包装体及びその組み立て方法
【課題】包装体内で表示シートがずれにくい包装体を提供する。
【解決手段】被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、表示シート(7)とを含み被包装物を表示シートと共に包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体(100)であって包装ケースはフラップ状の差し込み片(3f2)を有する。表示シートは第1の山折り部(YM5)と第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)とを有する。被包装物の包装状態において差し込み片がスリットに稜線の外側から内側に挿通されていると共に差し込み片における先端から所定距離の位置で差し込み片と表示シートとを共に屈曲させた第2の山折り部(YM4)が設けられる。
【解決手段】被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、表示シート(7)とを含み被包装物を表示シートと共に包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体(100)であって包装ケースはフラップ状の差し込み片(3f2)を有する。表示シートは第1の山折り部(YM5)と第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)とを有する。被包装物の包装状態において差し込み片がスリットに稜線の外側から内側に挿通されていると共に差し込み片における先端から所定距離の位置で差し込み片と表示シートとを共に屈曲させた第2の山折り部(YM4)が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体及びその組み立て方法に係り、特に、第1及び第2のケースと、被包装物を包装時に載置するトレイと、被包装物の説明等を表示した表示シートとを有し、第1及び第2のケースが、商品を両側から覆ってトレイ及び表示シートと共に外部から視認可能なよう内部に収めて組み立てられる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物である商品を包装する透明樹脂材で形成された包装ケースと、その商品の説明を表示した表示シートと、を有し、それら商品及び表示シートを購買客から視認可能なよう内部に収納して包装する包装体が知られている。
この包装体における包装ケースは、具体的には、被包装物を、商品陳列状態で購買客側となる正面側と反対側の裏面側とからそれぞれ第1及び第2のケースで覆って内部に収納するものである。
また、表示シートには、商品の型番,製造者名,機能説明などが印刷表示されており、その表示が外部から視認可能なように包装ケース内に収められている。
包装ケースの一例として透明材料で形成したクラムシェルパックがあって特許文献1に記載されている。
【0003】
このような包装体が好適に適用できる被包装物の例として、ヘッドホン,PC用スピーカ、リモコンなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−051133号公報
【特許文献2】特開2009−113829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した包装ケースの形状やパッケージ構成は、近年、購買者の購入意欲を高めるため高度にデザインされる場合が多い。これは被包装物がヘッドホンの場合、特に顕著である。
具体的には、包装ケース内にヘッドホンを表示シートと共にただ単に収めるだけではなく、一対の包装ケースに加えてヘッドホンをより美しく見える姿勢で保持するトレイを用いると共に、表示シートの形状や包装ケース内での配置が細かく決められてデザインされる。
【0006】
包装ケース及びトレイはPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材で形成され、表示シートは厚紙で形成されるのが一般的であり、表示シートはPET材の包装ケースやトレイに対して大変すべりやすく、しっかり保持されていないと外部からの振動や衝撃で位置ずれを生じ易い。
そこで、包装体内の表示シートを位置がずれてないように良好に保持する工夫が必要となっている。
【0007】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、包装体内で表示シートがずれにくい包装体を提供することにある。
また、その包装体の組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の(1)から(7)の構成を有する。
(1)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体(100)であって、
前記包装ケース(1)はフラップ状の差し込み片(3f2)を有し、
前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、を有し、
前記被包装物(HP)の包装状態において、
前記差し込み片(3f2)が前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させた第2の山折り部(YM4)が設けられていることを特徴とする包装体である。
(2)前記包装ケース(1)は、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片(3f1,3f2)を有し、
前記ガイド片(3f1,3f2)と前記差し込み片(3f2)とで、前記表示シート(7)における前記第1の山折り部(YM5)の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の包装体である。
(3)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、前記被包装物(HP)を支持するトレイ(3)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記トレイ(3)及び前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体(100)であって、
前記トレイ(3)はフラップ状の差し込み片を有し、
前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、を有し、
前記被包装物(HP)の包装状態において、
前記差し込み片(3f2)が前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させた第2の山折り部(YM4)が設けられていることを特徴とする包装体である。
(4)前記トレイ(3)は、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片(3f1,3f2)を有し、
前記ガイド片(3f1,3f2)と前記差し込み片(3f2)とで、前記表示シート(7)における前記第1の山折り部(YM5)の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の包装体である。
(5)前記被包装物(HP)はヘッドホンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体である。
(6)前記表示シート(7)は前記被包装物(HP)に関する情報を表示したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体である。
(7)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記包装ケースはフラップ状の差し込み片(3f2)を有する一方、前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、と有しており、
前記差し込み片(3f2)を前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させて第2の山折り部(YM4)を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法である。
(8)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、前記被包装物(HP)を支持するトレイ(3)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記トレイ(3)及び前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記トレイ(3)はフラップ状の差し込み片(3f2)を有する一方、前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、を有しており、
前記差し込み片(3f2)を前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させて第2の山折り部(YM4)を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装体内で表示シートがずれにくいという効果が得られる。
また、表示シートがずれにくい包装体の組み立て方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の包装体の実施例により被包装物を包装した状態を示す外観正面図である。
【図2】本発明の包装体の実施例における包装ケースを説明する二面図である。
【図3】本発明の包装体の実施例における包装ケースの閉状態を説明する二面図である。
【図4】本発明の包装体の実施例における係止片部を説明する図である。
【図5】本発明の包装体の実施例におけるトレイを説明する平面図である。
【図6】本発明の包装体の実施例における表示シートを説明する展開図である。
【図7】本発明の包装体の実施例における要部である表示シートの使用形態を説明する外観斜視図である。
【図8】本発明の包装体の実施例における要部の係止構造を説明する部分平面図である。
【図9】本発明の包装体の実施例における要部の係止構造を説明する部分斜視図である。
【図10】本発明の包装体の実施例における要部の係止構造を説明する部分断面図である。
【図11】本発明の包装体の実施例における変形例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例などにより図1〜図11を用いて説明する。
【0012】
図1は、包装体100によって被包装物であるヘッドホンHPを包装した状態を示す外観斜視図である。
実施例の包装体100は、包装ケース1とトレイ3と表示シート7とを有して構成されている。
ヘッドホンHPの包装において、ヘッドホンHPは、透明のトレイ3に直接支持されこのトレイ3と共に包装ケース1内に収納されている。
この包装は、図1の手前側が商品陳列状態において購買者側となるようにデザインされているので、以下、便宜的に、図1の手前側を正面、奧側を背面とする。
【0013】
図2は、包装ケース1を示す二面図(平面図及び下側面図)である。
包装ケース1は、例えば、樹脂シートを真空成形することにより形成される。
平均肉厚は例えば0.5mmである。各図において示す肉厚は誇張して記載してある。
樹脂材料例として、PET(ポリエチレンテレフタレート)がある。
【0014】
包装ケース1は、正面側となるSケース1sと背面側となるHケース1hとを有している。
各ケースは、平面視で概ね矩形に形成されておりヒンジ部1aにより連結されている。
ヒンジ部1aには、ミシン目状の複数の溝1a1が形成され、Sケース1s及びHケース1hは、このヒンジ部を中心に図2の矢印DR1方向に手などで開閉が可能となっている。
【0015】
図2(一部図1も参照)おいて、Sケース1s及びHケース1hは、それぞれ上方側にアーチ状に突出した突出部1s1,1h1を有する。
各突出部1s1,1h1には、商品陳列に際し、壁面などから水平方向に立設されたフック(図示せず)を通す為の開口部1bが形成されている。
開口部1bの近傍には、Sケース1sとHケース1hとを閉じた際に強嵌合して両ケースを閉じた状態で保持する嵌合部1cが各ケース一対ずつ形成されている。
具体的には、Sケース1sの嵌合部1cは円筒状に突出し、Hケース1hの嵌合部1cはSケース1sの嵌合部1cが強嵌合で嵌り込む寸法にて円筒状に陥没して形成されている。
【0016】
Sケース1sは、所定面積の平坦面を有する平坦部1s2と、平坦部1s2の上下端から、平坦部1s2に対して同方向にほぼ直立して設けられた壁部1s3,1s4と、平坦部1s2の左右端から壁部1s3,1s4と同じ方向に立ち上がる曲面を有して形成された曲壁部1s5,1s6と、を有している。
【0017】
Hケース1hは、所定面積の平坦面を有する平坦部1h2と、平坦部1h2の上下端から、平坦部1h2に対して同方向にほぼ直立して設けられた壁部1h3,1h4と、平坦部1h2の左右端から壁部1h3,1h4と同じ方向に立ち上がる曲面を有して形成された曲壁部1h5,1h6と、を有している。
【0018】
包装ケース1においては、各曲壁部1s5,1s6,1h5,1h6の曲率は同じとされている。図2においては半径Rで示している。この曲率(半径)は必ずしもすべて同じでなくてもよく、適宜設定してよい。
この包装ケース1では、さらに左右の側面が曲壁部1s5,1s6,1h5,1h6のみで形成されるように半径Rが設定されている。
従って、Sケース1s及びHケース1hの高さHs,Hh(図2参照)は、ほぼ半径Rと等しく設定されている。
【0019】
図2において、平坦部1s2と曲壁部1s5との境界位置を、下側面図における点P1及び平面図における二点鎖線L1で示し、平坦部1s2と曲壁部1s6との境界位置を、下側面図における点P2及び平面図における二点鎖線L2で示している。
また、平坦部1h2と曲壁部15との境界位置を、下側面図における点P1及び平面図における二点鎖線L1で示し、平坦部1s2と曲壁部1s6との境界位置を、下側面図における点P2及び平面図における二点鎖線L2で示している。
【0020】
Sケース1sは、その右側端部1smから右外方に延出するよう一体的に形成された係止片部5を備えている。
係止片部5は、上下方向に延材する基部5kと、基部5kと右側端部1smとを連結し左右方向に延在する脚部5fと、を有する。すなわち、係止片部5は、Sケースの右側端部1smから右外方に延出した脚部5fの先端に基部5kを形成する。
包装ケース1における脚部5fは、図2における上方側の上脚部5f1と下方側の下脚部5f2との一対とされている。
係止片部5には、右側端部1smと脚部5f1と基部5kと下脚部5f2とにより囲まれた開口部5aが形成されている。
脚部5f1,5f2は、それぞれ、延在方向(図2の左右方向)の長さL5よりも幅方向(図2の上下方向)の長さW5の方が短く形成されている。
従って、脚部5f1,5f2は、Sケース1sの右側端部1smを中心として図2の矢印DR2方向に指などで容易に撓ませられるようになっている。
【0021】
基部5kは、上脚部5f1が連結された部位の上方向外側に延出してなるフラップ5k1と、下脚部5f2が連結された部位の下方向外側に延出してなるフラップ5k2と、基部5kの右側端部から更に右方に突出するフラップ5k3と、を備える。
また、基部5kは、上下方向に延在するリブ5bを有する。このリブ5bは、壁部1s5,1s6の突出方向と同じ方向に突出して形成されている。
また、リブ5bは、開口部5aに対応した位置及び長さで形成されている。
【0022】
係止片部5の基部5kは、リブ5bが形成されていることにより、その形成範囲において剛性が高く撓み難くなっている。
一方、フラップ5k1〜5k2は、リブ5bによって剛性が強化される部位ではない位置に設けられ、長手方向の長さに対して幅方向の長さが短く、指で容易に撓ませられるように形成されている。例えばL5は約30mm、W5は約10mmであり、脚部5f1の下端部から、5f2の上端までの長さW30は約78mmである。また、Sケース1s及びHケース1hの上下方向の長さHt(図1参照)は約175mmである。
【0023】
Hケース1hは、平坦部1h2において、三つの細長状のスリット1h7〜1h9を有している。
具体的には、スリット1h7,1h9は左右方向を長手とし、スリット1h8は上下方向を長手とする。
スリット1h7〜1h9は、スリット1h7にはフラップ5k1が、スリット1h9にはフラップ5k2が、スリット1h8にはフラップ5k3が、それぞれ差し込み可能なように形成されている。
【0024】
図3は、Sケース1sとHケース1hとを閉じた状態の包装ケース1における、Hケース1hの平坦部1h2側から見た平面図(背面図)と下側面図とを示している。
図4は図3の状態における包装ケース1の右側端部を部分表示した図であって、図4(a)及び図4(b)は部分下側面図であり、図4(c)は部分背面図である。
【0025】
図3の下側面図でわかるように、包装ケース1は、曲壁部1h5,1h6,1s5,1s6により出隅部にR付けが施された形状となっている。
【0026】
図3及び図4(a)に示すように、係止片部5は、指によって矢印DR3の方向に容易に撓ませられる程度の可撓性を有するように形成されている。
従って、係止片部5は、その脚部5f(上脚部5f1及び下脚部5f2)を、図4(b)に示すようにHケース1hの曲壁部1h5の外面に沿うように変形させることでHケース1hの外面に沿わせることができる。
そして、その変形状態で、スリット1h7〜1h9にフラップ5k1〜5k3をそれぞれ差し込むことができるようになっている。
各スリット1h7〜1h9に各フラップ5k1〜5k3を差し込んだ状態を図4(c)に示す。
【0027】
各フラップ5k1〜5k3の各スリット1h7〜1h9への差し込みは、リブ5bによる剛性向上に抗する力を指により一時的に付与し、基部5kを変形させることで行う。
各スリットに各フラップが差し込まれた後は、基部5kの剛性が高く変形し難いのでフラップ5k1〜5k3が容易にスリット1h7〜1h9から抜けてしまうことはない。
すなわち、包装ケース1は、係止片部5のフラップ5k1〜5k3のスリット1h7〜1h9への差し込みと嵌合部1cの強嵌合とにより、Sケース1sとHケース1hとを閉じた状態(以下、閉状態とも称する)で維持される。
【0028】
包装ケース1の閉状態において、係止片部5はHケース1hの曲壁部1h5を含む外面に沿って実質的に密着して保持されるので、包装ケース1の外観品位は高く維持される。
【0029】
係止片部5は、その脚部5の位置が、係止片部5を包装ケース1の外面に沿わせた際の曲壁部1h5に対応した位置にあり、かつ、脚部5の長手方向の長さL5が、曲壁部1h5の外面の沿面距離LEと同じかそれ以上の長さで形成されていればよい。実施例の包装ケース1の場合、沿面距離LEは曲壁部1h5の内面の半径をR(図2を参照),曲壁部1h5の板厚をtとすると、LE=1/2(R+t)π となるので、L5について、LE=1/2(R+t)π≦L5 であればよい。
【0030】
平面視での寸法関係を説明すると、図4(c)に示すように、Hケース1hの端部HTから曲壁部1h5と平坦部1h2との境界位置L3までの距離をDa(図2も参照)とし、Hケース1hの端部HTから基部5kまでの距離Dbとすると、Da≦Db であればよい。なお、図2、図3、図4では、理解を容易にするため肉厚を示す破線を一部省略している。
【0031】
上述のように、実施例の包装ケース1は、係止片部5に開口部5aを設け、脚部5fを容易に撓めるよう複数の脚部5f1,5f2に分割しているので、上下脚部5f1,5f2が包装ケース1の外面に沿うように変形可能であり、係止片部5が突出することなく両ケース1s,1hを閉状態で係止維持することができる。
これにより、包装ケースは、その縁部にフランジ部がなく出隅部にR付けがなされていても閉状態で高い外観品位が維持され、繰り返しの開閉も容易に行える。
【0032】
図5は、被包装物であるヘッドホンHPが載置されてそれを支持するトレイ3を示す平面図及び右側面図である。トレイ3の外形は、包装ケース1の内部に形成される空間の上下方向断面内に収まるよう形成される。この実施例で包装するヘッドホンHPは、ヘッドバンドを備えた所謂オーバーヘッドタイプである。
【0033】
トレイ3は、例えば、樹脂シートを真空成形することにより形成される。
平均肉厚は例えば0.5mmである。各図において示す肉厚は誇張して記載してある。
樹脂材料例として、PETがある。
【0034】
トレイ3には、ヘッドホンHPの形状に応じて凹んだ保持部3aが形成されている。具体的には、保持部3aとして、ヘッドホンHPの耳に当てられる一対の本体部がそれぞれ収められる本体保持部3a1,3a1と、各本体部ヘッドバンド部が収められるバンド保持部3a2とが設けられている。
また、ヘッドホンHPの本体部から延出するコードが収納されるコード収納部3bが凹部として形成されている。
図5における上方側と中央付近とには、保持部3aの凹んだ方向とは反対方向に突出するリブ部3c,3dがそれぞれ設けられている。
リブ部3cとリブ部3dとの突出高さは同じに設定されている。この高さをH6とする。
【0035】
トレイ3の図5における上方側の端部3eからは、さらに上方に延出する3つのフラップ部3fが形成されている。
具体的には、3つの内の両側に位置する一対のフラップ3f1,3f3と、フラップ3f1,3f3に挟まれたフラップ3f2である。
【0036】
フラップ3f1,3f3は端部3eからの突出量TS1がほぼ同じに形成されており、真ん中のフラップ3f2は、端部3eからの突出量TS2がTS1よりも大きく設定されている。
また、各フラップ3f1〜3f3は、その根元である端部3eとの境界位置に、ミシン目状の溝3g1が設けられ、図5の手前側と奧側とへ急峻に折り曲げが可能となっている。
また、フラップ3f2は、突出量TS1となる位置にミシン目状の溝3g2が設けられて図5の手前側と奧側とへ急峻に折り曲げが可能となっている。
すなわち、フラップ3f2は、根元位置と中間位置とで折り曲げが可能なように形成されている。
【0037】
フラップ3f2は、根元から突出量TS1の位置まで先細りに形成されている。
また、突出量TS1からTS2までの間は同じ幅で形成されている。
フラップ3f1,3f3と、フラップ3f2との間には、スリット状の隙間SL1,SL2が形成されている。これにより、各フラップ3f1〜3f3は互いに独立して折り曲げが可能なようになっている。
【0038】
図6は、包装ケース1内に収納される表示シート7を説明するための展開図である。
表示シート7は、厚紙で形成され、表裏それぞれの面に印刷により表示がされている。表示の内容は被包装物に関する情報であって、その例としては、包装するヘッドホンHPの型番,名称,仕様,使用上の注意などである。また、その情報は、文字、イラスト、写真など種々の形態で表示されている。
【0039】
表示シート7を使用する際は、一点鎖線で示した折り線YM1〜YM5を山折りし、さらに矢印U1で示す二点鎖線の領域を頂点領域としてU字状に折り曲げた状態とする。
表示シート7は、折り線YM1〜YM5で6つの部位に区分けされる部位F1〜F6で構成されている。
具体的には、図6のように、折り線YM1を境界とする部位をF1,F2、折り線YM3を境界とする部位をF3,F4、折り線YM5を境界とする部位をF5,F6とする。
【0040】
折り線YM5の線上には、所定の長さD1で開口するスリットSL3が形成されている。スリットSL3は、折り線YM5を山折りとして部位F5,F6を山折りした際の稜線上に位置する。
また、スリットSL3の幅D1は、トレイ3のフラップ3f2の根元幅D33(図5参照)とほぼ同じに設定されている。
また、表示シート7の各部位F1〜F6は、図6の上下方向の寸法において、
H1=H2、H3=2×H4、H3=H5・・・(式1)
となるよう形成されている。
ここで、(式1)の等号は、完全に一致することのみを意味するものではない。トレイ3及び表示シート7に用いられる材料の特性や包装という用途から、概ね一致していれば機能及び効果は発揮される。特に、トレイ3及び表示シート7の材質がそれぞれPET樹脂及び紙である場合は、製造上の寸法のばらつき等が比較的大きいので、実用上、1mm以下程度の差であれば、包装体100として許容されるものである。これは以下の等号式おいても同様である。
【0041】
表示シート7は、トレイ3に対しては、H4=TS1となるよう形成されている。
【0042】
図7に、表示シート7を各折り線YM1〜5で折り曲げて所定形状とした状態の斜視図を示す。
【0043】
図8(a),(b)は、表示シート7をトレイ3で保持するために、トレイ3のフラップ3f2を表示シート3のスリットSL3に差し込む前後の状態を示した図であり、表示シート3を図5の矢印YS1方向から見た部分平面図である。
図8(a)は差し込む前の状態、図8(b)は差し込んだ後の状態を示している。
このように、フラップ3f2はスリットSL3に差し込む差し込み片として機能する。
また、図8において、トレイ3はフラップ3f1〜3f3について具体的に記載し、他の部位は簡略化してある。
【0044】
表示シート7とトレイ3とを組み合わせるには、まず、
図8(a)に示すように、表示シート7に対してトレイ3を図の矢印方向に移動させフラップ3f2をスリットSL3に差し込む。
すなわち、フラップ3f2を、スリットSL3が設けられている稜線の外側から内側に向かうようにしてスリットSL3に挿通させる。
図8(b)に示すように、差し込みは、フラップ3f1,3f3を面F6の手前側に位置するように行う。
ここで、H4=TS1<TS2であるから、フラップ3f2はその先端側が部位F6を通過して露出する。その状態で、フラップ3f2に設けられたミシン目状の溝3g2の位置は、表示シート7の折り線YM4の位置とほぼ一致している。
また、フラップ3f1及びフラップ3f3とフラップ3f2とで、部位F6を挟むようになっている。
【0045】
図8(b)のように表示シート7とトレイ3とを組み合わせた後、包装ケース1内に収めるために、所定の折り曲げを施す。
図9は、この所定の折り曲げを施した状態を正面上方から見た斜視図である。
【0046】
折り曲げは、具体的には、まず折り線YM4で部位F5,F6山折りすると共に、トレイ3のフラップ3f1〜3f3を溝3g1に沿って折り曲げる。部位F3,F4を折れ線YM2で折り曲げると共に先端側を部位F6とフラップ3f1との間に差し込む。
U字状に湾曲されて図9の手前側に位置する部位F1,F2における部位F2に対し、リブ部3c,3dの先端面3cs,3ds(図5も参照)が対向するようになっている。
そして、図9で示す状態で包装ケース1内に収めた際に、部位F1,F2が、Sケース1sにおける平坦部1s2の内側面とリブ部3c,3dの先端面3cs,3dsとの間に挟まれて正背方向(図1の紙面表裏方向)の位置決めがされるようになっている。
【0047】
図9に示される、フラップ3f2がスリットSL3に挿入された状態を、断面SC1−SC1における断面図として図10に示す。
図10には、図9に示した状態で包装ケース1内に収めた際の、Sケース1sの平坦部1s2及びHケース1hの平坦部1h2の位置がわかるように、それらの一部を併せて示している。
【0048】
図10に示すように、フラップ3f2は、スリットSL3から表示シート7の部位F5と部位F6との間に挿入されている。
フラップ3f2は、その全長TS2(図5参照)が部位F5,F6の突出長さH4(図6参照)よりも長く、部位F5,F6の根元に対応した位置に溝3g2が設けられているので、その根元に対応した位置おいて溝3g2に沿って図10の下方に折れ曲がっている。換言するならば、折れ曲がり位置(溝3g2が設けられている位置)は、フラップ3f2の先端から所定の距離(TS2−TS1)の位置である。
実施例では、折れ曲がり角度θは約90°である。
この折れ曲がりは、フラップ3f2が平坦な状態で図8(b)のようにスリットSL3内に挿入した後、折れ線YM4を折り曲げる時に表示シート7と共に形成するので、その作業は良好に行える。
また、フラップ3f2をスリットSL3に挿入する前〔図8(a)の状態〕に、予め溝3g2に折り癖をつけておく、または、若干の折り曲げを施しておくことで、スリットSL3への挿入作業には支障なく折れ線YM4の折り曲げ時の折り曲げ抵抗を減少できるので、より良好な作業が行える。
【0049】
図9に示したようにトレイ3に対して表示シート7を保持させたら、トレイ3の所定の位置にヘッドホンHP等を載置し包装ケース1のHケース1h内にトレイ3を収めて、包装ケース1を閉じ、包装体100の組み立てが完了する。
トレイ3には、表示シート7を支持する前にヘッドホンHP等を載置してもよい。
【0050】
包装体100が組み立てられた状態では、図10に示すように、フラップ3f2の根元から溝3g2が設けられている部位までの距離TS1とリブ部3c及びリブ部3dの高さH6との和が、包装ケース1のSケース1sとHケース1hとの閉状態における内部空間の正背方向の高さH7とほぼ同じとなるように形成されている。厳密には、高さH7から表示シート7の厚さの4倍分を減じた高さとなっている。
この4倍分は、包装ケース1の正面側においてSケース1sとリブ部3cとで挟まれた部位F1,F2と、背面側においてHケース1hとフラップ3f2との間に挟まれた部位F1,F2と、の分である。
【0051】
包装体100は、表示シート7がトレイ3に保持される位置について、以下のように良好に決められる。
【0052】
フラップ3f2の根元幅D33とスリットSL3の開口長さD1とがほぼ同じに設定されているので、図9の左右方向の位置が良好に決められる。
折れ線YM5の位置にある稜線に連接する2つの部位F5,F6の内、一方の部位F6がフラップ3f1,3f3とフラップ3f2とにより挟まれるので、図9の上下方向の位置が良好に決められる。
また、包装体100の背面側において、トレイ3のフラップ3f2とHケース1hの平坦部1h2とで部位F1,F2が挟まれ、正面側において、トレイ3のリブ部3c,3dとSケース1sの平坦部1s2とでU字状に曲げられて正面側に位置する部位F1,F2が挟まれるので、表示シート7の包装ケース1内の正背方向の位置が決められると共にずれが生じ難くなっている。
また、フラップ3f2の先端側が折れ曲がり、折れ曲がった部分(図10におけるTS2−TS1で指示された部分)が部位F1と部位F6の先端との間に挟まるように支持されるので、表示シート7がトレイ3から抜けることはなく、位置が極めてずれ難くなっている。
【0053】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0054】
フラップ3f2が溝3g2で折れ曲がる角度θは限定されない。フラップ3f2はスリットSL3に差し込む際にフラットな状態であり、組み立ての際には、その差し込み後に部位F5,F6と共に曲げるので、θ=90°でない角度であっても支障なく組み立てることができる。
この角度θは包装体100のデザインによって任意に設定することができる。
【0055】
Sケース1sとHケース1hとは、ヒンジ部1aで連結しているものに限らず、分離してそれぞれが独立しているものでもよい。
【0056】
被包装物はヘッドホンに限らない。
【0057】
包装ケース及びトレイは透明なものに限らない。透明ではなくても、全体が光透過性を有するや部分的に光透過性を有するものであってもよい。
表示シートは光透過性について限定されるものではない。
【0058】
包装ケース,トレイ,及び表示シートは材質について限定されるものではない。
フラップをトレイではなく包装ケースに設けるように構成してもよい。
フラップを包装ケースに設けた場合、トレイを用いない構成にしてもよい。
【0059】
包装ケースに、表示シートに設けられたスリットへ差し込む差し込み片(フラップ)を形成した例を図11に示す。
図11において、包装ケース111から、いわゆる切り起こし状33kにフラップ33f2が形成されている。この図では、包装ケース111の形成時に曲がりなくフラットだったフラップ33f2を二点鎖線で示し、そこから矢印方向に約90°折り曲げて起こした状態のフラップ33f2を実線で示している。
この例においても、フラップ33f2の根元にはミシン目状の溝33g1が形成され、先端から所定距離の位置に、ミシン目状の溝33g2が形成されており、各溝33g1,33g2における折り曲げが容易に行える。
【0060】
フラップの折り曲げ部にミシン目状の溝を設けたものを説明したが、これに限らない。溝の代わりに、薄肉部または細幅部として他の部位よりも折り曲げ容易としてあればよい。
フラップ3f2における折り曲げ角θの頂点となる部位は、急峻に屈曲しているものに限らない、Rが付与されるよう形成されていてもよい。
スリットSL3の幅D1は、フラップ3f2の根元幅D33と同じか広ければよい。特に表示シート7の左右方向の位置決めがスリットSL3とフラップ3f2の係合以外の部位で為されている場合には、スリットSL3は、一端側が表示シート7の縁部に開口していてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,111 包装ケース
1a ヒンジ部
1a1 溝
1b 開口部
1c 嵌合部
1h Hケース
1h1 突出部
1h2 平坦部
1h3,1h4 壁部
1h5,1h6 曲壁部
1h7〜1h9 スリット
1s Sケース
1s1 突出部
1s2 平坦部
1s3,1s4 壁部
1s5,1s6 曲壁部
1sm 右側端部
3 トレイ
3a 保持部
3a1 本体保持部
3a2 バンド保持部
3b 凹部
3c,3d リブ部
3cs,3ds 先端面
3e 端部
3b 収納部
3f1〜3f3 フラップ
3g1,3g2 溝
5 係止片部
5a 開口部
5b リブ
5f 脚部
5f1 上脚部
5f2 下脚部
5k 基部
5k1〜5k3 フラップ
7 表示シート
100 包装体
HP 被包装物(ヘッドホン)
LE 沿面距離
SL3 スリット
YM1〜YM5 折り線
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体及びその組み立て方法に係り、特に、第1及び第2のケースと、被包装物を包装時に載置するトレイと、被包装物の説明等を表示した表示シートとを有し、第1及び第2のケースが、商品を両側から覆ってトレイ及び表示シートと共に外部から視認可能なよう内部に収めて組み立てられる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物である商品を包装する透明樹脂材で形成された包装ケースと、その商品の説明を表示した表示シートと、を有し、それら商品及び表示シートを購買客から視認可能なよう内部に収納して包装する包装体が知られている。
この包装体における包装ケースは、具体的には、被包装物を、商品陳列状態で購買客側となる正面側と反対側の裏面側とからそれぞれ第1及び第2のケースで覆って内部に収納するものである。
また、表示シートには、商品の型番,製造者名,機能説明などが印刷表示されており、その表示が外部から視認可能なように包装ケース内に収められている。
包装ケースの一例として透明材料で形成したクラムシェルパックがあって特許文献1に記載されている。
【0003】
このような包装体が好適に適用できる被包装物の例として、ヘッドホン,PC用スピーカ、リモコンなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−051133号公報
【特許文献2】特開2009−113829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した包装ケースの形状やパッケージ構成は、近年、購買者の購入意欲を高めるため高度にデザインされる場合が多い。これは被包装物がヘッドホンの場合、特に顕著である。
具体的には、包装ケース内にヘッドホンを表示シートと共にただ単に収めるだけではなく、一対の包装ケースに加えてヘッドホンをより美しく見える姿勢で保持するトレイを用いると共に、表示シートの形状や包装ケース内での配置が細かく決められてデザインされる。
【0006】
包装ケース及びトレイはPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材で形成され、表示シートは厚紙で形成されるのが一般的であり、表示シートはPET材の包装ケースやトレイに対して大変すべりやすく、しっかり保持されていないと外部からの振動や衝撃で位置ずれを生じ易い。
そこで、包装体内の表示シートを位置がずれてないように良好に保持する工夫が必要となっている。
【0007】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、包装体内で表示シートがずれにくい包装体を提供することにある。
また、その包装体の組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の(1)から(7)の構成を有する。
(1)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体(100)であって、
前記包装ケース(1)はフラップ状の差し込み片(3f2)を有し、
前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、を有し、
前記被包装物(HP)の包装状態において、
前記差し込み片(3f2)が前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させた第2の山折り部(YM4)が設けられていることを特徴とする包装体である。
(2)前記包装ケース(1)は、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片(3f1,3f2)を有し、
前記ガイド片(3f1,3f2)と前記差し込み片(3f2)とで、前記表示シート(7)における前記第1の山折り部(YM5)の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の包装体である。
(3)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、前記被包装物(HP)を支持するトレイ(3)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記トレイ(3)及び前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体(100)であって、
前記トレイ(3)はフラップ状の差し込み片を有し、
前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、を有し、
前記被包装物(HP)の包装状態において、
前記差し込み片(3f2)が前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させた第2の山折り部(YM4)が設けられていることを特徴とする包装体である。
(4)前記トレイ(3)は、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片(3f1,3f2)を有し、
前記ガイド片(3f1,3f2)と前記差し込み片(3f2)とで、前記表示シート(7)における前記第1の山折り部(YM5)の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の包装体である。
(5)前記被包装物(HP)はヘッドホンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体である。
(6)前記表示シート(7)は前記被包装物(HP)に関する情報を表示したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体である。
(7)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記包装ケースはフラップ状の差し込み片(3f2)を有する一方、前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、と有しており、
前記差し込み片(3f2)を前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させて第2の山折り部(YM4)を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法である。
(8)被包装物(HP)を包装する包装ケース(1)と、前記被包装物(HP)を支持するトレイ(3)と、表示シート(7)と、を含み、前記被包装物(HP)を前記トレイ(3)及び前記表示シート(7)と共に前記包装ケース(1)の内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記トレイ(3)はフラップ状の差し込み片(3f2)を有する一方、前記表示シート(7)は、第1の山折り部(YM5)と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリット(SL3)と、を有しており、
前記差し込み片(3f2)を前記スリット(SL3)に前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片(3f2)における先端から所定距離の位置で前記差し込み片(3f2)と前記表示シート(7)とを共に屈曲させて第2の山折り部(YM4)を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装体内で表示シートがずれにくいという効果が得られる。
また、表示シートがずれにくい包装体の組み立て方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の包装体の実施例により被包装物を包装した状態を示す外観正面図である。
【図2】本発明の包装体の実施例における包装ケースを説明する二面図である。
【図3】本発明の包装体の実施例における包装ケースの閉状態を説明する二面図である。
【図4】本発明の包装体の実施例における係止片部を説明する図である。
【図5】本発明の包装体の実施例におけるトレイを説明する平面図である。
【図6】本発明の包装体の実施例における表示シートを説明する展開図である。
【図7】本発明の包装体の実施例における要部である表示シートの使用形態を説明する外観斜視図である。
【図8】本発明の包装体の実施例における要部の係止構造を説明する部分平面図である。
【図9】本発明の包装体の実施例における要部の係止構造を説明する部分斜視図である。
【図10】本発明の包装体の実施例における要部の係止構造を説明する部分断面図である。
【図11】本発明の包装体の実施例における変形例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例などにより図1〜図11を用いて説明する。
【0012】
図1は、包装体100によって被包装物であるヘッドホンHPを包装した状態を示す外観斜視図である。
実施例の包装体100は、包装ケース1とトレイ3と表示シート7とを有して構成されている。
ヘッドホンHPの包装において、ヘッドホンHPは、透明のトレイ3に直接支持されこのトレイ3と共に包装ケース1内に収納されている。
この包装は、図1の手前側が商品陳列状態において購買者側となるようにデザインされているので、以下、便宜的に、図1の手前側を正面、奧側を背面とする。
【0013】
図2は、包装ケース1を示す二面図(平面図及び下側面図)である。
包装ケース1は、例えば、樹脂シートを真空成形することにより形成される。
平均肉厚は例えば0.5mmである。各図において示す肉厚は誇張して記載してある。
樹脂材料例として、PET(ポリエチレンテレフタレート)がある。
【0014】
包装ケース1は、正面側となるSケース1sと背面側となるHケース1hとを有している。
各ケースは、平面視で概ね矩形に形成されておりヒンジ部1aにより連結されている。
ヒンジ部1aには、ミシン目状の複数の溝1a1が形成され、Sケース1s及びHケース1hは、このヒンジ部を中心に図2の矢印DR1方向に手などで開閉が可能となっている。
【0015】
図2(一部図1も参照)おいて、Sケース1s及びHケース1hは、それぞれ上方側にアーチ状に突出した突出部1s1,1h1を有する。
各突出部1s1,1h1には、商品陳列に際し、壁面などから水平方向に立設されたフック(図示せず)を通す為の開口部1bが形成されている。
開口部1bの近傍には、Sケース1sとHケース1hとを閉じた際に強嵌合して両ケースを閉じた状態で保持する嵌合部1cが各ケース一対ずつ形成されている。
具体的には、Sケース1sの嵌合部1cは円筒状に突出し、Hケース1hの嵌合部1cはSケース1sの嵌合部1cが強嵌合で嵌り込む寸法にて円筒状に陥没して形成されている。
【0016】
Sケース1sは、所定面積の平坦面を有する平坦部1s2と、平坦部1s2の上下端から、平坦部1s2に対して同方向にほぼ直立して設けられた壁部1s3,1s4と、平坦部1s2の左右端から壁部1s3,1s4と同じ方向に立ち上がる曲面を有して形成された曲壁部1s5,1s6と、を有している。
【0017】
Hケース1hは、所定面積の平坦面を有する平坦部1h2と、平坦部1h2の上下端から、平坦部1h2に対して同方向にほぼ直立して設けられた壁部1h3,1h4と、平坦部1h2の左右端から壁部1h3,1h4と同じ方向に立ち上がる曲面を有して形成された曲壁部1h5,1h6と、を有している。
【0018】
包装ケース1においては、各曲壁部1s5,1s6,1h5,1h6の曲率は同じとされている。図2においては半径Rで示している。この曲率(半径)は必ずしもすべて同じでなくてもよく、適宜設定してよい。
この包装ケース1では、さらに左右の側面が曲壁部1s5,1s6,1h5,1h6のみで形成されるように半径Rが設定されている。
従って、Sケース1s及びHケース1hの高さHs,Hh(図2参照)は、ほぼ半径Rと等しく設定されている。
【0019】
図2において、平坦部1s2と曲壁部1s5との境界位置を、下側面図における点P1及び平面図における二点鎖線L1で示し、平坦部1s2と曲壁部1s6との境界位置を、下側面図における点P2及び平面図における二点鎖線L2で示している。
また、平坦部1h2と曲壁部15との境界位置を、下側面図における点P1及び平面図における二点鎖線L1で示し、平坦部1s2と曲壁部1s6との境界位置を、下側面図における点P2及び平面図における二点鎖線L2で示している。
【0020】
Sケース1sは、その右側端部1smから右外方に延出するよう一体的に形成された係止片部5を備えている。
係止片部5は、上下方向に延材する基部5kと、基部5kと右側端部1smとを連結し左右方向に延在する脚部5fと、を有する。すなわち、係止片部5は、Sケースの右側端部1smから右外方に延出した脚部5fの先端に基部5kを形成する。
包装ケース1における脚部5fは、図2における上方側の上脚部5f1と下方側の下脚部5f2との一対とされている。
係止片部5には、右側端部1smと脚部5f1と基部5kと下脚部5f2とにより囲まれた開口部5aが形成されている。
脚部5f1,5f2は、それぞれ、延在方向(図2の左右方向)の長さL5よりも幅方向(図2の上下方向)の長さW5の方が短く形成されている。
従って、脚部5f1,5f2は、Sケース1sの右側端部1smを中心として図2の矢印DR2方向に指などで容易に撓ませられるようになっている。
【0021】
基部5kは、上脚部5f1が連結された部位の上方向外側に延出してなるフラップ5k1と、下脚部5f2が連結された部位の下方向外側に延出してなるフラップ5k2と、基部5kの右側端部から更に右方に突出するフラップ5k3と、を備える。
また、基部5kは、上下方向に延在するリブ5bを有する。このリブ5bは、壁部1s5,1s6の突出方向と同じ方向に突出して形成されている。
また、リブ5bは、開口部5aに対応した位置及び長さで形成されている。
【0022】
係止片部5の基部5kは、リブ5bが形成されていることにより、その形成範囲において剛性が高く撓み難くなっている。
一方、フラップ5k1〜5k2は、リブ5bによって剛性が強化される部位ではない位置に設けられ、長手方向の長さに対して幅方向の長さが短く、指で容易に撓ませられるように形成されている。例えばL5は約30mm、W5は約10mmであり、脚部5f1の下端部から、5f2の上端までの長さW30は約78mmである。また、Sケース1s及びHケース1hの上下方向の長さHt(図1参照)は約175mmである。
【0023】
Hケース1hは、平坦部1h2において、三つの細長状のスリット1h7〜1h9を有している。
具体的には、スリット1h7,1h9は左右方向を長手とし、スリット1h8は上下方向を長手とする。
スリット1h7〜1h9は、スリット1h7にはフラップ5k1が、スリット1h9にはフラップ5k2が、スリット1h8にはフラップ5k3が、それぞれ差し込み可能なように形成されている。
【0024】
図3は、Sケース1sとHケース1hとを閉じた状態の包装ケース1における、Hケース1hの平坦部1h2側から見た平面図(背面図)と下側面図とを示している。
図4は図3の状態における包装ケース1の右側端部を部分表示した図であって、図4(a)及び図4(b)は部分下側面図であり、図4(c)は部分背面図である。
【0025】
図3の下側面図でわかるように、包装ケース1は、曲壁部1h5,1h6,1s5,1s6により出隅部にR付けが施された形状となっている。
【0026】
図3及び図4(a)に示すように、係止片部5は、指によって矢印DR3の方向に容易に撓ませられる程度の可撓性を有するように形成されている。
従って、係止片部5は、その脚部5f(上脚部5f1及び下脚部5f2)を、図4(b)に示すようにHケース1hの曲壁部1h5の外面に沿うように変形させることでHケース1hの外面に沿わせることができる。
そして、その変形状態で、スリット1h7〜1h9にフラップ5k1〜5k3をそれぞれ差し込むことができるようになっている。
各スリット1h7〜1h9に各フラップ5k1〜5k3を差し込んだ状態を図4(c)に示す。
【0027】
各フラップ5k1〜5k3の各スリット1h7〜1h9への差し込みは、リブ5bによる剛性向上に抗する力を指により一時的に付与し、基部5kを変形させることで行う。
各スリットに各フラップが差し込まれた後は、基部5kの剛性が高く変形し難いのでフラップ5k1〜5k3が容易にスリット1h7〜1h9から抜けてしまうことはない。
すなわち、包装ケース1は、係止片部5のフラップ5k1〜5k3のスリット1h7〜1h9への差し込みと嵌合部1cの強嵌合とにより、Sケース1sとHケース1hとを閉じた状態(以下、閉状態とも称する)で維持される。
【0028】
包装ケース1の閉状態において、係止片部5はHケース1hの曲壁部1h5を含む外面に沿って実質的に密着して保持されるので、包装ケース1の外観品位は高く維持される。
【0029】
係止片部5は、その脚部5の位置が、係止片部5を包装ケース1の外面に沿わせた際の曲壁部1h5に対応した位置にあり、かつ、脚部5の長手方向の長さL5が、曲壁部1h5の外面の沿面距離LEと同じかそれ以上の長さで形成されていればよい。実施例の包装ケース1の場合、沿面距離LEは曲壁部1h5の内面の半径をR(図2を参照),曲壁部1h5の板厚をtとすると、LE=1/2(R+t)π となるので、L5について、LE=1/2(R+t)π≦L5 であればよい。
【0030】
平面視での寸法関係を説明すると、図4(c)に示すように、Hケース1hの端部HTから曲壁部1h5と平坦部1h2との境界位置L3までの距離をDa(図2も参照)とし、Hケース1hの端部HTから基部5kまでの距離Dbとすると、Da≦Db であればよい。なお、図2、図3、図4では、理解を容易にするため肉厚を示す破線を一部省略している。
【0031】
上述のように、実施例の包装ケース1は、係止片部5に開口部5aを設け、脚部5fを容易に撓めるよう複数の脚部5f1,5f2に分割しているので、上下脚部5f1,5f2が包装ケース1の外面に沿うように変形可能であり、係止片部5が突出することなく両ケース1s,1hを閉状態で係止維持することができる。
これにより、包装ケースは、その縁部にフランジ部がなく出隅部にR付けがなされていても閉状態で高い外観品位が維持され、繰り返しの開閉も容易に行える。
【0032】
図5は、被包装物であるヘッドホンHPが載置されてそれを支持するトレイ3を示す平面図及び右側面図である。トレイ3の外形は、包装ケース1の内部に形成される空間の上下方向断面内に収まるよう形成される。この実施例で包装するヘッドホンHPは、ヘッドバンドを備えた所謂オーバーヘッドタイプである。
【0033】
トレイ3は、例えば、樹脂シートを真空成形することにより形成される。
平均肉厚は例えば0.5mmである。各図において示す肉厚は誇張して記載してある。
樹脂材料例として、PETがある。
【0034】
トレイ3には、ヘッドホンHPの形状に応じて凹んだ保持部3aが形成されている。具体的には、保持部3aとして、ヘッドホンHPの耳に当てられる一対の本体部がそれぞれ収められる本体保持部3a1,3a1と、各本体部ヘッドバンド部が収められるバンド保持部3a2とが設けられている。
また、ヘッドホンHPの本体部から延出するコードが収納されるコード収納部3bが凹部として形成されている。
図5における上方側と中央付近とには、保持部3aの凹んだ方向とは反対方向に突出するリブ部3c,3dがそれぞれ設けられている。
リブ部3cとリブ部3dとの突出高さは同じに設定されている。この高さをH6とする。
【0035】
トレイ3の図5における上方側の端部3eからは、さらに上方に延出する3つのフラップ部3fが形成されている。
具体的には、3つの内の両側に位置する一対のフラップ3f1,3f3と、フラップ3f1,3f3に挟まれたフラップ3f2である。
【0036】
フラップ3f1,3f3は端部3eからの突出量TS1がほぼ同じに形成されており、真ん中のフラップ3f2は、端部3eからの突出量TS2がTS1よりも大きく設定されている。
また、各フラップ3f1〜3f3は、その根元である端部3eとの境界位置に、ミシン目状の溝3g1が設けられ、図5の手前側と奧側とへ急峻に折り曲げが可能となっている。
また、フラップ3f2は、突出量TS1となる位置にミシン目状の溝3g2が設けられて図5の手前側と奧側とへ急峻に折り曲げが可能となっている。
すなわち、フラップ3f2は、根元位置と中間位置とで折り曲げが可能なように形成されている。
【0037】
フラップ3f2は、根元から突出量TS1の位置まで先細りに形成されている。
また、突出量TS1からTS2までの間は同じ幅で形成されている。
フラップ3f1,3f3と、フラップ3f2との間には、スリット状の隙間SL1,SL2が形成されている。これにより、各フラップ3f1〜3f3は互いに独立して折り曲げが可能なようになっている。
【0038】
図6は、包装ケース1内に収納される表示シート7を説明するための展開図である。
表示シート7は、厚紙で形成され、表裏それぞれの面に印刷により表示がされている。表示の内容は被包装物に関する情報であって、その例としては、包装するヘッドホンHPの型番,名称,仕様,使用上の注意などである。また、その情報は、文字、イラスト、写真など種々の形態で表示されている。
【0039】
表示シート7を使用する際は、一点鎖線で示した折り線YM1〜YM5を山折りし、さらに矢印U1で示す二点鎖線の領域を頂点領域としてU字状に折り曲げた状態とする。
表示シート7は、折り線YM1〜YM5で6つの部位に区分けされる部位F1〜F6で構成されている。
具体的には、図6のように、折り線YM1を境界とする部位をF1,F2、折り線YM3を境界とする部位をF3,F4、折り線YM5を境界とする部位をF5,F6とする。
【0040】
折り線YM5の線上には、所定の長さD1で開口するスリットSL3が形成されている。スリットSL3は、折り線YM5を山折りとして部位F5,F6を山折りした際の稜線上に位置する。
また、スリットSL3の幅D1は、トレイ3のフラップ3f2の根元幅D33(図5参照)とほぼ同じに設定されている。
また、表示シート7の各部位F1〜F6は、図6の上下方向の寸法において、
H1=H2、H3=2×H4、H3=H5・・・(式1)
となるよう形成されている。
ここで、(式1)の等号は、完全に一致することのみを意味するものではない。トレイ3及び表示シート7に用いられる材料の特性や包装という用途から、概ね一致していれば機能及び効果は発揮される。特に、トレイ3及び表示シート7の材質がそれぞれPET樹脂及び紙である場合は、製造上の寸法のばらつき等が比較的大きいので、実用上、1mm以下程度の差であれば、包装体100として許容されるものである。これは以下の等号式おいても同様である。
【0041】
表示シート7は、トレイ3に対しては、H4=TS1となるよう形成されている。
【0042】
図7に、表示シート7を各折り線YM1〜5で折り曲げて所定形状とした状態の斜視図を示す。
【0043】
図8(a),(b)は、表示シート7をトレイ3で保持するために、トレイ3のフラップ3f2を表示シート3のスリットSL3に差し込む前後の状態を示した図であり、表示シート3を図5の矢印YS1方向から見た部分平面図である。
図8(a)は差し込む前の状態、図8(b)は差し込んだ後の状態を示している。
このように、フラップ3f2はスリットSL3に差し込む差し込み片として機能する。
また、図8において、トレイ3はフラップ3f1〜3f3について具体的に記載し、他の部位は簡略化してある。
【0044】
表示シート7とトレイ3とを組み合わせるには、まず、
図8(a)に示すように、表示シート7に対してトレイ3を図の矢印方向に移動させフラップ3f2をスリットSL3に差し込む。
すなわち、フラップ3f2を、スリットSL3が設けられている稜線の外側から内側に向かうようにしてスリットSL3に挿通させる。
図8(b)に示すように、差し込みは、フラップ3f1,3f3を面F6の手前側に位置するように行う。
ここで、H4=TS1<TS2であるから、フラップ3f2はその先端側が部位F6を通過して露出する。その状態で、フラップ3f2に設けられたミシン目状の溝3g2の位置は、表示シート7の折り線YM4の位置とほぼ一致している。
また、フラップ3f1及びフラップ3f3とフラップ3f2とで、部位F6を挟むようになっている。
【0045】
図8(b)のように表示シート7とトレイ3とを組み合わせた後、包装ケース1内に収めるために、所定の折り曲げを施す。
図9は、この所定の折り曲げを施した状態を正面上方から見た斜視図である。
【0046】
折り曲げは、具体的には、まず折り線YM4で部位F5,F6山折りすると共に、トレイ3のフラップ3f1〜3f3を溝3g1に沿って折り曲げる。部位F3,F4を折れ線YM2で折り曲げると共に先端側を部位F6とフラップ3f1との間に差し込む。
U字状に湾曲されて図9の手前側に位置する部位F1,F2における部位F2に対し、リブ部3c,3dの先端面3cs,3ds(図5も参照)が対向するようになっている。
そして、図9で示す状態で包装ケース1内に収めた際に、部位F1,F2が、Sケース1sにおける平坦部1s2の内側面とリブ部3c,3dの先端面3cs,3dsとの間に挟まれて正背方向(図1の紙面表裏方向)の位置決めがされるようになっている。
【0047】
図9に示される、フラップ3f2がスリットSL3に挿入された状態を、断面SC1−SC1における断面図として図10に示す。
図10には、図9に示した状態で包装ケース1内に収めた際の、Sケース1sの平坦部1s2及びHケース1hの平坦部1h2の位置がわかるように、それらの一部を併せて示している。
【0048】
図10に示すように、フラップ3f2は、スリットSL3から表示シート7の部位F5と部位F6との間に挿入されている。
フラップ3f2は、その全長TS2(図5参照)が部位F5,F6の突出長さH4(図6参照)よりも長く、部位F5,F6の根元に対応した位置に溝3g2が設けられているので、その根元に対応した位置おいて溝3g2に沿って図10の下方に折れ曲がっている。換言するならば、折れ曲がり位置(溝3g2が設けられている位置)は、フラップ3f2の先端から所定の距離(TS2−TS1)の位置である。
実施例では、折れ曲がり角度θは約90°である。
この折れ曲がりは、フラップ3f2が平坦な状態で図8(b)のようにスリットSL3内に挿入した後、折れ線YM4を折り曲げる時に表示シート7と共に形成するので、その作業は良好に行える。
また、フラップ3f2をスリットSL3に挿入する前〔図8(a)の状態〕に、予め溝3g2に折り癖をつけておく、または、若干の折り曲げを施しておくことで、スリットSL3への挿入作業には支障なく折れ線YM4の折り曲げ時の折り曲げ抵抗を減少できるので、より良好な作業が行える。
【0049】
図9に示したようにトレイ3に対して表示シート7を保持させたら、トレイ3の所定の位置にヘッドホンHP等を載置し包装ケース1のHケース1h内にトレイ3を収めて、包装ケース1を閉じ、包装体100の組み立てが完了する。
トレイ3には、表示シート7を支持する前にヘッドホンHP等を載置してもよい。
【0050】
包装体100が組み立てられた状態では、図10に示すように、フラップ3f2の根元から溝3g2が設けられている部位までの距離TS1とリブ部3c及びリブ部3dの高さH6との和が、包装ケース1のSケース1sとHケース1hとの閉状態における内部空間の正背方向の高さH7とほぼ同じとなるように形成されている。厳密には、高さH7から表示シート7の厚さの4倍分を減じた高さとなっている。
この4倍分は、包装ケース1の正面側においてSケース1sとリブ部3cとで挟まれた部位F1,F2と、背面側においてHケース1hとフラップ3f2との間に挟まれた部位F1,F2と、の分である。
【0051】
包装体100は、表示シート7がトレイ3に保持される位置について、以下のように良好に決められる。
【0052】
フラップ3f2の根元幅D33とスリットSL3の開口長さD1とがほぼ同じに設定されているので、図9の左右方向の位置が良好に決められる。
折れ線YM5の位置にある稜線に連接する2つの部位F5,F6の内、一方の部位F6がフラップ3f1,3f3とフラップ3f2とにより挟まれるので、図9の上下方向の位置が良好に決められる。
また、包装体100の背面側において、トレイ3のフラップ3f2とHケース1hの平坦部1h2とで部位F1,F2が挟まれ、正面側において、トレイ3のリブ部3c,3dとSケース1sの平坦部1s2とでU字状に曲げられて正面側に位置する部位F1,F2が挟まれるので、表示シート7の包装ケース1内の正背方向の位置が決められると共にずれが生じ難くなっている。
また、フラップ3f2の先端側が折れ曲がり、折れ曲がった部分(図10におけるTS2−TS1で指示された部分)が部位F1と部位F6の先端との間に挟まるように支持されるので、表示シート7がトレイ3から抜けることはなく、位置が極めてずれ難くなっている。
【0053】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0054】
フラップ3f2が溝3g2で折れ曲がる角度θは限定されない。フラップ3f2はスリットSL3に差し込む際にフラットな状態であり、組み立ての際には、その差し込み後に部位F5,F6と共に曲げるので、θ=90°でない角度であっても支障なく組み立てることができる。
この角度θは包装体100のデザインによって任意に設定することができる。
【0055】
Sケース1sとHケース1hとは、ヒンジ部1aで連結しているものに限らず、分離してそれぞれが独立しているものでもよい。
【0056】
被包装物はヘッドホンに限らない。
【0057】
包装ケース及びトレイは透明なものに限らない。透明ではなくても、全体が光透過性を有するや部分的に光透過性を有するものであってもよい。
表示シートは光透過性について限定されるものではない。
【0058】
包装ケース,トレイ,及び表示シートは材質について限定されるものではない。
フラップをトレイではなく包装ケースに設けるように構成してもよい。
フラップを包装ケースに設けた場合、トレイを用いない構成にしてもよい。
【0059】
包装ケースに、表示シートに設けられたスリットへ差し込む差し込み片(フラップ)を形成した例を図11に示す。
図11において、包装ケース111から、いわゆる切り起こし状33kにフラップ33f2が形成されている。この図では、包装ケース111の形成時に曲がりなくフラットだったフラップ33f2を二点鎖線で示し、そこから矢印方向に約90°折り曲げて起こした状態のフラップ33f2を実線で示している。
この例においても、フラップ33f2の根元にはミシン目状の溝33g1が形成され、先端から所定距離の位置に、ミシン目状の溝33g2が形成されており、各溝33g1,33g2における折り曲げが容易に行える。
【0060】
フラップの折り曲げ部にミシン目状の溝を設けたものを説明したが、これに限らない。溝の代わりに、薄肉部または細幅部として他の部位よりも折り曲げ容易としてあればよい。
フラップ3f2における折り曲げ角θの頂点となる部位は、急峻に屈曲しているものに限らない、Rが付与されるよう形成されていてもよい。
スリットSL3の幅D1は、フラップ3f2の根元幅D33と同じか広ければよい。特に表示シート7の左右方向の位置決めがスリットSL3とフラップ3f2の係合以外の部位で為されている場合には、スリットSL3は、一端側が表示シート7の縁部に開口していてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,111 包装ケース
1a ヒンジ部
1a1 溝
1b 開口部
1c 嵌合部
1h Hケース
1h1 突出部
1h2 平坦部
1h3,1h4 壁部
1h5,1h6 曲壁部
1h7〜1h9 スリット
1s Sケース
1s1 突出部
1s2 平坦部
1s3,1s4 壁部
1s5,1s6 曲壁部
1sm 右側端部
3 トレイ
3a 保持部
3a1 本体保持部
3a2 バンド保持部
3b 凹部
3c,3d リブ部
3cs,3ds 先端面
3e 端部
3b 収納部
3f1〜3f3 フラップ
3g1,3g2 溝
5 係止片部
5a 開口部
5b リブ
5f 脚部
5f1 上脚部
5f2 下脚部
5k 基部
5k1〜5k3 フラップ
7 表示シート
100 包装体
HP 被包装物(ヘッドホン)
LE 沿面距離
SL3 スリット
YM1〜YM5 折り線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を包装する包装ケースと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体であって、
前記包装ケースはフラップ状の差し込み片を有し、
前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、を有し、
前記被包装物の包装状態において、
前記差し込み片が前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させた第2の山折り部が設けられていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記包装ケースは、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片を有し、
前記ガイド片と前記差し込み片とで、前記表示シートにおける前記第1の山折り部の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
被包装物を包装する包装ケースと、前記被包装物を支持するトレイと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記トレイ及び前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体であって、
前記トレイはフラップ状の差し込み片を有し、
前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、を有し、
前記被包装物の包装状態において、
前記差し込み片が前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させた第2の山折り部が設けられていることを特徴とする包装体。
【請求項4】
前記トレイは、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片を有し、
前記ガイド片と前記差し込み片とで、前記表示シートにおける前記第1の山折り部の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の包装体。
【請求項5】
前記被包装物はヘッドホンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記表示シートは前記被包装物に関する情報を表示したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項7】
被包装物を包装する包装ケースと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記包装ケースはフラップ状の差し込み片を有する一方、前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、と有しており、
前記差し込み片を前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させて第2の山折り部を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法。
【請求項8】
被包装物を包装する包装ケースと、前記被包装物を支持するトレイと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記トレイ及び前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記トレイはフラップ状の差し込み片を有する一方、前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、を有しており、
前記差し込み片を前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させて第2の山折り部を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法。
【請求項1】
被包装物を包装する包装ケースと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体であって、
前記包装ケースはフラップ状の差し込み片を有し、
前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、を有し、
前記被包装物の包装状態において、
前記差し込み片が前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させた第2の山折り部が設けられていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記包装ケースは、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片を有し、
前記ガイド片と前記差し込み片とで、前記表示シートにおける前記第1の山折り部の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
被包装物を包装する包装ケースと、前記被包装物を支持するトレイと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記トレイ及び前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体であって、
前記トレイはフラップ状の差し込み片を有し、
前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、を有し、
前記被包装物の包装状態において、
前記差し込み片が前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通されていると共に前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させた第2の山折り部が設けられていることを特徴とする包装体。
【請求項4】
前記トレイは、前記差し込み片に並列して設けられたフラップ状のガイド片を有し、
前記ガイド片と前記差し込み片とで、前記表示シートにおける前記第1の山折り部の前記稜線に連接する第1及び第2の部位の一方を挟むよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の包装体。
【請求項5】
前記被包装物はヘッドホンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記表示シートは前記被包装物に関する情報を表示したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項7】
被包装物を包装する包装ケースと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記包装ケースはフラップ状の差し込み片を有する一方、前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、と有しており、
前記差し込み片を前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させて第2の山折り部を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法。
【請求項8】
被包装物を包装する包装ケースと、前記被包装物を支持するトレイと、表示シートと、を含み、前記被包装物を前記トレイ及び前記表示シートと共に前記包装ケースの内部に収納して包装するよう構成された包装体の組み立て方法であって、
前記トレイはフラップ状の差し込み片を有する一方、前記表示シートは、第1の山折り部と、前記第1の山折り部の稜線上に形成されたスリットと、を有しており、
前記差し込み片を前記スリットに前記稜線の外側から内側に挿通させる挿通ステップと、
前記挿通ステップで挿通された前記差し込み片における先端から所定距離の位置で前記差し込み片と前記表示シートとを共に屈曲させて第2の山折り部を形成する山折り部形成ステップと、を有することを特徴とする包装体組み立て方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【公開番号】特開2012−162285(P2012−162285A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22760(P2011−22760)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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