説明

包装容器

【課題】粉末状、ゲル状、半固形状の内容物を手や指を汚すことなく容易に取り出すことのできる包装容器を提供する。
【解決手段】容器本体2は、円形を4等分するように形成される4つの略扇形の収容部4a〜4dと、容器本体2の外周縁に沿って設けられた環状のフランジ部5と、各収容部4a〜4dを仕切るように設けられ平面視十字形の稜部6a、6bとを有しており、稜部6a、6bに沿って、各収容部4a〜4dを個別に分離するための第1ミシン目7a、7bが形成されている。蓋材3は、一軸延伸フィルムを含む積層体で構成され、容器本体2の第1ミシン目7a、7bと重なる位置に、第2ミシン目10a、10bが形成されている。また、第2ミシン目10bの両側には、一軸延伸フィルムの延伸方向に沿って蓋材3を開封するための開封用ノッチ11a〜11dが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を独立して収容する複数の収容部を有する樹脂製の包装容器に関し、特に粉末状、ゲル状、半固形状の内容物を収容する包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の容器本体の開口にフィルムを融着させて内容物を密封した樹脂容器は、ガスバリア性、水蒸気バリア性に優れており、食品等の容器として広く用いられている。そして、内容物を必要量だけ取り出し、残りは密封状態で保持することができるように、内容物を所定量ずつ個別に包装する包装容器が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、蓋体の一端から他端に至る第2ミシン目線の縦と横方向の交点を十字の切断部とすることにより、蓋材を剥離する際の剥離線の方向を容易に変更できるようにした包装体が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の収容部を封止するフィルム部材が、複数の収容部の各々に沿って延びフィルム材の外縁に達する第1のミシン目を有し、第1のミシン目の各々の外縁に隣接した部位に他の部分よりも長い非スリット部を設けることにより、フィルム部材を容器本体から引き剥がす際のフィルムの裂けを防止可能としたプラスチック容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−182413号公報
【特許文献2】特開2007−186259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されている包装容器では、各収容部の開口部全面が開封されるため、内容物が粉末状の場合は、収容した包装容器を開封し内容物を取り出す際に内容物が飛散して手や指を汚すおそれがあった。また、内容物がゲル状、半固形状の場合は、収容部の内壁面に付着した内容物を容易に取り出すことができなかった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、粉末状、ゲル状、半固形状の内容物を手や指を汚すことなく容易に取り出すことのできる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、上面に開口部を有する複数の収容部と、該複数の収容部間を仕切るように設けられる一つ以上の稜部と、前記複数の収容部の外周縁に前記稜部と略面一に形成されるフランジ部と、を有し、内面に熱可塑性樹脂層が形成された容器本体と、前記稜部及び前記フランジ部の全域に亘って熱融着され前記収容部を密封する蓋材と、を有する包装容器において、前記容器本体には、前記稜部に沿って延び前記フランジ部の外周縁に至る第1切り込み線が形成されており、前記蓋材は、延伸フィルムを含む積層体で構成され、前記第1切り込み線に重なる第2切り込み線と、該第2切り込み線の少なくとも1本の両側を破断するための一対の開封開始手段と、が形成されており、前記延伸フィルムの延伸方向を前記開封開始手段による開封方向と一致させたことを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の包装容器において、前記各収容部は、指による押圧で変形可能であることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の包装容器において、前記各収容部は、前記蓋材の開封方向に沿って延びる前記稜部を挟んで対向する側面が傾斜部となっており、前記各収容部の隙間は、前記容器本体の上面から底面方向に向かってテーパ状に広がっていることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の包装容器において、前記傾斜部は、前記収容部の外側に向かって凸となる曲面状であることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の包装容器において、前記一対の開封開始手段の間には、前記フランジ部の外側に突出する摘み部が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、収容部間を仕切る稜部に沿ってスリット状の開封孔が形成されるため、内容物の取り出し時に収容部内に収容された粉末状、ゲル状、半固形状の内容物が飛散しにくい。従って、作業者の手指を汚すことなく内容物を個別に、或いは複数個分を一度に取り出すことができる。
【0014】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装容器において、各収容部を、指による押圧で変形可能とすることにより、収容部を指で摘んで押圧することにより、収容部が潰れ、収容部に充填されているゲル状、半固形状の内容物を開封孔から容易に搾り出すことができる。
【0015】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の包装容器において、各収容部は、開封方向に沿って延びる稜部を挟んで対向する側面が傾斜部となっており、各収容部の隙間は、容器本体の上面から底面方向に向かってテーパ状に広がっていることにより、開封孔を下向きにして容器本体を容易に折り曲げることができるため、粉末状の内容物が蓋材の裏面に沿って落下し易くなる。また、対向する収容部の傾斜部を接触させることで、折り曲げ状態を確実に保持でき、さらに収容部を押し潰す場合の取り扱い性も向上させることができる。
【0016】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の包装容器において、傾斜部が収容部の外側に向かって凸となる曲面状であることにより、内容物がゲル状もしくは半固形状である場合の取り出し性がより一層向上する。
【0017】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の包装容器において、蓋材に形成された一対の開封開始手段の間に、フランジ部の外側に突出する摘み部を形成することにより、摘み部を引き上げて開封開始手段から蓋材を破断し、収容部を容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装容器の外観斜視図
【図2】本発明の一実施形態に係る包装容器の蓋材を取り外した状態を示す外観斜視図
【図3】本発明の一実施形態に係る包装容器の側面断面図
【図4】包装容器1から分離した1つの収容部4aを開封する状態を示す外観斜視図
【図5】収容部4aを押し潰してゲル状または半固形状の内容物を取り出す様子を示す側面断面図
【図6】包装容器1から分離した2つの収容部4a、4bを開封する状態を示す外観斜視図
【図7】収容部4a、4bから粉末状の内容物を取り出す様子を示す側面断面図
【図8】収容部4a、4bを押し潰してゲル状または半固形状の内容物を取り出す様子を示す側面断面図
【図9】包装容器1の4つの収容部4a〜4dを開封する状態を示す外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装容器の外観斜視図、図2は、図1に示した包装容器の蓋材を取り外した状態を示す外観斜視図、図3は、包装容器の側面断面図(図1のAA矢視断面)である。包装容器1は、合成樹脂製の容器本体2と、容器本体2の開口部を密封するフィルム状の蓋材3とで構成される。
【0020】
容器本体2は平面視略円形状であり、円形を4等分するように形成される4つの略扇形の収容部4a〜4dと、容器本体2の外周縁に沿って設けられた環状のフランジ部5と、各収容部4a〜4dを仕切るように設けられた平面視十字形の稜部6a、6bとを有しており、各収容部4a〜4dには粉末状の内容物8が所定量充填されている。フランジ部5と稜部6a、6bとは面一に形成されており、稜部6a、6bに沿って、各収容部4a〜4dを個別に分離するための第1ミシン目7a、7bが形成されている。
【0021】
図3に示すように、蓋材3はフランジ部5及び稜部6a、6bにおいて容器本体2と熱融着され、熱接着部13が形成される。また、稜部6bを挟んで対向する各収容部4a〜4dの側面は傾斜部15となっており、収容部4aと4b、収容部4cと4dの隙間は容器本体2の開口面(上面)から底面方向に向かってテーパ状に広がっている。傾斜部15は、収容部4a〜4dの外側に向かって凸となる曲面状に形成されている。
【0022】
容器本体2は、合成樹脂製のシートを用いて真空成形法により一体形成される。具体的には、合成樹脂シート材を加熱軟化させた後、金型(雄型若しくは雌型)に合わせて減圧吸引することで複数の容器が連なったシートに成形する。また、真空成形以外の成形法としては、圧空成形(真空圧空成形、押出圧空成形、熱板圧空成形等)、プレス成形法等の周知の成形方法がコストも安価であり好ましい。
【0023】
容器本体2の材質としては、ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,アモルファスポリエステル(A−PET)などのポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等の樹脂からなるシート、あるいは、必要に応じてシートにポリ塩化ビニリデン、あるいは、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層を形成したものなどのシートを用いることができ、さらに蓋材3との熱接着性を考慮する必要のある場合には、シートを適宜組み合わせた多層のシートを用いることができ、多層のシートとしては、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法等の周知の積層方法を用いて多層化したものであっても、また、共押出しにより多層化したものであっても良い。また、必要に応じて、アルミニウム等の金属箔を備えた構成としても良い。また、シートの厚さは、容器本体とした際の最薄部の厚さを考慮して適宜決めれば良い。容器本体2の好ましい材質として、ポリプロピレン/EVOH/ポリプロピレンの三層共押出シートが挙げられる。
【0024】
また、フランジ部5及び稜部6a、6bと蓋材3とを熱融着するために、少なくとも最内面が熱可塑性樹脂層であることが必要である。熱可塑性樹脂層としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
【0025】
なお、必要に応じて、基材層、印刷層、バリア層、中間層、熱可塑性樹脂層、及びこれらの各層を接着するための接着層等から成る積層シートを用いることもできる。印刷層は、樹脂容器1の表面に所望の印刷模様を形成するための層である。バリア層は、特に内包される内容物が水分や酸素により変質し易い場合、樹脂容器1に水蒸気バリア性、或いはガスバリア性を付与するものである。中間層、耐ピンホール性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0026】
また、例えば加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、樹脂容器1の材料となる合成樹脂に、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を挙げることができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0027】
蓋材3は、容器本体2のフランジ部5の外周縁と略同一の形状を有しており、容器本体2の第1ミシン目7a、7bと重なる位置に、第2ミシン目10a、10bが形成されている。また、蓋材3の外周縁の対向する2箇所には、第2ミシン目10bの両側を破断して蓋材3を開封するための開封用ノッチ11a、11b及び11c、11dが一対ずつ形成されている。
【0028】
蓋材3は、容器本体2のフランジ部5及び稜部6a、6bと熱接着することにより各収容部4a〜4dを密封する必要があり、最内層となる熱可塑性樹脂層と、印刷を施す基材層とを少なくとも含む構成である。熱可塑性樹脂層を構成する材料としては、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の樹脂の一種ないしこれらを混合した樹脂を挙げることができ、また、必要に応じてこれらの樹脂を多層化したものであっても良い。
【0029】
基材層を構成する材料としては、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリアセタール系等の樹脂からなるフィルムを用いることができ、一軸方向ないし二軸方向に延伸した延伸フィルムを使用することができる。フィルムの厚さとしては基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、コストなどを勘案して決定すれば良い。
【0030】
特に、MD方向(フィルムの流れ方向)に直線カット性を付与した一軸延伸フィルムを使用し、MD方向と蓋材3の開封方向(図1の開封用ノッチ11a、11b及び11c、11dによる開封方向)とを合わせておくことで、開封が容易で取り扱い性に優れた蓋材3となる。また、フィルムを2方向(縦方向及び横方向)に延伸した二軸延伸フィルムであっても、縦方向及び横方向の延伸度合いを異ならせておき、強く延伸した方向を蓋材3の開封方向に合わせることで、一軸延伸フィルムを用いた場合と同様の開封性を蓋材3に付与することができる。
【0031】
また、蓋材3に、酸素や水蒸気等のガスバリア性、遮光性、耐突き刺し性等を付与するために、熱可塑性樹脂層と基材層との間に必要に応じて中間層を設けてもよい。この中間層を構成する材料としては、たとえば、アルミニウム等に代表される金属箔、あるいは、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニリデン等のフィルムやバリア性を有するポリアミドフィルム、あるいは、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール等のフィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしはアルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムなどを用いることができる。また中間層は、上記材料と、たとえば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン等のフィルムと組み合わせて用いても構わない。また、中間層を用いることなく、酸素や水蒸気等のガスバリア性を付与するために、上記した前記基材層を構成するフィルムにポリ塩化ビニリデンの塗膜を形成したものや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層を形成したものを用いてもよい。
【0032】
蓋材3の代表的な構成を例示するならば、PETフィルム(基材層)/アルミ箔(バリア層)/一軸延伸フィルム(基材層、易引き裂き性)/ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層)を挙げることができる。一軸延伸フィルムとしては、例えばトレファンBOYT12、トレファンBOYT22(商品名、東レ社製)、カラリアンY(商品名、電気化学工業社製)、ハイブロン、ノーブレン(商品名、三井化学社製)、ユニアストン(商品名、出光石油化学社製)が挙げられる。
【0033】
次に、本発明の包装容器の開封方法及び内容物の取り出し方法について説明する。収容部4a〜4dのうちいずれか1つ分の内容物8を取り出す場合は、第1ミシン目7a、7b、第2ミシン目10a、10bに沿って容器本体2及び蓋材3を破断することにより、図4に示すように、収容部4a〜4dのうち一つ(ここでは収容部4a)を分離する。
【0034】
そして、摘み部12aを把持して引き上げることにより、蓋材3は開封用ノッチ11aからフィルムのMD方向に破断され、収容部4aにスリット状の開封孔17が形成される。形成された開封孔17を下向きにすることで、収容部4aに充填されている粉末状の内容物8が傾斜部15に沿って滑り落ち、開封孔17から落下する。
【0035】
なお、内容物8がゲル状、若しくは半固形状である場合、内容物8の粘性にもよるが、開封孔17を下向きにしただけでは内容物8は容易に落下しない。そこで、容器本体2を指による押圧で容易に変形する材質で形成しておくことにより、図5に示すように、蓋材3側と収容部4a側とを指で摘んで押圧することで収容部4aが潰れ、収容部4aに充填されている内容物8を開封孔17から容易に搾り出すことができる。
【0036】
また、収容部4a〜4dのうちいずれか2つ分の内容物8を取り出す場合は、第1ミシン目7a、第2ミシン目10aに沿って容器本体2及び蓋材3を破断することにより、図6に示すように、収容部4a〜4dのうち二つ(ここでは収容部4a及び4b)を分離する。そして、摘み部12aを把持して引き上げることにより、蓋材3は開封用ノッチ11a、11bからフィルムのMD方向に破断され、収容部4a、4bにスリット状の開封孔17が形成される。
【0037】
図7に示すように、形成された開封孔17を下向きにし、第1ミシン目7bに沿って稜部6bを山形に折り曲げることで、収容部4a、4bに充填されている粉末状の内容物8が蓋材3の裏面に沿って滑り落ち、開封孔17から落下する。このとき、収容部4a、4bには傾斜部15が形成されているため、稜部6bを簡単に折り曲げることができる。また、収容部4a、4bの傾斜部15を接触させることで、折り曲げ状態を確実に保持できる。
【0038】
内容物8がゲル状、若しくは半固形状である場合は、容器本体2を指による押圧で容易に変形する材質で形成しておくことにより、図7の状態から収容部4a、4b同士を接触させ、さらに押圧することにより、図8に示すように収容部4a、4bのそれぞれが潰れ、収容部4a、4bに充填されている内容物8を開封孔17から容易に搾り出すことができる。このとき、収容部4a、4bに形成される傾斜部15は外側に向かって凸となる曲面状に形成されているため押圧により変形しやすく、さらにゲル状若しくは半固形状の内容物8が収容部4a、4bの内コーナーに付着しにくくなるため取り出し性が向上する。
【0039】
さらに、収容部4a〜4dの4つ分の内容物8を全て取り出す場合は、図9に示すように、収容部4a〜4dを分離せずに、摘み部12a(または摘み部12b)を把持して引き上げることにより、蓋材3は開封用ノッチ11a、11bからフィルムのMD方向に破断され、収容部4a〜4dにスリット状の開封孔17が形成される。
【0040】
内容物8が粉末である場合は、図7と同様に、形成された開封孔17を下向きにし、第1ミシン目7bに沿って稜部6bを山形に折り曲げることで、収容部4a〜4dに充填されている粉末状の内容物8が蓋材3の裏面に沿って滑り落ち、開封孔17から落下する。また、内容物8がゲル状、若しくは半固形状である場合は、容器本体2を指による押圧で容易に変形する材質で形成しておき、収容部4a、4dと収容部4b、4c同士を接触させ、さらに押圧することにより、図8と同様に、収容部4a〜4dが潰れ、収容部4a〜4dに充填されている内容物8を開封孔17から容易に搾り出すことができる。
【0041】
以上説明したように、本発明の包装容器1は、収容部4a〜4dにスリット状の開封孔17が形成されるため、内容物の取り出し時に収容部4a〜4d内に収容された粉末状、ゲル状、半固形状の内容物8が飛散しにくい。従って、作業者の手指を汚すことなく個別に、或いは2つ分、4つ分を一度に取り出すことができる。また、容器本体2を指による押圧で変形可能な材質で形成しておくことで、ゲル状、半固形状の内容物8を容易に絞り出すことができる。
【0042】
また、一対の開封用ノッチ11a、11b、及び11c、11dの間には、それぞれ摘み部12a、12bが形成されているため、例えば収容部4a、4bを分離し、摘み部12aを把持して開封した場合でも、残りの収容部4c、4dを開封するための摘み部12bが確保される。
【0043】
なお、ここでは開封開始手段として開封用ノッチ11a〜11dを設けたが、開封用ノッチ11a〜11dに代えて、開封開始手段として蓋材3の外周縁に複数の微細な突き刺し孔からなる傷痕群領域と、傷痕群領域を囲むとともに開封方向に向けて先細りとなるハーフカットを設けることもできる。
【0044】
また、開封用ノッチ11a〜11dに代えて、開封開始手段として蓋材3の表面に第2ミシン目10a、10bの両側に沿って延びるハーフカットラインを形成することもできる。この場合、蓋材3の密封性を損なわないようにハーフカットラインを形成することが必要である。
【0045】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、容器本体2の形状についても特に制限はなく、フランジ部と稜部を有する形状であれば多角形状であっても良い。また、ここでは4つの収容部4a〜4dを有する容器本体2を例に挙げて説明したが、各収容部に隣接する少なくとも一つの稜部に沿って開封用ノッチが形成されていれば、2つ又は3つの収容部を有する容器本体2を用いても良いし、5つ以上の収容部を有する容器本体2を用いても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、各収容部4a〜4dを分離するために容器本体2に第1ミシン目7a、7bを形成し、蓋材3に第2ミシン目10a、10bを形成したが、各収容部4a〜4dを分離可能であればミシン目に代えてハーフカットを形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、樹脂製の容器本体をフィルム状の蓋材で密封した包装容器に利用可能であり、容器本体には、複数の収容部を仕切る稜部に沿って延びフランジ部の外周縁に至る第1切り込み線が形成されており、蓋材は、延伸フィルムを含む積層体で構成され、第1切り込み線に重なる第2切り込み線と、該第2切り込み線の少なくとも1本の両側を破断するための一対の開封開始手段と、が形成されており、延伸フィルムの延伸方向を開封開始手段による開封方向と一致させたものである。
【0048】
本発明の利用により、粉末状、ゲル状、半固形状の内容物を手や指を汚すことなく容易に取り出すことのできる包装容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 包装容器
2 容器本体
3 蓋材
4a〜4d 収容部
5 フランジ部
6a、6b 稜部
7a、7b 第1ミシン目(第1切り込み線)
8 内容物
10a、10b 第2ミシン目(第2切り込み線)
11a〜11d 開封用ノッチ(開封開始手段)
12a、12b 摘み部
13 熱接着部
15 傾斜部
17 開封孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有する複数の収容部と、該複数の収容部間を仕切るように設けられる一つ以上の稜部と、前記複数の収容部の外周縁に前記稜部と略面一に形成されるフランジ部と、を有し、内面に熱可塑性樹脂層が形成された容器本体と、
前記稜部及び前記フランジ部の全域に亘って熱融着され前記収容部を密封する蓋材と、を有する包装容器において、
前記容器本体には、前記稜部に沿って延び前記フランジ部の外周縁に至る第1切り込み線が形成されており、
前記蓋材は、延伸フィルムを含む積層体で構成され、前記第1切り込み線に重なる第2切り込み線と、該第2切り込み線の少なくとも1本の両側を破断するための一対の開封開始手段と、が形成されており、前記延伸フィルムの延伸方向を前記開封開始手段による開封方向と一致させたことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記各収容部は、指による押圧で変形可能であることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記各収容部は、前記蓋材の開封方向に沿って延びる前記稜部を挟んで対向する側面が傾斜部となっており、前記各収容部の隙間は、前記容器本体の上面から底面方向に向かってテーパ状に広がっていることを特徴とする請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記傾斜部は、前記収容部の外側に向かって凸となる曲面状であることを特徴とする請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記一対の開封開始手段の間には、前記フランジ部の外側に突出する摘み部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−206734(P2012−206734A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72598(P2011−72598)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】