説明

包装容器およびこれを用いた包装体の製造方法

【課題】開封が容易であり、一旦開封した後も再封止が可能であり、内容物が少なくなった時にも、密封性や外観が劣化することのない包装容器およびそれを用いた包装体の製造方法を提案する。
【解決手段】揮発性物質を含有する内容物を収納する内袋20と、該内袋を収納する外箱2とからなる包装容器であって、内袋は開口部26を形成する閉じた形状の開口部ハーフカット線と、開口部補強シート23と、再封止用粘着シート24を有し、開口部ハーフカット線に囲まれた部分は、再封止用粘着シートに接着されており、外箱は、底面板、背面板、天面板4、側面板、前面板を有し、天面板は、蓋ハーフカット線によって形成される蓋板9を有し、再封止用粘着シートは、蓋板に接着されており、外箱の蓋ハーフカット線を切開して蓋板を開封した時に、内袋の開口部ハーフカット線が切開されて、内袋の開口部が同時に開口するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再封止可能な密封包装容器に関し、特にウェットティッシュなどのように、揮発性の成分を含む紙や布を収納して、一定期間継続して使用するような用途に適した包装容器およびそれを用いた包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットティッシュに代表されるような、紙や布に水やアルコールその他揮発性の液体や薬剤を染込ませたものを複数枚収納し、開封後も一定期間継続して使用するような製品が知られている。
【0003】
これらの製品においては、開封した後に内容物に含まれる揮発性物質が散逸して、製品の機能性が劣化しないように、取出し口を再封止できるようにしたものが多い。
【0004】
再封止の方法として最も一般的なものは、取出し口を一回り大きな粘着シートで覆ったものであり、使用時には粘着シートを剥がして、内容物を取り出し、使用後は取出し口に粘着シートを圧着することにより、再封性を確保するものである。
【0005】
これらの容器の材質、形状としては、例えばウェットティッシュであれば、軟包装材料を用いた軟包装袋形式の容器が最も一般的であり、背貼り合掌袋や、背貼りガセット袋が用いられることが多い。
【0006】
軟包装袋を用いたこれらの再封止容器は、特に内容物が少なくなってきた場合に開口部周辺にしわが寄り易くなり、密封性が損われるという本質的な問題がある。また内容物の減少に伴って、袋が痩せてくるため、外観的に見映えが悪いという問題もあった。またさらに、軟包装袋容器は、自立性がないので、店頭における展示効果の点で、劣るものであった。
【0007】
特許文献1に記載された同時開封防湿容器は、この外観や展示効果の問題を解消すると共に、外箱を開封する時に同時に内袋も開封できるようにした防湿容器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭55−30235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された同時開封防湿容器は、一旦開封した後は、再封止することができない構造であり、従って内容物を一度に使い切ってしまう用途にしか使用することが出来なかった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、開封が容易であり、また一旦開封した後も再封止が可能であり、なおかつ内容物が少なくなった時にも、密封性や外観が劣化することのない密封包装容器およびそれを用いた包装体の製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、揮発性物質を含有する内容物を収納する内袋と、該内袋を収納する外箱とからなる包装容器であって、前記
内袋は、前記揮発性物質の透過を防止する積層体を成形してなり、内容物を取り出すための開口部を形成する閉じた形状の開口部ハーフカット線と、該開口部の周囲を補強する開口部補強シートと、開口部と開口部補強シートを覆う再封止用粘着シートを有し、前記積層体の開口部ハーフカット線に囲まれた部分は、前記再封止用粘着シートに接着されており、前記外箱は、底面板と、該底面板から折罫線を介して順次連設された背面板と天面板を有し、さらに底面板から折罫線を介して連設されたのりしろと、天面板から折罫線を介して連設された左右の側面板と前面板を有し、前記背面板、および左右の側面板、および前面板には、外箱を押し潰した時にそれぞれの板が外側に折れ曲るための、たたみ用折罫線が設けられており、前記天面板は、蓋ハーフカット線によって形成される蓋板を有し、前記内袋は、底面板と天面板に接着されており、前記再封止用粘着シートは、前記蓋板に接着されており、外箱の蓋ハーフカット線を切開して蓋板を開封した時に、前記内袋の開口部ハーフカット線が切開されて、内袋の開口部が同時に開口するようにしたことを特徴とする包装容器である。
【0012】
本発明に係る包装容器は、再封止可能な内袋とこれを収納する外箱からなり、内袋は、内容物に含まれる揮発性物質を透過しない積層体で作られているので開封前および開封後の内容物保存性に優れており、また外箱を有するため、外観的にも優れている。
【0013】
内袋の開口部を形成する開口部ハーフカット線に囲まれた部分は、再封止用粘着シートに接着されており、さらにこの再封止用粘着シートは、蓋板に接着されているため、外箱の蓋板を開封すると、同時に内袋の開口部も開封される。このため開封に要する手間が省け、極めて容易に開封することができる。
【0014】
内袋の開口部の周囲には、開口部補強シートを有するので、内容物が減少した場合であっても、開口部周辺にしわがよったりせず、密封性が保たれる。また内袋の再封止手段である再封止用粘着シートは、外箱の蓋板に接着固定されているので、再封止時には再封止用粘着シートの平面性が常に保たれ、密封性が保証される。
【0015】
外箱の側面を形成する前面板、側面板、背面板の中央部にたたみ用折罫線を設けたので、再封止時に外箱の蓋板部分を押圧すると、これらのたたみ用折罫線が折り畳まれ、天面板の平面性が保たれる。このため、再封止性が向上すると共に、内容物が減少した後にも包装容器の外観を良好に保つ作用を有する。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、前記天面板と前面板との間の折罫線、および前記底面板とのりしろとの間の折罫線に、前面板を底面として縦置きするための縦置き用足を形成する切込みを設けたことを特徴とする請求項1に記載の包装容器である。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、前記外箱の底面板に解体用ミシン目線を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装容器である。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、前記再封止用粘着シートの剥離開始部位に、粘着剤の塗布されていない部分が存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装容器である。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、以下の工程を含み、第3工程以降をこの順序に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装容器を用いた包装体の製造方法である。
充填用開口部が未シール状態の内袋を作成する第1工程。
外箱ブランクを作成する第2工程。
外箱ブランクの裏面側に、内袋を接着固定する第3工程。
外箱ブランクをサック貼りして、内袋を内蔵した包装容器を作成する第4工程。
外箱を起函し、内袋に内容物を収納した後、内袋をシールする第5工程。
外箱の開口部を封函して包装体とする第6工程。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る包装容器は、再封止可能な内袋とこれを収納する外箱からなり、内袋は、内容物に含まれる揮発性物質を透過しない積層体で作られているので開封前および開封後の内容物保存性に優れており、また自由な印刷表現が可能な外箱を有するため、外観的にも優れたものとする事ができる。
【0021】
また本発明に係る包装容器は、内袋の開口部を形成する開口部ハーフカット線に囲まれた部分が再封止用粘着シートに接着されており、さらにこの再封止用粘着シートは、蓋板に接着されているため、外箱の蓋板を開封すると、同時に内袋の開口部も開封される。このため開封に要する手間が省け、極めて容易に開封することができる。
【0022】
また、内袋の開口部の周囲には、開口部補強シートを有するので、内容物が減少した場合であっても、開口部周辺にしわがよったりせず、密封性が保たれる。また内袋の再封止手段である再封止用粘着シートは、外箱の蓋板に接着固定されているので、再封止時には再封止用粘着シートの平面性が常に保たれ、密封性が保証される。
【0023】
またさらに、外箱の側面を形成する前面板、側面板、背面板の中央部にたたみ用折罫線を設けたので、再封止時に外箱の蓋板部分を押圧すると、これらのたたみ用折罫線が折り畳まれ、天面板の平面性が保たれる。このため、再封止性が向上すると共に、内容物が減少した後にも包装容器の外観が良好に保たれる効果がある。
【0024】
次に、請求項2に記載の発明においては、前記天面板と前面板との間の折罫線、および前記底面板とのりしろとの間の折罫線に、前面板を底面として縦置きするための縦置き用足を形成する切込みを設けたため、包装容器を立てて陳列することが可能となり、展示スペースが節約されると共に、展示効果が向上する。
【0025】
次に、請求項3に記載の発明においては、前記外箱の底面板に解体用ミシン目線を設けたため、使用後の包装容器を廃棄するにあたり、分解して分別することを容易に行うことができる。
【0026】
次に、請求項4に記載の発明においては、前記再封止用粘着シートの剥離開始部位に、粘着剤の塗布されていない部分を設けたので、容器を開封する際に、蓋板に接着された再封止用粘着シートが、開口部から剥離せず逆に再封止用粘着シートと蓋板の接着が剥がれてしまうといったトラブルが生じ難くなり、再封止用粘着シートが確実に蓋板と共に剥離する効果がある。
【0027】
次に、請求項5に記載の包装体の製造方法においては、内袋を内蔵した外箱をサック貼りした状態にした後に、包装容器に内容物を充填するようにしたので、内容物を充填する段階における手間が省け、このため、揮発しやすい成分を含むような内容物であっても、手早く安全に充填することが可能である。また事前に内袋と外箱とを位置合せしながら接着固定することができるため、両者の位置を正確に位置合せすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明に係る包装容器の一実施態様を示した斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した包装容器を開封した状態を示した斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した状態から、内容物を取り出すところを示した斜視図である。
【図4】図4は、図1に示した包装容器において、内容物が減少した状態を示した斜視図である。
【図5】図5は、図1に示した包装容器を天面板側から見た状態を示した平面模式図である。
【図6】図6は、図1に示した包装容器を底面板側から見た状態を示した平面模式図である。
【図7】図7は、図5のX−X’断面を示した断面模式図である。
【図8】図8は、本発明に係る包装容器の内袋の一実施態様における構造を示した斜視説明図である。
【図9】図9は、図1〜図6に示した包装容器の外箱のブランクを示した平面模式図である。
【図10】図10は、本発明に係る包装容器を用いた包装体の製造方法の一部を示した斜視説明図であり、図10(1)は、外箱ブランクの裏面側に、内袋を接着固定する第3工程を示す。また図10(2)は、外箱ブランクをサック貼りして、内袋を内蔵した包装容器を作成した第4工程完了後の状態を示す。また図10(3)は、第5工程において、外箱を起函し、内袋に内容物を収納する状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下図面を参照しながら、本発明に係る包装容器について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る包装容器の一実施態様を示した斜視図であり、図2は、図1に示した包装容器を開封した状態を示した斜視図である。図3は、図2に示した状態から、内容物を取り出すところを示した斜視図である。図4は、図1に示した包装容器において、内容物が減少した状態を示した斜視図である。図5は、図1に示した包装容器を天面板側から見た状態を示した平面模式図であり、図6は、底面板側から見た状態を示した平面模式図である。また図7は、図5のX−X’断面を示した断面模式図である。図8は、本発明に係る包装容器の内袋の一実施態様における構造を示した斜視説明図であり、図9は、図1〜図6に示した包装容器の外箱のブランクを示した平面模式図である。
【0030】
本発明に係る包装容器(1)は、揮発性物質を含有する内容物(30)を収納する内袋(20)と、内袋を収納する外箱(2)とからなる包装容器である。
【0031】
本発明に係る包装容器(1)は、内容物に含まれる揮発性物質の揮散を防止する内袋(20)とこれを収納する外箱(2)とを有するので、内容物の保存性が良好であり、かつ外観的にも優れたものとなる。
【0032】
本発明に係る包装容器(1)に収納しうる内容物としては、例えば水分を含んだウェットティッシュを初めとして、水よりも揮発しやすいアルコールや香料を含んだもの、さらには、メントールなど揮発しやすい薬効成分を含んだ貼付剤などが挙げられる。
【0033】
図3は、本発明に係る包装容器から内容物を取り出すところを示した斜視図である。開口部(26)の形状や大きさは、内容物(30)の形状や大きさや、こわさなどの性状によって適宜決定される。
【0034】
図8に示したように、内袋(20)は、前記揮発性物質の透過を防止する積層体を成形して形成されている。内容物(30)を取り出すための開口部(26)を形成する閉じた形状の開口部ハーフカット線(25)と、開口部の周囲を補強する開口部補強シート(23)と、開口部(26)と開口部補強シート(23)を覆う再封止用粘着シート(24)を有する。
【0035】
図8に示された実施態様における内袋(20)は、1枚の積層体を合掌シール部(22)によって筒状にした後、シール部(21)を形成した背貼り合掌袋であるが、背貼りガセット袋や、単なる四方袋であっても良い。
【0036】
内袋(20)を構成する積層体としては、一般的に軟包装袋に用いられる包装材料を用いることができる。内容物に含まれる揮発性成分の種類に応じて、これを遮断する性質を持ったバリア層を備えることが望ましい。バリア層としては、アルミニウム箔や、アルミ蒸着フィルムや、金属酸化物を蒸着したガスバリアフィルムなどが用いられる。積層体の内面側には、シーラント層を配置して、熱シールによって袋状に加工することができるようにする。
【0037】
前記積層体の開口部ハーフカット線(25)に囲まれた部分すなわち開口部(26)を形成する部分は、前記再封止用粘着シート(24)の粘着面に接着されている。なおこの部分の接着力としては、開口部ハーフカット線(25)を適切に形成すると、特別の接着剤を使用しなくても、再封止用粘着シート(24)の持っている本来の粘着力のみで事足りる場合もある。
【0038】
図9に示したように、外箱(2)は、底面板(8)と、底面板(8)から折罫線(11)を介して順次連設された背面板(7)と天面板(4)を有し、さらに底面板(8)から折罫線を介して連設されたのりしろ(10)と、天面板(4)から折罫線(11)を介して連設された左右の側面板(6)と前面板(5)を有する。
【0039】
外箱(2)の外面には、内容物を示す絵柄や文字、使用説明書等の必要な情報が印刷形成され、必要に応じて透明保護層が設けられる。また外箱(2)の内面側にも必要に応じて印刷や、透明保護層を設けても良い。
【0040】
背面板(7)、および左右の側面板(6)、および前面板(5)には、外箱(2)を押し潰した時に、図4に示したように、それぞれの板が外側に折れ曲るための、たたみ用折罫線(16)が設けられている。
【0041】
たたみ用折罫線(16)は、内容物が消費されて内袋(20)がやせてきた時に、包装容器(1)の外形が変形したりして見映えが悪くなるのを防止すると共に、再封止時に蓋板(9)を圧着した時にも、蓋板(9)が平面性を保ったまま外箱(2)が潰れて、再封止が完全に行えるという効果を発揮する。
【0042】
天面板(4)は、蓋ハーフカット線(17)によって形成される蓋板(9)を有し、図7に示したように、内袋(20)は、底面板(8)と天面板(4)に接着されており、前記再封止用粘着シート(24)は、蓋板(9)に接着されている。
【0043】
従って図2に示したように、外箱(2)の蓋ハーフカット線(17)を切開して蓋板(9)を開封した時に、前記内袋(20)の開口部ハーフカット線(25)が切開されて、内袋の開口部(26)が同時に開口する。この時内袋(20)を形成する積層体の開口部ハーフカット線(25)の内側に相当する開口部のフィルム(27)は、再封止用粘着シート(24)と共に蓋板(9)の裏面に移行する。
【0044】
このように、外箱(2)の蓋板(9)を開封すると、同時に内袋(20)の開口部(26)が開口するので、極めて使い勝手が良い。また内袋(20)の開口部ハーフカット線(25)の内側の部分である開口部のフィルム(27)は、再封止用粘着シート(24)に移行し、粘着面を覆うので、再封止した時に、粘着面が内容物から揮発する成分によって膨潤したりするのを防ぐ効果を発揮する。
【0045】
なお、再封止用粘着シート(24)の粘着剤層は、剥がし始めの部分に少し粘着剤の存在しない部分(24a)を設けておくと、剥がし始めがより円滑になる。また、容器を開封する際に、蓋板に接着された再封止用粘着シートが、開口部から剥離せず逆に再封止用粘着シートと蓋板の接着が剥がれてしまうといったトラブルが生じ難くなり、再封止用粘着シートが確実に蓋板と共に剥離する効果がある。
【0046】
図9に示された斜線の部分は、内袋固定用糊(28)の位置を示したものである。内袋(20)と外箱(2)の裏面側とは、底面板(8)と天面板(4)において接着されて固定されている。
【0047】
蓋板(9)は、天面板(4)の中央部分であり、左右の蓋ハーフカット線(17)が切開されることにより、折罫線をヒンジ部(18)として、開くようになっている。この時、蓋板(9)が開きすぎないように、ストッパー(14)が設けられている。
【0048】
この実施態様においては、前面板(5)の一部を切込線およびハーフカット線によって切り分け、蓋板(9)に連設された開封用つまみ(13)としている。さらに開封時に開封用つまみ(13)を持ち上げ易いように、前面板(5)に開封用孔(12)が形成されている。
【0049】
前面板(5)とのりしろ(10)とは、開封用つまみ(13)や開封用孔(12)以外の部分でのみ接着されている。
【0050】
蓋板(9)を切り分けるための蓋ハーフカット線(17)は、図9に示したように天面板(4)の表面側および裏面側に、表面側の方が外側になるように少し位置をずらして設けられている。こうすることにより、開封用つまみ(13)を持って開封すると、表面側と裏面側の2本のハーフカット線の間で紙の層間剥離が生じ、蓋板(9)が円滑に切り開かれる。
【0051】
図1〜図9に示した実施態様においては、天面板(4)と前面板(5)との間の折罫線(11)、および底面板(8)とのりしろ(10)との間の折罫線(11)に、前面板(5)を底面として縦置きするための縦置き用足(15)を形成する切込み(15a)が設けられている。
【0052】
このようにすると、包装容器(1)を前面板(5)を底面として立てて置くことが可能となるため、店頭における展示スペースの節約に繋がると共に、展示効果の向上をもたらす。
【0053】
また図9に示したように、本実施態様においては、底面板(8)に解体用ミシン目線(19)を設けたので、包装容器(1)を使用後に廃棄する際、内袋(20)と外箱(2)とを分離して分別廃棄する事が効率的に行える。
【0054】
次に、本発明に係る包装容器(1)を用いた包装体の製造方法について説明する。
包装体を製造するごく一般的な方法としては、まず内袋(20)に内容物(30)を収納
し、開口部をシールした後に、これを外箱(2)に収納して外箱を封函する方法がある。
【0055】
しかしながら、本発明に係る包装容器(1)の場合、内袋(20)の開口部(26)と外箱(2)の蓋体(9)とを正確に位置合せする必要があり、従来の一般的な方法では、正確な位置合せをすることができなかった。
【0056】
そこで、発明者は、以下の工程を含み、第3工程以降をこの順序に有することを特徴とする包装体の製造方法を発明したものである。すなわち、充填用開口部が未シール状態の内袋を作成する第1工程。外箱ブランクを作成する第2工程。外箱ブランクの裏面側に、内袋を接着固定する第3工程。外箱ブランクをサック貼りして、内袋を内蔵した包装容器を作成する第4工程。外箱を起函し、内袋に内容物を収納した後、内袋をシールする第5工程。外箱の開口部を封函して包装体とする第6工程である。
【0057】
この方法によれば、事前に内袋(20)と外箱ブランク(3)とを位置合せしながら接着固定することができるため、両者の位置を正確に位置合せすることができる。また内袋(20)を内蔵した外箱(2)をサック貼りした状態にした後に、包装容器(1)に内容物(30)を充填するようにしたので、内容物(30)を充填する段階における手間が省け、このため、揮発しやすい成分を含むような内容物であっても、手早く安全に充填することが可能となったものである。
【0058】
図10は、本発明に係る包装容器(1)を用いた包装体の製造方法の一部を示した斜視説明図である。図10(1)は、外箱ブランク(3)の裏面側に、内袋(20)を接着固定する第3工程を示す。また図10(2)は、外箱ブランクをサック貼りして、内袋を内蔵した包装容器を作成した第4工程完了後の状態を示す。また図10(3)は、第5工程において、外箱を起函し、内袋に内容物を収納する状態を示している。
【0059】
図10(1)に示したように、内袋(20)は、充填用開口部(29)が未シールの状態で、外箱ブランク(3)の裏面側に位置合せをしながら接着固定される。内袋(20)には、予め開口部ハーフカット線を設け、これに位置合せをしながら開口部補強シートを接着し、さらに位置合せをしながら再封止用粘着シート(24)を付着させてある。
【0060】
この状態では、内袋(20)も外箱ブランク(3)も平面状であるので、位置合せは容易である。なお内袋(20)の充填用開口部(29)の反対側のシール部(21)は、この段階で未シール状態であってもかまわない。
【0061】
次に外箱ブランク(3)を折罫線に沿って折り曲げ、サック貼りを行って、のりしろ(10)と前面板(5)とを接着し、図10(2)の状態にする。この時、再封止用粘着シート(24)の背中面と蓋板(9)の内側面とが接着され、また内袋(20)の上面と天面板(4)の内側面とが内袋固定用糊(28)によって接着されるようにする。
【0062】
再封止用粘着シート(24)の背中面と蓋板(9)の内側面とを接着する方法としては、例えば再封止用粘着シート(24)の背中面に予め感圧接着剤や感熱接着剤を塗布しておく方法などがある。
【0063】
次に、図10(3)に示したように、サック貼りが完了した外箱を起函し、充填用開口部(29)を開いて、内容物充填方向(31)に沿って内容物を充填する。最後に充填用開口部(29)をシールし、外箱(2)の側面板(6)を接着して封函すると包装体が完成する。
【0064】
なお内袋(20)のシール部(21)が未シール状態であった場合には、内容物を充填
する直前にシールしても良いし、充填用開口部(29)をシールする時に同時にシールしても良い。
【0065】
以上説明したように、本発明に係る包装容器(1)は、揮発性の成分を含む内容物を収納して、一定期間継続して使用するような用途に極めて適したものであり、上記の製造方法によれば、本発明に係る包装容器を用いた包装体を能率良く安定して製造することができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・・包装容器
2・・・・外箱
3・・・・外箱ブランク
4・・・・天面板
5・・・・前面板
6・・・・側面板
7・・・・背面板
8・・・・底面板
9・・・・蓋板
10・・・のりしろ
11・・・折罫線
12・・・開封用孔
13・・・開封用つまみ
14・・・ストッパー
15・・・縦置き用足
15a・・・切込み
16・・・たたみ用折罫線
17・・・蓋ハーフカット線
18・・・ヒンジ部
19・・・解体用ミシン目線
20・・・内袋
21・・・シール部
22・・・合掌シール部
23・・・開口部補強シート
24・・・再封止用粘着シート
24a・・・粘着剤の塗布されていない部分
25・・・開口部ハーフカット線
26・・・開口部
27・・・開口部のフィルム
28・・・内袋固定用糊
29・・・充填用開口部
30・・・内容物
31・・・内容物充填方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質を含有する内容物を収納する内袋と、該内袋を収納する外箱とからなる包装容器であって、前記内袋は、前記揮発性物質の透過を防止する積層体を成形してなり、内容物を取り出すための開口部を形成する閉じた形状の開口部ハーフカット線と、該開口部の周囲を補強する開口部補強シートと、開口部と開口部補強シートを覆う再封止用粘着シートを有し、前記積層体の開口部ハーフカット線に囲まれた部分は、前記再封止用粘着シートに接着されており、
前記外箱は、底面板と、該底面板から折罫線を介して順次連設された背面板と天面板を有し、さらに底面板から折罫線を介して連設されたのりしろと、天面板から折罫線を介して連設された左右の側面板と前面板を有し、前記背面板、および左右の側面板、および前面板には、外箱を押し潰した時にそれぞれの板が外側に折れ曲るための、たたみ用折罫線が設けられており、前記天面板は、蓋ハーフカット線によって形成される蓋板を有し、
前記内袋は、底面板と天面板に接着されており、前記再封止用粘着シートは、前記蓋板に接着されており、
外箱の蓋ハーフカット線を切開して蓋板を開封した時に、前記内袋の開口部ハーフカット線が切開されて、内袋の開口部が同時に開口するようにしたことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記天面板と前面板との間の折罫線、および前記底面板とのりしろとの間の折罫線に、前面板を底面として縦置きするための縦置き用足を形成する切込みを設けたことを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記外箱の底面板に解体用ミシン目線を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記再封止用粘着シートの剥離開始部位に、粘着剤の塗布されていない部分が存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項5】
以下の工程を含み、第3工程以降をこの順序に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装容器を用いた包装体の製造方法。
充填用開口部が未シール状態の内袋を作成する第1工程。
外箱ブランクを作成する第2工程。
外箱ブランクの裏面側に、内袋を接着固定する第3工程。
外箱ブランクをサック貼りして、内袋を内蔵した包装容器を作成する第4工程。
外箱を起函し、内袋に内容物を収納した後、内袋をシールする第5工程。
外箱の開口部を封函して包装体とする第6工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−95505(P2013−95505A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243245(P2011−243245)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】