説明

包装ケース

【課題】商品の陳列販売時だけでなく、商品の保管ケースとしても使用可能な包装ケースを提供する。
【解決手段】上下方向に延びる筒状の包装ケース1は、上方部2と、周方向に前側面31B及び後側面31Aが設けられている下方部3と、下方部3の前側面31B及び後側面31Aから上方向に延出する1対の凸状の折返部4とを有し、上方部2と凸状の折返部4との間の第1境界線B1に沿って、第1弱め線W1が設けられており、上方部2と下方部3との間の周方向の第2境界線B2に沿って、第2弱め線W2が設けられており、凸状の折返部4と下方部3との間の周方向に、第1折り罫線Y1が設けられており、凸状の折返部4内に、下方部3の前側面31Bと後側面31Aとの間から連続して上下方向D1に延びる第2折り罫線Y2が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収納する包装ケースに関し、特に、ハンディモップ等の清掃具を収納する包装ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内や車内等の埃等を除去するための清掃具として、埃吸着部及び柄を有する清掃具が知られている。
【0003】
かかる清掃具は、通常、合成樹脂製シートを中空直方体状に組み立てた包装ケースに収納された状態で販売されている。
【0004】
消費者は、かかる清掃具を購入した後、かかる包装ケースから清掃具を取り出して、室内や車内等の埃等を除去するために使用する。通常、消費者は、清掃具を取り出した後の包装ケースについてはそのまま廃棄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-230576号公報
【特許文献2】特願2009-120879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、消費者は、かかる清掃具は、一度だけでなく何度か再使用することができるため、一度使用した清掃具を家具の上等において保管する必要がある。
【0007】
しかしながら、一度使用した清掃具は、埃吸着部に埃等が付着して汚れているため、かかる清掃具を家具の上等に置いておくと、家具等が汚れるだけでなく、部屋の景観を損ねるという問題点があった。
【0008】
また、上述のように、かかる包装ケースは、清掃具が取り出された後に、そのまま廃棄されてしまうため、環境へ与える負荷が大きいという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、商品の陳列販売時だけでなく、商品の保管ケースとしても使用可能な包装ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴は、上下方向に延びる筒状の包装ケースであって、上方部と、周方向に前側面及び後側面が設けられている下方部と、前記下方部の前側面及び後側面から上方向に延出する1対の凸状の折返部とを有し、前記上方部と前記凸状の折返部との間の第1境界線に沿って、第1弱め線が設けられており、前記上方部と前記下方部との間の周方向の第2境界線に沿って、第2弱め線が設けられており、前記凸状の折返部と前記下方部との間の周方向に、第1折り罫線が設けられており、前記凸状の折返部内に、前記下方部の前側面と後側面との間から連続して上下方向に延びる第2折り罫線が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、商品の陳列販売時だけでなく、商品の保管ケースとしても使用可能な包装ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る包装ケースの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る包装ケースの正面図、側面図、底面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る包装ケースの展開図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る包装ケースにおいて上方部を分離した場合の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る包装ケースにおいて上方部を分離した後に清掃具を収納した場合の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る包装ケースの展開図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る包装ケースの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る包装ケース1について説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る包装ケース1は、上下方向D1に延びる筒状の包装ケースであって、側面21を有する上方部2、及び、周方向D2に前側面31B及び後側面31Aが設けられている下方部3を有する。
【0015】
例えば、上方部2は、側面21の上部を閉塞する天面と、かかる天面に対して略直角方向に設けられている側面21とを有する有底筒状に形成されている。
【0016】
また、図2(a)乃至図2(c)に示すように、下方部3は、前側面31B(すなわち、側面312)及び後側面31A(すなわち、側面311、313及び314)からなる側面の下部を閉塞する底面と、かかる底面に対して略直角方向に立ち上げられている前側面31B及び後側面31A(すなわち、側面311〜314)からなる側面とを有する有底筒状に形成されている。
【0017】
ここで、図2(c)に示すように、下方部3の底面は、例えば、平面視略六角形状に形成されている。なお、下方部3の底面は、平面視略六角形状に限らず、平面視略四角形状等の平面視略多角形形状や平面視略円形状や平面視略楕円形状等に形成されていてもよい。
【0018】
なお、かかる底面は、図2(c)及び図3に示すように、前側面31B及び後側面31A(すなわち、側面311〜314)から延設されている底面形成用フラップ32を組み合わせることによって形成されている。
【0019】
また、下方部3には、前側面31B及び後側面31A(すなわち、側面311〜314)から上方向側に延出する1対の凸状の折返部4が設けられている。
【0020】
ここで、上方部2と凸状の折返部4との間の第1境界線B1に沿って、第1弱め線W1が設けられており、上方部2と下方部3との間の周方向D2の第2境界線B2に沿って、第2弱め線W2が設けられている。
【0021】
例えば、本実施形態では、「弱め線」は、包装ケース1において上方部2を分離可能とする線であって、ミシン目線であってもよいし、マイクロミシン目線(貫通孔の長さと非貫通部の長さがそれぞれ0.3mm〜0.8mm程度のミシン目線)であってもよいし、レーザー処理等によってシート材を脆弱化した脆弱線等であってもよい。
【0022】
なお、第1弱め線W1の少なくとも一部において、上方部2と凸状の折返部4とが接続されていなくてもよい。
【0023】
具体的には、第1弱め線W1は、直線状弱め線W11と、曲線状弱め線W12とによって構成されており、曲線状弱め線W12の少なくとも一部において、上方部2と凸状の折返部4とが接続されていなくてもよい。例えば、曲線状弱め線W12の少なくとも一部(例えば、凸状の折返部4の角部に対応する位置)において、シート材の厚み方向に完全に貫通する切込み線が設けられていてもよい。
【0024】
また、下方部3には、前側面31B及び後側面31A(すなわち、側面311〜314)から下方向に延出する複数の凸状の起立部6が設けられている。ここで、かかる複数の凸状の起立部6は、等間隔で設けられていてもよい。かかる構成によれば、包装ケース1の起立が安定するという効果を奏する。
【0025】
また、上方部2には、第1弱め線W1及び第2弱め線W2の一部に沿って摘み部5が設けられている。また、上方部2の側面21の上部には、包装ケース1を商品陳列棚に吊り下げるための孔10が設けられている。
【0026】
また、包装ケース1は、紙製のスリーブで覆われている。スリーブは、包装ケース1の外側の少なくとも一部を覆う形状で、商品輸送中や店頭陳列時に、包装ケース1が外れないように、スリーブには、少なくとも1箇所以上のロック機構が設けられている。
【0027】
スリーブには、ツメ形状が設けられて折り、包装ケース1には、スリーブを嵌めこむ切れ込みが設けられており、ツメ形状を切れ込みに押し込むことによって、包装ケース1とスリーブとをロックするように構成されている。
【0028】
図3は、包装ケース1を形成するためのシート材の展開図を示す。かかるシート材は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。かかるシート材としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製シート、厚紙、合成紙、及び、これらの積層シート等が挙げられる。また、かかるシート材の厚みは、特に限定されないが、0.2mm〜1.0mm程度が好ましい。
【0029】
図3に示すように、凸状の折返部4と下方部3との間の周方向D2に、第1折り罫線Y1が設けられており、凸状の折返部4内に、下方部3の前側面31Bと後側面31Aとの間から連続して上下方向D1に延びる第2折り罫線Y2が設けられている。
【0030】
かかる第2折り罫線Y2は、上方部2と凸状の折返部4と下方部3とに渡って設けられている。
【0031】
本実施形態では、「折り罫線」とは、シート材を折り曲げ易く型付けできるように形成された線を意味する。折り罫線としては、例えば、シート材を厚み方向に押圧した押圧線や、シート材を厚み方向に略V字状に切り込んだハーフカット線等が挙げられる。
【0032】
図3に示すシート材において、第2折り罫線Y2に沿って側面21、311〜314を折り曲げながら、側面311の側部に延設された糊代33を側面314の側部に貼り付けた後、底面形成用フラップ32を組み合わせることによって、包装ケース1を形成することができる。
【0033】
ここで、商品の陳列販売時には、図1に示すように、上方部2及び下方部3の内部に、商品が収納されるように構成されている。図1の例では、上方部2及び下方部3の内部に、柄X1及び埃吸着部X2を有する清掃具Xが収納されるように構成されている。
【0034】
図1に示すように、包装ケース1の内部では、清掃具Xは、固定用台紙11によって固定されている。固定用台紙11は、コート紙や合成樹脂製シートによって構成されており、埃吸着部X2及び柄X2が、固定用台紙11にセットされるように構成されている。
【0035】
なお、下方部3の前側面31Bは、1つの曲面(側面312)によって構成されており、下方部3の前側面31B内には、押し罫線が設けられていない。かかる構成によれば、包装ケース1に収容されている商品を、外部から見易くなる。
【0036】
また、図4に示すように、消費者は、包装ケース1において、上方部2を分離した後、凸状の折返部4を第1折り罫線Y1及び第2折り罫線Y2に沿って下方部3の内部側又は外部側に折り返すことによって、図5に示すように、下方部3の内部に、一旦使用した清掃具Xを収納することができる。
【0037】
本実施形態に係る包装ケース1によれば、第1弱め線W1及び第2弱め線W2に沿って、上方部2を分離した後、凸状の折返部4を第1折り罫線Y1及び第2折り罫線Y2に沿って下方部3の内部側又は外部側に折り返すことによって、清掃具Xの保管シートとすることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る包装ケース1によれば、消費者は、上方部2に設けられた掴み部5を上方向に引っ張ることによって、容易に、上方部2を分離することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る包装ケース1によれば、凸状の折返部4の肩部に対応する位置における曲線状弱め線W12を切込み線とすることで、消費者は、容易に、上方部2を分離することができる。
【0040】
本実施形態に係る包装ケース1によれば、上方部2を分離した後、凸状の折返部4を第1折り罫線Y1及び第2折り罫線Y2に沿って下方部3の外部側に折り返すことによって、下方部3の開口部を安定した状態に維持することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る包装ケース1について説明する。以下、本実施形態に係る包装ケース1について、上述の第1の実施形態に係る包装ケース1との相違点に着目して説明する。
【0042】
図6に示すように、本実施形態に係る包装ケース1では、凸状の折返部4内に、下方部3の前側面31Bと後側面31Aとの間から連続して上下方向D1に延びる第2折り罫線Y2の周方向D2の両側に、上下方向D1に沿って複数の折り罫線Y20が設けられている。かかる折り罫線Y20の一部は、図6に示すように、直線形状でなくてもよい。
【0043】
(第3の実施形態)
図7を参照して、本発明の第3の実施形態に係る包装ケース1について説明する。以下、本実施形態に係る包装ケース1について、上述の第1の実施形態に係る包装ケース1との相違点に着目して説明する。
【0044】
図7に示すように、本実施形態に係る包装ケース1では、下方部3の全ての側面311〜314において、上下方向D1に沿って複数の折り罫線Y21が設けられている。
【0045】
すなわち、本実施形態に係る包装ケース1では、下方部3の前側面31B(側面312)においても、折り罫線Y21が設けられている。
【0046】
なお、本実施形態では、前側面31B及び後側面31Aが上下方向に沿って起立した状態で包装ケース1が使用される例について記載されているが、本発明に係る包装ケース1は、前側面31B及び後側面31Aが横方向に沿って置かれた状態で使用されてもよい。
【0047】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0048】
1…包装ケース
2…上方部
3…下方部
4A、4B…凸状の折返部
5…摘み部
6…凸状の起立部
21…上方部の側面
31A…下方部の後側面
31B…下方部の前側面
311、312、313、314…下方部の側面
32…底面形成用フラップ
33…糊代
B1、B2…境界線
W1、W11、W12、W2、W3…弱め線
Y1、Y2…折り罫線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる筒状の包装ケースであって、
上方部と、
周方向に前側面及び後側面が設けられている下方部と、
前記下方部の前側面及び後側面から上方向に延出する1対の凸状の折返部とを有し、
前記上方部と前記凸状の折返部との間の第1境界線に沿って、第1弱め線が設けられており、
前記上方部と前記下方部との間の周方向の第2境界線に沿って、第2弱め線が設けられており、
前記凸状の折返部と前記下方部との間の周方向に、第1折り罫線が設けられており、
前記凸状の折返部内に、前記下方部の前側面と後側面との間から連続して上下方向に延びる第2折り罫線が設けられていることを特徴とする包装ケース。
【請求項2】
前記第1弱め線の少なくとも一部において、前記上方部と前記凸状の折返部とが接続されていないことを特徴とする請求項1に記載の包装ケース。
【請求項3】
前記第1弱め線は、直線状弱め線と、曲線状弱め線とによって構成されており、
前記曲線状弱め線の少なくとも一部において、前記上方部と前記凸状の折返部とが接続されていないことを特徴とする請求項2に記載の包装ケース。
【請求項4】
前記上方部には、前記第1弱め線及び第2弱め線の一部に沿って摘み部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装ケース。
【請求項5】
前記下方部の前側面は、1つの曲面によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装ケース。
【請求項6】
前記下方部には、前記下方部の前側面及び後側面から下方向に延出する複数の凸状の起立部が設けられており、
前記複数の凸状の起立部は、等間隔で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装ケース。
【請求項7】
前記上方部が分離され、前記凸状折返部が前記第1折り罫線及び第2折り罫線に沿って前記下方部の内部側又は外部側に折り返された場合に、該下方部の内部に、柄及び埃吸着部を有する清掃具を収納するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−219120(P2011−219120A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89072(P2010−89072)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】