説明

包装容器

【課題】包み紙を携帯していることを確実に把握することができる包装容器を提供する。
【解決手段】少なくとも下面板2、左右の側面板、上面板4、背面板14および正面板9を備え、正面板9を開放して内部に収容されたガムを取り出すようにした包装容器1において、下面板4に折り目を介して第1糊代、中仕切板7および第2糊代8が順に連設され、各糊代が左右の側面板にそれぞれ貼着されて上面板4との間に一定の空間をおいて中仕切板7が配設される。また、上面板4の正面板9側端縁近傍には、コ字状の取出口4xおよび取出口4xが形成されることにより脱落防止フラップ41が残される。これにより、上面板4と中仕切板7との間に形成された空間に包み紙100を収容することができるとともに、その上端部を脱落防止フラップ41に支持して取出口4xから露出させることができ、包み紙100の存在を把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備え、内部にタブレット状のガムを収容してなる包装容器が知られている。このような包装容器においては、必要に応じて正面板を開放操作し、内部に収容されたガムを正面板側開口部を通して取り出すようにしている。
【0003】
ところで、包装容器にガムを収容する際、ガムを個別に包装することなく収容する場合がある。このため、ガムの噛みかすを廃棄する場合、ガムの包装紙が存在しないため、手持ちのティッシュペーパーを取り出して包み込む必要があり、取り扱いが煩雑であるという欠点があった。また、ガムの噛みかすが路上にポイ捨てされると、周囲の美観を損ねて見苦しいばかりでなく、路面に付着したガムの噛みかすを除去するため、多くの時間と費用を必要とするものとなる。
【0004】
このため、出願人は、包装容器にガムの包み紙を収容するための空間を形成し、その空間に包み紙を予め収容しておき、ガムの噛みかすを廃棄する際に、包装容器に収容された包み紙を取り出し、ガムの噛みかすを包み紙にて包み込んで廃棄することを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−21821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した包装容器においては、ガムの包み紙は、下面板と、該下面板に近接して配設された内面板とによって形成された空間に収容されている。したがって、購入したガムを取り出すため、正面板を開放操作した場合、収容されたガムが包み紙の上に積み重なって覆っており、予め包み紙が収容されている事実を把握することができないものであった。このため、購入当初は包み紙が収容されていることを把握することができないことから、ガムの噛みかすをティッシュペーパーに包み込んで廃棄するという煩わしい作業が必要になっていた。また、ときには、ガムの噛みかすが路上にポイ捨てされることも発生していた。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、包装容器にガムの包み紙を携帯していることを確実に把握することのできる包装容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備え、正面板によって開閉自在な正面板側開口部を通して内部に収容されたガムを取り出すようにした包装容器において、下面板に折り目を介して第1糊代、中仕切板および第2糊代が順に連設される一方、上面板の正面板側端縁近傍に略コ字状の取出口および該取出口による脱落防止フラップが形成されてなり、各糊代が左右の側面板にそれぞれ貼着されて上面板との間に一定の空間をおいて中仕切板が配設され、上面板と中仕切板との空間に包み紙が先端部を脱落防止フラップに支持されて収容され、また、収容された包み紙が上面板の取出口を通して取り出されることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、コートボールを展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むこととともに、所定部分を貼着して包装容器が組み立てられる。この際、第1糊代および第2糊代がそれぞれ左側面板および右側面板に貼着されると、第1糊代および第2糊代の高さが左右の側面板の高さよりも小さく設定されているため、中仕切板が上面板との間に左右の側面板の高さと第1糊代、第2糊代の高さとの差に相当する間隔をおいて配設される。
【0009】
この結果、上面板と中仕切板との空間に、上面板の取出口を通して上端部が脱落防止フラップに支持されて露出した状態でガムの包み紙を収容して携帯することができることから、包装容器に包み紙を携帯していることを確実に把握することができるとともに、包み紙を取出口を通して簡単に取り出すことができ、ティッシュペーパーなどを取り出す煩わしさを解消してガムの噛みかすを包み紙によって包み込んで廃棄することができる。したがって、ガムの噛みかすの廃棄時に包み紙の存在を意識することができ、ガムの噛みかすが路上にポイ捨てされることを防止することができる。
【0010】
本発明において、前記正面板に係止板が折り目を介して連設される一方、正面板に折り目を介して連設された一対の係止片が係止板に貼着され、また、上面板の正面板側端縁に係止片と係脱自在な被係止片が折り目を介して連設され、正面板によって正面板側開口部を閉鎖するとき、係止板が取出口を覆うとともに、係止片が被係止片と係止されて正面板の開き出しが規制されることが好ましい。
【0011】
これにより、係止板に貼着された係止片が被係止片と係止されるときには、係止板に連設された正面板の意図しない開き出しが規制されることから、ガムの脱落を防止できる他、脱落防止フラップに支持されて取出口を通して露出している包み紙の上端部を係止板によって汚れないように覆うことができる。
【0012】
また、本発明は、少なくとも下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備え、正面板によって開閉自在な正面板側開口部を通して内部に収容されたガムを取り出すようにした包装容器において、下面板に折り目を介して第1糊代、中仕切板および第2糊代が順に連設される一方、上面板の正面板側端縁部に台形状の取出切欠が形成されてなり、各糊代が左右の側面板にそれぞれ貼着されて上面板との間に一定の空間をおいて中仕切板が配設され、上面板と中仕切板との空間に包み紙が先端部を取出切欠から露出して収納され、また、収納された包み紙が上面板の取出切欠を通して取り出されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、コートボールを展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むこととともに、所定部分を貼着して包装容器が組み立てられる。この際、第1糊代および第2糊代がそれぞれ左側面板および右側面板に貼着されると、第1糊代および第2糊代の高さが左右の側面板の高さよりも小さく設定されているため、中仕切板が上面板との間に左右の側面板の高さと第1糊代、第2糊代の高さとの差に相当する間隔をおいて配設される。
【0014】
この結果、上面板と中仕切板との空間に、上面板の取出切欠を通して上端部が露出した状態でガムの包み紙を収容して携帯することができることから、包装容器に包み紙を携帯していることを確実に把握することができるとともに、包み紙を取出切欠を通して簡単に取り出すことができ、ティッシュペーパーなどを取り出す煩わしさを解消してガムの噛みかすを包み紙によって包み込んで廃棄することができる。したがって、ガムの噛みかすの廃棄時に包み紙の存在を意識することができ、ガムの噛みかすが路上にポイ捨てされることを防止することができる。
【0015】
本発明において、前記正面板に係止板が折り目を介して連設される一方、正面板に折り目を介して連設された一対の係止片が係止板に貼着され、また、中仕切板の正面板側端縁に係止片と係脱自在な被係止片が折り目を介して連設され、正面板によって正面板側開口部を閉鎖するとき、係止板が取出切欠を覆うとともに、係止片が被係止片と係止されて正面板の開き出しが規制されることが好ましい。
【0016】
これにより、係止板に貼着された係止片が被係止片と係止されるときには、係止板に連設された正面板の意図しない開き出しが規制されることから、ガムの脱落を防止できる他、取出切欠を通して露出している包み紙の上端部を係止板によって汚れないように覆うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、包装容器にガムの包み紙を携帯していることを確実に把握することができ、収容された包み紙によってガムの噛みかすを包み込んで廃棄することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1乃至図3には、本発明の包装容器1の一実施形態が示されている。
【0020】
この包装容器1は、タブレット状のガムを収容するものであり、コートボールを図4に示す展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むこととともに、所定部分を貼着して組み立てられる。そして、包装容器1にガムを収容して適宜包装した後、出荷される。
【0021】
この包装容器1は、図4の展開図において、下面板2の右端縁に、右側面板3、上面板4および左側面板5が折り目a,b,cを介して順に連設されるとともに、下面板2の左端縁に、第1糊代6、中仕切板7および第2糊代8が折り目d,e,fを介して順に連設される一方、下面板2の上端縁に正面板9および係止板10が折り目g,hを介して順に連設されるとともに、下面板2の下端縁に糊代11が折り目iを介して連設され、また、右側面板3および左側面板5の各下端縁にそれぞれフラップ12が折り目jを介して連設され、さらに、上面板4の上端縁に被係止片13が折り目kを介して連設されるとともに、上面板4の下端縁に背面板14が折り目mを介して連設され、さらにまた、正面板9の左右各端縁にそれぞれ係止片15が折り目nを介して連設されて構成されている。
【0022】
そして、係止片15には、正面板9と係止板10との折り目hに連続して折り目pが形成され、また、上面板4の上端縁近傍には、上面板4の幅(折り目b,c間の距離)にわたって略コ字状の取出口4xが形成されるとともに、この取出口4xが形成されることによって被係止片13との折り目kと平行な折り目qを介して脱落防止フラップ41が残されている。
【0023】
ここで、第1糊代6の幅(折り目d,e間の距離)は、第2糊代8の幅(折り目fおよび第2糊代8の側端縁間の距離)よりも若干大きく、左右の側面板3,5の幅(折り目a,b間の距離)よりも若干小さく設定されている。
【0024】
また、各係止片15は、折り目hおよび折り目nとの交点から斜め外方に延びる斜辺と、上端縁から下方に向けて延びる縦辺によって切り欠かれており、係止板10の左右各側端縁から各係止片15の上端縁から下方に延びる縦辺までの距離は、被係止片13の高さ(折り目kおよび被係止片13の上端縁間の距離)に一致している。また、各係止片15の折り目pの距離は、正面板9の高さ(折り目g,h間の距離)に等しく、これらの距離は、左右の側面板3,5の幅(折り目a,b間の距離)よりも若干大きく設定されている。
【0025】
さらに、上面板4の上端縁から取出口4xの下端縁までの距離は、係止板10の高さ(折り目hおよび係止板10の上端縁間の距離)とほぼ等しく設定されている。
【0026】
次に、このように構成された包装容器1の組み立て手順について説明する。
【0027】
まず、図4の展開図にしたがってコートボールを打ち抜くとともに、裏面が上面を向くように反転させた後 第2糊代8を中仕切板7に対して折り目fに沿って谷折りし、その表面に接着剤を塗布した後(図5参照)、第1糊代6を中仕切板7および第2糊代8とともに下面板2に対して折り目dに沿って谷折りし、第2糊代8を右側面板3の裏面に貼着する(図6参照)。
【0028】
次いで、第1糊代6の表面に接着剤を塗布した後、上面板4を左側面板5とともに右側面板3に対して折り目bに沿って谷折りすれば、左側面板5の裏面が第1糊代6の表面に貼着される(図7参照)。
【0029】
この後、右側面板3を下面板2に対して折り目aに沿って起立させることにより、長手方向の両端が開口された包装容器1が形成される。
【0030】
次いで、包み紙100(図2および図3参照)を脱落防止フラップ41に沿わせつつ上面板4に形成された取出口4xを通して上面板4と中仕切板7との間に形成された空間に差し込んで収容する。この場合、包み紙100の長さは、上面板4の下端縁から取出口4xの下端縁までの長さよりも大きく、上面板4の上端縁と下端縁間の距離よりも小さく設定されている。つまり、上面板4に形成された取出口4xを通して上面板4と中仕切板7との間に形成された空間に差し込まれた包み紙100は、その上端部が脱落防止フラップ41に支持されて取出口4xから露出している。
【0031】
包み紙100が挿入されたならば、被係止片13を上面板4に対して折り目kに沿って谷折りする一方、各係止片15を折り目pに沿ってそれぞれ谷折りするとともに、折り目nに沿ってそれぞれ谷折りし、さらに、正面板9を下面板2に対して折り目gに沿って谷折りする。この場合、図8に示すように、各係止片15の切り欠かれた鉛直な縦辺(内端縁)が被係止片13の先端縁に略当接する状態で、各係止片15の折り目pよりも上方の上半部が上面板4に支持された包み紙100上に載置される。この後、包み紙100上に載置された係止片15の折り目pよりも上方の上半部の表面に接着剤を塗布し、係止板10を正面板9に対して折り目hに沿って谷折りし、各係止片15の上半部に係止板10の裏面を貼着する。この際、各係止片15は、包み紙100に支持されるため、各係止片15が撓むことがなく、係止板10を各係止片15に確実に貼着することができる。
【0032】
その後、正面板9が下方に位置するように倒立させ、背面板14側開口部を通して設定個数のガムを供給した後、各フラップ12を左右の側面板3,5に対して折り目jに沿って谷折りするとともに、糊代11を下面板2に対して折り目iに沿って谷折りする。さらに、糊代11の表面に接着剤を塗布して、背面板14を上面板4に対して折り目mに沿って谷折りすれば、内部にガムが収容された包装容器1が形成される。この後、詳細には図示しないが、包装容器1はフィルムで包装されて、出荷される。
【0033】
一方、店頭にてガムを購入した消費者はフィルムを剥離した後、係止板10を引き下げることにより、係止板10と一体の正面板9を回動させて、正面板9側開口部を開放させることができ、正面板9側開口部を通してガムを取り出すことができる。
【0034】
すなわち、包装容器1の正面板9側開口部が正面板9によって閉鎖されている状態においては、係止板10の内面に貼着された各係止片15の内端縁が被係止片13の先端に係止されており、係止板10、すなわち、係止板10に連設された正面板9の意図しない開き出しが規制されている。一方、係止板10を引き下げることにより、その内面に貼着された係止片15の内端縁が被係止片13の先端に係止して、被係止片13を立ち上げつつ弾性変形させて乗り越えることができ、係止板10に連設された正面板9を回動させて、正面板9側開口部を開放させることができる。
【0035】
ガムを取り出して後、正面板9側開口部を閉鎖する場合は、正面板9を押し上げることにより、正面板9と一体の係止板10が、該係止板10の内面に貼着された係止片15とともに被係止片13を押し倒して、被係止片13を乗り越える。このため、被係止片13の先端に、係止板10の内面に貼着された係止片15の内端縁が係止し、係止板10の開き出しを規制することができる。
【0036】
ところで、前述したように、係止板10を引き下げて、正面板9側開口部を開放すれば、上面板4と中仕切板7との空間に収容された包み紙100は、常に、先端部が脱落防止フラップ41に支持されて、取出口4xから露出されている。これにより、包み紙100の上端部に指先をあてがって外方に引き出せば、指先との接触摩擦によって包み紙100を脱落防止フラップ41に沿って取出口4xより外方に引き出すことができる。
【0037】
この結果、ガムの噛みかすを廃棄する場合は、包装容器1に収容された包み紙100を意識することができることから、包み紙100を取り出してガムの噛みかすを包み紙100にて包み込むことができる。したがって、ガムの噛みかすを包み紙100によって包み込んで廃棄することができ、これにより、ガムの噛みかすのポイ捨てによって周囲の景観を損ねることもない。
【0038】
ところで、図9および図10には、本発明の包装容器1の他の実施形態が示されている。
【0039】
この包装容器1は、図11の展開図において、下面板2の左端縁に、左側面板5、上面板4および右側面板3が折り目a,b,cを介して順に連設されるとともに、下面板2の右端縁に、第1糊代6、中仕切板7および第2糊代8が折り目d,e,fを介して順に連設される一方、下面板2の上端縁に正面板9および係止板10が折り目g,hを介して順に連設されるとともに、下面板2の下端縁に糊代11が折り目iを介して連設され、また、右側面板3および左側面板5の各下端縁にそれぞれフラップ12が折り目jを介して連設され、さらに、中仕切板7の上端縁に被係止片13が折り目kを介して連設される一方、上面板4の下端縁に背面板14が折り目mを介して連設され、さらにまた、正面板9の左右各端縁にそれぞれ係止片15が折り目nを介して連設されて構成されている。
【0040】
そして、係止片15には、正面板9と係止板10との折り目hに連続して折り目pが形成され、また、上面板4の上端縁部には、台形状の取出切欠4yが形成されている。
【0041】
ここで、第1糊代6の幅(折り目d,e間の距離)は、第2糊代8の幅(折り目fおよび第2糊代8の側端縁間の距離)よりも若干大きく、左右の側面板3,5の幅(折り目a,b間の距離)よりも若干小さく設定されている。
【0042】
また、各係止片15は、折り目hおよび折り目nとの交点から斜め外方に延びる斜辺と、上端縁から下方に向けて延びる縦辺によって切り欠かれており、係止板10の左右各側端縁から各係止片15の上端縁から下方に延びる縦辺までの距離は、被係止片13の高さ(折り目kおよび被係止片13の上端縁間の距離)に一致している。また、各係止片15の折り目pの距離は、正面板9の高さ(折り目g,h間の距離)に等しく、これらの距離は、左右の側面板3,5の幅(折り目a,b間の距離)よりも若干大きく設定されている。
【0043】
さらに、上面板4の上端縁から取出切欠4yの下端縁までの距離は、係止板10の高さ(折り目hおよび係止板10の上端縁間の距離)よりも小さく設定されている。
【0044】
なお、詳細には図示しないが、この包装容器1を組み立てる場合も、図11の展開図にしたがってコートボールを打ち抜くとともに、裏面が上面を向くように反転させた後 第2糊代8を中仕切板7に対して折り目fに沿って谷折りし、その表面に接着剤を塗布した後、第1糊代6を中仕切板7および第2糊代8とともに下面板2に対して折り目dに沿って谷折りし、第2糊代8を左側面板5の裏面に貼着する。次いで、第1糊代6の表面に接着剤を塗布した後、上面板4を右側面板3とともに左側面板5に対して折り目bに沿って谷折りすれば、右側面板3の裏面が第1糊代6の表面に貼着される。
【0045】
この後、右側面板3を下面板2に対して折り目aに沿って起立させることにより、長手方向の両端が開口された包装容器1が形成される。
【0046】
次いで、包み紙100を上面板4に形成された取出切欠4yを通して上面板4と中仕切板7との間に形成された空間に差し込んで収容する。この場合、包み紙100の長さは、上面板4の下端縁から取出切欠4yの下端縁までの長さよりも大きく、上面板4の上端縁と下端縁間の距離よりも小さく設定されている。つまり、上面板4に形成された取出切欠4yを通して上面板4と中仕切板7との間に形成された空間に収容された包み紙100は、その上端部が取出切欠4yから露出している。
【0047】
包み紙100が挿入されたならば、被係止片13を中仕切板7に対して折り目kに沿って谷折りする一方、各係止片15を折り目pに沿ってそれぞれ谷折りするとともに、折り目nに沿ってそれぞれ谷折りし、さらに、正面板9を下面板2に対して折り目gに沿って谷折りする。この場合、各係止片15の切り欠かれた鉛直な縦辺(内端縁)が被係止片13の先端縁に略当接する状態で、各係止片15の折り目pよりも上方の上半部が上面板4に支持された包み紙100上に載置される。この後、包み紙100上に載置された係止片15の折り目pよりも上方の上半部の表面に接着剤を塗布し、係止板10を正面板9に対して折り目hに沿って谷折りし、各係止片15の上半部に係止板10の裏面を貼着する。この際、各係止片15は、包み紙100および上面板4の取出切欠4yの側方部分に支持されるため、各係止片15が撓むことがなく、係止板10を各係止片15に確実に貼着することができる。
【0048】
その後、正面板9が下方に位置するように倒立させ、背面板14側開口部を通して設定個数のガムを供給した後、各フラップ12を左右の側面板3,5に対して折り目jに沿って谷折りするとともに、糊代11を下面板2に対して折り目iに沿って谷折りする。さらに、糊代11の表面に接着剤を塗布して、背面板14を上面板4に対して折り目mに沿って谷折りすれば、内部にガムが収容された包装容器1が形成される。この後、詳細には図示しないが、包装容器1はフィルムで包装されて、出荷される。
【0049】
一方、店頭にてガムを購入した消費者はフィルムを剥離した後、係止板10を引き下げることにより、係止板10と一体の正面板9を回動させて、正面板9側開口部を開放させることができ、正面板9側開口部を通してガムを取り出すことができる。
【0050】
すなわち、包装容器1の正面板9側開口部が正面板9によって閉鎖されている状態においては、係止板10の内面に貼着された各係止片15の内端縁が被係止片13の先端に係止されており、係止板10、すなわち、係止板10に連設された正面板9の意図しない開き出しが規制されている。一方、係止板10を引き下げることにより、その内面に貼着された係止片15の内端縁が被係止片13の先端に係止して、被係止片13を立ち上げつつ弾性変形させて乗り越えることができ、係止板10に連設された正面板9を回動させて、正面板9側開口部を開放させることができる。
【0051】
ガムを取り出して後、正面板9側開口部を閉鎖する場合は、正面板9を押し上げることにより、正面板9と一体の係止板10が、該係止板10の内面に貼着された係止片15とともに被係止片13を押し倒して、被係止片13を乗り越える。このため、被係止片13の先端に、係止板10の内面に貼着された係止片15の内端縁が係止し、係止板10の開き出しを規制することができる。
【0052】
ところで、前述したように、係止板10を引き下げて正面板9側開口部を開放すれば、上面板4と中仕切板7との空間に収容された包み紙100は、常に、先端部が取出切欠4yから露出されている。これにより、包み紙100の上端部に指先をあてがって外方に引き出せば、指先との接触摩擦によって包み紙100を取出切欠4yより外方に引き出すことができる。
【0053】
この結果、ガムの噛みかすを廃棄する場合は、包装容器1に収容された包み紙100を意識することができることから、包み紙100を取り出してガムの噛みかすを包み紙100にて包み込むことができる。したがって、ガムの噛みかすを包み紙100によって包み込んで廃棄することができ、これにより、ガムの噛みかすのポイ捨てによって周囲の景観を損ねることもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の包装容器の正面板側開口部を開放して示す斜視図である。
【図3】図1の包装容器の長手方向縦断面図である。
【図4】図1の包装容器の展開図である。
【図5】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図6】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図7】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図8】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図9】本発明の包装容器の他の実施形態を正面板側開口部を開放して示す斜視図である。
【図10】図9の包装容器の長手方向縦断面図である。
【図11】図9の包装容器の展開図である。
【符号の説明】
【0055】
1 包装容器
2 下面板
3,5 側面板
4 上面板
4x 取出口
4y 取出切欠
6 第1糊代
7 中仕切板
8 第2糊代
9 正面板
10 係止板
13 被係止片
14 背面板
15 係止片
a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,m,n,p,q 折り目
100 包み紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備え、正面板によって開閉自在な正面板側開口部を通して内部に収容されたガムを取り出すようにした包装容器において、下面板に折り目を介して第1糊代、中仕切板および第2糊代が順に連設される一方、上面板の正面板側端縁近傍に略コ字状の取出口および該取出口による脱落防止フラップが形成されてなり、各糊代が左右の側面板にそれぞれ貼着されて上面板との間に一定の空間をおいて中仕切板が配設され、上面板と中仕切板との空間に包み紙が先端部を脱落防止フラップに支持されて収容され、また、収容された包み紙が上面板の取出口を通して取り出されることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記正面板に係止板が折り目を介して連設される一方、正面板に折り目を介して連設された一対の係止片が係止板に貼着され、また、上面板の正面板側端縁に係止片と係脱自在な被係止片が折り目を介して連設され、正面板によって正面板側開口部を閉鎖するとき、係止板が取出口を覆うとともに、係止片が被係止片と係止されて正面板の開き出しが規制されることを特徴とする請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
少なくとも下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備え、正面板によって開閉自在な正面板側開口部を通して内部に収容されたガムを取り出すようにした包装容器において、下面板に折り目を介して第1糊代、中仕切板および第2糊代が順に連設される一方、上面板の正面板側端縁部に台形状の取出切欠が形成されてなり、各糊代が左右の側面板にそれぞれ貼着されて上面板との間に一定の空間をおいて中仕切板が配設され、上面板と中仕切板との空間に包み紙が先端部を取出切欠から露出して収容され、また、収容された包み紙が上面板の取出切欠を通して取り出されることを特徴とする包装容器。
【請求項4】
前記正面板に係止板が折り目を介して連設される一方、正面板に折り目を介して連設された一対の係止片が係止板に貼着され、また、中仕切板の正面板側端縁に係止片と係脱自在な被係止片が折り目を介して連設され、正面板によって正面板側開口部を閉鎖するとき、係止板が取出切欠を覆うとともに、係止片が被係止片と係止されて正面板の開き出しが規制されることを特徴とする請求項3記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−230660(P2008−230660A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73083(P2007−73083)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000106885)シグマ紙業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】