説明

包装ケース

【課題】 本発明の課題は、2つの片を接着することによって下面壁が形成されている包装ケースにおいて、その接着部分が剥がれ難く改良することである。
【解決手段】 本発明の包装ケース1は、シート材を組み立てて形成されており、正面壁2と背面壁3を有する筒状壁4と、前記筒状壁4の下方開口を塞ぐ下面壁6と、を有し、前記下面壁6が、前記正面壁2の下辺に連設された第1下面片7と、前記背面壁3の下辺に連設された第2下面片8と、から形成され、前記第2下面片8の面内には、その中途部8cから連設部8d側に膨らむ有端状の切り目92が形成され、前記筒状壁4を扁平状に折り畳んだ状態において、前記切り目92で囲われた領域81の外面と前記第2下面片8の中途部8cから先端部8eまでの領域82の外面とが前記第1下面片7の外面に接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの片を接着することによって下面壁が形成されている包装ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製シートなどのシート材を組み立てた包装ケースは、様々な形態のものが知られている。
シート材を組み立てた包装ケースは、通常、不使用時に、扁平状に折り畳むことができ、使用時に(物品を入れるとき)、筒状に開くことができるようになっている。
また、シート材を組み立てた包装ケースは、通常、適宜の形状に打ち抜いた1枚のシート材の各片を接着する及び/又は係合するなどによって形成される。
【0003】
このような包装ケースとして、図14〜図16に示すようなものが知られている。
かかる包装ケース100は、正面壁200と背面壁300を有する筒状壁400と、筒状壁400の上方開口を塞ぐ上面壁500と、筒状壁400の下方開口を塞ぐ下面壁600と、から主として構成されている。
この下面壁600は、正面壁200の下辺に連設され且つ内側へ折り曲げられた第1下面片700と、背面壁300の下辺に連設され且つ内側に折り曲げられた第2下面片800と、から形成されている。
【0004】
この包装ケース100は、図17に示すように、前記筒状壁400を扁平状に折り畳んだ状態において、第1下面片700の内面が正面壁200の内面に重なり且つ第2下面片800の内面が背面壁300の内面に重なると共に、この第1下面片700と第2下面片800の外面同士が重なっている。そのうち、第2下面片800の中途部から先端部までの領域(前領域820)の外面が、第1下面片700の外面に接着されることによって、下面壁600が形成されている。なお、第2下面片800の中途部から連設部までの領域(後領域830)の外面は、第1下面片700の外面に接着されていない。
【0005】
このように第1下面片700の外面と第2下面片800の前領域820の外面が接着された、扁平状の筒状壁400を筒状に開くと、第1下面片700及び第2下面片800が正面壁200及び背面壁300の内面からそれぞれ離反しながら起立すると同時に、第2下面片800がその中途部において外向きに折れ曲がる。
最終的には、図16に示すように、第1下面片700が正面壁200の内面に対して略直角状に起立して筒状壁400の下方開口を塞ぐと共に、第2下面片800がその中途部全体に渡って折れ曲がり(第2下面片800の前領域820と後領域830の境界(中途部)において、幅方向に直線状に延びる折り目Xが生じる)、第2下面片800の前領域820と後領域830が合掌状に重なって前記第1下面片700の下方を支持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記包装ケース100は、扁平状の筒状壁400を筒状に開いたときに、第2下面片800の中途部全体において折り目Xが生じるので、第1下面片700に接着された前領域820が剥離し易いという問題点がある。
すなわち、第2下面片800の中途部全体で折れ曲がると、第2下面片800の前領域820が反り返るため、前記折り目Xを起点にして前領域820の接着部分がピール剥離を生じ易い。
かかる従来構造の包装ケース100は、その内部に物品を収納して流通に供している間に、下面壁600が破損して物品が抜け落ちるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、2つの片を接着することによって下面壁が形成されている包装ケースにおいて、その接着部分が剥がれにくい構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の包装ケースは、シート材を組み立てて形成されており、正面壁と背面壁を有する筒状壁と、前記筒状壁の下方開口を塞ぐ下面壁と、を有し、前記下面壁が、前記正面壁又は背面壁の何れか一方の下辺に連設され且つ内側へ折り曲げられた第1下面片と、前記背面壁又は正面壁の何れか他方の下辺に連設され且つ内側に折り曲げられた第2下面片と、から形成され、前記正面壁と背面壁の内面同士が重なるように前記筒状壁を扁平状に折り畳んだ状態において、前記第1下面片の外面と第2下面片の外面が重なり且つ前記第2下面片の中途部から先端部までの領域が第1下面片の外面に接着されている包装ケースであって、前記第2下面片の面内には、前記第2下面片の中途部から連設部側に膨らむような有端状の切り目が形成され、前記切り目で囲われた領域の外面と前記第2下面片の中途部から先端部までの領域の外面とが前記第1下面片の外面に接着されている。
【0009】
上記本発明の包装ケースにおいては、扁平状に折り畳まれた筒状壁を筒状に開くと、第1下面片が平坦面状のままで正面壁の内面から離反しながら起立すると同時に、第2下面片が、その中途部において外向きに折れ曲がりながら起立する。
この第2下面片の面内には、中途部から連設部側に膨らんだ有端状の切り目が形成され、この第2下面片は、その中途部から先端部までの領域だけでなく、切り目で囲われた領域の外面も第1下面片の外面に接着されている。
このため、中途部から先端部までの領域及び切り目で囲われた囲い領域が、折れ曲がらずに第1下面片に沿って平坦面状のままである一方、前記切り目で囲われた領域を除いた領域は、中途部において第1下面片に対して鋭角状に折れ曲がる。
よって、第2下面片の中途部全体において第2下面片が折れ曲がらず、第2下面片の接着部分がピール剥離を生じ難い。
【0010】
本発明の好ましい包装ケースは、前記切り目で囲われた領域を除いて、前記第2下面片の中途部に、第2下面片の幅方向に延びる折り罫線が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装ケースは、下面壁が第1下面片及び第2下面片を接着することによって形成されており、第1下面片と第2下面片の接着部分が剥がれ難い。
かかる包装ケースは、その筒状壁内に物品を収納して流通に供している間に、物品が抜け落ちることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る包装ケースを背面側から見た斜視図。
【図2】同包装ケースの下面図。
【図3】図2のIII−III線で切断した上部省略断面図。
【図4】図2のIV−IV線で切断した上部省略断面図。
【図5】同包装ケースを扁平状に折り畳んだ状態の背面図(図中、一点鎖線は、折り罫線を表す)。
【図6】図5のVI−VI線で切断した拡大断面図。
【図7】図5のVII−VII線で切断した拡大断面図。
【図8】同包装ケースを形成するシート材の展開図(図中、一点鎖線は、折り罫線を表す)。
【図9】図8の一部分の拡大図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る包装ケースを形成するシート材の展開図(図中、一点鎖線は、折り罫線を示す)。
【図11】図10のシート材から形成された包装ケースの下面図。
【図12】図11のXII−XII線で切断した上部省略断面図。
【図13】図11のXIII−XIII線で切断した上部省略断面図。
【図14】従来の包装ケースの斜視図。
【図15】従来の包装ケースの下面図。
【図16】図15のXVI−XVI線で切断した上部省略断面図。
【図17】従来の包装ケースを扁平状に折り畳んだ状態の上部省略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、各部の用語の接頭語として、第1、第2などを付す場合があるが、該接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、各部の順序や優劣などを意味しない。また、包装ケースを構成する各壁を区別するため、正面壁、背面壁、上面壁及び下面壁と呼ぶが、正面、背面、上面及び下面は、特定の方向を意味しない。
【0014】
図1〜図4は、シート材を組み立てて形成された包装ケース1を示す。図5〜図7は、前記包装ケース1を扁平状に折り畳んだ状態を表している。図8及び図9は、包装ケース1を形成するシート材の展開図である。
図5に示す扁平状に折り畳んだ包装ケース1(筒状体4)を、筒状に開くことにより、図1〜図4に示す包装ケース1が得られる。
この包装ケース1は、正面壁2及び背面壁3を有する筒状壁4と、前記筒状壁4の上方開口を塞ぐ上面壁5と、前記筒状壁4の下方開口を塞ぐ下面壁6と、を有する。
包装ケース1は、下面壁6を下にして自立させることができる。
【0015】
包装ケース1の筒状壁4の内部には、図1に示すように、物品10が収納される。物品10は、その下面が包装ケース1の下面壁6の上に接した状態で、筒状壁4内に収納される。
【0016】
筒状壁4の正面壁2は、平坦面とされており、筒状壁4の背面壁3は、円弧面(又は多角形面)とされている。このように筒状壁4が円弧面状又は多角面状の背面壁3を有する筒状体であれば、物品10を筒状壁4の幅方向略中央部に収納できるので好ましい。従って、幅方向に位置ズレを起こすことなく、筒状壁4内に物品10を収納できる。
【0017】
包装ケース1を形成するシート材は、特に限定されず、従来公知のシートを用いることができる。
シート材としては、例えば、合成樹脂製シート、金属蒸着層を有する合成樹脂製シート、厚紙、及びこれらの積層シートなどが挙げられる。
好ましくは、シート材としては、合成樹脂製シートを含むシートが用いられ、より好ましくは、合成樹脂製シート(2枚以上の合成樹脂製シートが積層された合成樹脂製積層シートを含む)が用いられる。合成樹脂製シートの材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系などが挙げられる。特に、耐屈曲性(ヒンジ特性)に優れていることから、ポリプロピレン製シート、又はポリプロピレン製シートが積層された積層シートが好ましい。
【0018】
また、シート材は、透明性に優れたシートを用いることが好ましい。該透明性に優れたシートとしては、全光線透過率が70%以上のシートが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
【0019】
上記シート材は、無色であることが好ましいが、透明性を損なわない範囲で着色されていてもよい。
シート材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.2mm〜1.0mm程度である。
ポリプロピレン製シートを用いる場合には、適度な剛性を有することから、シート材の厚みは、0.2mm〜0.6mmが好ましい。
【0020】
筒状壁4の内部に収納される物品10の形状は特に限定されない。例えば、円筒状の胴部を有する物品、四角筒状の胴部を有する物品など任意である。
また、物品の具体例としては、略円筒状容器に入れられた化粧品、文房具、容器に包装された菓子、おもちゃ、スプレー缶、乾電池などが挙げられる。
【0021】
筒状壁4は、平坦面とされた正面壁2と、円弧面(又は多角面)とされた背面壁3と、を有する筒状体である。該筒状壁4の上方は、上方開口を有し、且つ、筒状壁4の下方は、下方開口を有する。
正面壁2は、所定幅の矩形状シート片から形成されている。
なお、正面壁2の上方には、ヘッダー片74が延設されている。該ヘッダー片74の面内の中央部には、吊下げ孔が形成されている。
【0022】
背面壁3は、正面壁2の幅よりも幅広の矩形状シート片から形成されている。
背面壁3の両側辺は、幅方向と直交する方向に形成された第1折り罫線1a及び第2折り罫線2aを介して、正面壁2の両側辺に連設されている。両側辺が正面壁2に連設され且つ幅広の矩形状シート片から形成された背面壁3は、外側へ膨らんだ円弧面(又は多角面)となる。
【0023】
ここで、上記包装ケース1は、図8及び図9に示すシート材11から形成できる。図8及び図9において、シート材11に、包装ケース1の各部に対応する符号を付している。
41は、背面壁3の一方の側辺に連設された糊代片を示す。該糊代片41を正面壁2の他側部に接着することによって、筒状壁4が形成される。
3a,4aは、第1折り罫線1a及び第2折り罫線2aの近傍に且つこれと平行に形成された第3折り罫線及び第4折り罫線を示す。包装ケース1内に物品10を収納しないとき、該第3折り罫線3a及び第4折り罫線4aにおいて背面壁3を折り曲げることによって背面壁3が平坦面となるため、筒状壁4を扁平状に折り畳むことができる(図5〜図7参照)。
また、扁平状の筒状壁4の内部に物品10を収納して筒状壁4を筒状に開いたときには、折り罫線3a,4aで背面壁3が鈍角状に折れ曲がるので、背面壁3は、該折り罫線3a,4aにおいて鈍角部を有する円弧面(又は多角面)となる(図1〜図4参照)。
【0024】
なお、図8において、第3折り罫線3aと第4折り罫線4aの間における背面壁3の面内には、2本の折り罫線が形成されているが、この2本の折り罫線は、形成されていても或いは形成されていなくても、効果的に変わらない。
【0025】
上記筒状壁4の上方開口を塞ぐため、該上方開口に、上面壁5が嵌められている。
上面壁5は、平面視略台形状に形成されている。なお、本明細書において、平面視形状は、面に対して垂直な方向から見た形状をいう。
好ましくは、上面壁5は、一方の斜辺と下底との成す角及び他方の斜辺と下底との成す角(下底の両側部に形成される2つの内角)が、いずれも鋭角である台形状に形成される。より好ましくは、上面壁5は、図1及び図8に示すように、等脚台形状に形成されている。
【0026】
略台形状の上面壁5は、その上底を背面壁3側に向けて配置され、且つその下底を正面壁2側に向けて配置されている。
上面壁5は、好ましくは、その上底を背面壁3の略中央部に向けて配置されている。このように上面壁5が配置されていることによって、背面壁3は、その略中央部が最も外側へ膨らんだ円弧面形状となる。従って、背面壁3の幅方向略中央部に物品10を保持することができる。
【0027】
具体的には、上面壁5の上底は、第5折り罫線5aを介して背面壁3の上辺の略中央部に連設されている。上底に沿って形成された第5折り罫線5aにおいて上面壁5を折り曲げることによって、上面壁5が筒状壁4の上方開口に嵌められ、該上方開口を塞いでいる。
また、上面壁5の一方の斜辺と背面壁3の上辺の一方側の間には、平面視略三角形状の第1連結片71が第6折り罫線6a及び第8折り罫線8aを介して連設されている。上面壁5の他方の斜辺と背面壁3の上辺の他方側の間には、同様に平面視略三角形状の第2連結片72が第7折り罫線7a及び第9折り罫線9aを介して連設されている。第1連結片71及び第2連結片72は、上面壁5の両斜辺に沿って形成された各折り罫線6a,7a及び背面壁3の上辺の両方側に沿って形成された各折り罫線8a,9aを介してそれぞれ折り曲げ可能である。
【0028】
上記第1連結片71及び第2連結片72は、上面壁5を筒状壁4の上方開口に嵌めたときに、上面壁5の両斜辺と背面壁3の上辺の両方側の間に生じる隙間を閉塞すると共に、背面壁3の内面を外側へ押圧する片である。
具体的には、上面壁5を折り曲げたとき、上記第6折り罫線6a及び第7折り罫線7aにおいて第1連結片71及び第2連結片72が上面壁5の外面に対して略直角状に折れ曲がる。かかる第1連結片71及び第2連結片72が上面壁5の外面に対して略直角状に折れ曲がることによって、前記背面壁3の内面が前記第1連結片71及び第2連結片72によって外側に押し出されている。かかる第1連結片71及び第2連結片72によって背面壁3の上方部が補強され、背面壁3の形状(本実施形態では、背面壁3の円弧面(又は多角面)とされた形状)が維持される。
【0029】
一方、上面壁5の下底には、フラップ片73が第10折り罫線10aを介して連設されている。
フラップ片73は、上面壁5を筒状壁4の上方開口に嵌めたときに、第10折り罫線10aにおいて上面壁5の外面に対して約90度に折り曲げられる。折り曲げられたフラップ片73は、へッダー片74に添えられている。
もっとも、フラップ片73を上面壁5の内面に対して約90度に折り曲げ、該フラップ片73が正面壁2の内面に沿わせながら筒状壁4の内部に挿入されていてもよい。
【0030】
次に、上記筒状壁4の下方開口を塞ぐため、該下方開口に、下面壁6が設けられている。
下面壁6は、前記正面壁2の下辺に連設され且つ内側へ折り曲げられた第1下面片7と、前記背面壁3の下辺に連設され且つ内側に折り曲げられた第2下面片8と、を有する。下面壁6は、この第1下面片7に第2下面片8を接着することにより形成されている。
【0031】
具体的には、本実施形態の包装ケース1は、平坦面状の正面壁2と円弧面状の背面壁3を有する筒状壁4を有するので、この筒状壁4の形状に対応して、上面壁5が平面視略台形状に形成されており、これに対応して、筒状壁4の下方開口を塞ぐ第1下面片7も平面視略台形状に形成されている。
図8のシート材11に示すように、この略台形状の第1下面片7の下底が第11折り罫線11aを介して正面壁2の下辺に連設されている。第1下面片7は、前記第11折り罫線11aにおいて、正面壁2の内面側に折り曲げることができる。
この第1下面片7の面内には、この第11折り罫線11aの中央部から正面壁2と反対側に膨らむような有端状の切り目91(例えば、平面視略コ字状)が形成されている。切り目91は、第1下面片7を厚み方向全体に切り込んだ切込み線である。前記切り目91で囲われた部分は、図3及び図4に示すように、下面壁6にて筒状壁4の下方開口を塞いだときに、載置面上に接地する、包装ケース1の脚部31を構成する。
【0032】
さらに、第1下面片7の一方の斜辺には、第12折り罫線12aを介して第1フラップ片76が連設されている。第1下面片7の他方の斜辺には、第13折り罫線13aを介して第2フラップ片77が連設されている。
第1フラップ片76及び第2フラップ片77は、例えば、矩形状、又は、第1下面片7の斜辺を底辺とする略三角形状に形成されている。
【0033】
上記第1フラップ片76及び第2フラップ片77は、筒状体4の下方開口を下面壁7で塞いだときに、第1下面片7の両斜辺と背面壁3の内面の間に生じる隙間を閉塞すると共に、背面壁3の内面を外側へ押圧する片である(図1〜図4参照)。
かかる第1フラップ片76及び第2フラップ片77が背面壁3の内面を外側へ押圧することによって、背面壁3の下方部が補強され、背面壁3の形状(本実施形態では、背面壁3の円弧面(又は多角面)とされた形状)が維持される。
【0034】
図8及び図9に示すように、上記第2下面片8は、例えば、平面視略六角形状に形成されている。筒状壁4を筒状に開くことによって下面壁6を形成したときに、第1下面片7の縁から第2下面片8の一部分が突出しないようにすることが好ましい。このため、第2下面片8の面積は、第1下面片7よりも小さく形成されている。第2下面片8は、背面壁3の下辺の略中央部に、第14折り罫線14aを介して連設されている。
この第2下面片8の面内には、第2下面片8の中途部8cから連設部8d側に膨らむような有端状の切り目92が形成されている。
【0035】
ここで、本明細書において、第2下面片の中途部とは、第2下面片8の先端部8eから連設部8dの間の任意の部分を意味し、第2下面片の中間部とは、前記先端部8eと連設部8dの間の中間部分を意味する。
第2下面片の連設部とは、第2下面片8が筒状壁4に連設された部分を意味し、背面壁3の下辺に第14折り罫線14aを介して第2下面片8が連設されている本実施形態においては、連設部は、第14折り罫線14aに相当する。
また、切り目で囲われた領域とは、非直線状の切り目92と前記中途部8cとで区画される領域を意味する。
以下、切り目で囲われた領域81を、「囲い領域」という。
また、第2下面片8の中途部8cを基準にして、その中途部8cから先端部8eまでの領域82を、「前領域」といい、中途部8cから連設部8dまでの領域83を「後領域」という。
本明細書において、内面とは、図8に示すように展開したシート材における一方の面を指し、外面とは、内面とは反対側の面を指す。
【0036】
前記切り目92は、第2下面片8を厚み方向全体に切り込んだ切込み線である。有端状の切り目92は、2つの端部を有する切込み線であり、前記2つの端部間は、非直線状である。前記切り目92の形状は、連設部8d側に膨らむ非直線状であれば特に限定されない。例えば、切り目92の形状は、第2下面片8の中途部8c上(好ましくは中間部上)に2つの端部(両端部)が位置し且つその両端部間の非直線状の切込み線が後領域83の面内に形成された、平面視略半円弧線状、又は、平面視略山型線状や平面視略コ字状などの平面視略多角線状などが挙げられる。
【0037】
前記第2下面片8を中途部8cにおいて折り曲げると、後領域83が前領域82に対して屈曲するが、囲い領域81と前領域82は切り目92の両端部の間で一体的に繋がっているので、切り目92において囲い領域81が後領域83から離反する(抜け出る)。このため、囲い領域81は、前領域82に対して屈曲せず、前領域82と同一平面上に延出される。
【0038】
上記包装ケース1は、シート材11を下記のように組み立てることによって形成されている。
すなわち、第1下面片7が、正面壁2の内面に重なるように第11折り罫線11aにおいて180度折り曲げられ、且つ、第2下面片8が、背面壁3の内面に重なるように第14折り罫線14aにおいて180度折り曲げられ、さらに、正面壁2と背面壁3の内面同士が重なるように正面壁2を背面壁3の内面側へ第4折り罫線4aにおいて180度折り曲げられている。
このように折り曲げると、第1下面片7の外面と第2下面片8の外面とが重なる。このとき、図6に示すように、第1下面片7の先端部と第2下面片8の先端部は、一致している(つまり、第1下面片7と第2下面片8の折り曲げたときの長さは略同一である)。
そして、第2下面片8の囲い領域81及び前領域82の外面が、第1下面片7の外面に接着剤などの接着手段を用いて接着されている。
図6及び図7において、接着手段を層状に表し、その層に符号Aを付している。
また、図9において、第2下面片8のうち、接着される領域を薄墨塗りで表す。
なお、囲い領域81の外面全体及び前領域82の外面全体が、第1下面片7にそれぞれ接着されていてもよいし、囲い領域81の外面の一部分及び前領域82の外面の一部分が、第1下面片7にそれぞれ接着されていてもよい。
【0039】
最後に、糊代片41を第1折り罫線1aにおいて180度折り曲げ、該糊代片41を正面壁2の他側部に接着することによって、図5に示すように、扁平状に折り畳まれた包装ケース1が得られる。
【0040】
扁平状に折り畳まれた包装ケース1の筒状壁4を筒状に開いた後、筒状壁4の内部に物品10を挿入する。或いは、扁平状に折り畳まれた包装ケース1の筒状壁4の上方開口からその内部に、物品10を挿入しながら、筒状壁4を筒状に開く。
筒状壁4を筒状に開くと、第1下面片7は平坦面となったままで正面壁2の内面から離反しながら起立すると同時に、第2下面片8は、その中途部8cにおいて外向きに折れ曲がりながら起立する。
【0041】
上記包装ケース1は、第2下面片8のうち囲い領域81及び前領域82が第1下面片7に接着されているので、図1〜図4に示すように、切り目92にて分離した囲い領域81及び前領域82は、平坦面状の第1下面片7に沿って平坦面状である一方、第2下面片8は中途部8cにおいて折れ曲がり、後領域83から囲い領域81を除いた残部領域84が、第1下面片7の外面から離反して、第1下面片7を下方から支持する。
なお、第1下面片7が起立したときには、第1フラップ片76及び第2フラップ片77が折れ曲がり、両フラップ片76,77が背面壁3の内面を押圧する。
【0042】
本発明の包装ケース1においては、第2下面片8の中途部8c全体に渡って折れ曲がらず、前記中途部8cの中央部から囲い領域81が延出され、この囲い領域81が前領域82と共に第1下面片7に接着されている。このため、前領域82の幅方向全体に折り目が生じず、第2下面片8の接着部分(囲い領域81及び前領域82)がピール剥離を生じ難い。
また、本発明の包装ケース1は、前領域82だけでなく囲い領域81も接着しているので、第2下面片8の全面積中に占める、第1下面片7への接着部分の面積割合が高くなる。このため、第2下面片8の接着部分が、第1下面片7から剥がれ難くなる。特に、本実施形態では、第1下面片7が略台形状に形成され、第1下面片7の上底側に第2下面片8の前領域82が接着されるため、前領域82の接着部分の面積が相対的に小さくなる。この点、上記切り目92を形成することにより、囲い領域81も接着部分となるので、略台形状の第1下面片7に接着された第2下面片8が剥がれ難くなる。
【0043】
次に、本発明の包装ケースの他の実施形態を示す。
以下、他の実施形態について説明するが、上記実施形態と同様の構成及び効果についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用する場合がある。
上記実施形態では、第1下面片7が正面壁2の下辺に連設され且つ第2下面片8が背面壁3の下辺に連設されているが、これとは反対に、第1下面片7が背面壁3の下辺に連設され且つ第2下面片8が正面壁2の下辺に連設されていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、第1下面片7は、平面視略台形状に形成されているが、第1下面片7は略台形状に限定されず、他の形状に変更することもできる。例えば、図10に示すように、第1下面片7は、略台形片とこの略台形片の上底から延設された矩形片とからなる平面視形状に形成されていてもよい。このような形状の第1下面片7を有する包装ケース1の下面壁6は、図11に示すように、平坦面状の正面壁2と円弧面状(又は多角形面状)の背面壁3を有する筒状壁4の下方開口を塞ぐことができる。
【0045】
さらに、上記実施形態では、第2下面片8は、平面視略六角形状に形成されているが、第2下面片8は略六角形状に限定されず、他の形状に変更することもできる。例えば、図10に示すように、第2下面片8は、平面視略矩形状に形成されていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、第2下面片8の面内に折り罫線が形成されていないが、例えば、図10に示すように、囲い領域81(切り目92で囲われた領域)を除いた第2下面片8の中途部8c上に、第2下面片8の幅方向に延びる第15折り罫線15aが形成されていてもよい。
なお、切り目92の両端部が第2下面片8の中途部8c上に位置している場合には、図10に示すように、前記第15折り罫線15aは、切り目92の両端部から第2下面片8の両側縁にまでそれぞれ形成される。
【0047】
図10に示すようなシート材11も、上記実施形態と同様にして、第2下面片8の囲い領域81及び前領域82の外面を、第1下面片7の外面に接着することにより、図11〜図13に示す包装ケース1を得ることができる。
この包装ケース1も、上記実施形態と同様に、第2下面片8の接着部分(囲い領域81及び前領域82)がピール剥離を生じ難い。
特に、この包装ケース1は、前記切り目92で囲われた領域を除いて、第2下面片8の中途部8cに、第2下面片8の幅方向に延びる第15折り罫線15が形成されている。このため、後領域83の残部領域84が、前記第15折り罫線15aにおいて、前領域82に対して折れ曲がり易くなる。従って、この包装ケース1は、第2下面片8の接着部分がピール剥離をより生じ難くくなる。
【0048】
また、上記実施形態では、図6に示すように、第1下面片7の先端部と第2下面片8の先端部が一致するように、両片7,8が接着されているが、前記第1下面片7の先端部と第2下面片8の先端部は、一致していなくてもよい。例えば、第1下面片7の先端部が、第2下面片8の先端部よりも上方に延出した状態で、両片7,8が接着されていてもよいし、或いは、第2下面片8の先端部が、第1下面片7の先端部よりも上方に延出した状態で、両片7,8が接着されていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、正面壁2は平坦面とされているが、正面壁2は、平坦面状に限られず、正面壁2も背面壁3と同様に、外側に膨らむ円弧面(又は多角形面)とされていてもよい。本発明の包装ケース1は、背面壁3が円弧面(又は多角形面)とされているので、この形状に従って物品10を筒状壁4の所定位置(例えば、筒状壁4の幅方向略中央部)に収納保持できる。
さらに、上記実施形態では、上面壁5及び下面壁6が略台形状に形成されているが、これに限定されず、上面壁5及び下面壁6は、例えば、筒状壁4の上方開口及び下方開口の形状に合わせて適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の包装ケースは、各種の物品を収納するために使用できる。
【符号の説明】
【0051】
1…包装ケース、2…正面壁、3…背面壁、4…筒状壁、5…上面壁、6…下面壁、7…第1下面片、8…第2下面片、81…切り目で囲われた領域、82…中途部から先端部までの領域、8c…第2下面片の中途部、8d…第2下面片の連設部、8e…第2下面片の先端部、92…切り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を組み立てて形成されており、
正面壁と背面壁を有する筒状壁と、前記筒状壁の下方開口を塞ぐ下面壁と、を有し、
前記下面壁が、前記正面壁又は背面壁の何れか一方の下辺に連設され且つ内側へ折り曲げられた第1下面片と、前記背面壁又は正面壁の何れか他方の下辺に連設され且つ内側に折り曲げられた第2下面片と、から形成され、
前記正面壁と背面壁の内面同士が重なるように前記筒状壁を扁平状に折り畳んだ状態において、前記第1下面片の外面と第2下面片の外面が重なり且つ前記第2下面片の中途部から先端部までの領域が第1下面片の外面に接着されている包装ケースであって、
前記第2下面片の面内には、前記第2下面片の中途部から連設部側に膨らむような有端状の切り目が形成され、前記切り目で囲われた領域の外面と前記第2下面片の中途部から先端部までの領域の外面とが前記第1下面片の外面に接着されていることを特徴とする包装ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−68376(P2011−68376A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219922(P2009−219922)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】