説明

包装体および包装方法

【課題】物品と共にシートを梱包した包装体を製造する場合、シートの位置がずれないようにこれを物品または樹脂フィルムに接合する必要があった。
【解決手段】本発明による複数個の同一寸法形状のティシュカートン11を重ね合わせて透明樹脂フィルム12で梱包したパック詰めティシュカートン10は、ティシュカートン11と共に梱包されるメッセージカード14を具え、このメッセージカード14は、ティシュカートン11と透明樹脂フィルム12との間に配される露出部14bと、相互に重なり合う2つのティシュカートン11の間に挟まれる差し込み部14aと、これら露出部14bと差し込み部14aとの境界を画成する折り曲げ部14cとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の同一形状の物品をはがきなどのシートと共に樹脂フィルムにて梱包した包装体およびその梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業からのメッセージやアンケートあるいは懸賞応募用紙などの情報伝達媒体を確実に商品の購入者に渡すことができるようにするため、これらの情報伝達媒体を対象となる商品に添えることが一般的に行われている。例えば、ティシュカートンにあっては、複数個のティシュカートンがこれらを包むように樹脂フィルムを折り畳んで形成した、いわゆるキャラメル包装の形態で包装されている。このようなティシュカートンの包装体に対し、近年、広告宣伝文などを印刷した紙片などを用いて広告宣伝機能などを持たせることが望まれている。
【0003】
上述のように、紙片などを用いてティシュカートンの包装体に広告宣伝機能などを持たせる方法として、例えば特許文献1や特許文献2にて提案された方法が知られている。特許文献1には、弱粘着テープを用いて包装体の外面にカードを貼り付けるようにした技術が開示されている。特許文献2は、ティシュカートンの包装前に接着糊をティシュカートンの外箱表面に塗布して情報伝達票を接着し、その後、この情報伝達票が接合されたティシュカートンを含む複数個のティシュカートンを樹脂フィルムにてキャラメル包装する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平06−059258号公報
【特許文献2】特開2009−107681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法の場合、包装体の運搬時や陳列時にカードが他の商品などに接触して不用意に欠落してしまうという問題がある。また、包装物を包むフィルムの表面にカードを保護するための弱粘着テープを接合する必要があり、そのための材料コストが余計に加わってしまうという問題がある。
【0006】
一方、後者の特許文献2に開示された方法の場合、情報伝達票が包装体の中に収容されているため、特許文献1のような弱粘着テープが不要な分だけ材料コストを抑えることが可能である。しかしながら、接着糊をティシュカートンの外箱表面に塗布する点で改良すべき問題がある。すなわち、接着糊の使用は、特許文献1における弱粘着テープほどではないけれども、材料コストの増加をもたらす。また、情報伝達票をティシュカートンから剥がした時に接着糊がティシュカートンの外箱表面の印刷面に損傷を与え、ティシュカートンの見栄えを悪くしてしまう可能性がある。ティシュカートンの外箱表面の印刷面が損傷を受けない場合であっても、接着糊がティシュカートンの外箱表面に付着していると、接着糊の存在によってティシュカートンの見栄えが悪化してしまう可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、材料コストの上昇を招く弱粘着テープや接着糊を全く用いることなく、はがきなどの紙片を包装体内に確実に封入することができる包装体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態は、複数個の同一寸法形状の物品を重ね合わせて樹脂フィルムで梱包した包装体であって、前記物品と共に梱包されるシートを具え、このシートは、前記物品と前記樹脂フィルムとの間に配される露出部と、相互に重なり合う2つの前記物品の間に挟まれる差し込み部と、これら露出部と差し込み部との境界を画成する折り曲げ部とを有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、相互に重ね合わされる2個の物品の間にシートの差し込み部が挟持され、シートの露出部が物品の表面の一部を覆い、さらにこれらが樹脂フィルムで覆われた状態となる。
【0010】
本発明の第1の形態による包装体において、シートの露出部が物品の重ね合わせ方向に沿って2つ以上の物品に跨がって配されるような寸法を有するものであってよい。重ね合わせた状態の物品の輪郭を越えない限り、シートの露出部に寸法的な制約はない。
【0011】
シートの差し込み部が相互に重なり合う物品の重ね合わせ面よりも小さな寸法を有することが好ましい。
【0012】
物品が高さhと奥行dと幅wとを有すると共にこれらがh<d<wの関係にあり、奥行dと幅wとで画成される面が相互に重ね合わされるものであってよい。この場合、物品がティシュカートンであってよい。
【0013】
シートが情報伝達媒体であってよい。この場合、シートの露出部がはがきを含むことができる。
【0014】
シートの露出部に重なる樹脂フィルムの部分が透明であってよい。
【0015】
本発明の第2の形態は、高さhと奥行dと幅wとがh<d<wの関係にある直方体形状の物品の奥行dと幅wとで画成される面が重なり合うように、所定個数の同一寸法形状の物品を樹脂フィルムで梱包するに際し、前記物品と前記樹脂フィルムとの間に配される露出部と、相互に重なり合う2つの前記物品の間に挟まれる差し込み部と、これら露出部と差し込み部との境界を画成する折り曲げ部とを有するシートを前記物品と共に梱包する方法であって、前記物品の高さhと幅wとで画成される面を上下方向に向けつつ当該物品の奥行dと幅wとで画成される面をその搬送方向に沿って密着状態となるように整列させるステップと、搬送方向に沿って隣接する2つの前記物品の間に隙間を形成するステップと、前記シートの差し込み部を前記折り曲げ部に沿って前記露出部に対し直角に折り曲げるステップと、折り曲げられた前記シートの差し込み部が前記隙間に位置するように、前記シートの露出部を密着状態で整列する前記物品の上に載せるステップと、前記隙間が形成された隣接する2つの前記物品を密着状態にして前記シートの差し込み部がこれらの間に挟まれるようにするステップと、前記シートの差し込み部を挾む2つの物品と前記シートの露出部が載せられた物品とを含む所定の個数の物品を搬送方向に沿って整列状態にある他の物品と分けるステップと、分けられた所定の個数の物品と前記シートとを樹脂フィルムにて梱包するステップとを具えたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第2の形態において、シートの差し込み部を挾む2つの物品とシートの露出部が載せられた物品とを含む所定の個数の物品を搬送方向に沿って整列状態にある他の物品と分けるステップは、搬送方向下流側に位置する所定の個数の物品に対し、これに隣接する上流側の物品の搬送移動を拘束するステップを含むものであってよい。
【0017】
搬送方向に沿って隣接する2つの物品の間に隙間を形成するステップは、搬送方向に沿って隣接する2つの物品の搬送移動をそれぞれ拘束するステップを含み、搬送方向に沿って下流側に位置する物品の搬送移動を拘束するステップは、その上流側に位置する物品の搬送移動を拘束するステップの後に行われるものであってよい。この場合、隣接する2つの物品を密着状態にしてシートの差し込み部がこれらの間に挟まれるようにするステップは、上流側に位置する物品の搬送移動に関する拘束を解除するステップを含むことができる。
【0018】
物品がティシュカートンであってよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装体によると、物品を重ね合わせた状態では、シートの差し込み部を安定して保持することができる。このため、接着糊などを使用せずともシートを物品と共に樹脂フィルムによって容易に梱包することが可能となる。
【0020】
シートの差し込み部が相互に重なり合う物品の重ね合わせ面よりも小さな寸法を有する場合、樹脂フィルムにて梱包する際にシートの差し込み部が樹脂フィルムに接触せず、樹脂フィルムに損傷を与えるような不具合を回避することができる。
【0021】
物品が高さhと奥行dと幅wとを有すると共にこれらがh<d<wの関係にあり、奥行dと幅wとで画成される面が相互に重ね合わされる場合、包装体の高さ寸法を最小に抑えることができる。
【0022】
シートが情報伝達媒体の場合、特にシートの露出部がはがきを含む場合、物品の製造者または販売者側から消費者側へのメッセージなどを確実に伝えることができる。
【0023】
シートの露出部に重なる樹脂フィルムの部分が透明である場合、外部から物品と共に梱包されるはがき用紙などの情報伝達媒体を含むシートの有無やその状態を把握することができる。
【0024】
露出部と差し込み部と折り曲げ部とを有するシートを物品と共に梱包する本発明の方法によると、接着糊などを使用せずとも樹脂フィルムと物品との間にはがきなどの情報伝達媒体を含むシートを物品と共に梱包することができる。
【0025】
搬送方向下流側に位置する所定の個数の物品に対し、これに隣接する上流側の物品の搬送移動を拘束した場合、シートの差し込み部を挾む2つの物品とシートの露出部が載せられる物品とを含む所定の個数の物品を他の物品と分けることができる。
【0026】
搬送方向に沿って上流側に位置する物品の搬送移動を拘束した後にその下流側に位置する物品の搬送移動を拘束する場合、搬送方向に沿って隣接する2つの物品の間に隙間を形成することができる。特に、上流側に位置する物品の搬送移動に関する拘束を解除することにより、隣接する2つの物品を密着状態にしてシートの差し込み部がこれらの間に挟まれるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の対象となったパック詰めティシュカートンの外観を表す立体投影図である。
【図2】図1に示したパック詰めティシュカートンの製造設備におけるカード挿入設備を模式的に表す平面図である。
【図3】図2に対する側面図である。
【図4】図3中のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【図5】図2中のV−V線に沿った矢視断面図である。
【図6】図4中の一部を拡大した平面図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿った矢視断面図である。
【図8】図6に対する右側面図である。
【図9】図8に示した部分の外観を表す立体投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による包装体をパック詰めティシュカートンに応用した実施形態について、図1〜図9を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、本発明の精神に帰属する他の任意の技術、すなわち複数個の同一寸法形状の物品を整列状態にて樹脂フィルムによって梱包されるようなあらゆる包装体に対して応用することが可能である。
【0029】
本発明の対象となるパック詰めティシュカートンの外観を図1に示す。一般的な箱型のティシュカートン11は、高さhと奥行dと幅wとがh<d<wの関係にある。本実施形態では、ティシュカートン11の高さhを奥行dの1/2以下の寸法に設定し、そのコンパクト化に配慮したものとなっている。個々のティシュカートン11には所定枚数の図示しないティシュペーパーが相互に折り重ねた状態で封入されている。このようなティシュカートン11は、例えば米国特許第4578927号明細書や米国特許第5595043号明細書などで周知の製造設備を用いて連続的に製造される。なお、奥行dと幅wとが実質的に同じ寸法のティシュカートンであっても、本発明の対象となり得ることに注意されたい。
【0030】
個々のティシュカートン11は、これらの奥行dと幅wとで画成される面(以下、これを上下面と記述する)11aが重なり合うように複数個(図示例では5個)ずつ整列状態で積み重ねられる。通常、これらはキャラメル包装形態にて透明樹脂フィルム12によりパック詰めされる。この場合、これらを覆う矩形のシート状をなす透明樹脂フィルム12は、ティシュカートン11の高さhと幅wとで画成される面(以下、これを前後面と記述する)11bおよび奥行dと幅wとで画成される面(以下、これを左右面と記述する)11cの何れか一面の領域にて重ね合わされる。そして、これらの整列方向に沿った接合部12aがヒートシールにより形成され、全体として矩形の筒状となる。また、整列方向に沿った両端に位置するティシュカートン11の上下面11aの部分にて透明樹脂フィルム12が折り畳まれ、ここをヒートシールすることによって接合部12bが形成される。さらに、同じ樹脂フィルムにて形成された取手13が配列方向に沿った一端、すなわち一番上に位置するティシュカートン11の上下面11aを幅方向に跨ぐように配され、その両端部がヒートシールにより接合されてパック詰めティシュカートン10となる。この取手13の接合部13aは、一番上に位置するティシュカートン11の左右面11cに臨む領域にて透明樹脂フィルム12にヒートシールなどにより接合される。
【0031】
なお、このようなキャラメル包装に関する技術については、例えば特開2002−362511号公報や特開2005−178824号公報などで周知であるので、これ以上の具体的な説明については省略する。
【0032】
本実施形態では、所定個数、すなわち5個のティシュカートン11を透明樹脂フィルム12にて梱包するに先立ち、本発明におけるシートとしてのメッセージカード14をティシュカートン11と共に透明樹脂フィルム12にて同時に梱包するようにしている。このメッセージカード(以下、単にカードと略称する)14は、差し込み部14aと、露出部14bと、これらの境界を画成する折り曲げ部14cとを有する。差し込み部14aは、相互に重なり合う2個のティシュカートン11の上下面11aに挟まれた状態となる領域である。 本実施形態における露出部14bは、複数個のティシュカートン11の前後面11bに跨がって重ねられるような大きさを有する。このカード14の露出部14bが必要に応じて郵便はがきとなるようなものであってもよいし、パンフレットなどの如き情報伝達媒体を構成するものであってもよく、必要に応じて2種類以上の機能を持たせることも可能である。カード14の露出部14b全体が郵便はがきとして利用できるようにした場合、折り曲げ部14cにミシン目を形成しておき、差し込み部14aを露出部14bから容易に切り離せるようにしておくことも有効である。さらに、透明樹脂フィルム12を介したカード14の露出部14bの視認性を良好にするため、先の接合部12aが存在しない前後面11bまたは左右面11cにカード14の露出部14bを位置させることが好ましい。
【0033】
上述したカード14をティシュカートン11に添えるカード挿入設備の平面構造を模式的に図2に示し、その側面形状を図3に示し、そのIV−IV線に沿った矢視断面構造を図4に示し、図2中のV−V線に沿った断面構造を図5に示す。本実施形態におけるカード挿入設備は、前述のティシュカートン11の製造設備に続く搬送コンベヤ15を具えている。この搬送コンベヤ15は、ティシュカートン11の製造設備によって製造されたティシュカートン11の上下面11aを相互に密着させ、これらの前後面11bを上下方向に向けた状態でこれを連続的にカード挿入設備に搬入する。搬送コンベヤ15には、その搬送方向上流側から順にユニット仕分け位置Paと、カード挿入位置Pbと、ユニット送り出し位置Pcとが設定されている。
【0034】
ユニット仕分け位置Paは、ティシュカートン11の製造設備から連続的に供給されて来るティシュカートン11を所定個数(以下、これを1ユニットと呼称する)ずつ仕分けてこれを下流側に搬出するためのものである。このため、ユニット仕分け位置Paには、搬送コンベヤ15上を通過するティシュカートン11の通過を検出する第1カートン検出センサー16と、ティシュカートン11の移動を拘束する一対の第1カートン保持用アクチュエーター17とを具えている。つまり、第1カートン検出センサー16が1ユニットのティシュカートン(以下、これをティシュカートンユニットと記述する)11Uの通過を検出する度に第1カートン保持用アクチュエーター17のクランパー17aが後続するティシュカートン11の左右面11cを両側から挾むように押し当たる。この結果、後続するティシュカートン11の移動が阻止されることとなる。なお、第1カートン検出センサー16が光学的センサーの場合、例えばティシュカートン11の前後面11bに形成された画像などのパターンを利用してその通過個数を検出することが可能である。
【0035】
カード挿入位置Pbにおいては、ティシュカートンユニット11Uにおける先頭、つまり最下流端に位置するティシュカートン11の上下面11aと、これに隣接する2番目のティシュカートン11の上下面11aとの間に隙間Gが形成される。この隙間Gは、カード14の差し込み部14aをここに差し込むための作業を容易にするためのものである。
【0036】
図4の一部の平面構造を拡大して図6に示し、そのVII−VII線に沿った矢視断面構造を図7に示し、図6の右側面形状を図8に示し、その下側からの外観を図9に示す。このカード挿入位置Pbには、それぞれ一対の第2および第3カートン保持用アクチュエーター18,19と、第2および第3カートン検出センサー20,21と、カードストッカー22と、カード折り曲げ機23と、カード移送用アクチュエーター24とを具えている。
【0037】
第2および第3カートン保持用アクチュエーター18,19は、仕分けされたティシュカートンユニット11Uにおける先頭に位置するティシュカートン11と、これに隣接する2番目のティシュカートン11との間に隙間Gを形成するためのものである。これら第2および第3カートン保持用アクチュエーター18,19は、ティシュカートン11の搬送方向に沿ってティシュカートン11の高さhよりも長い間隔をあけて配されている。これらのクランパー18a,19aは、対応するティシュカートン11の左右面11cを両側から挾むように押し当たり、ティシュカートン11の移動を阻止するようになっている。
【0038】
これら第2および第3カートン保持用アクチュエーター18,19によって保持されるティシュカートン11の位置をそれぞれ検出するための第2および第3カートン検出センサー20,21は、先の第1カートン検出センサー16と実質的に同じものである。これら第2および第3カートン検出センサー20,21による検出信号と、第2および第3カートン保持用アクチュエーター18,19の作動とは、後述するように関連付けて制御される。
【0039】
カードストッカー22は、露出部14bに対して差し込み部14aが折り曲げられていない状態のカード14を積層状態で収容し、これを1枚ずつカード折り曲げ機23側に送り出すための間欠回転する送り出しローラー25を具えている。
【0040】
カードストッカー22から供給されるカード14の差し込み部14aを一枚ずつ折り曲げるカード折り曲げ機23は、カード14の露出部14bとなる部分を挟持してこれを搬送する上下一対のコンベヤ26と、カムブロック27と、カードホルダー28とを有する。カムブロック27は、一対のコンベヤ26に保持されつつカードホルダー28に向けて送出されるカード14の差し込み部14aを折り曲げ部14cを境にして折り曲げるようなカム面27aを有する。カードホルダー28は、差し込み部14aが露出部14bに対して90度折り曲げられたカード14を収容するためのものである。本実施形態におけるカードホルダー28は、カード移送用アクチュエーター24のバキュームカップ24aが差し込まれる切欠き部28aと、カード14の折り曲げ状態に対応して直角に折れ曲がった細長い開口部28bとを有する。このカードホルダー28には、カード14の有無を検出するための図示しないセンサーが組み込まれており、このセンサーからの検出信号に基づいて送り出しローラー25および一対のコンベヤ26の作動が制御される。
【0041】
カード移送用アクチュエーター24は、上述した一対のコンベヤ26とカムブロック27とによって差し込み部14aが折り曲げられたカード14をカードホルダー28から引き出す。そして、これを搬送コンベヤ15上のティシュカートン11の前後面11bの上に載置する。本実施形態におけるカード移送用アクチュエーター24は、搬送コンベヤ15によるティシュカートン11の搬送方向と平行な回転軸29を中心として回転する旋回ブロック30に対して放射状に4本設けられ、図4中、右回りに90度ずつ間欠回転する。各カード移送用アクチュエーター24には、カード14の露出部14bに当接してこれを真空吸引するバキュームカップ24aが設けられている。これらカード移送用アクチュエーター24には、カードホルダー28からカード14を引き抜くためのカード受取位置Pdと、カード載置位置Peとが設定されている。カード載置位置Peにおいては、バキュームカップ24aに吸引されたカード14の露出部14bがカード挿入位置Pbに保持された2番目以降のティシュカートン11の前後面11bの上に載置される。カード載置位置Peにてカード14の露出部14bをティシュカートン11の前後面11bの上に載置する場合、カード14の差し込み部14aが先の隙間Gに入り込むような位置となる。
【0042】
従って、ティシュカートン11の前後面11bを上下方向に向けつつその上下面11aを密着させた整列状態で搬送コンベヤ15によって搬入されるティシュカートン11は、第1カートン検出センサー16によってその通過個数がカウントされる。そして、5個のティシュカートン11の通過を検出した時点で第1カートン保持用アクチュエーター17が作動し、6個目のティシュカートン11の左右面11cを挾んでそれ以降のティシュカートン11をユニット仕分け位置Paに保持する。
【0043】
ユニット仕分け位置Paを通過したティシュカートンユニット11Uに対し、第2カートン検出センサー20によってその通過個数がカウントされる。そして、2個目のティシュカートン11を検出した時点で第2カートン保持用アクチュエーター18が作動し、下流側から2番目のティシュカートン11の左右面11cを挾んで先頭のティシュカートン11以外の移動を拘束する。そして、第3カートン検出センサー21が先頭のティシュカートン11を検出した時点で第3カートン保持用アクチュエーター19が作動し、この先頭に位置するティシュカートン11の左右面11cを挾んでその移動を阻止する。これにより、カード挿入位置Pbにて1ユニットを構成する1番目のティシュカートン11と2番目以降のティシュカートン11との間にカード14の差し込み部14aを位置させるための隙間Gが形成される。
【0044】
一方、カードストッカー22の送り出しローラー25が1回転すると共にカード折り曲げ機23の一対のコンベヤ26が作動し、カードストッカー22から1枚のカード14が送出され、これが一対のコンベヤ26によりカードホルダー28まで搬送される。カード14は、その折り曲げ部14cを境にして自由端となっている差し込み部14aがカムブロック27のカム面27aによって引き起こされ、最終的に90度折り曲げられた状態となってカードホルダー28内に送り込まれる。そして、カードホルダー28内にカード14が送り込まれた時点で、一対のコンベヤ26の作動が停止する。
【0045】
カード受取位置Pdに待機しているカード移送用アクチュエーター24は、一対のコンベヤ26の作動の停止を受けてそのバキュームカップ24aをカードホルダー28の切欠き部28aからカード14の露出部14bに押し当てて真空引きする。そして、この状態のまま旋回ブロック30を90度回転してカードホルダー28内に位置するカード14をその開口部28bから引き出した後、バキュームカップ24aを回転軸29側に引き戻す。さらに旋回ブロック30を90度回転してカード14を保持しているカード移送用アクチュエーター24をカード載置位置Peに保持する。この状態から再びバキュームカップ24aを押し出してカード挿入位置Pbに待機している隙間Gが形成されたティシュカートンユニット11Uの直上にカード14を降下させ、バキュームカップ24aによる吸引を解除し、これを上方に引き戻す。これにより、バキュームカップ24aに拘束されていたカード14の露出部14bが2番目以降のティシュカートン11の前後面11bの上に載置され、差し込み部14aが隙間Gに入り込んだ状態となる。
【0046】
なお、カード14を吸着保持したカード移送用アクチュエーター24がカード受取位置Pdから90度回転した時点で、再びカードストッカー22の送り出しローラー25が1回転すると共にカード折り曲げ機23の一対のコンベヤ26が作動する。
【0047】
カード載置位置Peにてカード14の吸着保持を解除したバキュームカップ24aが回転軸29側に退避すると、先の第2カートン保持用アクチュエーター18によるクランプ動作が解除される。この結果、第2カートン保持用アクチュエーター18のクランパー18aが2番目のティシュカートン11の左右面11cから離される。これにより、搬送コンベヤ15による搬送力が働いて2番目以降のティシュカートン11がカード14と共に先頭のティシュカートン11に押し当たり、これらの上下面11aの間にカード14の差し込み部14aが挟まれた状態となる。このようにして、第2カートン保持用アクチュエーター18によるクランプ動作が解除された後、一定時間後に今度は第3カートン保持用アクチュエーター19によるクランプ動作が解除される。これにより、搬送コンベヤ15による搬送力が働いてティシュカートンユニット11Uがカード14と共にユニット送り出し位置Pcへと送出される。
【0048】
この時、第3カートン検出センサー21がティシュカートン11を検出しない状態、つまりティシュカートンユニット11Uがカード挿入位置Pbに存在しない状態になると、ユニット仕分け位置Paに配された第1カートン保持用アクチュエーター17によるクランプ動作が解除される。この結果、新たなティシュカートンユニット11Uが再びカード挿入位置Pbへと送出されることとなる。
【0049】
ユニット送り出し位置Pcは、カード14が添えられたティシュカートンユニット11Uを透明樹脂フィルム13による梱包作業領域へと送り出すための位置である。ここには、ストッパー31と、第4カートン検出センサー32と、送出用アクチュエーター33とが配備されている。ストッパー31は、搬送コンベヤ15の直上に配され、カード14が添えられたティシュカートンユニット11Uの最下流端に位置するティシュカートン11の上下面11aに当接してこれらの移動を阻止する。第4カートン検出センサー32は、1ユニット、つまり5個のティシュカートン11の通過をカウントする。この第4カートン検出センサー32の検出信号に基づいて作動する送出用アクチュエーター33は、搬送コンベヤ15の側方に配されている。送出用アクチュエーター33は、ストッパー31によりこのユニット送り出し位置Pcに保持されたティシュカートンユニット11Uを搬出テーブル34上に送り出す押し板33aを有する。つまり、第4カートン検出センサー32がティシュカートンユニット11Uの通過を検出した時点で、送出用アクチュエーター33の押し板33aが搬送コンベヤ15を横切るように搬出テーブル34へと押し出されるようになっている。
【0050】
搬出テーブル34は、ユニット送り出し位置Pcにおける搬送コンベヤ15を間に挾んで送出用アクチュエーター33の反対側に配されている。送出用アクチュエーター33の押し板33aによって搬送コンベヤ15のユニット送り出し位置Pcから搬出テーブル34上に送り出されたティシュカートンユニット11Uは、周知の梱包機を用いて透明樹脂フィルム12によりキャラメル包装される。そして、前述したように最終的にはパック詰めティシュカートン10となる。
【0051】
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0052】
h 高さ
d 奥行
w 幅
G 隙間
Pa ユニット仕分け位置
Pb カード挿入位置
Pc ユニット送り出し位置
Pd カード受取位置
Pe カード載置位置
10 パック詰めティシュカートン
11 ティシュカートン
11a 上下面
11b 前後面
11c 左右面
11U ティシュカートンユニット
12 透明樹脂フィルム
12a,12b 接合部
13 取手
13a 接合部
14 メッセージカード
14a 差し込み部
14b 露出部
14c 折り曲げ部
15 搬送コンベヤ
16 第1カートン検出センサー
17 第1カートン保持用アクチュエーター
17a クランパー
18,19 第2,第3カートン保持用アクチュエーター
18a,19a クランパー
20,21 第2,第3カートン検出センサー
22 カードストッカー
23 カード折り曲げ機
24 カード移送用アクチュエーター
24a バキュームカップ
25 送り出しローラー
26 コンベヤ
27 カムブロック
27a カム面
28 カードホルダー
28a 切欠き部
28b 開口部
29 回転軸
30 旋回ブロック
31 ストッパー
32 第4カートン検出センサー
33 送出用アクチュエーター
33a 押し板
34 搬出テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の同一寸法形状の物品を重ね合わせて樹脂フィルムで梱包した包装体であって、前記物品と共に梱包されるシートを具え、このシートは、前記物品と前記樹脂フィルムとの間に配される露出部と、相互に重なり合う2つの前記物品の間に挟まれる差し込み部と、これら露出部と差し込み部との境界を画成する折り曲げ部とを有することを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記シートの差し込み部は、相互に重なり合う前記物品の重ね合わせ面よりも小さな寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記物品は、高さhと奥行dと幅wとを有すると共にこれらがh<d<wの関係にあり、奥行dと幅wとで画成される面が相互に重ね合わされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記物品がティシュカートンであることを特徴とする請求項3に記載の包装体。
【請求項5】
前記シートが情報伝達媒体であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の包装体。
【請求項6】
前記シートの露出部がはがきを含むことを特徴とする請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記シートの露出部に重なる前記樹脂フィルムの部分が透明であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の包装体。
【請求項8】
高さhと奥行dと幅wとがh<d<wの関係にある直方体形状の物品の奥行dと幅wとで画成される面が重なり合うように、所定個数の同一寸法形状の物品を樹脂フィルムで梱包するに際し、前記物品と前記樹脂フィルムとの間に配される露出部と、相互に重なり合う2つの前記物品の間に挟まれる差し込み部と、これら露出部と差し込み部との境界を画成する折り曲げ部とを有するシートを前記物品と共に梱包する方法であって、
前記物品の高さhと幅wとで画成される面を上下方向に向けつつ当該物品の奥行dと幅wとで画成される面をその搬送方向に沿って密着状態となるように整列させるステップと、
搬送方向に沿って隣接する2つの前記物品の間に隙間を形成するステップと、
前記シートの差し込み部を前記折り曲げ部に沿って前記露出部に対し直角に折り曲げるステップと、
折り曲げられた前記シートの差し込み部が前記隙間に位置するように、前記シートの露出部を密着状態で整列する前記物品の上に載せるステップと、
前記隙間が形成された隣接する2つの前記物品を密着状態にして前記シートの差し込み部がこれらの間に挟まれるようにするステップと、
前記シートの差し込み部を挾む2つの物品と前記シートの露出部が載せられた物品とを含む所定の個数の物品を搬送方向に沿って整列状態にある他の物品と分けるステップと、
分けられた所定の個数の物品と前記シートとを樹脂フィルムにて梱包するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記シートの差し込み部を挾む2つの物品と前記シートの露出部が載せられた物品とを含む所定の個数の物品を搬送方向に沿って整列状態にある他の物品と分けるステップは、搬送方向下流側に位置する所定の個数の物品に対し、これに隣接する上流側の物品の搬送移動を拘束するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
搬送方向に沿って隣接する2つの物品の間に隙間を形成するステップは、搬送方向に沿って隣接する2つの物品の搬送移動をそれぞれ拘束するステップを含み、搬送方向に沿って下流側に位置する物品の搬送移動を拘束するステップは、その上流側に位置する物品の搬送移動を拘束するステップの後に行われることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
隣接する2つの物品を密着状態にしてシートの差し込み部がこれらの間に挟まれるようにするステップは、上流側に位置する物品の搬送移動に関する拘束を解除するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記物品がティシュカートンであることを特徴とする請求項8から請求項11の何れかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−126580(P2011−126580A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287871(P2009−287871)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】