説明

包装体の開封部形成方法、開封部形成装置及び包装体

【課題】被包装体を疵つけることなく、容易にかつ確実に、樹脂フィルムを使用した包装体に開封部を形成することができる包装体の開封部形成方法、開封部形成装置及び包装体を提供する。
【解決手段】被包装体を樹脂フィルムで被包した包装体に(ステップS1)、開封用粘着テープの一部を貼付する(ステップS2)。そして、この粘着テープに引張応力を印加して、樹脂フィルムを被包装体から引き離す(ステップS3)。この状態で、樹脂フィルムの被包装体から引き離されている部分に切り込みを形成した後(ステップS4)、この切り込みを覆うように粘着テープを貼付する(ステップS5)。その後、必要に応じて、粘着テープを切断する(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に開封部を形成する方法、装置及びこの装置で形成された開封部を備える包装体に関する。より詳しくは、被包装体が樹脂フィルムで被包された包装体に、開封用の切り込みを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シュリンク包装などの樹脂フィルムを使用した包装方法は、簡便な方法で商品を密封することができ、かつ開封の有無を容易に確認することができるため、食品や店舗に陳列される商品等で広く利用されている。このような包装に使用される樹脂フィルムには、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂などの機械的強度に優れ、破れにくい材料が使用されている。この包装用樹脂フィルムにおける破れにくいという特徴は、包装時の作業性及び包装後の取扱性の面では長所となるが、その一方で、包装体が開封しにくいという短所にもなる。
【0003】
このような包装体の開封を容易にするための方法としては、例えば、包装用樹脂フィルムの内側に開封用の帯体を設ける方法、包装体の端部に切り欠きを設ける方法、包装用樹脂フィルムにミシン目を入れる方法、包装用樹脂フィルムに開封用の切り込みを形成する方法(例えば、特許文献1参照。)などがある。しかしながら、例えば、シュリンク包装などのように商品を被包した後でフィルムを熱収縮させる包装方法の場合、特許文献1に記載の技術のように、予めフィルムに加工を施しておくと、開封部の形状が変形したり、位置が変動したりすることがある。また、樹脂フィルムによる包装は、包装材である樹脂フィルムと商品とが密着又は近接しているため、包装後の樹脂フィルムに加工を施すと、商品に疵を付ける虞がある。
【0004】
そこで、従来、包装後に、樹脂フィルムを吸引し、商品から離した状態で、開封部を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。特許文献2に記載の開封部形成装置では、開封部を形成する熱盤の周囲に吸引室を設け、その周壁の先端を当接させた状態で吸引室内の空気を吸引することにより、樹脂フィルムを引き上げ、更に熱盤に接触させることで、開封部を形成している。また、特許文献3に記載の方法では、熱盤の代わりにカッターを使用して、包装後の樹脂フィルムに、所定形状の開封部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−247426号公報
【特許文献2】実開平7−22906号公報
【特許文献3】特開2004−10078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。先ず、包装用樹脂フィルムの内側に開封用の帯体を設ける方法は、包装材のコストが大幅に増加するという問題点がある。また、包装前の樹脂フィルムに、開封用の切り欠き、ミシン目又は切り込みを形成する方法は、前述した理由から、シュリンク包装には不向きであり、包装後の樹脂フィルムにこのような加工を施すと、商品を疵つける虞があるという問題点がある。
【0007】
一方、特許文献2,3に記載の方法のように、樹脂フィルムを吸引しながら、熱盤やカッターによって、包装後の樹脂フィルムに開封部を形成する方法は、商品の破損は防止することができるが、樹脂フィルムに微小な穴が開いた瞬間に吸引が解除されるため、開封用として充分な大きさの切り込みを安定して形成することができないという問題点がある。また、この方法では、樹脂フィルムに吸引によるしわや疵が生じやすく、美観を損ねる虞もある。
【0008】
そこで、本発明は、被包装体を疵つけることなく、容易にかつ確実に、樹脂フィルムを使用した包装体に開封部を形成することができる包装体の開封部形成方法、開封部形成装置及び包装体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る包装体の開封部形成方法は、被包装体が樹脂フィルムで包装された包装体に開封部を形成する方法であり、前記樹脂フィルムに開封用粘着テープの一部を貼付する第1の貼付工程と、該粘着テープに引張応力を印加して前記樹脂フィルムを前記被包装体から引き離す工程と、前記樹脂フィルムの前記被包装体から引き離されている部分に切り込みを形成する工程と、該切り込みを覆うように前記粘着テープを貼付する第2の貼付工程と、を有する。
本発明においては、粘着テープの一部を樹脂フィルムに貼付し、この粘着テープに引張応力を印加することにより、樹脂フィルムを被包装体から引き離しているため、吸引設備が不要となる。また、樹脂フィルムの引き離された部分に切り込みを形成しているため、被包装体に疵をつけることがない。
この開封部形成方法では、切り込み形成治具を包装体の底面に対して、20〜30°の角度で傾けた状態で、前記樹脂フィルムに切り込みを形成してもよい。
また、切り込みを形成する工程では、切り込み形成治具により前記樹脂フィルムに小さな切り込みを形成した後、この切り込みを前記切り込み形成治具で大きくしてもよい。
更に、第2の貼付工程後に、前記粘着テープを切断する工程を行うこともできる。
その場合、第2の貼付工程又は粘着テープを切断する工程において、前記粘着テープを折り曲げて粘着面同士を貼り合わせることにより摘み部を形成してもよい。
又は、摘み部として機能する複数の突片部が、その長さ方向に間隔をあけて形成されている粘着テープを使用することもできる。
これらの開封部形成方法は、樹脂フィルムとして熱収縮フィルムを使用したシュリンク包装体に好適である。
【0010】
本発明に係る包装体の開封部形成装置は、被包装体が樹脂フィルムで包装された包装体に開封部を形成する装置であり、前記包装体を載置する載置部と、前記樹脂フィルムに切り込みを形成する切り込み形成治具と、前記樹脂フィルムに開封用粘着テープを貼付するための貼付部と、を有し、前記載置部には前記包装体の開封部形成領域を露出させるための開口部が設けられており、前記貼付部により前記開封部形成領域に前記粘着テープの一部を貼付した後、該粘着テープに引張応力を印加して前記樹脂フィルムを前記被包装体から引き離し、その状態で、前記切り込み形成治具によりこの引き離されている部分に切り込みを形成し、その後、前記貼付部がこの切り込みを覆うように前記粘着テープを貼付するものである。
本発明においては、貼付部により包装体の開封部形成領域に粘着テープの一部を貼付した後、この粘着テープに引張応力を印加して樹脂フィルムを被包装体から引き離しているため、吸引設備が不要となる。また、この引き離されている部分に、切り込み形成治具で切り込みを形成しているため、被包装体を疵つけることがない。
この装置は、前記粘着テープの位置を保持する保持部を有していてもよい。
また、前記粘着テープを切断する切断治具を備えていてもよい。
又は、切断治具として、前記切り込み形成治具を使用することもできる。
更に、前記載置部に、前記包装体を検出する検出部を設けてもよい。
その場合、前記検出部として、例えば光電スイッチを用いることができる。
【0011】
本発明に係る包装体は、被包装体が樹脂フィルムで被包された包装体であって、前述した開封部形成装置により形成された開封部を備えるものである。
本発明においては、前述した開封部形成装置により開封部を形成しているため、被包装体にダメージを与えることなく、容易にかつ確実に、包装体に開封部を形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開封用粘着テープの一部を樹脂フィルムに貼付し、この粘着テープに引張応力を印加することにより樹脂フィルムを被包装体から引き離し、その状態で切り込みを形成しているため、樹脂フィルムを使用した包装体であっても、被包装体にダメージを与えることなく、容易にかつ確実に、開封部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る開封部形成方法を、その工程順に示すフローチャート図である。
【図2】(a)〜(c)は開封部の形状例を示す平面図である。
【図3】図2(a)に示す切り込み2a上に粘着テープ3を貼付した状態を示す模式図である。
【図4】(a)及び(b)はそれぞれ図2(b)及び(c)に示す切り込み2b,2cを備える開封部を模式的に示す平面図である。
【図5】摘み部を備える粘着テープの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る開封部形成方法で形成した開封部を備える包装体の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る開封部形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】開封部形成する際の切り込み形成治具23及び貼付部27の動作を示す図であり、待機状態を示す。
【図9】開封部形成する際の切り込み形成治具23及び貼付部27の動作を示す図であり、図8の次の工程を示す。
【図10】開封部形成する際の切り込み形成治具23及び貼付部27の動作を示す図であり、図9の次の工程を示す。
【図11】開封部形成する際の切り込み形成治具23及び貼付部27の動作を示す図であり、図10の次の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0015】
先ず、本発明の第1の実施形態に係る包装体の開封部形成方法について説明する。図1は本実施形態の開封部形成方法を、その工程順に示すフローチャート図である。図1に示すように、本実施形態の開封部形成方法においては、先ず、商品などの被包装体を、包装用樹脂フィルムで被包して包装体とする(ステップS1)。その方法は特に限定されるものではないが、例えば、上包機による包装(キャラメル包装)や、フィルムの一部又は全部に熱処理を施すシュリンク包装などが挙げられる。
【0016】
ここで使用する樹脂フィルムの材質は、特に限定されるものではないが、例えばシュリンク包装体の場合は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びその他のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの各種熱収縮性樹脂フィルムを使用することができる。また、被包装体(商品)の形状、包装形態及び包装条件などについても、特に限定されるものではなく、樹脂フィルムにより被包装体(商品)が被包された形態の包装体(以下、樹脂フィルム包装体ともいう。)が形成されていればよい。
【0017】
なお、ステップS1の包装工程と、後述する各工程とは、連続して行ってもよいが、予め所定数の樹脂フィルム包装体を作製した後で以下の工程を実施することもでき、また、別途用意した樹脂フィルム包装体に対して以下の工程を実施してもよい。
【0018】
次に、第1貼付工程として、樹脂フィルム包装体の包装材である樹脂フィルムに、開封用粘着テープの一部を貼付する(ステップS2)。この第1貼付工程における粘着テープの樹脂フィルムへの貼付量(面積)は、粘着テープに所定の引張応力を印加した際に、樹脂フィルムから剥がれない程度であればよく、粘着テープと樹脂フィルムとの粘着強度などに応じて適宜設定することができる。また、ここで使用する粘着テープは、芯などに巻回されている長尺のテープに限定されず、予め開封部の大きさに合わせて切断されているものを使用することもできる。
【0019】
引き続き、粘着テープを樹脂フィルム包装体から遠ざかる方向に引っ張り、樹脂フィルムと被包装体との間に隙間を設ける(ステップS3)。この隙間は、次の工程で使用する切り込み形成治具が被包装体に接触しない程度であればよい。
【0020】
次に、カッターなどの切り込み形成治具を使用して、樹脂フィルムの被包装体から引き離されている部分に、切り込みを形成する(ステップS4)。図2(a)〜(c)は切り込みの形状例を示す平面図である。樹脂フィルム1に形成する切り込みの形状は、例えば、図2(a)に示すU字状の切り込み2a、図2(b)に示すV字状の切り込み2b、図2(c)に示す直線状の切り込み2cなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、適宜選択することができる。また、樹脂フィルム1に、間隔を空けて複数の切り込みを形成してもよい。更に、樹脂フィルム1に切り込みを入れるための治具も、特に限定されるものではなく、切り込みの形状・大きさ、フィルムの材質などに応じて適宜選択して使用することができる。
【0021】
次に、第2貼付工程として、樹脂フィルムに粘着テープを貼付して、ステップS4で形成した切り込みを粘着テープで覆う(ステップS5)。図3は図2(a)に示す切り込み2a上に粘着テープ3を貼付した状態を示す模式図である。この第2貼付工程では、図3に示すように、粘着テープ3に印加された引張応力を解除し、粘着テープ3のステップS2で貼付した部分(第1貼付部)3aに続く領域(第2貼付部)3bを、樹脂フィルム1の切り込み2aが形成されている部分に貼付する。このとき、粘着テープ3の貼付方向は、粘着テープ3を剥がしたときに、切り込み2aを起点として樹脂フィルム1が裂け、包装体が開封される方向とする。
【0022】
その後、必要に応じて、粘着テープ3を切断する(ステップS6)。その際、粘着テープ3の切断位置は、開封部の形態に応じて適宜設定することができるが、例えば、第2貼付部3bと未貼付部3cとの境界4で切断することができる。また、粘着テープに後述する摘み部を形成する場合は、境界4よりも後方、即ち、未貼付部3cを残して切断してもよい。なお、粘着テープ3として、予め、所定長に切断されたものを使用する場合には、このステップS6の切断工程は不要である。これにより、樹脂フィルム1の切り込み形成部に、粘着テープ3が貼付された構成の開封部が形成される。
【0023】
図4(a)及び(b)はそれぞれ図2(b)及び(c)に示す切り込み2b,2cを備える開封部を模式的に示す平面図である。図4(a)及び(b)に示すように、粘着テープ3に摘み部3dを設ける場合は、開封時に粘着テープ3を剥離する際の始点となる側の端部又はその近傍に形成されていることが望ましい。このような摘み部3dは、ステップS5の第2貼付工程又はステップS6の切断工程において形成することができる。例えば、第2貼付工程で摘み部3dを形成する場合は、第2貼付部3bの一部を表面が凸になるように折り曲げ、その粘着面同士を貼り合わせればよい。また、切断工程で形成する場合には、未貼付部3cを残して切断し、その残した部分を、表面が凸になるように折り曲げるか、又は粘着面側が内側になるように折り返して、粘着面同士を貼り合わせればよい。
【0024】
一方、予め、摘み部として機能する突片部が形成された粘着テープを使用することもできる。図5は突片部を備える粘着テープの一例を示す斜視図である。例えば、図5に示すような所定の間隔をあけて複数の突片部13dが形成された粘着テープ13を使用する場合は、突片部13dが形成されていない部分を第1貼付部とし、切り込み形成後に突片部13dが形成されている部分まで貼付すればよい。そして、包装体に貼付後は、突片部13dが摘み部として機能するため、ステップS6において摘み部を形成する工程が不要となる。また、この粘着テープ13を使用すれば、切断位置を変えることにより、容易に開封部における摘み部(突片部13a)の位置を調節することが可能となる。
【0025】
なお、前述した摘み部は、第2貼付部の端部よりも内側に設けられていることが望ましい。即ち、第2貼付部の端部は粘着面が露出しており、樹脂フィルムに貼付されていることが望ましい。これにより、粘着テープが剥がれにくくなるため、包装体を搬送及び取り扱っている際に、誤って開封されることを防止できる。
【0026】
図6は本実施形態の開封部形成方法で形成した開封部を備える包装体の一例を示す斜視図である。前述したステップS1〜S6の工程を行うことにより、図6に示すように、樹脂フィルム包装体10に、被包装体を覆う樹脂フィルム1に設けられた切り込みと、開封用粘着テープ3とからなる開封部が形成される。この開封部は、例えば、摘み部3dを持って粘着テープ3を剥がすことにより、容易にかつ且つ確実に、樹脂フィルム包装体10を開封し、被包装体5を取り出すことができる。
【0027】
本実施形態の開封部形成方法では、切り込みを形成する前に、開封用粘着テープの一部を樹脂フィルムに貼付し、この粘着テープに引張応力を印加することにより、樹脂フィルムを被包装体から離しているため、樹脂フィルムなどの包装材を吸引するための設備が不要となる。また、本実施形態の開封部形成方法では、カッターなどの治具により樹脂フィルムに切り込みを形成しているため、熱盤を使用する方法のように、被包装体が熱で変形する虞もない。なお、この開封部形成方法は、長尺の粘着テープを使用する場合に限定されるものではなく、予め開封部の大きさに合わせて切断されている粘着テープを使用する場合にも適用が可能であり、その場合も同様の効果が得られる。
【0028】
このように、本実施形態の開封部形成方法を適用することにより、装置を簡素化することができると共に、被包装体に疵をつけることなく、樹脂フィルム包装体に開封部を形成することができる。更に、本実施形態の開封部形成方法では、開封用粘着テープの一部に、摘み部を設けることで、容易にかつ確実に包装体を開封することが可能となる。
【0029】
加えて、本実施形態の開封部形成方法は、大きさ及び形状にかかわらず、樹脂フィルムを使用した包装体に適用可能であり、更に、開封部の形成位置も任意に設定することができる。特に、樹脂フィルムとして破れにくい熱収縮性フィルムを使用しており、被包装体と包装材とが密着していることが多く、端部に開封部を形成しにくいシュリンク包装体に好適である。
【0030】
次に、本発明の第2の実施形態に係る包装体の開封部形成装置について説明する。図7は本実施形態の開封部形成装置の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態の開封部形成装置は、前述した第1の実施形態の開封部形成方法を実現するものであり、図7に示すように、樹脂フィルム包装体を載置する載置部21と、樹脂フィルム1に切り込みを形成するための切り込み形成治具23と、樹脂フィルム1に開封用粘着テープ3を貼付するための機構を備えている。
【0031】
この開封部形成装置における載置部21には、開口部21aが設けられており、この部分から樹脂フィルム包装体の底面の一部が露出するようになっている。また、載置部21には、光電スイッチなどで構成され、開封部を形成する対象の包装体が所定位置に配置されているか否かを検出する包装体検出部22が配設されている。更に、切り込み形成治具23は、カッターなどで構成されており、その位置及び角度などが調整可能となっている。
【0032】
一方、粘着テープ3の貼付機構は、例えば、捲回状態の粘着テープ3から所定長さを引き出す引き出し部24と、粘着テープ3を樹脂フィルム1に貼付する貼付部27と、貼付部27の動作に対応して引き出し部24の動作を調整する調整部25と、貼付時に粘着テープ3の位置を保持する保持部26とを備えている。これら引き出し部24、調整部25、保持部26及び貼付部27は、各種ローラーなどで構成されている。
【0033】
そして、例えば、調整部25が、上下方向に移動可能なスイングアームで構成されている場合は、引き出し部24により引き出された粘着テープ3の動きは、スイングアームの上下方向の位置により制御される。具体的には、貼付部27によって、包装体のシュリンクフィルム1に粘着テープ3を貼付するときは、調節部(スイングアーム)25が上方向に動き、引き出し部24が「ON」となる。これにより引き出し部24により粘着テープ3が引き出されることとなるが、そうすると調節部(スイングアーム)25は下方向に動き、引き出し部24は「OFF」となる。
【0034】
次に、本実施形態の開封部形成装置の動作について説明する。図8〜図11は開封部形成する際の切り込み形成治具23及び貼付部27の動作をその工程順に示す図である。なお、図8〜図11では、図を見やすくするために、切り込み形成治具23、保持部26及び貼付部27以外の構成要素は省略して示している。この開封部形成装置により、樹脂フィルム包装体に開封部を形成する場合は、先ず、図7に示すように、載置部21の所定位置に、開封部形成対象の樹脂フィルム包装体を配置する。その方法は特に限定されず、コンベヤーやアームなどにより自動配置してもよく、また、作業者が手作業で配置してもよい。
【0035】
そして、包装体検出部22により樹脂フィルム包装体が所定位置にあることが確認されると、切り込み形成治具23及び貼付部27は、図8に示す待機位置(ホームポジション)から、図9に示す位置にまで移動する。また、このとき、粘着テープ3の脱落及び移動を防止するためのストッパーである保持部26が貼付部27から離れる。これにより、貼付部27は、粘着テープ3を樹脂フィルム包装体に貼付できる状態となる。なお、図9では図示を省略しているが、このとき貼付部27は、図7に示す載置部21の開口部21a内に位置している。
【0036】
次に、貼付部27が順方向に移動し、樹脂フィルム包装体の包装材である樹脂フィルム1に粘着テープ3の一部、例えば10〜20mm程度を貼付する。このとき、樹脂フィルム1に貼付した粘着テープ3を、貼付部27のローラーでならすことが望ましい。具体的には、粘着テープ3の一部を貼付後、貼付部27を逆方向に2〜4mm程度移動させ、引き続き、順方向に同程度移動させる。これにより、次の工程で、引張応力を印加したときに、粘着テープ3が樹脂フィルム1から剥離してしまうことを防止することができる。このならし工程は、樹脂フィルム1として、粘着テープ3が貼着しにくい材質のフィルムを使用しているときに特に有効である。
【0037】
その後、保持部26が移動して、保持部26及び貼付部27の各ローラーで粘着テープ3を挟持し、粘着テープ3が動かないように固定する。次に、その状態で、貼付部27が下方、即ち、樹脂フィルム包装体から離れる方向に、2〜4mm程度移動する。これにより、粘着テープ3に引張応力が印加され、それに伴い、樹脂フィルム1が被包装体5から引き離され、これらの間に隙間ができる。なお、本実施形態では、保持部26で粘着テープ3を固定した状態で貼付部27を移動しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、調整部25がスイングアームで構成されている場合は、保持部26は離したまま、即ち、ストッパーはかけずに、スイングアームの自重などによる負荷によって、貼付部27を移動させずに、粘着テープ3に引張応力を印加することもできる。
【0038】
次に、図10に示すように、切り込み形成治具23を、樹脂フィルム1の被包装体5から引き離されている(浮いている)部分に刺す。このとき、1回の動作で所定の切り込みを形成することも可能であるが、2回に分けて刺してもよい。例えば、1回の動作で切り込みを形成する方法の場合は、保持部26によるストッパーはかけずに、スイングアームの自重などによる負荷によって、粘着テープ3に引張応力を印加し、その状態で、切り込み形成治具23を樹脂フィルム1に向かって移動させて、所定の大きさの切り込みを形成すればよい。
【0039】
一方、2回に分けて形成する方法の場合は、先ず、切り込み形成治具23で樹脂フィルム1に小さな切り込みを形成し、その後、この切り込みを切り込み形成治具23で大きくする。具体的には、第1段階として、樹脂フィルム1に切り込み形成治具23を僅かに刺し、その後、保持部26を貼付部27から離してストッパーを解除して、貼付部27を下方(包装体から離れる方向)に例えば4〜6mm程度移動させると共に、切り込み形成治具23を樹脂フィルム1に向かって4〜6mm程度移動させる。これにより、切り込み形成治具23を安定して刺すことができると共に、切り込み形成治具23を刺した際に、粘着テープ3が樹脂フィルム1から剥離することを防止できる。
【0040】
また、切り込み形成用治具23として通り刃や平刃のカッターを使用している場合は、樹脂フィルム1に刺す際に、その角度を20〜30°程度傾けることが望ましい。これらのカッターを傾けずに、包装体に平行な状態でその樹脂フィルム1に刺すと、図2(c)に示すような直線状の切り込み2cが形成されるが、前述した範囲で傾けて刺すことにより、図2(a)に示すU字状の切り込み2aや図2(b)に示すV字状の切り込み2bを形成することができる。これらU字状及びV字状の切り込み2a,2bは、直線状の切り込み2cに比べて、開封時に樹脂フィルム1が裂けやすく、良好な開封性が得られる。
【0041】
樹脂フィルム1に所定形状の切り込みを形成した後、切り込み形成用治具23及び貼付部27を、図9に示す位置に戻す。これにより、粘着テープ3への引張応力が解除される。その後、貼付部27を所定の距離だけ順方向に移動させて、樹脂フィルム1の切り込みが形成されている部分に粘着テープ3を貼付する。
【0042】
このとき、必要に応じて、粘着テープ3を、表面が凸になるように(粘着面が内側になるように)折り曲げ、粘着面同士を貼り合わせて「摘み部」を形成することができる。その場合、別途摘み部形成部を設けても、貼付部27に摘み部形成機能を付加してもよい。更に、摘み部を粘着テープ3の端部に設ける場合は、未貼付部を残して粘着テープ3を切断し、その残した未貼付部を折り返して摘み部とすることもできる。
【0043】
また、粘着テープとして、図5に示す複数の突片部13dを備える粘着テープ13を使用している場合は、貼付部27を移動中に、光電スイッチなどにより突片部13dを検出し、この突片部13dを検出したところで貼付部27の移動を停止すればよい。これにより、毎回、安定的に同じ位置で粘着テープ3を切断することができる。なお、突片部13dがない粘着テープ3を使用している場合は、貼付部27の移動距離を制御することにより、粘着テープ3の切断位置を一定に保つことが可能となる。
【0044】
次に、貼付部27が下方向(包装体から離れる方向)に10〜20mm程度移動した後、保持部26が貼付部27の方向に移動して、粘着テープ3を固定する。更に、その状態で、貼付部27が下方向(包装体から離れる方向)に0.5〜1.5mm程度移動する。このとき、粘着テープ3は、保持部26及び貼付部27で挟持されているため、粘着テープ3には引張応力が印加される。ここで、粘着テープ3に引っ張り応力を印加しているのは、次の切断工程において、粘着テープ3を確実にかつ綺麗に切断するためである。
【0045】
次に、図11に示すように、切り込み形成用治具23が移動し、粘着テープ3を所定位置で切断する。なお、図5に示す突片部13dを備えた粘着テープ13を使用する場合には、摘み部が端部にならないように突片部13dの直後で切断し、両端部は粘着面が樹脂フィルム1に貼付されることが望ましい。これにより、搬送又は取り扱い時に、粘着テープ3が剥がれて、包装体が開封されてしまうことを防止できる。その後、切り込み形成用治具23、保持部26及び貼付部27は、図8に示す待機位置(ホームポジション)に戻る。そして、開封部が形成された樹脂フィルム包装体10は、自動又は作業者により、載置部21から移動される。
【0046】
なお、本実施形態の開封部形成装置では、樹脂フィルム1への切り込み形成と、粘着テープ3の切断を同じ治具で行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、切り込み形成用治具23の他に、粘着テープ切断用治具を設けてもよい。
【0047】
このように、本実施形態の開封部形成装置では、切り込みを形成する前に、開封用粘着テープの一部を樹脂フィルムに貼付し、この粘着テープに引張応力を印加することにより、樹脂フィルムを被包装体から浮かした状態で、切り込みを形成しているため、フィルム吸引部が不要となる。また、本実施形態の開封部形成装置では、カッターなどの治具により樹脂フィルムに切り込みを形成しているため、熱源が不要であり、更に、被包装体が熱で変形する虞もない。その結果、装置を簡略化及び小型化することができると共に、被包装体に疵をつけることなく、樹脂フィルム包装体に開封部を形成することができる。
【0048】
また、本実施形態の開封部形成装置では、包装体を載置する位置を任意に設定することが可能であるため、開封部の位置を個別に変更することが可能となると共に、大きさ及び形状にかかわらず、樹脂フィルムを使用した種々の包装体に開封部を形成することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 樹脂フィルム(包装材)
2a〜2c 切り込み
3、13 粘着テープ
3a 第1貼付部
3b 第2貼付部
3c 未貼付部
3d 摘み部
4 境界
5 被包装体
10 包装体
13d 突片部
21 載置部
21a 開口部
22 包装体検出部
23 切り込み形成治具
24 引き出し部
25 調整部
26 保持部
27 貼付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装体が樹脂フィルムで包装された包装体に開封部を形成する方法であって、
前記樹脂フィルムに粘着テープの一部を貼付する第1の貼付工程と、
該粘着テープに引張応力を印加して前記樹脂フィルムを前記被包装体から引き離す工程と、
前記樹脂フィルムの前記被包装体から引き離されている部分に切り込みを形成する工程と、
該切り込みを覆うように前記粘着テープを貼付する第2の貼付工程と、
を有する包装体の開封部形成方法。
【請求項2】
切り込み形成治具を包装体の底面に対して、20〜30°の角度で傾けた状態で、前記樹脂フィルムに切り込みを形成することを特徴とする請求項1に記載の包装体の開封部形成方法。
【請求項3】
切り込みを形成する工程では、切り込み形成治具により前記樹脂フィルムに小さな切り込みを形成した後、この切り込みを前記切り込み形成治具で大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装体の開封部形成方法。
【請求項4】
第2の貼付工程後に、前記粘着テープを切断する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装体の開封部形成方法。
【請求項5】
第2の貼付工程又は粘着テープを切断する工程において、前記粘着テープを折り曲げて粘着面同士を貼り合わせることにより摘み部を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装体の開封部形成方法。
【請求項6】
摘み部として機能する複数の突片部が、その長さ方向に間隔をあけて形成されている粘着テープを使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装体の開封部形成方法。
【請求項7】
前記包装体が熱収縮フィルムを使用したシュリンク包装体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の包装体の開封部形成方法。
【請求項8】
被包装体が樹脂フィルムで包装された包装体に開封部を形成する装置であって、
前記包装体を載置する載置部と、
前記樹脂フィルムに切り込みを形成する切り込み形成治具と、
前記樹脂フィルムに開封用粘着テープを貼付するための貼付部と、を有し、
前記載置部には前記包装体の開封部形成領域を露出させるための開口部が設けられており、
前記貼付部により前記開封部形成領域に前記粘着テープの一部を貼付した後、該粘着テープに引張応力を印加して前記樹脂フィルムを前記被包装体から引き離し、その状態で、前記切り込み形成治具によりこの引き離されている部分に切り込みを形成し、その後、前記貼付部がこの切り込みを覆うように前記粘着テープを貼付する包装体の開封部形成装置。
【請求項9】
更に、前記粘着テープの位置を保持する保持部を有することを特徴とする請求項8に記載の包装体の開封部形成装置。
【請求項10】
更に、前記粘着テープを切断する切断治具を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の包装体の開封部形成装置。
【請求項11】
前記切断治具として、前記切り込み形成治具を使用することを特徴とする請求項10に記載の包装体の開封部形成装置。
【請求項12】
前記載置部に、前記包装体を検出する検出部が設けられていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の包装体の開封部形成装置。
【請求項13】
前記検出部は光電スイッチであることを特徴とする請求項12に記載の包装体の開封部形成装置。
【請求項14】
被包装体が樹脂フィルムで被包された包装体であって、
請求項8乃至13のいずれか1項に記載の開封部形成装置により形成された開封部を備える包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−254314(P2010−254314A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103671(P2009−103671)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(597010606)成光産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】