説明

包装容器

【課題】耐衝撃性、腐食防止性を有し、さらに強熱残分が少ない樹脂組成物を成形して得られる包装容器を提供すること。
【解決手段】チーグラー・ナッタ型触媒によって製造された密度が890〜910kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、ハイドロタルサイト類0.01〜0.1重量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる包装容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性、腐食防止性を有し、さらに強熱残分が少ない樹脂組成物を成形して得られる包装容器に関するものである。さらに詳しくは、医療用包装容器として好適な包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン樹脂には、重合時に使用される触媒や後処理に用いられる試薬等に由来するハロゲンが含有されているものがあり、ハロゲンは成形用金型の金属部分の腐食や、成形品の着色や劣化の原因となるため、例えば、脂肪酸金属塩、金属酸化物、金属水和物、ハイドロタルサイト類等の無機化合物を中和剤として添加することが知られている。
例えば、特許文献1には、ハロゲン含有ポリオレフィン類に、特定の性状を有するハイドロタルサイト類を含有してなる発錆性ないし劣化もしくは着色性の防止されたポリオレフィン類組成物が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特公昭57−19133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のポリオレフィン類組成物では、ポリオレフィン類組成物を成形して包装容器として用いる場合、特に医療用包装容器の分野では、ポリオレフィン類組成物に含有される無機成分のために、必ずしも適用できるわけではなかった。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題、すなわち本発明の目的は、耐衝撃性、腐食防止性を有し、さらに強熱残分が少ない樹脂組成物を成形して得られる包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、チーグラー・ナッタ型触媒によって製造された密度が890〜910kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、ハイドロタルサイト類0.01〜0.1重量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる包装容器に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐衝撃性、腐食防止性を有し、さらに強熱残分が少ない樹脂組成物を成形して得られる包装容器が提供される。本発明の包装容器は、医療用包装容器として好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の樹脂組成物は、チーグラー・ナッタ型触媒によって製造された密度が890〜910kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、ハイドロタルサイト類0.01〜0.1重量部を含有する樹脂組成物である。
【0008】
本発明の樹脂組成物に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、チーグラー・ナッタ型触媒の存在下においてイオン重合法によって得られる重合体である。重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法、高圧イオン重合法等の公知の重合方法が挙げられるが、製造した重合体に含まれる残存溶媒量や生産性の観点から、高圧イオン重合法が好ましい。
【0009】
エチレン−α−オレフィン共重合体のエチレンに由来する単量体単位の含有量は特に限定されないが、包装容器に求められる剛性の観点から、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは75重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上である(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体の全体を100重量%とする。)。
【0010】
α−オレフィンとして好ましくは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。なかでも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、特に1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
【0011】
炭素原子数4〜12のα−オレフィンに由来する単量体単位を含有するエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体等を挙げることができる。好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体であり、特に好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体である。
【0012】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、1種のエチレン−α−オレフィン共重合体を用いてもよいし、分子量、α−オレフィンの種類または含有量が異なる複数種のエチレン−α−オレフィン共重合体の混合物であってもよい。
【0013】
エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレイト(以下、MFR(190℃、21.2N)と記す。)としては、成形加工機の負荷を下げる観点や、樹脂組成物の混練状態を良好にして包装容器の耐衝撃性を得る観点から0.1g/10分以上であることが好ましく、包装容器の耐衝撃性の観点から50g/10分以下であることが好ましい。より好ましくは0.5〜40g/10分であり、さらに好ましくは2〜20g/10分である。
【0014】
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は890〜910kg/m3であり、包装容器の耐衝撃性と耐熱性のバランスから、好ましくは890〜900kg/m3であり、より好ましくは890〜898kg/m3である。
密度が890kg/m3未満では包装容器の剛性が不足する場合がある。また、密度が910kg/m3を超えると包装容器の耐衝撃性が不足する場合がある。
【0015】
本発明の樹脂組成物に用いられるハイドロタルサイト類とは、下記式(I)で示されるアニオン交換性の層状化合物である。
〔M2+1-X3+X(OH)2X+〔An-X/n・mH2O〕X- 式(I)
(ただし、上記式(I)において、〔M2+1-X3+X(OH)2X+は基本層であり、〔An-X/n・mH2O〕X-は中間層である。M2+は、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等の2価金属カチオンを表し、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等の3価金属カチオンを表す。An-は、OH-、F-、Cl-、Br-、NO3-、CO32-、SO42-、Fe(CN)63-、CH3COO-、シュウ酸イオン、サリチン酸イオン等のn価のアニオンを表し、nは正の整数を表す。Xは、0<X≦0.33の数を表し、mは正の数を表す。)
【0016】
ハイドロタルサイト類は、天然鉱物であっても、合成品であってもよく、その結晶構造、結晶粒子径、含水率等を問わず使用することができる。
【0017】
式(I)で表されるハイドロタルサイト類のなかで、好ましくは下記式(II)で表されるハイドロタルサイト類である。
MgYAl2(OH)2Y+4CO3・mH2O 式(II)
(ただし、上記式(II)において、Yは、Y≧4の数を表し、mは正の数を表す。)
【0018】
より好ましくは、式(II)のM2+が、Mg2+、Zn2+のいずれか1種または2種の2価金属カチオンから構成されるものであり、特に好ましくは、有機化合物等によって表面処理を実施していない下記のハイドロタルサイト類である。
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3H2
Mg4.5Al2(OH)13(CO30.8・O0.2
Mg4Al2(OH)12CO3・3H2
Mg5Al2(OH)14CO3・4H2
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O(天然鉱物)
Zn4Al2(OH)12CO3・mH2O(mは0〜4)
Mg3ZnAl2(OH)12CO3・mH2O(mは0〜4)
【0019】
ハイドロタルサイト類の含有量は、樹脂組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して0.01〜0.1重量部であり、好ましくは0.02〜0.08重量部であり、より好ましくは0.03〜0.06重量部である。
【0020】
ハイドロタルサイト類の含有量が0.01重量部未満であると、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有されるハロゲンの不活性化が不十分となり、成形機や成形金型に腐食を生じる場合がある。含有量が0.1重量部を超えると、強熱残分が上昇する場合がある。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体以外の樹脂との樹脂組成物であってもよい。エチレン−α−オレフィン共重合体以外の樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン系重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、ポリプロピレン等のプロピレン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等が挙げられ、好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、ポリプロピレン等のプロピレン系重合体である。
プロピレン系重合体としてより好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体であり、特に好ましくは、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体である。
本発明の樹脂組成物に用いられるプロピレン系重合体のプロピレンに由来する単量体単位の含有量は特に限定されないが、包装容器の透明性と剛性の観点から、好ましくは60〜99重量%であり、より好ましくは70〜98重量%であり、さらに好ましくは75〜98重量%である(ただし、プロピレン系共重合体の全体を100重量%とする。)。
これらのプロピレン系重合体は、例えば、特公昭64−6211号公報、特公平4−37084号公報に記載されている重合用触媒を用いて、プロピレンと他のオレフィンを重合系へ供給して重合を行うことにより得ることができる。
【0022】
本発明の樹脂組成物が、エチレン−α−オレフィン共重合体とプロピレン系重合体を含有する場合、樹脂組成物全体を100重量%としたとき、エチレン−α−オレフィン共重合体は通常99〜15重量%であり、プロピレン系重合体は通常1〜85重量%である。好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体は99〜20重量%であり、プロピレン系重合体は通常1〜80重量%である。より好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体は98〜30重量%であり、プロピレン系重合体は通常2〜70重量%である。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を任意の種類、含有量で含有していてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、気泡防止剤、分散剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、架橋剤、架橋助剤等が挙げられる。これらの添加剤の添加方法は、ハイドロタルサイト類と同時に添加してもよいし、同時でなくてもよい。
【0024】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、均一な樹脂組成物を得るための公知の製造方法が挙げられる。例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、ハイドロタルサイト類、酸化防止剤を配合して加熱溶融混合する方法、エチレン−α−オレフィン共重合体、ハイドロタルサイト類、酸化防止剤を配合し、必要に応じて、その他の添加剤および/またはその他の樹脂を配合し、加熱溶融混合する方法等が挙げられる。
【0025】
配合方法としては、エチレン−α−オレフィン共重合体と各種添加剤をヘンシェルミキサー等の混合装置を用いて直接配合する方法、各種添加剤のマスターバッチを公知の方法で作成し、所定量になるようにエチレン−α−オレフィン共重合体と配合する方法等が挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂組成物の製造に用いられる製造装置として好ましくは、押出機、バンバリーミキサー、バッチ式混練機等である。加熱溶融混合する場合は、窒素やアルゴン等の不活性ガスの存在下で行われることが好ましく、加熱溶融混合の温度は300℃未満であり、好ましくは180℃〜250℃である。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、公知の成形方法によって成形することにより、さまざまな形状の包装容器を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法、Tダイフィルム成形法、延伸フィルム成形法、インフレーションフィルム成形法、シート成形法、カレンダー成形法、圧空成形法、真空成形法、パイプ成形法、異型押出成形法、中空成形法、ラミネート成形法等が挙げられ、本発明の包装容器の成形方法として好ましくは中空成形法である。
【0028】
中空成形法とは、中空成形機を用いることによって、容器等の中空状の成形体を得る成形方法である。具体的な成形方法としては、樹脂組成物を押出機から押し出して溶融パリソンを得、溶融パリソンを中空成形機の所望の容器形状を有する金型内にセットした後、これに圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁まで膨らませ、しかる後、冷却させることにより製造する方法が挙げられる。
【0029】
中空成形法としては、例えば、溶融パリソンを用いるダイレクトブロー成形法や、溶融パリソンまたはコールドパリソンを用いる射出延伸ブロー成形法が挙げられる。中空成形方法として好ましくは、成形安定性・成形設備費の観点からダイレクトブロー成形法である。
【0030】
また、本発明の樹脂組成物を公知の中空成形法にて成形することにより、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、シュリンクラベル、ストレッチラベル、インモールドラベル等で表面修飾された中空成形容器を製造することもできる。
例えば、空気吸引等の手段によって、所望の容器形状を有する金型内に予めラベルを装着しておき、ここに、樹脂組成物を押出機から押し出して得られる溶融パリソンをセットした後、これに圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁まで膨らませ、しかる後、冷却させることにより、インモールドラベル付き中空成形容器を製造することができる。こうして得られるインモールドラベル付き中空成形容器は、ラベル表面と容器表面との間に段差が無いので、優れた外観を有する特に好ましい容器である。
【0031】
さらに、本発明の樹脂組成物を用いて、2層以上の層から構成される多層中空成形容器を製造することもできる。例えば、多層中空成形容器として、(i)外層がエチレン−プロピレンランダム共重合体と低圧法高密度ポリエチレンとをブレンドして得られる樹脂組成物からなり、内層が本発明の樹脂組成物からなる、擦りガラス調の外観を有する2層の中空成形容器や、(ii)外層および内層が本発明の樹脂組成物からなり、中間層がエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる、ガスバリア性に優れた3層の中空成形体等が挙げられる。多層中空成形容器は、中空成形時に発生するバリを粉砕して得られるリサイクル樹脂からなる層を有していてもよい。このリサイクル樹脂は、他の樹脂と組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明の樹脂組成物を成形して得られる包装容器は、洗髪剤、調髪剤、化粧品、洗剤、殺菌剤等の液体状の日用品の包装容器や、清涼飲料水、水、調味料等の液体状食品、液体状医薬品や食塩水等の医薬用品の包装容器、現像液等の工業用品等の包装容器に、広範囲に使用することができ、特に、医療用包装容器として好適に使用できる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例によって限定されないことは言うまでもない。
実施例および比較例で用いた評価方法は以下のとおりである。
【0034】
1.メルトフローレイト(MFR(190℃、21.2N))
エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレイトは、JIS K 6760−1981に従い、試験温度190℃、試験荷重21.2Nで測定した。
【0035】
2.密度(単位:kg/m3
熱プレス成形機を用いて、エチレン−α−オレフィン共重合体を150℃で、5MPaの加圧下、10分間加熱溶融後に、30℃で5分間冷却固化させて、厚さ1mmのシートを作製し、密度測定用の試料を得た。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度(単位:kg/m3)は、JIS K 6760−1981に従って測定した。
【0036】
3.腐食防止性
腐食防止性は以下のような手順で評価を行った。
表面洗浄後に脱脂した2枚の平滑な鋼板(SS41)の間に樹脂組成物を挟み、熱プレス成形機によって5MPaの加圧下、280℃で10分間加熱溶融させた後、30℃で5分間冷却固化させた。その後、表面から樹脂組成物を除去した鋼板を水を張った23℃の恒温槽中で24時間経時させ、腐食評価用の鋼板を得た。
評価は、腐食見本を基に目視判定した。(○:腐食あり、×:腐食無し)
【0037】
4.強熱残分(単位:%)
強熱残分(単位:%)は、「第十四改正日本薬局方」第83頁、「55.プラスチック製医薬品容器試験法」に記載されている強熱残分の規定に基づき、同第27頁〜第28頁「16.強熱残分試験法」に記載されている試験方法に従って測定を行った。
【0038】
5.引張衝撃強度(単位:kJ/m2
熱プレス成形機を用いて、樹脂組成物を150℃で、5MPaの加圧下、10分間加熱溶融後に、30℃で5分間冷却固化させて、厚さ1mmのシートを作製した。得られたシートからS型ダンベル形状の試験片を準備し、23℃で24時間状態調整を実施した。
引張衝撃強度(単位:kJ/m2)は、ASTM D1822−61Tに従い、23℃で測定した。
【0039】
実施例1
エチレン−α−オレフィン共重合体として、住友化学(株)製エクセレンVL CN4020(エチレン−1−ブテン共重合体、MFR(190℃、21.2N)=10g/10分、密度=895kg/m3)100重量部と、ハイドロタルサイト類として、協和化学(株)製ハイドロタルサイト DHT−4C 0.04重量部、酸化防止剤としてチバスペシャルティケミカルズ(株)製イルガノックス1076 0.03重量部、イルガフォス168 0.02重量部を混合し、東洋精機(株)製ラボプラストミルにより190℃で5分間溶融混練し、樹脂組成物(組成物1)を得た。
得られた組成物1の所定の物性を評価した。結果を表1に示す。
【0040】
実施例2
実施例1において、ハイドロタルサイト DHT−4Cの含有量を0.04重量部から0.05重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂組成物(組成物2)の評価結果を表1に示す。
【0041】
実施例3
実施例1において、エチレン−α−オレフィン共重合体を、住友化学(株)製エクセレンVL CN4020(エチレン−1−ブテン共重合体、MFR(190℃、21.2N)=10g/10分、密度=895kg/m3)70重量部、住友化学(株)製エクセレンFX CX4007(エチレン−1−ヘキセン共重合体、MFR(190℃、21.2N)=4g/10分、密度=910kg/m3)30重量部の混合物に変更し、ハイドロタルサイト DHT−4Cの含有量を0.04重量部から0.05重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂組成物(組成物3)の評価結果を表1に示す。
【0042】
実施例4
実施例1において、ハイドロタルサイト DHT−4Cの含有量を0.04重量部から0.10重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂組成物(組成物4)の評価結果を表1に示す。
【0043】
比較例1
実施例1において、ハイドロタルサイト DHT−4Cの含有量を0.04重量部から0.025重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂組成物(組成物5)の評価結果を表1に示す。
【0044】
比較例2
実施例1において、エチレン−α−オレフィン共重合体を、住友化学(株)製スミカセン−L GA701(エチレン−1−ブテン共重合体、MFR(190℃、21.2N)=8g/10分、密度=920kg/m3)に変更し、ハイドロタルサイト DHT−4Cの含有量を0.04重量部から0.09重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂組成物(組成物6)の評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
本発明の要件を満たす実施例1〜4の樹脂組成物は、耐衝撃性、腐食防止性を有し、さらに強熱残分が少ない樹脂組成物であり、強熱残分が0.10%以下である実施例1〜3の樹脂組成物は、医療用包装容器として好適に用い得る。一方、本発明の要件を満たさない比較例1および2の樹脂組成物は、耐衝撃性、腐食防止性、強熱残分のいずれかに劣る樹脂組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チーグラー・ナッタ型触媒によって製造された密度が890〜910kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、ハイドロタルサイト類0.01〜0.1重量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる包装容器。
【請求項2】
請求項1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、ハイドロタルサイト類0.03〜0.06重量部を含有する樹脂組成物を成形して得られる医療用包装容器。

【公開番号】特開2007−204070(P2007−204070A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22403(P2006−22403)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】