した透明で硬質のボトルを提供すると記載されている。
【0007】
特許文献3及び4は、ポリマーを含み且つ被酸化性有機成分の金属触媒酸化によって酸素を捕捉できる包装容器用の壁を開示している。被酸化性有機成分自体がポリマーであることができ、好ましい組成物は、触媒として、200ppmのコバルトを含む、ポリエチレンテレフタレート96%とポリ(m−キシリレンアジパミド)4%とのブレンドなどであると記載されている。
【0008】
特許文献5は、PETポリマーに基づき、約10〜約120ppmのコバルト及び、PETポリマーに基づき、約15〜約150ppmの亜鉛を含む酸素捕捉性PET基材コポリマーを開示している。
【0009】
特許文献6は部分芳香族ポリアミドと熱可塑性ポリエステルとをブレンドすることによって得られるポリエステル組成物を開示している。このポリエステル組成物は、0.1〜300ppmの量のアルカリ金属原子及び5〜200ppmの量の燐原子を含む。好ましい部分芳香族ポリアミドはm−キシリレン基含有ポリアミドである。
【0010】
特許文献7は、溶融加工ゾーン中で亜鉛及びコバルトの存在下でポリエステルポリマーとポリアミドを含む酸素捕捉性組成物とを合してメルトを形成し;そして前記メルトからシート又はプレフォームのような物品を形成することによって物品を形成する方法を開示している。また、ポリエチレンテレフタレートポリマーとポリアミドポリマーのブレンドを亜鉛及びコバルトと共に含む溶融配合ポリエステルポリマー組成物も提供される。
【0011】
特許文献8は、ポリ(エチレンテレフタレート)ベースポリマーとナイロンポリマーを含む、酸素捕捉能を有する組成物を開示している。この組成物は明澄度を改善するために配合される。
【0012】
特許文献9は、ポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppmの量のアルミニウム原子を含み且つ更にアルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含むポリエステル組成物であって、ポリマーが溶融相重合によって得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有するものを開示している。
【0013】
特許文献10は組成物の再加熱速度を改善する粒子を含むポリエステル組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,211,875号
【特許文献2】米国特許第6,083,585号
【特許文献3】米国特許第5,021,515号
【特許文献4】米国特許第5,955,527号
【特許文献5】米国特許第6,544,611号
【特許文献6】米国特許出願公開公報第20050222345号
【特許文献7】米国特許出願公開公報第20060148957号
【特許文献8】WO 2006138636
【特許文献9】米国特許出願第11/495,431号(2006年7月28日出願;譲受人は本件と共通)
【特許文献10】米国特許出願第11/229,238号(2005年9月16日出願;譲受人は本件と共通)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
文献記載されているようなポリエステル/ポリアミドブレンドは有効な酸素捕捉剤であるが、本発明者らはポリエステル及びポリアミドの性質によって性能が著しく異なる可能性があることに気付いた。
【0016】
ブレンド時に、かなりの酸素捕捉性を保持すると同時に、透明性、混和性、剛性、良好なバリア性、リサイクル性及び合理的コストを含む、酸素感受性製品の包装への使用にブレンドを適するようにする性質を保つ、包装への使用に適したポリマーブレンドが当業界で依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様において、本発明は、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー、特に、100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー中のアミン残基の総量に基づき、例えば少なくとも50モル%のベンジル水素を含むアミンモノマーを含むもの;並びに1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば約3〜約60ppmの量のアルミニウム原子及び1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば約1〜約25ppmの量の1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含む触媒系を用いて溶融相重合によって得られた、It.V.が、例えば少なくとも0.65dL/gの1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーを含み;且つ更に、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば約10〜約1,000ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属を含む、酸素捕捉効果を有するポリマーブレンドに関する。
【0018】
別の態様において、本発明は、ポリマーブレンドの総重量に基づき、それぞれ例えば約0.02〜約10重量%又は0.20〜10重量%又は0.5〜5重量%又は1〜3重量%の量で存在する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含んでなるポリマーブレンドに関する。
【0019】
更に別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの縮合結合の総数に基づき、それぞれ例えば少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%のアミド結合を含むことができ、更に、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、例えば少なくとも60モル%のベンジル水素基を含むアミド残基を含むことができる。
【0020】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、例えば100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー中のアミン残基の総モルに基づき、それぞれ例えば少なくとも60モル%又は少なくとも75モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも95モル%の量のm−キシリレン残基の反復単位を含むことができる。
【0021】
更に別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、例えば100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー中の酸/アミン単位の総モルに基づき、それぞれ例えば少なくとも60モル%又は少なくとも85モル%又は少なくとも96モル%又は少なくとも100モル%の量のm−キシリレンアジパミドの反復単位を含むことができる。
【0022】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、ポリアミドをポリアミドコンセントレートの総重量に基づき、例えば約1〜約25重量%の量で含むポリアミドコンセントレートとして供給することができる。
【0023】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、例えば約200〜約25,000又は2,500〜12,000又は2,500〜7,000のMnを有することができる。
【0024】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、前記ポリマーブレンドの総重量に基づき、それぞれ例えば金属約10〜約1,000ppm又は20〜750ppm又は25〜500ppmの量で存在できる。前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、例えば1種又はそれ以上の遷移金属塩を構成でき、且つ/又は以下の酸化状態:マンガンII若しくはIII、鉄II若しくはIII、コバルトII若しくはIII、ニッケルII若しくはIII、銅I若しくはII、ロジウムII、III若しくはIV又はルテニウムI、II若しくはIVの1つ又はそれ以上で供給できる。
【0025】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属は塩化物、酢酸塩、アセチルアセトン酸塩、オクタン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ネオデカン酸塩又はナフテン酸塩のうち1種又はそれ以上の塩として供給できる。
【0026】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、前記ポリマーブレンドの総重量に基づき、それぞれ例えば金属約10〜約1,000ppm又は20〜750ppm又は25〜500ppmの量で存在できる。前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、例えば1種又はそれ以上の遷移金属塩を構成でき、且つ/又は以下の酸化状態:マンガンII若しくはIII、鉄II若しくはIII、コバルトII若しくはIII、ニッケルII若しくはIII、銅I若しくはII、ロジウムII、III若しくはIV又はルテニウムI、II若しくはIVの1つ又はそれ以上で供給できる。
【0027】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属はコバルトを含み、コバルトは、前記ポリマーブレンドの重量に対するコバルトの重量で、例えば50〜150ppmのコバルト原子を供給する量でネオデカン酸コバルトとして供給できる。
【0028】
別の態様において、前記アルミニウム原子は、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中に、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ約1〜約35ppm又は5〜35ppm又は5〜25ppmの量で存在でき、更に1種又はそれ以上のアルカリ土類金属又はアルカリ金属原子が、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば1〜25ppmの量で存在できる。
【0029】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のアルカリ土類金属又はアルカリ金属原子は、例えば0.1〜75のアルミニウム原子に対するアルカリ土類金属又はアルカリ金属原子のモル比で存在できる。
【0030】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば5〜18ppmの量でリチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子の1種又はそれ以上を含むことができる。
【0031】
別の態様において、前記アルミニウム原子は、例えば1種又はそれ以上のカルボン酸アルミニウム、グリコール酸アルミニウム、塩基性カルボン酸アルミニウム又はアルミニウムアルコキシドとして存在できる。
【0032】
更に別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ例えば約10〜約300ppm又は10〜150ppm又は10〜70ppmの量で燐原子を含むことができる。
【0033】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、更に、アルミニウム原子、アルカリ土類金属原子及びアルカリ金属原子の総モルに対する燐原子のモル比が、例えば0.1〜3又は0.5〜1.5となるように、燐原子を含むことができる。
【0034】
別の態様において、本発明の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、例えば少なくとも0.65dL/g又は少なくとも0.68dL/dL/g又は少なくとも70dl/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.75dL/g又は少なくとも0.80dL/g又は少なくとも0.84dL/gの極限粘度数(intrinsic viscosity)を有することができる。
【0035】
別の態様において、本発明の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、例えば100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリエチレンホモポリマー又はコポリマー中のカルボン酸残基の総量に基づき、例えば少なくとも80モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のテレフタル酸残基を含むカルボン酸成分と、100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリエチレンホモポリマー又はコポリマー中のヒドロキシル成分の残基の総量に基づき、例えば少なくとも80モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のエチレングリコール残基を含むヒドロキシル成分を含むことができる。
【0036】
本発明のポリマーブレンドは種々の形態で、例えば吹込成形ボトル又はボトルプレフォームの形態であることができる。
【0037】
本発明の更なる態様は、以下に詳述する通りである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】ポリマーブレンド1(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1B】ポリマーブレンド2(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1C】ポリマーブレンド3(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1D】ポリマーブレンド4(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1E】ポリマーブレンド1〜4に対する、時間の関数としての平均酸素透過速度のプロットである。
【図2A】ポリマーブレンド5(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2B】ポリマーブレンド6(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2C】ポリマーブレンド7(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2D】ポリマーブレンド8(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2E】ポリマーブレンド5〜8に対する、時間の関数としての平均酸素透過速度のプロットである。
【図3A】ポリマーブレンド9〜16による摂取による経時的な酸素枯渇のプロットである。
【図4A】ポリマーブレンド17(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4B】ポリマーブレンド18(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4C】ポリマーブレンド19(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4D】ポリマーブレンド20(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4E】ポリマーブレンド17〜20に対する、時間の関数としての平均酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図5A】ポリマーブレンド21〜24による摂取による経時的な酸素枯渇のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、以下の「発明の詳細な説明」を参照することによってより理解し易くなるであろう。
【0040】
本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形(a,an及びthe)は、前後関係からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば「1種のポリマー」、「1つのプレフォーム」、「1つの物品」、「1つの容器」又は「1つのボトル」の加工又は製造への言及は、複数のポリマー、プレフォーム、物品、容器又はボトルの加工又は製造を含むものとする。
【0041】
具体的には、明細書及び特許請求の範囲中で「ポリマー」に言及する場合には、この用語は、単一の重合の反応生成物だけではなく、1種より多いポリマーのブレンド又は物理的混合物も含むと解釈すべきである。これは、本明細書中に記載した熱可塑性ポリマーは、後でその源を特定するのが困難となり得るほど充分に互いにブレンドされるためである。従って、「PETホモポリマー又はコポリマー」という表現は、例えば単一の重合の生成物と1種より多くのPETホモポリマー又はコポリマーの混合物の両者を含むと解釈すべきであり、「ポリアミドホモポリマー又はコポリマー」という表現は、例えば単一の重合の反応生成物と1種より多くのポリアミドホモポリマー又はコポリマー反応生成物の混合物の両者を含むと解釈すべきである。
【0042】
「1種の」成分又は「1種の」ポリマーを含む組成物への言及は、名前を挙げたものに加えて、他の成分又は他のポリマーをそれぞれ含むものとする。例えば「1種の」遷移金属に言及する場合、この表現は1種より多くの遷移金属の使用又は存在を含むものとする。同様に、PETホモポリマー若しくはコポリマー又はポリ(m−キシリレンアジパミド)ホモポリマー若しくはコポリマーに言及する場合、この表現は1種より多いポリマーの使用又は存在を含むものとする。
【0043】
「含んでなる」又は「含む」又は「有する」は、少なくとも名前を挙げた化合物、元素、粒子又は方法工程などは組成物又は物品又は方法に存在しなければならないが、他の化合物、材料、粒子、方法工程などが名前を挙げたものと同一の機能を有している場合でさえ、特許請求範囲において特に除外されるのでなければ、このような他の化合物、触媒、材料、粒子、方法工程などの存在を除外しないことを意味する。
【0044】
ポリアミドホモポリマー又はコポリマー(以下で単に「ポリアミド」と称する場合がある)を、PETホモポリマー又はコポリマーに添加するか又はポリアミドホモポリマー又はコポリマーをPETホモポリマー又はコポリマーとブレンドすると記載する場合、前後関係から特に示されない限り、ポリアミドはニート(neat)で又はコンセントレートとして添加できる。
【0045】
また、1つ又はそれ以上の方法工程に関する言及は、特に断らない限り、組み合わされた列挙工程の前又は後における追加方法工程の存在も、明白に識別されるこれらの工程の間の介在方法工程の存在も除外しないことも理解すべきである。
【0046】
範囲の表現は、その範囲内の全ての整数及びその分数を含む。プロセス中の又は反応混合物の又はメルトの若しくはメルトに適用される又はポリマーの若しくはポリマーに適用される温度又は温度範囲の表現は、全ての場合において、適用された温度、メルト若しくはポリマーの実際の温度又は両者が所定の温度であるか又は所定の範囲内にある場合に、制限が満たされることを意味する。
【0047】
本明細書全体にわたって使用する「ppm」は重量に基づく。
【0048】
金属の「原子」とは、ポリマー若しくは組成物に添加されるにせよ、ポリマー若しくは組成物中に存在するにせよ、任意の酸化状態、任意の形態学的状態、任意の構造状態及び任意の化学状態を取る金属原子を意味する。
【0049】
用語「残基」は、長さにかかわらず、モノマーが縮合されてポリマー又はオリゴマー鎖を形成した後に残るモノマーの部分を意味する。
【0050】
用語「酸/アミン塩単位」を用いる場合には、一緒に縮合された単一の酸及び単一のアミンを含む単位であって、典型的には単位の一端又は両端において1つ又はそれ以上の追加モノマーとも縮合されたものを意味する。これは単に、アミン及び酸モノマーからなるポリアミドの反復単位を述べる簡便な手段である。
【0051】
説明の全体を通して記載した極限粘度数値は、60/40wt/wtのフェノール/テトラクロロエタン中で25℃において測定されたインヘレント粘度から算出されたものをdL/g単位で示してある。
【0052】
本発明のポリマーブレンドが「酸素捕捉効果」を有すると述べる場合には、ブレンドがブレンド内の若しくはブレンドを透過する酸素と反応すること、又はブレンドを通る酸素の透過速度が既知のポリマー若しくはブレンドよりも遅いことを意味する。従って、「酸素捕捉活性」を有するブレンドは、ポリマーブレンド内の若しくはポリマーブレンドを透過する酸素を吸収するか又はそのような酸素と反応するか、或いはポリマーブレンドを通る透過の低下を示す。用語「酸素捕捉能」を用いる場合には、ポリマーブレンドが酸素を吸収するか若しくは酸素と反応するのにもはや有効でなくなる前にポリマーブレンドが吸収できる酸素の総量を意味する。
【0053】
本発明者らは、意外にも、遷移金属;アルミニウム及び1種又はそれ以上のアルカリ土類原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基、例えばリチウムを含む触媒系を用いて溶融相において製造された1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマー;並びに本明細書中の他の場所に記載された1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含むポリマーブレンドが、従来型の触媒系を用いて製造されたPETポリマーに比較して、改善された酸素捕捉活性を示すことを発見した。例えばアンチモン触媒を用いた従来の溶融相重縮合とそれに続く、最終It.V.を達成するための固相重合によって製造されたPETコポリマーを含む例の比較ポリマーブレンドは、本明細書中に記載した本発明のブレンドに比べて相対的に劣った酸素捕捉性能を示す。
【0054】
一態様において、本発明は、アルミニウム及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を触媒系として用いて溶融相において製造された1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレート(PET)ホモポリマー又はコポリマーを含むポリマーブレンドに関する。本発明のポリマーブレンドは、更に、酸素捕捉性を有する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含む。
【0055】
一態様において、ポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、PETホモポリマー又はコポリマーとポリアミドとのブレンドを含むコンセントレートとして供給できる。別の態様において、ポリアミドはニートで供給することができ、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレート(PET)ホモポリマー又はコポリマーと溶融ブレンドできる。
【0056】
更に別の態様において、本発明のポリマーブレンドは、更に、ポリアミドの酸素捕捉性を増大させる、例えばコバルト塩のような遷移金属塩として供給される1種又はそれ以上の遷移金属原子を含むことができる。
【0057】
一態様において、ポリマーブレンドは、米国特許第5,021,515号及び米国特許出願公開公報第2006/0148957号(引用することによってそれらの全体を本明細書中に組み入れる)に記載され且つ以下に更に詳細に記載されたような、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー(「ポリアミド」)を含む。ポリアミド、例えばポリ(m−キシリレンアジパミド)ホモポリマー又はコポリマーは、コンセントレートとして又はニートで、ポリマーブレンドに供給することができる。コンセントレートは、例えば主にPETホモポリマー又はコポリマーからなるが、比較的多量のポリアミドを、例えばコンセントレートの総重量に基づき、ポリアミド約0.5〜約40重量%又は5〜30重量%又は10〜25重量%の量で1種又はそれ以上のポリ(m−キシリレンアジパミド)ホモポリマー又はコポリマーを含むことができる。このようなコンセントレートとして供給する場合には、本発明のポリマーブレンドに供給するコンセントレートの量は、例えば、本発明のポリマーブレンドの総重量に基づき、コンセントレート約1.5〜約25重量%又は2〜15重量%又は3.5〜10重量%又は1〜3重量%とさまざまであることができる。本発明のポリマーブレンドは、溶融ブレンド及び押出ブレンドを含むブレンド時に、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーのかなりの酸素捕捉性を保持すると同時に、それらを包装への使用に適当なものとする、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレート(PET)ホモポリマー又はコポリマーの性質を保持する。
【0058】
本発明に係るポリマーブレンドは、例えば重縮合の間に、1種又はそれ以上のPETホモポリマーに1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマーを添加することによって調製できる。同様に、ポリアミドは、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーと溶融ブレンドすることによって、例えば押出機中で溶融均質化を達成するために成分を加熱することによって、ブレンド中に組み入れることができる。
【0059】
所望ならば、ポリアミドのポリエステル中コンセントレートを作り、押出機又は射出成形機中で本発明のポリマーブレンド中に所望の量のポリアミドを含むブレンドを生成するのに望ましい割合でレットダウンさせることができる。よって、コンセントレートは、容器の形態であることができるポリマーブレンド中において望まれるよりも高いポリアミド濃度を含むであろう。従って、本発明のポリマーブレンドのポリアミドは、ポリアミドを、コンセントレートの総重量に基づき、例えば少なくとも10.0重量%又は少なくとも15.0重量%又は少なくとも20重量%であって且つ約40重量%以下又は約50重量%以下の量で含むコンセントレートとして供給できる。コンセントレートの残りは、例えばPETポリマー又は本発明のブレンドのポリアミド及びPETホモポリマー若しくはコポリマーと混和性の別の熱可塑性ポリマーからなることができる。
【0060】
本発明のポリマーブレンドは種々の方法によって調製できる。例えばPETポリマーとポリアミドは、別個に又は一緒に、乾燥空気若しくは乾燥窒素の雰囲気中で乾燥させ且つ/又は減圧下で処理することができる。1つの方法において、PETポリマーとポリアミドは、例えば一軸又は二軸スクリュー押出機中で溶融配合する。溶融配合の完了後、押出物をストランドの形態で取り出し、切断によるなどして回収する。別法として、PETポリマーとポリアミドをドライブレンドすることができる。PETポリマー粒子の別個の流れを、物品を製造するための溶融加工ゾーンに供給し、完成品中に所望のレベルのポリアミドをもたらす量でコンセントレートを溶融加工ゾーン中にレットダウンすることができる。別法として、PETポリマー粒子の流れを、ニートの又は液体担体中のポリアミドの流れとは別個に又はそれと一緒に、ドライペレットブレンドとして、完成品を製造するための溶融加工ゾーンに供給することができる。
【0061】
ポリアミドは、ポリアミドのニートの流れとして又は適当な担体中のポリアミドとして、PETポリマー粒子又はメルトに添加することができる。適当な液体担体としては、PETポリマーを溶融相(例えばエチレングリコール)中で製造するのに使用される反応体の1種と同じであるものが挙げられる。或いは、ポリマーの分子量の増加が望ましくない場合があり、その場合には非反応性担体を使用できる。
【0062】
用途特異的な配合量のポリアミドを含む本発明のポリマーブレンドを直接的に形成する他に、前者の方法(即ち直接重縮合又は溶融ブレンド)のいずれかを用いて、例えば直接重縮合反応器、溶融ブレンド押出機又は二次加工装置(例えばフィルム押出ライン又はボトルプレフォーム成形機)によって、後でPETホモポリマー又はコポリマーに導入することができるコンセントレートを生成できる。
【0063】
一般に、使用前に製造する場合には、ポリアミドコンセントレート、本発明のブレンド及び本発明のブレンドから製造する物品を不活性環境中に保持することが必要であるか又は役立つであろう。場合によっては、ポリアミドの酸素捕捉能力は、酸化触媒を含む本発明のポリマーブレンド中に組み入れる場合には、特にブレンドが形成されるとすぐに又は酸素暴露誘導期間の経過後に存在する。酸素を捕捉するポテンシャルは、長期間、酸素(又は空気)に暴露されたままであるならば、著しく低下する可能性がある。その上、酸素の存在下における高温への長期間暴露は、包装用物品にされる場合のコンセントレート及びポリマーブレンドの酸素吸収能を更に低下させる可能性があり、また、あまりにも過度の場合には熱分解及び熱崩壊の可能性を持ち込み得る。コンセントレート及びポリマーブレンドの包装用物品への加工前における酸素捕捉能の早期喪失並びに包装用物品のその目的用途前における酸素捕捉能の喪失は、不活性環境において貯蔵することによって又は適当な安定剤の添加によって、制御することができる。
【0064】
従って、一態様において、本発明のポリマーブレンド又は本発明のブレンドを製造するコンセントレートは、発明されている方法を含む任意の適当な方法によって、おそらくは最も簡単には溶融押出によって製造できる。単独の又は二次加工工程と組合わされるこのような方法においては、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの少なくとも一部を押出機に供給する。ポリアミドは別個に押出機に運搬し、押出機の混合ゾーンに導入する。滞留時間は、例えば約250〜約310℃の温度範囲おいて、例えば約1〜約5分であることができる。ポリアミドは押出機に導入することができ、導入速度はコンセントレート及び本発明のポリマーブレンドにおいて望ましい酸素捕捉能を達成するのに必要な量のポリアミドを供給するように調整できる。
【0065】
このようなコンセントレート中のポリアミドの代表的な範囲は、コンセントレートの総重量に基づき、例えば約0.5〜約40重量%又は5〜30重量%又は10〜25重量%であろう。これは、その用途の本発明のポリマーブレンドの総重量に基づき、例えば約0.2〜約10重量%又は0.5〜5重量%又は1〜3重量%のポリアミドに相当し得る。
【0066】
本発明によれば、本発明に従って使用するポリアミドは、本発明のポリマーブレンド中に、特定の用途に望ましい程度の酸素捕捉能を提供する量で存在すれば充分である。本発明のポリマーブレンドは主にPETホモポリマー又はコポリマーからなるので、本発明のブレンドの性質はポリエステルの性質とほぼ同様である。
【0067】
一態様において、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマー(「PETポリマー」)の少なくとも一部を、主としてPETポリマー及びポリアミドを含むコンセントレートを形成するように、ポリアミドと溶融ブレンドする。コンセントレートは、最終ブレンドに必要とされる酸素捕捉能を与えるのに充分なポリアミドを供給するように、追加のPETポリマーと溶融ブレンドすることができる。
【0068】
別の態様において、PETポリマーは、例えばポリアミドを二次加工機械に、例えばフィルム押出機又はボトルプレフォームの成形に使用される射出成形機に直接供給することによって、ポリアミドと溶融ブレンドして本発明のポリマーブレンドを生成できる。
【0069】
更に別の態様において、PETポリマーは、例えば、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーを生成する重合反応器中にポリアミドを直接供給することによって、ポリアミドとブレンドして本発明のブレンドを生成できる。
【0070】
ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、例えばエステル化の開始時、エステル化反応器の出口近傍(即ち転化率が50%を超える箇所)、プレポリマー反応器の入口近傍、プレポリマー反応器の出口近傍、プレポリマー反応器の入口と出口の間の箇所、重縮合反応器の入口近傍若しくは重縮合反応器の入口と出口の間の箇所又は重縮合反応器の出口とペレット、シート、繊維、ボトルプレフォームなどを形成するためのダイトの間の箇所を含む場所で(これらに限定するものではないが)、添加できる。
【0071】
更に別の態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、重合プロセスの終わり近くにおいて1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーを生成する最終重縮合反応器中に、例えば以下の箇所のいずれかにおいて導入することができる:
a.ポリマーメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合に、ポリエステルポリマーを生成するための最終反応器内に、その排出点近くで又は最終反応器とポリエステルポリマーメルト切断用カッターの前との間において、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを添加するか;又は
b.ポリマーのIt.V.が少なくとも0.5dL/gまで上昇した後に;又は
c.ポリエステルメルトに適用される真空(もしあれば)が少なくとも一部分開放された後に;又は
d.ポリマーメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合に、重縮合時間の少なくとも75%の後に;又は
e.溶融相プロセスのポリマーメルトに、固化時に得られるIt.V.の+/−0.15dL/g内の箇所で;又は
f.メルトの固化の最大で30分前若しくはメルトの固化の最大20分前の時点で。
【0072】
一態様において、ポリアミドは、ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.60dL/g又は少なくとも0.65dL/g又は少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gのIt.V.を獲得した後に、ポリエステルメルトにニートで又はコンセントレートとして添加できる。溶融相のみのプロセスを用いてポリエステルを製造する場合には、溶融相製造過程から出たポリマーは典型的には、少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/gのIt.V.を有する。
【0073】
別の態様において、ポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、重縮合反応を受けているポリエステルメルトから真空を開放する間に又はその後に、或いは重縮合反応ゾーン又は反応器中の圧力を、10mmHg若しくはそれ以下の比較的低いレベルから又は3mmHg若しくはそれ以下の比較的低いレベルから、300mmHg若しくはそれ以上又は450mmHg若しくはそれ以上又は600mmHg若しくはそれ以上又は大気圧若しくはそれ以上のレベルに導いた後であって、好ましくはポリエステルメルトの固化前に、ニートで又はコンセントレートとして、ポリエステルメルトに添加できる。
【0074】
別の態様において、ポリアミドは、最終反応器の最後若しくは最後近くの場所又は最終反応器とカッター前との間の場所で、ニートで又はコンセントレートとして、添加できる。例えばポリアミドは、最終重縮合反応器の出口近位の場所で最終重縮合反応器に;又は最終重縮合反応器と、切断のためのダイプレートにメルトを通す原動力を与えるギアポンプ若しくは押出機とを直接的に若しくは間接的に接続するパイプ(前記パイプは最終重縮合反応器の出口若しくは底部に又はそれらの近位に直接戻される)に;又は最終重縮合反応器の出口近位の最終重縮合反応器へのパイプ入口に添加できる。
【0075】
「最終重縮合反応器の出口近位」とは、添加場所が前記反応器の最後の25%若しくはそれ以下の範囲内又は前記反応器の最後の15%若しくはそれ以下の範囲内又は好ましくは前記反応器の最後の10%若しくはそれ以下にあることを意味する。百分率は、最終重縮合反応器の長さ又は高さ又は容積によることができる。好ましくは、百分率は長さ又は高さによる。長さ、高さ又は容積の最終百分率は、最終重縮合反応器の出口から測定する。
【0076】
更に別の態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、平均重縮合時間の少なくとも85%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも98%又は約100%の後にポリエステルメルトに添加する。平均重縮合時間はメルトのある部分が重縮合ゾーンの最初に入る時間とメルトの前記部分が最終重縮合反応器からのポリエステルメルトの出口に達する時間との間の平均経過時間の尺度である。重縮合ゾーンにおける平均重縮合時間又は平均滞留時間はトレーサー研究又は数理的モデル化によって測定できる。
【0077】
更なる態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、ポリエステルメルトのIt.V.が固化時に得られるIt.V.の0.15dL/g以内又は0.10dL/g以内又は0.05dL/g以内又は0.030dL/g以内又は0.02dL/g以内である場合にポリエステルメルトに添加できる。例えばポリエステルメルトは固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g低いIt.V.を有することもできるし、或いは固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g高いIt.V.を有することもできるであろう。
【0078】
更に別の態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、ポリエステルメルトの固化の30分以内若しくはそれ以下又は20分以内若しくはそれ以下又は10分以内若しくはそれ以下又は5分以内若しくはそれ以下又は3分以内若しくはそれ以下の時点で、ポリエステルメルトに添加できる。ポリエステルメルトの固化は、典型的には、メルトをダイプレートを通して水浴中へと押し進め且つ切断してペレットにする場合に起こるか、又はメルトを成形品に射出成形する場合に、メルト−成形プロセス(melt-to-mold process)において起こる。最も広い意味においては、固化はポリマーメルトの温度がそのポリマーの結晶融点未満に冷却された場合に起こる。
【0079】
1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの一部を1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーとブレンドして、このようなコンセントレートを形成する場合には、このようなコンセントレート中のポリアミドの量は、共重縮合物の総重量に基づき、例えば約0.5〜約40重量%又は5〜30重量%又は10〜25重量%とさまざまであることができる。これらのコンセントレートは、次に、本発明のポリマーブレンド中に最終的に存在する量のポリアミドを得るために、追加量の1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーと更にブレンドすることができる。前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー及びそれらの量については、本明細書の他の場所に詳述する通りである。
【0080】
本発明の独創的なブレンド中のポリアミドの総量は広範囲にわたって変動でき、ある程度は、特定用途に望ましい酸素捕捉の程度によって、決まるであろう。典型的には、本発明のブレンド中の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの総量は、PETポリマー及びポリアミドの総重量に基づき、例えば約0.05〜約10重量%又は0.1〜約5重量%又は1〜3重量%であろう。目的ポリアミドの量の選択においては、使用するポリアミドの量及び型によって影響される、色、酸素透過の効果的な低減及びコストのような要因を考慮する。
【0081】
一般に、水、ビール及び果汁を収容するボトル用途に適当なポリアミドの量は約1.0重量%から又は約1.25重量%から、約7重量%まで又は約6重量%まで又は5.0重量%まで又は3.0重量%まで又は2.5重量%までの範囲である。これより多い量も、特に包装容器の容積が比較的小さい場合には、表面積の相対量がより大きいので、使用できる。しかし、経済的理由から、また、ヘイズ及び色を制御するために、包装容器の内容物に所望のレベルの酸素捕捉及び鮮度を与えるのに有効な最少量の酸素捕捉組成物を用いるのが望ましい。わずか1.3重量%の量のポリアミドでも有効であることが分かった。従って、特に適当な実施態様において、ポリアミドポリマーの量は約1.0重量%から又は1.20重量%から、約3.0重量%まで又は2.5重量%まで又は2.0重量%までの範囲である。
【0082】
配合されたポリマーブレンドは、ポリアミドの他に、他の酸素捕捉ポリマーを含むことができる。例えばα−オレフィンとベンジル性水素原子を有する芳香族化合物及びポリアミンとのコポリマーを、ポリアミド酸素捕捉剤の他に使用できる。ポリアミドポリマー以外の酸素捕捉剤の量は、本発明の独創的なブレンドの総重量に基づき、望ましくは30重量%未満又は20重量%未満又は10重量%未満又は5重量%未満又は2重量%未満又は1重量%未満又は0.5重量%未満又は0.1重量%未満である。
【0083】
種々の態様において、アルカリ金属/Al触媒パッケージを用いて製造された溶融相のみのPETポリマー及び酸素捕捉剤を含む組成物は、吹込成形後少なくとも40日又は60日超又は90日超の間、5マイクロリットル(STP)O2/日未満(STPは標準温度[273.2K]及び圧力[1atm]を意味する)の酸素透過速度(23℃において500mlボトル中で)をもたらすことができる。溶融相のみのPETポリマーを含むブレンドは、吹込成形後>40日の間、5マイクロリットル(STP)O2/日未満の酸素透過速度(23℃において500mlボトル中で)をもたらすことができるアルカリ金属/Al触媒パッケージ及び4重量%又はそれ以下のポリアミドを用いて製造できる。
【0084】
以下に詳述するように、用語「溶融相のみのPETポリマー」は、専ら溶融相において重縮合されたポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーを示し、溶融相で製造され且つその後の更に固相重合された(固化後のIVの増加によって、典型的には加熱によって立証される)ポリマーとは区別する。本発明によって有用な他のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーには、ポリマーが後で更に固相重縮合されるか否かにかかわらず、望ましい最小極限粘度数まで溶融相で重縮合されたものがある。
【0085】
本発明のポリマーブレンドの形態は限定するものではなく、溶融相の組成物、非晶質ペレット、半結晶質粒子、溶融加工ゾーン中の組成物、ボトル又は他の物品を含むことができる。
【0086】
本発明のポリマーブレンドは、例えば米国特許第5,021,515号、米国特許出願公開公報第2006/0148957号及び米国特許出願公開公報第2006/0180790号(これらを引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたものを含む1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含む。このような1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは本明細書中で単に「ポリアミド」と記載する場合がある。
【0087】
必須の酸素捕捉効果に加えて、必要な性質、例えば適当な透明性及び機械的性質並びに適切な加工特性を本発明のポリマーブレンドに与えるようにポリアミドホモポリマー又はコポリマーが選択されるのであれば、種々のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、本発明による使用に適することができる。ポリアミドは、特定用途に必要とされる程度の酸素捕捉能を提供するのに必要な量で、存在すれば充分である。
【0088】
用語「ポリアミド」は、本明細書中において一般的に使用され、ホモポリマー、コポリマー及びターポリマーであるものを含む。ポリアミドは、カルボン酸官能基化モノマー(例えばジカルボン酸化合物)とアミン官能基化モノマー(例えばジアミン化合物)とを反応させることによって、又はモノマー残基間に主にアミド結合を含むポリマーを形成するための任意の他の周知方法によって、例えばラクタムを介して、アミノ酸若しくはジアミンと反応した酸塩化物を用いて製造できる。ポリアミドは、典型的には、ポリマー鎖中のモノマー単位がブロック状ではなくランダムに配列されたランダムポリマーである。ここで使用する「ポリアミド」は、また、低分子量ポリアミド及びオリゴマーも含み、例えば2つの一官能価アミンモノマーと縮合されたか又はそれで末端キャップされたジカルボン酸モノマーを含むことができる。同様に、用語「ポリアミド」は、また、2つの一官能価カルボン酸モノマーと縮合されたか又はそれで末端キャップされたジアミンモノマーを含む低分子量ポリアミドを示すことができる。
【0089】
本明細書中で使用する用語「カルボン酸モノマー」は、典型的にはジカルボン酸モノマーであるが、他の官能価のモノマーであることもできる。例えばカルボン酸モノマーは、ジカルボン酸モノマーに加えて又はその代わりに、例えばポリアミドを末端キャップすることによって、分子量及びポリマーブレンドへの分散のような、ポリアミドの性質に影響を与えるのに使用される一官能価カルボン酸モノマーを含むことができる。2つより多いカルボン酸基で官能基化されたモノマーもポリアミド中に縮合させることができる。
【0090】
同様に、「アミンモノマー」は典型的にはジアミンモノマーであるが、他の官能価のモノマーであることもできる。例えばアミン成分は、ジアミンモノマーに加えて又はその代わりに、例えばポリアミドを末端キャップすることによって、分子量及びポリマーブレンドへの分散のような、ポリアミドの性質に影響を与えるのに使用される一官能価アミンモノマーを含むことができる。2つより多いアミン基で官能基化されたモノマーも、架橋を付与するためにポリアミド中に縮合させることができる。
【0091】
一態様において、ポリアミドは、式:
【0092】
【化1】
【0093】
で表されるアミド部分を、100%を構成するモノマー残基間の縮合結合の総数に基づき、好ましくは結合の少なくとも50%又は少なくとも70%又は少なくとも80%の量で含む反応生成物である。別の態様において、100%を構成する結合の総数に基づき、ポリアミドポリマー中の異なるモノマー残基間の結合の少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも98%はアミド結合である。ポリマー中に存在するこのようなアミド結合の数は、例えば約1〜約200又は約50〜約150の範囲であることができる。
【0094】
別の態様において、ポリアミドは、メチレン基が隣接sp2型炭素原子によって共鳴安定化される場合に見られるような活性メチレン基を含む。活性メチレン基としては、例えばアリル基(allylic group)水素及びベンジル基(benzylic group)水素、例えば太字で示された炭素に結合した下記構造:
【0095】
【化2】
【0096】
[式中、Rは水素又はアルキル基である]
中に存在するものが挙げられる。従って、ベンジル位は、アリール環に直接結合した炭素である。この炭素は、アリール環中の隣接sp2炭素によるベンジル基又はカチオンの共鳴安定化のため、特に活性である。アリール環は、例えばフェニル環又はナフチルのような別の多環芳香環であることができる。好ましくはアミン残基の少なくとも50%が活性メチレン基、例えばアリル基、オキシアルキレン水素を含み、或いはより好ましくは、アミン残基の少なくとも50%がベンジル水素基を含む。
【0097】
更に別の態様において、ポリアミドはアジピン酸及びm−キシリレンジアミンの残基を含む。一態様において、本発明によって有用なポリアミドはアジピン酸残基を、合計100モル%になるポリアミド中の総カルボン酸残基に基づき、例えば少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量で含むことができる。
【0098】
別の態様において、本発明のポリアミドは、m−キシリレンジアミン残基を、100モル%を構成するポリアミド中の総アミン残基に基づき、例えば少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量で含み、アミン残基の残りはp−キシリレンジアミンのような1種又は他のアミンからの残基を含む。
【0099】
更に別の態様において、本発明によって有用なポリアミドは、100モル%を構成するポリアミド中のカルボン酸残基の総量に基づき、約80〜100モル%のアジピン酸残基及び、100モル%を構成するポリアミド中のアミン残基の総量に基づき、約80〜100モル%のm−キシリレンジアミン残基を含むコポリマーを含むことができる。更に別の態様において、ポリアミドは、100モル%を構成するポリアミド中のカルボン酸残基の総量に基づき、約95〜100モル%のアジピン酸残基及び、100モル%を構成するポリアミド中のアミン残基の総量に基づき、約90〜100モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む。別の態様において、ポリアミドはポリ(m−キシリレンアジパミド)の反復単位を、100モル%を構成するポリアミド中の酸/アミン単位の総モルに基づき、少なくとも60モル%又は少なくとも75モル%又は少なくとも80モル%又は少なくとも85モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも95モル%又は少なくとも96モル%の量で含むことができる。
【0100】
アジピン酸残基の他に、ポリアミドのカルボン酸残基は、例えば20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下又は2モル%以下の、炭素数が、例えば2〜20の1種又はそれ以上の追加のカルボン酸残基、例えば炭素数7〜12の1種又はそれ以上の脂肪族カルボン酸残基、例えばピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の残基を含むことができる。他の態様において、カルボン酸残基はイソフタル酸又はテレフタル酸残基を含むことができる。
【0101】
本明細書中で使用する「カルボン酸残基」は、遊離カルボン酸として又は対応するカルボン酸誘導体、例えば炭素数1〜4のアルコールのジカルボン酸エステル若しくはジカルボン酸無水物若しくはジカルボン酸塩化物として供給できる。
【0102】
ポリアミドのアミン残基は、20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下の、炭素数2〜16の1種又はそれ以上の追加のアミン残基を含むことができる。例としては、p−キシリレンジアミン、1,2−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0103】
ポリアミドの製造に使用するアミンモノマーは100%純粋でなくてもよく、確認されたアミンモノマーが主たるモノマーであれば、副反応生成物を含むことができることを理解すべきである。同じことはカルボン酸モノマーについても言える。
【0104】
本発明のポリアミドは、更に、その他の結合、例えばイミド及びアミジンを含むことができる。
【0105】
本発明のポリマーブレンドにおいて有用なポリアミドは、例えば、
(a)合計100モルとなるポリアミド中の総ジカルボン酸残基に基づき、少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量のアジピン酸のジカルボン酸残基;例えば5モル%以下又は40モル%以下又は30モル%以下又は20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下のイソフタル酸又はテレフタル酸の残基及びそれらの混合物からなる残りのジカルボン酸残基;並びに
(b)100モル%を構成するポリアミド中の総ジアミン残基に基づき、例えば少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量のm−キシリレンジアミンの残基を含むジアミン残基;50モル%以下又は40モル%以下又は30モル%以下又は20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下の量の、p−キシリレンジアミン又はヘキサメチレンジアミン残基のような1種又はそれ以上の他のジアミンからの残基からなる残りのジアミン残基
を含む。例としては、ポリ(m−キシリレンアジパミド)(本明細書中において「MXD6」と記載する場合がある)、ポリ(m−キシリレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−テレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)など又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。特に適当なポリアミドとしては、ベンジル水素を有する残基を含むもの、例えばポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(m−キシリレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)、ポリ(m−キシリレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)のようなポリアミド及びそれらの混合物が挙げられる。本発明者らは、三菱ガス化学株式会社(Mitsubishi Gas and Chemical Company)(日本,東京都千代田区)から入手可能なポリ(m−キシリレンアジパミド)が本発明による使用に特に適することを見出した。
【0106】
ポリアミドポリマーの数平均分子量は特には限定するものではない。数平均分子量(Mn)は、例えば少なくとも約1,000であって、例えば約45,000以下であることができる。或いは、ポリアミドポリマーのMnは、少なくとも2,500又は少なくとも3,500又は少なくとも5000であって、約7,000以下又は約12,000以下又は約25,000以下であることができる。所望ならば、約200から若しくは300から若しくは500から若しくは1,000から約12,000まで又は2,000〜10,000若しくは2,500〜7,000の範囲の低分子量ポリアミドを使用できる。ポリマーブレンドの光学的明澄度が重要である場合には、本発明者らは低分子量ポリアミドの使用は光の透過率をそれほど妨げないであろうと考える。
【0107】
別の態様において、本発明によって有用なポリアミドは、米国特許出願公開公報第2006/0180790号(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたものを含む。例えばポリアミドは、例えばベンジルアミンからのようなベンジル水素を有する2つの一官能価又は二官能価アミンと縮合されたアジピン酸を含むことができる。これらのモノマーは同一であっても異なってもよい。或いは、低分子量ポリアミドは、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸)又は酸塩化物のような2つの一官能価又は二官能価モノマーと縮合されたm−キシリレンジアミンを含むことができる。これらのモノマーは同一であるか又は異なることができる。このような分子の分子量はある程度は、モノマーが一官能価であるか二官能価であるかによって、即ちモノマーがその他のモノマーと更に反応する結合基を有するか否かによって異なる。
【0108】
本発明のポリアミドは、例えばジアミン及びジカルボン酸を化学量論量で合することによって形成された二酸−ジアミン複合体の溶融相重合によって製造できる。二酸−ジアミン複合体は、重縮合の間に現場で又は別工程で、例えばpHを慎重に制御しながら、ジアミン及びジカルボン酸の水溶液を合し且つその加熱することによって製造できる。いずれの方法においても、二酸及びジアミンを出発原料として用い、約0.3MPaの圧力において約240〜約260℃の重合温度まで加熱する。別法として、エステル型の二酸、例えばジメチルエステルを用いることができる。エステルを用いる場合には、反応は比較的低い温度、一般に80〜120℃において、エステルがアミドに転化されるまで実施するものとする。次いで、混合物を重合温度まで加熱する。本発明のポリアミドの製造には、従来型の触媒を使用できる。このような触媒は、”Principles of Polymerization”第4版,George Odian,2004年;”Seymour/Carraher’s Polymer Chemistry”改訂増補第6版,2003年;及び”Polymer Synthesis:Theory and Practice”第3版,D.Braun,2001年に記載されている。
【0109】
本発明のポリマーブレンドは、更に、酸化触媒として遷移金属を含むことができる。用語「触媒」用いるが、遷移金属は酸化反応において消費されてもされなくてもよく、或いは消費される場合には、触媒活性状態に転化し戻すことによって一時的に消費されることができるにすぎない。
【0110】
本発明のブレンドにおいて使用される遷移金属の量は酸素を積極的に捕捉するのに有効な量である。この量は、使用する遷移金属によって異なる可能性があり、また、その用途において望ましい又は必要とされる捕捉の程度によっても異なるであろう。例えばコバルト塩として供給されるコバルトのような1種又はそれ以上の遷移金属は本発明のポリマーブレンド中に、ポリマーブレンドの総重量に基づき、例えば約10〜約1,000ppm又は20〜750ppm又は25〜500ppmの量で存在できる。或いは、遷移金属は本発明のブレンド中に、ブレンドの総重量に基づいて金属原子の重量として表した場合、少なくとも10ppm又は少なくとも15ppm又は少なくとも25ppm又は少なくとも50ppmであって、500ppm以下又は750ppm以下又は800ppm以下又は1,000ppm以下の量で存在できる。本発明のブレンド中に存在する場合には、遷移金属は、ブレンドの総重量に基づき、例えば約35〜約5,000ppm若しくはそれ以上又は100〜3,000ppm又は500〜2,500ppmの量で存在できる。
【0111】
適当な遷移金属としては、少なくとも2つの酸化状態の間で容易に相互転化できるものが挙げられる。遷移金属は、金属が周期表の第1、第2又は第3遷移系列から選ばれる遷移金属塩の形態で供給される。適当な金属及び酸化状態としては、マンガンII若しくはIII、鉄II若しくはIII、コバルトII若しくはIII、ニッケルII若しくはIII、銅I若しくはII、ロジウムII、III若しくはIV及びルテニウムI、II若しくはIVが挙げられる。金属の適当な対イオンとしては、塩化物イオン、酢酸イオン、アセチルアセトン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、ネオデカン酸イオン、オクタン酸イオン又はナフテン酸イオン及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。金属塩はイオノマーであることもでき、この場合にはポリマー対イオンを使用する。酸素捕捉を触媒するのに有効な量の触媒を使用できる。本発明のブレンド中において代表的な量は、少なくとも約10ppm若しくは少なくとも25ppm若しくは少なくとも50ppm若しくは少なくとも100ppmであって、約750ppm以下若しくは約1,000ppm以下、又は50〜500ppmである。例えばネオデカン酸コバルトは、本発明のポリマーブレンドの重量に対するコバルトの重量に基づき、約50ppmから約250ppmまでの量で本発明のブレンドにおいて酸素捕捉を効果的に引き起こすことが判明している。
【0112】
遷移金属触媒の典型的な量は、ポリアミドコンセントレートの形態で供給されるならば、更に多い、例えば少なくとも約50ppm又は少なくとも250ppm又は少なくとも500ppmであって、約1,000ppm以下又は約2,500ppm以下又は約5,000ppm以下又は約10,000ppm以下若しくはそれ以上であることができる。従って、これらのポリアミドコンセントレートは、本発明のブレンドに添加量で供給される場合には、遷移金属触媒コンセントレートとして働くこともできる。しかし、ブレンド時に目的とする酸素捕捉効果を保持するためには、コンセントレートに金属を添加するのではなく、ブレンドの直前に遷移金属を添加することが有利であることができる。
【0113】
本発明者らはコバルト塩が本発明による使用に特に適することに気付いた。
【0114】
本発明のブレンドを包装用組成物に使用する予定である場合には、約10〜約1,000ppmの範囲の量の、又は少なくとも10ppm若しくは少なくとも30ppm若しくは少なくとも50ppm若しくは少なくとも60ppm若しくは少なくとも75ppm若しくは少なくとも100ppm若しくは少なくとも200ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属触媒がほとんどの用途に適当である。或いは、遷移金属触媒は、本発明のブレンドの重量に基づき、約300ppm以下又は200ppm以下又は100ppm以下又は75ppm以下又は50ppm以下又は25ppm以下又は10ppm以下の量で存在できる。
【0115】
示した量は、ポリマーブレンドの重量に基づき、金属として測定したものであり、組成物に添加した化合物の重量として測定したものではない。遷移金属としてのコバルトについては、適当な量は、少なくとも20ppm又は少なくとも30ppm又は少なくとも50ppm又は少なくとも60ppm又は少なくとも100ppm又は少なくとも125ppm又は少なくとも250ppmであることができる。或いは、コバルトは、本発明のブレンドの重量に基づき、約200ppm以下又は100ppm以下又は75ppm以下又は50ppm以下又は25ppm以下又は10ppm以下の量で存在できる。
【0116】
遷移金属を1種又はそれ以上のポリマーの重合の間に添加する場合には、遷移金属の望ましい触媒活性を保持するために、遷移金属は、重合プロセスの終わり近くに又は更にはブレンドの間に、添加することが必要であるか又は役立つであろう。例えば遷移金属は、ニートで又は担体(例えば液体又はワックス)中に入れて、押出機に又は本発明のポリエステルブレンドを含む物品を製造するための他の装置に加えることもできるし、或いは追加のポリエステル若しくは他の熱可塑性ポリマーを含むコンセントレートとして又はPET/ポリアミドブレンドを含むコンセントレートとして加えることもできる。担体は、ポリエステルと反応性であっても非反応性であってもよく、揮発性又は不揮発性担体液体のいずれも使用できる。
【0117】
PETポリマー中にポリアミドを取り入れるための前記のブレンドプロトコールと同様に、遷移金属触媒は、本発明の酸素捕捉用ポリマーブレンドの製造の間に、種々の箇所で種々のブレンドプロトコールによって加えることができることは明らかである。特に有用なアプローチは、ブレンド製造の遅い段階で本発明のブレンドと遷移金属とを一緒にすることである。場合によっては、例えばコバルトを遷移金属として供給する場合には、PET重合プロセスの間のような早い段階ではなく、PETポリマーとポリアミド又はコンセントレートとのブレンドの間(例えばボトルプレフォーム成形のような二次加工プロセスの間)にコバルトを添加するのが好ましいであろう。
【0118】
本発明のブレンドを構成するPETホモポリマー又はコポリマー(以下において、単に「PETポリマー」と記載する場合がある)は熱可塑性であり、例えばポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppmの量のアルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基、例えばリチウムを含む触媒系を含む。このようなポリマーは、典型的には溶融相重合の間に得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する。
【0119】
本発明のブレンドを構成するPETホモポリマー又はコポリマーは、2006年7月28日に出願され且つ譲受人が本件と共通である米国特許出願第11/495,431号において開示され且つ特許請求されたものを含む。この特許出願の開示を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。
【0120】
別の態様において、PETポリマーは、触媒系として供給されるアルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含み、アルミニウム原子とアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基の組合せの触媒活性を少なくとも部分的に失活させるのに有用な触媒失活剤を更に含む。
【0121】
一態様において、PETポリマーは、アルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマーメルトを重縮合させることを含む方法によって製造する。
【0122】
本明細書中の他の場所に記載された1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーとブレンドされた、直前に記載し且つ以下に更に詳述する触媒系を用いて製造された1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーを含む本発明のポリマーブレンドは、従来型の触媒系を用いて製造されたPETポリマーに比較して改善された酸素捕捉活性を有する。
【0123】
本発明の更に別の態様において、本発明による使用に適当なPETポリマーは、アルミニウム原子及びアルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基、例えばリチウム原子を含むポリエステルメルトに燐原子を添加する工程を含む方法によって製造できる。
【0124】
別の態様において、本発明によって有用なPETホモポリマー又はコポリマーは、アルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含み、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モルブデン、鉄、ニッケル又はこれらの窒化物若しくは炭化物、例えば窒化チタン、炭化チタン或いはそれらの混合物のうちの1種又はそれ以上の粒子を更に含み、前記粒子はポリエステル組成物の再加熱速度を改善する。
【0125】
前記粒子は、例えばホウ素、炭素及び窒素の原子を含む遷移金属化合物;遷移元素金属及び遷移金属合金を含むことができ、前記遷移原子は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄若しくはニッケル原子又はそれらの組合せを含む。
【0126】
別の態様において、PETポリマーは、1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマーメルトを重縮合させ、且つ重縮合の前、重縮合の間又は重縮合の後に、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄若しくはニッケル原子又はそれらの組合せを含む粒子を添加することを含む方法によって製造できる。
【0127】
粒子は、好ましくはホウ素、炭素及び窒素の原子を含む遷移金属化合物;遷移元素金属及び遷移金属合金(前記遷移原子はチタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄若しくはニッケル原子又はそれらの組合せを含む)、例えば窒化チタン若しくは炭化チタン、或いはそれらの混合物を含む。
【0128】
従って、本発明によって有用なPETホモポリマー又はコポリマーは、触媒系として、アルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基(任意的に1種又はそれ以上の触媒失活剤で失活される)を含む。
【0129】
アルミニウム原子は、PETポリマーの総重量に基づき、それぞれ例えば約1〜約35ppm又は5〜25pppm又は10〜20ppmの量で存在できる。
【0130】
1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子(例えばリチウム、ナトリウム又はカリウム)、アルカリ金属原子(例えばマグネシウム又はカルシウム)又はアルカリ化合物残基は、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの総重量に基づき、それぞれ例えば約1〜約25ppm又は1〜20ppm又は5〜18ppm又は8〜15ppmの総量で存在できる。
【0131】
一態様において、1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基はリチウムを含む。この態様において、リチウムの量は、PETポリマーの総重量に基づき、それぞれ例えば約1〜約25ppm又は5〜20ppm又は8〜15ppmであることができる。
【0132】
PETポリマーの製造方法において、使用する触媒系は1種又はそれ以上の触媒失活剤、例えば燐原子によって失活させることができる。存在する場合には、燐原子の量は、例えば約150ppm以下又は約115ppm以下又は約70ppm以下の範囲であることができる。
【0133】
一態様において、PETポリマーは、例えば約0.50〜約1.1の範囲の極限粘度数(It.V.)又は0.70〜0.85の範囲のインヘレント粘度(Ih.V.)を有することができる。
【0134】
PETポリマーの製造方法において、ポリエステルポリマーの最終It.V.は、典型的には、専ら溶融相重合プロセスにおいて達成される。これは、ポリエステルポリマーの分子量を中程度のIt.V.まで増加させ、固化させ、次いでその後に、分子量をより高い望ましい最終It.V.まで分子量を増加させ続けるために固相重合を行う従来の方法とは異なる。その後の固相重合は触媒反応を必要とするので、従来の方法は溶融相において感知できるほどには触媒を失活させない。この方法は、専ら溶融相において望ましい最終It.V.まで分子量を増加させることができるので、触媒は少なくとも部分的に失活させ、それによって粒子のその後の溶融時に、更なるアセトアルデヒドの発生のよくある原因となる触媒活性の少なくとも一部を防ぐことができる。
【0135】
従って、一態様において、PETポリマーは、ポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppmの量で存在するアルミニウム原子を含み、前記ポリマーは、溶融相重合によって得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する。
【0136】
別の態様において、PETポリマーは、(i)アルミニウム原子、(ii)アルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基及び(iii)(i)アルミニウム原子と(ii)アルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基との組合せの触媒活性を少なくとも部分的に失活させるのに有効な量の触媒失活剤を含む。
【0137】
本発明によって有用なPETポリマーは、好ましくは、
(i)PETポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも80モル%のテレフタル酸残基を含むカルボン酸成分及び
(ii)PETポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも80モル%のエチレングリコール又は1,3−プロパンジオールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む。
【0138】
典型的には、PETポリマーは、エチレングリコールを含むジオールとテレフタル酸(遊離酸又はそのC1〜C4ジアルキルエステルとして)を含むジカルボン酸とを反応させてエステルモノマー及び/又はオリゴマーを生成し、次いでそれを重縮合させてポリエステルを生成することによって製造する。カルボン酸基又はその誘導体を含む1種より多い化合物をこのプロセスの間に反応させることができる。ポリエステル生成物の一部となるカルボン酸基又はその誘導体を含む、このプロセスに入る全ての化合物は、「カルボン酸成分」を構成する。生成物中に存在するカルボン酸基又はその誘導体を含む全ての化合物のモル%は、合計100となる。PETポリマー中に存在するカルボン酸基又はその誘導体を含む化合物の「残基」は、その化合物がヒドロキシル基を含む化合物と縮合され且つ更に重縮合されて種々の鎖長のPETポリマー鎖を形成した後にPETポリマー中に残る化合物の部分を意味する。
【0139】
ヒドロキシル基又はその誘導体を含む1種より多い化合物がPETポリマーの一部となることができる。PETポリマーの一部となるヒドロキシル基又はその誘導体を含む、このプロセスに入る全ての化合物は、「ヒドロキシル成分」を構成する。PETポリマーの一部となるヒドロキシル基又はその誘導体を含む全ての化合物のモル%は、合計100となる。PETポリマーの一部となるヒドロキシル官能性化合物又はその誘導体の「残基」は、その化合物がカルボン酸基又はその誘導体を含む化合物と縮合され且つ更に重縮合されて種々の鎖長のPETポリマー鎖を形成した後にPETポリマー中に残る化合物の部分を意味する。
【0140】
PETポリマー中のヒドロキシル残基及びカルボン酸残基のモル%は、例えばプロトンNMRによって測定できる。
【0141】
他の態様において、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーは、
(a)PETポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のテレフタル酸又はテレフタル酸誘導体の残基を含むカルボン酸成分;及び
(b)PETポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のエチレングリコール又は1,3−プロパンジオール、より好ましくはエチレングリコールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む。
【0142】
改質剤は、ポリマー中に、その各成分、カルボン酸又はヒドロキシル100モル%に基づき40モル%以下又は20モル%以下又は10モル%以下又は8モル%以下又は5モル%以下の量で存在できる。典型的には、一官能価、三官能価又はそれ以上の官能価の改質剤は、ポリマー中に、その各成分、カルボン酸又はヒドロキシル100モル%に基づき、わずか約8モル%以下又は4モル%以下又は約2モル%以下の量で存在し且つ/又はそれを添加できる。
【0143】
組み込むのに適当なテレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸の誘導体としては、テレフタル酸C1〜C4ジアルキル及びナフタル酸C1〜C4ジアルキル、例えばテレフタル酸ジメチル及びナフタル酸ジメチルが挙げられる。
【0144】
テレフタル酸又はテレフタル酸の誘導体の二酸成分の他に、本発明のPETポリマーのカルボン酸成分は、1種又はそれ以上の追加の改質剤カルボン酸化合物、例えばナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸の誘導体若しくはそれらの混合物、モノカルボン酸化合物、他のジカルボン酸化合物及びそれより多くのカルボン酸基を有する化合物を含むことができる。例としては、炭素数が好ましくは8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数が好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は炭素数が好ましくは8〜12の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。酸成分の一部として有用な改質剤ジカルボン酸のより具体的な例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などであり、イソフタル酸及びナフタレン−2,6−ジカルボン酸が最も好ましい。これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用も、用語「カルボン酸」に含まれることを理解すべきである。また、トリカルボキシル化合物分岐剤及びより多数のカルボン酸基を有する化合物も、モノカルボン酸連鎖停止剤と共に、PETポリマーを改質することができる。
【0145】
エチレングリコールを含むヒドロキシル成分の他に、本発明のPETポリマーのヒドロキシル成分は、追加の改質剤モノオール、ジオール又はそれより多くのヒドロキシル基を有する化合物を含むことができる。改質剤ヒドロキシル化合物の例としては、炭素数が好ましくは6〜20の脂環式ジオール及び/又は炭素数が好ましくは3〜20の脂肪族ジオールが挙げられる。このようなジオールのより具体的な例としては、ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;プロパン−1,3−ジオール;ブタン−1,4−ジオール;ペンタン−1,5−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;3−メチルペンタンジオール−(2,4);2−メチルペンタンジオール−(1,4);2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3);2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3);2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3);ヘキサンジオール−(1,3);1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルーシクロブタン;2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン;及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンが挙げられる。ヒドロキシル成分改質剤として、PETポリマーは好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールのようなコモノマーを含むことができる。
【0146】
PETポリマーは、ポリアルキレンナフタレート又はポリカーボネート(PC)及びポリアミドのような他の熱可塑性ポリマーとブレンドすることができる。しかし、PETポリマーは、主に反復ポリエチレンテレフタレートポリマーから、例えばPETホモポリマー又はコポリマーの総重量に基づき、少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%の量の反復ポリエチレンテレフタレートポリマーからなるのが好ましい。
【0147】
一態様において、組成物は、全ポリエステルポリマーの総重量に基づき、60重量%未満又は40重量%未満又は20重量%未満又は10重量%未満又は5重量%未満の使用済みの再生ポリエステルポリマー(PCR)を組成物中に含むか、又は全く含まない。別の実施態様において、組成物は、全ポリエステルポリマーの総重量に基づき、ゼロより多く且つ60重量%以下又は40重量%以下又は20重量%以下又は10重量%以下の量でPCRを含む。
【0148】
従って、本発明によって有用なPETポリマーは、添加されるアルミニウム化合物の又は組成物中に存在する残基の酸化状態、形態学的状態、構造状態又は化学状態には関係なく、PETポリマーを製造するための溶融相プロセスへのアルミニウム原子の添加時にポリマーメルト中に残る部分であるアルミニウム残基を構成するアルミニウム原子を含む。アルミニウム残基は、溶融相反応に添加されるアルミニウム化合物と同一の形態であることができるが、アルミニウムは重縮合速度の促進に関与すると考えられるので、典型的には変化しているであろう。用語「アルミニウム原子」又は「アルミニウム」は、アルミニウムの酸化状態に関係なく、任意の適当な分析方法によって検出されるポリエステルポリマー中におけるアルミニウムの存在を意味する。アルミニウムの存在の適当な検出方法には、誘導結合プラズマ発光分光分析(inductively coupled plasma optical emission spectroscopy)(ICP)がある。アルミニウムの濃度は、PETポリマーの重量に基づく金属原子のppmとして、報告してある。用語「金属」は、特定の酸化状態を意味しない。
【0149】
アルミニウム化合物の適当な例としては、アルミニウムのカルボン酸塩、例えば酢酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム;アルミニウムアルコラート、例えばアルミニウムエチラート、アルミニウムイソプロピラート、アルミニウムトリn−ブチラート、アルミニウムトリ−tert−ブチラート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピラート;グリコール酸アルミニウム、例えばアルミニウムエチレングリコレート;並びにアルミニウムアルコラートのアルコキシ基がアルキルアセトアセテート又はアセチルアセトンのようなキレート化剤で一部分又は全て置換されたアルミニウムキレート、例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピラート、アルミニウムトリ(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピラート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムアセチルアセトネートが挙げられる。
【0150】
アルミニウム化合物の中で好ましいのは、アルミニウムの塩基性カルボン酸塩及びアルミニウムアルコラートである。アルミニウムの塩基性カルボン酸塩としては、一塩基性及び二塩基性化合物が挙げられる。使用する塩基性アルミニウム酢酸塩は、ジアセテートモノヒドロキシ化合物若しくはモノアセテートジヒドロキシ化合物又はそれらの混合物であることができる。特に、塩基性アルミニウム酢酸塩及びアルミニウムイソプロポキシドが好ましいアルミニウム化合物である。ホウ酸による塩基性アルミニウム酢酸塩の安定化は、場合によってはその溶解度を増加させる可能性がある。アルミニウムイソプロポキシドが最も望ましい。
【0151】
PETポリマー中に存在するアルミニウムの量は、一般にポリマーの重量に基づき、アルミニウム少なくとも3ppm又は少なくとも5ppm又は少なくとも8ppm又は少なくとも10ppm又は少なくとも15ppm又は少なくとも20ppm又は少なくとも30ppmであって、約150ppm以下又は約100ppm以下又は約75ppm以下又は約60ppm以下の範囲である。アルミニウムの好ましい範囲は5〜60ppmである。他の適当な量としては、アルミニウム原子7ppmから又は10ppmから、60ppmまで又は40ppmまで又は30ppmまでが挙げられる。
【0152】
アルカリ金属残基又はアルカリ土類金属残基は、任意の形態又は酸化状態でPETポリマー中に存在するアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子であるか、或いはアルカリ化合物を用いる場合には、酸化状態又は最終的な物理的状態、形態学的状態、構造状態若しくは化学状態とは無関係に、ポリマーメルト又は完成ポリマー若しくは物品内に存在するアルカリ化合物の残りである。用語「アルカリ金属」又は「アルカリ土類金属」又は「金属」は、その元素状態又はその周期表の族におけるその許容され得る原子価に対応する酸化状態の原子を含む。添加時のアルカリの化学状態も限定するものではない。アルカリは、金属化合物として、有機金属化合物として又は金属を含まない化合物として添加できる。同様に、添加時のアルカリ土類金属化合物又はアルカリ金属化合物の化学状態も限定するものではない。
【0153】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、Li,Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Srを含む周期表の第IA族及び第IIA族の金属、特にLi、Na又はKが挙げられる。速い速度及び明澄度が第一の懸案事項である場合には、Liが好ましいであろう。色が第一の懸案事項である場合には、Naが好ましいであろう。金属は、対イオンを有する金属化合物(錯体又は塩を含む)として添加することができ、対イオンのうち好ましいのは水酸化物イオン、炭酸イオン及びカルボン酸イオンである。
【0154】
他の適当なアルカリ化合物は、米国特許第6,156,867号に記載されたものであり、この特許の関連する開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。これらは、第三アミン化合物及び第四アンモニウム化合物を含む。選択される特定のアミン化合物は望ましくは、ポリマーにそれほど黄色を与えないものである。
【0155】
アルミニウムのモルに対するアルカリ金属のモル若しくはアルカリ土類金属のモル又はアルカリのモル比(M:Alモル比,M:Al MR)は、一般に、少なくとも0.1又は少なくとも0.25又は少なくとも0.5又は少なくとも0.75又は少なくとも1又は少なくとも2から、約75まで、約50まで、約25まで、約20まで、約15まで、約10まで又は約8まで又は約6まで又は約5までの範囲である。
【0156】
アルミニウム及びアルカリ土類金属又はアルカリ金属の重量は、完成PETポリマー又は物品中の量を検出するための分析法によって測定できる。アルミニウム及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の存在の適当な検出方法には、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)がある。螢光X線分析法(XRF)は一部のアルカリ土類金属及び一部のアルカリ金属に適当な検出法であるが、PETポリマー中に見られるような比較的低レベルのアルミニウムの検出には適当でない場合がある。本明細書中で使用する、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の濃度は、PETポリマーの重量に対する金属原子のppmで、報告してある。
【0157】
アルミニウム及びアルカリ又はアルカリ土類金属は溶液、微細分散液、ペースト、スラリーとして又はニートで添加できる。これらは好ましくは、計量供給できる液体、メルト又はさらさらした固体として添加する。最も好ましくは、それらは液体として、特に溶液又は分散液として添加する。
【0158】
アルミニウム触媒を阻害するか又は失活させ、ひいては重縮合速度を遅くする可能性がある、エステル化ゾーンにおいて発生する水とアルミニウム触媒との間で起こり得る不所望な副反応を回避するために、アルミニウム化合物は、エステル化反応の実質的完了後に又は重縮合の開始時若しくは重縮合の間に添加するのが望ましい。更なる実施態様において、エステル化反応の少なくとも75%又は少なくとも85%又は少なくとも95%(転化率に換算して)は、アルミニウム化合物を添加せずに実施する。アルミニウム化合物及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物は、同じ添加箇所で又はその近くで添加するのが望ましい。アルミニウム化合物及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物は、触媒混合タンク中におけるのと同様に、PETポリマーの溶融相製造ラインへの添加前に、予備混合及び加熱するのが最も望ましい。
【0159】
所望ならば、他の触媒金属も存在できる。例えばMn、Zn、Sb、Co、Ti及び/又はGe触媒を、アルミニウム及びアルカリ土類金属又はアルカリ触媒と共に使用できる。特に溶融相製造過程がエステル交換反応を伴う場合にはチタン触媒を使用することもできるし、或いは反応をチタンの実質的不存在下で実施することもできる。適当なチタン触媒としては、ポリエステルポリマーの製造に使用される運転条件下で、失活されなければ、PETポリマーメルトのIt.V.を少なくとも0.3dL/g増加させる量で添加されるそれらの化合物が挙げられる。
【0160】
一態様において、アンチモンの量を限定することもできるし、或いはアンチモンを反応混合物中に存在させないこともできる。従って、存在するアンチモンの量は、例えば0ppmであることができ、即ち反応をアンチモンの不存在下で実施することができる。或いは、存在するアンチモンの量は、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、10ppm以下又は20ppm以下又は40ppm以下又は60ppm以下であることができる。理論によって拘束するつもりはないが、本発明者らは、アンチモンの存在は本発明のブレンドの酸素捕捉結果を妨害する可能性があり、且つ本明細書中に記載した触媒系を用いて製造したポリエステルは相当量のアンチモンを含むポリエステル又はブレンドと比較して大幅に改善された酸素捕捉効果を有することができると考える。
【0161】
別の態様においては、アンチモンを触媒として又は再加熱添加剤として若しくは両方として、例えば約5〜約30ppm又は約10〜約20ppmの量で使用できる。
【0162】
典型的には、チタン触媒は、重縮合前に未処理であると、副反応を伴うその高活性のためにポリマーを変色させる可能性があるので、エステル交換の間に添加されたチタン触媒は、得られるオリゴマー混合物の重縮合の前に失活させるものとする。しかし、所望ならば、少量の活性チタン触媒が本発明の触媒系と共に存在できる。チタン触媒を使用するならば、その量は、一般にPETポリマーの重量に基づき、2〜15ppmの範囲である。アンチモン触媒も本発明の触媒系と組合せて使用できる。アンチモンの量は例えば20〜250ppmの範囲であることができる。
【0163】
好ましくは、本発明のポリマーブレンドのPETポリマーの製造は、チタン、コバルト又はアンチモンを溶融相反応に添加せずに、或いは更には、アルミニウム/アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルカリ系以外の触媒活性金属又は金属化合物を溶融相反応に添加せずに、行う(例えば、測定目的では、化合物は280℃及び0.8mmHgにおいて撹拌しながら1時間後に反応速度又はIt.V.を0.2〜0.4dL/gの出発点から少なくとも0.1dL/g増加させるならば、触媒活性である)。しかし、コバルト又はマンガンのような1種又はそれ以上の金属は、金属で触媒される液相酸化プロセスから製造されるテレフタル酸組成物に不純物として付随するので、メルト中には低レベルで存在する可能性が高いと認識すべきである。言うまでもなく、本発明の独創的なブレンドはブレンドに酸化触媒として供給された遷移金属を含み得る。このような遷移金属の添加は、重合プロセスの遅い段階で又は更には本発明のブレンドを製造するためのブレンドの間に、行うのが最良であり得る。
【0164】
本発明のブレンドへの使用に適当なPETポリマーは触媒失活剤を含むこともできる。触媒失活剤は触媒系の活性を少なくとも部分的に失活させる又は阻害するのに有効な化合物を意味する。ある化合物は、所定のレベルでの添加による場合に、また、所定のレベルでの化合物の有効性を試験するために限れば、a)実際の運転条件下における固相化(solid-stating)速度が失活剤を含まない同一ポリマー(添加剤なしの場合)に比較して遅くなる場合及び/又はb)より早い段階で添加された時に、実際の運転条件下における一定のIt.V.目標値までの溶融相重縮合速度が遅くなる、即ち、It.V.目標値に達するのにより多くの時間がかかるか又はポリマーのIt.V.が一定時間において添加剤なしの場合に比較して低下する場合のいずれか又は両方の場合に、触媒系を少なくとも部分的に失活させるのに有効である。触媒失活剤は、また、粒子の溶融時の、好ましくは溶融相重合から得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する粒子の溶融時のAA発生速度を、添加剤なしの場合に比較して遅くして、プレフォームのような成形品中のAAレベルに対するAA発生の寄与を添加剤なしの場合に比較して減少させる。
【0165】
触媒失活剤は、典型的には、その後の溶融加工工程の間における触媒系の活性を制限するために、PETポリマーメルトの製造プロセスの間に遅い段階で添加する。触媒失活剤を添加しないと、溶融加工工程において、触媒系は、PETポリマー粒子中に存在するアセトアルデヒド前駆体のアセトアルデヒドへの転化を触媒し且つ/又はより多くのAA前駆体の形成及びそれらのその後のAAへの転化を触媒するであろう。未処理のままでは、PETポリマーは、押出又は射出成形の間に高いアセトアルデヒド発生速度を有し、その結果、ポリマーメルトから製造される物品中のAAレベルの増加の一因となるであろう。安定剤又は失活剤は、溶融相重縮合の終わり近くにおいて並びに再溶融(例えば溶融ブレンド及び本発明のポリマーブレンドの物品への加工の間に起こる)の間にPETポリマーメルトを熱的に安定化させるのに役立つこともでき、それがなければ、より多くの反応が起こって、高粘度のメルト中のポリマー鎖を開裂し、より多くのAA前駆体、最終的にはより多くのAAを形成する方向に向かうであろう。触媒失活剤は金属触媒の触媒活性、ひいて重縮合速度を抑制するので、触媒失活剤はアルミニウム化合物或いはアルカリ金属化合物若しくはアルカリ土類化合物又はアルカリ化合物の添加と共に添加することもないし、重縮合の開始時に添加することもない。しかし、燐化合物の必ずしも全ての型又は形態が失活剤ではなく、そうでない場合には、それらは、必要に応じて、触媒と一緒に又は重縮合の開始時に添加することができることに留意すべきである。
【0166】
適当な失活化合物は、好ましくは燐含有化合物、例えば燐酸トリエステル、酸性燐化合物又はそれらのエステル誘導体及び酸性燐含有化合物のアミン塩である。酸性燐化合物は、少なくとも1つのオキシ酸基、即ち酸素に二重結合され且つ少なくとも1つのヒドロキシル又はOH基に単結合された少なくとも1つの燐原子を有する。酸素に二重結合した燐原子に結合したヒドロキシル基の数が増加するにつれて、酸性基の数は増加する。燐化合物の具体例としては、燐酸、ピロリン酸、亜燐酸、ポリ燐酸、カルボキシホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホン酸誘導体並びにそれらの酸性塩及び酸性エステル及び誘導体のそれぞれ、例えば酸性燐酸エステル、例えば燐酸モノエステル及びジエステル、並びに非酸性燐酸エステル(例えば燐酸トリエステル)、例えば燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブチル、燐酸トリブトキシエチル、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、オリゴマー燐酸トリエステル、燐酸トリオクチル、燐酸トリフェニル、燐酸トリトリル、(トリス)エチレングリコールホスフェート、ホスホノ酢酸トリエチル、ジメチルメチルホスホネート、テトライソプロピル=メチレンジホスホネート;燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール若しくは2−エチルヘキサノールとのモノエステル、ジエステル及びトリエステル又はそれぞれの混合物が挙げられる。他の例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、燐酸一水素化合物及び燐酸二水素化合物、ホスファイト化合物、ポリマーメルト中に好ましくは可溶なある種の無機燐化合物、ポリ(エチレン)水素ホスフェート及び燐酸シリルが挙げられる。粒子の溶液又は成形品のヘイズ(haze)は、ポリマーメルト中の添加剤の溶解度の欠如又は限られた溶解度の1つの目安である。可溶な添加剤は、触媒系を失活/安定化させる可能性がより高い。
【0167】
添加できる他の燐化合物には、酸性燐化合物のアミン塩がある。アミンは環状であっても非環状であってもよく、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよいが、ヘイズ及び/又は溶解度が問題である場合には、ヘイズを最小限に抑え且つ/又は溶解度を最大にするように選択すべきである。アミンの有機成分は基本的には任意の有機基であることができる。アンモニア及び水酸化アンモニウムのような関連化合物が適当である。
【0168】
アミン上の適当な有機基としては、直鎖及び分岐鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、ヘテロアリールなどが挙げられる。これらの型の有機基はそれぞれ、未置換でも置換されていてもよい(例えばヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、ハロ及び同様な基で置換されていてもよい)。有機基は、また、炭酸、ケト、エーテル及びチオエーテル結合並びにアミド、エステル、スルホキシド、スルホン、エポキシなどを含むことができる。このリストは説明のためのものであり、限定するものではない。
【0169】
好ましいアミンは、5〜7員環、好ましくは6員環を有する環状アミンである。これらの環は単一の「モノマー」種を構成することもできるし、或いはより大きいオリゴマー又はポリマーの一部であることもできる。
【0170】
好ましい環状アミンは環窒素に隣接する環の位置で置換された有機基を有するヒンダードアミンである。環窒素自体も置換されることができる(例えばアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール及び他の基で)。ヒンダードアミンは、また、オリゴマー部分又はポリマー部分の一部を構成することができる。
【0171】
別の型の好ましいアミンはアミノ酸である。分解点が重合温度又はそれ以上の温度であるアミノ酸が特に好ましい。L−エナンチオマー、D−エナンチオマー又はラセミ混合物を含むそれらの任意の混合物を使用できる。アミン基及びカルボン酸基は同じ炭素に結合する必要はない。アミノ酸はα、β又はγであることができる。置換アミノ酸を使用できる。水にある程度の溶解度を有するアミノ酸が特に好ましい。これは、水にある程度の溶解度があれば、塩の合成が水中で、即ちVOC(揮発性有機化合物)を用いずに行われることができるためである。
【0172】
この方法において使用する燐化合物又はその他の触媒失活剤の量は、(i)アルミニウム原子と(ii)アルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基との組合せの触媒活性を部分的に又は完全に失活させることによって、溶融相で生成されるポリマーの再溶融時に発生するAAの量を低減するのに有効である。燐原子の典型的な量は少なくとも15ppm又は少なくとも50ppm又は少なくとも100ppmであろう。
【0173】
メルト中に存在するアルミニウム、アルカリ又はアルカリ土類金属及び他の全ての触媒金属の累積量を考慮に入れるべきである。(燐のモル)対(アルミニウム並びにアルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属の総モル)の比[P:M MR(Mはアルミニウムのモル、存在する場合にはアルカリ土類金属のモル及び存在する場合にはアルカリ金属のモルの和と見なされ、MRはモル比を表す]は、一般に少なくとも0.1:1若しくは少なくとも0.3:1若しくは少なくとも0.5:1若しくは少なくとも0.7:1若しくは少なくとも1:1であって且つ約5:1以下又はより好ましくは約3:1以下若しくは2:1以下若しくは1.8:1以下若しくは1.5:1以下である。ポリエステルメルトへの燐化合物の添加時におけるポリマーIt.V.の低下を最小限に抑えるためには、多量の燐化合物は回避しなければならない。P:M MRの適当な範囲は0.5〜1.5である。
【0174】
アルミニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属の化合物も燐化合物と反応する。アルミニウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の化合物の他に、燐化合物と反応する他の金属化合物が存在する場合には、遅い段階で添加する燐化合物の量は、存在する全ての反応性金属と燐化合物が確実に反応又は結合するために、目標P:M MRの達成に必要な量を上回るのが望ましい。
【0175】
本発明のポリマーブレンドに有用なポリエステルポリマーは、ポリエステルポリマーの重量に基づき、5〜100ppm又は7〜60ppm又は10〜30ppmの範囲内のアルミニウム原子を含み、(全てのアルカリ土類金属及びアルカリ金属原子のモル)対(アルミニウム原子のモル)のモル比は0.5:1〜6:1又は1:1〜5:1又は2:1〜4:1の範囲内であることができ、P:M比は0.1:1〜3:1又は0.3:1〜2:1又は0.5:1〜1.5:1の範囲である。
【0176】
所望ならば、部分量の燐化合物を、溶融相製造プロセスの早い段階で、例えば重縮合の開始時に添加し且つ最終量を重縮合過程の遅い段階で又はその後に、しかし以下に詳述する固化の前に添加することができる。重縮合及び/又は生成速度を最大にするために、燐化合物の大半又は大部分又は全体を、溶融相製造プロセスの遅い段階に添加する。
【0177】
PETポリマーは、アルミニウム化合物及びアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属化合物又はアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマーメルトを形成することを含む溶融相反応において製造できる。重縮合反応の少なくとも一部はアルミニウム化合物とアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物又はアルカリ化合物との組合せの存在下で進行する。アルミニウム化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物又はアルカリ化合物を添加できる種々の方法、それらの添加順序及びそれらの添加点については、米国特許出願第11/495,431号(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されており、更に以下に詳述する。
【0178】
ポリエステル前駆体反応体は、溶融相プロセスの第1段階が実施されるエステル化反応容器に供給できる。エステル化プロセスは、直接エステル化によって又はトランスエステル化としても知られるエステル交換によって進行する。溶融相プロセスの第2段階においては、エステル化の間に形成されたオリゴマー混合物を重縮合させて、ポリエステルメルトを形成する。メルトの分子量は、溶融相プロセスにおいて目的とするIt.V.まで増加させ続ける。
【0179】
更に説明すると、1種若しくはそれ以上のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体と1種若しくはそれ以上のジオール、例えばエチレングリコールとの混合物を、約200〜300℃において約1psig〜最大約70psigの過圧で運転されるエステル化反応器に連続供給する。反応体の滞留時間は典型的には約1〜約5時間の範囲である。通常、1種又はそれ以上のジカルボン酸を高圧で約240〜約285℃の温度において1種又はそれ以上のジオールで直接エステル化させる。エステル化反応は、少なくとも70%の酸若しくはエステル基転化率が達成されるまで続けるが、より典型的には少なくとも85%の酸若しくはエステル基転化率が達成されて所望のオリゴマー混合物(又は別名「モノマー」としても知られる)が生成されるまで続ける。
【0180】
エステル化ゾーン(直接エステル化及びエステル交換プロセスを含む)において形成される得られるオリゴマー混合物は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)モノマー、低分子量オリゴマー、DEG、及びエステル化ゾーンにおいて完全には除去されなかった微量の縮合副生成物を、原料からの及び/又は触媒副反応によって形成される可能性がある他の微量不純物並びにトナー及び安定剤のような任意選択で添加される他の化合物と共に含む。BHET及びオリゴマー種の相対量は、方法が直接エステル化法(この場合には、オリゴマー種の量が多く、主な種として存在することすらある)であるか或いはエステル交換法(この場合には、BHETの相対量がオリゴマー種よりも優っている)であるかによって異なるであろう。平衡を目的生成物の方向に進めるために、エステル化反応の進行につれて、水を除去する。平衡を目的生成物の方向に進めるために、ジメチルエステル又はジカルボン酸のエステル交換反応の進行につれて、メタノールを除去する。エステル化ゾーンは典型的には、モノマー又はオリゴマー種(もしあれば)を、一連の1つ又はそれ以上の反応器中で連続的に生成する。別法として、オリゴマー混合物中のモノマー又はオリゴマー種は1つ又はそれ以上の回分反応器中で生成することもできるであろう。この段階では、It.V.は通常は測定できないか、又は0.1dL/g未満である。溶融ゴリゴマー混合物の平均重合度は典型的には15未満、多くの場合7.0未満である。
【0181】
オリゴマー混合物を生成するための反応は、別の方法では、好ましくは直接エステル化においては無触媒で行い、更にエステル交換反応においては触媒を用いて行う。エステル交換反応において使用できる典型的なエステル交換触媒としては、チタン化合物、錫化合物、亜鉛化合物及びマンガン化合物が挙げられ、それぞれ単独に又は互いに組合せて使用する。リチウム若しくはナトリウム化合物のようなアルカリ金属化合物又はマグネシウム若しくはカルシウム化合物のようなアルカリ土類化合物もエステル交換触媒として使用できる。当業者によく知られた任意の他の触媒材料が適当である。
【0182】
重縮合反応の間に存在するチタン基材触媒はメルトをより黄色にすることによってb*に悪影響を及ぼす可能性がある。エステル交換反応の完了後であって重縮合の開始前にチタン基材触媒を安定剤で失活させることは可能であるが、チタン含有化合物を添加せずに直接エステル化又はエステル交換反応を実施することによって、メルトのb*カラーに対するチタン基材触媒の悪影響の可能性をなくすことが望ましい。従って、一態様において、直接エステル化又はエステル交換反応はチタンの不存在下で実施するか、又はチタンは、例えばメルトの重量に関して1ppm以下又は3ppm以下又は5ppm以下又は10ppm以下の量で存在する。適当な代替エステル交換触媒としては、亜鉛化合物、マンガン化合物又はそれらの混合物が挙げられる。
【0183】
オリゴマー混合物が望ましい酸又はエステル基転化率になったら、それをエステル化ゾーン又は反応器から重縮合ゾーンに移す。重縮合反応の開始は、一般に、エステル化ゾーンの運転温度よりも高い実際運転温度若しくはエステル化ゾーンに比較して顕著な圧力低下(通常は減圧)又はその両者を特徴とする。典型的な重縮合反応は約260〜300℃の範囲の温度及び約350〜0.2mmHgの減圧において行う。反応体の滞留時間は典型的には約2〜約6時間の範囲である。重縮合反応においては、分子量増加の過程においてオリゴマーエステル種の縮合によって、相当量のグリコールが発生する。
【0184】
いくつかの方法においては、重縮合反応は予備重合ゾーンにおいて溶融相で開始し且つ継続させ、仕上げゾーンにおいて溶融相で仕上げ、その後にメルトを固化させてポリエステルポリマーメルト生成物を一般にチップ、ペレット又は任意の他の形状で形成する。各ゾーンが、異なる条件で運転される一連の1つ又はそれ以上の別個の反応器を含むこともできるし、或いは複数のゾーンを、単一の反応器中で異なる条件で行われる1つ又はそれ以上の副段階(サブステージ)を用いる1つの反応器中に合することもできる。即ち、プレポリマー段階は、連続的に運転される1つ若しくはそれ以上の反応器、1つ若しくはそれ以上の回分反応器、又は更には、単一反応器中で実施される1つ若しくはそれ以上の反応工程若しくは副段階の使用を含むことができる。予備重合ゾーン中のメルトの滞留時間に対する仕上げゾーン中のメルトの滞留時間は限定するものではない。例えば、いくつかの反応器設計において、予備重合ゾーンは、反応時間に換算して重縮合の最初の1/2に相当し、仕上げゾーンは重縮合の次の1/2に相当する。他の反応器設計は、(仕上げゾーン中滞留時間)対(予備重合ゾーン中滞留時間)の比を約1.5:1又はそれ以上に調整できる。多くの設計における予備重合ゾーンと仕上げゾーンの共通の差異は仕上げゾーンが予備重合ゾーンにおける運転条件よりも高い温度及び/又は低い圧力で運転されることが多い点である。一般に、予備重合ゾーン及び仕上げゾーンのそれぞれが1つ又は一連の1つより多い反応器を含み、予備重合反応器及び仕上げ反応器はポリエステルポリマーを製造するための連続プロセスの一部として直列に配列される。
【0185】
重縮合ゾーンの少なくとも一部におけるポリマーメルトへの適用温度又はポリマーメルトの温度は、280℃より高く約290℃以下である。仕上げゾーン中の温度は、従来とは異なり、AA前駆体形成速度の急速な増加を回避するために280℃より低い。仕上げゾーン中の圧力は、約0.2〜20mmHg又は0.2〜10mmHg又は0.2〜2mmHgの範囲内であることができる。
【0186】
アルカリ土類金属又はアルカリ化合物は、必要に応じて、エステル化の前、エステル化の間若しくはエステル化の完了後にエステル化ゾーンに、又はエステル化ゾーンと重縮合ゾーンの間に、又は重縮合の開始点において添加できる。一実施態様において、アルカリ土類金属又はアルカリ化合物はエステル化反応混合物の転化率が50%となる前に添加する。例えばアルカリ土類金属又はアルカリは、エステル化ゾーンと重縮合の開始との間に、又は重縮合の間に、又は予備重合の開始時又は予備重合の間に、添加できる。アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルカリは重縮合触媒系の一部として働くので、より短い反応時間又はより大きい分子量増加という利益をもたらすためには、重縮合反応の早い段階でアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルカリ化合物をポリエステルメルトに添加するのが望ましい。
【0187】
重合プロセスにおいて、ポリエステルメルトは、オリゴマー混合物をアルミニウム化合物の存在下で重縮合させることによって形成する。アルミニウム化合物は、エステル化ゾーンに遅い段階で、エステル化ゾーンから出たオリゴマー混合物に、又は重縮合の開始時に、又は重縮合の間にポリエステルメルトに、好ましくはエステル化ゾーンにおいて転化率が少なくとも約75%となった後に前述のようにして、添加できる。しかし、アルミニウムは重縮合触媒系の一部として働くので、より短い反応時間又はより大きい分子量増加という利益をもたらすためには、重縮合反応の早い段階でアルミニウムをポリエステルメルトに添加するのが望ましい。アルミニウム化合物は、好ましくは酸末端基の%転化率が少なくとも75%である場合に、より好ましくは酸末端基の%転化率が少なくとも85%である場合に、最も好ましくはエステル化による酸末端基の%転化率が少なくとも93%である場合に、添加する。
【0188】
アルミニウム化合物は、エステル化時若しくはエステル化完了後に、オリゴマー混合物に、又はポリエステルメルトのIt.V.が0.3dL/gに達するまでに若しくはポリエステルメルトのIt.V.が0.2dL/gに達するまでに、ポリエステルメルトに、より好ましくはエステル化ゾーンから出た又は重縮合開始前若しくは重縮合開始時のオリゴマー混合物に添加することができる。
【0189】
燐化合物を溶融相重合プロセスに添加する場合には、触媒安定剤は、重縮合過程の間に遅い段階であって且つ固化前に添加する。失活剤は、重縮合反応の過程の遅い段階において、以下の条件の1つ又はそれ以上が満たされた時又はその後であって且つポリエステルメルトの固化前に場合に、ポリエステルメルトに添加する:
a)ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/gのIt.V.に達するか、又は
b)ポリエステルメルトに適用した真空(もしあれば)が少なくとも一部分解放されるか、又は
c)ポリエステルメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合には、ポリエステルポリマーを製造するための最終反応器内に、その排出点の近くで又は最終反応器とポリエステルメルト切断用のカッターの前との間において燐化合物を添加するか、又は
d)ポリエステルメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合には、ポリエステルメルトの重縮合時間の少なくとも85%の後に;又は
e)ポリエステルメルトのIt.V.が固化時に得られるIt.V.の+/−0.15dl/g以内であるか、又は
f)ポリエステルメルトの固化の30分若しくはそれ以内又は20分若しくはそれ以内の箇所で。
【0190】
失活剤は、ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.60dL/g又は少なくとも0.65dL/g又は少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gのIt.V.を獲得した後に、ポリエステルメルトに添加することができ、最も好ましくは、失活剤をいつ添加するかとは無関係に、溶融相製造から出た得られるポリマーは少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/gのIt.V.を有する。
【0191】
失活剤は、ポリエステルメルトのIt.V.が固化時に得られるIt.V.の0.15dL/g以内又は0.10dL/g以内又は0.05dL/g以内又は0.030dL/g以内又は0.02dL/g以内である場合に、ポリマーメルトに添加することができる。例えばポリマーメルトは、固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g低いIt.V.を有することもできるし、又は固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g高いIt.V.を有することもできるであろう。
【0192】
失活剤は、ポリエステルメルトの固化の30分若しくはそれ以下の範囲内、又は20分若しくはそれ以下の範囲内、又は10分若しくはそれ以下の範囲内、又は5分若しくはそれ以下の範囲内、又は3分若しくはそれ以下の範囲内の時点で、ポリエステルメルトに添加することができる。ポリエステルメルトの固化は、典型的にはメルトをダイプレートを通して水浴中へと押し進め且つ切断してペレットにする場合に、又はメルトを成形品に射出成形する場合にメルト−成形プロセス(melt-to-mold process)において、起こる。最も広い意味において、固化はポリマーメルトの温度がポリマーの結晶融点未満に冷却された場合に起こる。
【0193】
0.40dL/gのIt.V.から、少なくとも0.68〜0.94dL/gの範囲のIt.V.までのメルトの反応時間は、好ましくは240分若しくはそれ以下、210分若しくはそれ以下、180分若しくはそれ以下、150分若しくはそれ以下、120分若しくはそれ以下、90分若しくはそれ以下又は50分若しくはそれ以下である。前記時間の間において、適用する真空は好ましくは0.5〜1.0mmHgであり、温度は好ましくは275〜295℃である。目標It.V.は、失活/安定化の前において好ましくは0.82〜0.92dL/gである。
【0194】
ポリマーの分子量が所望の程度まで増加したら、ポリマーを最終重縮合反応器、この場合には仕上げ機から排出して、ペレット化させる。分量のバルクポリマーが導管を通って仕上げ容器から出ていくのを容易にするために、ギアポンプを用いることができる。溶融ポリマーの切断前に、一態様においては溶融相最終反応器から出ていく前に、バルクポリマーを溶融相において、液体(溶融流、分散液、エマルジョン、均質な液体及び不均質なスラリーを含む)である第2の流れと合するのが望ましい場合がある。第2の流れは、固化前の任意の段階で、しかし好ましくはカッターと最終バルクポリマー反応器(例えば仕上げ機)への入口との間において、溶融相プロセスに取り入れることができる。第2の流れは、最終反応器内の滞留時間の最後の1/2の後であってカッターの前において取り入れることができる。
【0195】
第2液体流を取り入れる方法及び第2液体流の供給源は限定するものではない。例えば、後流(slip stream)の一部を処理し且つ更に加工することが望ましい場合がある。処理後、後流の処理部分を、仕上げタンクに循環して戻すことができる。別の例において、後流(第2液体流)は、溶融相プロセスにおいて生成されるバルクポリマーとは独立した又はそれ以外の供給源からポンプ手段によって又は押出機を通して仕上げ機中に取り入れることが望ましいであろう。
【0196】
触媒失活剤は、最終重縮合反応器から出ていく流れから取った後流中に添加し且つ最終反応器に又は最終反応器から出ていく溶融相流から後流を取った箇所若しくはそれより前の箇所に再循環して戻すことができる。更に、他の化合物、例えばUV阻害剤、着色剤、再加熱添加剤又は他の添加剤を、最終用途におけるポリマーの使用要件への適合性に応じて、後流中に添加することができる。これらの添加剤の任意の1種又は混合物を、第2液体流中に含ませることができる。
【0197】
アルミニウム/アルカリ土類金属又はアルカリ金属系によって触媒された結晶化ポリマーは、同一重合条件下でアンチモン系によって触媒された結晶化ポリマーに比較して、明度が高いか又は高いL*カラー値を有する傾向がある。更に、アルミニウム/アルカリ土類金属又はアルカリ金属系によって触媒されるポリエステルメルトへの燐化合物の遅い段階での添加は、結晶化される場合には、若干高いIt.V.を有する可能性のある燐なしの場合に比較して、更に高いL*カラー値又は高い明度を有するポリマーを生成する。例えば、結晶化ポリエステルポリマーは、少なくとも55又は少なくとも60又は少なくとも65又は少なくとも70のL*を有する。
【0198】
所望のIt.V.が得られたら、溶融相反応器中の溶融ポリエステルポリマーは溶融相生成物として排出し、固化することができる。
【0199】
溶融相生成物は、非晶質粒子のような所望の形態に加工するが、結晶化ペレットが好ましい。ポリエステルポリマー粒子の形状は限定するものではなく、スター、球体、回転楕円体、球状体、円筒形ペレット、従来型ペレット、パステル及び任意の他の形状を含む、寸法に制限のない規則的な又は不規則な離散粒子を含むことができるが、粒子はシート、フィルム、プレフォーム、ストランド又は繊維とは区別される。
【0200】
溶融相プロセスからのポリエステルポリマーの固化方法は限定するものではない。例えば溶融相プロセスからの溶融ポリエステルポリマーは、ダイを通して導き、又は単に切断し、或いはダイを通して導いた後に溶融ポリマー切断することができる。ギアポンプを、溶融ポリエステルポリマーをダイに通す原動力として使用できる。ギアポンプを用いる代わりに、溶融ポリエステルポリマーは一軸又は二軸スクリュー押出機に供給し、ダイを通して押出すことができる。この際、押出機のノズルの温度は任意的に190℃又はそれ以上である。ダイを通った後、ポリエステルポリマーをストランドに延伸し、低温流体と接触させ且つ切断してペレットにすることもできるし、或いはポリマーをダイヘッドにおいて、任意的に、水中で、ペレット化することができる。ポリエステルポリマーメルトは、任意的に、切断前に濾過して、指定サイズより大きい微粒子を除去する。ダイシング、ストランドペレット化及びストランド(強制輸送)ペレット化、パスチレーター、ウォーターリングペレタイザー、ホットカットペレタイザー(hot face pelletizer)、水中ペレタイザー及び遠心分離ペレタイザーを含む(これらに限定するものではないが)任意の従来の高温ペレット化又はダイシング方法及び装置を使用できる。
【0201】
ポリエステルポリマーは結晶化可能なものである。ポリエステルポリマーの結晶化に使用する方法及び装置は限定するものではなく、気体又は液体中における熱結晶化を含む。結晶化は、機械的撹拌容器;流動床;流体運動よって撹拌される床;非撹拌容器又はパイプ中で、ポリエステルポリマーのTgより高温の、好ましくは140〜190℃の液体媒体中で、又は当業界で知られた任意の他の手段によって行うことができる。また、ポリマーは歪み結晶化させることもできる。ポリマーは、また、そのTgより低いポリマー温度において(ガラスから)晶析器に供給することもできるし、或いはそのTgより高いポリマー温度において晶析器に供給することもできる。例えば溶融相重合反応器からの溶融ポリマーは、ダイプレートを通して供給し、水中で切断し、次いで直ちに、ポリマーペレットのバルク温度をそのTg未満に冷却することなく、熱晶析器に供給することができる。別法として、溶融ポリマーを切断し、そのTg未満まで冷却させ、次いで水中熱結晶化装置又は任意の他の適当な結晶化装置に供給することもできる。或いは、溶融ポリマーを任意の常法で切断し、そのTg未満に冷却させ、任意的に貯蔵し、次いで結晶化させることもできる。
【0202】
更に、ポリマーを着色するある種の薬剤をメルトに添加することができる。一実施態様において、得られるポリエステルポリマー溶融相生成物のb*を低下させるために、青味付けトナーをメルトに添加する。このような青味剤には、青色無機及び有機トナーがある。更に、赤色トナーも、a*カラーを調整するために使用できる。有機トナー、例えば青色及び赤色有機トナー、例えば米国特許第5,372,864号及び第5,384,377号(引用することによってそれらの全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたそれらのトナーを使用できる。有機トナーはプレミックス組成物として供給することができる。プレミックス組成物は赤色及び青色化合物のニートブレンドであることもできるし、或いはポリエステルの原料の1つ、例えばエチレングリコール中に予め溶解させるか又はスラリー化することができる。
【0203】
再加熱添加剤(再加熱添加剤は、再加熱助剤を現場形成するのとは異なり、メルトに添加される化合物と見なす)の例としては、活性炭、カーボンブラック、アンチモン金属、錫、窒化チタン、チタン、銅、銀、金、パラジウム、白金、黒色酸化鉄など、及び米国特許第6,197,851号(引用することによって本明細書中に組み入れる)に開示されたものを含む(それらに限定するものではないが)近赤外線吸収染料が挙げられる。
【0204】
窒化チタン粒子は、再加熱添加剤として、PETポリマーの重合の間の任意の点で又はその後に、例えばエステル化ゾーンに、プレポリマーゾーン及び仕上げゾーンからなる重縮合ゾーンに、ペレット化ゾーンに若しくはペレット化ゾーンの前に、これらのゾーンの間の任意の点で、添加できる。窒化チタン粒子は、また、固体状態のペレットが固相化反応器から出ている時に、固体状態のペレットに添加できる。更に、窒化チタン粒子は、射出成形機への他の供給材料と組合せてPETペレットに添加することもできるし、或いは射出成形機に別々に供給することもできる。明確にすると、粒子は溶融相で添加することもできるし、或いはポリエステル組成物の固化もペレットへの単離もすることなく、射出成形機に供給することもできる。従って、粒子は、また、プレフォームの製造プロセスの任意の点でメルト−成形プロセスにおいて添加することもできる。いずれの場合にも、添加点において、粒子は粉末ニートとして、又は液体中に入れて、又はポリマーコンセントレートとして添加でき、未使用PET又は再生PETに添加することもできるし、或いはPETポリマー担体として未使用PET又は再生PETを用いてポリマーコンセントレートとして添加することもできる。
【0205】
窒化チタン粒子は、例えば約1〜1,000nm又は1〜300nm又は1〜100nm又は5〜30nmの平均粒度を有することができ、本発明のポリマーブレンド中に、例えば約0.5〜約1,000ppm又は1〜200ppm又は1〜5ppmの量で存在できる。
【0206】
本発明のブレンドからは、当業者に知られた任意の常法で物品を形成できる。例えばブレンドは、溶融押出し且つ飲料若しくは食品容器への延伸吹込成形に適当なプレフォームのような形状にメルトを射出成形するための機械、又は射出成形用の機械、又はシートのような他の形態に単に押出するための機械に供給する。物品の適当な形成方法は周知であり、例としては、押出、押出吹込成形、溶融流延、射出成形、メルト−成形プロセス、延伸吹込成形(SBM)、熱成形などが挙げられる。
【0207】
形成できる造形品の種類の例としては、シート;フィルム;プレフォーム、ボトル、ジャー及びトレイのような包装及び容器;ロッド;チューブ;蓋;並びにフィラメント及び繊維が挙げられる。水又は炭酸飲料を収容するのに適当なポリエチレンテレフタレートから製造された飲料ボトル及びボトル中に熱感充填される飲料を収容するのに適当なヒートセット飲料ボトルは、本発明の独創的なブレンドから製造されるボトルの型の例である。トレイの例はデュアルオーブナブル(電子レンジ/オーブン両用)であるもの及び他のCPETトレイである。
【0208】
物品の適当な製造方法は本発明のブレンド又は本発明のブレンドの成分を溶融加工ゾーンに導入し;粒子を溶融させて溶融ポリエステルポリマー組成物を形成し;そして溶融ポリマー組成物からシート、ストランド、繊維又は成形品を含む物品を形成することを含む。
【0209】
本発明を、その実施態様の更なる例によって更に詳しく説明することができるが、これらの例は説明のためにのみ記載するのであって、本発明の範囲を限定するものではないことがわかるであろう。
【実施例】
【0210】
例1
この例においては、下記のPETポリマーを用いて4種のポリマーブレンドを製造した(ポリマーブレンド1〜4)。ポリマーブレンド3と4は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを添加したので、異なっていたことに留意されたい。示した金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表1Aに示す。
【0211】
PET−1は、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基を含むPETコポリマーであり、シクロヘキサンジメタノール残基は、約1.7モル%のジオール残基に相当した。ポリマーは、全て触媒として供給された約210〜240ppmのアンチモン、約85〜95ppmの燐、約50〜60ppmのマンガン及び約15〜25ppmのチタンを含み、更に鉄含有再加熱添加剤、UV染料並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−1は、最初にジカルボン酸エステル及びジオールをマンガン、アンチモン及びチタン触媒の存在下でエステル交換することによって製造した。エステル交換後、燐及び他の添加剤を反応混合物に取り入れ、反応混合物を約0.625dL/gの極限粘度数まで重縮合させた。次いで、溶融PETを固化させ、ペレット化し、次にPETペレットを約0.78〜約0.82dl/gの極限粘度数まで固相重合させた。
【0212】
PET−2はテレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基を含むPETコポリマーであり、シクロヘキサンジメタノール残基は約1.8モル%のジオール残基に相当した。ポリマーは、全て触媒として供給された約215〜245ppmのアンチモン、約45〜55ppmの燐及び約60〜70ppmの亜鉛を含み、更に鉄含有再加熱添加剤、UV染料並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−2は、最初にジカルボン酸エステル及びジオールを亜鉛及びアンチモン触媒の存在下でエステル交換することによって、製造した。エステル交換後、燐及び他の添加剤を反応混合物に取り入れ、反応混合物を約0.625dL/gの極限粘度数まで重縮合させた。次いで、溶融PETを固化させ、ペレット化し、次に約0.76〜約0.80dl/gの極限粘度数まで固相重合させた。
【0213】
PET−3は、テレフタル酸、エチレングリコール及びイソフタル酸の残基を含むPETコポリマーであり、イソフタル酸残基は、約2.9モル%のジカルボン酸残基に相当した。ポリマーは、触媒系として供給された約11〜17ppmのAl、約7〜12ppmのLi及び約45〜55ppmの燐を含み、更に再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−3は、ジカルボン酸及びジオール残基をアルミニウム及びリチウム触媒、再加熱添加剤及びトナーの存在下で、約0.75dL/gの極限粘度数まで溶融重合させることによって製造し、その後に燐を添加し、次いで溶融PETを固化させ且つペレット化させた。
【0214】
PETポリマーは、また、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在する或いは例えば最終ポリマー中に存在するDEGの量を制御するために改質剤として、意図的に添加した、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含んでいた。
【0215】
この説明全体にわたって記載した極限粘度数(It.V.)の値は、60/40wt/wtフェノール/テトラクロロエタン中で25℃において、測定したインヘレント粘度(Ih.V.)から計算されたものをdL/g単位で示してある。インヘレント粘度は測定された溶液粘度から計算する。以下の式は、このような溶液粘度測定値とその後の、Ih.V.までの計算及びIh.V.からIt.V.までの計算を記載している:
ηinh=[ln(ts/t0)]/C
[式中、ηinh=フェノール60%及び1,1,2,2−テトラクロロエタン40%の溶媒100mL当たり0.50gのポリマー濃度での25℃におけるインヘレント粘度
ln=自然対数
ts=毛細管を通るサンプルの流下時間
t0=毛細管を通る溶媒ブランクの流下時間
C=溶媒100mL当たりのポリマー(g)の濃度(0.50%)]。
【0216】
極限粘度数(intrinsic viscosity)は、ポリマーの比粘度(specific viscosity)の無限稀釈における極限値である。これは以下の式によって定義される:
ηint=limC→0(ηsp/C)=limC→0ln(ηr/C)
[式中、ηint=極限粘度数
ηr=相対粘度(relative viscosity)=ts/t0
ηsp=比粘度=ηr−1]。
【0217】
計測器の較正は、標準対照材料を三重反復試験し、次いで適当な数式を適用して「許容」I.V.値を得ることを含む。
【0218】
較正係数=対照材料の許容Ih.V./三重反復測定値の平均
補正IhV=算出IhV×較正係数
極限粘度数(It.V.又はηint)は、Billmeyer式を用いて以下のように概算できる:
ηint=0.5[e0.5×補正Ih.V.−1]+(0.75×補正Ih.V.)。
【0219】
使用したコバルトコンセントレートは、1.8重量%のネオデカン酸コバルト(OMG Americas,Westlake,Ohioによって「22.5% TEN−CEMコバルト」として販売されている)を98.2重量%のポリエチレンテレフタレートポリマー(Eastman Chemical Compayから「PJ003」として販売されている)と溶融ブレンドすることによって製造した固体コンセントレートである。X線分析は、コバルトコンセントレートがコバルト金属を4200ppm含むことを確認した。
【0220】
使用したポリアミドは、Mitsubishi GasからMDX−6(登録商標)、銘柄6007として市販されているポリ(m−キシリレンアジパミド)であった。
【0221】
ポリマーブレンド1(比較)
ポリアーブレンド1は、3mmのスクリーンを通るようにPET−1(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を別個に粉砕することによって製造した。PET−1は、デシカントドライヤー中で150℃において15時間乾燥させ、MXD−6(登録商標)及びコバルトコンセントレートは60℃において3日間真空オーブン中で窒素パージしながら乾燥させた。表1B中に示した各材料及び量の固体ペレットを合し、乾燥混合し、BOY 22D成形機(Boy Machines Inc.;Exton,PA)の供給ホッパーに導入し、一個取り25.7gプレフォーム金型を用いてプレフォームに成形した。加工条件を表1Cに示す。
【0222】
ポリマーブレンド1から成形したプレフォームを、特注の再加熱延伸吹込成形機を用いて500ml丸底ボトルに二軸延伸吹込成形した。良好な明澄度(即ち、プレフォームの延伸温度がそれぞれ過度に高い又は低いことによるヘイズ及びパールがない)を、側壁厚さによって測定される同様な物質分布と共に示すように、ボトル吹込成形条件を調整した。
【0223】
ポリマーブレンド2(比較)
ポリマーブレンド2は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、PET−2(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した(表1B)。ポリマーブレンド2は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0224】
ポリマーブレンド3(本発明)
ポリマーブレンド3は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、PET−3(974g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(11.25g)を用いて製造した(表1B)。ポリマーブレンド3は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0225】
ポリマーブレンド4(本発明)
ポリマーブレンド4は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、PET−3(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した(表1B)。ポリマーブレンド3は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0226】
ポリマーブレンド1〜4が酸素を捕捉する能力を、2つの異なる試験プロトコール(1)OxySense Test及び(2)各ポリマーブレンドから吹込成形した密閉ボトルの時間の関数としての酸素透過速度(即ち、ボトルを吹込成形してからの日数に対するOTR)の測定を用いて評価した。OxySense Testは、サンプルの酸素捕捉特性の迅速な定性的評価を得るために、典型的なボトル貯蔵温度よりもはるかに高い75℃の温度において実施するスクリーニング試験として用いた。しかし、OxySense Testは、低い信号対雑音比を示し、非常に異なる酸素捕捉特性を有するサンプルを比較する場合には、酸素捕捉能力の概算として用いる。他方、OTRは、それより著しく高い信号対雑音比を有するので、少なくとも60日間の長期間にわたる酸素捕捉性能を評価するのによりよい試験である。更に、OTR試験は延伸吹込成形ボトル(即ち、完成品)について行うのに対し、OxySense試験は粉砕サンプルを評価する。
【0227】
酸素透過速度(OTR)試験
酸素透過速度(OTR)試験はポリマーブレンド1〜4のそれぞれから製造した3個の延伸吹込成形ボトルを用いて行った。3個一組のボトルを、周囲条件(即ち、約22℃及び周囲湿度)下で、吹込成形後約1週間、蓋をせずに状態調整し、次いで取り付け、パージし、以下の方法を用いてOTRについて試験した。
【0228】
ボトルは延伸吹込成形の約1週間後には酸素透過速度試験に適していた。測定の前に、各ボトルはボトルの入口上で四方弁に接続された真鍮プレートに接着することによって密閉した。この取り付け方法は、試験ガスの出入りの制御を可能にしながら、ボトルを密閉する。取付物は以下のようにして組み立てた。最初に、1枚の真鍮プレートを、それにドリルで2つの1/8インチの孔を開けることによって用意する。2本の1/8軟質銅管(A及びBとする)をプレート中の孔に通し、孔と管との間隙をエポキシ接着剤で又は溶接によってふさぐ。これらの管のそれぞれの一端を、四方ボール弁(例えばWhiteyモデルB−43YF2)上の適切なポートに結合させる。管(C及びDとする)及び接続部もそのボール弁の他のポートに結合させて、完成アセンブリを酸素透過速度試験計器(OTR計器については以下に記載)に接続させた。
【0229】
次に、この取付物を、管A及びBがボトル内部に伸びるように、試験するボトルの口に接着した。1つの管の開口端は包装容器の上部近くに位置付け、他の管の開口端を底部近くに位置付けて、ボトル内における試験ガスの良好な循環を確実なものとした。プレートへのボトルの接着は典型的には2工程で、最初のシールを行い且つ一時的にアセンブリを団結させるために速硬性エポキシ樹脂を用いて行い、次により頑丈なMetalsetエポキシ樹脂の第2のコーティングを適用した。任意的に、真鍮プレートは、表面を清浄にして接着性を改善するために、取り付け前に磨いた。4つの管を四方弁に正しく接続すると、弁が「バイパス」位にある場合には、管AとBが連通し且つ管CとDが連通したが、管A及びBは管C及びDとは連通しなかった。従って、包装容器は密閉された。同様に、弁が「インサート」位にある場合には、管AとDが連通し且つ管BとCが連通したが、管A及びDはボトル内部を通る以外は、管B及びCと連通しなかった。従って、ボトルはパージ又は試験ガスによってスイープできた。
【0230】
ボトルをアセンブリに取り付けたら、酸素を含まないガスでスイープし、状態調整期間が始まった。数分間のパージ後、四方弁をバイパス位に動かして、ボトルを密閉した。その時点で、ボトルと取付物のアセンブリ全体は、ボトル内部に酸素を導入することなく、パージガス供給源から切り離すことができた。各ポリマーブレンド1〜4の3個のボトルを試験のために取り付けた。
【0231】
ボトルの酸素透過速度を試験しようとする場合には、取付物は管C及びDを介して酸素透過速度計器に接続した。例中に記載したサンプルについての測定を行うために、特注の計器を用いた。バブラーを用いて加湿した窒素を、環境室において計器及び管に供給した。特注の計器は、酸素センサーとしてDelta−F DF−310プロセスOxygenアナライザーを、パージ流中の酸素ppm及びパージ流の流速を測定するためにAalborg Mass流量計GFM17を用い、酸素ppm及びパージ流の流速から、包装容器を通る酸素透過速度を計算した。特注の計器は、最大24個のボトルを一度に計器に接続する位置を有する。このユニットを、通常運転下で外的条件を23℃±0.5℃及び相対湿度50%±10%に制御する環境室内に置いた。ボトルサンプルを取り付けたら、四方弁をインサート位に回し、システムを、このプロセスによって引き起こされる摂動から回復させた。
【0232】
システムを回復させた後、次に、インラインの計器センサーを「インサート」することによって試験を開始した。試験シーケンスは、この計器のために特別に書かれたLabViewTMソフトウェアインターフェースによって制御された。それによって、試験セル上に取り付けられたボトルからの試験ガスがセンサーを経由する際の各セルの変化後に計器を安定させるプリセット間隔を用いて、計器が試験セルを通って自動的に進む。キャリヤーガスへの酸素透過速度を、測定されたガス中の酸素ppm及び測定されたキャリヤーガスの流速から計算した。典型的には、計器はセルのそれぞれを通して3回又はそれ以上表示し、最後の3つの測定値の平均を用いた。これらの読み取り値が得られたら、四方弁をバイパス位に動かし、これらのプロセスを繰り返して、セル及びアセンブリの漏出速度の指標として提供する。包装容器、セル及びアセンブリに関して得られた値からこの値を差し引いて包装容器についての値が得られ、これをボトルの酸素透過速度(OTR)(酸素cc(STP)又はμl(STP)/日)として報告した。この時点で、試験を終了させ、ボトルを計器から取り外した(四方弁は依然としてバイパス位にある)。
【0233】
試験間において、ボトルは実験室(22℃±4℃)中で周囲(RH,照明,大気圧)条件において、内部を空気から分離して、貯蔵した。一定時間後に、ボトルを酸素透過速度試験計器に再接続し、新しい1組の透過測定値を収集した。
【0234】
このようにして、ボトルのOTR挙動を数週間又は数ヶ月にわたって監視することが可能であった。
OxySense Test
ポリマーブレンド1〜4の酸素捕捉性能もまた、OxySense計器(OxySense Inc.1311 North Central Expressway,Suite 440 Dallas,Texas 75243,USA)によって得られた酸素摂取量測定値を用いて評価した。計器の操作の一般的原理は、“An Exciting New Non-Invasive Technology for Measuring Oxygen in Sealed Packages the OxySense TM 101” D.Saini and M Desautelin,the Proceedings of Worldpak 2002(CRC Press(Boca Raton,FL)により出版)(2002)に記載されている。例を評価するのに使用した方法は以下の通りである。
【0235】
OxySense Inc.によって供給される酸素感受性「OxyDots」をシリコン接着剤を用いて、Wheatonの予め切れ目を付けられた20mlガラスアンプル(Wheaton #176782)の内部に接着した。ポリマーブレンド1〜4の約1gのサンプルを粉砕し、20mlアンプル中に入れた。次いで、アンプルのステムを、標準的なガラス吹込み技術を用いてシールした。アンプル中にシールされたOxyDotの応答を監視するためのプローブをOxySense計器上に用いて、アンプル内の気相中の酸素含量を測定した。計器は、この読み取り値を、OxyDotと接触する酸素レベルに変換した。次いで、シールしたアンプルをオーブン中で75℃において貯蔵し、ヘッドスペース中の酸素レベルを定期的に監視した。OxySenseの結果はO2ミリバールとして報告してある。
【0236】
ポリマーブレンド1〜4についてデータを生成すると共に、2つの対照:OxySenseアンプルにBurdick and Jackson水約25g(及び存在する酸素を消費し且つ細菌増殖を防ぐための亜硫酸ナトリウム約0.8g)が装填された0%酸素対照と、OxySenseアンプルにB & J水5gを装填することによって作成した21%酸素対照も監視した。
【0237】
これらの較正対照をシールし、0%及び21%対照を得るために較正した。全アンプルを、初日、75℃のオーブンに入れる「ゼロ」日前に、OxySenseによって測定した。サンプルを試験する日には、サンプルをオーブンから取り出し、室温まで冷まし、次いでオーブンから取り出した3時間後に試験した。
【0238】
4種のポリマーブレンド1〜4のそれぞれを用いて製造した3個の延伸吹込成形ボトルを、吹込成形後約60日間、OTRについて定期的に試験した(表1D)。ボトル3個一組の各セットについてのOTRの結果をそれぞれ、図1A〜1Dにおいてプロットする。単一のボトルに対応する各データセットには、OTRデータ上に非直線状の曲線が載せられている。試験期間全体にわたって全ての「吹込成形からの日数」(即ち、x座標)についてOTR(即ち、y座標)の補間を可能にする非直線状の曲線のx座標及びy座標を表1E〜1Hに報告してある。例えば表1Eからは、非直線状曲線の20日のy座標は、ポリマーブレンド2の3つのそれぞれの数値について32.76μL/g、34.12μL/g及び33.96μL/gのOTRを示す。20日における3個のボトルの補間OTR値を数学的に平均することによって、20日のポリマーブレンド2に関する平均OTRが33.62μL/gと算出される。全試験期間にわたって吹込成形からの全ての日数(即ち全x座標)について3個のボトルのOTRを数学的に平均することによって、ポリマーブレンド1〜4のそれぞれについて平均OTR曲線を算出できる(表1E〜1H及び1I並びに図1E)。
【0239】
酸素の捕捉もまた、前述の4種のポリマーブレンド1〜4のそれぞれ5つのプレフォームを粉砕することによって調製したサンプルを用いてOxySense Testによって評価した。反復したOxySense Testの結果を、各ブレンドについて表1Jに報告してある。
【0240】
PET−3(溶融相のみの重合によって製造された、アルミニウム及びリチウムで触媒されたPETポリマー)を用いて調製した本発明のポリマーブレンド3及び4の酸素透過速度は、比較のポリマーブレンド1及び2よりも短い誘導期間を示した(表1K及び図1E)。本発明のポリマーブレンド3及び4を用いて製造したボトルは、それぞれ22日及び25日で5μL/日のOTRに達するが、比較のポリマーブレンド1及び2は、同じ5μL/日に達するのにそれぞれ60日超及び34日を必要とする(表1K及び図1E)。
【0241】
【表1】
【0242】
【表2】
【0243】
【表3】
【0244】
【表4】
【0245】
【表5】
【0246】
【表6】
【0247】
【表7】
【0248】
【表8】
【0249】
【表9】
【0250】
【表10】
【0251】
【表11】
【0252】
例2
以下は、ポリマーブレンド5〜8のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。ポリマーブレンド7と8は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを同一PET−4ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー5〜8中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表2Aに示す。
【0253】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0254】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0255】
PET−4は、テレフタル酸、エチレングリコール及びイソフタル酸の残基を含むPETコポリマーであり(イソフタル酸残基は約2.9モル%のジカルボン酸残基に相当する);触媒系として供給された約8〜14ppmのAl、約6〜10ppmのLi及び約52〜63ppmの燐を含み;更に再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−4は、ジカルボン酸及びジオール残基をアルミニウム及びリチウム触媒、再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーの存在下で、約0.75dL/gの極限粘度数まで溶融重合させることによって製造した。次いで、溶融PETを固化させ且つペレット化した。
【0256】
各PETポリマーのグリコール部分は、また、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在するか又は例えば均一なDEG含量を保持するために改質剤として意図的に添加された、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含む。
【0257】
コバルトコンセントレートは例1において前述したのと同じであった。
【0258】
使用したポリアミドは、実験1において前述したものである。
【0259】
ポリマーブレンド5(比較)
ポリマーブレンド5は、全て実験1において前述したようにして、表2Bに示した量でPET−1(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド5は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0260】
ポリマーブレンド6(比較)
ポリマーブレンド6は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、表2Bに示した量でPET−2(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド2は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0261】
ポリマーブレンド7(本発明)
ポリマーブレンド7は、ポリマーブレンド1及び表2Bにおいて前述したようにして、PET−4(974g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(11.25g)を用いて製造した。ポリマーブレンド7は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0262】
ポリマーブレンド8(本発明)
ポリマーブレンド8は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、表2Bに示した量でPET−4(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド8は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0263】
ポリマーブレンド5〜8が酸素を捕捉する能力を、OxySense Test及びOTR Testを用いて評価した。
【0264】
4種のポリマーブレンド5〜8のそれぞれを用いて製造した3個の延伸吹込成形ボトルを、吹込成形後約40日間、OTRについて定期的に試験した(表2C)。ポリマーブレンド5〜8のボトル3個一組の各セットについてのOTRの結果をそれぞれ、図2A〜2Dにおいてプロットする。単一のボトルに対応する各データセットには、OTRデータ上に非直線状の曲線が載せられている。試験期間全体にわたって全ての「吹込成形からの日数」(即ち、x座標)についてOTR(即ち、y座標)の補間を可能にする非直線状の曲線のx座標及びy座標を表2D〜2Gに報告してある。例1に記載したようにして、全試験期間にわたって吹込成形からの全ての日数(即ち全x座標)について3個のボトルのOTRを数学的に平均し、ポリマーブレンド5〜8のそれぞれについて平均OTR曲線を算出した(表2D〜2G及び2H並びに図2E)。
【0265】
ポリマーブレンド5〜8の酸素の捕捉もまた、既述のOxySense Testによって評価した。反復したOxySense Testの結果を、各ブレンドについて表2Iに報告してある。
【0266】
PET−4(溶融相のみの重合によって製造された、アルミニウム及びリチウムで触媒されたPETポリマー)を用いて製造した本発明のポリマーブレンド7及び8は、比較ポリマーブレンド5及び6よりも短い誘導期間を示した(表2J及び図2E参照)。本発明のポリマーブレンド7及び8を用いて製造したボトルは、6日未満で5μL/日のOTRに達したが、比較ポリマーブレンド5及び6は、同じ5μL/日に達するのにそれぞれ60日超及び38日を必要とした(表2J及び図2E)。
【0267】
【表12】
【0268】
【表13】
【0269】
【表14】
【0270】
【表15】
【0271】
【表16】
【0272】
【表17】
【0273】
【表18】
【0274】
【表19】
【0275】
【表20】
【0276】
【表21】
【0277】
例3
以下は、ポリマーブレンド9〜16のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。比較ポリマーブレンド9と16並びに比較ポリマーブレンド10と15は、コバルトを取り入れるのに用いたキャリヤー樹脂が異なる(表3A)。また、ポリマーブレンド12と13は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを同一PET−5ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー9〜16中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表3Aに示す。
【0278】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0279】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0280】
PET−3は、例1において前述したのと同じである。
【0281】
PET−4は、例2において前述したのと同じである。
【0282】
コバルトコンセントレートは、例1において前述したのと同じである。
【0283】
「代替」コバルトコンセントレートは、2.22重量%のネオデカン酸コバルト(OMG Americas(Westlake、Ohio)によって「22.5% TEN−CEMコバルト」として販売されている)を97.78重量%のポリエチレンテレフタレートポリマー(Eastman Chemical Companyによって「PET 9921」として販売されている)とを溶融ブレンドすることによって製造された固体コンセントレートである。X線分析は、このコバルトコンセントレートがコバルト金属を5100ppm含むことを確認した。
【0284】
使用したポリアミドは、実験1において前述したものである。
【0285】
ポリマーブレンド9(比較)
比較ポリマーブレンド9は、PET−1(96.25g)及びMXD−6(1.5g)を、3mmのスクリーンを通るように別々に粉砕し、コバルトコンセントレート(2.25g)を極低温で粉末化し(表3B)、次いで前記3つの成分を合して、真空オーブン中で窒素パージしながら60℃において3日間乾燥させることによって、製造した。乾燥混合したブレンドを、DACA MicroCompounder(DACA Instruments,Goleta,CA)の供給ホッパー中に導入し、メルトをストランドに押出し、ペレット化した。二軸スクリューDACA MicroCompounderに関する加工条件を表3Cに示す。
【0286】
ポリマーブレンド10(比較)
比較ポリマーブレンド10は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−2(96.25g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0287】
ポリマーブレンド11(本発明)
ポリマーブレンド11は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−4(96.25g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0288】
ポリマーブレンド12(本発明)
ポリマーブレンド12は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−4(97.38g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(1.125g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0289】
ポリマーブレンド13(本発明)
ポリマーブレンド13は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−3(96.25g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0290】
ポリマーブレンド14(本発明)
ポリマーブレンド14は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−4(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びに代替コバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0291】
ポリマーブレンド15(比較)
ポリマーブレンド15は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−2(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びに代替コバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0292】
ポリマーブレンド16(比較)
ポリマーブレンド16は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−1(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びに代替コバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0293】
ポリマーブレンド9〜16の酸素捕捉効果を、既述のOxySense Testによって得られた酸素吸収摂取量測定値を用いて評価した。ポリマーブレンド9〜16のそれぞれの、DACA MicroCompounderによって押出されたペレット1gを粉末化し、例1に記載したようにしてガラスアンプル中に導入した。反復OxySense Testの結果を各ブレンドに関して表3Dに報告してある。
【0294】
PET−4、PET−3及びPET−4(いずれも、溶融相のみの重合によってアルミニウム及びリチウム触媒を用いて製造された)をそれぞれ用いて製造された本発明のポリマーブレンド11、13及び14に関する、OxySense Testによって測定された酸素捕捉は、本発明のブレンドが酸素捕捉効果を示すことを示唆している。これらの酸素捕捉効果は、定性的であるが、同様にPET−3及びPET−4をそれぞれ用いて製造された例2の本発明のポリマーブレンド7及び8の定量的OTRの結果と一致している。しかし、本発明のポリマーブレンド11と12とを比較すると、コバルト84.6ppmのより高いコバルト配合量を有するポリマーブレンド11が4日以内に酸素摂取を示す(図3A)のに対して、44.1ppmの低いコバルト配合量を有するポリマーブレンド12による酸素摂取量は低いことによって示されるように、酸素捕捉効果がコバルト配合量に左右されることが示唆される(図3A)。更に、本発明のポリマーブレンド11(コバルトコンセントレートを用いて製造)とポリマーブレンド14(代替コバルトコンセントレートを用いて製造)に関する酸素捕捉摂取量の比較は、本発明のポリマーブレンドの酸素捕捉効果はコバルトを取り入れるのに使用されたキャリヤー樹脂には左右されない可能性があることを示唆している。
【0295】
【表22】
【0296】
【表23】
【0297】
【表24】
【0298】
【表25】
【0299】
例4
以下は、ポリマーブレンド17〜20のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。ポリマーブレンド19と20は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを同一PET−4ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー17〜20中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表4Aに示す。
【0300】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0301】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0302】
PET−5は、テレフタル酸、エチレングリコール及びイソフタル酸の残基を有するPETコポリマーであり、イソフタル酸残基は、約2.9モル%のジカルボン酸残基に相当した。ポリマーは更に、全て触媒系として供給された約10〜15ppmのAl、約7〜10ppmのLi及び約45〜55ppmの燐を含み;更に再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−5は、ジカルボン酸及びジオール残基をアルミニウム及びリチウム触媒、再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーの存在下で、約0.82dL/gの極限粘度数まで溶融重合させることによって製造した。次いで、溶融PETを固化させ、ペレット化した。
【0303】
各PETポリマーのグリコール部分は、また、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在するか又は例えば一貫したDEG残基の含量を保持するために改質剤として意図的に添加された、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含んでいた。
【0304】
コバルトコンセントレートは例1において前述したのと同じである。
【0305】
使用したポリアミドは、例1において前述したものである。
【0306】
ポリマーブレンド17(比較)
ポリマーブレンド17は、例1に前述したようにして、表4Bに示した量で、PET−1(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド17を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0307】
ポリマーブレンド18(比較)
ポリマーブレンドは、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、表4Bに示した量で、PET−2(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド18を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0308】
ポリマーブレンド19(本発明)
ポリマーブレンド17は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、表4Bに示した量で、PET−5(974g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(11.25g)を用いて製造した。ポリマーブレンド19を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0309】
ポリマーブレンド20(本発明)
ポリマーブレンド20は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、表4Bに示した量で、PET−4(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド19を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0310】
ポリマーブレンド17〜20が酸素を捕捉する能力を、OxySense Test及びOTR Testを用いて評価した。
【0311】
4種のポリマーブレンド17〜20のそれぞれを用いて製造した3個の延伸吹込成形ボトルを、吹込成形後約33日間、OTRについて定期的に試験した(表4C)。ポリマーブレンド17〜20に関するボトル3個一組の各セットについてのOTRをそれぞれ、図4A〜4Dにおいてプロットし、単一のボトルに対応する各データセットに、OTRデータ上に非直線状の曲線を載せる。試験期間全体にわたる全ての「吹込成形からの日数」(即ち、x座標)についてOTR(即ち、y座標)の補間を可能にする非直線状の曲線のx座標及びy座標を表4D〜4Gに報告してある。例1に記載したようにして、全試験期間にわたって全ての吹込成形からの日数(即ち全x座標)について3個のボトルのOTRを数学的に平均化し、ポリマーブレンド17〜20のそれぞれについて平均OTR曲線を算出した(表4D〜4G及び4H並びに図4E)。
【0312】
酸素の捕捉もまた、例1に記載したようにして、ポリマーブレンド17〜20のOxySense Testによって評価した。反復したOxySense Testの結果を、各ブレンドについて表4Iに報告してある。
【0313】
PET−5(溶融相のみの重合によって製造された、アルミニウム及びリチウムで触媒されたPETポリマー)を用いて製造した本発明のポリマーブレンド19及び20は、比較ポリマーブレンド17及び18よりも短い誘導期間を示した(表4J及び図4E参照)。本発明のポリマーブレンド19及び20を用いて製造したボトルは、それぞれ16日及び12日で5μL/日のOTRに達するが、比較ポリマーブレンド17及び18は、同じ5μL/日に達するのにそれぞれ60日超及び49日を必要とした(表4J及び図4E)。
【0314】
【表26】
【0315】
【表27】
【0316】
【表28】
【0317】
【表29】
【0318】
【表30】
【0319】
【表31】
【0320】
【表32】
【0321】
【表33】
【0322】
【表34】
【0323】
例5
以下は、ポリマーブレンド21〜24のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。ポリマーブレンド23と24は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルト金属を同一PET−5ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー21〜24中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表5Aに示す。
【0324】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0325】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0326】
PET−5は、例4において前述したのと同じである。
【0327】
各PETポリマーのグリコール部分はまた、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在するか又は例えば一貫したDEG残基含量を保持するために改質剤として意図的に添加された、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含んでいた。
【0328】
コバルトコンセントレートは、例1において前述したのと同じである。
【0329】
使用したポリアミドは例1において前述したものである。
【0330】
ポリマーブレンド21(比較)
ポリマーブレンド21は、PET−1(96.25g)及びMXD−6(1.5g)を、3mmのスクリーンを通るように別々に粉砕し、コバルトコンセントレート(2.25g)を極低温で粉末化し、(表5B)、次いで前記3つの成分を合して、真空オーブン中で窒素パージしながら60℃において3日間乾燥させることによって、製造した。乾燥混合したブレンドを、DACA MicroCompounder(DACA Instruments,Goleta,CA)の供給ホッパー中に導入し、メルトをストランドに押出し、ペレット化した。二軸スクリューDACA MicroCompounderに関する加工条件は実験3に記載した通りである。
【0331】
ポリマーブレンド22(比較)
ポリマーブレンド22は、ポリマーブレンド21において記載したようにして、PET−2(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びにコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表5B)。
【0332】
ポリマーブレンド23(本発明)
ポリマーブレンド23は、ポリマーブレンド21において記載したようにして、PET−5(97.375g)及びMXD−6(1.5g)並びにコバルトコンセントレート(1.125g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表5B)。
【0333】
ポリマーブレンド24(本発明)
ポリマーブレンド24は、ポリマーブレンド21において記載したようにして、PET−5(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びにコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表5B)。
【0334】
ポリマーブレンド21〜24の酸素捕捉効果を、例1において記載したようにしてOxySense Testを用いて評価した。4種のポリマーブレンド21〜24のそれぞれの、DACA Microcompounderによって押出されたペレット1gを粉末化し、ガラスアンプル中に導入した。反復OxySense Testの結果を各ブレンドに関して表5Cに報告してある。
【0335】
本発明のポリマーブレンド23及び24は、PET−3(溶融相のみの重合によってアルミニウム及びリチウム触媒を用いて製造されたPETポリマー)を用いて製造したものであり、OxySense Testの結果は、本発明のブレンドが酸素を捕捉することを示唆している。表5C及び図5A参照。これは、同じ組成を有する例4のポリマーブレンド19及び20からのOTRの結果と一致している。
【0336】
【表35】
【0337】
【表36】
【0338】
【表37】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ポリマーブレンドに関し、詳細には、酸素捕捉性を有するために酸素感受性製品の包装への使用に適するポリマーブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の食品、飲料及び他の包装品(例えばビール及び果汁、ある種の化粧品及び医薬品など)は酸素暴露に対して感受性があり、内容物の鮮度を保ち且つ風味、質感又は色の変化を避けるために、高酸素バリアを有する包装容器を必要とする。多く用途については、従来のPETホモポリマー及びコポリマーの酸素バリア性は満足のいくものである。しかし、極めて酸素感受性の高い製品については、このようなポリマーの酸素バリア性は製品を充分に保護しない。
【0003】
PETのパッシブバリア性(passive barrier properties)を向上させるために、樹脂の透過性を低下させる高バリアポリマー又は添加剤とのブレンド、不透過性充填剤の組込み、被覆又は多層構造の使用及び未改質PETよりも透過性の低いポリマーを生成するコモノマーとの共重合を含む種々のアプローチが用いられてきた。
【0004】
包装容器内容物への酸素流入を更に低減するために、PET包装容器のための酸素捕捉技術が開発された。これらは、PET中にブレンド又は反応されるポリアミド、ポリジエン又はポリエーテルのような被酸化性部分を含むことができる。典型的には、少量の有機酸の遷移金属塩、例えばコバルト塩も被酸化性部分の酸化を触媒し且つ積極的に促進するために組み込まれる。包装容器の壁を通って移動する酸素を化学的に除去するこのような活性酸素捕捉剤の使用は、包装に使用されるプラスチックの酸素透過速度(oxygen transmission rate)を低下させるのに非常に有効な方法であることができる。
【0005】
特許文献1は、被酸化性有機化合物及び遷移金属触媒を含む組成物によって酸素捕捉を開始する方法を開示している。この方法は、組成物を放射線に暴露することによる捕捉の開始を含む。この方法は、食品及び飲料のような酸素感受性製品のための包装層又は包装用物品中における捕捉の開始に使用できる。
【0006】
特許文献2は、主にポリエステルセグメントを含み且つ酸素捕捉量のポリオレフィンオリゴマーセグメントを含む縮合コポリマーを含む酸素捕捉用組成物を開示している。ポリエステルセグメントは、PET及びPENのような典型的なボトリング用及び包装用ポリエステルに由来するセグメントを含む。コポリマーは、好ましくは反応性押出の間にエステル交換によって形成され、典型的には約0.5〜約12重量%のポリオレフィンオリゴマーセグメントを含む。これらの酸素捕捉組成物のボトルへの使用は非改質ポリエステルボトルと外観が類似した透明で硬質のボトルを提供すると記載されている。
【0007】
特許文献3及び4は、ポリマーを含み且つ被酸化性有機成分の金属触媒酸化によって酸素を捕捉できる包装容器用の壁を開示している。被酸化性有機成分自体がポリマーであることができ、好ましい組成物は、触媒として、200ppmのコバルトを含む、ポリエチレンテレフタレート96%とポリ(m−キシリレンアジパミド)4%とのブレンドなどであると記載されている。
【0008】
特許文献5は、PETポリマーに基づき、約10〜約120ppmのコバルト及び、PETポリマーに基づき、約15〜約150ppmの亜鉛を含む酸素捕捉性PET基材コポリマーを開示している。
【0009】
特許文献6は部分芳香族ポリアミドと熱可塑性ポリエステルとをブレンドすることによって得られるポリエステル組成物を開示している。このポリエステル組成物は、0.1〜300ppmの量のアルカリ金属原子及び5〜200ppmの量の燐原子を含む。好ましい部分芳香族ポリアミドはm−キシリレン基含有ポリアミドである。
【0010】
特許文献7は、溶融加工ゾーン中で亜鉛及びコバルトの存在下でポリエステルポリマーとポリアミドを含む酸素捕捉性組成物とを合してメルトを形成し;そして前記メルトからシート又はプレフォームのような物品を形成することによって物品を形成する方法を開示している。また、ポリエチレンテレフタレートポリマーとポリアミドポリマーのブレンドを亜鉛及びコバルトと共に含む溶融配合ポリエステルポリマー組成物も提供される。
【0011】
特許文献8は、ポリ(エチレンテレフタレート)ベースポリマーとナイロンポリマーを含む、酸素捕捉能を有する組成物を開示している。この組成物は明澄度を改善するために配合される。
【0012】
特許文献9は、ポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppmの量のアルミニウム原子を含み且つ更にアルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含むポリエステル組成物であって、ポリマーが溶融相重合によって得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有するものを開示している。
【0013】
特許文献10は組成物の再加熱速度を改善する粒子を含むポリエステル組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,211,875号
【特許文献2】米国特許第6,083,585号
【特許文献3】米国特許第5,021,515号
【特許文献4】米国特許第5,955,527号
【特許文献5】米国特許第6,544,611号
【特許文献6】米国特許出願公開公報第20050222345号
【特許文献7】米国特許出願公開公報第20060148957号
【特許文献8】WO 2006138636
【特許文献9】米国特許出願第11/495,431号(2006年7月28日出願;譲受人は本件と共通)
【特許文献10】米国特許出願第11/229,238号(2005年9月16日出願;譲受人は本件と共通)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
文献記載されているようなポリエステル/ポリアミドブレンドは有効な酸素捕捉剤であるが、本発明者らはポリエステル及びポリアミドの性質によって性能が著しく異なる可能性があることに気付いた。
【0016】
ブレンド時に、かなりの酸素捕捉性を保持すると同時に、透明性、混和性、剛性、良好なバリア性、リサイクル性及び合理的コストを含む、酸素感受性製品の包装への使用にブレンドを適するようにする性質を保つ、包装への使用に適したポリマーブレンドが当業界で依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様において、本発明は、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー、特に、100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー中のアミン残基の総量に基づき、例えば少なくとも50モル%のベンジル水素を含むアミンモノマーを含むもの;並びに1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば約3〜約60ppmの量のアルミニウム原子及び1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば約1〜約25ppmの量の1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含む触媒系を用いて溶融相重合によって得られた、It.V.が、例えば少なくとも0.65dL/gの1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーを含み;且つ更に、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば約10〜約1,000ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属を含む、酸素捕捉効果を有するポリマーブレンドに関する。
【0018】
別の態様において、本発明は、ポリマーブレンドの総重量に基づき、それぞれ例えば約0.02〜約10重量%又は0.20〜10重量%又は0.5〜5重量%又は1〜3重量%の量で存在する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含んでなるポリマーブレンドに関する。
【0019】
更に別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの縮合結合の総数に基づき、それぞれ例えば少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%のアミド結合を含むことができ、更に、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、例えば少なくとも60モル%のベンジル水素基を含むアミド残基を含むことができる。
【0020】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、例えば100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー中のアミン残基の総モルに基づき、それぞれ例えば少なくとも60モル%又は少なくとも75モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも95モル%の量のm−キシリレン残基の反復単位を含むことができる。
【0021】
更に別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、例えば100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー中の酸/アミン単位の総モルに基づき、それぞれ例えば少なくとも60モル%又は少なくとも85モル%又は少なくとも96モル%又は少なくとも100モル%の量のm−キシリレンアジパミドの反復単位を含むことができる。
【0022】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、ポリアミドをポリアミドコンセントレートの総重量に基づき、例えば約1〜約25重量%の量で含むポリアミドコンセントレートとして供給することができる。
【0023】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、例えば約200〜約25,000又は2,500〜12,000又は2,500〜7,000のMnを有することができる。
【0024】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、前記ポリマーブレンドの総重量に基づき、それぞれ例えば金属約10〜約1,000ppm又は20〜750ppm又は25〜500ppmの量で存在できる。前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、例えば1種又はそれ以上の遷移金属塩を構成でき、且つ/又は以下の酸化状態:マンガンII若しくはIII、鉄II若しくはIII、コバルトII若しくはIII、ニッケルII若しくはIII、銅I若しくはII、ロジウムII、III若しくはIV又はルテニウムI、II若しくはIVの1つ又はそれ以上で供給できる。
【0025】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属は塩化物、酢酸塩、アセチルアセトン酸塩、オクタン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ネオデカン酸塩又はナフテン酸塩のうち1種又はそれ以上の塩として供給できる。
【0026】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、前記ポリマーブレンドの総重量に基づき、それぞれ例えば金属約10〜約1,000ppm又は20〜750ppm又は25〜500ppmの量で存在できる。前記の1種又はそれ以上の遷移金属は、例えば1種又はそれ以上の遷移金属塩を構成でき、且つ/又は以下の酸化状態:マンガンII若しくはIII、鉄II若しくはIII、コバルトII若しくはIII、ニッケルII若しくはIII、銅I若しくはII、ロジウムII、III若しくはIV又はルテニウムI、II若しくはIVの1つ又はそれ以上で供給できる。
【0027】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上の遷移金属はコバルトを含み、コバルトは、前記ポリマーブレンドの重量に対するコバルトの重量で、例えば50〜150ppmのコバルト原子を供給する量でネオデカン酸コバルトとして供給できる。
【0028】
別の態様において、前記アルミニウム原子は、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中に、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ約1〜約35ppm又は5〜35ppm又は5〜25ppmの量で存在でき、更に1種又はそれ以上のアルカリ土類金属又はアルカリ金属原子が、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば1〜25ppmの量で存在できる。
【0029】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のアルカリ土類金属又はアルカリ金属原子は、例えば0.1〜75のアルミニウム原子に対するアルカリ土類金属又はアルカリ金属原子のモル比で存在できる。
【0030】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、例えば5〜18ppmの量でリチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子の1種又はそれ以上を含むことができる。
【0031】
別の態様において、前記アルミニウム原子は、例えば1種又はそれ以上のカルボン酸アルミニウム、グリコール酸アルミニウム、塩基性カルボン酸アルミニウム又はアルミニウムアルコキシドとして存在できる。
【0032】
更に別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ例えば約10〜約300ppm又は10〜150ppm又は10〜70ppmの量で燐原子を含むことができる。
【0033】
別の態様において、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、更に、アルミニウム原子、アルカリ土類金属原子及びアルカリ金属原子の総モルに対する燐原子のモル比が、例えば0.1〜3又は0.5〜1.5となるように、燐原子を含むことができる。
【0034】
別の態様において、本発明の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、例えば少なくとも0.65dL/g又は少なくとも0.68dL/dL/g又は少なくとも70dl/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.75dL/g又は少なくとも0.80dL/g又は少なくとも0.84dL/gの極限粘度数(intrinsic viscosity)を有することができる。
【0035】
別の態様において、本発明の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーは、例えば100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリエチレンホモポリマー又はコポリマー中のカルボン酸残基の総量に基づき、例えば少なくとも80モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のテレフタル酸残基を含むカルボン酸成分と、100モル%を構成する1種又はそれ以上のポリエチレンホモポリマー又はコポリマー中のヒドロキシル成分の残基の総量に基づき、例えば少なくとも80モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のエチレングリコール残基を含むヒドロキシル成分を含むことができる。
【0036】
本発明のポリマーブレンドは種々の形態で、例えば吹込成形ボトル又はボトルプレフォームの形態であることができる。
【0037】
本発明の更なる態様は、以下に詳述する通りである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】ポリマーブレンド1(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1B】ポリマーブレンド2(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1C】ポリマーブレンド3(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1D】ポリマーブレンド4(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図1E】ポリマーブレンド1〜4に対する、時間の関数としての平均酸素透過速度のプロットである。
【図2A】ポリマーブレンド5(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2B】ポリマーブレンド6(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2C】ポリマーブレンド7(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2D】ポリマーブレンド8(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図2E】ポリマーブレンド5〜8に対する、時間の関数としての平均酸素透過速度のプロットである。
【図3A】ポリマーブレンド9〜16による摂取による経時的な酸素枯渇のプロットである。
【図4A】ポリマーブレンド17(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4B】ポリマーブレンド18(比較)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4C】ポリマーブレンド19(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4D】ポリマーブレンド20(本発明)から製造した3個のボトルに対する、時間の関数としての酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図4E】ポリマーブレンド17〜20に対する、時間の関数としての平均酸素透過速度(OTR)のプロットである。
【図5A】ポリマーブレンド21〜24による摂取による経時的な酸素枯渇のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、以下の「発明の詳細な説明」を参照することによってより理解し易くなるであろう。
【0040】
本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形(a,an及びthe)は、前後関係からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば「1種のポリマー」、「1つのプレフォーム」、「1つの物品」、「1つの容器」又は「1つのボトル」の加工又は製造への言及は、複数のポリマー、プレフォーム、物品、容器又はボトルの加工又は製造を含むものとする。
【0041】
具体的には、明細書及び特許請求の範囲中で「ポリマー」に言及する場合には、この用語は、単一の重合の反応生成物だけではなく、1種より多いポリマーのブレンド又は物理的混合物も含むと解釈すべきである。これは、本明細書中に記載した熱可塑性ポリマーは、後でその源を特定するのが困難となり得るほど充分に互いにブレンドされるためである。従って、「PETホモポリマー又はコポリマー」という表現は、例えば単一の重合の生成物と1種より多くのPETホモポリマー又はコポリマーの混合物の両者を含むと解釈すべきであり、「ポリアミドホモポリマー又はコポリマー」という表現は、例えば単一の重合の反応生成物と1種より多くのポリアミドホモポリマー又はコポリマー反応生成物の混合物の両者を含むと解釈すべきである。
【0042】
「1種の」成分又は「1種の」ポリマーを含む組成物への言及は、名前を挙げたものに加えて、他の成分又は他のポリマーをそれぞれ含むものとする。例えば「1種の」遷移金属に言及する場合、この表現は1種より多くの遷移金属の使用又は存在を含むものとする。同様に、PETホモポリマー若しくはコポリマー又はポリ(m−キシリレンアジパミド)ホモポリマー若しくはコポリマーに言及する場合、この表現は1種より多いポリマーの使用又は存在を含むものとする。
【0043】
「含んでなる」又は「含む」又は「有する」は、少なくとも名前を挙げた化合物、元素、粒子又は方法工程などは組成物又は物品又は方法に存在しなければならないが、他の化合物、材料、粒子、方法工程などが名前を挙げたものと同一の機能を有している場合でさえ、特許請求範囲において特に除外されるのでなければ、このような他の化合物、触媒、材料、粒子、方法工程などの存在を除外しないことを意味する。
【0044】
ポリアミドホモポリマー又はコポリマー(以下で単に「ポリアミド」と称する場合がある)を、PETホモポリマー又はコポリマーに添加するか又はポリアミドホモポリマー又はコポリマーをPETホモポリマー又はコポリマーとブレンドすると記載する場合、前後関係から特に示されない限り、ポリアミドはニート(neat)で又はコンセントレートとして添加できる。
【0045】
また、1つ又はそれ以上の方法工程に関する言及は、特に断らない限り、組み合わされた列挙工程の前又は後における追加方法工程の存在も、明白に識別されるこれらの工程の間の介在方法工程の存在も除外しないことも理解すべきである。
【0046】
範囲の表現は、その範囲内の全ての整数及びその分数を含む。プロセス中の又は反応混合物の又はメルトの若しくはメルトに適用される又はポリマーの若しくはポリマーに適用される温度又は温度範囲の表現は、全ての場合において、適用された温度、メルト若しくはポリマーの実際の温度又は両者が所定の温度であるか又は所定の範囲内にある場合に、制限が満たされることを意味する。
【0047】
本明細書全体にわたって使用する「ppm」は重量に基づく。
【0048】
金属の「原子」とは、ポリマー若しくは組成物に添加されるにせよ、ポリマー若しくは組成物中に存在するにせよ、任意の酸化状態、任意の形態学的状態、任意の構造状態及び任意の化学状態を取る金属原子を意味する。
【0049】
用語「残基」は、長さにかかわらず、モノマーが縮合されてポリマー又はオリゴマー鎖を形成した後に残るモノマーの部分を意味する。
【0050】
用語「酸/アミン塩単位」を用いる場合には、一緒に縮合された単一の酸及び単一のアミンを含む単位であって、典型的には単位の一端又は両端において1つ又はそれ以上の追加モノマーとも縮合されたものを意味する。これは単に、アミン及び酸モノマーからなるポリアミドの反復単位を述べる簡便な手段である。
【0051】
説明の全体を通して記載した極限粘度数値は、60/40wt/wtのフェノール/テトラクロロエタン中で25℃において測定されたインヘレント粘度から算出されたものをdL/g単位で示してある。
【0052】
本発明のポリマーブレンドが「酸素捕捉効果」を有すると述べる場合には、ブレンドがブレンド内の若しくはブレンドを透過する酸素と反応すること、又はブレンドを通る酸素の透過速度が既知のポリマー若しくはブレンドよりも遅いことを意味する。従って、「酸素捕捉活性」を有するブレンドは、ポリマーブレンド内の若しくはポリマーブレンドを透過する酸素を吸収するか又はそのような酸素と反応するか、或いはポリマーブレンドを通る透過の低下を示す。用語「酸素捕捉能」を用いる場合には、ポリマーブレンドが酸素を吸収するか若しくは酸素と反応するのにもはや有効でなくなる前にポリマーブレンドが吸収できる酸素の総量を意味する。
【0053】
本発明者らは、意外にも、遷移金属;アルミニウム及び1種又はそれ以上のアルカリ土類原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基、例えばリチウムを含む触媒系を用いて溶融相において製造された1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマー;並びに本明細書中の他の場所に記載された1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含むポリマーブレンドが、従来型の触媒系を用いて製造されたPETポリマーに比較して、改善された酸素捕捉活性を示すことを発見した。例えばアンチモン触媒を用いた従来の溶融相重縮合とそれに続く、最終It.V.を達成するための固相重合によって製造されたPETコポリマーを含む例の比較ポリマーブレンドは、本明細書中に記載した本発明のブレンドに比べて相対的に劣った酸素捕捉性能を示す。
【0054】
一態様において、本発明は、アルミニウム及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を触媒系として用いて溶融相において製造された1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレート(PET)ホモポリマー又はコポリマーを含むポリマーブレンドに関する。本発明のポリマーブレンドは、更に、酸素捕捉性を有する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含む。
【0055】
一態様において、ポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、PETホモポリマー又はコポリマーとポリアミドとのブレンドを含むコンセントレートとして供給できる。別の態様において、ポリアミドはニートで供給することができ、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレート(PET)ホモポリマー又はコポリマーと溶融ブレンドできる。
【0056】
更に別の態様において、本発明のポリマーブレンドは、更に、ポリアミドの酸素捕捉性を増大させる、例えばコバルト塩のような遷移金属塩として供給される1種又はそれ以上の遷移金属原子を含むことができる。
【0057】
一態様において、ポリマーブレンドは、米国特許第5,021,515号及び米国特許出願公開公報第2006/0148957号(引用することによってそれらの全体を本明細書中に組み入れる)に記載され且つ以下に更に詳細に記載されたような、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー(「ポリアミド」)を含む。ポリアミド、例えばポリ(m−キシリレンアジパミド)ホモポリマー又はコポリマーは、コンセントレートとして又はニートで、ポリマーブレンドに供給することができる。コンセントレートは、例えば主にPETホモポリマー又はコポリマーからなるが、比較的多量のポリアミドを、例えばコンセントレートの総重量に基づき、ポリアミド約0.5〜約40重量%又は5〜30重量%又は10〜25重量%の量で1種又はそれ以上のポリ(m−キシリレンアジパミド)ホモポリマー又はコポリマーを含むことができる。このようなコンセントレートとして供給する場合には、本発明のポリマーブレンドに供給するコンセントレートの量は、例えば、本発明のポリマーブレンドの総重量に基づき、コンセントレート約1.5〜約25重量%又は2〜15重量%又は3.5〜10重量%又は1〜3重量%とさまざまであることができる。本発明のポリマーブレンドは、溶融ブレンド及び押出ブレンドを含むブレンド時に、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーのかなりの酸素捕捉性を保持すると同時に、それらを包装への使用に適当なものとする、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレート(PET)ホモポリマー又はコポリマーの性質を保持する。
【0058】
本発明に係るポリマーブレンドは、例えば重縮合の間に、1種又はそれ以上のPETホモポリマーに1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマーを添加することによって調製できる。同様に、ポリアミドは、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーと溶融ブレンドすることによって、例えば押出機中で溶融均質化を達成するために成分を加熱することによって、ブレンド中に組み入れることができる。
【0059】
所望ならば、ポリアミドのポリエステル中コンセントレートを作り、押出機又は射出成形機中で本発明のポリマーブレンド中に所望の量のポリアミドを含むブレンドを生成するのに望ましい割合でレットダウンさせることができる。よって、コンセントレートは、容器の形態であることができるポリマーブレンド中において望まれるよりも高いポリアミド濃度を含むであろう。従って、本発明のポリマーブレンドのポリアミドは、ポリアミドを、コンセントレートの総重量に基づき、例えば少なくとも10.0重量%又は少なくとも15.0重量%又は少なくとも20重量%であって且つ約40重量%以下又は約50重量%以下の量で含むコンセントレートとして供給できる。コンセントレートの残りは、例えばPETポリマー又は本発明のブレンドのポリアミド及びPETホモポリマー若しくはコポリマーと混和性の別の熱可塑性ポリマーからなることができる。
【0060】
本発明のポリマーブレンドは種々の方法によって調製できる。例えばPETポリマーとポリアミドは、別個に又は一緒に、乾燥空気若しくは乾燥窒素の雰囲気中で乾燥させ且つ/又は減圧下で処理することができる。1つの方法において、PETポリマーとポリアミドは、例えば一軸又は二軸スクリュー押出機中で溶融配合する。溶融配合の完了後、押出物をストランドの形態で取り出し、切断によるなどして回収する。別法として、PETポリマーとポリアミドをドライブレンドすることができる。PETポリマー粒子の別個の流れを、物品を製造するための溶融加工ゾーンに供給し、完成品中に所望のレベルのポリアミドをもたらす量でコンセントレートを溶融加工ゾーン中にレットダウンすることができる。別法として、PETポリマー粒子の流れを、ニートの又は液体担体中のポリアミドの流れとは別個に又はそれと一緒に、ドライペレットブレンドとして、完成品を製造するための溶融加工ゾーンに供給することができる。
【0061】
ポリアミドは、ポリアミドのニートの流れとして又は適当な担体中のポリアミドとして、PETポリマー粒子又はメルトに添加することができる。適当な液体担体としては、PETポリマーを溶融相(例えばエチレングリコール)中で製造するのに使用される反応体の1種と同じであるものが挙げられる。或いは、ポリマーの分子量の増加が望ましくない場合があり、その場合には非反応性担体を使用できる。
【0062】
用途特異的な配合量のポリアミドを含む本発明のポリマーブレンドを直接的に形成する他に、前者の方法(即ち直接重縮合又は溶融ブレンド)のいずれかを用いて、例えば直接重縮合反応器、溶融ブレンド押出機又は二次加工装置(例えばフィルム押出ライン又はボトルプレフォーム成形機)によって、後でPETホモポリマー又はコポリマーに導入することができるコンセントレートを生成できる。
【0063】
一般に、使用前に製造する場合には、ポリアミドコンセントレート、本発明のブレンド及び本発明のブレンドから製造する物品を不活性環境中に保持することが必要であるか又は役立つであろう。場合によっては、ポリアミドの酸素捕捉能力は、酸化触媒を含む本発明のポリマーブレンド中に組み入れる場合には、特にブレンドが形成されるとすぐに又は酸素暴露誘導期間の経過後に存在する。酸素を捕捉するポテンシャルは、長期間、酸素(又は空気)に暴露されたままであるならば、著しく低下する可能性がある。その上、酸素の存在下における高温への長期間暴露は、包装用物品にされる場合のコンセントレート及びポリマーブレンドの酸素吸収能を更に低下させる可能性があり、また、あまりにも過度の場合には熱分解及び熱崩壊の可能性を持ち込み得る。コンセントレート及びポリマーブレンドの包装用物品への加工前における酸素捕捉能の早期喪失並びに包装用物品のその目的用途前における酸素捕捉能の喪失は、不活性環境において貯蔵することによって又は適当な安定剤の添加によって、制御することができる。
【0064】
従って、一態様において、本発明のポリマーブレンド又は本発明のブレンドを製造するコンセントレートは、発明されている方法を含む任意の適当な方法によって、おそらくは最も簡単には溶融押出によって製造できる。単独の又は二次加工工程と組合わされるこのような方法においては、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの少なくとも一部を押出機に供給する。ポリアミドは別個に押出機に運搬し、押出機の混合ゾーンに導入する。滞留時間は、例えば約250〜約310℃の温度範囲おいて、例えば約1〜約5分であることができる。ポリアミドは押出機に導入することができ、導入速度はコンセントレート及び本発明のポリマーブレンドにおいて望ましい酸素捕捉能を達成するのに必要な量のポリアミドを供給するように調整できる。
【0065】
このようなコンセントレート中のポリアミドの代表的な範囲は、コンセントレートの総重量に基づき、例えば約0.5〜約40重量%又は5〜30重量%又は10〜25重量%であろう。これは、その用途の本発明のポリマーブレンドの総重量に基づき、例えば約0.2〜約10重量%又は0.5〜5重量%又は1〜3重量%のポリアミドに相当し得る。
【0066】
本発明によれば、本発明に従って使用するポリアミドは、本発明のポリマーブレンド中に、特定の用途に望ましい程度の酸素捕捉能を提供する量で存在すれば充分である。本発明のポリマーブレンドは主にPETホモポリマー又はコポリマーからなるので、本発明のブレンドの性質はポリエステルの性質とほぼ同様である。
【0067】
一態様において、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマー(「PETポリマー」)の少なくとも一部を、主としてPETポリマー及びポリアミドを含むコンセントレートを形成するように、ポリアミドと溶融ブレンドする。コンセントレートは、最終ブレンドに必要とされる酸素捕捉能を与えるのに充分なポリアミドを供給するように、追加のPETポリマーと溶融ブレンドすることができる。
【0068】
別の態様において、PETポリマーは、例えばポリアミドを二次加工機械に、例えばフィルム押出機又はボトルプレフォームの成形に使用される射出成形機に直接供給することによって、ポリアミドと溶融ブレンドして本発明のポリマーブレンドを生成できる。
【0069】
更に別の態様において、PETポリマーは、例えば、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーを生成する重合反応器中にポリアミドを直接供給することによって、ポリアミドとブレンドして本発明のブレンドを生成できる。
【0070】
ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、例えばエステル化の開始時、エステル化反応器の出口近傍(即ち転化率が50%を超える箇所)、プレポリマー反応器の入口近傍、プレポリマー反応器の出口近傍、プレポリマー反応器の入口と出口の間の箇所、重縮合反応器の入口近傍若しくは重縮合反応器の入口と出口の間の箇所又は重縮合反応器の出口とペレット、シート、繊維、ボトルプレフォームなどを形成するためのダイトの間の箇所を含む場所で(これらに限定するものではないが)、添加できる。
【0071】
更に別の態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、重合プロセスの終わり近くにおいて1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーを生成する最終重縮合反応器中に、例えば以下の箇所のいずれかにおいて導入することができる:
a.ポリマーメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合に、ポリエステルポリマーを生成するための最終反応器内に、その排出点近くで又は最終反応器とポリエステルポリマーメルト切断用カッターの前との間において、1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを添加するか;又は
b.ポリマーのIt.V.が少なくとも0.5dL/gまで上昇した後に;又は
c.ポリエステルメルトに適用される真空(もしあれば)が少なくとも一部分開放された後に;又は
d.ポリマーメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合に、重縮合時間の少なくとも75%の後に;又は
e.溶融相プロセスのポリマーメルトに、固化時に得られるIt.V.の+/−0.15dL/g内の箇所で;又は
f.メルトの固化の最大で30分前若しくはメルトの固化の最大20分前の時点で。
【0072】
一態様において、ポリアミドは、ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.60dL/g又は少なくとも0.65dL/g又は少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gのIt.V.を獲得した後に、ポリエステルメルトにニートで又はコンセントレートとして添加できる。溶融相のみのプロセスを用いてポリエステルを製造する場合には、溶融相製造過程から出たポリマーは典型的には、少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/gのIt.V.を有する。
【0073】
別の態様において、ポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、重縮合反応を受けているポリエステルメルトから真空を開放する間に又はその後に、或いは重縮合反応ゾーン又は反応器中の圧力を、10mmHg若しくはそれ以下の比較的低いレベルから又は3mmHg若しくはそれ以下の比較的低いレベルから、300mmHg若しくはそれ以上又は450mmHg若しくはそれ以上又は600mmHg若しくはそれ以上又は大気圧若しくはそれ以上のレベルに導いた後であって、好ましくはポリエステルメルトの固化前に、ニートで又はコンセントレートとして、ポリエステルメルトに添加できる。
【0074】
別の態様において、ポリアミドは、最終反応器の最後若しくは最後近くの場所又は最終反応器とカッター前との間の場所で、ニートで又はコンセントレートとして、添加できる。例えばポリアミドは、最終重縮合反応器の出口近位の場所で最終重縮合反応器に;又は最終重縮合反応器と、切断のためのダイプレートにメルトを通す原動力を与えるギアポンプ若しくは押出機とを直接的に若しくは間接的に接続するパイプ(前記パイプは最終重縮合反応器の出口若しくは底部に又はそれらの近位に直接戻される)に;又は最終重縮合反応器の出口近位の最終重縮合反応器へのパイプ入口に添加できる。
【0075】
「最終重縮合反応器の出口近位」とは、添加場所が前記反応器の最後の25%若しくはそれ以下の範囲内又は前記反応器の最後の15%若しくはそれ以下の範囲内又は好ましくは前記反応器の最後の10%若しくはそれ以下にあることを意味する。百分率は、最終重縮合反応器の長さ又は高さ又は容積によることができる。好ましくは、百分率は長さ又は高さによる。長さ、高さ又は容積の最終百分率は、最終重縮合反応器の出口から測定する。
【0076】
更に別の態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、平均重縮合時間の少なくとも85%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも98%又は約100%の後にポリエステルメルトに添加する。平均重縮合時間はメルトのある部分が重縮合ゾーンの最初に入る時間とメルトの前記部分が最終重縮合反応器からのポリエステルメルトの出口に達する時間との間の平均経過時間の尺度である。重縮合ゾーンにおける平均重縮合時間又は平均滞留時間はトレーサー研究又は数理的モデル化によって測定できる。
【0077】
更なる態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、ポリエステルメルトのIt.V.が固化時に得られるIt.V.の0.15dL/g以内又は0.10dL/g以内又は0.05dL/g以内又は0.030dL/g以内又は0.02dL/g以内である場合にポリエステルメルトに添加できる。例えばポリエステルメルトは固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g低いIt.V.を有することもできるし、或いは固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g高いIt.V.を有することもできるであろう。
【0078】
更に別の態様において、ポリアミドは、ニートで又はコンセントレートとして、ポリエステルメルトの固化の30分以内若しくはそれ以下又は20分以内若しくはそれ以下又は10分以内若しくはそれ以下又は5分以内若しくはそれ以下又は3分以内若しくはそれ以下の時点で、ポリエステルメルトに添加できる。ポリエステルメルトの固化は、典型的には、メルトをダイプレートを通して水浴中へと押し進め且つ切断してペレットにする場合に起こるか、又はメルトを成形品に射出成形する場合に、メルト−成形プロセス(melt-to-mold process)において起こる。最も広い意味においては、固化はポリマーメルトの温度がそのポリマーの結晶融点未満に冷却された場合に起こる。
【0079】
1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの一部を1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーとブレンドして、このようなコンセントレートを形成する場合には、このようなコンセントレート中のポリアミドの量は、共重縮合物の総重量に基づき、例えば約0.5〜約40重量%又は5〜30重量%又は10〜25重量%とさまざまであることができる。これらのコンセントレートは、次に、本発明のポリマーブレンド中に最終的に存在する量のポリアミドを得るために、追加量の1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーと更にブレンドすることができる。前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー及びそれらの量については、本明細書の他の場所に詳述する通りである。
【0080】
本発明の独創的なブレンド中のポリアミドの総量は広範囲にわたって変動でき、ある程度は、特定用途に望ましい酸素捕捉の程度によって、決まるであろう。典型的には、本発明のブレンド中の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの総量は、PETポリマー及びポリアミドの総重量に基づき、例えば約0.05〜約10重量%又は0.1〜約5重量%又は1〜3重量%であろう。目的ポリアミドの量の選択においては、使用するポリアミドの量及び型によって影響される、色、酸素透過の効果的な低減及びコストのような要因を考慮する。
【0081】
一般に、水、ビール及び果汁を収容するボトル用途に適当なポリアミドの量は約1.0重量%から又は約1.25重量%から、約7重量%まで又は約6重量%まで又は5.0重量%まで又は3.0重量%まで又は2.5重量%までの範囲である。これより多い量も、特に包装容器の容積が比較的小さい場合には、表面積の相対量がより大きいので、使用できる。しかし、経済的理由から、また、ヘイズ及び色を制御するために、包装容器の内容物に所望のレベルの酸素捕捉及び鮮度を与えるのに有効な最少量の酸素捕捉組成物を用いるのが望ましい。わずか1.3重量%の量のポリアミドでも有効であることが分かった。従って、特に適当な実施態様において、ポリアミドポリマーの量は約1.0重量%から又は1.20重量%から、約3.0重量%まで又は2.5重量%まで又は2.0重量%までの範囲である。
【0082】
配合されたポリマーブレンドは、ポリアミドの他に、他の酸素捕捉ポリマーを含むことができる。例えばα−オレフィンとベンジル性水素原子を有する芳香族化合物及びポリアミンとのコポリマーを、ポリアミド酸素捕捉剤の他に使用できる。ポリアミドポリマー以外の酸素捕捉剤の量は、本発明の独創的なブレンドの総重量に基づき、望ましくは30重量%未満又は20重量%未満又は10重量%未満又は5重量%未満又は2重量%未満又は1重量%未満又は0.5重量%未満又は0.1重量%未満である。
【0083】
種々の態様において、アルカリ金属/Al触媒パッケージを用いて製造された溶融相のみのPETポリマー及び酸素捕捉剤を含む組成物は、吹込成形後少なくとも40日又は60日超又は90日超の間、5マイクロリットル(STP)O2/日未満(STPは標準温度[273.2K]及び圧力[1atm]を意味する)の酸素透過速度(23℃において500mlボトル中で)をもたらすことができる。溶融相のみのPETポリマーを含むブレンドは、吹込成形後>40日の間、5マイクロリットル(STP)O2/日未満の酸素透過速度(23℃において500mlボトル中で)をもたらすことができるアルカリ金属/Al触媒パッケージ及び4重量%又はそれ以下のポリアミドを用いて製造できる。
【0084】
以下に詳述するように、用語「溶融相のみのPETポリマー」は、専ら溶融相において重縮合されたポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーを示し、溶融相で製造され且つその後の更に固相重合された(固化後のIVの増加によって、典型的には加熱によって立証される)ポリマーとは区別する。本発明によって有用な他のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーには、ポリマーが後で更に固相重縮合されるか否かにかかわらず、望ましい最小極限粘度数まで溶融相で重縮合されたものがある。
【0085】
本発明のポリマーブレンドの形態は限定するものではなく、溶融相の組成物、非晶質ペレット、半結晶質粒子、溶融加工ゾーン中の組成物、ボトル又は他の物品を含むことができる。
【0086】
本発明のポリマーブレンドは、例えば米国特許第5,021,515号、米国特許出願公開公報第2006/0148957号及び米国特許出願公開公報第2006/0180790号(これらを引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたものを含む1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーを含む。このような1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーは本明細書中で単に「ポリアミド」と記載する場合がある。
【0087】
必須の酸素捕捉効果に加えて、必要な性質、例えば適当な透明性及び機械的性質並びに適切な加工特性を本発明のポリマーブレンドに与えるようにポリアミドホモポリマー又はコポリマーが選択されるのであれば、種々のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、本発明による使用に適することができる。ポリアミドは、特定用途に必要とされる程度の酸素捕捉能を提供するのに必要な量で、存在すれば充分である。
【0088】
用語「ポリアミド」は、本明細書中において一般的に使用され、ホモポリマー、コポリマー及びターポリマーであるものを含む。ポリアミドは、カルボン酸官能基化モノマー(例えばジカルボン酸化合物)とアミン官能基化モノマー(例えばジアミン化合物)とを反応させることによって、又はモノマー残基間に主にアミド結合を含むポリマーを形成するための任意の他の周知方法によって、例えばラクタムを介して、アミノ酸若しくはジアミンと反応した酸塩化物を用いて製造できる。ポリアミドは、典型的には、ポリマー鎖中のモノマー単位がブロック状ではなくランダムに配列されたランダムポリマーである。ここで使用する「ポリアミド」は、また、低分子量ポリアミド及びオリゴマーも含み、例えば2つの一官能価アミンモノマーと縮合されたか又はそれで末端キャップされたジカルボン酸モノマーを含むことができる。同様に、用語「ポリアミド」は、また、2つの一官能価カルボン酸モノマーと縮合されたか又はそれで末端キャップされたジアミンモノマーを含む低分子量ポリアミドを示すことができる。
【0089】
本明細書中で使用する用語「カルボン酸モノマー」は、典型的にはジカルボン酸モノマーであるが、他の官能価のモノマーであることもできる。例えばカルボン酸モノマーは、ジカルボン酸モノマーに加えて又はその代わりに、例えばポリアミドを末端キャップすることによって、分子量及びポリマーブレンドへの分散のような、ポリアミドの性質に影響を与えるのに使用される一官能価カルボン酸モノマーを含むことができる。2つより多いカルボン酸基で官能基化されたモノマーもポリアミド中に縮合させることができる。
【0090】
同様に、「アミンモノマー」は典型的にはジアミンモノマーであるが、他の官能価のモノマーであることもできる。例えばアミン成分は、ジアミンモノマーに加えて又はその代わりに、例えばポリアミドを末端キャップすることによって、分子量及びポリマーブレンドへの分散のような、ポリアミドの性質に影響を与えるのに使用される一官能価アミンモノマーを含むことができる。2つより多いアミン基で官能基化されたモノマーも、架橋を付与するためにポリアミド中に縮合させることができる。
【0091】
一態様において、ポリアミドは、式:
【0092】
【化1】
【0093】
で表されるアミド部分を、100%を構成するモノマー残基間の縮合結合の総数に基づき、好ましくは結合の少なくとも50%又は少なくとも70%又は少なくとも80%の量で含む反応生成物である。別の態様において、100%を構成する結合の総数に基づき、ポリアミドポリマー中の異なるモノマー残基間の結合の少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも98%はアミド結合である。ポリマー中に存在するこのようなアミド結合の数は、例えば約1〜約200又は約50〜約150の範囲であることができる。
【0094】
別の態様において、ポリアミドは、メチレン基が隣接sp2型炭素原子によって共鳴安定化される場合に見られるような活性メチレン基を含む。活性メチレン基としては、例えばアリル基(allylic group)水素及びベンジル基(benzylic group)水素、例えば太字で示された炭素に結合した下記構造:
【0095】
【化2】
【0096】
[式中、Rは水素又はアルキル基である]
中に存在するものが挙げられる。従って、ベンジル位は、アリール環に直接結合した炭素である。この炭素は、アリール環中の隣接sp2炭素によるベンジル基又はカチオンの共鳴安定化のため、特に活性である。アリール環は、例えばフェニル環又はナフチルのような別の多環芳香環であることができる。好ましくはアミン残基の少なくとも50%が活性メチレン基、例えばアリル基、オキシアルキレン水素を含み、或いはより好ましくは、アミン残基の少なくとも50%がベンジル水素基を含む。
【0097】
更に別の態様において、ポリアミドはアジピン酸及びm−キシリレンジアミンの残基を含む。一態様において、本発明によって有用なポリアミドはアジピン酸残基を、合計100モル%になるポリアミド中の総カルボン酸残基に基づき、例えば少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量で含むことができる。
【0098】
別の態様において、本発明のポリアミドは、m−キシリレンジアミン残基を、100モル%を構成するポリアミド中の総アミン残基に基づき、例えば少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量で含み、アミン残基の残りはp−キシリレンジアミンのような1種又は他のアミンからの残基を含む。
【0099】
更に別の態様において、本発明によって有用なポリアミドは、100モル%を構成するポリアミド中のカルボン酸残基の総量に基づき、約80〜100モル%のアジピン酸残基及び、100モル%を構成するポリアミド中のアミン残基の総量に基づき、約80〜100モル%のm−キシリレンジアミン残基を含むコポリマーを含むことができる。更に別の態様において、ポリアミドは、100モル%を構成するポリアミド中のカルボン酸残基の総量に基づき、約95〜100モル%のアジピン酸残基及び、100モル%を構成するポリアミド中のアミン残基の総量に基づき、約90〜100モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む。別の態様において、ポリアミドはポリ(m−キシリレンアジパミド)の反復単位を、100モル%を構成するポリアミド中の酸/アミン単位の総モルに基づき、少なくとも60モル%又は少なくとも75モル%又は少なくとも80モル%又は少なくとも85モル%又は少なくとも90モル%又は少なくとも95モル%又は少なくとも96モル%の量で含むことができる。
【0100】
アジピン酸残基の他に、ポリアミドのカルボン酸残基は、例えば20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下又は2モル%以下の、炭素数が、例えば2〜20の1種又はそれ以上の追加のカルボン酸残基、例えば炭素数7〜12の1種又はそれ以上の脂肪族カルボン酸残基、例えばピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の残基を含むことができる。他の態様において、カルボン酸残基はイソフタル酸又はテレフタル酸残基を含むことができる。
【0101】
本明細書中で使用する「カルボン酸残基」は、遊離カルボン酸として又は対応するカルボン酸誘導体、例えば炭素数1〜4のアルコールのジカルボン酸エステル若しくはジカルボン酸無水物若しくはジカルボン酸塩化物として供給できる。
【0102】
ポリアミドのアミン残基は、20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下の、炭素数2〜16の1種又はそれ以上の追加のアミン残基を含むことができる。例としては、p−キシリレンジアミン、1,2−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0103】
ポリアミドの製造に使用するアミンモノマーは100%純粋でなくてもよく、確認されたアミンモノマーが主たるモノマーであれば、副反応生成物を含むことができることを理解すべきである。同じことはカルボン酸モノマーについても言える。
【0104】
本発明のポリアミドは、更に、その他の結合、例えばイミド及びアミジンを含むことができる。
【0105】
本発明のポリマーブレンドにおいて有用なポリアミドは、例えば、
(a)合計100モルとなるポリアミド中の総ジカルボン酸残基に基づき、少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量のアジピン酸のジカルボン酸残基;例えば5モル%以下又は40モル%以下又は30モル%以下又は20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下のイソフタル酸又はテレフタル酸の残基及びそれらの混合物からなる残りのジカルボン酸残基;並びに
(b)100モル%を構成するポリアミド中の総ジアミン残基に基づき、例えば少なくとも約50モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%であって、約85モル%以下又は90モル%以下又は95モル%以下又は98モル%以下又は100モル%以下の量のm−キシリレンジアミンの残基を含むジアミン残基;50モル%以下又は40モル%以下又は30モル%以下又は20モル%以下又は10モル%以下又は5モル%以下の量の、p−キシリレンジアミン又はヘキサメチレンジアミン残基のような1種又はそれ以上の他のジアミンからの残基からなる残りのジアミン残基
を含む。例としては、ポリ(m−キシリレンアジパミド)(本明細書中において「MXD6」と記載する場合がある)、ポリ(m−キシリレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−テレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)など又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。特に適当なポリアミドとしては、ベンジル水素を有する残基を含むもの、例えばポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(m−キシリレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)、ポリ(m−キシリレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)のようなポリアミド及びそれらの混合物が挙げられる。本発明者らは、三菱ガス化学株式会社(Mitsubishi Gas and Chemical Company)(日本,東京都千代田区)から入手可能なポリ(m−キシリレンアジパミド)が本発明による使用に特に適することを見出した。
【0106】
ポリアミドポリマーの数平均分子量は特には限定するものではない。数平均分子量(Mn)は、例えば少なくとも約1,000であって、例えば約45,000以下であることができる。或いは、ポリアミドポリマーのMnは、少なくとも2,500又は少なくとも3,500又は少なくとも5000であって、約7,000以下又は約12,000以下又は約25,000以下であることができる。所望ならば、約200から若しくは300から若しくは500から若しくは1,000から約12,000まで又は2,000〜10,000若しくは2,500〜7,000の範囲の低分子量ポリアミドを使用できる。ポリマーブレンドの光学的明澄度が重要である場合には、本発明者らは低分子量ポリアミドの使用は光の透過率をそれほど妨げないであろうと考える。
【0107】
別の態様において、本発明によって有用なポリアミドは、米国特許出願公開公報第2006/0180790号(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたものを含む。例えばポリアミドは、例えばベンジルアミンからのようなベンジル水素を有する2つの一官能価又は二官能価アミンと縮合されたアジピン酸を含むことができる。これらのモノマーは同一であっても異なってもよい。或いは、低分子量ポリアミドは、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸)又は酸塩化物のような2つの一官能価又は二官能価モノマーと縮合されたm−キシリレンジアミンを含むことができる。これらのモノマーは同一であるか又は異なることができる。このような分子の分子量はある程度は、モノマーが一官能価であるか二官能価であるかによって、即ちモノマーがその他のモノマーと更に反応する結合基を有するか否かによって異なる。
【0108】
本発明のポリアミドは、例えばジアミン及びジカルボン酸を化学量論量で合することによって形成された二酸−ジアミン複合体の溶融相重合によって製造できる。二酸−ジアミン複合体は、重縮合の間に現場で又は別工程で、例えばpHを慎重に制御しながら、ジアミン及びジカルボン酸の水溶液を合し且つその加熱することによって製造できる。いずれの方法においても、二酸及びジアミンを出発原料として用い、約0.3MPaの圧力において約240〜約260℃の重合温度まで加熱する。別法として、エステル型の二酸、例えばジメチルエステルを用いることができる。エステルを用いる場合には、反応は比較的低い温度、一般に80〜120℃において、エステルがアミドに転化されるまで実施するものとする。次いで、混合物を重合温度まで加熱する。本発明のポリアミドの製造には、従来型の触媒を使用できる。このような触媒は、”Principles of Polymerization”第4版,George Odian,2004年;”Seymour/Carraher’s Polymer Chemistry”改訂増補第6版,2003年;及び”Polymer Synthesis:Theory and Practice”第3版,D.Braun,2001年に記載されている。
【0109】
本発明のポリマーブレンドは、更に、酸化触媒として遷移金属を含むことができる。用語「触媒」用いるが、遷移金属は酸化反応において消費されてもされなくてもよく、或いは消費される場合には、触媒活性状態に転化し戻すことによって一時的に消費されることができるにすぎない。
【0110】
本発明のブレンドにおいて使用される遷移金属の量は酸素を積極的に捕捉するのに有効な量である。この量は、使用する遷移金属によって異なる可能性があり、また、その用途において望ましい又は必要とされる捕捉の程度によっても異なるであろう。例えばコバルト塩として供給されるコバルトのような1種又はそれ以上の遷移金属は本発明のポリマーブレンド中に、ポリマーブレンドの総重量に基づき、例えば約10〜約1,000ppm又は20〜750ppm又は25〜500ppmの量で存在できる。或いは、遷移金属は本発明のブレンド中に、ブレンドの総重量に基づいて金属原子の重量として表した場合、少なくとも10ppm又は少なくとも15ppm又は少なくとも25ppm又は少なくとも50ppmであって、500ppm以下又は750ppm以下又は800ppm以下又は1,000ppm以下の量で存在できる。本発明のブレンド中に存在する場合には、遷移金属は、ブレンドの総重量に基づき、例えば約35〜約5,000ppm若しくはそれ以上又は100〜3,000ppm又は500〜2,500ppmの量で存在できる。
【0111】
適当な遷移金属としては、少なくとも2つの酸化状態の間で容易に相互転化できるものが挙げられる。遷移金属は、金属が周期表の第1、第2又は第3遷移系列から選ばれる遷移金属塩の形態で供給される。適当な金属及び酸化状態としては、マンガンII若しくはIII、鉄II若しくはIII、コバルトII若しくはIII、ニッケルII若しくはIII、銅I若しくはII、ロジウムII、III若しくはIV及びルテニウムI、II若しくはIVが挙げられる。金属の適当な対イオンとしては、塩化物イオン、酢酸イオン、アセチルアセトン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、ネオデカン酸イオン、オクタン酸イオン又はナフテン酸イオン及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。金属塩はイオノマーであることもでき、この場合にはポリマー対イオンを使用する。酸素捕捉を触媒するのに有効な量の触媒を使用できる。本発明のブレンド中において代表的な量は、少なくとも約10ppm若しくは少なくとも25ppm若しくは少なくとも50ppm若しくは少なくとも100ppmであって、約750ppm以下若しくは約1,000ppm以下、又は50〜500ppmである。例えばネオデカン酸コバルトは、本発明のポリマーブレンドの重量に対するコバルトの重量に基づき、約50ppmから約250ppmまでの量で本発明のブレンドにおいて酸素捕捉を効果的に引き起こすことが判明している。
【0112】
遷移金属触媒の典型的な量は、ポリアミドコンセントレートの形態で供給されるならば、更に多い、例えば少なくとも約50ppm又は少なくとも250ppm又は少なくとも500ppmであって、約1,000ppm以下又は約2,500ppm以下又は約5,000ppm以下又は約10,000ppm以下若しくはそれ以上であることができる。従って、これらのポリアミドコンセントレートは、本発明のブレンドに添加量で供給される場合には、遷移金属触媒コンセントレートとして働くこともできる。しかし、ブレンド時に目的とする酸素捕捉効果を保持するためには、コンセントレートに金属を添加するのではなく、ブレンドの直前に遷移金属を添加することが有利であることができる。
【0113】
本発明者らはコバルト塩が本発明による使用に特に適することに気付いた。
【0114】
本発明のブレンドを包装用組成物に使用する予定である場合には、約10〜約1,000ppmの範囲の量の、又は少なくとも10ppm若しくは少なくとも30ppm若しくは少なくとも50ppm若しくは少なくとも60ppm若しくは少なくとも75ppm若しくは少なくとも100ppm若しくは少なくとも200ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属触媒がほとんどの用途に適当である。或いは、遷移金属触媒は、本発明のブレンドの重量に基づき、約300ppm以下又は200ppm以下又は100ppm以下又は75ppm以下又は50ppm以下又は25ppm以下又は10ppm以下の量で存在できる。
【0115】
示した量は、ポリマーブレンドの重量に基づき、金属として測定したものであり、組成物に添加した化合物の重量として測定したものではない。遷移金属としてのコバルトについては、適当な量は、少なくとも20ppm又は少なくとも30ppm又は少なくとも50ppm又は少なくとも60ppm又は少なくとも100ppm又は少なくとも125ppm又は少なくとも250ppmであることができる。或いは、コバルトは、本発明のブレンドの重量に基づき、約200ppm以下又は100ppm以下又は75ppm以下又は50ppm以下又は25ppm以下又は10ppm以下の量で存在できる。
【0116】
遷移金属を1種又はそれ以上のポリマーの重合の間に添加する場合には、遷移金属の望ましい触媒活性を保持するために、遷移金属は、重合プロセスの終わり近くに又は更にはブレンドの間に、添加することが必要であるか又は役立つであろう。例えば遷移金属は、ニートで又は担体(例えば液体又はワックス)中に入れて、押出機に又は本発明のポリエステルブレンドを含む物品を製造するための他の装置に加えることもできるし、或いは追加のポリエステル若しくは他の熱可塑性ポリマーを含むコンセントレートとして又はPET/ポリアミドブレンドを含むコンセントレートとして加えることもできる。担体は、ポリエステルと反応性であっても非反応性であってもよく、揮発性又は不揮発性担体液体のいずれも使用できる。
【0117】
PETポリマー中にポリアミドを取り入れるための前記のブレンドプロトコールと同様に、遷移金属触媒は、本発明の酸素捕捉用ポリマーブレンドの製造の間に、種々の箇所で種々のブレンドプロトコールによって加えることができることは明らかである。特に有用なアプローチは、ブレンド製造の遅い段階で本発明のブレンドと遷移金属とを一緒にすることである。場合によっては、例えばコバルトを遷移金属として供給する場合には、PET重合プロセスの間のような早い段階ではなく、PETポリマーとポリアミド又はコンセントレートとのブレンドの間(例えばボトルプレフォーム成形のような二次加工プロセスの間)にコバルトを添加するのが好ましいであろう。
【0118】
本発明のブレンドを構成するPETホモポリマー又はコポリマー(以下において、単に「PETポリマー」と記載する場合がある)は熱可塑性であり、例えばポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppmの量のアルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基、例えばリチウムを含む触媒系を含む。このようなポリマーは、典型的には溶融相重合の間に得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する。
【0119】
本発明のブレンドを構成するPETホモポリマー又はコポリマーは、2006年7月28日に出願され且つ譲受人が本件と共通である米国特許出願第11/495,431号において開示され且つ特許請求されたものを含む。この特許出願の開示を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。
【0120】
別の態様において、PETポリマーは、触媒系として供給されるアルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含み、アルミニウム原子とアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基の組合せの触媒活性を少なくとも部分的に失活させるのに有用な触媒失活剤を更に含む。
【0121】
一態様において、PETポリマーは、アルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマーメルトを重縮合させることを含む方法によって製造する。
【0122】
本明細書中の他の場所に記載された1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーとブレンドされた、直前に記載し且つ以下に更に詳述する触媒系を用いて製造された1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーを含む本発明のポリマーブレンドは、従来型の触媒系を用いて製造されたPETポリマーに比較して改善された酸素捕捉活性を有する。
【0123】
本発明の更に別の態様において、本発明による使用に適当なPETポリマーは、アルミニウム原子及びアルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基、例えばリチウム原子を含むポリエステルメルトに燐原子を添加する工程を含む方法によって製造できる。
【0124】
別の態様において、本発明によって有用なPETホモポリマー又はコポリマーは、アルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含み、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モルブデン、鉄、ニッケル又はこれらの窒化物若しくは炭化物、例えば窒化チタン、炭化チタン或いはそれらの混合物のうちの1種又はそれ以上の粒子を更に含み、前記粒子はポリエステル組成物の再加熱速度を改善する。
【0125】
前記粒子は、例えばホウ素、炭素及び窒素の原子を含む遷移金属化合物;遷移元素金属及び遷移金属合金を含むことができ、前記遷移原子は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄若しくはニッケル原子又はそれらの組合せを含む。
【0126】
別の態様において、PETポリマーは、1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマーメルトを重縮合させ、且つ重縮合の前、重縮合の間又は重縮合の後に、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄若しくはニッケル原子又はそれらの組合せを含む粒子を添加することを含む方法によって製造できる。
【0127】
粒子は、好ましくはホウ素、炭素及び窒素の原子を含む遷移金属化合物;遷移元素金属及び遷移金属合金(前記遷移原子はチタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄若しくはニッケル原子又はそれらの組合せを含む)、例えば窒化チタン若しくは炭化チタン、或いはそれらの混合物を含む。
【0128】
従って、本発明によって有用なPETホモポリマー又はコポリマーは、触媒系として、アルミニウム原子及び1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基(任意的に1種又はそれ以上の触媒失活剤で失活される)を含む。
【0129】
アルミニウム原子は、PETポリマーの総重量に基づき、それぞれ例えば約1〜約35ppm又は5〜25pppm又は10〜20ppmの量で存在できる。
【0130】
1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子(例えばリチウム、ナトリウム又はカリウム)、アルカリ金属原子(例えばマグネシウム又はカルシウム)又はアルカリ化合物残基は、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーの総重量に基づき、それぞれ例えば約1〜約25ppm又は1〜20ppm又は5〜18ppm又は8〜15ppmの総量で存在できる。
【0131】
一態様において、1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基はリチウムを含む。この態様において、リチウムの量は、PETポリマーの総重量に基づき、それぞれ例えば約1〜約25ppm又は5〜20ppm又は8〜15ppmであることができる。
【0132】
PETポリマーの製造方法において、使用する触媒系は1種又はそれ以上の触媒失活剤、例えば燐原子によって失活させることができる。存在する場合には、燐原子の量は、例えば約150ppm以下又は約115ppm以下又は約70ppm以下の範囲であることができる。
【0133】
一態様において、PETポリマーは、例えば約0.50〜約1.1の範囲の極限粘度数(It.V.)又は0.70〜0.85の範囲のインヘレント粘度(Ih.V.)を有することができる。
【0134】
PETポリマーの製造方法において、ポリエステルポリマーの最終It.V.は、典型的には、専ら溶融相重合プロセスにおいて達成される。これは、ポリエステルポリマーの分子量を中程度のIt.V.まで増加させ、固化させ、次いでその後に、分子量をより高い望ましい最終It.V.まで分子量を増加させ続けるために固相重合を行う従来の方法とは異なる。その後の固相重合は触媒反応を必要とするので、従来の方法は溶融相において感知できるほどには触媒を失活させない。この方法は、専ら溶融相において望ましい最終It.V.まで分子量を増加させることができるので、触媒は少なくとも部分的に失活させ、それによって粒子のその後の溶融時に、更なるアセトアルデヒドの発生のよくある原因となる触媒活性の少なくとも一部を防ぐことができる。
【0135】
従って、一態様において、PETポリマーは、ポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppmの量で存在するアルミニウム原子を含み、前記ポリマーは、溶融相重合によって得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する。
【0136】
別の態様において、PETポリマーは、(i)アルミニウム原子、(ii)アルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基及び(iii)(i)アルミニウム原子と(ii)アルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基との組合せの触媒活性を少なくとも部分的に失活させるのに有効な量の触媒失活剤を含む。
【0137】
本発明によって有用なPETポリマーは、好ましくは、
(i)PETポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも80モル%のテレフタル酸残基を含むカルボン酸成分及び
(ii)PETポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも80モル%のエチレングリコール又は1,3−プロパンジオールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む。
【0138】
典型的には、PETポリマーは、エチレングリコールを含むジオールとテレフタル酸(遊離酸又はそのC1〜C4ジアルキルエステルとして)を含むジカルボン酸とを反応させてエステルモノマー及び/又はオリゴマーを生成し、次いでそれを重縮合させてポリエステルを生成することによって製造する。カルボン酸基又はその誘導体を含む1種より多い化合物をこのプロセスの間に反応させることができる。ポリエステル生成物の一部となるカルボン酸基又はその誘導体を含む、このプロセスに入る全ての化合物は、「カルボン酸成分」を構成する。生成物中に存在するカルボン酸基又はその誘導体を含む全ての化合物のモル%は、合計100となる。PETポリマー中に存在するカルボン酸基又はその誘導体を含む化合物の「残基」は、その化合物がヒドロキシル基を含む化合物と縮合され且つ更に重縮合されて種々の鎖長のPETポリマー鎖を形成した後にPETポリマー中に残る化合物の部分を意味する。
【0139】
ヒドロキシル基又はその誘導体を含む1種より多い化合物がPETポリマーの一部となることができる。PETポリマーの一部となるヒドロキシル基又はその誘導体を含む、このプロセスに入る全ての化合物は、「ヒドロキシル成分」を構成する。PETポリマーの一部となるヒドロキシル基又はその誘導体を含む全ての化合物のモル%は、合計100となる。PETポリマーの一部となるヒドロキシル官能性化合物又はその誘導体の「残基」は、その化合物がカルボン酸基又はその誘導体を含む化合物と縮合され且つ更に重縮合されて種々の鎖長のPETポリマー鎖を形成した後にPETポリマー中に残る化合物の部分を意味する。
【0140】
PETポリマー中のヒドロキシル残基及びカルボン酸残基のモル%は、例えばプロトンNMRによって測定できる。
【0141】
他の態様において、1種又はそれ以上のPETホモポリマー又はコポリマーは、
(a)PETポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のテレフタル酸又はテレフタル酸誘導体の残基を含むカルボン酸成分;及び
(b)PETポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のエチレングリコール又は1,3−プロパンジオール、より好ましくはエチレングリコールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む。
【0142】
改質剤は、ポリマー中に、その各成分、カルボン酸又はヒドロキシル100モル%に基づき40モル%以下又は20モル%以下又は10モル%以下又は8モル%以下又は5モル%以下の量で存在できる。典型的には、一官能価、三官能価又はそれ以上の官能価の改質剤は、ポリマー中に、その各成分、カルボン酸又はヒドロキシル100モル%に基づき、わずか約8モル%以下又は4モル%以下又は約2モル%以下の量で存在し且つ/又はそれを添加できる。
【0143】
組み込むのに適当なテレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸の誘導体としては、テレフタル酸C1〜C4ジアルキル及びナフタル酸C1〜C4ジアルキル、例えばテレフタル酸ジメチル及びナフタル酸ジメチルが挙げられる。
【0144】
テレフタル酸又はテレフタル酸の誘導体の二酸成分の他に、本発明のPETポリマーのカルボン酸成分は、1種又はそれ以上の追加の改質剤カルボン酸化合物、例えばナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸の誘導体若しくはそれらの混合物、モノカルボン酸化合物、他のジカルボン酸化合物及びそれより多くのカルボン酸基を有する化合物を含むことができる。例としては、炭素数が好ましくは8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数が好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は炭素数が好ましくは8〜12の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。酸成分の一部として有用な改質剤ジカルボン酸のより具体的な例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などであり、イソフタル酸及びナフタレン−2,6−ジカルボン酸が最も好ましい。これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用も、用語「カルボン酸」に含まれることを理解すべきである。また、トリカルボキシル化合物分岐剤及びより多数のカルボン酸基を有する化合物も、モノカルボン酸連鎖停止剤と共に、PETポリマーを改質することができる。
【0145】
エチレングリコールを含むヒドロキシル成分の他に、本発明のPETポリマーのヒドロキシル成分は、追加の改質剤モノオール、ジオール又はそれより多くのヒドロキシル基を有する化合物を含むことができる。改質剤ヒドロキシル化合物の例としては、炭素数が好ましくは6〜20の脂環式ジオール及び/又は炭素数が好ましくは3〜20の脂肪族ジオールが挙げられる。このようなジオールのより具体的な例としては、ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;プロパン−1,3−ジオール;ブタン−1,4−ジオール;ペンタン−1,5−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;3−メチルペンタンジオール−(2,4);2−メチルペンタンジオール−(1,4);2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3);2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3);2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3);ヘキサンジオール−(1,3);1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルーシクロブタン;2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン;及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンが挙げられる。ヒドロキシル成分改質剤として、PETポリマーは好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールのようなコモノマーを含むことができる。
【0146】
PETポリマーは、ポリアルキレンナフタレート又はポリカーボネート(PC)及びポリアミドのような他の熱可塑性ポリマーとブレンドすることができる。しかし、PETポリマーは、主に反復ポリエチレンテレフタレートポリマーから、例えばPETホモポリマー又はコポリマーの総重量に基づき、少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%の量の反復ポリエチレンテレフタレートポリマーからなるのが好ましい。
【0147】
一態様において、組成物は、全ポリエステルポリマーの総重量に基づき、60重量%未満又は40重量%未満又は20重量%未満又は10重量%未満又は5重量%未満の使用済みの再生ポリエステルポリマー(PCR)を組成物中に含むか、又は全く含まない。別の実施態様において、組成物は、全ポリエステルポリマーの総重量に基づき、ゼロより多く且つ60重量%以下又は40重量%以下又は20重量%以下又は10重量%以下の量でPCRを含む。
【0148】
従って、本発明によって有用なPETポリマーは、添加されるアルミニウム化合物の又は組成物中に存在する残基の酸化状態、形態学的状態、構造状態又は化学状態には関係なく、PETポリマーを製造するための溶融相プロセスへのアルミニウム原子の添加時にポリマーメルト中に残る部分であるアルミニウム残基を構成するアルミニウム原子を含む。アルミニウム残基は、溶融相反応に添加されるアルミニウム化合物と同一の形態であることができるが、アルミニウムは重縮合速度の促進に関与すると考えられるので、典型的には変化しているであろう。用語「アルミニウム原子」又は「アルミニウム」は、アルミニウムの酸化状態に関係なく、任意の適当な分析方法によって検出されるポリエステルポリマー中におけるアルミニウムの存在を意味する。アルミニウムの存在の適当な検出方法には、誘導結合プラズマ発光分光分析(inductively coupled plasma optical emission spectroscopy)(ICP)がある。アルミニウムの濃度は、PETポリマーの重量に基づく金属原子のppmとして、報告してある。用語「金属」は、特定の酸化状態を意味しない。
【0149】
アルミニウム化合物の適当な例としては、アルミニウムのカルボン酸塩、例えば酢酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム;アルミニウムアルコラート、例えばアルミニウムエチラート、アルミニウムイソプロピラート、アルミニウムトリn−ブチラート、アルミニウムトリ−tert−ブチラート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピラート;グリコール酸アルミニウム、例えばアルミニウムエチレングリコレート;並びにアルミニウムアルコラートのアルコキシ基がアルキルアセトアセテート又はアセチルアセトンのようなキレート化剤で一部分又は全て置換されたアルミニウムキレート、例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピラート、アルミニウムトリ(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピラート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムアセチルアセトネートが挙げられる。
【0150】
アルミニウム化合物の中で好ましいのは、アルミニウムの塩基性カルボン酸塩及びアルミニウムアルコラートである。アルミニウムの塩基性カルボン酸塩としては、一塩基性及び二塩基性化合物が挙げられる。使用する塩基性アルミニウム酢酸塩は、ジアセテートモノヒドロキシ化合物若しくはモノアセテートジヒドロキシ化合物又はそれらの混合物であることができる。特に、塩基性アルミニウム酢酸塩及びアルミニウムイソプロポキシドが好ましいアルミニウム化合物である。ホウ酸による塩基性アルミニウム酢酸塩の安定化は、場合によってはその溶解度を増加させる可能性がある。アルミニウムイソプロポキシドが最も望ましい。
【0151】
PETポリマー中に存在するアルミニウムの量は、一般にポリマーの重量に基づき、アルミニウム少なくとも3ppm又は少なくとも5ppm又は少なくとも8ppm又は少なくとも10ppm又は少なくとも15ppm又は少なくとも20ppm又は少なくとも30ppmであって、約150ppm以下又は約100ppm以下又は約75ppm以下又は約60ppm以下の範囲である。アルミニウムの好ましい範囲は5〜60ppmである。他の適当な量としては、アルミニウム原子7ppmから又は10ppmから、60ppmまで又は40ppmまで又は30ppmまでが挙げられる。
【0152】
アルカリ金属残基又はアルカリ土類金属残基は、任意の形態又は酸化状態でPETポリマー中に存在するアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子であるか、或いはアルカリ化合物を用いる場合には、酸化状態又は最終的な物理的状態、形態学的状態、構造状態若しくは化学状態とは無関係に、ポリマーメルト又は完成ポリマー若しくは物品内に存在するアルカリ化合物の残りである。用語「アルカリ金属」又は「アルカリ土類金属」又は「金属」は、その元素状態又はその周期表の族におけるその許容され得る原子価に対応する酸化状態の原子を含む。添加時のアルカリの化学状態も限定するものではない。アルカリは、金属化合物として、有機金属化合物として又は金属を含まない化合物として添加できる。同様に、添加時のアルカリ土類金属化合物又はアルカリ金属化合物の化学状態も限定するものではない。
【0153】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、Li,Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Srを含む周期表の第IA族及び第IIA族の金属、特にLi、Na又はKが挙げられる。速い速度及び明澄度が第一の懸案事項である場合には、Liが好ましいであろう。色が第一の懸案事項である場合には、Naが好ましいであろう。金属は、対イオンを有する金属化合物(錯体又は塩を含む)として添加することができ、対イオンのうち好ましいのは水酸化物イオン、炭酸イオン及びカルボン酸イオンである。
【0154】
他の適当なアルカリ化合物は、米国特許第6,156,867号に記載されたものであり、この特許の関連する開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。これらは、第三アミン化合物及び第四アンモニウム化合物を含む。選択される特定のアミン化合物は望ましくは、ポリマーにそれほど黄色を与えないものである。
【0155】
アルミニウムのモルに対するアルカリ金属のモル若しくはアルカリ土類金属のモル又はアルカリのモル比(M:Alモル比,M:Al MR)は、一般に、少なくとも0.1又は少なくとも0.25又は少なくとも0.5又は少なくとも0.75又は少なくとも1又は少なくとも2から、約75まで、約50まで、約25まで、約20まで、約15まで、約10まで又は約8まで又は約6まで又は約5までの範囲である。
【0156】
アルミニウム及びアルカリ土類金属又はアルカリ金属の重量は、完成PETポリマー又は物品中の量を検出するための分析法によって測定できる。アルミニウム及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の存在の適当な検出方法には、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)がある。螢光X線分析法(XRF)は一部のアルカリ土類金属及び一部のアルカリ金属に適当な検出法であるが、PETポリマー中に見られるような比較的低レベルのアルミニウムの検出には適当でない場合がある。本明細書中で使用する、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の濃度は、PETポリマーの重量に対する金属原子のppmで、報告してある。
【0157】
アルミニウム及びアルカリ又はアルカリ土類金属は溶液、微細分散液、ペースト、スラリーとして又はニートで添加できる。これらは好ましくは、計量供給できる液体、メルト又はさらさらした固体として添加する。最も好ましくは、それらは液体として、特に溶液又は分散液として添加する。
【0158】
アルミニウム触媒を阻害するか又は失活させ、ひいては重縮合速度を遅くする可能性がある、エステル化ゾーンにおいて発生する水とアルミニウム触媒との間で起こり得る不所望な副反応を回避するために、アルミニウム化合物は、エステル化反応の実質的完了後に又は重縮合の開始時若しくは重縮合の間に添加するのが望ましい。更なる実施態様において、エステル化反応の少なくとも75%又は少なくとも85%又は少なくとも95%(転化率に換算して)は、アルミニウム化合物を添加せずに実施する。アルミニウム化合物及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物は、同じ添加箇所で又はその近くで添加するのが望ましい。アルミニウム化合物及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物は、触媒混合タンク中におけるのと同様に、PETポリマーの溶融相製造ラインへの添加前に、予備混合及び加熱するのが最も望ましい。
【0159】
所望ならば、他の触媒金属も存在できる。例えばMn、Zn、Sb、Co、Ti及び/又はGe触媒を、アルミニウム及びアルカリ土類金属又はアルカリ触媒と共に使用できる。特に溶融相製造過程がエステル交換反応を伴う場合にはチタン触媒を使用することもできるし、或いは反応をチタンの実質的不存在下で実施することもできる。適当なチタン触媒としては、ポリエステルポリマーの製造に使用される運転条件下で、失活されなければ、PETポリマーメルトのIt.V.を少なくとも0.3dL/g増加させる量で添加されるそれらの化合物が挙げられる。
【0160】
一態様において、アンチモンの量を限定することもできるし、或いはアンチモンを反応混合物中に存在させないこともできる。従って、存在するアンチモンの量は、例えば0ppmであることができ、即ち反応をアンチモンの不存在下で実施することができる。或いは、存在するアンチモンの量は、1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、10ppm以下又は20ppm以下又は40ppm以下又は60ppm以下であることができる。理論によって拘束するつもりはないが、本発明者らは、アンチモンの存在は本発明のブレンドの酸素捕捉結果を妨害する可能性があり、且つ本明細書中に記載した触媒系を用いて製造したポリエステルは相当量のアンチモンを含むポリエステル又はブレンドと比較して大幅に改善された酸素捕捉効果を有することができると考える。
【0161】
別の態様においては、アンチモンを触媒として又は再加熱添加剤として若しくは両方として、例えば約5〜約30ppm又は約10〜約20ppmの量で使用できる。
【0162】
典型的には、チタン触媒は、重縮合前に未処理であると、副反応を伴うその高活性のためにポリマーを変色させる可能性があるので、エステル交換の間に添加されたチタン触媒は、得られるオリゴマー混合物の重縮合の前に失活させるものとする。しかし、所望ならば、少量の活性チタン触媒が本発明の触媒系と共に存在できる。チタン触媒を使用するならば、その量は、一般にPETポリマーの重量に基づき、2〜15ppmの範囲である。アンチモン触媒も本発明の触媒系と組合せて使用できる。アンチモンの量は例えば20〜250ppmの範囲であることができる。
【0163】
好ましくは、本発明のポリマーブレンドのPETポリマーの製造は、チタン、コバルト又はアンチモンを溶融相反応に添加せずに、或いは更には、アルミニウム/アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルカリ系以外の触媒活性金属又は金属化合物を溶融相反応に添加せずに、行う(例えば、測定目的では、化合物は280℃及び0.8mmHgにおいて撹拌しながら1時間後に反応速度又はIt.V.を0.2〜0.4dL/gの出発点から少なくとも0.1dL/g増加させるならば、触媒活性である)。しかし、コバルト又はマンガンのような1種又はそれ以上の金属は、金属で触媒される液相酸化プロセスから製造されるテレフタル酸組成物に不純物として付随するので、メルト中には低レベルで存在する可能性が高いと認識すべきである。言うまでもなく、本発明の独創的なブレンドはブレンドに酸化触媒として供給された遷移金属を含み得る。このような遷移金属の添加は、重合プロセスの遅い段階で又は更には本発明のブレンドを製造するためのブレンドの間に、行うのが最良であり得る。
【0164】
本発明のブレンドへの使用に適当なPETポリマーは触媒失活剤を含むこともできる。触媒失活剤は触媒系の活性を少なくとも部分的に失活させる又は阻害するのに有効な化合物を意味する。ある化合物は、所定のレベルでの添加による場合に、また、所定のレベルでの化合物の有効性を試験するために限れば、a)実際の運転条件下における固相化(solid-stating)速度が失活剤を含まない同一ポリマー(添加剤なしの場合)に比較して遅くなる場合及び/又はb)より早い段階で添加された時に、実際の運転条件下における一定のIt.V.目標値までの溶融相重縮合速度が遅くなる、即ち、It.V.目標値に達するのにより多くの時間がかかるか又はポリマーのIt.V.が一定時間において添加剤なしの場合に比較して低下する場合のいずれか又は両方の場合に、触媒系を少なくとも部分的に失活させるのに有効である。触媒失活剤は、また、粒子の溶融時の、好ましくは溶融相重合から得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する粒子の溶融時のAA発生速度を、添加剤なしの場合に比較して遅くして、プレフォームのような成形品中のAAレベルに対するAA発生の寄与を添加剤なしの場合に比較して減少させる。
【0165】
触媒失活剤は、典型的には、その後の溶融加工工程の間における触媒系の活性を制限するために、PETポリマーメルトの製造プロセスの間に遅い段階で添加する。触媒失活剤を添加しないと、溶融加工工程において、触媒系は、PETポリマー粒子中に存在するアセトアルデヒド前駆体のアセトアルデヒドへの転化を触媒し且つ/又はより多くのAA前駆体の形成及びそれらのその後のAAへの転化を触媒するであろう。未処理のままでは、PETポリマーは、押出又は射出成形の間に高いアセトアルデヒド発生速度を有し、その結果、ポリマーメルトから製造される物品中のAAレベルの増加の一因となるであろう。安定剤又は失活剤は、溶融相重縮合の終わり近くにおいて並びに再溶融(例えば溶融ブレンド及び本発明のポリマーブレンドの物品への加工の間に起こる)の間にPETポリマーメルトを熱的に安定化させるのに役立つこともでき、それがなければ、より多くの反応が起こって、高粘度のメルト中のポリマー鎖を開裂し、より多くのAA前駆体、最終的にはより多くのAAを形成する方向に向かうであろう。触媒失活剤は金属触媒の触媒活性、ひいて重縮合速度を抑制するので、触媒失活剤はアルミニウム化合物或いはアルカリ金属化合物若しくはアルカリ土類化合物又はアルカリ化合物の添加と共に添加することもないし、重縮合の開始時に添加することもない。しかし、燐化合物の必ずしも全ての型又は形態が失活剤ではなく、そうでない場合には、それらは、必要に応じて、触媒と一緒に又は重縮合の開始時に添加することができることに留意すべきである。
【0166】
適当な失活化合物は、好ましくは燐含有化合物、例えば燐酸トリエステル、酸性燐化合物又はそれらのエステル誘導体及び酸性燐含有化合物のアミン塩である。酸性燐化合物は、少なくとも1つのオキシ酸基、即ち酸素に二重結合され且つ少なくとも1つのヒドロキシル又はOH基に単結合された少なくとも1つの燐原子を有する。酸素に二重結合した燐原子に結合したヒドロキシル基の数が増加するにつれて、酸性基の数は増加する。燐化合物の具体例としては、燐酸、ピロリン酸、亜燐酸、ポリ燐酸、カルボキシホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホン酸誘導体並びにそれらの酸性塩及び酸性エステル及び誘導体のそれぞれ、例えば酸性燐酸エステル、例えば燐酸モノエステル及びジエステル、並びに非酸性燐酸エステル(例えば燐酸トリエステル)、例えば燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブチル、燐酸トリブトキシエチル、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、オリゴマー燐酸トリエステル、燐酸トリオクチル、燐酸トリフェニル、燐酸トリトリル、(トリス)エチレングリコールホスフェート、ホスホノ酢酸トリエチル、ジメチルメチルホスホネート、テトライソプロピル=メチレンジホスホネート;燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール若しくは2−エチルヘキサノールとのモノエステル、ジエステル及びトリエステル又はそれぞれの混合物が挙げられる。他の例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、燐酸一水素化合物及び燐酸二水素化合物、ホスファイト化合物、ポリマーメルト中に好ましくは可溶なある種の無機燐化合物、ポリ(エチレン)水素ホスフェート及び燐酸シリルが挙げられる。粒子の溶液又は成形品のヘイズ(haze)は、ポリマーメルト中の添加剤の溶解度の欠如又は限られた溶解度の1つの目安である。可溶な添加剤は、触媒系を失活/安定化させる可能性がより高い。
【0167】
添加できる他の燐化合物には、酸性燐化合物のアミン塩がある。アミンは環状であっても非環状であってもよく、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよいが、ヘイズ及び/又は溶解度が問題である場合には、ヘイズを最小限に抑え且つ/又は溶解度を最大にするように選択すべきである。アミンの有機成分は基本的には任意の有機基であることができる。アンモニア及び水酸化アンモニウムのような関連化合物が適当である。
【0168】
アミン上の適当な有機基としては、直鎖及び分岐鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、ヘテロアリールなどが挙げられる。これらの型の有機基はそれぞれ、未置換でも置換されていてもよい(例えばヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、ハロ及び同様な基で置換されていてもよい)。有機基は、また、炭酸、ケト、エーテル及びチオエーテル結合並びにアミド、エステル、スルホキシド、スルホン、エポキシなどを含むことができる。このリストは説明のためのものであり、限定するものではない。
【0169】
好ましいアミンは、5〜7員環、好ましくは6員環を有する環状アミンである。これらの環は単一の「モノマー」種を構成することもできるし、或いはより大きいオリゴマー又はポリマーの一部であることもできる。
【0170】
好ましい環状アミンは環窒素に隣接する環の位置で置換された有機基を有するヒンダードアミンである。環窒素自体も置換されることができる(例えばアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール及び他の基で)。ヒンダードアミンは、また、オリゴマー部分又はポリマー部分の一部を構成することができる。
【0171】
別の型の好ましいアミンはアミノ酸である。分解点が重合温度又はそれ以上の温度であるアミノ酸が特に好ましい。L−エナンチオマー、D−エナンチオマー又はラセミ混合物を含むそれらの任意の混合物を使用できる。アミン基及びカルボン酸基は同じ炭素に結合する必要はない。アミノ酸はα、β又はγであることができる。置換アミノ酸を使用できる。水にある程度の溶解度を有するアミノ酸が特に好ましい。これは、水にある程度の溶解度があれば、塩の合成が水中で、即ちVOC(揮発性有機化合物)を用いずに行われることができるためである。
【0172】
この方法において使用する燐化合物又はその他の触媒失活剤の量は、(i)アルミニウム原子と(ii)アルカリ土類金属原子若しくはアルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基との組合せの触媒活性を部分的に又は完全に失活させることによって、溶融相で生成されるポリマーの再溶融時に発生するAAの量を低減するのに有効である。燐原子の典型的な量は少なくとも15ppm又は少なくとも50ppm又は少なくとも100ppmであろう。
【0173】
メルト中に存在するアルミニウム、アルカリ又はアルカリ土類金属及び他の全ての触媒金属の累積量を考慮に入れるべきである。(燐のモル)対(アルミニウム並びにアルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属の総モル)の比[P:M MR(Mはアルミニウムのモル、存在する場合にはアルカリ土類金属のモル及び存在する場合にはアルカリ金属のモルの和と見なされ、MRはモル比を表す]は、一般に少なくとも0.1:1若しくは少なくとも0.3:1若しくは少なくとも0.5:1若しくは少なくとも0.7:1若しくは少なくとも1:1であって且つ約5:1以下又はより好ましくは約3:1以下若しくは2:1以下若しくは1.8:1以下若しくは1.5:1以下である。ポリエステルメルトへの燐化合物の添加時におけるポリマーIt.V.の低下を最小限に抑えるためには、多量の燐化合物は回避しなければならない。P:M MRの適当な範囲は0.5〜1.5である。
【0174】
アルミニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属の化合物も燐化合物と反応する。アルミニウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の化合物の他に、燐化合物と反応する他の金属化合物が存在する場合には、遅い段階で添加する燐化合物の量は、存在する全ての反応性金属と燐化合物が確実に反応又は結合するために、目標P:M MRの達成に必要な量を上回るのが望ましい。
【0175】
本発明のポリマーブレンドに有用なポリエステルポリマーは、ポリエステルポリマーの重量に基づき、5〜100ppm又は7〜60ppm又は10〜30ppmの範囲内のアルミニウム原子を含み、(全てのアルカリ土類金属及びアルカリ金属原子のモル)対(アルミニウム原子のモル)のモル比は0.5:1〜6:1又は1:1〜5:1又は2:1〜4:1の範囲内であることができ、P:M比は0.1:1〜3:1又は0.3:1〜2:1又は0.5:1〜1.5:1の範囲である。
【0176】
所望ならば、部分量の燐化合物を、溶融相製造プロセスの早い段階で、例えば重縮合の開始時に添加し且つ最終量を重縮合過程の遅い段階で又はその後に、しかし以下に詳述する固化の前に添加することができる。重縮合及び/又は生成速度を最大にするために、燐化合物の大半又は大部分又は全体を、溶融相製造プロセスの遅い段階に添加する。
【0177】
PETポリマーは、アルミニウム化合物及びアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属化合物又はアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマーメルトを形成することを含む溶融相反応において製造できる。重縮合反応の少なくとも一部はアルミニウム化合物とアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物又はアルカリ化合物との組合せの存在下で進行する。アルミニウム化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物又はアルカリ化合物を添加できる種々の方法、それらの添加順序及びそれらの添加点については、米国特許出願第11/495,431号(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されており、更に以下に詳述する。
【0178】
ポリエステル前駆体反応体は、溶融相プロセスの第1段階が実施されるエステル化反応容器に供給できる。エステル化プロセスは、直接エステル化によって又はトランスエステル化としても知られるエステル交換によって進行する。溶融相プロセスの第2段階においては、エステル化の間に形成されたオリゴマー混合物を重縮合させて、ポリエステルメルトを形成する。メルトの分子量は、溶融相プロセスにおいて目的とするIt.V.まで増加させ続ける。
【0179】
更に説明すると、1種若しくはそれ以上のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体と1種若しくはそれ以上のジオール、例えばエチレングリコールとの混合物を、約200〜300℃において約1psig〜最大約70psigの過圧で運転されるエステル化反応器に連続供給する。反応体の滞留時間は典型的には約1〜約5時間の範囲である。通常、1種又はそれ以上のジカルボン酸を高圧で約240〜約285℃の温度において1種又はそれ以上のジオールで直接エステル化させる。エステル化反応は、少なくとも70%の酸若しくはエステル基転化率が達成されるまで続けるが、より典型的には少なくとも85%の酸若しくはエステル基転化率が達成されて所望のオリゴマー混合物(又は別名「モノマー」としても知られる)が生成されるまで続ける。
【0180】
エステル化ゾーン(直接エステル化及びエステル交換プロセスを含む)において形成される得られるオリゴマー混合物は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)モノマー、低分子量オリゴマー、DEG、及びエステル化ゾーンにおいて完全には除去されなかった微量の縮合副生成物を、原料からの及び/又は触媒副反応によって形成される可能性がある他の微量不純物並びにトナー及び安定剤のような任意選択で添加される他の化合物と共に含む。BHET及びオリゴマー種の相対量は、方法が直接エステル化法(この場合には、オリゴマー種の量が多く、主な種として存在することすらある)であるか或いはエステル交換法(この場合には、BHETの相対量がオリゴマー種よりも優っている)であるかによって異なるであろう。平衡を目的生成物の方向に進めるために、エステル化反応の進行につれて、水を除去する。平衡を目的生成物の方向に進めるために、ジメチルエステル又はジカルボン酸のエステル交換反応の進行につれて、メタノールを除去する。エステル化ゾーンは典型的には、モノマー又はオリゴマー種(もしあれば)を、一連の1つ又はそれ以上の反応器中で連続的に生成する。別法として、オリゴマー混合物中のモノマー又はオリゴマー種は1つ又はそれ以上の回分反応器中で生成することもできるであろう。この段階では、It.V.は通常は測定できないか、又は0.1dL/g未満である。溶融ゴリゴマー混合物の平均重合度は典型的には15未満、多くの場合7.0未満である。
【0181】
オリゴマー混合物を生成するための反応は、別の方法では、好ましくは直接エステル化においては無触媒で行い、更にエステル交換反応においては触媒を用いて行う。エステル交換反応において使用できる典型的なエステル交換触媒としては、チタン化合物、錫化合物、亜鉛化合物及びマンガン化合物が挙げられ、それぞれ単独に又は互いに組合せて使用する。リチウム若しくはナトリウム化合物のようなアルカリ金属化合物又はマグネシウム若しくはカルシウム化合物のようなアルカリ土類化合物もエステル交換触媒として使用できる。当業者によく知られた任意の他の触媒材料が適当である。
【0182】
重縮合反応の間に存在するチタン基材触媒はメルトをより黄色にすることによってb*に悪影響を及ぼす可能性がある。エステル交換反応の完了後であって重縮合の開始前にチタン基材触媒を安定剤で失活させることは可能であるが、チタン含有化合物を添加せずに直接エステル化又はエステル交換反応を実施することによって、メルトのb*カラーに対するチタン基材触媒の悪影響の可能性をなくすことが望ましい。従って、一態様において、直接エステル化又はエステル交換反応はチタンの不存在下で実施するか、又はチタンは、例えばメルトの重量に関して1ppm以下又は3ppm以下又は5ppm以下又は10ppm以下の量で存在する。適当な代替エステル交換触媒としては、亜鉛化合物、マンガン化合物又はそれらの混合物が挙げられる。
【0183】
オリゴマー混合物が望ましい酸又はエステル基転化率になったら、それをエステル化ゾーン又は反応器から重縮合ゾーンに移す。重縮合反応の開始は、一般に、エステル化ゾーンの運転温度よりも高い実際運転温度若しくはエステル化ゾーンに比較して顕著な圧力低下(通常は減圧)又はその両者を特徴とする。典型的な重縮合反応は約260〜300℃の範囲の温度及び約350〜0.2mmHgの減圧において行う。反応体の滞留時間は典型的には約2〜約6時間の範囲である。重縮合反応においては、分子量増加の過程においてオリゴマーエステル種の縮合によって、相当量のグリコールが発生する。
【0184】
いくつかの方法においては、重縮合反応は予備重合ゾーンにおいて溶融相で開始し且つ継続させ、仕上げゾーンにおいて溶融相で仕上げ、その後にメルトを固化させてポリエステルポリマーメルト生成物を一般にチップ、ペレット又は任意の他の形状で形成する。各ゾーンが、異なる条件で運転される一連の1つ又はそれ以上の別個の反応器を含むこともできるし、或いは複数のゾーンを、単一の反応器中で異なる条件で行われる1つ又はそれ以上の副段階(サブステージ)を用いる1つの反応器中に合することもできる。即ち、プレポリマー段階は、連続的に運転される1つ若しくはそれ以上の反応器、1つ若しくはそれ以上の回分反応器、又は更には、単一反応器中で実施される1つ若しくはそれ以上の反応工程若しくは副段階の使用を含むことができる。予備重合ゾーン中のメルトの滞留時間に対する仕上げゾーン中のメルトの滞留時間は限定するものではない。例えば、いくつかの反応器設計において、予備重合ゾーンは、反応時間に換算して重縮合の最初の1/2に相当し、仕上げゾーンは重縮合の次の1/2に相当する。他の反応器設計は、(仕上げゾーン中滞留時間)対(予備重合ゾーン中滞留時間)の比を約1.5:1又はそれ以上に調整できる。多くの設計における予備重合ゾーンと仕上げゾーンの共通の差異は仕上げゾーンが予備重合ゾーンにおける運転条件よりも高い温度及び/又は低い圧力で運転されることが多い点である。一般に、予備重合ゾーン及び仕上げゾーンのそれぞれが1つ又は一連の1つより多い反応器を含み、予備重合反応器及び仕上げ反応器はポリエステルポリマーを製造するための連続プロセスの一部として直列に配列される。
【0185】
重縮合ゾーンの少なくとも一部におけるポリマーメルトへの適用温度又はポリマーメルトの温度は、280℃より高く約290℃以下である。仕上げゾーン中の温度は、従来とは異なり、AA前駆体形成速度の急速な増加を回避するために280℃より低い。仕上げゾーン中の圧力は、約0.2〜20mmHg又は0.2〜10mmHg又は0.2〜2mmHgの範囲内であることができる。
【0186】
アルカリ土類金属又はアルカリ化合物は、必要に応じて、エステル化の前、エステル化の間若しくはエステル化の完了後にエステル化ゾーンに、又はエステル化ゾーンと重縮合ゾーンの間に、又は重縮合の開始点において添加できる。一実施態様において、アルカリ土類金属又はアルカリ化合物はエステル化反応混合物の転化率が50%となる前に添加する。例えばアルカリ土類金属又はアルカリは、エステル化ゾーンと重縮合の開始との間に、又は重縮合の間に、又は予備重合の開始時又は予備重合の間に、添加できる。アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルカリは重縮合触媒系の一部として働くので、より短い反応時間又はより大きい分子量増加という利益をもたらすためには、重縮合反応の早い段階でアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はアルカリ化合物をポリエステルメルトに添加するのが望ましい。
【0187】
重合プロセスにおいて、ポリエステルメルトは、オリゴマー混合物をアルミニウム化合物の存在下で重縮合させることによって形成する。アルミニウム化合物は、エステル化ゾーンに遅い段階で、エステル化ゾーンから出たオリゴマー混合物に、又は重縮合の開始時に、又は重縮合の間にポリエステルメルトに、好ましくはエステル化ゾーンにおいて転化率が少なくとも約75%となった後に前述のようにして、添加できる。しかし、アルミニウムは重縮合触媒系の一部として働くので、より短い反応時間又はより大きい分子量増加という利益をもたらすためには、重縮合反応の早い段階でアルミニウムをポリエステルメルトに添加するのが望ましい。アルミニウム化合物は、好ましくは酸末端基の%転化率が少なくとも75%である場合に、より好ましくは酸末端基の%転化率が少なくとも85%である場合に、最も好ましくはエステル化による酸末端基の%転化率が少なくとも93%である場合に、添加する。
【0188】
アルミニウム化合物は、エステル化時若しくはエステル化完了後に、オリゴマー混合物に、又はポリエステルメルトのIt.V.が0.3dL/gに達するまでに若しくはポリエステルメルトのIt.V.が0.2dL/gに達するまでに、ポリエステルメルトに、より好ましくはエステル化ゾーンから出た又は重縮合開始前若しくは重縮合開始時のオリゴマー混合物に添加することができる。
【0189】
燐化合物を溶融相重合プロセスに添加する場合には、触媒安定剤は、重縮合過程の間に遅い段階であって且つ固化前に添加する。失活剤は、重縮合反応の過程の遅い段階において、以下の条件の1つ又はそれ以上が満たされた時又はその後であって且つポリエステルメルトの固化前に場合に、ポリエステルメルトに添加する:
a)ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/gのIt.V.に達するか、又は
b)ポリエステルメルトに適用した真空(もしあれば)が少なくとも一部分解放されるか、又は
c)ポリエステルメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合には、ポリエステルポリマーを製造するための最終反応器内に、その排出点の近くで又は最終反応器とポリエステルメルト切断用のカッターの前との間において燐化合物を添加するか、又は
d)ポリエステルメルトが溶融相重合プロセスに存在する場合には、ポリエステルメルトの重縮合時間の少なくとも85%の後に;又は
e)ポリエステルメルトのIt.V.が固化時に得られるIt.V.の+/−0.15dl/g以内であるか、又は
f)ポリエステルメルトの固化の30分若しくはそれ以内又は20分若しくはそれ以内の箇所で。
【0190】
失活剤は、ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.60dL/g又は少なくとも0.65dL/g又は少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gのIt.V.を獲得した後に、ポリエステルメルトに添加することができ、最も好ましくは、失活剤をいつ添加するかとは無関係に、溶融相製造から出た得られるポリマーは少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/gのIt.V.を有する。
【0191】
失活剤は、ポリエステルメルトのIt.V.が固化時に得られるIt.V.の0.15dL/g以内又は0.10dL/g以内又は0.05dL/g以内又は0.030dL/g以内又は0.02dL/g以内である場合に、ポリマーメルトに添加することができる。例えばポリマーメルトは、固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g低いIt.V.を有することもできるし、又は固化時に得られるIt.V.より0.10dL/g高いIt.V.を有することもできるであろう。
【0192】
失活剤は、ポリエステルメルトの固化の30分若しくはそれ以下の範囲内、又は20分若しくはそれ以下の範囲内、又は10分若しくはそれ以下の範囲内、又は5分若しくはそれ以下の範囲内、又は3分若しくはそれ以下の範囲内の時点で、ポリエステルメルトに添加することができる。ポリエステルメルトの固化は、典型的にはメルトをダイプレートを通して水浴中へと押し進め且つ切断してペレットにする場合に、又はメルトを成形品に射出成形する場合にメルト−成形プロセス(melt-to-mold process)において、起こる。最も広い意味において、固化はポリマーメルトの温度がポリマーの結晶融点未満に冷却された場合に起こる。
【0193】
0.40dL/gのIt.V.から、少なくとも0.68〜0.94dL/gの範囲のIt.V.までのメルトの反応時間は、好ましくは240分若しくはそれ以下、210分若しくはそれ以下、180分若しくはそれ以下、150分若しくはそれ以下、120分若しくはそれ以下、90分若しくはそれ以下又は50分若しくはそれ以下である。前記時間の間において、適用する真空は好ましくは0.5〜1.0mmHgであり、温度は好ましくは275〜295℃である。目標It.V.は、失活/安定化の前において好ましくは0.82〜0.92dL/gである。
【0194】
ポリマーの分子量が所望の程度まで増加したら、ポリマーを最終重縮合反応器、この場合には仕上げ機から排出して、ペレット化させる。分量のバルクポリマーが導管を通って仕上げ容器から出ていくのを容易にするために、ギアポンプを用いることができる。溶融ポリマーの切断前に、一態様においては溶融相最終反応器から出ていく前に、バルクポリマーを溶融相において、液体(溶融流、分散液、エマルジョン、均質な液体及び不均質なスラリーを含む)である第2の流れと合するのが望ましい場合がある。第2の流れは、固化前の任意の段階で、しかし好ましくはカッターと最終バルクポリマー反応器(例えば仕上げ機)への入口との間において、溶融相プロセスに取り入れることができる。第2の流れは、最終反応器内の滞留時間の最後の1/2の後であってカッターの前において取り入れることができる。
【0195】
第2液体流を取り入れる方法及び第2液体流の供給源は限定するものではない。例えば、後流(slip stream)の一部を処理し且つ更に加工することが望ましい場合がある。処理後、後流の処理部分を、仕上げタンクに循環して戻すことができる。別の例において、後流(第2液体流)は、溶融相プロセスにおいて生成されるバルクポリマーとは独立した又はそれ以外の供給源からポンプ手段によって又は押出機を通して仕上げ機中に取り入れることが望ましいであろう。
【0196】
触媒失活剤は、最終重縮合反応器から出ていく流れから取った後流中に添加し且つ最終反応器に又は最終反応器から出ていく溶融相流から後流を取った箇所若しくはそれより前の箇所に再循環して戻すことができる。更に、他の化合物、例えばUV阻害剤、着色剤、再加熱添加剤又は他の添加剤を、最終用途におけるポリマーの使用要件への適合性に応じて、後流中に添加することができる。これらの添加剤の任意の1種又は混合物を、第2液体流中に含ませることができる。
【0197】
アルミニウム/アルカリ土類金属又はアルカリ金属系によって触媒された結晶化ポリマーは、同一重合条件下でアンチモン系によって触媒された結晶化ポリマーに比較して、明度が高いか又は高いL*カラー値を有する傾向がある。更に、アルミニウム/アルカリ土類金属又はアルカリ金属系によって触媒されるポリエステルメルトへの燐化合物の遅い段階での添加は、結晶化される場合には、若干高いIt.V.を有する可能性のある燐なしの場合に比較して、更に高いL*カラー値又は高い明度を有するポリマーを生成する。例えば、結晶化ポリエステルポリマーは、少なくとも55又は少なくとも60又は少なくとも65又は少なくとも70のL*を有する。
【0198】
所望のIt.V.が得られたら、溶融相反応器中の溶融ポリエステルポリマーは溶融相生成物として排出し、固化することができる。
【0199】
溶融相生成物は、非晶質粒子のような所望の形態に加工するが、結晶化ペレットが好ましい。ポリエステルポリマー粒子の形状は限定するものではなく、スター、球体、回転楕円体、球状体、円筒形ペレット、従来型ペレット、パステル及び任意の他の形状を含む、寸法に制限のない規則的な又は不規則な離散粒子を含むことができるが、粒子はシート、フィルム、プレフォーム、ストランド又は繊維とは区別される。
【0200】
溶融相プロセスからのポリエステルポリマーの固化方法は限定するものではない。例えば溶融相プロセスからの溶融ポリエステルポリマーは、ダイを通して導き、又は単に切断し、或いはダイを通して導いた後に溶融ポリマー切断することができる。ギアポンプを、溶融ポリエステルポリマーをダイに通す原動力として使用できる。ギアポンプを用いる代わりに、溶融ポリエステルポリマーは一軸又は二軸スクリュー押出機に供給し、ダイを通して押出すことができる。この際、押出機のノズルの温度は任意的に190℃又はそれ以上である。ダイを通った後、ポリエステルポリマーをストランドに延伸し、低温流体と接触させ且つ切断してペレットにすることもできるし、或いはポリマーをダイヘッドにおいて、任意的に、水中で、ペレット化することができる。ポリエステルポリマーメルトは、任意的に、切断前に濾過して、指定サイズより大きい微粒子を除去する。ダイシング、ストランドペレット化及びストランド(強制輸送)ペレット化、パスチレーター、ウォーターリングペレタイザー、ホットカットペレタイザー(hot face pelletizer)、水中ペレタイザー及び遠心分離ペレタイザーを含む(これらに限定するものではないが)任意の従来の高温ペレット化又はダイシング方法及び装置を使用できる。
【0201】
ポリエステルポリマーは結晶化可能なものである。ポリエステルポリマーの結晶化に使用する方法及び装置は限定するものではなく、気体又は液体中における熱結晶化を含む。結晶化は、機械的撹拌容器;流動床;流体運動よって撹拌される床;非撹拌容器又はパイプ中で、ポリエステルポリマーのTgより高温の、好ましくは140〜190℃の液体媒体中で、又は当業界で知られた任意の他の手段によって行うことができる。また、ポリマーは歪み結晶化させることもできる。ポリマーは、また、そのTgより低いポリマー温度において(ガラスから)晶析器に供給することもできるし、或いはそのTgより高いポリマー温度において晶析器に供給することもできる。例えば溶融相重合反応器からの溶融ポリマーは、ダイプレートを通して供給し、水中で切断し、次いで直ちに、ポリマーペレットのバルク温度をそのTg未満に冷却することなく、熱晶析器に供給することができる。別法として、溶融ポリマーを切断し、そのTg未満まで冷却させ、次いで水中熱結晶化装置又は任意の他の適当な結晶化装置に供給することもできる。或いは、溶融ポリマーを任意の常法で切断し、そのTg未満に冷却させ、任意的に貯蔵し、次いで結晶化させることもできる。
【0202】
更に、ポリマーを着色するある種の薬剤をメルトに添加することができる。一実施態様において、得られるポリエステルポリマー溶融相生成物のb*を低下させるために、青味付けトナーをメルトに添加する。このような青味剤には、青色無機及び有機トナーがある。更に、赤色トナーも、a*カラーを調整するために使用できる。有機トナー、例えば青色及び赤色有機トナー、例えば米国特許第5,372,864号及び第5,384,377号(引用することによってそれらの全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたそれらのトナーを使用できる。有機トナーはプレミックス組成物として供給することができる。プレミックス組成物は赤色及び青色化合物のニートブレンドであることもできるし、或いはポリエステルの原料の1つ、例えばエチレングリコール中に予め溶解させるか又はスラリー化することができる。
【0203】
再加熱添加剤(再加熱添加剤は、再加熱助剤を現場形成するのとは異なり、メルトに添加される化合物と見なす)の例としては、活性炭、カーボンブラック、アンチモン金属、錫、窒化チタン、チタン、銅、銀、金、パラジウム、白金、黒色酸化鉄など、及び米国特許第6,197,851号(引用することによって本明細書中に組み入れる)に開示されたものを含む(それらに限定するものではないが)近赤外線吸収染料が挙げられる。
【0204】
窒化チタン粒子は、再加熱添加剤として、PETポリマーの重合の間の任意の点で又はその後に、例えばエステル化ゾーンに、プレポリマーゾーン及び仕上げゾーンからなる重縮合ゾーンに、ペレット化ゾーンに若しくはペレット化ゾーンの前に、これらのゾーンの間の任意の点で、添加できる。窒化チタン粒子は、また、固体状態のペレットが固相化反応器から出ている時に、固体状態のペレットに添加できる。更に、窒化チタン粒子は、射出成形機への他の供給材料と組合せてPETペレットに添加することもできるし、或いは射出成形機に別々に供給することもできる。明確にすると、粒子は溶融相で添加することもできるし、或いはポリエステル組成物の固化もペレットへの単離もすることなく、射出成形機に供給することもできる。従って、粒子は、また、プレフォームの製造プロセスの任意の点でメルト−成形プロセスにおいて添加することもできる。いずれの場合にも、添加点において、粒子は粉末ニートとして、又は液体中に入れて、又はポリマーコンセントレートとして添加でき、未使用PET又は再生PETに添加することもできるし、或いはPETポリマー担体として未使用PET又は再生PETを用いてポリマーコンセントレートとして添加することもできる。
【0205】
窒化チタン粒子は、例えば約1〜1,000nm又は1〜300nm又は1〜100nm又は5〜30nmの平均粒度を有することができ、本発明のポリマーブレンド中に、例えば約0.5〜約1,000ppm又は1〜200ppm又は1〜5ppmの量で存在できる。
【0206】
本発明のブレンドからは、当業者に知られた任意の常法で物品を形成できる。例えばブレンドは、溶融押出し且つ飲料若しくは食品容器への延伸吹込成形に適当なプレフォームのような形状にメルトを射出成形するための機械、又は射出成形用の機械、又はシートのような他の形態に単に押出するための機械に供給する。物品の適当な形成方法は周知であり、例としては、押出、押出吹込成形、溶融流延、射出成形、メルト−成形プロセス、延伸吹込成形(SBM)、熱成形などが挙げられる。
【0207】
形成できる造形品の種類の例としては、シート;フィルム;プレフォーム、ボトル、ジャー及びトレイのような包装及び容器;ロッド;チューブ;蓋;並びにフィラメント及び繊維が挙げられる。水又は炭酸飲料を収容するのに適当なポリエチレンテレフタレートから製造された飲料ボトル及びボトル中に熱感充填される飲料を収容するのに適当なヒートセット飲料ボトルは、本発明の独創的なブレンドから製造されるボトルの型の例である。トレイの例はデュアルオーブナブル(電子レンジ/オーブン両用)であるもの及び他のCPETトレイである。
【0208】
物品の適当な製造方法は本発明のブレンド又は本発明のブレンドの成分を溶融加工ゾーンに導入し;粒子を溶融させて溶融ポリエステルポリマー組成物を形成し;そして溶融ポリマー組成物からシート、ストランド、繊維又は成形品を含む物品を形成することを含む。
【0209】
本発明を、その実施態様の更なる例によって更に詳しく説明することができるが、これらの例は説明のためにのみ記載するのであって、本発明の範囲を限定するものではないことがわかるであろう。
【実施例】
【0210】
例1
この例においては、下記のPETポリマーを用いて4種のポリマーブレンドを製造した(ポリマーブレンド1〜4)。ポリマーブレンド3と4は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを添加したので、異なっていたことに留意されたい。示した金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表1Aに示す。
【0211】
PET−1は、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基を含むPETコポリマーであり、シクロヘキサンジメタノール残基は、約1.7モル%のジオール残基に相当した。ポリマーは、全て触媒として供給された約210〜240ppmのアンチモン、約85〜95ppmの燐、約50〜60ppmのマンガン及び約15〜25ppmのチタンを含み、更に鉄含有再加熱添加剤、UV染料並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−1は、最初にジカルボン酸エステル及びジオールをマンガン、アンチモン及びチタン触媒の存在下でエステル交換することによって製造した。エステル交換後、燐及び他の添加剤を反応混合物に取り入れ、反応混合物を約0.625dL/gの極限粘度数まで重縮合させた。次いで、溶融PETを固化させ、ペレット化し、次にPETペレットを約0.78〜約0.82dl/gの極限粘度数まで固相重合させた。
【0212】
PET−2はテレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基を含むPETコポリマーであり、シクロヘキサンジメタノール残基は約1.8モル%のジオール残基に相当した。ポリマーは、全て触媒として供給された約215〜245ppmのアンチモン、約45〜55ppmの燐及び約60〜70ppmの亜鉛を含み、更に鉄含有再加熱添加剤、UV染料並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−2は、最初にジカルボン酸エステル及びジオールを亜鉛及びアンチモン触媒の存在下でエステル交換することによって、製造した。エステル交換後、燐及び他の添加剤を反応混合物に取り入れ、反応混合物を約0.625dL/gの極限粘度数まで重縮合させた。次いで、溶融PETを固化させ、ペレット化し、次に約0.76〜約0.80dl/gの極限粘度数まで固相重合させた。
【0213】
PET−3は、テレフタル酸、エチレングリコール及びイソフタル酸の残基を含むPETコポリマーであり、イソフタル酸残基は、約2.9モル%のジカルボン酸残基に相当した。ポリマーは、触媒系として供給された約11〜17ppmのAl、約7〜12ppmのLi及び約45〜55ppmの燐を含み、更に再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−3は、ジカルボン酸及びジオール残基をアルミニウム及びリチウム触媒、再加熱添加剤及びトナーの存在下で、約0.75dL/gの極限粘度数まで溶融重合させることによって製造し、その後に燐を添加し、次いで溶融PETを固化させ且つペレット化させた。
【0214】
PETポリマーは、また、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在する或いは例えば最終ポリマー中に存在するDEGの量を制御するために改質剤として、意図的に添加した、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含んでいた。
【0215】
この説明全体にわたって記載した極限粘度数(It.V.)の値は、60/40wt/wtフェノール/テトラクロロエタン中で25℃において、測定したインヘレント粘度(Ih.V.)から計算されたものをdL/g単位で示してある。インヘレント粘度は測定された溶液粘度から計算する。以下の式は、このような溶液粘度測定値とその後の、Ih.V.までの計算及びIh.V.からIt.V.までの計算を記載している:
ηinh=[ln(ts/t0)]/C
[式中、ηinh=フェノール60%及び1,1,2,2−テトラクロロエタン40%の溶媒100mL当たり0.50gのポリマー濃度での25℃におけるインヘレント粘度
ln=自然対数
ts=毛細管を通るサンプルの流下時間
t0=毛細管を通る溶媒ブランクの流下時間
C=溶媒100mL当たりのポリマー(g)の濃度(0.50%)]。
【0216】
極限粘度数(intrinsic viscosity)は、ポリマーの比粘度(specific viscosity)の無限稀釈における極限値である。これは以下の式によって定義される:
ηint=limC→0(ηsp/C)=limC→0ln(ηr/C)
[式中、ηint=極限粘度数
ηr=相対粘度(relative viscosity)=ts/t0
ηsp=比粘度=ηr−1]。
【0217】
計測器の較正は、標準対照材料を三重反復試験し、次いで適当な数式を適用して「許容」I.V.値を得ることを含む。
【0218】
較正係数=対照材料の許容Ih.V./三重反復測定値の平均
補正IhV=算出IhV×較正係数
極限粘度数(It.V.又はηint)は、Billmeyer式を用いて以下のように概算できる:
ηint=0.5[e0.5×補正Ih.V.−1]+(0.75×補正Ih.V.)。
【0219】
使用したコバルトコンセントレートは、1.8重量%のネオデカン酸コバルト(OMG Americas,Westlake,Ohioによって「22.5% TEN−CEMコバルト」として販売されている)を98.2重量%のポリエチレンテレフタレートポリマー(Eastman Chemical Compayから「PJ003」として販売されている)と溶融ブレンドすることによって製造した固体コンセントレートである。X線分析は、コバルトコンセントレートがコバルト金属を4200ppm含むことを確認した。
【0220】
使用したポリアミドは、Mitsubishi GasからMDX−6(登録商標)、銘柄6007として市販されているポリ(m−キシリレンアジパミド)であった。
【0221】
ポリマーブレンド1(比較)
ポリアーブレンド1は、3mmのスクリーンを通るようにPET−1(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を別個に粉砕することによって製造した。PET−1は、デシカントドライヤー中で150℃において15時間乾燥させ、MXD−6(登録商標)及びコバルトコンセントレートは60℃において3日間真空オーブン中で窒素パージしながら乾燥させた。表1B中に示した各材料及び量の固体ペレットを合し、乾燥混合し、BOY 22D成形機(Boy Machines Inc.;Exton,PA)の供給ホッパーに導入し、一個取り25.7gプレフォーム金型を用いてプレフォームに成形した。加工条件を表1Cに示す。
【0222】
ポリマーブレンド1から成形したプレフォームを、特注の再加熱延伸吹込成形機を用いて500ml丸底ボトルに二軸延伸吹込成形した。良好な明澄度(即ち、プレフォームの延伸温度がそれぞれ過度に高い又は低いことによるヘイズ及びパールがない)を、側壁厚さによって測定される同様な物質分布と共に示すように、ボトル吹込成形条件を調整した。
【0223】
ポリマーブレンド2(比較)
ポリマーブレンド2は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、PET−2(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した(表1B)。ポリマーブレンド2は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0224】
ポリマーブレンド3(本発明)
ポリマーブレンド3は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、PET−3(974g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(11.25g)を用いて製造した(表1B)。ポリマーブレンド3は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0225】
ポリマーブレンド4(本発明)
ポリマーブレンド4は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、PET−3(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した(表1B)。ポリマーブレンド3は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0226】
ポリマーブレンド1〜4が酸素を捕捉する能力を、2つの異なる試験プロトコール(1)OxySense Test及び(2)各ポリマーブレンドから吹込成形した密閉ボトルの時間の関数としての酸素透過速度(即ち、ボトルを吹込成形してからの日数に対するOTR)の測定を用いて評価した。OxySense Testは、サンプルの酸素捕捉特性の迅速な定性的評価を得るために、典型的なボトル貯蔵温度よりもはるかに高い75℃の温度において実施するスクリーニング試験として用いた。しかし、OxySense Testは、低い信号対雑音比を示し、非常に異なる酸素捕捉特性を有するサンプルを比較する場合には、酸素捕捉能力の概算として用いる。他方、OTRは、それより著しく高い信号対雑音比を有するので、少なくとも60日間の長期間にわたる酸素捕捉性能を評価するのによりよい試験である。更に、OTR試験は延伸吹込成形ボトル(即ち、完成品)について行うのに対し、OxySense試験は粉砕サンプルを評価する。
【0227】
酸素透過速度(OTR)試験
酸素透過速度(OTR)試験はポリマーブレンド1〜4のそれぞれから製造した3個の延伸吹込成形ボトルを用いて行った。3個一組のボトルを、周囲条件(即ち、約22℃及び周囲湿度)下で、吹込成形後約1週間、蓋をせずに状態調整し、次いで取り付け、パージし、以下の方法を用いてOTRについて試験した。
【0228】
ボトルは延伸吹込成形の約1週間後には酸素透過速度試験に適していた。測定の前に、各ボトルはボトルの入口上で四方弁に接続された真鍮プレートに接着することによって密閉した。この取り付け方法は、試験ガスの出入りの制御を可能にしながら、ボトルを密閉する。取付物は以下のようにして組み立てた。最初に、1枚の真鍮プレートを、それにドリルで2つの1/8インチの孔を開けることによって用意する。2本の1/8軟質銅管(A及びBとする)をプレート中の孔に通し、孔と管との間隙をエポキシ接着剤で又は溶接によってふさぐ。これらの管のそれぞれの一端を、四方ボール弁(例えばWhiteyモデルB−43YF2)上の適切なポートに結合させる。管(C及びDとする)及び接続部もそのボール弁の他のポートに結合させて、完成アセンブリを酸素透過速度試験計器(OTR計器については以下に記載)に接続させた。
【0229】
次に、この取付物を、管A及びBがボトル内部に伸びるように、試験するボトルの口に接着した。1つの管の開口端は包装容器の上部近くに位置付け、他の管の開口端を底部近くに位置付けて、ボトル内における試験ガスの良好な循環を確実なものとした。プレートへのボトルの接着は典型的には2工程で、最初のシールを行い且つ一時的にアセンブリを団結させるために速硬性エポキシ樹脂を用いて行い、次により頑丈なMetalsetエポキシ樹脂の第2のコーティングを適用した。任意的に、真鍮プレートは、表面を清浄にして接着性を改善するために、取り付け前に磨いた。4つの管を四方弁に正しく接続すると、弁が「バイパス」位にある場合には、管AとBが連通し且つ管CとDが連通したが、管A及びBは管C及びDとは連通しなかった。従って、包装容器は密閉された。同様に、弁が「インサート」位にある場合には、管AとDが連通し且つ管BとCが連通したが、管A及びDはボトル内部を通る以外は、管B及びCと連通しなかった。従って、ボトルはパージ又は試験ガスによってスイープできた。
【0230】
ボトルをアセンブリに取り付けたら、酸素を含まないガスでスイープし、状態調整期間が始まった。数分間のパージ後、四方弁をバイパス位に動かして、ボトルを密閉した。その時点で、ボトルと取付物のアセンブリ全体は、ボトル内部に酸素を導入することなく、パージガス供給源から切り離すことができた。各ポリマーブレンド1〜4の3個のボトルを試験のために取り付けた。
【0231】
ボトルの酸素透過速度を試験しようとする場合には、取付物は管C及びDを介して酸素透過速度計器に接続した。例中に記載したサンプルについての測定を行うために、特注の計器を用いた。バブラーを用いて加湿した窒素を、環境室において計器及び管に供給した。特注の計器は、酸素センサーとしてDelta−F DF−310プロセスOxygenアナライザーを、パージ流中の酸素ppm及びパージ流の流速を測定するためにAalborg Mass流量計GFM17を用い、酸素ppm及びパージ流の流速から、包装容器を通る酸素透過速度を計算した。特注の計器は、最大24個のボトルを一度に計器に接続する位置を有する。このユニットを、通常運転下で外的条件を23℃±0.5℃及び相対湿度50%±10%に制御する環境室内に置いた。ボトルサンプルを取り付けたら、四方弁をインサート位に回し、システムを、このプロセスによって引き起こされる摂動から回復させた。
【0232】
システムを回復させた後、次に、インラインの計器センサーを「インサート」することによって試験を開始した。試験シーケンスは、この計器のために特別に書かれたLabViewTMソフトウェアインターフェースによって制御された。それによって、試験セル上に取り付けられたボトルからの試験ガスがセンサーを経由する際の各セルの変化後に計器を安定させるプリセット間隔を用いて、計器が試験セルを通って自動的に進む。キャリヤーガスへの酸素透過速度を、測定されたガス中の酸素ppm及び測定されたキャリヤーガスの流速から計算した。典型的には、計器はセルのそれぞれを通して3回又はそれ以上表示し、最後の3つの測定値の平均を用いた。これらの読み取り値が得られたら、四方弁をバイパス位に動かし、これらのプロセスを繰り返して、セル及びアセンブリの漏出速度の指標として提供する。包装容器、セル及びアセンブリに関して得られた値からこの値を差し引いて包装容器についての値が得られ、これをボトルの酸素透過速度(OTR)(酸素cc(STP)又はμl(STP)/日)として報告した。この時点で、試験を終了させ、ボトルを計器から取り外した(四方弁は依然としてバイパス位にある)。
【0233】
試験間において、ボトルは実験室(22℃±4℃)中で周囲(RH,照明,大気圧)条件において、内部を空気から分離して、貯蔵した。一定時間後に、ボトルを酸素透過速度試験計器に再接続し、新しい1組の透過測定値を収集した。
【0234】
このようにして、ボトルのOTR挙動を数週間又は数ヶ月にわたって監視することが可能であった。
OxySense Test
ポリマーブレンド1〜4の酸素捕捉性能もまた、OxySense計器(OxySense Inc.1311 North Central Expressway,Suite 440 Dallas,Texas 75243,USA)によって得られた酸素摂取量測定値を用いて評価した。計器の操作の一般的原理は、“An Exciting New Non-Invasive Technology for Measuring Oxygen in Sealed Packages the OxySense TM 101” D.Saini and M Desautelin,the Proceedings of Worldpak 2002(CRC Press(Boca Raton,FL)により出版)(2002)に記載されている。例を評価するのに使用した方法は以下の通りである。
【0235】
OxySense Inc.によって供給される酸素感受性「OxyDots」をシリコン接着剤を用いて、Wheatonの予め切れ目を付けられた20mlガラスアンプル(Wheaton #176782)の内部に接着した。ポリマーブレンド1〜4の約1gのサンプルを粉砕し、20mlアンプル中に入れた。次いで、アンプルのステムを、標準的なガラス吹込み技術を用いてシールした。アンプル中にシールされたOxyDotの応答を監視するためのプローブをOxySense計器上に用いて、アンプル内の気相中の酸素含量を測定した。計器は、この読み取り値を、OxyDotと接触する酸素レベルに変換した。次いで、シールしたアンプルをオーブン中で75℃において貯蔵し、ヘッドスペース中の酸素レベルを定期的に監視した。OxySenseの結果はO2ミリバールとして報告してある。
【0236】
ポリマーブレンド1〜4についてデータを生成すると共に、2つの対照:OxySenseアンプルにBurdick and Jackson水約25g(及び存在する酸素を消費し且つ細菌増殖を防ぐための亜硫酸ナトリウム約0.8g)が装填された0%酸素対照と、OxySenseアンプルにB & J水5gを装填することによって作成した21%酸素対照も監視した。
【0237】
これらの較正対照をシールし、0%及び21%対照を得るために較正した。全アンプルを、初日、75℃のオーブンに入れる「ゼロ」日前に、OxySenseによって測定した。サンプルを試験する日には、サンプルをオーブンから取り出し、室温まで冷まし、次いでオーブンから取り出した3時間後に試験した。
【0238】
4種のポリマーブレンド1〜4のそれぞれを用いて製造した3個の延伸吹込成形ボトルを、吹込成形後約60日間、OTRについて定期的に試験した(表1D)。ボトル3個一組の各セットについてのOTRの結果をそれぞれ、図1A〜1Dにおいてプロットする。単一のボトルに対応する各データセットには、OTRデータ上に非直線状の曲線が載せられている。試験期間全体にわたって全ての「吹込成形からの日数」(即ち、x座標)についてOTR(即ち、y座標)の補間を可能にする非直線状の曲線のx座標及びy座標を表1E〜1Hに報告してある。例えば表1Eからは、非直線状曲線の20日のy座標は、ポリマーブレンド2の3つのそれぞれの数値について32.76μL/g、34.12μL/g及び33.96μL/gのOTRを示す。20日における3個のボトルの補間OTR値を数学的に平均することによって、20日のポリマーブレンド2に関する平均OTRが33.62μL/gと算出される。全試験期間にわたって吹込成形からの全ての日数(即ち全x座標)について3個のボトルのOTRを数学的に平均することによって、ポリマーブレンド1〜4のそれぞれについて平均OTR曲線を算出できる(表1E〜1H及び1I並びに図1E)。
【0239】
酸素の捕捉もまた、前述の4種のポリマーブレンド1〜4のそれぞれ5つのプレフォームを粉砕することによって調製したサンプルを用いてOxySense Testによって評価した。反復したOxySense Testの結果を、各ブレンドについて表1Jに報告してある。
【0240】
PET−3(溶融相のみの重合によって製造された、アルミニウム及びリチウムで触媒されたPETポリマー)を用いて調製した本発明のポリマーブレンド3及び4の酸素透過速度は、比較のポリマーブレンド1及び2よりも短い誘導期間を示した(表1K及び図1E)。本発明のポリマーブレンド3及び4を用いて製造したボトルは、それぞれ22日及び25日で5μL/日のOTRに達するが、比較のポリマーブレンド1及び2は、同じ5μL/日に達するのにそれぞれ60日超及び34日を必要とする(表1K及び図1E)。
【0241】
【表1】
【0242】
【表2】
【0243】
【表3】
【0244】
【表4】
【0245】
【表5】
【0246】
【表6】
【0247】
【表7】
【0248】
【表8】
【0249】
【表9】
【0250】
【表10】
【0251】
【表11】
【0252】
例2
以下は、ポリマーブレンド5〜8のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。ポリマーブレンド7と8は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを同一PET−4ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー5〜8中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表2Aに示す。
【0253】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0254】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0255】
PET−4は、テレフタル酸、エチレングリコール及びイソフタル酸の残基を含むPETコポリマーであり(イソフタル酸残基は約2.9モル%のジカルボン酸残基に相当する);触媒系として供給された約8〜14ppmのAl、約6〜10ppmのLi及び約52〜63ppmの燐を含み;更に再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−4は、ジカルボン酸及びジオール残基をアルミニウム及びリチウム触媒、再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーの存在下で、約0.75dL/gの極限粘度数まで溶融重合させることによって製造した。次いで、溶融PETを固化させ且つペレット化した。
【0256】
各PETポリマーのグリコール部分は、また、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在するか又は例えば均一なDEG含量を保持するために改質剤として意図的に添加された、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含む。
【0257】
コバルトコンセントレートは例1において前述したのと同じであった。
【0258】
使用したポリアミドは、実験1において前述したものである。
【0259】
ポリマーブレンド5(比較)
ポリマーブレンド5は、全て実験1において前述したようにして、表2Bに示した量でPET−1(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド5は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0260】
ポリマーブレンド6(比較)
ポリマーブレンド6は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、表2Bに示した量でPET−2(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド2は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0261】
ポリマーブレンド7(本発明)
ポリマーブレンド7は、ポリマーブレンド1及び表2Bにおいて前述したようにして、PET−4(974g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(11.25g)を用いて製造した。ポリマーブレンド7は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0262】
ポリマーブレンド8(本発明)
ポリマーブレンド8は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、表2Bに示した量でPET−4(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド8は、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0263】
ポリマーブレンド5〜8が酸素を捕捉する能力を、OxySense Test及びOTR Testを用いて評価した。
【0264】
4種のポリマーブレンド5〜8のそれぞれを用いて製造した3個の延伸吹込成形ボトルを、吹込成形後約40日間、OTRについて定期的に試験した(表2C)。ポリマーブレンド5〜8のボトル3個一組の各セットについてのOTRの結果をそれぞれ、図2A〜2Dにおいてプロットする。単一のボトルに対応する各データセットには、OTRデータ上に非直線状の曲線が載せられている。試験期間全体にわたって全ての「吹込成形からの日数」(即ち、x座標)についてOTR(即ち、y座標)の補間を可能にする非直線状の曲線のx座標及びy座標を表2D〜2Gに報告してある。例1に記載したようにして、全試験期間にわたって吹込成形からの全ての日数(即ち全x座標)について3個のボトルのOTRを数学的に平均し、ポリマーブレンド5〜8のそれぞれについて平均OTR曲線を算出した(表2D〜2G及び2H並びに図2E)。
【0265】
ポリマーブレンド5〜8の酸素の捕捉もまた、既述のOxySense Testによって評価した。反復したOxySense Testの結果を、各ブレンドについて表2Iに報告してある。
【0266】
PET−4(溶融相のみの重合によって製造された、アルミニウム及びリチウムで触媒されたPETポリマー)を用いて製造した本発明のポリマーブレンド7及び8は、比較ポリマーブレンド5及び6よりも短い誘導期間を示した(表2J及び図2E参照)。本発明のポリマーブレンド7及び8を用いて製造したボトルは、6日未満で5μL/日のOTRに達したが、比較ポリマーブレンド5及び6は、同じ5μL/日に達するのにそれぞれ60日超及び38日を必要とした(表2J及び図2E)。
【0267】
【表12】
【0268】
【表13】
【0269】
【表14】
【0270】
【表15】
【0271】
【表16】
【0272】
【表17】
【0273】
【表18】
【0274】
【表19】
【0275】
【表20】
【0276】
【表21】
【0277】
例3
以下は、ポリマーブレンド9〜16のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。比較ポリマーブレンド9と16並びに比較ポリマーブレンド10と15は、コバルトを取り入れるのに用いたキャリヤー樹脂が異なる(表3A)。また、ポリマーブレンド12と13は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを同一PET−5ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー9〜16中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表3Aに示す。
【0278】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0279】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0280】
PET−3は、例1において前述したのと同じである。
【0281】
PET−4は、例2において前述したのと同じである。
【0282】
コバルトコンセントレートは、例1において前述したのと同じである。
【0283】
「代替」コバルトコンセントレートは、2.22重量%のネオデカン酸コバルト(OMG Americas(Westlake、Ohio)によって「22.5% TEN−CEMコバルト」として販売されている)を97.78重量%のポリエチレンテレフタレートポリマー(Eastman Chemical Companyによって「PET 9921」として販売されている)とを溶融ブレンドすることによって製造された固体コンセントレートである。X線分析は、このコバルトコンセントレートがコバルト金属を5100ppm含むことを確認した。
【0284】
使用したポリアミドは、実験1において前述したものである。
【0285】
ポリマーブレンド9(比較)
比較ポリマーブレンド9は、PET−1(96.25g)及びMXD−6(1.5g)を、3mmのスクリーンを通るように別々に粉砕し、コバルトコンセントレート(2.25g)を極低温で粉末化し(表3B)、次いで前記3つの成分を合して、真空オーブン中で窒素パージしながら60℃において3日間乾燥させることによって、製造した。乾燥混合したブレンドを、DACA MicroCompounder(DACA Instruments,Goleta,CA)の供給ホッパー中に導入し、メルトをストランドに押出し、ペレット化した。二軸スクリューDACA MicroCompounderに関する加工条件を表3Cに示す。
【0286】
ポリマーブレンド10(比較)
比較ポリマーブレンド10は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−2(96.25g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0287】
ポリマーブレンド11(本発明)
ポリマーブレンド11は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−4(96.25g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0288】
ポリマーブレンド12(本発明)
ポリマーブレンド12は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−4(97.38g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(1.125g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0289】
ポリマーブレンド13(本発明)
ポリマーブレンド13は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−3(96.25g)、MXD−6(1.5g)及びコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0290】
ポリマーブレンド14(本発明)
ポリマーブレンド14は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−4(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びに代替コバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0291】
ポリマーブレンド15(比較)
ポリマーブレンド15は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−2(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びに代替コバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0292】
ポリマーブレンド16(比較)
ポリマーブレンド16は、ポリマーブレンド9に関して記載したようにして、PET−1(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びに代替コバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表3B)。
【0293】
ポリマーブレンド9〜16の酸素捕捉効果を、既述のOxySense Testによって得られた酸素吸収摂取量測定値を用いて評価した。ポリマーブレンド9〜16のそれぞれの、DACA MicroCompounderによって押出されたペレット1gを粉末化し、例1に記載したようにしてガラスアンプル中に導入した。反復OxySense Testの結果を各ブレンドに関して表3Dに報告してある。
【0294】
PET−4、PET−3及びPET−4(いずれも、溶融相のみの重合によってアルミニウム及びリチウム触媒を用いて製造された)をそれぞれ用いて製造された本発明のポリマーブレンド11、13及び14に関する、OxySense Testによって測定された酸素捕捉は、本発明のブレンドが酸素捕捉効果を示すことを示唆している。これらの酸素捕捉効果は、定性的であるが、同様にPET−3及びPET−4をそれぞれ用いて製造された例2の本発明のポリマーブレンド7及び8の定量的OTRの結果と一致している。しかし、本発明のポリマーブレンド11と12とを比較すると、コバルト84.6ppmのより高いコバルト配合量を有するポリマーブレンド11が4日以内に酸素摂取を示す(図3A)のに対して、44.1ppmの低いコバルト配合量を有するポリマーブレンド12による酸素摂取量は低いことによって示されるように、酸素捕捉効果がコバルト配合量に左右されることが示唆される(図3A)。更に、本発明のポリマーブレンド11(コバルトコンセントレートを用いて製造)とポリマーブレンド14(代替コバルトコンセントレートを用いて製造)に関する酸素捕捉摂取量の比較は、本発明のポリマーブレンドの酸素捕捉効果はコバルトを取り入れるのに使用されたキャリヤー樹脂には左右されない可能性があることを示唆している。
【0295】
【表22】
【0296】
【表23】
【0297】
【表24】
【0298】
【表25】
【0299】
例4
以下は、ポリマーブレンド17〜20のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。ポリマーブレンド19と20は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルトを同一PET−4ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー17〜20中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表4Aに示す。
【0300】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0301】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0302】
PET−5は、テレフタル酸、エチレングリコール及びイソフタル酸の残基を有するPETコポリマーであり、イソフタル酸残基は、約2.9モル%のジカルボン酸残基に相当した。ポリマーは更に、全て触媒系として供給された約10〜15ppmのAl、約7〜10ppmのLi及び約45〜55ppmの燐を含み;更に再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーを含んでいた。PET−5は、ジカルボン酸及びジオール残基をアルミニウム及びリチウム触媒、再加熱添加剤並びに赤色及び青色トナーの存在下で、約0.82dL/gの極限粘度数まで溶融重合させることによって製造した。次いで、溶融PETを固化させ、ペレット化した。
【0303】
各PETポリマーのグリコール部分は、また、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在するか又は例えば一貫したDEG残基の含量を保持するために改質剤として意図的に添加された、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含んでいた。
【0304】
コバルトコンセントレートは例1において前述したのと同じである。
【0305】
使用したポリアミドは、例1において前述したものである。
【0306】
ポリマーブレンド17(比較)
ポリマーブレンド17は、例1に前述したようにして、表4Bに示した量で、PET−1(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド17を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0307】
ポリマーブレンド18(比較)
ポリマーブレンドは、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、表4Bに示した量で、PET−2(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド18を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0308】
ポリマーブレンド19(本発明)
ポリマーブレンド17は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、表4Bに示した量で、PET−5(974g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(11.25g)を用いて製造した。ポリマーブレンド19を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0309】
ポリマーブレンド20(本発明)
ポリマーブレンド20は、ポリマーブレンド1に関して前述したようにして、表4Bに示した量で、PET−4(963g)、MXD−6(登録商標)(15g)及びコバルトコンセントレート(22.5g)を用いて製造した。ポリマーブレンド19を、ポリマーブレンド1に関して記載したようにして、プレフォームに射出成形し、ボトルに吹込成形した。
【0310】
ポリマーブレンド17〜20が酸素を捕捉する能力を、OxySense Test及びOTR Testを用いて評価した。
【0311】
4種のポリマーブレンド17〜20のそれぞれを用いて製造した3個の延伸吹込成形ボトルを、吹込成形後約33日間、OTRについて定期的に試験した(表4C)。ポリマーブレンド17〜20に関するボトル3個一組の各セットについてのOTRをそれぞれ、図4A〜4Dにおいてプロットし、単一のボトルに対応する各データセットに、OTRデータ上に非直線状の曲線を載せる。試験期間全体にわたる全ての「吹込成形からの日数」(即ち、x座標)についてOTR(即ち、y座標)の補間を可能にする非直線状の曲線のx座標及びy座標を表4D〜4Gに報告してある。例1に記載したようにして、全試験期間にわたって全ての吹込成形からの日数(即ち全x座標)について3個のボトルのOTRを数学的に平均化し、ポリマーブレンド17〜20のそれぞれについて平均OTR曲線を算出した(表4D〜4G及び4H並びに図4E)。
【0312】
酸素の捕捉もまた、例1に記載したようにして、ポリマーブレンド17〜20のOxySense Testによって評価した。反復したOxySense Testの結果を、各ブレンドについて表4Iに報告してある。
【0313】
PET−5(溶融相のみの重合によって製造された、アルミニウム及びリチウムで触媒されたPETポリマー)を用いて製造した本発明のポリマーブレンド19及び20は、比較ポリマーブレンド17及び18よりも短い誘導期間を示した(表4J及び図4E参照)。本発明のポリマーブレンド19及び20を用いて製造したボトルは、それぞれ16日及び12日で5μL/日のOTRに達するが、比較ポリマーブレンド17及び18は、同じ5μL/日に達するのにそれぞれ60日超及び49日を必要とした(表4J及び図4E)。
【0314】
【表26】
【0315】
【表27】
【0316】
【表28】
【0317】
【表29】
【0318】
【表30】
【0319】
【表31】
【0320】
【表32】
【0321】
【表33】
【0322】
【表34】
【0323】
例5
以下は、ポリマーブレンド21〜24のそれぞれを製造するために用いたPETポリマーの説明である。ポリマーブレンド23と24は、同一PETポリマーを用いたが異なる量のコバルト金属を同一PET−5ポリマーに添加したので、異なる。ポリマー21〜24中の金属量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって測定した。それを表5Aに示す。
【0324】
PET−1は、例1において前述したのと同じである。
【0325】
PET−2は、例1において前述したのと同じである。
【0326】
PET−5は、例4において前述したのと同じである。
【0327】
各PETポリマーのグリコール部分はまた、溶融重合プロセスから派生した当然の副生成物として存在するか又は例えば一貫したDEG残基含量を保持するために改質剤として意図的に添加された、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含んでいた。
【0328】
コバルトコンセントレートは、例1において前述したのと同じである。
【0329】
使用したポリアミドは例1において前述したものである。
【0330】
ポリマーブレンド21(比較)
ポリマーブレンド21は、PET−1(96.25g)及びMXD−6(1.5g)を、3mmのスクリーンを通るように別々に粉砕し、コバルトコンセントレート(2.25g)を極低温で粉末化し、(表5B)、次いで前記3つの成分を合して、真空オーブン中で窒素パージしながら60℃において3日間乾燥させることによって、製造した。乾燥混合したブレンドを、DACA MicroCompounder(DACA Instruments,Goleta,CA)の供給ホッパー中に導入し、メルトをストランドに押出し、ペレット化した。二軸スクリューDACA MicroCompounderに関する加工条件は実験3に記載した通りである。
【0331】
ポリマーブレンド22(比較)
ポリマーブレンド22は、ポリマーブレンド21において記載したようにして、PET−2(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びにコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表5B)。
【0332】
ポリマーブレンド23(本発明)
ポリマーブレンド23は、ポリマーブレンド21において記載したようにして、PET−5(97.375g)及びMXD−6(1.5g)並びにコバルトコンセントレート(1.125g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表5B)。
【0333】
ポリマーブレンド24(本発明)
ポリマーブレンド24は、ポリマーブレンド21において記載したようにして、PET−5(96.25g)及びMXD−6(1.5g)並びにコバルトコンセントレート(2.25g)を用いて製造し、ペレットに押出した(表5B)。
【0334】
ポリマーブレンド21〜24の酸素捕捉効果を、例1において記載したようにしてOxySense Testを用いて評価した。4種のポリマーブレンド21〜24のそれぞれの、DACA Microcompounderによって押出されたペレット1gを粉末化し、ガラスアンプル中に導入した。反復OxySense Testの結果を各ブレンドに関して表5Cに報告してある。
【0335】
本発明のポリマーブレンド23及び24は、PET−3(溶融相のみの重合によってアルミニウム及びリチウム触媒を用いて製造されたPETポリマー)を用いて製造したものであり、OxySense Testの結果は、本発明のブレンドが酸素を捕捉することを示唆している。表5C及び図5A参照。これは、同じ組成を有する例4のポリマーブレンド19及び20からのOTRの結果と一致している。
【0336】
【表35】
【0337】
【表36】
【0338】
【表37】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき少なくとも50モル%の1種又はそれ以上のベンジル水素を含むアミンモノマーを含む1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー;
1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ、約3〜約60ppmの量のアルミニウム原子及び約1〜約25ppmの量の1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含む触媒系を用いて溶融相重合によって得られた1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー;並びに
ポリマーブレンドの総重量に基づき、金属約10〜約1,000ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属原子
を含んでなる、酸素捕捉効果を有するポリマーブレンド。
【請求項2】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約0.20〜約10重量%の量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、本発明のポリマーブレンドの総重量に基づき、1〜3重量%の量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの縮合結合の総数に基づき、少なくとも80%のアミド結合を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの縮合結合の総数に基づき、少なくとも95%のアミド結合を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも60モル%のベンジル水素基を含むアミン残基を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも50モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項8】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも95モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項9】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するポリアミド組成物中の酸/アミン単位の総モルに基づき、少なくとも85モル%の量でm−キシリレンアジパミドの反復単位を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項10】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するポリアミド組成物中の酸/アミン単位の総モルに基づき、少なくとも96モル%の量でm−キシリレンアジパミドの反復単位を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項11】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、m−キシリレンアジパミドホモポリマーを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項12】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、ポリアミドがコンセントレートの総重量に基づき、約1〜約40重量%の量で存在するポリアミドコンセントレートとして供給される請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項13】
前記の1種又はそれ以上の遷移金属原子が、ポリマーブレンドの重量に対するコバルトの重量で、50〜250ppmの量のコバルトを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項14】
前記アルミニウム原子が、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中に、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、5〜25ppmの量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項15】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、その重量に基づき、7〜15ppmの範囲の量で存在するリチウム原子を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項16】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、その重量に基づき、10〜115ppmの範囲の量の燐原子を更に含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項17】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、アルミニウム、アルカリ土類金属及びアルカリ金属の総モルに対する燐のモル比が0.5〜1.5となるように、燐原子を更に含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項18】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、溶融相重合によって得られた、少なくとも0.70dL/gの極限粘度数を有する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項19】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、
(a)100モル%を構成するジカルボン酸残基の総量に基づき、少なくとも92モル%のテレフタル酸残基;及び
(b)100モル%を構成するジオール残基の総量に基づき、少なくとも92モル%のエチレングリコール残基
を含み;前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中のアルミニウム原子の量が、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、5〜25ppmであり、且つ燐原子が前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中に10〜70ppmの量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項20】
100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも50モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー;
1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ5〜25ppmの量のアルミニウム原子及び5〜18ppmの量のリチウム原子を含む触媒系を用いた溶融相重合によって得られた、少なくとも0.65dL/gの極限粘度数を有する1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー;並びに
ポリマーブレンドの総重量に基づき、25〜約500ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属原子
を含んでなる、酸素捕捉効果を有するポリマーブレンド。
【請求項21】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、
(i)100モル%を構成する前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中のジカルボン酸残基の総量に基づき、少なくとも90モル%のテレフタル酸残基;
(ii)100モル%を構成する前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中のジオール残基の総量に基づき、少なくとも90モル%のエチレングリコール残基;
(iii)前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、5〜60ppmの量のアルミニウム原子;
(iv)アルミニウム原子に対するリチウム原子のモル比が0.1〜75となるような量のリチウム原子;及び
(v)アルミニウム原子とリチウム原子の総モルに対する燐原子のモル比が0.1〜3となるような量の燐原子
を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項22】
ボトルプレフォームの形態の、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項23】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが40ppm以下のアンチモンを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項24】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが20ppm以下のアンチモンを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項25】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中にアンチモンが存在しない請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項1】
100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき少なくとも50モル%の1種又はそれ以上のベンジル水素を含むアミンモノマーを含む1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー;
1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ、約3〜約60ppmの量のアルミニウム原子及び約1〜約25ppmの量の1種又はそれ以上のアルカリ土類金属原子、アルカリ金属原子又はアルカリ化合物残基を含む触媒系を用いて溶融相重合によって得られた1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー;並びに
ポリマーブレンドの総重量に基づき、金属約10〜約1,000ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属原子
を含んでなる、酸素捕捉効果を有するポリマーブレンド。
【請求項2】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約0.20〜約10重量%の量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、本発明のポリマーブレンドの総重量に基づき、1〜3重量%の量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの縮合結合の総数に基づき、少なくとも80%のアミド結合を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100%を構成する1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーの縮合結合の総数に基づき、少なくとも95%のアミド結合を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも60モル%のベンジル水素基を含むアミン残基を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも50モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項8】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも95モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項9】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するポリアミド組成物中の酸/アミン単位の総モルに基づき、少なくとも85モル%の量でm−キシリレンアジパミドの反復単位を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項10】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、100モル%を構成するポリアミド組成物中の酸/アミン単位の総モルに基づき、少なくとも96モル%の量でm−キシリレンアジパミドの反復単位を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項11】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、m−キシリレンアジパミドホモポリマーを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項12】
前記の1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマーが、ポリアミドがコンセントレートの総重量に基づき、約1〜約40重量%の量で存在するポリアミドコンセントレートとして供給される請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項13】
前記の1種又はそれ以上の遷移金属原子が、ポリマーブレンドの重量に対するコバルトの重量で、50〜250ppmの量のコバルトを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項14】
前記アルミニウム原子が、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中に、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、5〜25ppmの量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項15】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、その重量に基づき、7〜15ppmの範囲の量で存在するリチウム原子を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項16】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、その重量に基づき、10〜115ppmの範囲の量の燐原子を更に含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項17】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、アルミニウム、アルカリ土類金属及びアルカリ金属の総モルに対する燐のモル比が0.5〜1.5となるように、燐原子を更に含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項18】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、溶融相重合によって得られた、少なくとも0.70dL/gの極限粘度数を有する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項19】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、
(a)100モル%を構成するジカルボン酸残基の総量に基づき、少なくとも92モル%のテレフタル酸残基;及び
(b)100モル%を構成するジオール残基の総量に基づき、少なくとも92モル%のエチレングリコール残基
を含み;前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中のアルミニウム原子の量が、前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、5〜25ppmであり、且つ燐原子が前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中に10〜70ppmの量で存在する請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項20】
100モル%を構成するアミン残基の総量に基づき、少なくとも50モル%のm−キシリレンジアミン残基を含む1種又はそれ以上のポリアミドホモポリマー又はコポリマー;
1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、それぞれ5〜25ppmの量のアルミニウム原子及び5〜18ppmの量のリチウム原子を含む触媒系を用いた溶融相重合によって得られた、少なくとも0.65dL/gの極限粘度数を有する1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー;並びに
ポリマーブレンドの総重量に基づき、25〜約500ppmの量の1種又はそれ以上の遷移金属原子
を含んでなる、酸素捕捉効果を有するポリマーブレンド。
【請求項21】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが、
(i)100モル%を構成する前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中のジカルボン酸残基の総量に基づき、少なくとも90モル%のテレフタル酸残基;
(ii)100モル%を構成する前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中のジオール残基の総量に基づき、少なくとも90モル%のエチレングリコール残基;
(iii)前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーの重量に基づき、5〜60ppmの量のアルミニウム原子;
(iv)アルミニウム原子に対するリチウム原子のモル比が0.1〜75となるような量のリチウム原子;及び
(v)アルミニウム原子とリチウム原子の総モルに対する燐原子のモル比が0.1〜3となるような量の燐原子
を含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項22】
ボトルプレフォームの形態の、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項23】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが40ppm以下のアンチモンを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項24】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマーが20ppm以下のアンチモンを含む請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項25】
前記の1種又はそれ以上のポリエチレンテレフタレートホモポリマー又はコポリマー中にアンチモンが存在しない請求項1に記載のポリマーブレンド。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【公表番号】特表2010−523791(P2010−523791A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503008(P2010−503008)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/003998
【国際公開番号】WO2008/127542
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/003998
【国際公開番号】WO2008/127542
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】
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