説明

包装体

【課題】意匠性に優れた包装体を提供する。
【解決手段】本発明の包装体1は、包装基材から形成され、商品を収容する包装容器10と、包装容器10を包んでいるオーバーラップ材20とを有し、包装容器10の外表面には、ハンターLab表色系におけるaが−5〜5%、bが−5〜5%、かつ、20°の光沢度が25%以上の無彩色金属光沢調の装飾部が形成され、オーバーラップ材20は、白色度が70%以上でかつ不透明度が30〜70%の白色半透明部を有し、オーバーラップ材20の白色半透明部が、包装容器10の前記装飾部に重ねられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子類等の食品、記録媒体、日用品などの商品を包装する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、記録媒体、日用品などの商品の個装には、商品を収容する包装容器と、包装容器を保護する目的で包んでいるオーバーラップ材とを有する包装体が広く使用されている。
包装容器としては、例えば、白板紙に印刷を施したものが使用され、オーバーラップ材としては、例えば、包装容器の印刷を視認可能にするために、透明なプラスチックフィルムが使用されている。
【0003】
ところで、包装体は、単に商品を収容するだけでなく、商品の販売を促進するために意匠性が高いことが求められる。その要求に対して、包装容器を構成する材料として、無彩色金属光沢調(いわゆる銀色)の金属層の上に透明層を積層した積層体を使用することがあった(例えば、特許文献1,2参照)。また、前記積層体の金属層の上に、無彩色金属光沢調の文字又は図柄からなる装飾部が形成されるように、文字又は図柄の輪郭の外側に印刷を施した(以下、文字又は図柄の輪郭の外側に施した印刷のことを抜き印刷という。)ものを、包装容器用材料として使用することがあった。
【特許文献1】特開平9−169081号公報
【特許文献2】特開平5−305962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、無彩色金属光沢調の装飾部が形成された包装容器は、消費者が見慣れてしまったため、もはや意匠性に優れているとはいえず、消費者の関心を引くことができなかった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、意匠性に優れた包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を含む。
[1] 包装基材から形成され、商品を収容する包装容器と、該包装容器を包んでいるオーバーラップ材とを有する包装体であって、
包装容器の外表面には、ハンターLab表色系におけるaが−5〜5%、bが−5〜5%、かつ、20°の光沢度が25%以上の無彩色金属光沢調の装飾部が形成され、
オーバーラップ材は、白色度が70%以上でかつ不透明度が30〜70%の白色半透明部を有し、
オーバーラップ材の白色半透明部が、包装容器の前記装飾部に重ねられていることを特徴とする包装体。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装体では、オーバーラップ材を通して包装容器の装飾部が白く見えているが、オーバーラップ材を剥がした際には無彩色金属光沢調の装飾部が現れる。したがって、オーバーラップ材を剥がす前後で装飾部の色調があたかも変化したかのように見える。このような包装体は意匠性に優れ、消費者の関心を引くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の包装体の一実施形態について説明する。
図1および図2に、本実施形態の包装体を示す。本実施形態の包装体1は、商品Mを収容する包装容器10と、包装容器10を包んでいるオーバーラップ材20とを有するものである。
【0008】
[包装容器]
本実施形態における包装容器10の表面側には、文字又は図柄からなる無彩色金属光沢調の装飾部11が形成されている。ここで、無彩色金属光沢調とは、ハンターLab表色系におけるaが−5〜5%、bが−5〜5%、かつ、20°の光沢度が25%以上のことである。ここで、a,bはJIS Z 8729に準じて求めた値であり、20°光沢度はJIS Z 8741に準じて測定した値である。
なお、aが−5〜5%、bが−5〜5%の範囲にない場合には無彩色ではなく、20°の光沢度が25%未満である場合には、金属光沢調ではない。無彩色でない場合、あるいは、金属光沢調でない場合には、オーバーラップ材20を通しても装飾部11が白く見えない。
装飾部11の20°の光沢度は100%以上であることが好ましい。20°の光沢度が100%以上であれば、装飾部11がより白く見える。
【0009】
本実施形態における包装容器10は包装基材が箱状に形成されたものである。
包装基材としては、非金属基材上に金属層が積層された積層体の金属層表面に抜き印刷が施されて装飾部が形成されたシート、または、金属フィルムの表面に抜き印刷が施されて装飾部が形成されたシートが挙げられる。
ここで、上記積層体としては、例えば、紙やプラスチックフィルム等の非金属基材上にアルミニウムを蒸着させて金属層を形成させたアルミニウム蒸着フィルム、板紙基材に金属層となるアルミニウム箔を貼合した積層板紙(例えば、王子製紙社製商品名キラットシルバー)、板紙基材にアルミニウムペーストを塗工して金属層を形成させた積層板紙(例えば、王子製紙社製商品名プロシードシルバー)、紙基材にアルミニウム蒸着フィルムを貼合した積層体(例えば、王子製紙社製商品名スーパーメタル)、紙基材にアルミニウム蒸着膜を転写した加工紙(例えば、王子製紙社製商品名ブリランテシルバー)等が挙げられる。
【0010】
[オーバーラップ材]
オーバーラップ材20は、白色度が70%以上でかつ不透明度が30〜70%の白色半透明部21を有する可撓性のフィルムである。ここで、白色度はJIS P 8148に準じて測定した値であり、不透明度はJIS P 8149に準じて測定した値である。
該白色半透明部21の白色度が70%未満であると、包装容器10の装飾部11が白く見えないことがある。また、白色半透明部21の不透明度が30%未満であると、包装容器10の装飾部11の金属光沢調が透けて見えてしまう。一方、白色半透明部21の不透明度が70%を超えると、包装容器10の視認性が低下するため、包装容器10の装飾部11が見えなくなる。また、包装容器10の装飾部11以外の部分に文字や図柄を印刷した場合には、その文字や図柄が見えなくなる。
なお、白色度の理論的上限は100%であるが、100%とすることは困難であるため、98%であることが好ましい。
また、装飾部11の金属光沢調を確実に見えにくくし、包装容器の視認性を充分に確保するためには、不透明度が33〜68%であることが好ましい。
【0011】
オーバーラップ材20としては、例えば、延伸ポリプロピレンフィルムに白インキを印刷したものまたは白塗料を塗工したもの、白色顔料を内添したフィルム、薄葉紙(トレーシングペーパー、グラシン紙等)などが挙げられる。
オーバーラップ材20には、文字や図柄等の印刷が施されていてもよい。
【0012】
上記オーバーラップ材20の白色半透明部21は、包装容器10の装飾部11に重ねられている。白色半透明部21が重ねられた装飾部11は、理由は明らかではないが、無彩色金属光沢調には見えず、白く見える。しかも、その白色度は高く、具体的には65%以上である。
この包装体1では、商品Mを取り出すためにオーバーラップ材20を剥がすと、包装容器10の無彩色金属光沢調の装飾部11が現れる。したがって、装飾部11の色調があたかも変化したかのように見える。このようなことから、包装体1は意匠性に優れ、消費者の関心を引くことができる。
【0013】
ところで、一般に、金属層の上に白地印刷をした場合には、金属層を充分に隠蔽することができず、白地印刷の部分の白色度は高くなりにくいため、隠蔽性を高めるためには重ね刷りする必要があった。重ね刷りした白地印刷の部分にカラー印刷を行うと、網点再現性が低くなる上、色数に制限があった。しかし、上記包装体1において、装飾部11に白色半透明部21が重なった部分は白色度が高いため、白色半透明部21にカラー印刷を施すことにより、網点再現性を確保でき、また、色数の制限も少なくできる。
【0014】
上述した包装体1は、例えば、菓子類(例えば、ガム、キャラメル、チョコレート等)などの食品、記録媒体(例えば、カセットテープ、CD、DVD等)、日用品などを包装する用途に使用できる。
【実施例】
【0015】
(例1)
金属層を有する包装基材として包装基材A(表1参照)を用意し、その包装基材Aの金属層表面に、矩形状の装飾部が形成されるように、オフセット印刷により白地の抜き印刷(インキ:T&K TOKA社製白UV VNL コンク白)を施して、白地印刷部を形成した。また、装飾部以外の部分に、オフセット印刷(インキ:T&K TOKA社製UVL SWスミ)により、9級文字で「加工紙」と印刷した。
次いで、印字した包装基材Aを用い、金属層(装飾部)が表側になるように包装容器を成形し、その包装容器をオーバーラップ材1(表3参照)により包んで包装体を作製した。
【0016】
この包装体の包装容器の装飾部にまたは印刷が施されていない金属層にオーバーラップ材が重なった部分の白色度を、JIS P 8148に準じ、スガ試験製分光白色測色計SC−10Wにて測定した。
また、装飾部以外の部分に印字した9級文字の判読性を目視により評価した。文字を判読できたものを○、判読できないものを×とした。
また、装飾部の視認性を目視により評価した。装飾部が視認できたものを○、視認できないものを×とした。
また、包装容器の装飾部の金属光沢調が消失して見えているか否かを目視により判定した。金属光沢調が消失して見えているものを○、消失しておらず、金属光沢調が残っているものを×とした。
これらの評価結果を表5に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
【表4】

【0021】
【表5】

【0022】
(例2〜18)
包装基材として表1に示す包装基材A〜Eのいずれかを用い、オーバーラップ材として表3に示すオーバーラップ材1〜5のいずれかを用い、表5に示すように組み合わせたこと以外は例1と同様にして包装体を作製した。そして、例1と同様に評価した。評価結果を表5に示す。
【0023】
なお、包装基材A〜Eの、下記測定方法により測定した20°光沢度、色相を表2に示す。また、オーバーラップ材1〜5の、下記測定方法により測定した不透明度、白色度を表4に示す。
<測定方法>
20°光沢度:JIS Z 8741に準じ、村上色彩研究所製光沢度計GM−26にて測定した。
色相:JIS Z 8729に準じ、分光白色測色計SC−10Wにて測定・変換して求めた。
白色度:JIS P 8148に準じ、スガ試験製分光白色測色計SC−10Wにて測定した。
不透明度:JIS P 8149に準じ、分光白色測色計SC−10Wにて測定した。
【0024】
が−5〜5%、bが−5〜5%、かつ、20°の光沢度が25%以上の無彩色金属光沢調の装飾部が備えられた包装容器を、白色度が70%以上でかつ不透明度が30〜70%の白色半透明のオーバーラップ材で包んだ上記例1〜4,6〜13では、包装容器の白地印刷部に印字した文字を判読できた。また、包装容器の装飾部のオーバーラップ材が重なった部分は金属光沢調が失われて白色に見えていたが、オーバーラップ材を剥がした際には無彩色金属光沢調の装飾部が現れるため、装飾部の色調があたかも変化したかのように見える。したがって、例1〜4,6〜13の包装体は意匠性に優れる。
特に、包装基材の装飾部の20°光沢度が100%以上であった例1〜3,6〜8,10〜12は、包装容器の装飾部にオーバーラップ材が重なった部分の白色度がとりわけ高く、意匠性により優れるものであった。
【0025】
これに対し、包装容器を構成する包装基材の装飾部のbが5%を超えていた例5では、包装容器の装飾部に白色度が70%未満であり、白く見えていなかった。このような包装体は、意匠性が低い。
オーバーラップ材の不透明度が70%を超えていた例14〜17では、包装容器に印字した文字を判読できず、装飾部も視認できなかった。したがって、オーバーラップ材を剥がして初めて装飾部が見えるため、装飾部の色調の視覚的変化がなく、意匠性が低い。
オーバーラップ材の不透明度が30%未満である例18では、包装容器の装飾部の金属光沢調が透けて見えていた。したがって、オーバーラップ材を剥がす前と剥がした後の視覚的変化がなく、意匠性が低い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 包装体
10 包装容器
11 装飾部
20 オーバーラップ材
21 白色半透明部
M 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装基材から形成され、商品を収容する包装容器と、該包装容器を包んでいるオーバーラップ材とを有する包装体であって、
包装容器の外表面には、ハンターLab表色系におけるaが−5〜5%、bが−5〜5%、かつ、20°の光沢度が25%以上の無彩色金属光沢調の装飾部が形成され、
オーバーラップ材は、白色度が70%以上でかつ不透明度が30〜70%の白色半透明部を有し、
オーバーラップ材の白色半透明部が、包装容器の前記装飾部に重ねられていることを特徴とする包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−162614(P2008−162614A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352107(P2006−352107)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】