説明

包装体及び包装体の開閉蓋

【課題】開閉蓋の起立した状態を保持でき、開閉動作をスムーズに行うことができる包装体及び包装体の開閉蓋を提供する。
【解決手段】包装体の開閉蓋11'は、長手方向にみて一端に設けられた摘み部12と、摘み部12のある一端と反対側の他端近傍で、開閉蓋11'の幅方向の両側に、切り込みを入れることにより離れて2つ形成された剥離停止部13,13と、剥離停止部13,13によって上面部への粘着固定が保持される粘着固定部14と、取出口3を密閉・開放する粘着剥離可能部15と、開閉蓋11'の幅方向の両側で、剥離停止部13,13の内側に連なって、切り込みを入れることにより離れて2つ形成され、粘着剥離可能部15から粘着固定部14側へ突出する舌片部16,16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に開らいた状態のままとできる包装体及び包装体の開閉蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児のお尻拭き,家具の清拭,化粧落とし,トイレ清掃等を目的として、アルコール,保湿剤,界面活性剤等を含む薬液を紙,織布又は不織布の繊維素材に含浸させたウェットティッシュが従来から広く使用されている。このウェットティッシュは、長時間空気に晒しておくと、含浸物が乾いたり揮発して品質が低下してしまうため、通常、気密性や液密性を有する包装体に収容される。
【0003】
この種の包装体は、包装体の一箇所に設けられた取出口を覆うように、繰り返し剥離、貼着が可能なシート状の開閉蓋が取り付けられている。この開閉蓋は、包装体との接着面に感圧接着剤を塗布され、包装体の取出口を閉塞することで、包装体内部に収容されたウェットティッシュの乾燥を防止し、気密状態を保つようにしている。ウェットティッシュの取出しの際には、開閉蓋を引き起こして取出口を開放するが、折り曲げに対する反発により開閉蓋が元に戻ってしまい、ウェットティッシュが取出しにくかったり、感圧性接着剤が手についたりすることがあった。
【0004】
この対策として、例えば、特許文献1に示す技術が知られている。この技術は、開閉蓋を開いた状態を保持するように、包装体に持続的に固定される接着固定部分と剥離可能部分の境界に凹凸の切り込みを形成し、開閉蓋を引き起こすことにより、切り込み部が開閉蓋の撓みに反発し、立ち上がりを保持する支えとして作用させる。この特許文献1の技術によれば、一方の手で元に戻ろうとする開閉蓋を押さえ、他方の手によってウェットティッシュを取り出すといったように両手を使う必要がなくなり、片手で、開閉蓋を開きウェットティッシュを取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2862476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1の包装体は、形状や大きさ等の理由から、粘着剤が開閉蓋の全面に存在すると立ち上がり保持機能の働きが阻害されることがあるため、部分的に粘着剤を抜いたり、その部分に別部材を取り付けたりする必要があり、コストアップの要因ともなっていた。また、開閉時の動作にもスムーズさを欠くことがあった。
【0007】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ウェットティッシュの取り出し時には包装体の取出口を閉塞している開閉蓋を引き剥がしてこれを立ち上がり所定位置で停止させ、ウェットティッシュの取り出し後の取出口の閉塞時には開閉蓋の立ち上がり停止を解消でき、加えて、これらの一連の動作をスムーズに行うことが可能な包装体及び包装体の開閉蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の包装体の開閉蓋は、折り畳まれて重合するウェットティッシュを収容する非通気性の容器本体の上面部に可撓性の開閉蓋を粘着させて前記上面部に設けた取出口を密閉したり、前記開閉蓋の一部を剥離させることによって前記取出口を開放させることのできる包装体の開閉蓋であって、長手方向にみて一端に設けられた摘み部と、前記摘み部のある一端と反対側の他端近傍で、前記開閉蓋の幅方向の両側に、切り込みを入れることにより離れて2つ形成された剥離停止部と、前記剥離停止部によって前記上面部への粘着固定が保持される粘着固定部と、前記取出口を密閉・開放する粘着剥離可能部と、前記開閉蓋の幅方向の両側で、前記剥離停止部の内側に連なって、切り込みを入れることにより離れて2つ形成され、前記粘着剥離可能部から前記粘着固定部側へ突出する舌片部とを備え、前記舌片部は、前記粘着剥離可能部及び前記舌片部を前記上面部から剥がすと、前記粘着剥離可能部の延長上へ移動し、先端が前記上面部に当接して前記粘着剥離可能部を起立させる支えとなることを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の包装体の開閉蓋によれば、舌片部は、粘着剥離可能部及び舌片部を上面部から剥がすと、舌片部が粘着剥離可能部の延長上へ移動し、先端が上面部に当接して粘着剥離可能部を起立させる支えとなるように構成されているので、開閉蓋の摘み部を粘着固定部側に引き上げると、粘着固定部近傍に形成された舌片部が支えになり、取出口を開放したまま開閉蓋が起立した状態を保つことができ、包装体に収容されたウェットティッシュの取り出しを容易に行うことができる。
【0010】
また、請求項1に記載の包装体の開閉蓋によれば、舌片部が剥離停止部の内側で離れて2つ形成されており、舌片部を幅広く1つ設けるよりも上面部と当接する面積が少なく、舌片部の先端と上面部との摩擦が少なくて済むので、開閉時の動作をスムーズに行える。
【0011】
請求項2に記載の包装体の開閉蓋は、請求項1において、両舌片部を連ねるとともに、粘着剥離可能部が起立する際の起点となる起点線を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の包装体の開閉蓋によれば、請求項1による効果に加えて、粘着剥離可能部が起立する際の起点となる起点線が設けられているので、粘着剥離可能部を起点線のところで折り曲げることで容易に起立させることができる。
【0013】
請求項3に記載の包装体の開閉蓋は、請求項2において、前記起点線は、2つ形成されており、前記起点線のうち第1の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記両舌片部の先端同士を連ねて設けられ、前記起点線のうち第2の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記第1の起点線に沿って前記粘着剥離可能部の方向の近傍に設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の包装体の開閉蓋によれば、請求項2による効果に加えて、ミシン目又は押罫からなる第1の起点線を両舌片部の先端同士を連ねて設け、ミシン目又は押罫からなる第2の起点線を第1の起点線に沿って粘着剥離可能部の方向の近傍に設けており、折り曲げる起点となる起点線が2つあるので、起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さくても、起点線が2つあることで全体として大きく折り曲げることが可能となる。すなわち、小さな力でも大きく折り曲げることが可能となることから、粘着剥離可能部を第1の起点線及び第2の起点線のところで折り曲げて起立させた状態で保持しやすいという利点がある。
【0015】
加えて、請求項3に記載の包装体の開閉蓋によれば、舌片部の先端を粘着固定部方向に向けることで舌片部の支えが外れるところ、2つの起点線によるステップを設けたことで起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さく、舌片部の支えを外しやすくできるので、開閉蓋を閉じる際に、起立した状態の開閉蓋を小さな力で倒伏させることができる。すなわち、包装体のユーザは、開閉蓋を開けて、開閉蓋の起立した状態を保持し、ウェットティッシュを取り出し、開閉蓋を閉じるという一連の動作をスムーズに行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の包装体は、折り畳まれて重合するウェットティッシュを収容する非通気性の容器本体の上面部に可撓性の開閉蓋を粘着させて前記上面部に設けた取出口を密閉したり、前記開閉蓋の一部を剥離させることによって前記取出口を開放させることのできる包装体であって、前記開閉蓋は、長手方向にみて一端に設けられた摘み部と、前記摘み部のある一端と反対側の他端近傍で、前記開閉蓋の幅方向の両側に、切り込みを入れることにより離れて2つ形成された剥離停止部と、前記剥離停止部によって前記上面部への粘着固定が保持される粘着固定部と、前記取出口を密閉・開放する粘着剥離可能部と、前記開閉蓋の幅方向の両側で、前記剥離停止部の内側に連なって、切り込みを入れることにより離れて2つ形成され、前記粘着剥離可能部から前記粘着固定部側へ突出する舌片部とを備え、前記舌片部は、前記粘着剥離可能部及び前記舌片部を前記上面部から剥がすと、前記粘着剥離可能部の延長上へ移動し、先端が前記上面部に当接して前記粘着剥離可能部を起立させる支えとなることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の包装体によれば、舌片部は、粘着剥離可能部及び舌片部を上面部から剥がすと、舌片部が粘着剥離可能部の延長上へ移動し、先端が上面部に当接して粘着剥離可能部を起立させる支えとなるように構成されているので、開閉蓋の摘み部を粘着固定部側に引き上げると、粘着固定部近傍に形成された舌片部が支えになり、取出口を開放したまま開閉蓋が起立した状態を保つことができ、包装体に収容されたウェットティッシュの取り出しを容易に行うことができる。
【0018】
また、請求項4に記載の包装体によれば、舌片部が剥離停止部の内側で離れて2つ形成されており、舌片部を幅広く1つ設けるよりも上面部と当接する面積が少なく、舌片部の先端と上面部との摩擦が少なくて済むので、開閉時の動作をスムーズに行える。
【0019】
請求項5に記載の包装体は、請求項4において、前記両舌片部を連ねるとともに、前記粘着剥離可能部が起立する際の起点となる起点線を備えることを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載の包装体によれば、請求項4による効果に加えて、粘着剥離可能部が起立する際の起点となる起点線が設けられているので、粘着剥離可能部を起点線のところで折り曲げることで容易に起立させることができる。
【0021】
請求項6に記載の包装体は、請求項5において、前記起点線は、2つ形成されており、前記起点線のうち第1の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記両舌片部の先端同士を連ねて設けられ、前記起点線のうち第2の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記第1の起点線に沿って前記粘着剥離可能部の方向の近傍に設けられていることを特徴としている。
【0022】
請求項6に記載の包装体によれば、請求項5による効果に加えて、ミシン目又は押罫からなる第1の起点線を両舌片部の先端同士を連ねて設け、ミシン目又は押罫からなる第2の起点線を第1の起点線に沿って粘着剥離可能部の方向の近傍に設けており、折り曲げる起点となる起点線が2つあるので、起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さくても、起点線が2つあることで全体として大きく折り曲げることが可能となる。すなわち、小さな力でも大きく折り曲げることが可能となることから、粘着剥離可能部を第1の起点線及び第2の起点線のところで折り曲げて起立させた状態で保持しやすいという利点がある。
【0023】
加えて、請求項6に記載の包装体によれば、舌片部の先端を粘着固定部方向に向けることで舌片部の支えが外れるところ、2つの起点線によるステップを設けたことで起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さく、舌片部の支えを外しやすくできるので、開閉蓋を閉じる際に、起立した状態の開閉蓋を小さな力で倒伏させることができる。すなわち、包装体のユーザは、開閉蓋を開けて、開閉蓋の起立した状態を保持し、ウェットティッシュを取り出し、開閉蓋を閉じるという一連の動作をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ウェットティッシュの取り出し時には包装体の取出口を閉塞している開閉蓋を引き剥がしてこれを立ち上がり所定位置で停止させ、ウェットティッシュの取り出し後の取出口の閉塞時には開閉蓋の立ち上がり停止を解消でき、加えて、これらの一連の動作をスムーズに行うことが可能な包装体及び包装体の開閉蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した包装体において、開閉蓋が倒伏している様子を示した斜視図である。
【図2】本発明を適用した包装体の開閉蓋を示す平面図である。
【図3】本発明を適用した包装体の開閉蓋の他の実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明を適用した包装体の開閉蓋の断面図である。
【図5】本発明を適用した包装体において、開閉蓋が起立している様子を示した斜視図である。
【図6】本発明を適用した包装体において、開閉蓋が起立している様子を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明
する。本発明は、例えば、図1乃至図3に示すような構成の包装体1及び包装体の開閉蓋11,11'に適用される。
【0027】
この包装体1は、折り畳まれて重合するウェットティッシュSを収容する非通気性の容器本体2と、容器本体2の上面部5に設けた取出口3と、粘着させて取出口3を密閉したり、一部を剥離させることによって取出口3を開放させることのできる可撓性を有する開閉蓋11(11')とを主要部として備えている。
【0028】
容器本体2は、図1に示すように、柔軟で気密性及び/又は液密性を有するシート、例えば約20ミクロン程度の肉厚のシートフィルムを筒形状として両端部を密封接合した構成とされ、上面部5と、側面部6と、底面部7とからなる略長方体形の密封袋状をしている。容器本体2の内部には一枚毎に繰り出し可能に積層されたウェットティッシュSの束体が収納されている。なお、容器本体2は、前述のようないわゆるピロータイプに限らず、柔軟で気密性及び/又は液密性を有するシート状のものからなり、その内部にウェットティッシュS等を収容できる容器であれば、どのようなものであってもよい。
【0029】
取出口3は、上面部5の略中央部に設けられた楕円形の開口であり、この開口を介して、ウェットティッシュSを1枚ずつ取り出すことができる。なお、取出口3の形状は、楕円形に限られず、円形,長方形,菱形等適宜の形状としてもよい。また、取出口3は、予め取出口3を形成したものに開閉蓋11(11')を被覆したものに限らず、包装体1の所定の位置に取出口3を形成するための薄肉部又は切り込みを設け、開閉蓋11(11')を被覆した際、開閉蓋11の包装体1と対向する面に塗布された接着剤によって、開閉蓋11(11')と一体に包装体1の取出口3を形成する領域のシートが切り取られるようにしてもよい。
【0030】
このような取出口3を閉塞する開閉蓋11(11')は、図1に示すように、取出口3を閉塞するような大きさを有しており、包装体1に対向する面に、後述する包装体1に繰り返し剥離、貼着ができる接着層11a(後述する)が形成され、包装体1の上面部5に接着されている
【0031】
開閉蓋11(11')は、開閉蓋11(11')の長手方向にみて一端(短辺端部)に設けられた摘み部12と、摘み部12のある一端と反対側の他端近傍に設けられた剥離停止部13,13と、剥離停止部13,13によって上面部5への粘着固定が保持される粘着固定部14と、取出口3を密閉・開放する粘着剥離可能部15と、開閉蓋11(11')の幅方向の両側で、剥離停止部13,13の内側に連なって、切り込みを入れることにより離れて2つ形成された舌片部16,16とを主要部として備えている。
【0032】
開閉蓋11(11')は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートの複合材,又はこれら合成樹脂シートとアルミホイル,紙等とを貼り合わせた複合シートからなる柔軟で気密性及び/又は液密性を有するシートにより形成されている。
【0033】
具体的に開閉蓋11(11')は、図4に示すように、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートからなる基材層11bと、基材層11bの上面で所定の文字、図形等が印刷されるとともに、保護層11dを貼り合わせるための接着剤が塗られた印刷接着層11cと、延伸ポリプロピレンからなる保護層11dと、基材層11bの下面で包装体と繰り返し剥離、貼着を行うための再剥離接着剤が塗られた接着層11aとの4層からなる複合シートである。
【0034】
基材層11bは、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート等のシート体で形成された層であり、開閉蓋11(11')の剥離、貼着動作を繰り返し行った場合にも傷まず、適度な柔軟性を保てるような厚みを有している。例えば、その厚みは、50〜80μmである。
【0035】
保護層11dは、印刷接着層11cに転写されたインクをコーティングする層であり、基材層11bの柔軟性を損なわない程度の厚さに形成され、更に、印刷接着層11cを透視できるように透明性を有し、加えて、ウェットティッシュSの乾燥を防ぐため防湿性を有する層であり、その厚みが10〜60μmである、例えば延伸ポリプロピレンで形成されている。
【0036】
接着層11aは、包装体1と開閉蓋11(11')とを繰り返し剥離、貼着可能にするための再剥離接着剤糊が塗布された層であり、その厚みは10〜30μmである。この接着層11aとしては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤が用いられる。
【0037】
なお、開閉蓋11(11')は、前述の材質に限らず、全体として開閉蓋11(11')の剥離、貼着動作を繰り返し行った場合にも傷まず、適度な柔軟性、気密性や液密性を保てるものであればよい。
【0038】
摘み部12は、図2に示すように、一方の短辺端部に略円弧突出して形成されている。摘み部12は、摘みやすくするため、接着層11aが塗布されておらず、包装体1に接着されていない。なお、摘み部12は、前述に限らず、開閉蓋11(11')の端部に形成されて、ユーザによって剥離動作を容易に行なえるものであればよく、その形状が、例えば、矩形,台形等であってもよい。
【0039】
また、摘み部12は、前述に限らず、ユーザによって摘み部12を容易に摘めるものであればよく、接着層11aが塗布されていない代わりに、接着層11aの所定の位置に、いわゆる糊殺しや糊抑えといった接着不能にする層をさらに形成するようにしてもよい。
【0040】
開閉蓋11の他端側に設けられた剥離停止部13,13は、図2に示すように、開閉蓋11の長辺端部近傍に切れ込みを入れることによって形成されている。剥離停止部13,13は、略楕円形の形状をしており、半円形に湾曲した湾曲部13b,13bと湾曲部13b,13bよりは小さい大きさの半円形に湾曲した湾曲部13c,13cとが、互いの開口が向き合うように配されている。
【0041】
剥離停止部13,13は、図2に示すように、その開口方向が開閉蓋11の長手方向に沿っており、湾曲部13c,13cが湾曲部13b,13bよりも短辺端部に近くなるように構成されている。また、湾曲部13b,13bと湾曲部13c,13cとが、短辺端部側において連結されて連結部13d,13dが長辺端部に平行して形成され、連結部13d,13dに平行して切り込まれた直線部13e,13eが形成されている。
【0042】
開閉蓋11が剥離される際には、開閉蓋11が、剥離停止部13,13を取り囲む湾曲部13b,13b等の切れ込みに沿って剥離されるので、剥離停止部13,13は、剥離されることなく貼着状態を維持することでストッパとして機能する。
【0043】
図3に示すように、剥離停止部13,13の直線部13e,13eを長辺端部まで延長することで剥離停止部13,13を構成してもよい(開閉蓋11')。この場合、舌片部16,16の湾曲部16a,16a(後述する)が湾曲部13c,13cの役割を兼ねることになる。
【0044】
開閉蓋11(11')が剥離される箇所は、剥離停止部13,13がストッパとして機能するので、湾曲部13c,13cの先端までとなり、粘着固定部14は、剥離停止部13,13の直線部13e,13eと湾曲部13c,13cとが連結されておらず、その間にできる連動部19,19を介して剥離停止部13,13に繋がれているので、固定されたままとなる。
【0045】
すなわち、粘着固定部14は、剥離停止部13,13を介して、固定されたままとなり、開閉蓋11を普通に使用する限り剥離されることはない。なお、湾曲部13b,13bを半円形に湾曲させることによって、開閉蓋11がスムーズに剥離するとともに、湾曲部13c,13cを半円形に湾曲させることによって、開閉蓋11を包装体1から剥離したときに剥離を停止することが容易なように剥離する力を吸収して弱めて開閉蓋11が破れたりすることを防止できる。
【0046】
舌片部16,16は、開閉蓋11(11')が取出口3を開いたままの状態に保つことができる、すなわち開閉蓋11(11')が起立した状態を保持する支持部としての機能を有しており、図2に示すように、開閉蓋11(11')の剥離停止部13,13に隣接して開閉蓋11(11')の幅方向中央部側に切り込みによって2つ形成されている。
【0047】
舌片部16,16は、剥離停止部13,13の湾曲部13c,13cと同じ向きの半円形に湾曲した湾曲部16a,16aを有し、湾曲部16a,16aの一方の端部を剥離停止部13,13の直線部13e,13eの端部と結び、他方の端部を舌片部16,16の直線部16b,16bの端部と結ぶことによって略半楕円状に形成されている。なお、舌片部16,16は、前述に限らず、摘み部12側が開放された開ループであり、舌片部16,16によって開閉蓋11(11')を開いたままの状態にできる形状であればよく、略矩形や台形或いは半円形であってもよい。
【0048】
舌片部16,16は、粘着剥離可能部15及び舌片部16,16を上面部5から剥がすと、粘着剥離可能部15の延長上へ移動し、湾曲部16a,16aの先端が上面部5に当接して粘着剥離可能部15を起立させる支えとなる。なお、舌片部16,16は、起立しやすいように、又は、倒伏しやすいように、摘み部12と同様、接着層11aが塗布されていないものでもよく、又は、接着層11aの所定の位置に、いわゆる糊殺しや糊抑えといった接着不能にする層をさらに形成するようにしてもよい。
【0049】
また、開閉蓋11(11')は、両舌片部16,16を連ねるとともに、粘着剥離可能部15が起立する際の起点となる第1起点線17又は/及び第2起点線18を備えるようにしてもよい。図2に示すように、第1起点線17は、ミシン目からなり、両舌片部16,16の湾曲部16a,16aの先端同士を連ねて設けられている。また、第2起点線18も、ミシン目からなり、第1起点線17に沿って粘着剥離可能部15の方向の近傍に設けられている。
【0050】
第1起点線17又は/及び第2起点線18は、粘着剥離可能部15が起立する際の起点となるように設けられており、粘着剥離可能部15をミシン目のところで折り曲げることで容易に起立させることができる。ここで、第1起点線17又は/及び第2起点線18は、前述に限らず、ミシン目の代わりに、例えば、開閉蓋11(11')の基材層11bのみに切込みを入れて薄肉部を形成したものであってもよい。すなわち、第1起点線17又は/及び第2起点線18は、押罫であってもよい。また、2つの起点線のうち、どちらか一方の起点線だけを設けてもよいし、両方設けてもよい。
【0051】
第1起点線17及び第2起点線18(2つの起点線)を設けた場合には、折り曲げる起点となる起点線が2つあるので、起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さくても、起点線が2つあることで全体として大きく折り曲げることが可能となる。すなわち、小さな力でも大きく折り曲げることが可能となることから、粘着剥離可能部15を第1起点線17及び第2起点線18のところで折り曲げて起立させた状態で保持しやすいという利点がある。
【0052】
加えて、舌片部16,16の先端を粘着固定部14方向に向けることで舌片部16,16の支えが外れるところ、2つの起点線によるステップを設けることで起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さく、舌片部16,16の支えを外しやすくできるので、開閉蓋11を閉じる際に、起立した状態の開閉蓋11(11')を小さな力で倒伏させることができる。
【0053】
以上のような構成の開閉蓋11(11')は、取出口3を閉塞するように、接着層11aによって包装体1の上面部5に貼着される。開閉蓋11(11')は、摘み部12から引き剥がされるとき、粘着剥離可能部15が、第1起点線17又は/及び第2起点線18の起点線のところで折れ曲がって起立するとともに、舌片部16,16が、粘着剥離可能部15の延長上へ移動し、湾曲部16a,16aの先端が上面部5に当接して粘着剥離可能部15を起立させる支えとなる。
【0054】
なお、剥離停止部13,13は、前述に限らず、剥離する力を吸収して固定部を形成するものであればよく、例えば、剥離停止部13,13を設ける代わりに、粘着固定部14を溶着等によって包装体1に再剥離できないようにしてもよく、また、剥離停止部13,13の湾曲部13b,13bや湾曲部13c,13cの形状を湾曲した半円形の代わりに、波型に形成したものでもよい。
【0055】
また、開閉蓋11において、剥離停止部13,13の連結部13d,13dの略中央部から開閉蓋11の長辺端部に向けて切り込みを入れて形成される切込部20,20を設けてもよい。この切込部20,20を形成することで、舌片部16,16の先端が上面部5に当接しやすくなり、結果として、粘着剥離可能部15を起立させやすくなる。
【0056】
続いて、上述のような構成をした包装体1を用いて、ウェットティッシュSを取り出す場合について図面を参照して説明する。
【0057】
先ず、ユーザは、図1に示すような開閉蓋11(11')が包装体1の上面部5に貼着されている状態において、摘み部12を指で摘んで、摘み部12を上側に引っ張ることにより、開閉蓋11(11')は、摘み部12から粘着固定部14側に向けて順次包装体1の上面部5から剥離し、取出口3が露出する。このように、開閉蓋11(11')は、摘み部12を摘んで開閉蓋11(11')を、図5の矢印Xの方向に開いていくと、粘着固定部14の手前の第1起点線17又は/及び第2起点線18の起点線の近傍まで剥離されていく。ユーザは、摘み部12を第1起点線17又は/及び第2起点線18の起点線まで引っ張り続けると、開閉蓋11(11')の剛性により、舌片部16,16が取出口3側に突出したような形になる。
【0058】
ユーザは、摘み部12を放すと、開閉蓋11(11')はその剛性により元に戻ろうとするが、舌片部16,16が取出口3側に突出したような形になって支持部の機能を有していることから、図5及び図6に示すように、開閉蓋11(11')が元の状態に戻らなくなり起立する。このように開閉蓋11(11')が起立している状態によって、ユーザは、例えば片手で取出口3からウェットティッシュSを容易に取り出すことができる。
【0059】
また、ユーザは、ウェットティッシュSの使用が終わり、摘み部12を摘んで開閉蓋11(11')を、図5の矢印Xの方向と反対に閉じていくと、開閉蓋11(11')の支持部となっている舌片部16,16の支えが外れて元の位置である粘着固定部14側に自動的に戻るので、簡単に、取出口3を被覆しながら、包装体1の上面部5に開閉蓋11(11')を貼着することが可能となる。
【0060】
以上のように、包装体1及び包装体1の開閉蓋11(11')によれば、舌片部16,16は、粘着剥離可能部15及び舌片部16,16を上面部5から剥がすと、舌片部16,16が粘着剥離可能部15の延長上へ移動し、先端が上面部5に当接して粘着剥離可能部15を起立させる支えとなるように構成されているので、開閉蓋11(11')の摘み部12を粘着固定部14側に引き上げると、粘着固定部14近傍に形成された舌片部16,16が支えになり、取出口3を開放したまま開閉蓋11(11')が起立した状態を保つことができ、包装体1に収容されたウェットティッシュSの取り出しを容易に行うことができる。
【0061】
また、包装体1及び包装体1の開閉蓋11(11')によれば、舌片部16,16が剥離停止部13,13の内側で離れて2つ形成されており、舌片部16,16を幅広く1つ設けるよりも上面部5と当接する面積が少なく、舌片部16,16の先端と上面部5との摩擦が少なくて済むので、開閉時の動作をスムーズに行える。
【0062】
また、包装体1及び包装体1の開閉蓋11(11')によれば、粘着剥離可能部15が起立する際の起点となる起点線が設けられているので、粘着剥離可能部15を起点線のところで折り曲げることで容易に起立させることができる。
【0063】
また、包装体1及び包装体1の開閉蓋11(11')によれば、ミシン目又は押罫からなる第1起点線17を両舌片部の先端同士を連ねて設け、ミシン目又は押罫からなる第2起点線18を第1起点線17に沿って粘着剥離可能部15の方向の近傍に設けており、折り曲げる起点となる起点線が2つあるので、起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さくても、起点線が2つあることで全体として大きく折り曲げることが可能となる。すなわち、小さな力でも大きく折り曲げることが可能となることから、粘着剥離可能部15を第1起点線17及び第2起点線18のところで折り曲げて起立させた状態で保持しやすいという利点がある。
【0064】
さらに、包装体1及び包装体1の開閉蓋11(11')によれば、舌片部16,16の先端を粘着固定部14方向に向けることで舌片部16,16の支えが外れるところ、2つの起点線によるステップを設けたことで起点線1つの当たりの折り曲げ角度が小さく、舌片部の支えを外しやすくできるので、開閉蓋11(11')を閉じる際に、起立した状態の開閉蓋11を小さな力で倒伏させることができる。すなわち、包装体1のユーザは、開閉蓋11を開けて、開閉蓋11(11')の起立した状態の保持し、ウェットティッシュSを取り出し、開閉蓋11(11')を閉じるという一連の動作をスムーズに行うことができる。
【0065】
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1 包装体
2 容器本体
3 取出口
4 束体
5 上面部
6 側面部
7 底面部
11 開閉蓋
11' 開閉蓋
11a 接着層
11b 基材層
11c 印刷接着層
11d 保護層
12 摘み部
13 剥離停止部
13b 湾曲部
13c 湾曲部
13d 連結部
13e 直線部
14 粘着固定部
15 粘着剥離可能部
16 舌片部
16a 湾曲部
16b 直線部
17 第1起点線
18 第2起点線
19 連動部
20 切込部
S ウェットティッシュ
X 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれて重合するウェットティッシュを収容する非通気性の容器本体の上面部に可撓性の開閉蓋を粘着させて前記上面部に設けた取出口を密閉したり、前記開閉蓋の一部を剥離させることによって前記取出口を開放させることのできる包装体の開閉蓋において、
長手方向にみて一端に設けられた摘み部と、
前記摘み部のある一端と反対側の他端近傍で、前記開閉蓋の幅方向の両側に、切り込みを入れることにより離れて2つ形成された剥離停止部と、
前記剥離停止部によって前記上面部への粘着固定が保持される粘着固定部と、
前記取出口を密閉・開放する粘着剥離可能部と、
前記開閉蓋の幅方向の両側で、前記剥離停止部の内側に連なって、切り込みを入れることにより離れて2つ形成され、前記粘着剥離可能部から前記粘着固定部側へ突出する舌片部とを備え、
前記舌片部は、前記粘着剥離可能部及び前記舌片部を前記上面部から剥がすと、前記粘着剥離可能部の延長上へ移動し、先端が前記上面部に当接して前記粘着剥離可能部を起立させる支えとなることを特徴とする包装体の開閉蓋。
【請求項2】
前記両舌片部を連ねるとともに、前記粘着剥離可能部が起立する際の起点となる起点線を備えることを特徴とする請求項1に記載の包装体の開閉蓋。
【請求項3】
前記起点線は、2つ形成されており、
前記起点線のうち第1の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記両舌片部の先端同士を連ねて設けられ、
前記起点線のうち第2の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記第1の起点線に沿って前記粘着剥離可能部の方向の近傍に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の包装体の開閉蓋。
【請求項4】
折り畳まれて重合するウェットティッシュを収容する非通気性の容器本体の上面部に可撓性の開閉蓋を粘着させて前記上面部に設けた取出口を密閉したり、前記開閉蓋の一部を剥離させることによって前記取出口を開放させることのできる包装体において、
前記開閉蓋は、
長手方向にみて一端に設けられた摘み部と、
前記摘み部のある一端と反対側の他端近傍で、前記開閉蓋の幅方向の両側に、切り込みを入れることにより離れて2つ形成された剥離停止部と、
前記剥離停止部によって前記上面部への粘着固定が保持される粘着固定部と、
前記取出口を密閉・開放する粘着剥離可能部と、
前記開閉蓋の幅方向の両側で、前記剥離停止部の内側に連なって、切り込みを入れることにより離れて2つ形成され、前記粘着剥離可能部から前記粘着固定部側へ突出する舌片部とを備え、
前記舌片部は、前記粘着剥離可能部及び前記舌片部を前記上面部から剥がすと、前記粘着剥離可能部の延長上へ移動し、先端が前記上面部に当接して前記粘着剥離可能部を起立させる支えとなることを特徴とする包装体。
【請求項5】
前記両舌片部を連ねるとともに、前記粘着剥離可能部が起立する際の起点となる起点線を備えることを特徴とする請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
前記起点線は、2つ形成されており、
前記起点線のうち第1の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記両舌片部の先端同士を連ねて設けられ、
前記起点線のうち第2の起点線は、ミシン目又は押罫からなり、前記第1の起点線に沿って前記粘着剥離可能部の方向の近傍に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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