説明

包装体、その製造方法及び製造装置

【課題】 フィルム片が発生せず、樹脂フィルムを溶断する為の熱源を要することなくかつ埃や異物がパレット内に侵入し難い包装体、その製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】 フォーク爪差し込み口4を有するパレット2上に積載された多数個の飲料用缶1、1・・・がパレット2ごと樹脂フィルム6にて被覆されている包装体Aである。樹脂フィルム6のフォーク爪差し込み口被覆領域6aに水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目7が設けられているので、樹脂フィルム6にフォーク爪を差し込む際に、樹脂フィルム6が千切れてフィルム片が発生することがない。樹脂フィルム6の弛みを減少又は消滅させながらフォーク爪差し込み案内用切目7を設ける手段が作動するので、樹脂フィルム6に皺が寄っていたり弛んでいたりしていても、樹脂フィルム6に所期するフォーク爪差し込み案内用切目7が確実に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、大量の飲料用缶等の包装対象物がシュリンクフィルムなどの樹脂フィルムを用いてパレットごと包装された包装体、その製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料用缶メーカーから缶飲料メーカーへの大量の飲料用缶の搬送は、パレット上に数千個の飲料用缶を多段積層状態に積み上げた後、パレットごとシュリンクフィルムあるいはストレッチフィルム等の樹脂フィルムを用いて被覆したフィルム包装体を用いることによって行われている。
【0003】
而して、前記フィルム包装体は、その搬送途上等において、フォークリフトのフォーク爪が、フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムを破断しながらフォーク爪差し込み口に進入し退出する。このフォーク爪の進退動作によって、樹脂フィルムが千切れて小さなフィルム片が発生し、この小さなフィルム片がフォーク爪差し込み口に残存していると、缶飲料メーカーにおいて包装体を開封する際に、前記フィルム片が現場で舞い上がったり、飲料用缶内に混入したりすることがあった。
【0004】
そこで、このようなフィルム片が発生しないように、予めフォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムを方形状にカットしてフォーク爪差し込み用開口を設けておいたり、樹脂フィルムに熱風を当て、その部分の樹脂フィルムを溶かして除去・開口したりする技術が公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2523424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示されているような、予めフォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムを方形状にカットしてフォーク爪差し込み用開口を設けるという技術は、前記カット後に発生する小さなフィルム片の処理が面倒である。
【0007】
一方、樹脂フィルムに熱風を当て、その部分の樹脂フィルムを溶かして除去・開口する技術は、樹脂フィルム溶断のための熱源を要する。
【0008】
また、いずれにせよ、予めフォーク爪差し込み口が開口されたままとなっていると、飲料用缶メーカーから缶飲料メーカーへの包装体の搬送途上や保管時に、その樹脂フィルムの開口から埃や異物が包装体内に侵入するおそれがある。
【0009】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであり、フィルム片が発生せず、樹脂フィルムを溶断する為の熱源を要することなくかつ埃や異物が包装体内に侵入し難い包装体、その製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、下記[1]〜[5]の構成を有する。
【0011】
[1] フォーク爪差し込み口を有するパレット上に積載された包装対象物がパレットごと樹脂フィルムにて被覆され、該樹脂フィルムの前記フォーク爪差し込み口被覆領域に、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目が設けられてなることを特徴とする包装体。
【0012】
[2] フォーク爪差し込み口を有するパレット上に積載された包装対象物をパレットごと樹脂フィルムにて被覆した後、該樹脂フィルムの前記フォーク爪差し込み口被覆領域に、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目を設けることを特徴とする包装体製造方法。
【0013】
[3] 前記フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させながら前記フォーク爪差し込み案内用切目を設けるものとなされている前項2に記載の包装体製造方法。
【0014】
[4] フォーク爪差し込み口を有するパレット上に積載された包装対象物をパレットごと樹脂フィルムにて被覆する手段と、前記樹脂フィルムの前記フォーク爪差し込み口被覆領域に水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段とを備えていることを特徴とする包装体製造装置。
【0015】
[5] 前記フォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段の動作に合わせて、前記フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段を備えている前項4に記載の包装体製造装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0017】
[1]の発明では、樹脂フィルムのフォーク爪差し込み口被覆領域に、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目が設けられていることにより、フォーク爪がフォーク爪差し込み口に差し込まれる際に、フォーク爪によって樹脂フィルムのフォーク爪差し込み案内用切目の上下が少し延びた状態となるだけで、樹脂フィルムが千切れることがないし、千切れることによって小さなフィルム片が発生することがない。
【0018】
したがって、包装対象物を使用する現場において包装体を開封する際に、小さなフィルム片が舞い上がって、包装対象物に付着したり包装対象物の中に入ったりする不具合が生じるおそれがない。
【0019】
また、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目は、切り目に沿った樹脂フィルムの上下が密着しているので、埃や異物が該切り目から包装体内に侵入し難く、包装対象物の衛生的な包装を実現できる。
【0020】
さらに、フォーク爪差し込み案内用切目が設けられる際に、その為の特別な熱源を必要としないので、製造に要するエネルギーを可及的小さくできるという効果を奏する。
【0021】
[2]の発明では、フォーク爪差し込み口を有するパレット上に積載された包装対象物をパレットごと樹脂フィルムにて被覆した後、該樹脂フィルムの前記フォーク爪差し込み口被覆領域に、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目を設けるものとなされているので、所定の領域に確実にフォーク爪差し込み案内用切目が設けられ、フォーク爪がフォーク爪差し込み口被覆領域に差し込まれた際に、樹脂フィルムがフォーク爪差し込み口内部に押し込まれるだけで、樹脂フィルムが引きちぎられてフィルム片が発生することのない包装体を製造できる。
【0022】
また、埃や異物が侵入し難い、衛生的な包装体を製造できる。
【0023】
[3]の発明では、フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させながらフォーク爪差し込み案内用切目を設けるものとなされていることにより、樹脂フィルムにフォーク爪差し込み案内用切目を設け難い皺や弛みが生じていてもそれらが減少又は消滅され、フォーク爪差し込み案内用切目が設けやすくなり、所期する包装体を製造できる。
【0024】
[4]の発明では、樹脂フィルムのフォーク爪差し込み口被覆領域に水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段を備えていることにより、フォーク爪がフォーク爪差し込み口被覆領域に差し込まれた際に、樹脂フィルムがフォーク爪差し込み口内部に押し込まれるだけで、樹脂フィルムが引きちぎられてフィルム片が発生することのない包装体を製造できる。
【0025】
また、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目は、切り目に沿った樹脂フィルムの上下が密着しているので、埃や異物が該切り目から包装体内に侵入し難い衛生的な包装を製造できる。
【0026】
[5]の発明では、フォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段の動作に合わせて、フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段を備えていることにより、フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムに皺や弛みが生じていても皺や弛みが消失されるかあるいは僅かなものとなって、フォーク爪差し込み案内用切目を設けやすく、所期する包装体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(イ)は、本発明に係る包装体の斜視図、(ロ)は、要部拡大正面図である。
【図2】フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムにフォーク爪が差し込まれる途中の斜視図である。
【図3】包装体製造装置のカッター装置の正面図である。
【図4】包装体製造装置のカッター装置の要部側面図である。
【図5】樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段がパレットに当接した状態を示す側面図である。
【図6】樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段の第2圧接体が下降する途中の状態を示す側面図である。
【図7】樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段の第2圧接体が下降し終わった状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る包装体Aの実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
図1は、包装体Aを、その上部の樹脂フィルム6を切り欠いた状態で示すもので、従来の包装体と同様に、パレット2上に多段積層状態に積み上げられた包装対象物である多数個の飲料用缶1、1、1、・・・が、パレット2ごと樹脂フィルム6によりシュリンク包装されたものである。
【0030】
この実施形態では、積み上げられた各段には約400缶の飲料用缶1が配列され、1段毎に合紙8が敷かれ、最上段の飲料用缶1の上面にも合紙8が敷かれ、この合紙8の上に天板9が載置され、これらがパレットごとPPバンド10により結束され、さらに結束後のパレット2ごとポリエチレン製樹脂フィルム6により包装されている。
【0031】
パレット2は、上面デッキボード2aと下面デッキボード2bとの間に複数個のブロック2c、2c、2cが介在され、両端のブロック2cと中央のブロック2cとの間にフォーク爪差し込み口4が形成されているもので、このフォーク爪差し込み口4も前記樹脂フィルム6に覆われている。
【0032】
そして、この包装体Aは、前記樹脂フィルム6のフォーク爪差し込み口被覆領域6aに、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目7が設けられている。
【0033】
このフォーク爪差し込み案内用切目7は、フォーク爪差し込み口4の幅方向中央から左右水平方向に延びているが、フォークリフト操作者がフォーク爪11をフォーク爪差し込み口4に差し込む操作を行う場合、その差し込み位置は常に一定ではなくフォーク爪差し込み口被覆領域6aの幅方向中央から多少左右にぶれることがあり、フォー爪差し込み案内用切目7の長さがフォーク爪11の幅より短いと、フォーク爪11がフォー爪差し込み案内用切目7が存在しない部位にフォーク爪11が差し込まれることによってフィルム片が千切れることがあり得る。
【0034】
このようなことがあるという事情を考慮すると、このフォーク爪差し込み案内用切目7の長さは、フォークリフト数種のフォーク爪11の平均幅の1.8倍からフォーク爪差し込み口4の幅まで(本実施形態では2.1倍)に設定されていることが好ましい。
【0035】
因みに、フォークリフト数種のフォーク爪11の平均幅が116.5mm、この実施形態のパレット2のフォーク爪差し込み口4の幅が252mmであることから、前記フォーク爪差し込み案内用切目7の長さは前記フォーク爪11の平均幅の約1.9倍の220mmに設定されている。
【0036】
このフォーク爪差し込み案内用切目7が設けられていることにより、フォークリフトのフォーク爪11がフォーク爪差し込み口4に差し込まれる際に、フォーク爪11によって樹脂フィルム6のフォーク爪差し込み案内用切目7の上下が少し延びた状態となるだけで、樹脂フィルム6が千切れることがないし、千切れることによって小さなフィルム片が発生することがない。
【0037】
したがって、缶飲料メーカーが製造現場において包装体Aを開封する際に、フィルム片が舞い上がって、飲料缶1に付着したり飲料缶の中に入ったりする不具合が生じるおそれがない。
【0038】
また、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目7に沿った樹脂フィルム6の上下が密着しているので、埃や異物が該切り目から包装体内に侵入し難く、飲料用缶の衛生的な包装を実現できる。
【0039】
この包装体Aは以下に述べるような製造方法によって製造される。
【0040】
先ず、従来の包装対象物が飲料用缶である包装体と同様に、パレット2上に積載された多数の飲料用缶1、1・・・をパレット2ごと樹脂フィルム6にて被覆した後、該樹脂フィルム6の前記フォーク爪差し込み口被覆領域6aに、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目7を設けることによって、この包装体Aが製造されるものであり、前記フォーク爪差し込み案内用切目7を設ける際には、前記フォーク爪差し込み口被覆領域6a樹脂フィルム6の弛みを減少又は消滅させながら行われるものである。
【0041】
この製造方法によれば、樹脂フィルム6の弛みが減少又は消滅されるので、フォーク爪差し込み案内用切目7が設けやすくなり、所期する包装体Aを製造できる。
【0042】
この製造方法は、以下の包装体製造装置Mを用いることによって実現される。
【0043】
包装体製造装置Mは、前記飲料用缶1の多数個をパレット2ごと包装する手段や包装体Aを搬送する手段等(以上の手段については図示省略)に加えて、前記樹脂フィルム6の前記フォーク爪差し込み口被覆領域6aに水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段12と前記フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段14、16を備えている。
【0044】
このフォーク爪差し込み案内用切目7を設ける手段12とフォーク爪差し込み口被覆領域6aの樹脂フィルム6の弛みを減少又は消滅させる手段14、16とは、包装体製造装置Mの中で一体的に取り扱われ相互に連関して作動するものであるので、両手段を備えている部分をカッター装置Cと呼ぶことにする。
【0045】
図3は、前記カッター装置Cの正面図を示し、図4〜7はその動作を説明する概略側面図である。この図4〜7は、図3のカッター装置Cとパレット2の関係をわかりやすくするために、パレットの上面デッキボード2aと下面デッキボード2bとを図1及び図2に示すそれらよりも厚さのあるものとして作図されている。
【0046】
カッター装置Cは、フォーク爪差し込み案内用切目7を設ける手段としてのカッター12(一点鎖線で表示)を内部に備えている。
【0047】
該カッター12は、常時はカッター装置C内に待機しており、フォーク爪差し込み口被覆領域6aの樹脂フィルム6の弛みを減少又は消滅させる手段14、16が所定位置に達したときに、カッター装置C前面のカッター出入り口13から外部へ突出して前記樹脂フィルムに切目を刻設できるものとなされている。
【0048】
このカッター12によるフォーク爪差し込み案内用切目7の刻設動作は、図示省略したが、エアーシリンダーで押し出すことにより行われるものであり、その推力及び速度等は適宜選定されるものである。
【0049】
カッター12の刃長は、前記フォーク爪差し込み案内用切目7の長さに対応し、フォークリフト数種のフォーク爪11の平均幅の1.8倍からフォーク爪差し込み口4の幅まで(本実施形態では2.1倍)に設定されていることが好ましい。
【0050】
因みに、フォークリフト数種のフォーク爪11の平均幅が116.5mm、この実施形態のパレット2のフォーク爪差し込み口4の幅が252mmであることから、カッター12の刃長は前記フォーク爪11の平均幅の約1.9倍の220mmに設定されている。
このカッター装置Cの前面上部には、パレット2の上面デッキボード2aの端面の長さ方向に沿って当接するウレタンゴム製の第1圧接体14が、カッター装置C前面の横幅一杯に亘って突設されている。
【0051】
また、このカッター装置Cの前面下部には、パレット2の下面デッキボード2bの端面の長さ方向に沿って当接する軟質ウレタンゴム製の第2圧接体16が後述する第2圧接体支持機構20を介して上下動可能に設けられている。
【0052】
前記第1圧接体14と第2圧接体16とが、フォーク爪差し込み口被覆領域6aの樹脂フィルム6の弛みを減少又は消滅させる手段を構成している。
【0053】
前記第2圧接体16は、図3に示すように、その長さがカッター装置C前面の横幅よりも少し長い目の長さを有し、図4に示すように、その最高位置において前端が前記第1圧接体14の前端よりも前方に突出し、最下降位置においてもなお前端が前記第1圧接体14の前端よりも僅かに突出するものと設定されている。
【0054】
第2圧接体16は、弾性変形可能な素材から作製されており、その前端が第1圧接体14の前端より前方に突出していることにより、第1圧接体14が前記上面デッキボード2aの端面に圧接すると、図5に示すように、前端が下面デッキボード2bの端面に圧接して押し潰された弾性変形した状態となる。この第2圧接体16の動作については改めて後述する。
【0055】
前記第2圧接体支持機構20は、第2圧接体16を芯金17を介して左右両端から支持する左右一対のブラケット21、21と、該ブラケット21を上下動可能に支持するブラケット支持部材22と、ブラケット吊持部材としてのワイヤー23と、該ワイヤー23を支持する上部ローラー25及び下部ローラー26と、前記ワイヤー23の他端に吊り下げられた錘28とを主な構成要素としている。
【0056】
第2圧接体16が樹脂フィルム6に圧着してかつ樹脂フィルム6を破れることなく引き伸ばしながら、スムーズにスライドできるように、前記芯金17の直径は5mm、第2圧接体16の直径は15mmに設定されている。
【0057】
ブラケット支持部材22は、ブラケット支持部材22が上方から下降するに従って、第2圧接体16が対面するパレット2から遠ざけるような前傾状のブラケット支持溝(図示省略)を備えている。
【0058】
この前傾の角度は25度未満であることが望ましい。25度以上になると樹脂フィルム6を下面デッキボード2bの端面に押しつける力が減少しスリップしやすくなるからである。
【0059】
このブラケット支持部材22には、図示省略したが、ブラケット21がブラケット支持部材22から上方又は下方に向かって抜け出さないように、上端部及び下端部にブラケット止め部(図示省略)が設けられている。
【0060】
前記上部ローラー25と下部ローラー26とは、V溝を有するV溝ローラーであり、上部ローラー25の軸心は下部ローラー26の軸心よりもパレット2側に配置して設けられている。
【0061】
前記上部ローラー25と下部ローラー26とは、その大きさ、配置態様が図4〜7に図示されるようなものに限定されるものではないが、第2圧接体16の上下運動がスムーズに行えるように、上部ローラー25は、第2圧接体16の上方でワイヤー23がブラケット21と干渉しない位置に設置され、下部ローラー26は、錘28が下限位置で振動してもブラケット21に衝突しないように、第1圧接体14の前端より離れた位置に設置されていることが望ましい。
【0062】
その趣旨からすると、上部ローラー25がカット装置Cの前端より離れた位置、例えば下部ローラー26の直上付近に設置した場合は、第2圧接体14から上部ローラー25に延びたワイヤー23の角度が水平状態に近くなって、第2圧接体16の先端が上部ローラー25側に引っ張られる力が作用することにより、第2圧接体16の上下動の妨げとなるので、上部ローラー25の軸心は、下部ローラー26の軸心の斜め上方であってかつカット装置Cの前端側にあることが好ましい。
【0063】
さらに、ローラーを大きなもの1つにすることも考えられるが、その場合は、小さなローラーを上下に配置するよりも大きなスペースを必要とすることになるのであまり好ましくない。
【0064】
ワイヤー23の他端には、錘28が吊り下げられている。この錘28の重量は、前記第2圧接体16との釣り合い均衡状態を保つ重量に設定されており、第2圧接体16を下方に押し下げる力が僅かでも作用すると、第2圧接体16が下降したワイヤーの長さ分に等しい距離分上方に吊り上げられるものとなされている。
【0065】
而して、このカッター装置Cの動作について説明すると、先ず搬送手段によって包装体Aがカッター装置Cの前方に搬送されてくると、カッター装置Cが包装体Aに接近するように移動し、図示省略したが所定のセンサーにより前記樹脂フィルム6のフォーク爪差し込み口被覆領域6aを探し当てながら、更に包装体Aに接近し、後述するカッター12による所定の切目刻設動作を行い、この切目刻設動作が完了すると、包装体Aから離反する方向に移動するものと設定されている。
【0066】
このカッター装置Cによる所定の切目刻設動作についてさらに詳しく説明すると、包装体Aに接近したカッター装置Cは、図5に示すように、第1圧接体14が第1上面デッキボード2aの端面に圧接し、第1圧接体14と第1上面デッキボード2aの端面との間に樹脂フィルム6を挟みつける。
【0067】
このとき、第2圧接体16は図5に示すように、前端が押し潰された状態となって、第2圧接体16と下面デッキボード2bとの間に樹脂フィルム6を挟みつけているが、第2圧接体16は、ブラケット21がブラケット支持部材22の前傾状ブラケット支持溝に支持されているので、図5に矢印で示すように反作用として第2圧接体16を下降させる力が生じる。
【0068】
この第2圧接体16が下降する際には、同時に第2圧接体16と下面デッキボード2bとの間の樹脂フィルム6を挟みつけながら徐々に下方に押し下げ、第2圧接体16が下降し終わると、図7に示すように、樹脂フィルム6の弛みが減少される。
【0069】
そして、この第2圧接体16が下降し終わると、カッター装置C内からカッター12がフォーク爪差し込み口被覆領域6aに向かって突出し、樹脂フィルム6に切り込んで所定のフォーク爪差し込み案内用切目7が刻設されるのである。
【0070】
この刻設が終わると、前記カッター12が後退してカッター装置C内に戻り、カッター装置Cは包装体Aから離れるように後退する。
【0071】
そのカッター装置Cの後退により、パレット2の下面デッキボード2bへの第2圧接体16の圧接が解除されることになるので、第2圧接体16を下方に押し下げる方向に作用していた力が解除され、前記錘28との元の釣り合い状態に戻り、第2圧接体16は、図4に示すようなブラケット支持部材22における最高位置に自動的に戻ることになる。
【0072】
この包装体製造装置Mは、フォーク爪差し込み案内用切目7を設ける手段12の動作に合わせて、フォーク爪差し込み口被覆領域6a樹脂フィルム6の弛みを減少又は消滅させる手段14、16を備えていることにより、フォーク爪差し込み口被覆領域6aの樹脂フィルム6に皺や弛みが生じていても皺や弛みが減少又は消滅されるので、フォーク爪差し込み案内用切目7を設けやすく、所期する包装体Aを製造できる。
【0073】
また、この実施形態の包装体製造装置Mは、樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段が錘28の自重によって作動するので、前記手段を駆動させるためのコストがかからずかつメインテナンスも行い易い。
【符号の説明】
【0074】
A・・・・包装体
M・・・・包装体製造装置
1・・・・(包装対象物としての)飲料用缶
2・・・・パレット
4・・・・フォーク爪差し込み口
6・・・・樹脂フィルム
6a・・・フォーク爪差し込み口被覆領域
7・・・・フォーク爪差し込み案内用切目
12・・・(フォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段としての)カッター
14・・・(樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段を構成する)第1圧接体
16・・・(樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段を構成する)第2圧接体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーク爪差し込み口を有するパレット上に積載された包装対象物がパレットごと樹脂フィルムにて被覆され、該樹脂フィルムの前記フォーク爪差し込み口被覆領域に、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目が設けられてなることを特徴とする包装体。
【請求項2】
フォーク爪差し込み口を有するパレット上に積載された包装対象物をパレットごと樹脂フィルムにて被覆した後、該樹脂フィルムの前記フォーク爪差し込み口被覆領域に、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目を設けることを特徴とする包装体製造方法。
【請求項3】
前記フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させながら前記フォーク爪差し込み案内用切目を設けるものとなされている請求項2に記載の包装体製造方法。
【請求項4】
フォーク爪差し込み口を有するパレット上に積載された包装対象物をパレットごと樹脂フィルムにて被覆する手段と、前記樹脂フィルムの前記フォーク爪差し込み口被覆領域に、水平方向に延びたフォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段とを備えていることを特徴とする包装体製造装置。
【請求項5】
前記フォーク爪差し込み案内用切目を設ける手段の動作に合わせて、前記フォーク爪差し込み口被覆領域の樹脂フィルムの弛みを減少又は消滅させる手段を備えている請求項4に記載の包装体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−23243(P2013−23243A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158253(P2011−158253)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】