説明

包装容器

【課題】加工がし易く、包装作業のし易い材料で形成した場合であっても比較的大きな外力に対向して収納空間の高さを維持することができる包装容器を提供することを目的とする。
【解決手段】折線(L1)で互いの一辺が接続された第1,第2側板(S1,S2)と、第1,第2側板(S1,S2)の先端に接続され内側に向かって折り返される第1,第2フラップ(F1,F2)と、第1,第2側板(S1,S2)が折り曲げられた状態に係止する係止部(P1,P2)とを設けて収納空間(K)を形成するとともに、第1,第2フラップ(F1,F2)の先端同士を切り欠き(m1,m2)で係合させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧用ブラシを輸送または陳列に際しては、軸の先端に形成されている穂先の形状ならびに毛先を痛めないように、筆本体に対して筆穂を出退可能に構成したり、筆穂に被せるキャップを設けたものが主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−268100号公報
【特許文献2】特開2010−162190号公報
【特許文献3】特開2010−200923号公報
【特許文献4】特開2011−087675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧パウダーなどを塗布する化粧用ブラシの筆穂の形状は様々であって、肌触りを考えて、肌に触れる面積が大きくなるように、筆軸の先端に取り付けられた筆穂は、筆軸の直径よりも太く膨らんでいるものが多い。
【0005】
このように筆穂の大きい化粧用ブラシの包装容器としては、図8,図9に示すものが考えられる。
図8は展開図、図9(a)は組み立てた包装容器1によって化粧用ブラシ2の筆穂2bを包装した状態を示している。
【0006】
包装容器1は、ポリプロピレン製シートを折り畳んで構成されている。略三角状の第1側板S1と第2側板S2の互いの一辺は、第1折線L1で接続されている。第1側板S1の先端には、内側に向かって折り返される第1フラップF1が第2折線L2で接続されている。第2側板S2の先端には、内側に向かって折り返される第2フラップF2が第3折線L3で接続されている。
【0007】
第2側板S2の第1折線L1で第1側板S1と接続された反対側の辺には、第1折線L1で折り曲げられた第1側板S1の外側に被せられる第3フラップF3が接続されている。さらに、第3フラップF3の内側には雌の面ファスナ片P1が接着されている。面ファスナ片P1に対応する第1側板S1の外側の位置には、雄の面ファスナ片P2が接着されている。
【0008】
なお、第1側板S1と第1フラップF1を接続している第2折線L2は、第1側板S1の先端両側に比べて中央が第1側板S1の内側に入り込むように湾曲している。第2側板S2と第2フラップF2を接続している第3折線L3も同様に、第2側板S2の先端両側に比べて中央が第2側板S2の内側に入り込むように湾曲している。
【0009】
この場合、化粧用ブラシ2を入れて第1側板S1と第2側板S2を第1折線L1で折り曲げて、面ファスナ片P1と面ファスナ片P2を係合させた後に、第1,第2フラップF1,F2をそれぞれ第2,第3折線L2,L3で折り返すことによって、筆穂2bを取り囲む収納空間Kが第1,第2側板S1,S2と第1,第2フラップF1,F2で囲まれて形成される。
【0010】
収納空間Kの形状を保持する力は、第1,第2側板S1,S2などを形成する材料とその板厚によって左右される。加工がし易く、包装作業のし易さから、100μm〜200μmの厚さのポリプロピレンシートを使用した場合、収納空間Kを押し潰そうとする設定以上の外力が作用した場合、第1,第2フラップF1,F2が外側に開いてしまって、図9(b)に示すように収納空間Kの高さが、h1からh3に半減する。
【0011】
このように収納空間Kの高さがh3に半減した場合には、化粧用ブラシ2の筆穂2bの膨らんだ形状を損なう。
本発明は、加工がし易く、包装作業のし易い材料で形成した場合であっても比較的大きな外力に対向して収納空間Kの高さを維持することができる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の包装容器は、折線で互いの一辺が接続された第1,第2側板と、前記第1側板の先端に接続され内側に向かって折り返される第1フラップと、前記第2側板で前記第1フラップが接続された前記第1側板の前記先端と同じ側に設けられた第2フラップと、前記第1,第2側板が前記折線で折り曲げられた状態に係止する係止部とを設け、前記折線で折り曲げられた前記第1,第2側板と内側に向かって折り返された前記第1,第2フラップとで囲まれた内側に保護対象を覆う収納空間を形成するとともに、前記内側に向かって折り曲げられた前記第1,第2フラップの先端同士を係合させた状態に保持する係止部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内側に向かって折り曲げられた第1,第2フラップの先端同士を係合させた状態に保持する係止部を設けたため、第1,第2フラップ同士の重なり代を少なくして収納空間の高さを高くすることができる。しかも、第1フラップを開放しようとする方向の一部が第2のフラップによって支持され、第2フラップを開放しようとする方向の一部が第1のフラップによって支持することができるため、加工がし易く、包装作業のし易い材料で形成した場合であっても比較的大きな外力に対向して収納空間の高さを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における包装容器の展開図
【図2】(a)(b)本発明の実施の形態1における包装容器によって保護対象品を包装する過程の斜視図と(c)包装が完了した状態の斜視図
【図3】(a)比較例と(b)本発明の実施の形態1の包装容器の包装状態の端面図
【図4】本発明の実施の形態2における包装容器の展開図
【図5】本発明の実施の形態3における包装容器の展開図
【図6】本発明の実施の形態3における包装状態の斜視図
【図7】(a)本発明の実施の形態4における包装容器によって保護対象品を包装する過程の要部の斜視図と(b)包装が完了した状態の要部の斜視図
【図8】比較例の包装容器の展開図
【図9】(a)比較例の包装容器によって保護対象品の包装が完了した状態の斜視図と(b)包装容器の収納空間が外力で潰れた状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態を、図1〜図7に基づいて説明する。
なお、図8,図9に示した比較例と同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は展開図、図2(c)は組み立てた包装容器1によって化粧用ブラシ2の筆穂2bを包装した状態を示している。図2(a)(b)は包装の途中を示している。
【0017】
比較例との違いは、第1,第2フラップF1,F2の先端同士を係合させる係止部としての切り欠きm1,m2が形成されている。
包装容器1は、包装作業のし易さから、100μm〜200μm程度の厚さのポリプロピレンシートを使用して折り畳んで構成されている。略三角状の第1側板S1と第2側板S2の互いの一辺は、第1折線L1で接続されている。第1側板S1の先端には、内側に向かって折り返される第1フラップF1が第2折線L2で接続されている。第2側板S2の先端には、内側に向かって折り返される第2フラップF2が第3折線L3で接続されている。
【0018】
第2側板S2の第1折線L1で第1側板S1と接続された反対側の辺には、第1折線L1で折り曲げられた第1側板S1の外側に被せられる第3フラップF3が第4折線L4で接続されている。さらに、第3フラップF3の内側には雌の面ファスナ片P1が接着されている。面ファスナ片P1に対応する第1側板S1の外側の位置には、雄の面ファスナ片P2が接着されている。
【0019】
なお、第1側板S1と第1フラップF1を接続している第2折線L2は、第1側板S1の先端両側に比べて中央が第1側板S1の内側に入り込むように湾曲している。第2側板S2と第2フラップF2を接続している第3折線L3も同様に、第2側板S2の先端両側に比べて中央が第2側板S2の内側に入り込むように湾曲している。
【0020】
包装容器1による包装は次のように実施する。
第1側板S1と第2側板S2を第1折線L1で折り曲げて、第1側板S1と第2側板S2の間に化粧用ブラシ2を挟み、面ファスナ片P1と面ファスナ片P2を係合させた後に、第1,第2フラップF1,F2をそれぞれ図2(a)に示すように第2,第3折線L2,L3で折り返す。次に、図2(b)に示すように第1,第2側板S1,S2の先端を矢印A,Aで示すように両側から押さえて第1,第2フラップF1,F2を変形させ、前記矢印A,Aで示した両側からの押さえを解除する際に、第1,第2フラップF1,F2の切り欠きm1,m2を図2(c)に示すように係合させた包装完了状態を得る。収納空間Kは、第1,第2側板S1,S2の第1,第2フラップF1,F2が設けられた側と反対側の基端は、化粧用ブラシ2の筆軸2aが通過するように開放されている。
【0021】
図3(a)は図9(a)に示した比較例の包装完了状態の包装空間Kの厚みh1を示し、図3(b)は第1,第2フラップF1,F2の切り欠きm1,m2を図2(c)のように互いに係合させた場合の包装空間Kの厚みh2を示す。このように内側に向かって折り返された第1,第2フラップF1,F2の先端同士を、切り欠きm1,m2によって互いに係合させた状態に保持することによって、比較例の包装空間Kの厚みh1よりも大きな厚みh2の包装空間Kを実現でき、しかも、図2(c)に矢印B,Bで示すように収納空間Kを押し潰そうとする外力が作用した場合であっても、第1,第2フラップF1,F2の切り欠きm1,m2が互いに係合しているため、第1フラップF1が変形しないように第2フラップF2によって保持され、更に、第2フラップF2が変形しないように第1フラップF1によって保持されるため、比較例と同じ板厚で同じ材質で製作した場合であっても、比較例の場合よりも大きな外力が作用しても、図9(b)のように第1,第2フラップF1,F2が開いて収納空間Kが潰れない。よって、化粧用ブラシ2の膨らんだ形状の筆穂2bを比較例の場合よりもより確実に保護できる。
【0022】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2を示す。
実施の形態1では、面ファスナ片P1と面ファスナ片P2の係合によって第1,第2側板S1,S2を折線L1で折り曲げた状態に係止したが、この実施の形態2では、第3フラップF3に切り込みJ1を形成して挿入片Qを形成し、挿入片Qに対応して第1側板S1に挿入片Qが差し込まれる挿入孔Rを形成して構成することもできる。
【0023】
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3の展開図、図6は包装状態の斜視図を示す。
実施の形態1では、筆穂2bの周囲が第1,第2側板S1,S2によって一重に巻かれていたが、この実施の形態3では、第2側板S2と第3フラップF3の間に第3側板S3が形成されて、筆穂2bの周囲が第1,第2側板S1,S2によって一重に巻かれるとともに、更に第1側板S1の外側に第3側板S3を重ねて補強されている。この場合、面ファスナ片P1が係合する面ファスナ片P2は、面ファスナ片P1の位置に対応して第2側板S2の外側に形成されている。
【0024】
なお、第1,第2側板S1,S2を折線L1で折り曲げた状態に保持する係止部を、実施の形成2と同様に、第3フラップF3に形成された挿入片Qと、挿入片Qに対応して第2側板S2に挿入孔Rを形成して構成することもできる。
【0025】
(実施の形態4)
図7(a)(b)は本発明の実施の形態4を示す。
実施の形態1では、第1,第2フラップF1,F2の先端同士を係合させる係止部が切り欠きm1,m2で構成されていたが、この実施の形態4では、図7(a)に示すように第2フラップF2に切り込みJ2を形成してリップ片Uを形成し、図7(a)に示すように第1,第2側板S1,S2の先端を矢印A,Aで示すように両側から押さえて第1,第2フラップF1,F2を変形させ、前記矢印A,Aで示した両側からの押さえを解除する際に、図7(b)に示すように第1フラップF1を第2フラップF2のリップ片Uの下側に差し込んで包装完了状態を得ることもできる。
【0026】
なお、この実施の形態4では側板が第1,第2側板S1,S2の2枚の場合であったが、実施の形態3のように第1,第2,第3側板S1,S2,S3の3枚の場合であっても同様に実施できる。
【0027】
上記の各実施の形態において、第1,第2側板S1,S2を折線L1で折り曲げた状態に係止する係止部を、面ファスナ片P1と面ファスナ片P2、または挿入片Qと挿入孔Rなどで構成したが、接着剤または粘着テープなどで第1,第2側板S1,S2を折線L1で折り曲げた状態に係止するように構成することもできる。または、第1,第2側板S1,S2を折線L1で折り曲げた状態でその外側を取り巻く環状ベルトや、第1,第2側板S1,S2を折線L1で折り曲げた状態でその外側を取り巻く袋によって構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、化粧用ブラシなどの商品のように軸の先端に形成された保護対象を確実に包装することができ、壊れやすい商品の流通中だけでなく、商品の保管に有効である。
【符号の説明】
【0029】
1 包装容器
2 化粧用ブラシ
2a 筆軸
2b 筆穂
F1,F2,F3 第1,第2,第3フラップ
m1,m2 切り欠き(係止部)
S1,S2,S3 第1,第2,第3側板
L1,L2,L3,L4 第1,第2,第3,第4折線
P1,P2 面ファスナ片
J1,J2 切り込み
K 収納空間
Q 挿入片
R 挿入孔
U リップ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折線で互いの一辺が接続された第1,第2側板と、
前記第1側板の先端に接続され内側に向かって折り返される第1フラップと、
前記第2側板で前記第1フラップが接続された前記第1側板の前記先端と同じ側に設けられた第2フラップと、
前記第1,第2側板が前記折線で折り曲げられた状態に係止する係止部と
を設け、前記折線で畳まれた前記第1,第2側板と内側に向かって折り返された前記第1,第2フラップとで囲まれた内側に保護対象を覆う収納空間を形成するとともに、
前記内側に向かって折り返された前記第1,第2フラップの先端同士を係合させた状態に保持する係止部を設けた
包装容器。
【請求項2】
前記係止部は、前記第1,第2フラップの先端の中央に形成された切り欠きである
請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
前記係止部は、前記第2フラップの先端の中央に形成された差し込み孔である
請求項1記載の包装容器。
【請求項4】
前記収納空間は、前記第1,第2側板の前記第1,第2フラップが設けられた側と反対側の基端が開放されている
請求項1記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246004(P2012−246004A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118545(P2011−118545)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(593171949)友田技研工業株式会社 (7)