説明

包装充填装置

【課題】成形用フラップによる予備成形を容易にし、液体食品圧力の変動によって液体食品圧力が下がっても、チューブへ外部雰囲気物質が侵入することを防止することができる包装充填装置を提供する。
【解決手段】包装充填装置がプレッシャーフランジ36と陽圧維持手段とを有し、プレッシャーフランジ36はチューブ状包装材料1内の液面下であって充填パイプ7外周上に設けられ、プレッシャーフランジ36が、充填されたチューブ内の液体食品が下方から上方に自由に流動することを抑制して、プレッシャーフランジ36下方のチューブ内の液体食品の圧力を陽圧にし、予備成形を容易にし、陽圧維持手段が、プレッシャーフランジ36下方のチューブ内の液体食品の圧力の変動を緩和して、液体食品圧力が陰圧に下降することを防止し、プレッシャーフランジ36下方の液体食品圧力を陽圧に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料などを充填して容器に包装する包装充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状(帯状)の包装積層材料が使用され、包装積層材料を次の包装積層材料に継ぎ目で継いで、包装積層材料を連続的にヒートシール、超音波シール等によってシールされることにより、包装容器が形成される。例えば、包装充填装置において、包装積層材料を次の包装積層材料に継ぎ目で継いで、包装積層材料を連続的に包装材料の縁部にストリップを前もって接合し、包装積層材料をチューブ状に成形し、チューブの内側から、包装積層材料の重ね合わされた両縁部同士を、縦シール部の内側端面を保護するストリップと共に押し当てて縦シール装置によって長手方向(縦方向)にシールした後、無菌的に収容する無菌室内の雰囲気下で、チューブ状の包装積層材料の中に液体食品を充填しながら、横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕状の予備容器を形成し、予備容器を更に所定の形状に成形して包装容器を完成させる。
【0003】
図4は、包装充填装置の一例を示す概略斜視図である。ウェブ状の包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に装填される。包装積層材料1は、紙基材、及び紙基材の両面にポリエチレン樹脂が積層された可撓性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔、ガスバリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成され、包装容器14の表面に相当する部分にあらかじめ外装用の印刷が施される。
【0004】
繰り出された包装積層材料1は、搬送手段の送り装置によって連続的に搬送され、ベンディングローラ、ダンパローラ等を経て、ストリップ接合装置3に送られ、ストリップ接合装置によって包装積層材料1の一方の縁部に沿ってストリップ2が、次のストリップを継ぎ目で継ぎながら、連続的に接合される。
【0005】
包装積層材料1は、必要に応じて、プルタブ接合装置によってプルタブが接合される。包装積層材料1は、殺菌槽4に送られ、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。包装積層材料1は、エアナイフ5に送られ、エアナイフ5によって乾燥させられた後、チューブ状包装材料内に液体食品を無菌雰囲気で充填することを保証する無菌室40の室内に送られる。包装積層材料1は、成形リング6、その他の成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状の形状にされる。
チューブ状包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7の下端から流動性食品がチューブ状包装積層材料1内に充填される。
【0006】
図5に、チューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を所定の液面レベルまで充填する形態の一例を示す。
充填パイプ7の垂直部分は、チューブ状包装材料1の内部に下方に挿入されている。上流側の部分は、制御弁32に接続されている。充填パイプ7の垂直部分の外周囲には、円筒状のフロート34が配置されている。液体食品に浮かんだフロート34は、チューブ包装材料1と充填パイプ7の間にあって、充填パイプ7の垂直部分の外面に、上下方向に移動自在に嵌められている。フロート34には、被検出手段35(マグネット、発信器または、タグなど)が取付けられている。チューブ1の外部に検出器31が配されている。検出器31は、被検出手段との間の信号の強弱の変化を電流に変えて電気信号として出力する。所定レベル若しくはそれ以上では停止信号を、所定レベル以下であると開放信号をそれぞれ制御手段33に出力する。すなわち、充填パイプ7の上流側部分には、流量制御弁32が設けられており、流量制御弁32は、制御手段33により制御される。
液体の液面レベルが所定レベルに調整される。(参考特許文献1)
【0007】
図4に示すように、チューブ状包装積層材料1は、下方に案内され、横シール装置10に送られ、挟まれて横方向にシールされると共に、容器形状に成形され、横シールされた包装積層材料は、ナイフなどで切断されて枕状の予備容器(予備成形体)13が形成される。
【0008】
図6に横シール装置10の詳細一部断面図を示す。この態様では、食品が充填されたチューブ状包装材料1が、先ず、上側一対のシールジョー10a及び対向ジョー11により挟持される。包装容器1個分に相当する長さ分だけ下方に送られながら、上側一対の成形フラップ41,41により挟まれておおよその容器形状に成形される。横断方向に横シールして2本の横シール帯域を形成し、繋がった枕状予備成形体のシール帯域の中間をナイフ42により切断して個々の枕状予備成形体13に切り離す。
図6に示すこの態様では、高速に、横シール、予備成形及び切断を行うために、二対のシールジョー及び対向ジョー、並びに、成形フラップを備え、横シール、予備成形及び切断ステップを終えた一対は、横に退避し上方に戻り、次の横シール、予備成形及び切断ステップを繰返す。
【0009】
図4に示すように、予備容器13は、最終成形搬送装置15によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
【特許文献1】実開平1ー82102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の包装充填において、充填されたチューブ内の液体食品の圧力は、液面からの液体の深さに相当して陽圧である。包装材料を成形フラップで成形する際に、チューブ内の液体食品の圧力が陽圧であることによって、成形フラップの外圧と相俟って、包装材料を良好に成形することができる。
また、このような陽圧に維持されていることが、中身食品の衛生状態を維持する。すなわち、万が一に包装材料に僅かな傷、割れ目若しくはピンホールがあっても、この箇所から液体食品が外に出るだけであり、外部雰囲気物質の何らかが侵入しチューブ内の液体食品を汚染することがない。
【0011】
本発明は、チューブ内の充填液体食品の圧力を陽圧に維持し、成形用フラップによる予備成形を容易にし、液体食品圧力の変動によって液体食品圧力が下がっても、陰圧へ下降することを防止して、チューブへ外部雰囲気物質が侵入することを防止することができる包装充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の包装充填装置は、ウェブ状包装材料に次のウェブ状包装材料を継ぎ目で継いでウェブ状包装材料を連続的に供給し、チューブ状に成形し、包装材料の両端部で重ね合わされたチューブの縦線方向に縦シールし、垂直に下方に連続的に搬送されるチューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を、充填パイプ出口上方の所定位置の液面レベルまで充填し、液面下でチューブ横断方向にシールジョー及びカウンタージョーでチューブを挟んで引き下ろす間に横シールし、チューブを同時に成形用フラップで挟んで予備成形し、横シール帯域で切断して包装容器を製造する包装充填装置であって、
包装充填装置がプレッシャーフランジと陽圧維持手段とを有し
チューブ状包装材料内の液面下であって充填パイプ外周上に設けられた、プレッシャーフランジを有し、プレッシャーフランジが、充填されたチューブ内の液体食品が下方から上方に自由に流動することを抑制して、プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力を陽圧にし、成形用フラップによる予備成形を容易にし、
陽圧維持手段が、プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力の変動を緩和して、液体食品圧力が陰圧に下降することを防止し、プレッシャーフランジ下方の液体食品圧力を陽圧に維持する、
ことを特徴とする。
【0013】
この発明の好ましい態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ外周上を自在に上下し、自重により下方に移動する第1力と、液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置するプレッシャーフランジである。
【0014】
この発明の好ましい態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ外周上を自在に上下し、チューブの内外の磁極間での磁力により下方に移動する第1力と、液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置するプレッシャーフランジである。
【0015】
この発明の好ましい態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ外周上に固定され、通過孔を有し、通過孔には、液体食品圧力が下降する際に液体食品が上方から下方に流動することを許容し、その他の段階では液体食品が下方から上方に流動することを抑制する一方弁を有するプレッシャーフランジである。
【0016】
この発明の好ましい態様において、プレッシャーフランジ下方又は上下両方の位置に、充填パイプ内の液体食品をチューブ内側に追加供給する陽圧維持手段の追加調整手段を有し、追加調整手段が、液体食品圧力の周期的変動による液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
【0017】
この発明の好ましい態様において、液体食品圧力の変動によって液体食品圧力が下降する箇所が、シールジョー及びカウンタージョー並びに成形用フラップの上方であってプレッシャーフランジの少なくとも下方である第1下降箇所であり、陽圧維持手段の追加調整手段が、少なくとも第1下降箇所の液体食品圧力の周期的変動に応じる、充填パイプの管壁を貫通する穴若しくは一方弁である。
【0018】
この発明の好ましい態様において、プレッシャーフランジに陽圧維持手段の流量調節手段を有し、流量調節手段が、プレッシャーフランジによる液体食品の下方から上方への流れを抑制し、プレッシャーフランジの上方から下方への液体食品の流れを助長して、液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
【0019】
この発明の好ましい態様において、陽圧維持手段の流量調節手段が、プレッシャーフランジ下方の位置に、液体食品の流れに応じて上下動自在に充填パイプ外周に配設されたリング状浮遊弁であり、
プレッシャーフランジが上下に貫通した通路孔を有し、液体食品の流れに応じてリング状浮遊弁が、通路孔を開通させ、若しくは部分的に又は全面的に通路孔を封鎖する。
【0020】
この発明の好ましい態様において、無菌室内の雰囲気の圧力を高めて、液面を介して、液体食品の圧力を高め、液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する陽圧維持手段を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上の本発明によれば、以下の作用機能を発揮し、有利な効果が得られる。
この発明における包装充填装置は、ウェブ状包装材料をチューブ状に成形し、包装材料の両端部で重ね合わされたチューブの縦線方向に縦シールし、垂直に下方に連続的に搬送されるチューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を、充填パイプ出口上方の所定位置の液面レベルまで充填し、液面下でチューブ横断方向にシールジョー及びカウンタージョーでチューブを挟んで引き下ろす間に横シールし、チューブを同時に成形用フラップで挟んで予備成形し、横シール帯域で切断して包装容器を製造する。
【0022】
ウェブ状包装材料に次のウェブ状包装材料を継ぎ目で継いでウェブ状包装材料を供給されるので、ウェブ状包装材料の残量が少なくなっても、次のウェブ状包装材料を継ぎ目で継ぐので、停止することなく、連続的に包装充填することができる。
【0023】
液体食品が充填されたウェブ状包装材料の液面下で横シールされるので、容器内に不要な空気等が残らず、品質保持に寄与する。
上述の包装充填において、充填されたチューブ内の液体食品の圧力は、液面からの液体の深さに相当して陽圧である。包装材料を成形フラップで成形する際に、陽圧であることによって良好に成形することができる。
【0024】
この発明の特徴に於いて、チューブ状包装材料内の液面下であって充填パイプ外周上に設けられたプレッシャーフランジを有する。
チューブ状包装材料が下方に送られながら、シールジョー及び対向ジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれる際に、チューブ状包装材料の中身の液体が押出され、チューブ内の液体食品の圧力が急激に上昇して過剰な陽圧となる。この過剰な陽圧は、液面レベルを急激に上昇させ、不安定に揺れさせて、液面レベル制御を困難にする恐れがある。
すなわち、この過剰な陽圧は、液面レベルを急激に上昇させ、不安定に揺れさせて、例えば、図5に示すようなフロート34が大きく上下させるおそがあり、その結果、制御手段33による制御を困難にする恐れがある。
【0025】
この発明において、プレッシャーフランジが、充填されたチューブ内の液体食品が下方から上方に自由に流動することを抑制して、プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力を十分に陽圧にし、成形用フラップによる予備成形をより容易にする。また、液体食品が下方から上方に逆流しても、その逆流を抑え、液面レベルの急激な上昇を抑えることができる。
例えば、図5に示すように、チューブ状包装材料1内の液面下であって充填パイプ1外周上にプレッシャーフランジ36を設ける。プレッシャーフランジ36は、プレッシャーフランジ下方のシールジョー及び対向ジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれ液体食品が下方から上方に逆流しても、その逆流を抑え、液面レベルの急激な上昇を抑え、液体食品の圧力を十分な陽圧に保ることができる。
【0026】
チューブ内の液体食品圧力の変動によって、プレッシャーフランジ近傍で、充填されたチューブ内の液体食品の圧力が極めて低い陽圧若しくは陰圧になる恐れがある。
図2に、液体食品の充填パイプ7からの供給と、シールジョー及びカウンタージョー並びに成形用フラップとによる横シールにおける液体食品の流れ、動きの概念的な例を示す。チューブ状包装材料が矢印cの下方に送られながら、図2(A)に示すように、シールジョー10a及び対向ジョー11並びに成形用フラップにより急速に挟持されると、チューブ状包装材料の中身の液体が押出され、チューブ内の液体食品の圧力が急激に上昇して矢印aの方向に逆流しようとする。プレッシャーフランジ36はその逆流を抑え、成形に必要な陽圧に保つ。
【0027】
チューブ内の液体食品の圧力は、プレッシャーフランジ36の存在に拘らず、チューブ内の液体食品全体に伝播するので、図2(B)に示すように、チューブ内の液体は、慣性によって、矢印eの方向に更に逆流しようとする。しかし、プレッシャーフランジ36の存在によって、フランジ下方から上方への液体移動が妨げられ、フランジ上方(第2下降箇所)で液体量が不足し、不足量dが生じる。不足量dを仮想的に泡として図2(B)に図示する。その結果、充填されたチューブ内の液体食品の圧力が極めて低い陽圧若しくは陰圧になる恐れがある。上昇した液体は上記不足によって、急激に下降し、その結果、再度液体食品の圧力が高まる。このように、高低を繰り返して振動する。
【0028】
図3は、包装充填装置の一例における、プレッシャーフランジ上方(第2下降箇所)の液体食品の圧力を示す縦軸と、横シール(シールジョーと対向ジョーとによる挟持)、予備成形及び切断ステップの一サイクルの時間経過を示す横軸との線図である。
シールジョー及び対向ジョー、並びに成形用フラップにより急速に挟持されると(矢印期間j)、チューブ内の液体食品の圧力が急激に上昇する。図3のこれがピークh、iである。
チューブ内の液体食品の圧力は、チューブ内の液体食品全体に伝播し、チューブ内の液体は、慣性によって、上昇逆流しようとする。プレッシャーフランジ36の存在によって、フランジ下方から上方への液体移動が妨げられ、フランジ上方(第2下降箇所)で液体量が不足し、プレッシャーフランジ上方(第2下降箇所)の液体食品の圧力が低くなる。これが液体食品の圧力の谷gである。上昇した液体は上記不足によって、急激に下降し、その結果、再度液体食品の圧力が高まる。このように、高低を繰り返す。
【0029】
引く続き、図2(C)に示すように、チューブ状包装材料1が矢印cの下方に送られ、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ36下方の位置(第1下降箇所)の容積が増える。その増加分に相当する液体食品が充填パイプ出口7aから供給されないと、プレッシャーフランジ36上方の液体から矢印b(図2(C))の方向で供給されるはずであるが、プレッシャーフランジ36があるためにその供給が妨げられる。図2(C)に示すように、シールジョー10a及び対向ジョー11により引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ36下方の位置(第1下降箇所)の容積が急速に増え、液体食品の供給量が不足し、不足量dが生じる。不足量dを仮想的に泡として図2(C)に図示する。その結果、充填されたチューブ内の液体食品の圧力が極めて低い陽圧若しくは陰圧になる恐れがある。
【0030】
図7は、包装充填装置の一例における、プレッシャーフランジ下方(第1下降箇所)の液体食品の圧力を示す縦軸と、横シール(シールジョーと対向ジョーとによる挟持)、予備成形及び切断ステップの一サイクルの時間経過を示す横軸との線図である。
シールジョー及び対向ジョー、並びに成形用フラップにより急速に挟持されると(矢印期間j)、チューブ内の液体食品の圧力が急激に上昇する。(図7ピークh参照)
シールジョー及び対向ジョーにより引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下方の位置(第1下降箇所)の容積が急速に増え、液体食品の供給量が不足する。充填されたチューブ内の液体食品の圧力が極めて低い陽圧若しくは陰圧になる恐れがある。(図7谷g参照)
【0031】
この発明の特徴に於いて、プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力の変動を緩和して、液体食品圧力が陰圧に下降することを防止し、プレッシャーフランジ下方の液体食品圧力を陽圧に維持する陽圧維持手段を有する。
陽圧維持手段によって、液体食品の圧力変動を緩和し、液体食品圧力の陰圧下降を防止し、液体食品圧力を陽圧に維持するので、成形用フラップによる予備成形を容易にする。また、液体食品圧力が陰圧にならないので、チューブへ外部雰囲気物質が侵入することを防止することができる。
すなわち、陽圧維持手段によって陽圧に維持されるので、包装材料に僅かな傷、割れ目若しくはピンホールがあっても、この箇所から液体食品が外に出るだけであり、何らか(汚染物質)が入りチューブ内の液体食品を汚染することがなく、中身食品の衛生状態を維持することができる。
【0032】
この発明の好ましい態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ外周上を自在に上下し、自重により下方に移動する第1力と、液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置するプレッシャーフランジである。
シールジョー及び対向ジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれる際に、チューブ状包装材料の容積が急速な挟持のために減少し、チューブ内の液体食品が急激に上昇しようとするが、充填されたチューブ内の液体食品が下方から上方に自由に流動することを抑制するプレッシャーフランジが、液体食品の上方逆流を抑制する。
他方、チューブ状包装材料が高速に引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下の容積が急速に増え、液体食品の供給量が不足し、チューブ内の液体食品の圧力が低下するが、ステンレスなどからなる本体の自重により下方に移動する第1力によって、プレッシャーフランジ下の容積を減少させ、陰圧になることを防止することができる。
【0033】
この発明の好ましい態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ外周上を自在に上下し、チューブの内外の磁極間での磁力により下方に移動する第1力と、液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置するプレッシャーフランジである。
一対のジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれると、チューブ容積が急速な挟持のために減少し、チューブ内の液体食品が急激に上昇しようとするが、液体食品の下方から上方への流動を抑制するプレッシャーフランジが、液体食品の上方逆流を抑制する。
他方、チューブ状包装材料が高速に引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下の容積が急速に増え、液体食品の供給量が不足してチューブ内液体食品の圧力が低下しようとするが、磁力により下方に移動する第1力によって、プレッシャーフランジ下の容積を減少させ、陰圧になることを防止することができる。
【0034】
この発明の好ましい態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ外周上に固定され、通過孔を有し、通過孔には、液体食品圧力が下降する際に液体食品が上方から下方に流動することを許容し、その他の段階では液体食品が下方から上方に流動することを抑制する一方弁を有するプレッシャーフランジである。
一対のジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれると、チューブ容積が急速な挟持のために減少し、チューブ内の液体食品が急激に上昇しようとするが、液体食品の下方から上方への流動を抑制する一方弁を有するプレッシャーフランジが、液体食品の上方逆流を抑制する。
他方、チューブ状包装材料が高速に引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下の容積が急速に増え、液体食品の供給量が不足してチューブ内液体食品の圧力が低下しようとするが、液体食品が通過孔を上方から下方に流動することを許容する一方弁によって、プレッシャーフランジ下に液体食品を供給し、陰圧になることを防止することができる。
【0035】
この発明の特徴に於いて、プレッシャーフランジ下方(第1下降箇所)又は、プレッシャーフランジ上方(第2下降箇所)及び/又は下方(第1下降箇所)の両方の位置に、充填パイプ内の液体食品を充填パイプ外側且つチューブ内側に追加供給する陽圧維持手段の追加調整手段を有し、追加調整手段が、液体食品圧力の周期的変動による液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
ここで、液体食品圧力の変動によって液体食品圧力が下降する箇所は、シールジョー及びカウンタージョー並びに成形用フラップの上方であってプレッシャーフランジの上方である第2下降箇所と、シールジョー及びカウンタージョー並びに成形用フラップの上方であってプレッシャーフランジの下方である第1下降箇所と、があり、この発明においては、少なくともプレッシャーフランジ下方(第1下降箇所)を対象とする。
液体食品圧力が下降するために、第2下降箇所と第1下降箇所とに、充填パイプから液体食品が圧力差に応じて流れる。
この発明の好ましい態様において、追加調整手段は充填パイプの管壁を貫通する簡易構造の穴、若しくは、逆流を防止する一方弁である。
【0036】
上述のように、追加調整手段が、液体食品圧力の周期的変動による液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
縦シール帯域であって継ぎ目に生じた間隙若しくは間隙が生じる恐れがある部位があっても、この箇所から外部雰囲気物質、何らか(汚染物質)が侵入してチューブ内の液体食品を汚染することがなく、中身食品の衛生状態を維持する。
【0037】
この発明の好ましい態様において、プレッシャーフランジに流量調節手段を有し、流量調節手段が、プレッシャーフランジによる液体食品の下方から上方への流動抑制を助長し、プレッシャーフランジの上方から下方への液体食品の流れを助長して、液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
この発明の好ましい態様において、流量調節手段が、プレッシャーフランジ下方の位置に、液体食品の流れに応じて上下動自在に充填パイプ外周に配設されたリング状浮遊弁であり、プレッシャーフランジが上下に貫通した通路孔を有し、液体食品の流れに応じてリング状浮遊弁が、通路孔を開通させ、若しくは部分的に又は全面的に通路孔を封鎖する。
リング状浮遊弁が部分的に又は全面的に通路孔を封鎖するが、プレッシャーフランジの最外周縁と包装材料の内周面との間に間隙があり、この間隙から多少の流動がある。
リング状浮遊弁の断面形状は、製造容易な断面円形、断面矩形、上方からの流れを助長する上向き流線形(円弧状)と下からの流れを抑制する下向き凹み形などがあり、好ましくは、上向き流線形下向き凹み形である。
【0038】
図12を参照して、この発明の特徴である流量調節手段の動作・作用を説明する。
図12に示す態様では、プレッシャーフランジ36の下側に、流量調節手段39を有する。
流量調節手段39は、液体食品の流れ(x、y、z)に応じて上下動自在に充填パイプ7外周に配設されたリング状浮遊弁39である。
プレッシャーフランジ36は上下に貫通した通路孔36aを有し、液体食品の流れに応じてリング状浮遊弁39が、通路孔36aを開通させ(図12(B)参照)、また、部分的に通路孔36aを封鎖する(図12(A)参照)。
図12(A)に示すように、シールジョー10a及び対向ジョー11並びに成形用フラップにより急速に挟持されると、チューブ状包装材料の中身の液体が押出され、チューブ内の液体食品の圧力が急激に上昇してプレッシャーフランジ36の通路孔36aを介して、上の方向に逆流(流れx)しようとする。リング状浮遊弁39が流れ(流れx)に応じて上昇しプレッシャーフランジ36の通路孔36aを部分的に封鎖する。
その結果、リング状浮遊弁39はその逆流(流れx)を抑え、成形に必要な陽圧に保つ。
図12(B)に示すように、チューブ状包装材料1が下方に送られ、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ36下方の位置の容積が増える。液体食品が充填パイプ出口7aから供給される(流れz)。その増加分に相当する液体食品が充填パイプ出口7aから供給されないと、プレッシャーフランジ36上方から供給される(流れy)。供給された液体食品が不足すると、液体食品の圧力が極めて低い陽圧若しくは陰圧になる恐れがある。
リング状浮遊弁39は、流れyに応じて下方に移動し、プレッシャーフランジ36の通路孔36aを全面的に開放する。(図12(B)参照)その結果、その供給が十分となり、液体食品の圧力を高め、低い陽圧若しくは陰圧を未然に防止する。
【0039】
上述のように、流量調節手段が、液体食品圧力の変動による液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
縦シール帯域であって継ぎ目に生じた間隙若しくは間隙が生じる恐れがある部位があっても、この箇所から外部雰囲気物質、何らか(汚染物質)が侵入してチューブ内の液体食品を汚染することがなく、中身食品の衛生状態を維持する。
【0040】
この発明の好ましい態様において、無菌室内の雰囲気の圧力を高めて、液面を介して、液体食品の圧力を高め、液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
無菌室内の雰囲気の圧力は、無菌室内の無菌が保証される限り、包装充填装置の機能上、常圧、常圧よりも低い圧力、常圧よりも高い圧力でも問題がない。通常、常圧よりも少し高い圧力に設定して無菌室から絶えず無菌エアが間隙から無菌室外へ排出することによって無菌室内を無菌に保っている。
この発明においては、更に、液体食品の圧力を高めるために、無菌室内の雰囲気の圧力を高める。無菌室内の雰囲気の圧力は、チューブ上部の開口及び液面を介して、印可される。この圧力の程度は、無菌室の気密性、液体食品の種類、液体食品の温度など種々のパラメータに応じて適宜変更する。
【0041】
無菌室内の雰囲気の圧力を高めるこの発明の特徴を、図13を参照して説明する。図示する包装充填装置の無菌室40は、搬送される殺菌済ウェブ状包装材料1と、チューブ状包装材料1と、チューブ状包装材料1の上部開口と、充填パイプ7とを覆い、無菌エア供給装置39に連通する送風口38から吐出する無菌エアによって満たされている。無菌エア供給装置39の送風圧力と、チューブ状包装材料1が下方に無菌室から出る箇所などの間隙40aとの関係から、無菌室内の雰囲気の圧力が決まる。すなわち、間隙40aの気密性を高め、送風圧力を強くすることで、無菌室内の雰囲気の圧力を高めるように調整することができる。
【0042】
上述のように、無菌室内の雰囲気の圧力を高めることが、液体食品圧力の変動による液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
縦シール帯域であって継ぎ目に生じた間隙若しくは間隙が生じる恐れがある部位があっても、この箇所から外部雰囲気物質、何らか(汚染物質)が侵入してチューブ内の液体食品を汚染することがなく、中身食品の衛生状態を維持する。
【0043】
上述のように、本発明の包装充填装置によって、チューブ内の充填液体食品の圧力を陽圧に維持し、成形用フラップによる予備成形を容易にし、液体食品圧力の変動にって液体食品圧力が万が一に陰圧へ下降しても、チューブへ外部雰囲気物質が侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、この発明による包装充填装置の実施例1によるプレッシャーフランジの動作を説明する断面正面図である。
【図2】図2は、プレッシャーフランジ付近の包装充填装置の動作を示す概略断面図である。
【図3】図3は、包装充填装置例における、プレッシャーフランジ上方(第2下降箇所)の液体食品の圧力を示す縦軸と、横シール(シールジョーと対向ジョーとによる挟持)、予備成形及び切断ステップの一サイクルの時間経過を示す横軸との線図である。
【図4】図4は、この発明に使用できる包装充填装置の一例を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、包装充填装置の液面制御を説明する断面正面図である。
【図6】図6は、包装充填装置の横シール装置を説明する断面正面図である。
【図7】図7は、包装充填装置例における、プレッシャーフランジ下方(第1下降箇所)の液体食品の圧力を示す縦軸と、横シール(シールジョーと対向ジョーとによる挟持)、予備成形及び切断ステップの一サイクルの時間経過を示す横軸との線図である。
【図8】図8は、この発明による包装充填装置の実施例2によるフロートを概略的に説明する一部断面正面図である。
【図9】図9は、この発明による包装充填装置の実施例3によるプレッシャーフランジの動作を説明する断面正面図である。
【図10】図10は、この発明による包装充填装置の実施例4によるプレッシャーフランジの動作を説明する断面正面図である。
【図11】図11は、この発明による包装充填装置の実施例5によるプレッシャーフランジの動作を説明する断面正面図である。
【図12】図12は、この発明による包装充填装置の実施例6によるプレッシャーフランジの動作を説明する断面正面図である。
【図13】図13は、この発明による包装充填装置の実施例7による無菌室の動作を説明する断面正面図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・ チューブ状包装材料
7・・・ 充填パイプ
10・・・ シールジョー
11・・・ カウンタージョー
31・・・ 液面レベル検知手段
32・・・ 供給手段
33・・・ 制御手段
34・・・ フロート
36・・・ プレッシャーフランジ
37・・・ 液面レベル
39a・・・ 追加調整手段
39b・・・ リング状浮遊弁
39c・・・ 無菌エア供給装置
40・・・ 無菌室
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態による包装充填装置は、図4に示すように、ウェブ状包装材料1をチューブ状に成形し、包装材料の両端部でチューブの縦線方向に縦シールし、垂直に下方に搬送されるチューブ状包装材料内に充填パイプ7から液体食品を無菌室40内で、図5に示すように、充填パイプ出口上方の所定位置の液面レベルまで充填し、図6に示すように、液面下でチューブ横断方向にシールジョー10及びカウンタージョー11でチューブ1を挟んで引き下ろす間に横シールし、チューブを同時に成形用フラップ41、41で挟んで予備成形し、横シール帯域でナイフ42で切断して予備包装体13を製造する。
【実施例】
【0047】
この発明による包装充填装置の実施例1の実施例の包装充填装置のプレッシャーフランジの断面を図1に示す。
この態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ7外周上を自在に上下し、自重により下方に移動する第1力と、液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置するプレッシャーフランジである。
この態様のプレッシャーフランジ36は、充填パイプ7外周上を自在に上下するフランジ本体36aと下方に開口部を有し上部に通過孔36cを備えるフランジ翼36bとを持つ。
シールジョー及び対向ジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれるとき、チューブ状包装材料の容積が急速な挟持のために減少し、チューブ内の液体食品が急激に上昇しようとするが、フランジ翼36bが、逆流する液体食品を止め、流動を抑制する。
他方、チューブ状包装材料が高速に引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下の容積が急速に増え、チューブ内の液体食品の圧力が低下しようとするが、通過孔36cを液体が上から下に通過するので、ステンレスなどからなる本体の自重により下方に移動して、プレッシャーフランジ下の容積を減少させ、陰圧になることを防止することができる。
【0048】
この発明による第2の実施例の包装充填装置のプレッシャーフランジの断面を図8に示す。
この態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ7外周上を自在に上下し、チューブ1の内外の磁極間(36d,36e,36f)での磁力により下方に移動する第1力と、液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置するプレッシャーフランジである。
この態様のプレッシャーフランジ36は、充填パイプ7外周上を自在に上下するフランジ本体36aと下方に開口部を有し上部に通過孔36cを備え、また、下部に磁石36dを埋め込んだフランジ翼36bとを持つ。更に、チューブ1の外側に内側磁石36dと同極の磁極36eと反対極の磁極36fとの磁石を備える。
シールジョー及び対向ジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれるとき、チューブ状包装材料の容積が急速な挟持のために減少し、チューブ内の液体食品が急激に上昇しようとするが、フランジ翼36bが、逆流する液体食品を止め、流動を抑制する。
他方、チューブ状包装材料が高速に引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下の容積が急速に増え、チューブ内の液体食品の圧力が低下しようとするが、通過孔36cを液体が上から下に通過するので、磁極間(36d及び36f)の磁力によりフランジが下方に移動して、プレッシャーフランジ下の容積を減少させ、陰圧になることを防止することができる。
【0049】
この発明による第3の実施例の包装充填装置のプレッシャーフランジの断面を図9に示す。
この態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ7外周上を自在に上下し、チューブ1の内外の磁極間(36d,36g)での磁力により下方に移動する第1力と、液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置するプレッシャーフランジである。
この態様のプレッシャーフランジ36は、充填パイプ7外周上を自在に上下するフランジ本体36aと下方に開口部を有し上部に通過孔36cを備え、また、下部に磁石36dを埋め込んだフランジ翼36bとを持つ。更に、チューブ1の外側に電磁石36gを備える。
シールジョー及び対向ジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれるとき、チューブ状包装材料の容積が急速な挟持のために減少し、チューブ内の液体食品が急激に上昇しようとするが、フランジ翼36bが、逆流する液体食品を止め、流動を抑制する。
他方、チューブ状包装材料が高速に引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下の容積が急速に増え、チューブ内の液体食品の圧力が低下しようとするが、通過孔36cを液体が下から上に通過するので、磁極間(36d及び36g)の磁力によりフランジが下方に移動して、プレッシャーフランジ下の容積を減少させ、陰圧になることを防止することができる。
【0050】
この発明による第4の実施例の包装充填装置のプレッシャーフランジの断面を図10に示す。
この態様において、陽圧維持手段が、充填パイプ7外周上に固定され、通過孔36hを有し、通過孔36hには、液体食品圧力が下降する際に液体食品が上方から下方に流動することを許容し、その他の段階では液体食品が下方から上方に流動することを抑制する一方弁36jを有するプレッシャーフランジ36である。
一対のジョーにより急速に挟持され、また、一対の成形フラップにより急速に挟まれると、チューブ容積が急速な挟持のために減少し、チューブ内の液体食品が急激に上昇しようとするが、液体食品の下方から上方への流動を抑制する一方弁36jを有するプレッシャーフランジ36が、液体食品の上方逆流を抑制する。
他方、チューブ状包装材料が高速に引き下ろされると、チューブ状包装材料のプレッシャーフランジ下の容積が急速に増え、液体食品の供給量が不足してチューブ内液体食品の圧力が低下しようとするが、液体食品が通過孔36hを上方から下方に流動することを許容する一方弁36jによって、プレッシャーフランジ36下に液体食品を供給し、陰圧になることを防止する。
【0051】
上述のように、プレッシャーフランジが、充填されたチューブ内の液体食品が下方から上方に自由に流動することを抑制して、プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力を十分に陽圧にし、成形用フラップによる予備成形をより容易にする。また、液体食品が下方から上方に逆流しても、その逆流を抑え、液面レベルの急激な上昇を抑えることができる。
【0052】
また、陽圧維持手段によって陽圧に維持されるので、包装材料に僅かな傷、割れ目若しくはピンホールがあっても、この箇所から液体食品が外に出るだけであり、何らか(汚染物質)が入りチューブ内の液体食品を汚染することがなく、中身食品の衛生状態を維持することができる。
上述のように、本発明の包装充填装置によって、チューブ内の充填液体食品の圧力を陽圧に維持し、成形用フラップによる予備成形を容易にし、液面レベルの急激な上昇を抑えることができる。
【0053】
この発明による包装充填装置の第5の実施例の追加調整手段の概要を図11(A)に示す。
充填パイプ7は、チューブ状包装材料1の内部に挿入されている。充填パイプ7の外周囲には、円筒状のフロート34が配置されている。液体食品に浮かんだフロート34は、チューブ包装材料1と充填パイプ7の間にあって、充填パイプ7に、上下方向に移動自在に嵌められている。フロート34の位置をチューブ1の外部の検出器31が検知する。
この例に於いて、チューブ状包装材料1内の液面下であって充填パイプ7外周上に設けられた断面台形状のプレッシャーフランジ36を有する。プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力を十分に陽圧にし、成形用フラップによる予備成形をより容易にする。また、液体食品が下方から上方に逆流しても、その逆流を抑え、液面レベルの急激な上昇を抑えることができる。
【0054】
この実施例に於いて、プレッシャーフランジ36上方(第2下降箇所)の位置に、充填パイプ7内の液体食品を充填パイプ7外側且つチューブ1内側に追加供給する追加調整手段39aを有する。この追加調整手段が、液体食品圧力の周期的変動による液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
この例において、追加調整手段39aは、充填パイプ7の管壁を貫通する簡易構造の2個の穴39aである。
【0055】
この発明による包装充填装置の第6の実施例の追加調整手段の概要を図11(B)に示す。
この例において、充填パイプ7は、チューブ状包装材料1の内部に挿入され、充填パイプ7の外周には、円筒状のフロート34が配置されている。フロート34は、チューブ包装材料1と充填パイプ7の間で、充填パイプ7に上下方向に移動自在に嵌められ、フロート34の位置が検出器31で検知される。
この例に於いて、充填パイプ7外周上に設けられた断面台形状のプレッシャーフランジ36を有する。プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力を十分に陽圧にし、成形用フラップによる予備成形をより容易にする。また、液体食品が下方から上方に逆流しても、その逆流を抑え、液面レベルの急激な上昇を抑えることができる。
【0056】
この実施例に於いて、プレッシャーフランジ36下方(第1下降箇所)の位置に、充填パイプ7内の液体食品を充填パイプ7外側且つチューブ1内側に追加供給する追加調整手段39aを有する。この追加調整手段が、液体食品圧力の周期的変動による液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
この例において、追加調整手段39aは、逆流を防止する2個の一方弁39aである。
【0057】
上記実施例では、図3及び図7に示す液体食品圧力の谷(g)が、矢印の方向に改善され、プレッシャーフランジ36上方(第2下降箇所)の液体食品圧力を、30%上昇させることができた。
なお、上記例の他、第1下降箇所と第2下降箇所との両方に追加調整手段を設けることも、また単数/複数個設置できる。
【0058】
この発明による包装充填装置の第7の実施例の流量調節手段の概要を図12(A)(B)、図5に示す。
充填パイプ7は、チューブ状包装材料1の内部に挿入されている。充填パイプ7の外周囲には、円筒状のフロート34が配置されている。液体食品に浮かんだフロート34は、チューブ包装材料1と充填パイプ7の間にあって、充填パイプ7に、上下方向に移動自在に嵌められている。フロート34の位置をチューブ1の外部の検出器31が検知する。
【0059】
この例に於いて、チューブ状包装材料1内の液面下であって充填パイプ7外周上に設けられた断面台形状のプレッシャーフランジ36を有する。プレッシャーフランジ36は、上下に貫通した通路孔36xを有する。プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力を十分に陽圧にし、成形用フラップによる予備成形をより容易にする。また、液体食品が下方から上方に逆流しても、その逆流を抑え、液面レベルの急激な上昇を抑えることができる。
【0060】
この実施例に於いて、プレッシャーフランジ36の下側に、リング状浮遊弁39bを有する。
リング状浮遊弁39は、液体食品の流れ(x、y、z)に応じて上下動自在に充填パイプ7外周に配設されている。プレッシャーフランジ36は上下に貫通した通路孔36aを有し、液体食品の流れに応じてリング状浮遊弁39が、通路孔36aを開通させ、また、部分的に通路孔36aを封鎖する。
図12(A)に示すように、横シールにより急速に挟持されると、液体が押出され、チューブ内の液体食品の圧力が急激に上昇してプレッシャーフランジ36の通路孔36aを介して、上の方向に逆流(流れx)しようとする。リング状浮遊弁39が流れ(流れx)に応じて上昇しプレッシャーフランジ36の通路孔36aを部分的に封鎖する。その結果、リング状浮遊弁39はその逆流(流れx)を抑え、成形に必要な陽圧に保つ。
【0061】
図12(B)に示すように、包装材料1が下方に引き下げられると、プレッシャーフランジ36下方の位置の容積が急激に増え、リング状浮遊弁39は、流れyに応じて下方に移動し、プレッシャーフランジ36の通路孔36aを全面的に開放する。その結果、その供給が十分となり、液体食品の圧力を改善し、低い陽圧若しくは陰圧を未然に防止する。
【0062】
上記実施例では、図7に示す谷Gが、矢印の方向に改善され、プレッシャーフランジ36下方(第1下降箇所)の液体食品圧力を、16%上昇させることができた。
なお、上記例のリング状浮遊弁の他、通路孔に一方弁を設けることもできる。
【0063】
この発明による包装充填装置の実施例のプレッシャーフランジの概要を図13、図5に示す。
充填パイプ7は、チューブ状包装材料1の内部に挿入されている。充填パイプ7の外周囲には、円筒状のフロート34が配置されている。液体食品の液面37に浮かんだフロート34は、チューブ包装材料1と充填パイプ7の間にあって、充填パイプ7に、上下方向に移動自在に嵌められている。フロート34の位置をチューブ1の外部の検出器31が検知する。
【0064】
この例に於いて、チューブ状包装材料1内の液面下であって充填パイプ7外周上に設けられた断面板状のプレッシャーフランジ36を有する。なお、断面台形状のプレッシャーフランジであってもよい。プレッシャーフランジ下方のチューブ内の液体食品の圧力を十分に陽圧にし、成形用フラップによる予備成形をより容易にする。また、液体食品が下方から上方に逆流しても、その逆流を抑え、液面レベル37の急激な上昇を抑えることができる。
【0065】
この態様に於いて、無菌室内の雰囲気の圧力を高めて、液面を介して、液体食品の圧力を高め、液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する、
液体食品の圧力を高めるために、無菌室内の雰囲気の圧力を高める。無菌室内の雰囲気の圧力は、チューブ上部の開口及び液面を介して、印可される。この圧力の程度は、無菌室の気密性、液体食品の種類、雰囲気が常圧であるときの液体食品の標準圧力など種々のパラメータに応じて適宜変更する。
【0066】
図1に図示する包装充填装置の無菌室40は、チャンバーに囲われた空間からなり、この空間が無菌エアによって満たされている。無菌室40に、殺菌済ウェブ状包装材料1が搬送され、包装材料1がチューブ状に成形され、チューブ状包装材料1には、上部開口があり、また、充填パイプ7が無菌室へ入る。無菌エアは、無菌エア供給装置39cに連通する送風口38から吐出する。無菌エア供給装置39cの送風圧力と、チューブ状包装材料1が下方に無菌室から出る箇所などの間隙40aとの関係から、すなわち、間隙40aの気密性を高め、送風圧力を強くすることで、無菌室内の雰囲気の圧力を高め、更に、液体食品の圧力を高める。
その結果、液体食品圧力の陰圧への下降を止めてチューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する。
上記実施例では、図3及び図7に示す谷Gが、矢印の方向に改善された。
【0067】
上述の説明は、説明と解説を目的として提示されている。発明の内容をすべてを言い尽くすものではなく、本発明の限定も、意図していない。上記の教示を踏まえて、自明な改変または変更をすることができる。。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明の包装充填装置によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状包装材料に次のウェブ状包装材料を継ぎ目で継いで該ウェブ状包装材料を連続的に供給し、チューブ状に成形し、該包装材料の両端部で重ね合わされたチューブの縦線方向に縦シールし、垂直に下方に連続的に搬送されるチューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を、該充填パイプ出口上方の所定位置の液面レベルまで充填し、該液面下で該チューブ横断方向にシールジョー及びカウンタージョーで該チューブを挟んで引き下ろす間に横シールし、該チューブを同時に成形用フラップで挟んで予備成形し、該横シール帯域で切断して包装容器を製造する包装充填装置であって、
該包装充填装置がプレッシャーフランジと陽圧維持手段とを有し、
該プレッシャーフランジが、チューブ状包装材料内の該液面下であって該充填パイプ外周上に設けられ、該プレッシャーフランジが、充填された該チューブ内の液体食品が下方から上方に自由に流動することを抑制して、該プレッシャーフランジ下方の該チューブ内の液体食品の圧力を陽圧にし、該成形用フラップによる予備成形を容易にし、
該陽圧維持手段が、該プレッシャーフランジ下方の該チューブ内の液体食品の圧力の変動を緩和して、該液体食品圧力が陰圧に下降することを防止し、該液体食品圧力を陽圧に維持する
ことを特徴とする包装充填装置。
【請求項2】
該陽圧維持手段が、該充填パイプ外周上を自在に上下し、自重により下方に移動する第1力と、該液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置する該プレッシャーフランジである、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項3】
該陽圧維持手段が、該充填パイプ外周上を自在に上下し、該チューブの内外の磁極間での磁力により下方に移動する第1力と、該液体食品が下方から上方に流動することにより上方に移動する第2力とのバランスにより所定の位置及びその近傍に位置する該プレッシャーフランジである、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項4】
該陽圧維持手段が、該充填パイプ外周上に固定され、通過孔を有し、該通過孔には、該液体食品圧力が下降する際に該液体食品が上方から下方に流動することを許容し、その他の段階では該液体食品が下方から上方に流動することを抑制する一方弁を有する該プレッシャーフランジである、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項5】
該陽圧維持手段が、該プレッシャーフランジ上方及び/又は下方の位置に、該充填パイプ内の該液体食品を該充填パイプ外側且つ該チューブ内側に追加供給する追加調整手段であり、該追加調整手段が、該液体食品圧力の周期的変動による該液体食品圧力の陰圧への下降を止めて該チューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する、
請求項1記載の包装充填装置。
【請求項6】
該液体食品圧力の変動によって該液体食品圧力が下降する箇所が、該シールジョー及び該カウンタージョー並びに該成形用フラップの上方であって該プレッシャーフランジの少なくとも下方である第1下降箇所であり、該追加調整手段が、少なくとも該第1下降箇所の該液体食品圧力の周期的変動に応じて、該充填パイプの管壁を貫通する穴若しくは一方弁である、請求項5記載の包装充填装置。
【請求項7】
該プレッシャーフランジに該陽圧維持手段の流量調節手段を有し、該流量調節手段が、該プレッシャーフランジによる該液体食品の下方から上方への流れを抑制し、該プレッシャーフランジの上方から下方への該液体食品の流れを助長して、該液体食品圧力の陰圧への下降を止めて該チューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する、
請求項1記載の包装充填装置。
【請求項8】
該流量調節手段が、該プレッシャーフランジ下方の位置に、該液体食品の流れに応じて上下動自在に該充填パイプ外周に配設されたリング状浮遊弁であり、
該プレッシャーフランジが上下に貫通した通路孔を有し、該液体食品の流れに応じて該リング状浮遊弁が、該通路孔を開通させ、若しくは部分的に又は全面的に該通路孔を封鎖する、請求項7記載の包装充填装置。
【請求項9】
該陽圧維持手段が、該無菌室内の雰囲気の圧力を高めて、該液面を介して、該液体食品の圧力を高め、該液体食品圧力の陰圧への下降を止めて該チューブへの外部雰囲気物質の侵入を防止する、
請求項1記載の包装充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−168111(P2010−168111A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112392(P2009−112392)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】