包装体
【課題】食品が収容された包装袋を安定的に保持することができる三角柱状の包装体を提供する。
【解決手段】シートの表面に形成された複数の折曲線にて、前記シートを折り曲げることにより形成される三角柱状の包装体であって、前記包装体の底部となる前記シートの底部シート片は、前記底部シート片を略中央において折るための折り畳み線と、前記底部シート片の一部分を起立させるために前記底部シート片を貫通して形成される切り込み線とを備えており、前記切り込み線の両端を接続する仮想線分と前記折り畳み線とは、90度未満の角度で互いに交差する包装体。
【解決手段】シートの表面に形成された複数の折曲線にて、前記シートを折り曲げることにより形成される三角柱状の包装体であって、前記包装体の底部となる前記シートの底部シート片は、前記底部シート片を略中央において折るための折り畳み線と、前記底部シート片の一部分を起立させるために前記底部シート片を貫通して形成される切り込み線とを備えており、前記切り込み線の両端を接続する仮想線分と前記折り畳み線とは、90度未満の角度で互いに交差する包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から混ぜご飯の素やお総菜、液状のカレーのルー、スープ、シチュー等の種々の食品に関するレトルト商品が知られている。このようなレトルト商品は、例えば、図9の斜視図に示すような包装体100により、種々の食品が収容された包装袋(図示せず)を包装して形成されており、デパートやスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の食品売り場の陳列棚に立てた状態で配置されている。
【0003】
包装袋が収納される包装体100は、例えば、平面視矩形状の紙製シートの表面に形成された複数の折曲線にて、当該シートを折り曲げることにより三角柱状に形成される。包装体の外表面には、レトルト商品の名称や、原材料名、保存方法等の各種情報が記載されている。また、折り曲げられるシートの端部は、接着剤により接着されており、組み立てられた包装体は、三角柱状の形状を維持できるように形成されている。
【0004】
また、三角柱状に形成された包装体100の底部となるシートの底部シート片101には、この底部シート片を略中央において折り曲げるための折り畳み線102が形成されている。この折り畳み線102は、三角柱状の包装体を図10に示すような平面状の形状に変形させるために設けられるものであり、これにより、複数の包装体100をコンパクトにまとめて搬送することができる。
【0005】
平面状に折り畳まれた包装体100を用いて、食品が収容された包装袋を包装するには、平面状の包装体100を三角柱状の形状に組み立てて、その内部に包装袋を配置し、接着剤や接着シール等により包装体100と包装袋とを互いに固定することにより行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような構造を有する平面状の包装体を三角柱状に組み立てて、その内部に商品を収容した包装袋を収納した商品を形成する場合、包装体の底部に形成される折り畳み線を中心として底部に折り癖が残るため、図11に示すように、包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態となってしまうという問題があった。このように、包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態となってしまうと、包装体により包装される商品を陳列棚に載置した場合に、包装体の底部の一部分のみが陳列棚の載置面に当接することになり、陳列棚に置かれる商品が傾いてしまうという問題があった。また、デパートやスーパーマーケット等の食品売り場の従業員や商品購入者の手が僅かに商品に当たった場合や、少しの振動が付与された場合に、商品が揺れ動いたり、倒れたりしてしまい、安定的に商品を保持して陳列棚に載置することが困難になってしまう。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、食品が収容された包装袋を安定的に保持することができる三角柱状の包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、シートの表面に形成された複数の折曲線にて、前記シートを折り曲げることにより形成される三角柱状の包装体であって、前記包装体の底部となる前記シートの底部シート片は、前記底部シート片を略中央において折るための折り畳み線と、前記底部シート片の一部分を起立させるために前記底部シート片を貫通して形成される切り込み線とを備えており、前記切り込み線の両端を接続する仮想線分と前記折り畳み線とは、90度未満の角度で互いに交差する包装体により達成される。
【0009】
また、この包装体において、前記切り込み線は、半円形状であることが好ましい。
【0010】
また、前記仮想線分と前記折り畳み線との交差角度は、15度から75度であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、食品が収容された包装袋を安定的に保持することができる三角柱状の包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る包装体について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る包装体を示す斜視図である。図2は、本発明に係る包装体の側面図であり、図3は、図2のA−A断面図である。図4は、本発明に係る包装体の展開図である。
【0013】
本実施形態に係る包装体1は、シートを折り曲げることにより形成する三角柱状のパッケージであり、食品が収容された包装袋(図示せず)を包装するものである。本実施形態に係る包装体1により包装される包装袋は、内部に種々の食品が収容される食品用包装袋である。この包装袋は、密閉袋であり、主にプラスチックを主体とする透明フィルムにより形成されている。包装袋の側縁には、袋の開封性を高めるためのIノッチやVノッチといった各種の切れ目が設けられている。この切れ目を起点として包装袋を引き裂くことにより開封することが可能となるように包装袋は形成されている。
【0014】
包装袋に収容される食品とは、各種食品素材やその加工品、これらを用いた食品を乾燥状態あるいは半乾燥状態としたものを含む。具体的な食品素材としては、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等の畜肉及びこれらを加工した加工食肉、海水魚、淡水魚及び甲殻類、貝類等の魚介類及びこれらの加工品、鶏卵、うずら卵、魚卵等の卵類、米、小麦、トウモロコシ、アワ、ヒエ等の穀類、大豆、インゲン豆、エンドウ豆、落花生等の豆類、さらに上記の食品素材の加工品、例えば大豆より抽出した大豆タンパク質や、トウモロコシより抽出されたトウモロコシ澱粉、牛肉より分離されたヘッド等が挙げられる。これら1種のみを用いても良いし、2種以上の組み合わせ使用も可能である。
【0015】
上記の食品素材やその加工品を用いた食品の具体的な例としては、混ぜご飯の素や、カレー、シチュー等の煮込み料理食品、牛丼、親子丼、中華丼などのどんぶりもの、梅粥、鮭粥、中華粥等の粥類、コーンスープ、ポタージュスープ、コンソメスープ等のスープ類、ハンバーグ、ミートボール、ハム、プレスハム、ソーセージ、ベーコン、ミートローフ等の畜肉加工食品、植物蛋白等を利用した疑似畜肉加工食品、板付き蒲鉾、蒸し蒲鉾、焼き蒲鉾、かに風味蒲鉾、竹輪、揚げ蒲鉾、はんぺん、なると、笹蒲鉾、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、魚介類を用いたハンバーグ、つみれ、伊達巻き等の水産練り製品、スクランブルエッグ、卵焼き、厚焼き卵、かき卵等の卵を原材料として加工した卵加工食品、玉子豆腐、ごま豆腐、厚揚げ、油揚げ、コンニャク、餅、ふ、あられ等の穀物を主原料として加工した穀物加工食品、餃子、シュウマイ、春巻き、コロッケ、お好み焼き、たこ焼き、カキ揚げ等の惣菜類、練りウニ、練り梅、わさび、しょうが、からし等の練り調味料、及びスープなどが挙げられ、これら1種のみでも2種以上を用いたものでも良い。
【0016】
本発明に係る包装体1は、図4に示すような平面視矩形状のシート10を三角柱状に折り曲げることにより形成されている。シート10の表面には、所定間隔で3カ所に平行に設けられる直線状の複数の折曲線11a,11b,11cが形成されている。これら複数の折曲線11a,11b,11cによって、シート10は、接合用シート片12、底部シート片13、後面シート片14、前面シート片15に画定されている。シート10として、例えば、厚紙や樹脂製シート、或いは、これらの積層体を用いることができる。また、折曲線11a,11b,11cは、例えば、ミシン目線やハーフカット線により形成することが可能である。
【0017】
接合用シート片12は、シート10を折り曲げて三角柱状に組み立てた場合にその三角柱状の形状を維持するために、前面シート片15の端部に重ね合わされて接着剤により接合される部分である。なお、接着剤により接合用シート片12と前面シート片15とを接合する代わりに、接着テープにより接合用シート片12と前面シート片15とを接合してもよい。
【0018】
底部シート片13は、三角柱状に組み立てられた包装体1の底部となる部分であり、その略中央には折り畳み線16を備えている。この折り畳み線16は、底部シート片13をその略中央において折り畳むことにより、三角柱状の包装体1を平面状の形状に変形させてコンパクト化させるために設けられるものであり、折曲線11a,11b,11cと略平行となるように形成されている。また、折り畳み線16は、例えば、ミシン目線やハーフカット線により形成されている。ここで、ミシン目線とは、点線状に切り込み目を入れた切り目のことをいう。また、ハーフカット線とは、シート10の厚みを不連続にする手段により形成された線をいう。シート10の厚みを不連続にする手段としては、例えば、刃によって所定深さの切り溝を形成する切込部形成手段や、プレス加工によって所定幅及び所定深さの溝を形成する凹部形成手段等を挙げることができる。
【0019】
また、底部シート片13は、その一部分を包装体1の内側に起立させて起立部13aを形成するための切り込み線17を備えている。この切り込み線17は、平面視半円形状となるように、底部シート片13を貫通して形成されている。また、切り込み線17は、その各端部が折り畳み線16を挟んだ両側にそれぞれ配置されるように形成されており、その両端を接続する仮想線分Lと折り畳み線16とが、45度の角度で互いに交差するように形成されている。
【0020】
後面シート片14は、組み立てられた三角柱状の包装体1の後面側となる部分であり、商品の説明や調理方法等が記載されている。
【0021】
前面シート片15は、組み立てられた三角柱状の包装体1の前面側となる部分であり、包装体1組み立て時において、外側を向く面に、商品の名称や、製造者名等の各種情報が記載されている。また、包装体1により包装される包装袋を商品購入者が視認できるように、前面シート片15の一分部に開口部を形成してもよい。
【0022】
本実施形態に係る包装体1は、上記のように構成されるシート10を、その表面に形成された折曲線11a,11b,11cにて折り曲げると共に、接合用シート片12と前面シート片15とを接着剤により接合することにより形成される。
【0023】
このようにして形成された三角柱状の包装体1は、底部シート片13における折り畳み線16を中心にして底部シート片13を山折りに折り畳むことによって平面状の形状に変形させられる。その後、平面形状に変形された包装体1を複数束ねて、食品が収容された包装袋を三角柱状の包装体1の内部に収納する工程へと搬送されることになる。
【0024】
食品が収容された包装袋を三角柱状の包装体1の内部に収納する工程においては、平面形状に変形された包装体1を三角柱状の形状に戻した後、食品が収容された包装袋をその内部に配置し、接着剤や接着シール等を用いて包装体1の内部に包装袋を固定する。このようにして製造された商品は、デパートやスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の食品売り場に搬送され、商品陳列棚に立てた状態で配置される。
【0025】
ここで、本実施形態に係る包装体1は、三角柱状の包装体1の底部に相当する底部シート片13が、その一部分を起立させて起立部13aを形成するための切り込み線17を備えており、更に、この切り込み線17の両端を接続する仮想線分Lが、底部シート片13に形成される折り畳み線16と45度の角度で交差するように形成されている。
【0026】
したがって、三角柱状の包装体1の底部となる底部シート片13の一部分を起立させて起立部13aを形成した場合、底部シート片13が有する折り畳み線16は、図3に示すように、起立部13aを挟んだ両側に配置される第1線分16a及び第2線分16bと、起立部13aに形成される第3線分16cとに分けられることになる。そして、折り畳み線16の第1線分16aと第2線分16bとを同軸上に結ぶ直線と、起立部13aにおける折り畳み線16の第3線分16cとが、図3に示すように、平面視において、同一直線状に重ならないように配置されことになる。このように折り畳み線16の第1〜第3線分16a〜16cが配置されることにより、折り畳み線16の第3線分16cが形成されていない起立部13aの一部領域13bが、包装体1の底部の折り癖に対する抵抗として作用し、包装体1の底部が外側に撓んだ状態となることを効果的に防止することができる。この結果、包装体1の底部を確実にフラットな状態に維持することが可能となり、食品が収容された包装袋を包装体1により包装した商品を安定的に陳列棚に載置することができる。
【0027】
以上、本発明に係る包装体1の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、底部シート片13に形成される切り込み線17の両端を接続する仮想線分Lと折り畳み線16とが、45度の角度で互いに交差するように形成されているが、このような構成に特に限定されず、仮想線分Lと折り畳み線16とが、90度未満の角度で互いに交差するように切り込み線17を形成することができる。特に、包装体1の底部における折り癖を効果的に解消するという観点からは、仮想線分Lと折り畳み線16とが、15度〜75度の交差角度範囲となるように切り込み線17を形成することが好ましい。
【0028】
なお、切り込み線17の両端を接続する仮想線分Lと折り畳み線16との交差角度が90度である場合、底部シート片13における一部分を起立させて起立部13aを形成したとしても、図5の平面図に示すように、折り畳み線16の第1線分16a及び第2線分16bを同軸状に結ぶ直線と、起立部13aに形成される折り畳み線16の第3線分16cとが、平面視において同一直線上に重なるように配置されることになってしまう。このため、折り畳み線16の第3線分16cが形成されていない起立部13aの一部領域13bが、包装体1の底部の折り癖に対する抵抗として作用することが無く、包装体1の底部が外側に撓んだ状態となってしまう。この結果、包装体1により包装された商品を陳列棚に載置した場合に、商品が傾いてしまったり、人間の手が僅かに商品に当たった際に商品が揺れ動いたり、倒れてしまうということを効果的に抑制することが困難となる。
【0029】
また、上記実施形態においては、底部シート片13が備える切り込み線17は、平面視において半円形状となるように形成されているが、このような形状に特に限定されない。例えば、図6(a)〜(c)に示すように、L字状、コ字状、U字状となるように形成してもよい。
【0030】
また、上記実施形態においては、底部シート片13を画定する各折曲線11a,11bを直線状に形成しているが、例えば、図7に示すように、各折曲線11a,11bが、所定間隔をあけて配置される複数の直線状線111と、各直線状線の間に配置される張り出し線112とを備えるように形成してもよい。各張り出し線112は、底部シート片13側に張り出すように形成されており、各張り出し線112の各端部は、隣接する直線状線111の端部に連結している。また、各張り出し線112は、シート10を貫通するように構成されている。
【0031】
このように底部シート片13を画定する各折曲線11a,11bの形状を形成することにより、シート10を折り曲げて三角柱状の包装体1を形成した場合、図8(a)(b)に示すように、張り出し線112により囲まれるシート10の一部分13cが、包装体1の底面外方に向けて突出する足部を形成することになる。本発明に係る包装体1が、何らかの外力を受けることにより図11に示すように、包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態となってしまった場合、底部シート片13と後面シート片14、底部シート片13と前面シート片15が構成する角度が大きくなり、転倒しやすい状態になる。このような状態になったとしても、シート10の一部分13cにより形成され、包装体1の底面外方に向けて突出する足部が、底部シート片13と後面シート片14または前面シート片15とが構成する角度が大きくなるのを軽減させることができ、商品の載置安定性を高めることができる。さらに足部が、図8(b)に示すように、斜め外側に突出しているため、底部シート片13が外側へ引っ張られる力も発生するため、撓みを防止する効果もある。
【0032】
また、上記実施形態においては、包装体1を形成するシート10は、平面視矩形状の形状であるが、このような構成に特に限定されず、例えば、平面視楕円形状、或いは、平面視三角形状等の種々の形状を有するシート10を折り曲げることにより包装体1を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装体を示す斜視図である。
【図2】図1に示す包装体の側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1に示す包装体の展開図である。
【図5】底部シート片に形成される切り込み線の両端を接続する仮想線分と折り畳み線との交差角度が90度である場合の包装体底部の平面図である。
【図6】(a)〜(c)底部シート片に形成される切り込み線の各種変形例を示すシートの要部平面図である。
【図7】底部シート片を画定する各折曲線の変形例を備えるシートの展開図である。
【図8】(a)は図7に示すシートにより形成された包装体の側面図であり、(b)はそのB−B断面図である。
【図9】従来の包装体を示す斜視図である。
【図10】図9に示す三角柱状の包装体を変形させて平面形状にした状態を示す側面図である。
【図11】包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 包装体
10 シート
11a〜11c 折曲線
12 接合用シート片
13 底部シート片
13a 起立部
14 後面シート片
15 前面シート片
16 折り畳み線
16a 第1線分
16b 第2線分
16c 第3線分
17 切り込み線
L 切り込み線の両端部を接続する仮想線分
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から混ぜご飯の素やお総菜、液状のカレーのルー、スープ、シチュー等の種々の食品に関するレトルト商品が知られている。このようなレトルト商品は、例えば、図9の斜視図に示すような包装体100により、種々の食品が収容された包装袋(図示せず)を包装して形成されており、デパートやスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の食品売り場の陳列棚に立てた状態で配置されている。
【0003】
包装袋が収納される包装体100は、例えば、平面視矩形状の紙製シートの表面に形成された複数の折曲線にて、当該シートを折り曲げることにより三角柱状に形成される。包装体の外表面には、レトルト商品の名称や、原材料名、保存方法等の各種情報が記載されている。また、折り曲げられるシートの端部は、接着剤により接着されており、組み立てられた包装体は、三角柱状の形状を維持できるように形成されている。
【0004】
また、三角柱状に形成された包装体100の底部となるシートの底部シート片101には、この底部シート片を略中央において折り曲げるための折り畳み線102が形成されている。この折り畳み線102は、三角柱状の包装体を図10に示すような平面状の形状に変形させるために設けられるものであり、これにより、複数の包装体100をコンパクトにまとめて搬送することができる。
【0005】
平面状に折り畳まれた包装体100を用いて、食品が収容された包装袋を包装するには、平面状の包装体100を三角柱状の形状に組み立てて、その内部に包装袋を配置し、接着剤や接着シール等により包装体100と包装袋とを互いに固定することにより行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような構造を有する平面状の包装体を三角柱状に組み立てて、その内部に商品を収容した包装袋を収納した商品を形成する場合、包装体の底部に形成される折り畳み線を中心として底部に折り癖が残るため、図11に示すように、包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態となってしまうという問題があった。このように、包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態となってしまうと、包装体により包装される商品を陳列棚に載置した場合に、包装体の底部の一部分のみが陳列棚の載置面に当接することになり、陳列棚に置かれる商品が傾いてしまうという問題があった。また、デパートやスーパーマーケット等の食品売り場の従業員や商品購入者の手が僅かに商品に当たった場合や、少しの振動が付与された場合に、商品が揺れ動いたり、倒れたりしてしまい、安定的に商品を保持して陳列棚に載置することが困難になってしまう。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、食品が収容された包装袋を安定的に保持することができる三角柱状の包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、シートの表面に形成された複数の折曲線にて、前記シートを折り曲げることにより形成される三角柱状の包装体であって、前記包装体の底部となる前記シートの底部シート片は、前記底部シート片を略中央において折るための折り畳み線と、前記底部シート片の一部分を起立させるために前記底部シート片を貫通して形成される切り込み線とを備えており、前記切り込み線の両端を接続する仮想線分と前記折り畳み線とは、90度未満の角度で互いに交差する包装体により達成される。
【0009】
また、この包装体において、前記切り込み線は、半円形状であることが好ましい。
【0010】
また、前記仮想線分と前記折り畳み線との交差角度は、15度から75度であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、食品が収容された包装袋を安定的に保持することができる三角柱状の包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る包装体について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る包装体を示す斜視図である。図2は、本発明に係る包装体の側面図であり、図3は、図2のA−A断面図である。図4は、本発明に係る包装体の展開図である。
【0013】
本実施形態に係る包装体1は、シートを折り曲げることにより形成する三角柱状のパッケージであり、食品が収容された包装袋(図示せず)を包装するものである。本実施形態に係る包装体1により包装される包装袋は、内部に種々の食品が収容される食品用包装袋である。この包装袋は、密閉袋であり、主にプラスチックを主体とする透明フィルムにより形成されている。包装袋の側縁には、袋の開封性を高めるためのIノッチやVノッチといった各種の切れ目が設けられている。この切れ目を起点として包装袋を引き裂くことにより開封することが可能となるように包装袋は形成されている。
【0014】
包装袋に収容される食品とは、各種食品素材やその加工品、これらを用いた食品を乾燥状態あるいは半乾燥状態としたものを含む。具体的な食品素材としては、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等の畜肉及びこれらを加工した加工食肉、海水魚、淡水魚及び甲殻類、貝類等の魚介類及びこれらの加工品、鶏卵、うずら卵、魚卵等の卵類、米、小麦、トウモロコシ、アワ、ヒエ等の穀類、大豆、インゲン豆、エンドウ豆、落花生等の豆類、さらに上記の食品素材の加工品、例えば大豆より抽出した大豆タンパク質や、トウモロコシより抽出されたトウモロコシ澱粉、牛肉より分離されたヘッド等が挙げられる。これら1種のみを用いても良いし、2種以上の組み合わせ使用も可能である。
【0015】
上記の食品素材やその加工品を用いた食品の具体的な例としては、混ぜご飯の素や、カレー、シチュー等の煮込み料理食品、牛丼、親子丼、中華丼などのどんぶりもの、梅粥、鮭粥、中華粥等の粥類、コーンスープ、ポタージュスープ、コンソメスープ等のスープ類、ハンバーグ、ミートボール、ハム、プレスハム、ソーセージ、ベーコン、ミートローフ等の畜肉加工食品、植物蛋白等を利用した疑似畜肉加工食品、板付き蒲鉾、蒸し蒲鉾、焼き蒲鉾、かに風味蒲鉾、竹輪、揚げ蒲鉾、はんぺん、なると、笹蒲鉾、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、魚介類を用いたハンバーグ、つみれ、伊達巻き等の水産練り製品、スクランブルエッグ、卵焼き、厚焼き卵、かき卵等の卵を原材料として加工した卵加工食品、玉子豆腐、ごま豆腐、厚揚げ、油揚げ、コンニャク、餅、ふ、あられ等の穀物を主原料として加工した穀物加工食品、餃子、シュウマイ、春巻き、コロッケ、お好み焼き、たこ焼き、カキ揚げ等の惣菜類、練りウニ、練り梅、わさび、しょうが、からし等の練り調味料、及びスープなどが挙げられ、これら1種のみでも2種以上を用いたものでも良い。
【0016】
本発明に係る包装体1は、図4に示すような平面視矩形状のシート10を三角柱状に折り曲げることにより形成されている。シート10の表面には、所定間隔で3カ所に平行に設けられる直線状の複数の折曲線11a,11b,11cが形成されている。これら複数の折曲線11a,11b,11cによって、シート10は、接合用シート片12、底部シート片13、後面シート片14、前面シート片15に画定されている。シート10として、例えば、厚紙や樹脂製シート、或いは、これらの積層体を用いることができる。また、折曲線11a,11b,11cは、例えば、ミシン目線やハーフカット線により形成することが可能である。
【0017】
接合用シート片12は、シート10を折り曲げて三角柱状に組み立てた場合にその三角柱状の形状を維持するために、前面シート片15の端部に重ね合わされて接着剤により接合される部分である。なお、接着剤により接合用シート片12と前面シート片15とを接合する代わりに、接着テープにより接合用シート片12と前面シート片15とを接合してもよい。
【0018】
底部シート片13は、三角柱状に組み立てられた包装体1の底部となる部分であり、その略中央には折り畳み線16を備えている。この折り畳み線16は、底部シート片13をその略中央において折り畳むことにより、三角柱状の包装体1を平面状の形状に変形させてコンパクト化させるために設けられるものであり、折曲線11a,11b,11cと略平行となるように形成されている。また、折り畳み線16は、例えば、ミシン目線やハーフカット線により形成されている。ここで、ミシン目線とは、点線状に切り込み目を入れた切り目のことをいう。また、ハーフカット線とは、シート10の厚みを不連続にする手段により形成された線をいう。シート10の厚みを不連続にする手段としては、例えば、刃によって所定深さの切り溝を形成する切込部形成手段や、プレス加工によって所定幅及び所定深さの溝を形成する凹部形成手段等を挙げることができる。
【0019】
また、底部シート片13は、その一部分を包装体1の内側に起立させて起立部13aを形成するための切り込み線17を備えている。この切り込み線17は、平面視半円形状となるように、底部シート片13を貫通して形成されている。また、切り込み線17は、その各端部が折り畳み線16を挟んだ両側にそれぞれ配置されるように形成されており、その両端を接続する仮想線分Lと折り畳み線16とが、45度の角度で互いに交差するように形成されている。
【0020】
後面シート片14は、組み立てられた三角柱状の包装体1の後面側となる部分であり、商品の説明や調理方法等が記載されている。
【0021】
前面シート片15は、組み立てられた三角柱状の包装体1の前面側となる部分であり、包装体1組み立て時において、外側を向く面に、商品の名称や、製造者名等の各種情報が記載されている。また、包装体1により包装される包装袋を商品購入者が視認できるように、前面シート片15の一分部に開口部を形成してもよい。
【0022】
本実施形態に係る包装体1は、上記のように構成されるシート10を、その表面に形成された折曲線11a,11b,11cにて折り曲げると共に、接合用シート片12と前面シート片15とを接着剤により接合することにより形成される。
【0023】
このようにして形成された三角柱状の包装体1は、底部シート片13における折り畳み線16を中心にして底部シート片13を山折りに折り畳むことによって平面状の形状に変形させられる。その後、平面形状に変形された包装体1を複数束ねて、食品が収容された包装袋を三角柱状の包装体1の内部に収納する工程へと搬送されることになる。
【0024】
食品が収容された包装袋を三角柱状の包装体1の内部に収納する工程においては、平面形状に変形された包装体1を三角柱状の形状に戻した後、食品が収容された包装袋をその内部に配置し、接着剤や接着シール等を用いて包装体1の内部に包装袋を固定する。このようにして製造された商品は、デパートやスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の食品売り場に搬送され、商品陳列棚に立てた状態で配置される。
【0025】
ここで、本実施形態に係る包装体1は、三角柱状の包装体1の底部に相当する底部シート片13が、その一部分を起立させて起立部13aを形成するための切り込み線17を備えており、更に、この切り込み線17の両端を接続する仮想線分Lが、底部シート片13に形成される折り畳み線16と45度の角度で交差するように形成されている。
【0026】
したがって、三角柱状の包装体1の底部となる底部シート片13の一部分を起立させて起立部13aを形成した場合、底部シート片13が有する折り畳み線16は、図3に示すように、起立部13aを挟んだ両側に配置される第1線分16a及び第2線分16bと、起立部13aに形成される第3線分16cとに分けられることになる。そして、折り畳み線16の第1線分16aと第2線分16bとを同軸上に結ぶ直線と、起立部13aにおける折り畳み線16の第3線分16cとが、図3に示すように、平面視において、同一直線状に重ならないように配置されことになる。このように折り畳み線16の第1〜第3線分16a〜16cが配置されることにより、折り畳み線16の第3線分16cが形成されていない起立部13aの一部領域13bが、包装体1の底部の折り癖に対する抵抗として作用し、包装体1の底部が外側に撓んだ状態となることを効果的に防止することができる。この結果、包装体1の底部を確実にフラットな状態に維持することが可能となり、食品が収容された包装袋を包装体1により包装した商品を安定的に陳列棚に載置することができる。
【0027】
以上、本発明に係る包装体1の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、底部シート片13に形成される切り込み線17の両端を接続する仮想線分Lと折り畳み線16とが、45度の角度で互いに交差するように形成されているが、このような構成に特に限定されず、仮想線分Lと折り畳み線16とが、90度未満の角度で互いに交差するように切り込み線17を形成することができる。特に、包装体1の底部における折り癖を効果的に解消するという観点からは、仮想線分Lと折り畳み線16とが、15度〜75度の交差角度範囲となるように切り込み線17を形成することが好ましい。
【0028】
なお、切り込み線17の両端を接続する仮想線分Lと折り畳み線16との交差角度が90度である場合、底部シート片13における一部分を起立させて起立部13aを形成したとしても、図5の平面図に示すように、折り畳み線16の第1線分16a及び第2線分16bを同軸状に結ぶ直線と、起立部13aに形成される折り畳み線16の第3線分16cとが、平面視において同一直線上に重なるように配置されることになってしまう。このため、折り畳み線16の第3線分16cが形成されていない起立部13aの一部領域13bが、包装体1の底部の折り癖に対する抵抗として作用することが無く、包装体1の底部が外側に撓んだ状態となってしまう。この結果、包装体1により包装された商品を陳列棚に載置した場合に、商品が傾いてしまったり、人間の手が僅かに商品に当たった際に商品が揺れ動いたり、倒れてしまうということを効果的に抑制することが困難となる。
【0029】
また、上記実施形態においては、底部シート片13が備える切り込み線17は、平面視において半円形状となるように形成されているが、このような形状に特に限定されない。例えば、図6(a)〜(c)に示すように、L字状、コ字状、U字状となるように形成してもよい。
【0030】
また、上記実施形態においては、底部シート片13を画定する各折曲線11a,11bを直線状に形成しているが、例えば、図7に示すように、各折曲線11a,11bが、所定間隔をあけて配置される複数の直線状線111と、各直線状線の間に配置される張り出し線112とを備えるように形成してもよい。各張り出し線112は、底部シート片13側に張り出すように形成されており、各張り出し線112の各端部は、隣接する直線状線111の端部に連結している。また、各張り出し線112は、シート10を貫通するように構成されている。
【0031】
このように底部シート片13を画定する各折曲線11a,11bの形状を形成することにより、シート10を折り曲げて三角柱状の包装体1を形成した場合、図8(a)(b)に示すように、張り出し線112により囲まれるシート10の一部分13cが、包装体1の底面外方に向けて突出する足部を形成することになる。本発明に係る包装体1が、何らかの外力を受けることにより図11に示すように、包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態となってしまった場合、底部シート片13と後面シート片14、底部シート片13と前面シート片15が構成する角度が大きくなり、転倒しやすい状態になる。このような状態になったとしても、シート10の一部分13cにより形成され、包装体1の底面外方に向けて突出する足部が、底部シート片13と後面シート片14または前面シート片15とが構成する角度が大きくなるのを軽減させることができ、商品の載置安定性を高めることができる。さらに足部が、図8(b)に示すように、斜め外側に突出しているため、底部シート片13が外側へ引っ張られる力も発生するため、撓みを防止する効果もある。
【0032】
また、上記実施形態においては、包装体1を形成するシート10は、平面視矩形状の形状であるが、このような構成に特に限定されず、例えば、平面視楕円形状、或いは、平面視三角形状等の種々の形状を有するシート10を折り曲げることにより包装体1を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装体を示す斜視図である。
【図2】図1に示す包装体の側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1に示す包装体の展開図である。
【図5】底部シート片に形成される切り込み線の両端を接続する仮想線分と折り畳み線との交差角度が90度である場合の包装体底部の平面図である。
【図6】(a)〜(c)底部シート片に形成される切り込み線の各種変形例を示すシートの要部平面図である。
【図7】底部シート片を画定する各折曲線の変形例を備えるシートの展開図である。
【図8】(a)は図7に示すシートにより形成された包装体の側面図であり、(b)はそのB−B断面図である。
【図9】従来の包装体を示す斜視図である。
【図10】図9に示す三角柱状の包装体を変形させて平面形状にした状態を示す側面図である。
【図11】包装体の底部が、折り畳み線を中心にして外側に撓んだ状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 包装体
10 シート
11a〜11c 折曲線
12 接合用シート片
13 底部シート片
13a 起立部
14 後面シート片
15 前面シート片
16 折り畳み線
16a 第1線分
16b 第2線分
16c 第3線分
17 切り込み線
L 切り込み線の両端部を接続する仮想線分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの表面に形成された複数の折曲線にて、前記シートを折り曲げることにより形成される三角柱状の包装体であって、
前記包装体の底部となる前記シートの底部シート片は、前記底部シート片を略中央において折るための折り畳み線と、前記底部シート片の一部分を起立させるために前記底部シート片を貫通して形成される切り込み線とを備えており、
前記切り込み線の両端を接続する仮想線分と前記折り畳み線とは、90度未満の角度で互いに交差する包装体。
【請求項2】
前記切り込み線は、半円形状である請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記仮想線分と前記折り畳み線との交差角度は、15度から75度である請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項1】
シートの表面に形成された複数の折曲線にて、前記シートを折り曲げることにより形成される三角柱状の包装体であって、
前記包装体の底部となる前記シートの底部シート片は、前記底部シート片を略中央において折るための折り畳み線と、前記底部シート片の一部分を起立させるために前記底部シート片を貫通して形成される切り込み線とを備えており、
前記切り込み線の両端を接続する仮想線分と前記折り畳み線とは、90度未満の角度で互いに交差する包装体。
【請求項2】
前記切り込み線は、半円形状である請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記仮想線分と前記折り畳み線との交差角度は、15度から75度である請求項1又は2に記載の包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−100291(P2010−100291A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270599(P2008−270599)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000105095)グリコ栄養食品株式会社 (8)
【出願人】(000208400)大和紙器株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000105095)グリコ栄養食品株式会社 (8)
【出願人】(000208400)大和紙器株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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