説明

包装ケース、清掃具包装体、及び清掃具製品

【課題】 本発明は、商品の陳列販売時だけでなく、商品の保管ケースとしても使用できる包装ケースを提供する。
【解決手段】 本発明の包装ケース1は、筒状の周壁面31を有する下方ケース3と、筒状の周壁面21を有し、且つ前記下方ケース3の周壁面31の外側又は内側に挿入された上方ケース2と、を備え、前記上方ケース2を前記下方ケース3の上方位置において保持することにより、前記上方ケース2及び下方ケース3の内部に収納部が形成されており、前記上方ケース2が、その周壁面21を前記下方ケース3の周壁面31に添わせながら、前記下方ケース3の上下方向に対してスライド移動可能であり、前記上方ケース2を前記下方ケース3の上方位置において保持するための保持手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を入れる包装ケースに関し、特に、ハンディモップのような清掃具を入れる包装ケース及び清掃具包装体等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内や車内などの埃を除去するための清掃具が知られており、その中で、個人が手軽に清掃できる清掃具として、特許文献1に記載のようなハンディモップが公知である。
該ハンディモップは、ゴミや埃を付着させるためのモップ本体と、それを取り付けるための把手と、を備えている(特許文献1)。
かかるハンディモップは、通常、合成樹脂製シートを中空直方体状に組み立てた包装ケース(いわゆるキャラメル箱)に入れられた状態で販売されている。
消費者は、該包装ケースに入れられたハンディモップを購入後、包装ケースからハンディモップを取り出し、これを用いて家具などの埃を除去する。
ところで、上記ハンディモップは、一度だけでなく何度か再使用することができるので、消費者は、一度使用したハンディモップを家具上などに置いて保管している。
しかしながら、一度使用したハンディモップには埃などが付着して汚れているので、ハンディモップを家具上などに置いておくと、家具などが汚れるだけでなく、部屋の景観を損ねるという問題点がある。
【0003】
一方、特許文献2には、清掃具収納部が形成されたブリスターカバーと、前記清掃具収納部の開口を閉塞する蓋板と、を有し、前記清掃具収納部は、清掃具を分離した状態では収納できるが、清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、蓋板に切り起こし蓋を形成可能とする2つの切り込みマークが設けられた清掃具用容器が開示されている。
前記特許文献2の清掃具用容器は、切り込みマークに従って蓋板に切り込みを形成し、切り起こし蓋を形成する。この切り起こし蓋を手前に引いて折り曲げ、ブリスターカバーと蓋板の間に挿入口を形成し、この挿入口から清掃具を差し込むことにより、一度使用した清掃具を容器に保管することができる(特許文献2の[0023]及び図7など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−230576号公報
【特許文献2】特開2009−23665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の清掃具用容器は、切り起こし蓋を折り曲げて挿入口を形成するため、挿入口から清掃具を出し入れするときに、切り起こし蓋に清掃具が当たり、これを容易に出し入れできないという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、商品の陳列販売時だけでなく、商品の出し入れを容易に行える保管ケースとしても使用できる包装ケースを提供することであり、特に、ハンディモップのような清掃具の保管ケースとして使用できる包装ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装ケースは、筒状の周壁面を有する下方ケースと、筒状の周壁面を有し、且つ前記下方ケースの周壁面の外側又は内側に挿入された上方ケースと、を備え、前記上方ケースを前記下方ケースの上方位置において保持することにより、前記上方ケース及び下方ケースの内部に収納部が形成されており、前記上方ケースが、その周壁面を前記下方ケースの周壁面に添わせながら、前記下方ケースの上下方向に対してスライド移動可能であり、前記上方ケースを前記下方ケースの上方位置において保持するための保持手段が設けられている。
【0008】
上記本発明の包装ケースは、保持手段を用いて上方ケースを下方ケースの上方位置において保持することにより、内部に商品を入れた状態で、これを陳列販売できる。
前記保持手段を解除して上方ケースを下方ケースの下方向にスライド移動させると、上方ケースの周壁面と下方ケースの周壁面が重なり、包装ケースを2重構造箱に変えることができる。この2重構造箱の上方の開口から商品を容易に出し入れできるので、本発明の包装ケースは、商品の保管ケースとして使用することができる。従来、商品を取り出した後の包装ケースは廃棄されていたが、本発明によれば、直ぐに廃棄せず、保管ケースとしても使用できる。
また、前記2重構造箱は、上方ケースと下方ケースの各周壁面が重なって構成されているので、壁面強度に優れ、商品を出し入れするときに潰れにくい。
さらに、前記2重構造箱は、上方ケースを下方向に移動させることにより構成されるので、その高さ(上下方向長さ)が、元の包装ケースの高さに比して低くなる。このため、前記2重構造箱は、自立安定性にも優れている。
【0009】
本発明の好ましい包装ケースは、前記上方ケースが前記下方ケースの外側に挿入されており、前記保持手段が、前記上方ケースの周壁面に形成された下向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された上向き縁を交差させた左右一対の第1交差部と、前記上方ケースの周壁面に形成された上向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された下向き縁を交差させた左右一対の第2交差部と、を有し、前記一対の第1交差部の間における上方ケースの第1領域が、前記一対の第1交差部の間における下方ケースの第1領域の内側に係入され、且つ前記一対の第2交差部の間における上方ケースの第2領域が、前記一対の第2交差部の間における下方ケースの第2領域の内側に係入されており、前記上方ケースの第1領域、前記上方ケースの第2領域、前記下方ケースの第1領域及び前記下方ケースの第2領域から選ばれる少なくとも1つの領域を切除するための破断用補助線が設けられている。
【0010】
本発明の好ましい包装ケースは、前記上方ケースが前記下方ケースの内側に挿入されており、前記保持手段が、前記上方ケースの周壁面に形成された下向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された上向き縁を交差させた左右一対の第1交差部と、前記上方ケースの周壁面に形成された上向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された下向き縁を交差させた左右一対の第2交差部と、を有し、前記一対の第1交差部の間における下方ケースの第1領域が、前記一対の第1交差部の間における上方ケースの第1領域の内側に係入され、且つ前記一対の第2交差部の間における下方ケースの第2領域が、前記一対の第2交差部の間における上方ケースの第2領域の内側に係入されており、前記下方ケースの第1領域、前記下方ケースの第2領域、前記上方ケースの第1領域及び前記上方ケースの第2領域から選ばれる少なくとも1つの領域を切除するための破断用補助線が設けられている。
【0011】
上記好ましい包装ケースは、第1交差部及び第2交差部を有するので、上方ケースが上下方向に移動する虞がない。従って、内部に商品を入れた状態で包装ケースを陳列販売したときに、不用意に上方ケースが下方ケースから外れることがない。
一方、包装ケースを開封するときには、破断用補助線を利用すれば下方ケースの第1領域などを容易に切除できる。前記第1領域などを切除することにより、第1交差部及び/又は第2交差部における上向き縁と下向き縁の交差を解除できるので、上方ケースを下方向にスライド移動させて、商品を出し入れすることができる。
【0012】
本発明の他の好ましい包装ケースは、前記下方ケースの周壁面に、第1意匠部が設けられており、前記上方ケースの周壁面に、上方ケースを下方位置にスライド移動させたときに、前記第1意匠部に重なる第2意匠部が設けられている。
【0013】
上記他の好ましい包装ケースは、例えば、上方ケースが下方ケースの外側に挿入されている場合、上方ケースを下方位置に移動させると、上方ケースの第2意匠部が下方ケースの第1意匠部に重なり、第1意匠部の表示を隠すことができる。この場合、例えば、前記第1意匠部に広告を表示し、且つ前記第2意匠部に広告以外の意匠を表示しておくと、上記2重構造箱を構成した場合、この広告が外部から見え難くなる。このため、本発明の包装ケースを、広告の目立たない2重構造箱に変えることができる。
【0014】
本発明の別の局面によれば、本発明は清掃具包装体を提供する。
この清掃具包装体は、上記包装ケースの収納部内に、柄と埃吸着部とを有する清掃具が収納されており、前記上方ケースを下方ケースの下方向にスライド移動させたときに前記清掃具の柄が下方ケースから突出可能である。
本発明の別の局面によれば、本発明は清掃具製品を提供する。
この清掃具製品は、包装ケースの収納部内に、柄と埃吸着部とを有する清掃具が収納された清掃具製品であって、前記包装ケースが、筒状の周壁面を有する下方ケースと、前記下方ケースの上下方向に対してスライド移動可能な筒状の周壁面を有し、且つ前記下方ケースの周壁面の外側又は内側に挿入された上方ケースと、を備え、前記上方ケースを前記下方ケースの上方位置において保持するための保持手段が設けられ、前記上方位置に保持された上方ケース及び下方ケースの内部に前記収納部が形成されており、前記上方ケースを下方ケースの下方向にスライド移動させたときに前記清掃具の柄が下方ケースから突出可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、商品を入れて陳列販売するための包装ケースを、保管ケースとして使用することができる。また、本発明の包装ケースは、保管ケースとして使用したときに、商品を容易に出し入れできる。本発明の包装ケースは、特に、汚れた後も再使用される家庭用清掃具を収納する包装ケースとして好適である。
また、本発明の清掃具包装体及び清掃具製品は、包装ケースから清掃具を取り出し後、これを包装ケースに容易に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る包装ケースの正面図。
【図2】(a)は、図1のII部の拡大図、(b)は、同II部の斜視図。
【図3】図1のIII−III線で切断した断面図。
【図4】同包装ケース(上方ケース及び下方ケース)を形成するためのシート材の展開図。
【図5】同包装ケースを開封したときの正面図。
【図6】同包装ケースの上方ケースを下方位置に下げた状態の正面図。
【図7】第2実施形態に係る包装ケースの背面図。
【図8】同正面図。
【図9】図8のIX部の拡大図。
【図10】(a)は、図7のXa−Xa線で切断した断面図、(b)は、図8のXb−Xb線で切断した断面図、
【図11】同包装ケース(上方ケース及び下方ケース)を形成するためのシート材の展開図。
【図12】同包装ケースを開封したときの正面図。
【図13】同包装ケースの上方ケースを下方位置に下げた状態の正面図。
【図14】その他の実施形態に係る包装ケースの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の包装ケースの実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本発明の包装ケースは、筒状の周壁面を有する下方ケースと、筒状の周壁面を有し、且つ前記下方ケースの周壁面の外面側又は内面側にスライド移動可能に挿入された上方ケースと、を備えている。前記包装ケースは、商品を入れて陳列販売するときには、保持手段を用いて、上方ケースが下方ケースの上方位置において保持されている。商品は、前記上方位置に保持された上方ケースと下方ケース(包装ケース)の内部に形成された収納部に入れられる。
なお、本明細書において、方向を示す用語として「上」及び「下」を使用するが、これは、包装ケースを自立させた状態を基準にしている。
また、本明細書において、「第1」及び「第2」という接頭語を使用するが、これは、用語を区別するために用いたものであり、部材又は部分の優劣や順序などを意味しない。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図3において、本実施形態の包装ケース1は、筒状の周壁面21を有する上方ケース2が筒状の周壁面31を有する下方ケース3の外側に挿入されている。包装ケース1の収納部内には、商品Xが収納されている。該商品Xが、柄X1と埃吸着部X2とを有する清掃具(例えば、ハンディモップなど)である場合、前記清掃具は、上方ケース1と下方ケース2によって形成される収納部内に立てた状態で収納される。かかる清掃具を包装ケース1内に収納することにより、本発明の清掃具包装体が構成される。この清掃具包装体は、前記上方ケース2を前記下方ケース3の下方向にスライド移動させることにより、下方ケース3の上方の開口部から柄X1を突出させることができる。
【0019】
包装ケース1(上方ケース2及び下方ケース3)は、可撓性のあるシート材を組み立てることによって形成されている。
上方ケース2及び下方ケース3の大きさは、収納される商品Xに応じて適宜設定される。すなわち、上方ケース2を下方ケース3の上方位置において保持した状態(包装ケース1の状態)において、その内部に形成される収納部に商品Xを入れることができるように、上方ケース2及び下方ケース3は形成される。例えば、図示したように、商品Xがハンディモップなどの家庭用清掃具である場合、上方ケース2及び下方ケース3は、該家庭用清掃具を収納できる上下方向に長い筒状に形成される。また、本発明の包装ケース1を保管ケースとして使用する場合、上方ケース2を下方向へスライド移動させて下方ケース3に重ねるため、上方ケース2及び下方ケース3の高さ(上下方向長さ)は、略同じか、或いは、上方ケース2又は下方ケース3の何れか一方の高さが、他方よりも1倍を超え1.5倍以下に形成されていることが好ましい。
また、上方ケース2及び下方ケース3は、所定形状に形成された複数枚のシート材の適宜箇所を貼り合わせた接合シート材を組み立てることによってそれぞれ形成されていてもよいが、所定形状に形成された1枚のシート材を組み立てることによってそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0020】
図4は、本実施形態の上方ケース2及び下方ケース3を形成するための各シート材の展開図を示す(以下、上方ケース2を形成するためのシート材を展開上方シート20といい、下方ケース3を形成するためのシート材を、展開下方シート30という)。
この展開上方シート20及び展開下方シート30をそれぞれ組み立てることにより、上方ケース2及び下方ケース3が形成される。
なお、包装ケース1(上方ケース2及び下方ケース3)の各構成要素の説明において、図1〜図3に表されていない構成要素(符号)については、展開上方シート20及び展開下方シート30を参照されたい。図4の展開上方シート20及び展開下方シート30には、包装ケース1の各構成要素に対応した符号を付している。ただし、図4においては、全ての罫線を、便宜上、一点鎖線で表している。
なお、本明細書において、「折り罫線」とは、シート材を折り曲げ易く型付けできるように形成された線を意味する。折り罫線としては、例えば、シート材を厚み方向に押圧した押圧線、シート材を厚み方向に略V字状に切り込んだハーフカット線などが挙げられる。
【0021】
上方ケース2及び下方ケース3を形成するシート材は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。該シート材としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製シート、厚紙、合成紙、及びこれらの積層シートなどが挙げられる。中でも、透明性に優れた合成樹脂製シート又はその積層シートを用いることが好ましい。透明性に優れたシート材は、無色であることが好ましいが、透明性を損なわない範囲で着色されていてもよい。
シート材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.2mm〜1.0mm程度である。特に、本発明の包装ケース1は、上方ケース2を下方位置に押し下げたときに、上方ケース2と下方ケース3の周壁面21,31が重なって2重壁面構造の箱となることから、比較的薄いシート材(例えば、厚み0.2mm〜0.6mm程度のポリプロピレン製シート)を用いることも可能となる。
【0022】
下方ケース3は、例えば、筒状の周壁面31と、前記周壁面31の上方に開口された開口部と、前記周壁面31の下部を閉塞する底面と、を有する有底筒状に形成されている。前記底面は、平面視略六角形状に形成され、これに応じて周壁面31は、略六角筒状に形成されている。もっとも、下方ケース3は、有底略六角筒状に形成されている場合に限られず、例えば、有底略四角筒状や有底略三角筒状などの有底多角筒状、有底略円筒状、有底略楕円柱状などに形成することも可能である。
上記有底略六角筒状に形成された下方ケース3は、平面視略六角形状の底面と、この底面の6辺から底面に対して略直角に立ち上げられた第1壁面311〜第6壁面316からなる周壁面31と、を有する。かかる下方ケース3は、折り罫線にて折り曲げながら第1壁面311の側部に延設された糊代33(展開下方シート30を参照)を第6壁面316の側部に貼り付けた後、第1壁面311〜第6壁面316の下端縁からそれぞれ延設された底面形成用フラップ32を組み合わせる(底面は、組み合わされた底部形成用フラップ32からなる)ことによって、形成することができる。
なお、図示例では、下方ケース3の周壁面31の上端縁は、装飾性を高める目的で、波状に形成された部分を有するが、該上端縁は、直線状に形成されていてもよい。
【0023】
一方、上方ケース2は、例えば、筒状の周壁面21と、前記周壁面21の下方に開口された開口部と、前記周壁面21の上部を閉塞する天面と、を有する有天筒状に形成されている。前記天面は、平面視略崩れ六角形(紡錘形状に似た細長六角形状)に形成されている。周壁面21は、その上方部が天面の形状に応じた略崩れ六角筒状に形成されているが、全体として前記周壁面21は、挿入時に下方ケース3の周壁面の外面に沿うような、略六角筒状に形成されている。もっとも、上方ケース2の天面は、下方ケース3の底面と略同じ形状に形成されていてもよい。なお、上方ケース2の周壁面21は、略六角筒状に形成されている場合に限られず、下方ケース3の周壁面31に添うような形状に形成されていればよく、下方ケース3の周壁面31の形状に応じて適宜変更できる。
【0024】
上方ケース2は、天面と、この天面の周辺から下方に延びる第1壁面211〜第6壁面216からなる周壁面21と、を有する。かかる上方ケース2は、折り罫線にて折り曲げながら第1壁面211の側部に延設された糊代23(展開上方シート20を参照)を第6壁面216の側部に貼り付けて筒状の周壁面21を形成した後、第2壁面212〜第4壁面214の上端縁から延設された天面22を周壁面21の開口部側へ折り曲げ、天面22から延設されたフラップ221を周壁面21の内側へ当接させることによって、形成することができる。
また、上方ケース2の周壁面21には、上方ケース2の上方部を除去するための開封用帯部24が形成されている。該開封用帯部24は、第6壁面216の側部上方部に形成された上下一対の切込み線8A,8Aの端部から周壁面21の周方向に形成された上下一対の破断用罫線9A,9Aの間の帯状領域からなる。前記破断用罫線9A,9Aとしては、例えば、ハーフカット線、ミシン目線などが挙げられる。前記一対の切込み線8A,8Aの間の端部を手で摘み、周方向に引き出すことにより、一対の破断用罫線9A,9Aに沿って開封用帯部24を切除できる。これにより、図5に示すように、上方ケース2の上方部(天面22を含む)が分離され、上方ケース2の周壁面21の上方が開口される。
【0025】
前記上方ケース2は、上方ケース2の開口部を下にして下方ケース3の開口部側から下方ケース3の周壁面31の外側に挿入されている。挿入された上方ケース2は、保持手段によって、下方ケース3の上方位置に保持されている。
前記保持手段は、例えば、上方ケース2の周壁面21に形成された下向き縁2Aに下方ケース3の周壁面31に形成された上向き縁3Bを交差させた左右一対の第1交差部41と、上方ケース2の周壁面21に形成された上向き縁2Bに下方ケース3の周壁面31に形成された下向き縁3Aを交差させた左右一対の第2交差部42と、一対の第1交差部41の間における下方ケース3の第1領域351の内側に係入された上方ケース2の第1領域251と、一対の第2交差部42の間における下方ケース3の第2領域352の内側に係入された上方ケース2の第2領域252と、から構成されている。
【0026】
なお、本明細書において、「上向き縁」とは、端面が上側に向いた縁を意味し、「下向き縁」とは、端面が下側に向いた縁を意味する。「上向き縁」及び「下向き縁」は、例えば、周壁面の面内の一部に切込み線や窓部を形成することによって形成することができる。また、周壁面の端縁自体(上端縁や下端縁)を、「上向き縁」及び「下向き縁」とすることもできる。
【0027】
具体的には、前記下方ケース3の周壁面31の上方部には、上方ケース2の下向き縁2Aに交差して左右一対の第1交差部41を構成しうる上向き縁3Bと、上方ケース2の上向き縁2Bに交差して左右一対の第2交差部42を構成しうる下向き縁3Aと、が形成されている。
本実施形態においては、下方ケース3の上向き縁3B及び下向き縁3Aの各々は、その周壁面31の上方部の異なる2箇所にそれぞれ形成されている。前記2箇所は、向かい合う位置であることが好ましい。
前記上向き縁3B及び下向き縁3Aの各々が向かい合う位置に形成されていることにより、上方ケース2を下方ケース3の上方位置において安定的に保持できる。
【0028】
本実施形態においては、前記下方ケース3の上向き縁3B及び下向き縁3Aは、下方ケース3の周壁面31に形成された窓部36の開口縁から構成されている。
例えば、下方ケース3の第1壁面311の上方部の面内には、窓部36が形成されている。なお、前記第1壁面311と向かい合う第5壁面315の上方部の面内にも、同様の窓部36が形成されている。これらの窓部36は、前記壁面の面内を長方形状に打ち抜いた開口からなる。前記窓部36の4方の開口縁(上側開口縁及びこれに対向する下側開口縁、並びに、両側開口縁)のうち下側開口縁が、前記下方ケース3の上向き縁3Bに相当する。また、この窓部36の上側開口縁が、前記下方ケース3の下向き縁3Aに相当する。
【0029】
さらに、下方ケース3の上向き縁3Bの下方側の領域が、下方ケース3の第1領域351に相当し、下方ケース3の下向き縁3Aの上方側の領域が、下方ケース3の第2領域352に相当する。
この下方ケース3の第1領域351は、上方ケース2の第1領域251が係入される部分である。前記下方ケース3の第1領域351を容易に切除するため、下方ケース3の周壁面31の面内には、破断用補助線37が形成されている。
かかる下方ケース3の第1領域351を指で摘んで引き出すと、破断用補助線37に沿って切れていき、前記第1領域351を容易に切除できる。
【0030】
例えば、下方ケース3の第1壁面311及び第5壁面315の面内には、前記窓部36の両側開口縁のそれぞれの延長線上に一対の破断用補助線37が形成され、且つ、前記一対の破断用補助線37の下端の間に、更に破断用補助線37が連設されている。前記窓部36の下側開口縁及び破断用補助線37で囲われた領域(下方ケース3の第1領域351)の面積は、係入される上方ケース2の第1領域251よりも大きいことが好ましい。
【0031】
ここで、本明細書において、「破断用補助線」とは、僅かな力を加えることによりその線に沿ってシート材が破断しうるように形成された線を意味する。破断用補助線としては、例えば、図示したような短い非切込み部(例えば、長さ1mm程度の非切込み部)を介して連設された複数の長い切込み線(例えば、長さ3mm〜10mmの切込み線)、その他図示しないが、マイクロミシン目線(貫通孔の長さと非貫通部の長さがそれぞれ0.3mm〜0.8mm程度のミシン目線)、レーザー処理などによりシート材を脆弱化した脆弱線などが挙げられる。
また、本明細書において、「切込み線」とは、シート材の厚み方向に完全に貫通する切り目を意味する。
【0032】
一方、前記上方ケース2の周壁面21の下方部には、下方ケース3の上向き縁3Bに交差して左右一対の第1交差部41を構成しうる下向き縁2Aと、下方ケース3の下向き縁3Aに交差して左右一対の第2交差部42を構成しうる上向き縁2Bと、が形成されている。
本実施形態においては、上方ケース2の下向き縁2A及び上向き縁2Bの各々は、上方ケース2を下方ケース3に挿入したときに、下方ケース3の上向き縁3B及び下向き縁3Aにそれぞれ対応するような位置に設けられている。
下方ケース3の上向き縁3B及び下向き縁3Aの各々が向かい合う2箇所にそれぞれ形成されている場合、上方ケース2の下向き縁2A及び上向き縁2Bもそれぞれ、向かい合う位置に形成されている。
【0033】
本実施形態においては、前記上方ケース2の下向き縁2Aは、上方ケース2の周壁面21の下端縁から構成されている。また、上方ケース2の上向き縁2Bは、上方ケース2の周壁面21に形成された切込み線8Bから構成されている。
例えば、上方ケース2の第1壁面211の下端部には、下方に延びる舌状の第1領域251が延設されている。なお、上方ケース2の第5壁面215の下端部にも、同様の第1領域251が延設されている。この舌状の第1領域251の基部の左右側における周壁面21の下端縁が、上方ケース2の下向き縁2Aに相当する。
また、上方ケース2の第1壁面211の下方部の面内には、上方へ膨らんだ弧状の切込み線8Bが形成されている。この切込み線8Bは、前記第1領域251の上方側の位置に形成されている。前記弧状の切込み線8Bで囲われた領域を押し出すことにより、周壁面31の面内に、上方に延びる舌状の第2領域252が形成される。なお、前記第1壁面211と向かい合う第5壁面215にも、同様の切込み線8Bが形成されている。前記切込み線8Bの上側切断縁及びこれに対向する下側切断縁のうち上側切断縁(第2領域の上端縁)が、前記上方ケース2の上向き縁2Bに相当する。
【0034】
上方ケース2の周壁面21の内面が下方ケース3の周壁面31の外面に接するようにして、上方ケース2を下方ケース3の外側に挿入した状態で、上方ケース2の舌状の第1領域251を下方ケース3の窓部36に上側から挿入する。このように上方ケース2の第1領域251を挿入することにより、上方ケース2の下向き縁2Aが、その第1領域251の両側において、下方ケース3の上向き縁3Bに交差する。よって、上方ケース2の下向き縁2Aが下方ケース3の上向き縁3Bに交差した左右一対の第1交差部41,41が形成され、該左右一対の第1交差部41,41の間における上方ケース2の第1領域251が、前記左右一対の第1交差部41,41の間における下方ケース3の第1領域351の内側に係入されている。
【0035】
他方、上方ケース2の舌状の第2領域252を下方ケース3の窓部36に下側から挿入する。このように上方ケース2の第2領域252を挿入することにより、上方ケース2の上向き縁2Bが、その第2領域252の両側において、下方ケース3の下向き縁3Aに交差する。よって、上方ケース2の上向き縁2Bが下方ケース3の下向き縁3Aに交差した左右一対の第2交差部42,42が形成され、該左右一対の第2交差部42,42の間における上方ケース2の第2領域252が、前記左右一対の第2交差部42,42の間における下方ケース3の第2領域352の内側に係入されている。
上方ケース2の下向き縁2Aが第1交差部41において下方ケース3の上向き縁3Bに交差され且つ上方ケース2の第1領域251が係入されているので、上方ケース2は、下方向へスライド移動する虞がない。
また、上方ケース2の上向き縁2Bが第2交差部42において下方ケース3の下向き縁3Aに交差され且つ上方ケース2の第2領域252が係入されているので、上方ケース2は上方向へスライド移動する虞がない。
【0036】
なお、上方ケース2及び下方ケース3には、所望の意匠が表示されていてもよい。前記意匠としては、広告、広告以外の意匠などが挙げられる。広告には、商品の販売促進のための意匠が含まれる。広告以外の意匠には、絵柄、商品名、説明書きなどが含まれる。
例えば、下方ケース3の周壁面31には、所望の意匠を表示した第1意匠部Y1が設けられ、上方ケース2の周壁面21には、所望の意匠を表示した第2意匠部Y2が設けられている。
この上方ケース2の第2意匠部Y2は、上方ケース2を下方位置にスライド移動させたときに、下方ケース3の第1意匠部Y1に重なるような位置に設けられていることが好ましい。上方ケース2が下方ケース3の外側に挿入されている場合、上方ケース2を下方位置にスライドさせると、前記下方ケース3の第1意匠部Y1は、上方ケース2の第2意匠部Y2によって隠される。このため、下方ケース3の第1意匠部Y1が、外部から見えなくなる。従って、下方ケース3の第1意匠部Y1に広告を表示し、上方ケース2の第2意匠部Y2に広告以外の意匠(例えば絵柄など)を表示しておくことにより、商品Xを入れた包装ケース1を陳列販売しているときには、前記第1意匠部Y1の広告が消費者の目に付く一方で、該包装ケース1を商品Xの保管ケースとして使用するときには(上方ケース2を下方位置に下げたとき)、広告が目立たないようにすることが可能となる。
なお、上方ケース2及び下方ケース3には、上記第1意匠部Y1及び第2意匠部Y2が設けられた箇所以外に、他の意匠部が設けられていてもよい。
【0037】
上記包装ケース1は、図1に示すように、収納部内に商品Xを入れた包装体の状態で陳列販売される。
包装ケース1に入れる商品Xは、特に限定されない。本発明の包装ケース1は、保管ケースとして使用することもできる。このため、商品Xとしては、例えば、ハンディモップのような清掃具が好ましい。包装ケース1の収納部内に清掃具を入れた包装体は、本発明の清掃具包装体である。包装ケース1の収納部内に清掃具を入れた包装体は、清掃具製品として販売に供される。
清掃具包装体を形成するときには、下方ケース3の内部に清掃具の埃吸着部X2を位置させ、且つ上方ケース2の内部に清掃具の柄X1を位置させるようにして、清掃具を包装ケース1の収納部内に入れることが好ましい。
包装体から商品Xを取り出す際には、図5に示すように、上方ケース2の開封用帯部24を切除することにより、上方ケース2の上方部を分離して、上方ケース2の周壁面21の上方を開口する。さらに、破断用補助線37を利用して下方ケース3の第1領域351を切除することにより、上方ケース2の第1領域251の係入を解除できる。このため、上方ケース2の下向き縁2Aと下方ケース3の上向き縁3Bの交差を解除できる(第1交差部41を消滅させる)。このように保持手段を解除することにより、上方ケース2は、下方向にスライド移動可能となる。
【0038】
そして、図6に示すように、上方ケース2を下方位置まで下げることにより、下方ケース3の周壁面31の外面に上方ケース2の周壁面21が重なり、且つ上方が開口した2重構造箱10を構成できる。上方ケース2を下げると、前記2重構造箱10の上方の開口部から、清掃具の柄X2が突出(露出)する。この柄X1を手に持ち、清掃具を簡単に取り出すことができる。また、一度取り出した清掃具の柄X1を手で持って、その埃吸着部X2を2重構造箱10の開口部から2重構造箱10の内部へ容易に入れることができる。前記2重構造箱10の上方の開口部は、下方ケース3の上方に開口された開口部に相当する。このため、2重構造箱10の上方の開口部から清掃具を容易に出し入れできる。このように本発明の包装ケース1は、商品の保管ケースとして使用できる。
前記2重構造箱10は、上方ケース2と下方ケース3の各周壁面が重なって構成されているので、壁面強度に優れ、保管ケースとして好適である。
さらに、前記2重構造箱10は、上方ケース2を下方向に移動させることにより構成されるので、その高さが、元の包装ケース1の高さに比して低くなる。このため、前記2重構造箱10は、自立安定性にも優れている。
【0039】
なお、本発明の包装ケース1は、本実施形態に示した構成に限られず、適宜設計変更可能である。
例えば、本実施形態においては、窓部36の下方側に開封用補助線37を設けて下方ケース3の第1領域351を容易に切除できるようにしているが、例えば、適宜な箇所に開封用補助線を設けることにより、下方ケース3の第2領域352、上方ケース2の第1領域251、及び/又は第2領域252を容易に切除できるようにしてもよい。下方ケース3の第1領域351及び第2領域352、並びに上方ケース2の第1領域251及び第2領域252から選ばれる少なくとも1つの領域を切除することにより、第1交差部41及び/又は第2交差部42が解消され、上方ケース2を下方向に移動させることができる。
【0040】
(第2実施形態)
図7〜図10において、本実施形態の包装ケース1は、筒状の周壁面21を有する上方ケース2が筒状の周壁面31を有する下方ケース3の内側に挿入されている。
ただし、第2実施形態を説明するにあたっては、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
また、図11は、本実施形態の上方ケース2及び下方ケース3を形成するための各シート材の展開図を示す。なお、包装ケース1(上方ケース2及び下方ケース3)の各構成要素の説明において、図7〜図10に表されていない構成要素(符号)については、図11の展開上方シート20及び展開下方シート30を参照されたい。図11の展開上方シート20及び展開下方シート30には、本実施形態の包装ケース1の各構成要素に対応した符号を付している。ただし、図11においては、全ての罫線を、便宜上、一点鎖線で表している。
【0041】
本実施形態の上方ケース2及び下方ケース3の大きさ及び形状は、上方ケース2の周壁面21を下方ケース3の周壁面31の内側に沿わせながら、上方ケース2が下方ケース3の上下方向にスライド移動できるように形成されていることを除いて、上記第1実施形態と同様である。
【0042】
前記上方ケース2は、上方ケース2の開口部を下にして下方ケース3の開口部側から下方ケース3の周壁面31の内側に挿入されている。挿入された上方ケース2は、保持手段によって、下方ケース3の上方位置に保持されている。
【0043】
下方ケース3の周壁面31の上方部には、上方ケース2の下向き縁2Aに交差して左右一対の第1交差部41を構成しうる上向き縁3Bと、上方ケース2の上向き縁2Bに交差して左右一対の第2交差部42を構成しうる下向き縁3Aと、が形成されている。
【0044】
本実施形態においては、前記下方ケース3の上向き縁3Bは、下方ケース3の周壁面31に形成された切込み線8Cから構成されている。
例えば、下方ケース3の第1壁面311の上方部の面内には、上方へ膨らんだ弧状の切込み線8Cが形成されている。下方ケース3の第5壁面315の上方部の面内にも、同様の切込み線8Cが形成されている。この弧状の切込み線8Cで囲われた領域を押し出すことにより、周壁面31の面内に、上方に延びる舌状の第1領域351が形成される。この下方ケース3の第1領域351は、上方ケース2の第1領域251が係入される部分である。また、この切込み線8Cの左右側(両端部)における上側切断縁が、下方ケース3の上向き縁3Bに相当する。
【0045】
また、前記下方ケース3の下向き縁3Aは、下方ケース3の周壁面31に形成された切込み線8Dから構成されている。
例えば、下方ケース3の第3壁面313の上方部の面内には、下方へ膨らんだ弧状の切込み線8Dが形成されている。この弧状の切込み線8Dで囲われた領域を押し出すことにより、周壁面31の面内に、下方に延びる舌状の第2領域352が形成される。この下方ケース3の第2領域352は、上方ケース2の第2領域252が係入される部分である。また、この切込み線8Dの左右側(両端部)における下側切断縁が、下方ケース3の上向き縁3Bに相当する。
【0046】
前記下方ケース3の第2領域352を容易に切除するため、下方ケース3の周壁面31の面内には、破断用補助線37が形成されている。
例えば、下方ケース3の第3壁面313の面内には、前記切込み線8Dの両端部から下方ケース3の上端縁に渡って、左右一対の破断用補助線37が傾斜状に形成されている。
該破断用補助線37に沿って切り取ることにより、下方ケース3の第2領域352を含む一部分を容易に切除できる。
【0047】
一方、前記上方ケース2の周壁面21には、下方ケース3の上向き縁3Bに交差して左右一対の第1交差部41を構成しうる下向き縁2Aと、下方ケース3の下向き縁3Aに交差して左右一対の第2交差部42を構成しうる上向き縁2Bと、が形成されている。
【0048】
本実施形態においては、前記上方ケース2の下向き縁2Aは、上方ケース2の周壁面21の下端縁から構成されている。また、上方ケース2の上向き縁2Bは、上方ケース2の周壁面21に形成された切込み線8Eから構成されている。
例えば、上方ケース2の第1壁面211及び第5壁面215の下端縁は、直線状に形成れている。
また、上方ケース2の第3壁面213の下方部の面内には、下方へ膨らんだ略コの字状の切込み線8Eが形成されている。前記切込み線8Eの下方側の領域が、上方ケース2の第2領域252に相当する。また、前記切込み線8Eの上側切断縁(第2領域252の上端縁)が、前記上方ケース2の上向き縁2Bに相当する。
【0049】
上方ケース2の周壁面21の外面が下方ケース3の周壁面31の内面に接するようにして、上方ケース2を下方ケース3の内側に挿入した状態で、図10(a)に示すように、下方ケース3の第1領域351を内側に押し出し、上方ケース2の第1領域251を下方ケース3の第1領域351と周壁面31の間に差し入れる。このように上方ケース2の第1領域251を挿入することにより、上方ケース2の下向き縁2Aが下方ケース3の上向き縁3Bに交差した左右一対の第1交差部41,41が形成される。また、該左右一対の第1交差部41,41の間における下方ケース3の第1領域351が、前記左右一対の第1交差部41,41の間における上方ケース2の第1領域251の内側に係入される。
【0050】
他方、下方ケース3の舌状の第2領域352を上方ケース2の切込み線8Eに上側から挿入する。このように下方ケース3の第2領域352を挿入することにより、下方ケース3の下向き縁3Aが、その第2領域352の両側において、上方ケース2の上向き縁2Bに交差し、上方ケース2の上向き縁2Bが下方ケース3の下向き縁3Aに交差した左右一対の第2交差部42,42が形成される。また、該左右一対の第2交差部42,42の間における下方ケース3の第2領域352が、前記左右一対の第2交差部42,42の間における上方ケース2の第2領域252の内側に係入される。
このように本実施形態の包装ケース1も、第1交差部41及び第2交差部42を有し、且つ下方ケース3の第1領域351及び第2領域352が係入されているので、上方ケース2は、上下方向へスライド移動する虞がない。
【0051】
なお、本実施形態の上方ケース2及び下方ケース3も、上記第1実施形態と同様に、第1意匠部Y1、第2意匠部Y2、及びその他の意匠部が設けられていてもよい。
ただし、本実施形態の上方ケース2は、下方ケース3の内側へ挿入されるので、上方ケース2に設けられる第2意匠部Y2に広告を表示し、下方ケース3に設けられる第1意匠部Y1に広告以外の意匠を表示しておくことが好ましい。各意匠部の表示を前記のようにすることにより、上方ケース2を下方位置に下げたときに、広告表示からなる第2意匠部Y2が、下方ケース3の第1意匠部Y1によって隠される。
【0052】
本実施形態の包装ケース1は、図12に示すように、上方ケース2の開封用帯部24を切除し、さらに、破断用補助線37を利用して下方ケース3の第2領域352を切除することにより、上方ケース2の第2領域252の係入を解除できる。このため、上方ケース2の上向き縁2Bと下方ケース3の下向き縁3Aの交差を解除できる(第2交差部42を消滅させる)。
【0053】
次に、上方ケース2を少し上方向に移動させて、下方ケース3の第1領域351の係合を解除した後、図13に示すように、上方ケース2を下方位置まで下げることにより、下方ケース3の周壁面31の内面に上方ケース2が重なり、且つ上方が開口した2重構造箱10を構成できる。
本実施形態の包装ケース1も、第1実施形態と同様に、商品の保管ケースとして使用できる。
【0054】
なお、本実施形態の包装ケースも、適宜設計変更可能である。
例えば、本実施形態においては、下方ケース3に開封用補助線37を設けて下方ケース3の第2領域352を容易に切除できるようにしているが、例えば、適宜な箇所に開封用補助線を設けることにより、下方ケース3の第1領域351、上方ケース2の第1領域251、及び/又は第2領域252を容易に切除できるようにしてもよい。
【0055】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態に示すような上方ケース2を逆に下方ケースとし且つ同下方ケース3を逆に上方ケースとすることにより(つまり、第1実施形態の上方ケース2及び下方ケース3からなる包装ケースを天地反対にすることにより)、上方ケースが下方ケースの外側に挿入された包装ケースを構成できる。
同様に、上記第2実施形態に示すような上方ケース2を逆に下方ケースとし且つ同下方ケース3を逆に上方ケースとすることにより(つまり、第2実施形態の上方ケース2及び下方ケース3からなる包装ケースを天地反対にすることにより)、上方ケースが下方ケースの内側に挿入された包装ケースを構成できる。
【0056】
また、上方ケース2及び下方ケース3の周壁面は、図14に示すような略四角筒状に形成されていてもよい。
その他、上方ケース2の保持手段は、上記各実施形態で示した構成に限られず、本発明の意図する範囲で適宜変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の包装ケースは、商品の陳列販売時だけでなく、商品の保管ケースとしても使用できる。特に、本発明の包装ケースは、ハンディモップのような清掃具の保管ケースとして好適に使用できる。
【符号の説明】
【0058】
1…包装ケース、2…上方ケース、21…上方ケースの周壁面、2A…上方ケースの下向き縁、2B…上方ケースの上向き縁、251…上方ケースの第1領域、252…上方ケースの第2領域、3…下方ケース、31…下方ケースの周壁面、3A…下方ケースの下向き縁、3B…下方ケースの上向き縁、351…下方ケースの第1領域、352…下方ケースの第2領域、41…第1交差部、42…第2交差部、37…破断用補助線、X…商品、X1…清掃具の柄、X2…清掃具の埃吸着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の周壁面を有する下方ケースと、筒状の周壁面を有し、且つ前記下方ケースの周壁面の外側又は内側に挿入された上方ケースと、を備え、前記上方ケースを前記下方ケースの上方位置において保持することにより、前記上方ケース及び下方ケースの内部に収納部が形成されており、
前記上方ケースが、その周壁面を前記下方ケースの周壁面に添わせながら、前記下方ケースの上下方向に対してスライド移動可能であり、
前記上方ケースを前記下方ケースの上方位置において保持するための保持手段が設けられていることを特徴とする包装ケース。
【請求項2】
前記上方ケースが前記下方ケースの外側に挿入されており、
前記保持手段が、前記上方ケースの周壁面に形成された下向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された上向き縁を交差させた左右一対の第1交差部と、前記上方ケースの周壁面に形成された上向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された下向き縁を交差させた左右一対の第2交差部と、を有し、
前記一対の第1交差部の間における上方ケースの第1領域が、前記一対の第1交差部の間における下方ケースの第1領域の内側に係入され、且つ前記一対の第2交差部の間における上方ケースの第2領域が、前記一対の第2交差部の間における下方ケースの第2領域の内側に係入されており、
前記上方ケースの第1領域、前記上方ケースの第2領域、前記下方ケースの第1領域及び前記下方ケースの第2領域から選ばれる少なくとも1つの領域を切除するための破断用補助線が設けられている、請求項1に記載の包装ケース。
【請求項3】
前記上方ケースが前記下方ケースの内側に挿入されており、
前記保持手段が、前記上方ケースの周壁面に形成された下向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された上向き縁を交差させた左右一対の第1交差部と、前記上方ケースの周壁面に形成された上向き縁に前記下方ケースの周壁面に形成された下向き縁を交差させた左右一対の第2交差部と、を有し、
前記一対の第1交差部の間における下方ケースの第1領域が、前記一対の第1交差部の間における上方ケースの第1領域の内側に係入され、且つ前記一対の第2交差部の間における下方ケースの第2領域が、前記一対の第2交差部の間における上方ケースの第2領域の内側に係入されており、
前記下方ケースの第1領域、前記下方ケースの第2領域、前記上方ケースの第1領域及び前記上方ケースの第2領域から選ばれる少なくとも1つの領域を切除するための破断用補助線が設けられている、請求項1に記載の包装ケース。
【請求項4】
前記下方ケースの周壁面に、第1意匠部が設けられており、前記上方ケースの周壁面に、前記上方ケースを下方位置にスライド移動させたときに、前記第1意匠部に重なる第2意匠部が設けられている、請求項1〜3の何れかに記載の包装ケース。
【請求項5】
請求項1に記載の包装ケースの収納部内に、柄と埃吸着部とを有する清掃具が収納されており、前記上方ケースを下方ケースの下方向にスライド移動させたときに前記清掃具の柄が下方ケースから突出可能である清掃具包装体。
【請求項6】
包装ケースの収納部内に、柄と埃吸着部とを有する清掃具が収納された清掃具製品であって、
前記包装ケースが、筒状の周壁面を有する下方ケースと、前記下方ケースの上下方向に対してスライド移動可能な筒状の周壁面を有し、且つ前記下方ケースの周壁面の外側又は内側に挿入された上方ケースと、を備え、前記上方ケースを前記下方ケースの上方位置において保持するための保持手段が設けられ、前記上方位置に保持された上方ケース及び下方ケースの内部に前記収納部が形成されており、
前記上方ケースを下方ケースの下方向にスライド移動させたときに前記清掃具の柄が下方ケースから突出可能であることを特徴とする清掃具製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−269802(P2010−269802A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120879(P2009−120879)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】