説明

包装体

【課題】被包装物品の取り出しが容易で、且つ、包装体を開封した後、包装体内に収納された被包装物品に、埃等の汚れが付着し難い包装体を提供する。
【解決手段】複数の被包装物品1が整列集合されて構成された被包装物品集合体10と、被包装物品集合体10を包装する包装フィルム20と、を備え、包装フィルム20の側面26には、天面27側に開封用の切込線30が形成されており、この切込線30の両端部30a,30aが、天面27に対して平行に延び、且つ、切込線30の中央部30bが、包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている包装体100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロール状ペーパーを包装した包装体に関する。更に詳しくは、被包装物品の取り出しが容易で、且つ、包装体を開封した後、包装体内に収納された被包装物品に、埃等の汚れが付着し難い包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパーやペーパータオル等のロール状ペーパーなどの被包装物品は、複数の被包装物品が一つの集合体(被包装物品集合体)としてまとめられて販売されている。このとき、被包装物品集合体は、保管や運搬する際の利便性を向上させる目的、また、被包装物品を雨水や埃などの汚れから保護する目的で、透光性の樹脂フィルムなどの包装フィルムによって包装されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
例えば、ロール状ペーパーなどの被包装物品は、図9に示すように、複数個の被包装物品201が、複数段積み重ねられた状態(図9においては、4個×3段)で、包装フィルム220によって包装されている。ここで、図9は、従来の包装体200を模式的に示す斜視図である。
【0004】
従来の包装体においては、包装フィルムを開封するための開封口等が設けられていないことがあった。このような包装体においては、包装フィルムの天面側を、手や鋏等で破り、その破り口を取出口としていた。しかし、このような方法で取出口を形成した場合には、取出口の形状が不揃いとなり、被包装物品が取り出し難いことがあった。
【0005】
特許文献1〜3には、包装体を構成する包装フィルムに、ミシン目等の切込線を設けて、切込線を破断することによって、被包装物品を取り出すための取出口を形成する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−35323号公報
【特許文献2】特許第3153528号公報
【特許文献3】特開2003−104449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された包装体においては、包装体から一の被包装物品を取り出した後には、包装フィルムに、被包装物品を取り出し得る大きさの取出口が形成され、その取出口が常時開口した状態となる。このため、上記取出口から、包装体内に埃等が侵入し、未使用の状態で保管される被包装物品に、汚れが付着してしまうという問題があった。
【0008】
例えば、ロール状ペーパー等の被包装物品が包装された包装体においては、包装された複数個の被包装物品が一度に使用されることは極めて稀である。このため、直ぐに使用されない被包装物品は、包装フィルム内に収納(包装)された状態で、適宜保管されることとなる。取出口が常時開口した状態の包装体が保管されていると、上記取出口等から、埃等が簡単に侵入してしまう。
【0009】
特に、トイレットペーパーやキッチンペーパー等のロール状ペーパーにおいては、包装フィルムによって包装された物品を使用する際には、その物品が使用者と直に接触することとなる。例えば、包装体から取り出したばかりの新しい物品に、埃等の汚れが付着していると、その物品を使用する使用者に不快な気分を与えることがある。また、衛生面からも、未使用の被包装物品に汚れが付着することは好ましくない。
【0010】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、被包装物品の取り出しが容易で、且つ、包装体を開封した後、包装体内に収納された被包装物品に、埃等の汚れが付着し難い包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下に示す包装体が提供される。
【0012】
[1] 複数の被包装物品が整列集合されて構成された被包装物品集合体と、前記被包装物品集合体を包装する包装フィルムと、を備え、前記被包装物品が、ロール状ペーパーであり、前記包装フィルムの側面には、天面側に開封用の切込線が形成されており、前記切込線のそれぞれの端部が、前記天面に対して平行に延び、且つ、前記切込線の中央部が、前記包装フィルムの底面側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている包装体。
【0013】
[2] 前記包装フィルムの前記側面が、前記天面及び前記底面と連接する4つの面を有し、前記切込線の前記端部が、前記4つの面のうち互いに平行な2つの面にそれぞれ形成され、前記切込線の前記中央部が、前記平行な2つの面に隣接する一の面に形成されている前記[1]に記載の包装体。
【0014】
[3] 前記切込線の前記中央部が、前記被包装物品集合体の最上段に配置された1個の前記被包装物品の高さ以内の範囲において、前記包装フィルムの前記底面側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている前記[1]又は[2]に記載の包装体。
【0015】
[4] 前記切込線のそれぞれの前記端部が、前記被包装物品集合体の最上段に配置された1個の前記被包装物品の幅以内の範囲において、前記天面に対して平行に延びて形成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の包装体。
【0016】
[5] 前記包装フィルムの前記天面上を橋渡しするように設けられた帯状の把手部を更に備え、前記把手部のそれぞれの端部が、前記包装フィルムの前記切込線の前記端部が形成された面の、前記切込線の前記端部の一部と重なる位置、又は前記切込線の前記端部の延長線上に接合されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載の包装体。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装体は、複数のロール状ペーパーが整列集合されて構成された被包装物品集合体と、この被包装物品集合体を包装する包装フィルムと、を備えた包装体である。そして、本発明の包装体においては、包装フィルムの側面には、天面側に開封用の切込線が形成されており、この切込線のそれぞれの端部が、包装フィルムの天面に対して平行に延び、且つ、切込線の中央部が、包装フィルムの底面側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている。本発明の包装体においては、上記切込線を破断することによって、包装体の取出口を形成することができる。このため、包装体からの被包装物品の取り出しが容易である。更に、本発明の包装体においては、切込線によって囲われた包装フィルムの一部が、取出口を覆うための蓋になる。このため、一の被包装物品を包装体から取り出し、残りの被包装物品が収納(包装)された状態で、当該包装体を保管した場合に、包装体内への埃等の侵入を有効に防止することができる。これにより、包装体内に収納された被包装物品に、汚れが付着するのを有効に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の包装体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す包装体の切込線を破断して、包装体を開封した状態を模式的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す包装体から、一の被包装物品を取り出した状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の包装体の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図5】図4に示す包装体の切込線を破断して、包装体を開封した状態を模式的に示す斜視図である。
【図6】図5に示す包装体から、一の被包装物品を取り出した状態を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の包装体の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の包装体の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図9】従来の包装体を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0020】
[1]包装体:
本発明の包装体の一の実施形態は、図1に示すように、複数の被包装物品1が整列集合されて構成された被包装物品集合体10と、被包装物品集合体10を包装する包装フィルム20と、を備えた包装体100である。本実施形態の包装体100においては、上記被包装物品1が、ロール状ペーパーである。図1は、本発明の包装体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【0021】
そして、本実施形態の包装体100においては、包装フィルム20の側面26には、天面27側に開封用の切込線30が形成されている。そして、この開封用の切込線30のそれぞれの端部30a,30aが、天面27に対して平行に延び、且つ、切込線30の中央部30bが、包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている。
【0022】
本実施形態の包装体100においては、上記切込線30を破断することによって、図2に示すように、包装体100の取出口40を形成することができる。このため、包装体100からの被包装物品1の取り出しが非常に容易である。
【0023】
更に、本実施形態の包装体100においては、図1〜図3に示すように、切込線30によって囲われた包装フィルム20の一部が、取出口40を覆うための蓋となる。即ち、包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように破断された部位が、包装体100の取出口40を覆うように垂れ下がり、包装体100の取出口40を塞ぐことができる。このため、一の被包装物品1aを包装体100から取り出した後、残りの被包装物品1が収納(包装)された状態で、この包装体100を保管した場合に、包装体100内への埃等の侵入を有効に防止することができる。これにより、包装体100内に収納された被包装物品1(即ち、包装体100を開封後、直ちに使用することなく保管される被包装物品1)に、汚れが付着するのを防ぐことができる。
【0024】
ここで、図2は、図1に示す包装体の切込線を破断して、包装体を開封した状態を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示す包装体から、一の被包装物品を取り出した状態を模式的に示す斜視図である。図2及び図3の包装体において、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
なお、開封用の切込線は、部分的につながりを有するミシン目状のものであってもよいし、直線状の切れ目(スリット)であってもよい。また、包装業界でジッパーと呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)や、二重線のミシン目であってもよい。即ち、本実施形態の包装体においては、上記開封用の切込線を破断することにより、包装体を開封し、切込線の形状に沿った取出口を形成することができればよい。
【0026】
従来の包装体において、包装フィルムを指等により破って開封した場合には、被包装物品を取り出し得る大きさの取出口が常時開口した状態となる。このため、包装体内に埃等が侵入し、未使用の被包装物品が汚れてしまうことがある。また、従来、包装フィルムに開封用の切込線が形成された包装体も提案されているが、このような切込線は、包装フィルムの天面や側面が常時開放された状態となっていたため、上述した従来の包装体と同様に、包装体内への埃等の侵入を防止することはできなかった。
【0027】
図1〜図3に示すように、本実施形態の包装体100においては、「包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成された開封用の切込線30」を破断することにより、包装体100を極めて簡便に開封することができるとともに、開封した取出口40から、一の被包装物品1aを簡便に取り出すことができる。更に、包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように破断された部位が、重力作用により、取出口40を覆うように自然と垂れ下がるため、包装体100の取出口40を良好に塞ぐことができる。
【0028】
[1−1]包装フィルム:
包装フィルムは、被包装物品集合体を包装するフィルムである。このようなフィルムによると、被包装物品の持ち運びが容易であるという利点がある。また、複数個の被包装物品からなる被包装物品集合体を包装する際に、簡便な操作によって包装することができる。
【0029】
包装フィルムの材質については特に制限はなく、通常、包装用のフィルムなどとして使用されるポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。中でも、延伸性や強度の面で、ポリエチレンが好ましい。包装フィルムの厚さは、被包装物品の種類や質量によっても異なるが、例えば、トイレットペーパー、ペーパータオルなどの場合、30〜90μmとすることが好ましい。
【0030】
包装フィルムの側面には、天面側に開封用の切込線が形成されている。図1〜図3に示す包装体100においては、切込線30の中央部30bが、包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように折れ曲がって形成された場合の例を示す。図1〜図3に示す包装体100においては、上記切込線30の中央部30bが、底面28側に向けて「V字状」に形成されている。
【0031】
本発明の包装体においては、図4〜図6に示すように、開封用の切込線31のそれぞれの端部31a,31aが、天面27に対して平行に延び、且つ、この切込線31の中央部31bが、包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように湾曲して形成されていてもよい。図4〜図6に示す包装体101においては、上記切込線31の中央部31bが、底面28側に向けて「U字状」に形成されている。
【0032】
ここで、図4は、本発明の包装体の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。図5は、図4に示す包装体の切込線を破断して、包装体を開封した状態を模式的に示す斜視図である。図6は、図5に示す包装体から、一の被包装物品を取り出した状態を模式的に示す斜視図である。図4〜図6の包装体101において、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
このように、本発明の包装体においては、切込線の中央部が、包装フィルムの底面側に向けて凸となるように形成され、包装フィルムの切込線によって破断された部位が、重力作用により、取出口を覆うように垂れ下がるように構成されていれば、切込線の形状(即ち、底面側に向けて凸となる形状)については特に制限はない。
【0034】
図1〜図3に示す包装体100においては、包装フィルム20の側面26が、天面27及び底面28と連接する4つの面26a,26b,26c,26dを有している。本実施形態の包装体100においては、切込線30のそれぞれの端部30a,30aが、上記4つの面26a,26b,26c,26dのうち互いに平行な2つの面(図1〜図3においては、面26bと面26d)にそれぞれ形成され、切込線30の中央部30bが、上記平行な2つの面26b,26dに隣接する一の面(図1〜図3においては、面26a)に形成されていることが好ましい。このように構成することによって、包装体100に形成された取出口40からの、被包装物品1の取り出しが良好となる。即ち、切込線30の中央部30bが形成される面26aを、包装体100の正面とすることで、取出口40の開閉が極めて容易となる。
【0035】
また、切込線30の中央部30bの底面28側に向けて凸となる部分は、上述した平行な2つの面26b,26dに隣接する一の面26aの幅全域に形成されていることが好ましい。これにより、取出口40の大きさが十分に確保され、被包装物品1を順次1個ずつ良好に取り出すことができる。
【0036】
また、切込線の中央部における底面側に向けて凸となる部分の、包装体の高さ方向の長さについては特に制限はない。但し、上記凸となる部分の、包装体の高さ方向の長さが短すぎると、被包装物品が取り出し難くなることがある。一方、上記凸となる部分の、包装体の高さ方向の長さが長すぎると、包装フィルムが型崩れしたり、取出口を覆う垂れ下がり部分が大きくなりすぎて、取出口を覆う際に隙間等ができ易くなったりすることがある。なお、「包装体の高さ方向」とは、包装体の天面から底面に向かう方向のことを意味する。従って、「包装体の高さ方向の長さ」は、包装体の天面から底面に向かう方向の長さのことである。また、本明細書においては、本実施形態の包装体を、底面が下向きになるように配置した場合における、包装体の天面から底面に向かう方向の長さ(即ち、上記配置状態における鉛直方向の長さ)を、単に「高さ」ということがある。
【0037】
図1〜図3に示すように、本実施形態の包装体100においては、切込線30の中央部30bが、被包装物品集合体10の最上段に配置された1個の被包装物品1の高さ以内の範囲において、包装フィルム20の底面28側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されていることが好ましい。このように構成することによって、被包装物品1を取り出すのに適当な大きさの取出口40を形成することができる。更に、この取出口40からの埃等の侵入もより有効に防止することができる。また、切込線30の底面側に向けて凸となる部分は、最上段に配置された1個の被包装物品1の高さの1/2以上の範囲まで形成されていることが更に好ましい。このように構成することによって、包装体100を開封した際に、被包装物品1の取り出しが非常に容易となる。また、開口部40を覆うように垂れ下がる部分(即ち、切込線30の凸となる部分)の長さを十分に確保することができ、開口部40に蓋をする効果を良好に得ることができる。
【0038】
また、天面に対して平行に延びる切込線のそれぞれの端部の長さについても特に制限はない。但し、切込線のそれぞれの端部の長さが短すぎると、被包装物品が取り出し難くなることがある。図1〜図3に示すように、本実施形態の包装体100においては、切込線30のそれぞれの端部30a,30aが、被包装物品集合体10の最上段に配置された1個の被包装物品1の幅以内の範囲において、天面27に対して平行に延びて形成されていることが好ましい。このように構成することによって、被包装物品1を1個ずつ良好に取り出すことができる。「被包装物品の幅」とは、被包装物品の高さ方向に直交する方向における、被包装物品の長さのことである。即ち、上記構成における「被包装物品1の幅」は、切込線30の両端部30a,30aが延びる方向における、被包装物品の長さである。図1〜図3において、被包装物品1の幅は、ロール状の被包装物品1の端面における直径の長さとなる。
【0039】
また、本実施形態の包装体においては、図7に示すように、包装フィルム20の天面27上を橋渡しするように設けられた帯状の把手部29を更に備えていてもよい。このような把手部29を備えた包装体102は、運搬が容易である。更に、このような把手部29を備えものの場合には、把手部29のそれぞれの端部が、包装フィルム20の切込線30の端部30a,30aが形成された面(側面26)にそれぞれ接合されていることが好ましい。更に、把手部29のそれぞれの端部が、包装フィルム20の切込線30の両端部30a,30aが形成された平行な2つの面26b,26dに接合されていることがより好ましい。把手部29の両端部が、切込線30の両端部30a,30aが形成された面26b,26dに接合されていると、切込線30を破断した際に、把手部29の接合部分によって、切込線30の端縁からの裂けや破れを有効に防止することができる。特に、把手部29のそれぞれの端部が、包装フィルム20の切込線30の端部30aが形成された面の、切込線の端部30aの一部と重なる位置、又は切込線30の端部30aの延長線上に接合されていることがより好ましい。樹脂製のフィルムからなる包装フィルム20においては、切込線30を破断して包装体102を開封した際に、勢い余って包装フィルム20が切込線30を越えて簡単に破れてしまうことがある。把手部29のそれぞれの端部を、切込線30の端部30a,30aの一部と重なるように包装フィルム20に接合することによって、包装フィルム20の裂け等を、把手部29の端部の接合部分によって食い止めることができる。また、把手部29のそれぞれの端部が、切込線30の延長線上に接合されている場合においても、切込線30を越えて包装フィルム20が破れてしまった際に、把手部29の端部の接合部分によって、包装フィルム20の破れを食い止めることができる。ここで、図7は、本発明の包装体の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。図7の包装体102において、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
被包装物品集合体を包装する方法としては、例えば、キャラメルやタバコのパッケージ包装で汎用される包装方法(いわゆるキャラメル包装)や、両側縁を谷折りにしたガゼット構造を有する長尺チューブ状のフィルム(ガゼットチューブシール袋)を用いて包装する方法等を採用することができる。図1〜図3に示す包装体100は、被包装物品集合体10が、包装フィルム20によってキャラメル包装されている場合の例を示す。図8に示す包装体103は、被包装物品集合体10が、ガゼット構造を有する長尺チューブ状の包装フィルム21によって包装されている場合の例を示す。ここで、図8は、本発明の包装体の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。図8の包装体103において、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。以下、「ガゼット構造を有する長尺チューブ状の包装フィルム21」のことを、単に「ガゼット構造の包装フィルム21」ということがある。
【0041】
図8に示す包装体103は、両側縁を谷折りにしたガゼット構造を有する長尺チューブ状の包装フィルム21を用いて、複数の被包装物品1が整列集合されて構成された被包装物品集合体10を包装している以外は、これまでに説明した本実施形態の包装体(例えば、図1に示す包装体100)と同様の構成を採用することができる。即ち、ガゼット構造の包装フィルム21によって包装された包装体103においても、包装フィルム21の側面26には、天面27側に開封用の切込線31が形成され、この開封用の切込線31のそれぞれの端部31a,31aが、天面27に対して平行に延び、且つ、切込線31の中央部31bが、包装フィルム21の底面28側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている。図8においては、切込線31の中央部31bが、包装フィルム21の底面28側に向けて凸となるように湾曲して形成された場合の例を示す。
【0042】
図8に示す包装体103においては、長尺チューブ状の包装フィルム21に、把手部39が形成されている。把手部39については、従来公知のガゼット構造の包装フィルムにおける把手部の構成を採用することができる。
【0043】
図8示すように、包装フィルム21が、ガゼット構造の包装フィルム21の場合には、包装フィルム21の谷折りにした面に、切込線31の両端部31a,31aが形成され、包装フィルム21の谷折り等の無い面に、切込線31の中央部31bが形成されていることが好ましい。このように構成することによって、ガゼット構造の包装フィルム21に把手部39が形成されている場合に、把手部39に対して正面となる面に、包装体103の取出口が形成されることとなる。これにより、包装体103からの被包装物品1の取り出しが容易になる。把手部39に対して正面となる面とは、把手部39の持ち手の延びる方向に平行な面のことをいう。通常、把手部39を掴んで包装体103を移動し、その包装体103を載置した場合には、上記「把手部39の持ち手の延びる方向に平行な面」が、包装体103の正面をとなる(即ち、搬送者と対面する面となる)。
【0044】
[1−2]被包装物品集合体:
被包装物品集合体は、複数の被包装物品が整列集合されて構成されたものである。被包装物品としては、例えば、トイレットペーパー、ペーパータオルなどのロール状ペーパーを挙げることができる。
【0045】
被包装物品集合体を構成する被包装物品の数は、複数であれば特に制限はない。例えば、トイレットペーパーの場合であれば、12個であることが多く、ペーパータオルの場合であれば、2個又は4個であることが多い。例えば、12個の被包装物品により、被包装物品集合体が構成される場合には、平面上において縦方向に2個及び横方向に2個、整列集合した4個の被包装物品が、高さ方向に3段積み重ねられたものを挙げることができる。上述した、縦方向、横方向、高さ方向における被包装物品の数についても特に制限はない。
【0046】
例えば、図1に示す包装体100は、12個のトイレットペーパー(被包装物品1)が整列集合されて構成された被包装物品集合体10を備えている例である。本実施形態の包装体においては、被包装物品集合体が、少なくとも2段以上に被包装物品が積み重ねられたものであることが好ましい。
【0047】
[2]包装体の製造方法:
次に、本発明の包装体の製造方法について、図1に示す包装体100を製造する場合を例に説明する。
【0048】
まず、被包装物品を整列集合させて被包装物品集合体を得る。図1に示す包装体100を製造する際には、12個(4個×3段)の被包装物品1が整列集合されて構成された被包装物品集合体10を得る。被包装物品集合体を得る方法としては、従来公知の包装体の製造方法を挙げることができる。
【0049】
次に、被包装物品集合体を包装するための包装フィルムを用意する。キャラメル包装により、被包装物品集合体を包装する際には、長尺状のフィルムが捲回された包装フィルムロールから、包装フィルムを供給することが好ましい。
【0050】
このような包装フィルム上に、被包装物品集合体を載置して、キャラメル包装によって被包装物品集合体を包装する。本発明の包装体は、包装フィルムの側面における天面側に、所定の形状の開封用の切込線が形成されたものであるため、上記包装フィルムに対して、開封用の切込線を適宜形成する。開封用の切込線は、被包装物品集合体を包装する前に、包装フィルムに形成することが好ましい。このように構成することによって、切込線を形成する際に、被包装物品に傷が付くのを有効に防止することができる。このようにして、図1に示すような包装体100を製造することができる。
【0051】
また、図7に示すように、包装フィルム20の天面27上を橋渡しするように、帯状の把手部29を取り付けてもよい。把手部29を取り付ける際には、把手部29の両端部を、包装フィルム20の切込線30の両端部30a,30aが形成された2つの面26b,26dに接合することが好ましい。
【0052】
また、図8に示す包装体103のような、ガゼット構造の包装フィルム21によって、被包装物品集合体10を包装する際には、ガゼット構造を有する長尺チューブ状の包装フィルムを用意し、長尺チューブ状の包装フィルム内に、被包装物品集合体10を収納し、包装フィルムの両端部を封着する。このようなガゼット構造の場合においても、被包装物品集合体を収納する前に、包装フィルムに開封用の切込線を適宜形成することが好ましい。
【0053】
切込線の形成方法については、特に制限はない。例えば、ミシン目刃を有する破断部材を、包装フィルム上に載置し、包装フィルム上を移動させることにより、所定の切込線を形成することができる。また、包装フィルムの切込線を形成する箇所に対して、打ち抜き加工を行うことによって、切込線を形成することもできる。
【0054】
また、開封用の切込線によって包装体に取出口を形成し、且つ、この開封用の切込線によって切り取られた部分を、重力作用により取出口の蓋として用いることが可能な切込線としては、以下に示すような構成の切込線を挙げることができる。上記開封用の切込線としては、包装体の側面に形成された切込線であって、天面側に非破断部分を有する円状の切込線を挙げることができる。このように構成された切込線によれば、ミシン目等によって形成された切込線を破断することにより、包装体の側面に、円形の取出口を形成することができる。そして、この切込線には、天面側に非破断部分が形成されているため、切込線によって円形に切り抜かれた部分が、開閉可能な蓋となる。即ち、円形に切り抜かれた部分が、天面側の非破断部分によってぶら下がった状態となる。
【0055】
このような円形の切込線が形成された包装体においては、円状の切込線の大きさが、被包装物品1個を取り出すことが可能な大きさであることが好ましい。例えば、被包装物品がトイレットペーパーの場合には、円状の切込線によって形成される取出口が、1個のトイレットペーパーを取り出すのに適切な大きさとなるように、円状の切込線の大きさを適宜決定することが好ましい。
【0056】
また、上記構成の包装体において、被包装物品が複数段積み重ねられたものの場合には、円状の切込線が、包装物品集合体の最下段の被包装物品1個分よりも、側面の高い位置に形成されていることが好ましい。これにより、埃等の汚れの侵入を有効に防止することができる。また、円状の切込線が、最上段の被包装物品1個分よりも、側面の低い位置に形成されていることが好ましい。これにより、包装体の天面側に配置された把手部(持ち手)を引っ張った際に、不用意に切込線が破断してしまうことを有効に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の包装体は、複数のロール状ペーパーからなる被包装物品集合体を包装した包装体として利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、1a、201:被包装物品、10:被包装物品集合体、20、21、220:包装フィルム、26:側面、27:天面、28:底面、29,39:把手部、30、31:切込線、30a、31a:切込線の端部、30b、31b:切込線の中央部、40:取出口、100、101、102、103、200:包装体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被包装物品が整列集合されて構成された被包装物品集合体と、
前記被包装物品集合体を包装する包装フィルムと、を備え、
前記被包装物品が、ロール状ペーパーであり、
前記包装フィルムの側面には、天面側に開封用の切込線が形成されており、
前記切込線のそれぞれの端部が、前記天面に対して平行に延び、且つ、前記切込線の中央部が、前記包装フィルムの底面側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている包装体。
【請求項2】
前記包装フィルムの前記側面が、前記天面及び前記底面と連接する4つの面を有し、
前記切込線の前記端部が、前記4つの面のうち互いに平行な2つの面にそれぞれ形成され、前記切込線の前記中央部が、前記平行な2つの面に隣接する一の面に形成されている請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記切込線の前記中央部が、前記被包装物品集合体の最上段に配置された1個の前記被包装物品の高さ以内の範囲において、前記包装フィルムの前記底面側に向けて凸となるように折れ曲がって又は湾曲して形成されている請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記切込線のそれぞれの前記端部が、前記被包装物品集合体の最上段に配置された1個の前記被包装物品の幅以内の範囲において、前記天面に対して平行に延びて形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項5】
前記包装フィルムの前記天面上を橋渡しするように設けられた帯状の把手部を更に備え、前記把手部のそれぞれの端部が、前記包装フィルムの前記切込線の前記端部が形成された面の、前記切込線の前記端部の一部と重なる位置、又は前記切込線の前記端部の延長線上に接合されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86801(P2013−86801A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225730(P2011−225730)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(312013310)王子ネピア株式会社 (21)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】