説明

包装体の連結構造及び包装体連結用粘着ラベル

【課題】 従来よりも包装体が不測に分離しにくく、粘着ラベルを従来とは異なる原理で切断することのできる包装体の連結構造及び包装体連結用粘着ラベルを提供すること。
【解決手段】物品を収納した複数の包装体2と基材11及び粘着材よりなる粘着ラベル10とを備える。これら包装体2を隣り合う一部が重なるように並び方向Lに並べる。これらの包装体2に跨るように粘着ラベル10を貼付する。粘着ラベル10が、並び方向Lに直交する幅方向Wのほぼ中央部に並び方向Lにほぼ沿って切り込みを形成し又は切断促進加工(以下、これら双方を「切り込み等12」という。)を施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の連結構造及び包装体連結用粘着ラベルに関する。さらに詳しくは、物品を収納した複数の包装体と基材及び粘着材よりなる粘着ラベルとを備え、これら包装体を隣り合う一部が重なるように並び方向に並べ、これらの包装体に跨るように前記粘着ラベルを貼付した包装体の連結構造、及び、材及び粘着材を備え、物品を収納した複数の包装体を隣り合う一部が重なるように並び方向に並べ、これらの包装体に跨るように貼付してこれらの包装体を連結するための包装体連結用粘着ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばスライスハム等を透明真空パックした包装体を複数連結するため、上述の如き包装体の連結構造及び包装体連結用粘着ラベルが用いられている。これらは、購入者が使用時に連結された包装体を必要に応じて容易に分離できるようにするため、次のような先行文献1〜4のラベルが用いられている。
【0003】
先行文献1、2ではラベル本体の端縁に沿って短小切目線が形成されている。また、先行文献3では、非粘着領域の幅方向端部にVカットを設けたり、先行文献3,4では、幅方向に沿ってミシン目を設けたりしている。
【0004】
これらの従来技術によれば、ラベル本体の端縁に沿う切目線やVカット、ラベル幅方向に沿うミシン目は前記並び方向に直交する幅方向に力が作用すると、これらの切目線、Vカット、ミシン目に応力が集中し、切断が開始される。したがって、これらの加工は、連結された複数の包装体の一部が不測に分離される原因となっている。特に、包装体の内容物として、薄切りハム等に比較して重量のあるハンバーグ、肉の照り焼きや薫製、厚切りのハム等を包装した場合には、その重量により包装体の一部が分離される虞が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3804055号公報
【特許文献2】登録実用新案第3124539号公報
【特許文献3】特開2002−19826号公報
【特許文献4】実開平11−349039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、従来よりも包装体が不測に分離しにくく、粘着ラベルを従来とは異なる原理で切断することのできる包装体の連結構造及び包装体連結用粘着ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る包装体の連結構造の特徴は、物品を収納した複数の包装体と基材及び粘着材よりなる粘着ラベルとを備え、これら包装体を隣り合う一部が重なるように並び方向に並べ、これらの包装体に跨るように前記粘着ラベルを貼付した構造において、前記粘着ラベルが、前記並び方向に直交する幅方向のほぼ中央部に前記並び方向にほぼ沿って切り込みを形成し又は切断促進加工(以下、これら双方を「切り込み等」という。)を施したことにある。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る包装体連結用粘着ラベルの特徴は、基材及び粘着材を備え、物品を収納した複数の包装体を隣り合う一部が重なるように並び方向に並べ、これらの包装体に跨るように貼付してこれらの包装体を連結するための構造において、前記並び方向に直交する幅方向のほぼ中央部に前記並び方向にほぼ沿って切り込みを形成し又は切断促進加工(以下、これら双方を「切り込み等」という。)を施したことにある。
【0009】
これらの構成によれば、切り込み等は並び方向にほぼ沿って形成されているので、並び方向にラベルを引っ張ってもこれを契機にラベルが切断されることは困難である。しかも、この切り込み等は、並び方向に直交する幅方向のほぼ中央部に形成されているため、ラベルの端縁に応力が集中しても中央部までその力は及ばず、不測にラベルが切断されることもない。
【0010】
一方、切り目等に手指を押し込めば、この中央部の一部、例えば、切り目の端部に応力集中が発生し、これを切っ掛けとしてラベル前記並び方向に分離させるよう容易に切断することができる。
【0011】
「切り目等」は「完全な切断」である「切り込み」の他、手指の押しつけで容易に切り込みとなる「切断促進加工」としてもよい。「切断促進加工」を採用すれば、切り目が不測に異物が引っ掛かり、上述の手指を押し込んだ状態となって不測に包装体が離脱する虞をより低減することができる。
【0012】
前記切り込み等は、前記各包装体の間近傍に形成するのが効果的である。各包装体の間近傍はラベルの粘着部分が包装体から浮き上がっているため、切り込み等に対する手指の押し込みと切断が行いやすいからである。
【0013】
前記切断促進加工は、超音波、薬品又は機械加工による前記基材の一部除去加工とすることができる。この場合、粘着材とは反対の基材の表面側部分の一部を一律に除去してもよく、また、切り込み長の一部を間欠的に切り込むミシン目としてもよい。
【0014】
前記切り込み等に対し交差する方向に微少幅の交差切り込みを形成してもよい。この交差切り込みにより、手指の押し込み等による応力集中はさらに促進され、ラベル切断の操作性が向上する。この交差切り込みは、切り込み長の端部に形成してもよいが、切り込み長の中間部に形成してもよい。前記交差切り込みを前記並び方向に複数並べることで、押す位置に拘わらずテープの切断が容易となる。
【0015】
前記切り込み等の上又はその近傍に前記切り込み等の存在を示す絵柄を設けてもよい。同場所に絵柄を設けることで、利用者は手指の押し込み操作位置を容易に認識することができ、ラベル切断の操作性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明に係る包装体の連結構造及び包装体連結用粘着ラベルの特徴によれば、前記並び方向に直交する幅方向のほぼ中央部に前記並び方向にほぼ沿って切り込み等を形成することで、従来よりも不測のラベル切断による一部包装体の分離を防ぐことが可能となった。しかも、切り込み等に手指を押し込むことで、従来とは全くことなる原理でラベルを切断して包装体を分離させることが可能となった。
【0017】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る包装体の連結構造の平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】(a)は本発明に係る粘着ラベルの拡大平面図、(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【図4】切り込み等に対する親指の押し込みと切断状況を示す平面図である。
【図5】切り込み等の態様を示す平面図である。
【図6】切り込み等の他の態様を示す平面図である。
【図7】切り込み等のさらに他の態様を示す平面図である。
【図8】(a)は本発明に係る粘着ラベルのさらに他の態様を示す拡大平面、(b)は同図(a)のB−B断面図である。
【図9】本発明に係る粘着ラベルのさらに他の態様を示す平面図である。
【図10】(a)は本発明に係る粘着ラベルのさらに他の態様を示す拡大平面図、(b)は(a)における18cを1つのみ設けた場合、(c)は(b)とは異なる角度の18dを1つのみ設けた場合を示す。
【図11】(a)は本発明に係る粘着ラベルのさらに他の態様を示す拡大平面図、(b)は(a)の改変例である。
【図12】粘着ラベルの切り込み等の周囲にその存在を示す絵柄を設けた例を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
図1〜3に示すように、本発明に係る包装体の連結構造1は、複数の包装体2と、粘着ラベル10,20とを備え、これら包装体2を隣り合う一部が重なるように並び方向Lに並べ、これらの包装体2に跨るように粘着ラベル10,20を貼付したものである。包装体2は、ポリエチレンやポリプロピレンのポリオレフィン等、プラスチック製のシート3,4に内容物5である食肉加工品の塊を収納したものである。表シート3は深絞り加工されて内容5を収納し、裏シート4を被せて真空状態で熱溶着することにより、包装体2を構成している。
【0020】
粘着ラベル10,20は、プラスチック製や紙製の基材11の裏面に粘着材を塗布したものであり、表面から絵柄・文字等が認識できるように印刷、蒸着を施してもよい。切り込み等により引き裂きの容易な素材を用いるのが望ましい。
【0021】
包装体2は、4個を一部が重なる状態で並べてあり、包装体2の上下から表裏粘着ラベル10,20をそれぞれ貼り付けることにより、4個の包装体2を連結している。符号7は、各包装体2の間を示し、この包装体間7は、包装体2に接着せずに浮き上がっている。この包装体間7にほぼ位置するように、表粘着ラベル10には切り込み等12が形成されている。
【0022】
この切り込み等12は、前記並び方向Lに直交する幅方向Wのほぼ中央部に前記並び方向にほぼ沿って形成してある。本実施形態における切り込み等12は、ミシン目13として形成され、手指等で押し込むことにより切断されて切り込みとなる切断促進加工である。「切り目等」は切り込み長Mを全て切断とする「完全な切断」である「切り込み」としてもよい。切り込み等12は、表粘着ラベル10のみに形成すれば、このラベルの切断で裏粘着ラベル20からは包装体2を容易に剥がせるが、裏粘着ラベル20に切り込み等12を設けても良い。裏粘着ラベル20に切り込み等を設けない場合は、例え不測に表粘着ラベル10が切断されても、裏粘着ラベル20で包装体2はつながるため、包装体の一部離脱のリスクがさらに低減される。もちろん、裏粘着ラベル20のみに切り込み等12を設け、表粘着ラベル10に切り込みを設けない構成としてもよい。
【0023】
切り込み等12は、切断刃により形成する他、超音波カッター等の非接触手段により形成することも可能である。
【0024】
切断に際しては、図4に示すように、切り込み等12の部分を手指Tで押す。包装体間7では、粘着ラベル10は包装体2から浮き上がっており、手指Tは粘着ラベル10の裏側まで突出することができる。この押しにより、ミシン目13は切断されて切り込みとなり、切り込み等12の切り目の端部12e1に応力集中が発生し、これを切っ掛けとして第1切断部12aのような亀裂が生じる。切り目の他の端部12e2にも第2切断部12bのような亀裂が生じ、これらの結果、粘着ラベル10は切り込み等12の近傍で並び方向Lに対して分離するように切断され、一部の包装体2が分離され、需用者の使用に供せられる。
【0025】
包装体間7でのラベル10と包装体2との離隔距離が大きければ、手指Tの押し込みで粘着ラベル10の切断される範囲が広くなる。一方、この離隔距離が小さければ、手指Tを切り込み等12に積極的に突っ込んで、ラベル10を切断することとなる。ミシン目13等の切断促進加工による切断の容易さは、予想される離隔距離にもより、離隔距離が小さければ比較的切断容易としてもよい。切り込み等12が完全な切断である切り込みとしても、離隔距離が小さければ、異物がこの切り込みに引っかかるリスクは低減される。
【0026】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上記と同様の部材には同一の符号を附してある。
【0027】
ミシン目13の両端部には、図5に示すように、並び方向Lに交差する方向に向けて微少な端交差切り込み13a,13bを形成してもよい。また、図6に示すように、同様の方向の中央交差切り込み13cを設けても良い。これらの交差切り込み13a〜13cにより、上述の手指Tの押し込みによる応力集中でラベル10の切断がさらに促進されることとなる。
【0028】
切り欠き等12は、微少な切り込み16b、16cを交差させ、幅方向Wの距離w1が短いX型の切り込み単体16aを並び方向Lに対して列状に並べたクロス切り込みライン16としてもよい。
【0029】
切断促進加工は、図8の符号17に示すように、ラベル10の基材11の上側のみを超音波加工等で除去したものとしてもよい。
【0030】
図9に示すように、切り込み等12は、幅方向Wの両端からの距離Hが小さくなければ、符号13,13x、13yに示すように、幅方向にわたって複数設けても良い。
【0031】
図10(a)に示すように、切り込み等12は、並び方向切り込み18bと、これに交差する方向の交差切り込み18aとを備えた切り込み単位18cを、並び方向Lに複数並べてもよい。また、同図(b)(c)に示すように、切り込み単位18c、18dを一つだけ設けて、切り込み等12を構成しても良い。但し、同図(b)(c)よりも同図(a)の態様の方が、手指の位置や、包装体間7との位置関係によらずラベルを切れる確率が高まる。
【0032】
図11(a)に示すように、切り込み等12における交差切り込み19bは、並び方向切り込み19aと離隔させて、十字切り込みラインを形成してもよい。また、同図(b)に示すように、交差切り込み19eは並び方向切り込み19aと異なる位置に設けて、切り込み単位19aを構成してもよい。
【0033】
図12に示すように、切り込み等12、18の周囲に、切り込み等の存在を示す絵柄30を設けても良い。同図では、ライン表示30aの上下に文字30b、30cを配置している。この表示に従い、需用者は親指の押し込み操作を通じて容易にラベルを切断することができる。
【0034】
ラベル10,20及び包装体2の形態は、上記各実施形態に限られるものではなく、適宜改変が可能である。また、各実施形態の要素は、それぞれ組み合わせて実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、包装体の連結構造及び包装体連結用粘着ラベルは、薄切りハム等のパック品はもちろん、薄切りハム等に比較して重量のあるハンバーグ、肉の照り焼きや薫製、厚切りのハム等の包装体の連結用として利用することができる。また、これら以外の食品の包装体や、食品以外の包装体を複数個連結する際にも用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1:包装体の連結構造、2:包装体、3:表シート、4:裏シート、5:内容物、7:包装体間、10:粘着ラベル、11:基材、12:切り込み等、12a:第1切断線、12b:第2切断線、13:ミシン目、13a,13b:端交差切り込み、13c:中央交差切り込み、13x、y:ミシン目、16:X字切り込みライン、16a:切り込み単体、16b、16c:交差切り込み、17:切断促進加工、18:十字切り込みライン、18a:交差切り込み、18b:並び方向切り込み、18c:切り込み単体、18d:切り込み単体、19:十字切り込みライン、19a:並び方向切り込み、19b:公差切り込み、19c:切り込み単体、19e:公差切り込み、19f:切り込み単体、20:裏粘着ラベル、30:切断表示絵柄、L:並び方向、W:幅方向、T:親指(手指)、 M:切り込み長、W:幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納した複数の包装体と基材及び粘着材よりなる粘着ラベルとを備え、
これら包装体を隣り合う一部が重なるように並び方向に並べ、
これらの包装体に跨るように前記粘着ラベルを貼付した包装体の連結構造であって、
前記粘着ラベルが、前記並び方向に直交する幅方向のほぼ中央部に前記並び方向にほぼ沿って切り込みを形成し又は切断促進加工(以下、これら双方を「切り込み等」という。)を施してある包装体の連結構造。
【請求項2】
前記切り込み等が前記各包装体の間近傍に形成されている請求項1記載の包装体の連結構造。
【請求項3】
前記切断促進加工が超音波、薬品又は機械加工による前記基材の一部除去加工である請求項1又は2記載の包装体の連結構造。
【請求項4】
前記切り込み等がミシン目である請求項1〜3のいずれかに記載の包装体の連結構造。
【請求項5】
前記切り込み等に対し交差する方向に微少幅の交差切り込みを形成してある請求項1〜4のいずれかに記載の包装体の連結構造。
【請求項6】
前記交差切り込みを前記並び方向に複数並べてある請求項5に記載の包装体の連結構造。
【請求項7】
前記切り込み等の上又はその近傍に前記切り込み等の存在を示す絵柄を設けてある請求項1〜6のいずれかに記載の包装体の連結構造。
【請求項8】
基材及び粘着材を備え、物品を収納した複数の包装体を隣り合う一部が重なるように並び方向に並べ、これらの包装体に跨るように貼付してこれらの包装体を連結するための包装体連結用粘着ラベルであって、
前記並び方向に直交する幅方向のほぼ中央部に前記並び方向にほぼ沿って切り込みを形成し又は切断促進加工(以下、これら双方を「切り込み等」という。)を施してある包装体連結用粘着ラベル。
【請求項9】
前記切り込み等が前記各包装体の間近傍に形成されている請求項8記載の包装体連結用粘着ラベル。
【請求項10】
前記切断促進加工が超音波、薬品又は機械加工による前記基材の一部除去加工である請求項8又は9記載の包装体連結用粘着ラベル。
【請求項11】
前記切り込み等がミシン目である請求項8〜10のいずれかに記載の包装体連結用粘着ラベル。
【請求項12】
前記切り込み等に対し交差する方向に微少幅の交差切り込みを形成してある請求項8〜11のいずれかに記載の包装体連結用粘着ラベル。
【請求項13】
前記交差切り込みを前記並び方向に複数並べてある請求項12に記載の包装体連結用粘着ラベル。
【請求項14】
前記切り込み等の上又はその近傍に前記切り込み等の存在を示す絵柄を設けてある請求項8〜13のいずれかに記載の包装体連結用粘着ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−82004(P2012−82004A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231944(P2010−231944)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(510273879)株式会社サンワ (1)
【Fターム(参考)】