説明

包装展示兼用箱

【課題】輸送時の包装状態を確実に維持しつつ、店頭での展示作業を簡単に行なうことができるようにする。
【解決手段】商品を収納するトレー1と、その外周に被せる外枠2とから成り、トレー1から外枠2を抜き取って商品を展示する包装展示兼用箱において、前記トレー1は、側壁11及び端壁12,13を連設した周壁並びに底壁15を備え、端壁13の上端に蓋板16を連設したものとし、前記外枠2は、側壁21及び端壁22,23を連設した周壁を備え、底面が開口し、周壁の上端に蓋受片25を連設したものとし、商品包装時には、蓋受片25を内側へ折り曲げ、その上に蓋板16を被せて閉じ、商品展示時には、蓋板16を開いて、トレー1から外枠2を抜き取るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品の輸送及び店頭での展示に兼用できる箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装展示兼用箱として、下記特許文献1には、図10乃至図14示すように、トレー51とその外周に被せる外枠52とから成るものが記載されている。
【0003】
トレー51は、端壁61及び側壁62並びに底壁63を備え、正面側の側壁62を大きく開口させ、その上部に内蓋64を連設し、端壁61に切目線を入れて、貼着片部65を形成し、内蓋64に切目線を入れて、切板部66を設けたものとされている。
【0004】
前記外枠52は、端壁71及び側壁72を備え、底面が開口し、端壁71及び側壁72の上端に蓋板73,74をそれぞれ連設し、端壁71に切目線を入れて、切開部75及びその先端の貼着片部76を形成したものとされている。
【0005】
この箱では、図11に示すように、商品Pの包装に際し、トレー51に商品Pを収納して、内蓋64を閉じ、トレー51の外周に外枠52を被せて、トレー51の端壁61及び側壁62の外面に外枠52の端壁71及び側壁72の内面をそれぞれ沿わせ、貼着片部65,76を接着剤で接着し、外枠52の蓋板73,74を閉じて、図12に示すように、粘着テープ53等で封緘する。
【0006】
また、この箱を小売店へ配送し、店頭で商品を展示する際には、図13に示すように、貼着片部65が接着されたままの状態で、貼着片76を外側へ引き出し、切開部75を切り開くことにより、トレー51と外枠52とを分離する。
【0007】
そして、トレー51に商品Pを載せたまま、トレー51から外枠52を上方へ引き抜いて、図14に示すように、トレー51の内蓋64から切板部66を切り取り、トレー51を天面から正面にかけて開放すると共に、切板部66を広告板として天面の後部に起立させ、訴求性を高めるようにして商品Pを展示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第3151355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような包装展示兼用箱では、トレー51に外枠52を被せる際、摺接する貼着片部65,76を接着剤で貼り合わせるのが難しく、このとき接着剤が他の部分に摺り広げられて、その後固化し、商品展示時に、トレー51から外枠52を引き抜くのが困難になったり、トレー51の側面が捲れたりするおそれがある。
【0010】
また、貼着片部65,76の接着力が十分でない場合、商品の輸送に際して、外枠52を抱持して持ち運ぶと、トレー51の荷重等により、接着部が剥離して、外枠52からトレー51が抜け落ちるおそれがある。
【0011】
そこで、この発明は、輸送時の包装状態を確実に維持しつつ、店頭での展示作業を簡単に行なうことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明は、商品を収納するトレーと、その外周に被せる外枠とから成り、トレーから外枠を抜き取って商品を展示する包装展示兼用箱において、前記トレーは、側壁及び端壁を連設した周壁並びに底壁を備え、端壁の上端に蓋板を連設したものとし、前記外枠は、側壁及び端壁を連設した周壁を備え、底面が開口し、周壁の上端に蓋受片を連設したものとし、商品包装時には、蓋受片を内側へ折り曲げ、その上に蓋板を被せて閉じ、商品展示時には、蓋板を開いて、トレーから外枠を抜き取るようにしたのである。
【0013】
また、前記トレーの外周に外枠を被せた状態で、トレーの蓋板を開いて、トレーの底壁を形成する底板を上方へ折り曲げることにより、扁平に折り畳めるようにしたのである。
【0014】
また、前記外枠の上部に封緘片を設け、この封緘片を、トレーの蓋板を有する蓋部材に貼り付け、商品展示時に、蓋部材を封緘片と共に切り取るようにしたのである。
【発明の効果】
【0015】
この包装展示兼用箱では、外枠の蓋受片の上にトレーの蓋板を被せているので、接着剤等でトレーと外枠とを固定しなくても、トレーが外枠の底面から抜け落ちることがなく、包装状態が確実に維持され、店頭では、トレーの蓋板を開いて、外枠をトレーから上方へ引き抜く出だけで、トレーに収納した商品を簡単に展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態に係る包装展示兼用箱の包装状態を示す背面斜視図
【図2】同上のトレーのブランクを示す図
【図3】同上の外枠のブランクを示す図
【図4】同上のトレー及び外枠の組立状態を示す分解背面斜視図
【図5】同上のトレーに外枠を被せた状態を示す正面斜視図
【図6】同上の折畳状態を示す斜視図
【図7】同上の組立後の包装状態から展示状態への開放過程を示す背面斜視図
【図8】同上のトレーからの外枠の引き抜き過程を示す背面斜視図
【図9】同上のトレーによる展示状態を示す正面斜視図
【図10】従来の包装展示兼用箱のトレーと外枠の分解斜視図
【図11】同上のトレーに外枠を被せた状態を示す斜視図
【図12】同上の封緘状態を示す斜視図
【図13】同上のトレーと外枠との分離過程を示す斜視図
【図14】同上のトレーによる展示状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示す包装展示兼用箱は、商品を収納するトレー1と、その外周に被せる外枠2とから成る段ボール製のものであり、レトルト食品等の商品の包装に使用される。
【0018】
図2に示すように、トレー1のブランクでは、一対の側壁11が正面となる端壁12を介して連設され、一方の側壁11に背面となる端壁13が連設されている。端壁13は、後述する外枠2の端壁23と同程度の高さとされ、側壁11及び端壁12は、端壁13よりも低く、端壁12の中間部は上方から大きく切り欠かれている。端壁13の外端には、側壁11の高さに対応する継代片14が連設されている。
【0019】
各側壁11の下端には底板15aが、端壁12,13の下端には底板15bがそれぞれ連設され、これらによりワンタッチ式の組立底が形成される。
【0020】
端壁13の上端には蓋板16及び差込片17が順次連設され、この蓋板16及び差込片17と端壁13の上部に設けられた切取部13aとで蓋部材18が形成されている。切取部13aは、端壁13の上端から少し下方へ離れた水平直線の切目線19aと、その両端から斜め外側へ向かうジッパ型の切目線19bとを入れて形成されている。
【0021】
また、図3に示すように、外枠2のブランクでは、一対の側壁21が正面となる端壁22を介して連設され、一方の側壁21に背面となる端壁23が、他方の側壁21に継代片24がそれぞれ連設されている。また、これらの境界には、折目線と共に、トレー1への挿入や折り畳みを容易にするため、切目が入れられている。
【0022】
各側壁21の上端には蓋受片25が連設され、その背面側となる端縁は、蓋板16との干渉を回避するため、側壁21の背面端より少し内側へずらされている。端壁23の上部は切取部13aと同様の形状に切り欠かれ、その切欠部の中央部には封緘片26が突設されている。封緘片26の基端には、ミシン目状の切目線27が入れられている。
【0023】
上記のようなブランクを包装展示兼用箱とするため、図4に示すように、トレー1を組み立てるには、一対の側壁11及び端壁12,13を角筒状に折り曲げ、継代片14を反対側の側壁11の内面に貼り付けて周壁を形成し、2組の底板15a,15bを内側へ折り曲げて1組ずつ貼り合わせ、底壁15を形成する。
【0024】
また、外枠2を組み立てるには、一対の側壁21及び端壁22,23を角筒状に折り曲げ、継代片24を端壁23の外面に貼り付けて周壁を形成する。
【0025】
そして、トレー1の外周に外枠2を上方から被せ、図5に示すように、トレー1の側壁11及び端壁12,13の外面に、外枠2の側壁21及び端壁22,23の内面がそれぞれ沿うようにし、封緘片26を切取部13aに貼り付ける。
【0026】
上記のような箱は、図6に示すように、トレー1の外周に外枠2を被せたまま、蓋板16を開いた状態で、底板15a,15bを上方へ折り曲げて、扁平に折り畳むことができるので、嵩張らない状態で箱を使用する業者へ効率よく輸送することができる。
【0027】
そして、業者が商品を箱詰めする際には、図5に示すように、トレー1と外枠2とを組み立てて、トレー1の底壁15を水平状態とし、蓋板16が開いた状態の天面から商品をトレー1に収納する。
【0028】
このように、上記のような箱では、トレー1と外枠2とを同時にワンタッチで組み立てて、商品を箱詰めすることができるので、包装作業の省力化を図ることができる。
【0029】
その後、図1に示すように、蓋受片25を内側へ折り曲げ、その上に蓋板16を被せて閉じ、差込片17を端壁22と蓋受片25の間に差し込んで、差込片17の両側基部の切込と蓋受片25の側縁の凸部とを係合させる。また、必要に応じて、封緘テープを端壁22から蓋板16へかけて貼り付ける。
【0030】
このような包装状態では、外枠2の蓋受片25の上にトレー1の蓋板16を被せているので、接着剤や粘着テープでトレー1と外枠2とを固定しなくても、持ち運び等に際し、トレー1が外枠2の底面から抜け落ちることがなく、包装状態が確実に維持される。
【0031】
一方、このように商品を包装した箱を小売店へ配送し、店頭で商品を展示する際には、図7に示すように、封緘片26を押すことにより、切目線27,19bを切断して、蓋部材18を封緘片26と共に切り取り、蓋板16を開き、差込片17を端壁22と蓋受片25の間から引き抜き、蓋部材18を除去する。
【0032】
なお、封緘テープを端壁22から蓋板16へかけて貼り付けた場合や、差込片17と蓋受片25の係合を解除しにくい場合には、差込片17を端壁22と蓋受片25の間に差し込んだままの状態としてもよい。
【0033】
そして、図8に示すように、トレー1から外枠2を上方へ抜き取ると、図9に示すように、天面から正面にかけて開放されたトレー1により、商品Gを買物客から見えやすいように展示することができる。
【0034】
このように、上記包装展示兼用箱では、店頭において、トレー1と外枠2の分離に手間取ることなく、外枠2をトレー1から上方へ抜き取って、トレー1に載せた商品Gを簡単に展示することができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、端壁13に切取部13aを設け、これに封緘片26を貼り付けるものを例示したが、蓋板16の基部に切取部13aを設け、この切取部13aに、切欠をなくした端壁23の上端から延びる封緘片26を切目線27に沿って折り曲げて貼り付けるようにしてもよい。
【0036】
また、開封性及び防犯性向上の機能が必要なければ、封緘片26や切取部13aを省略し、差込片17を端壁22と蓋受片25の間から引き抜いて、背面側をヒンジとして蓋板16を開くようにしてもよい。
【0037】
また、一対の側壁21の上端に蓋受片25を連設したものを例示したが、端壁22の上端に蓋受片25を連設し、蓋板16の両側に差込片17を連設するようにしてもよい。
【0038】
さらに、トレー1及び外枠2の周壁が四角筒状となったものを例示したが、これらの周壁が六角筒状や八角筒状等となるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 トレー
11 側壁
12,13 端壁
13a 切取部
14 継代片
15 底壁
15a,15b 底板
16 蓋板
17 差込片
18 蓋部材
19a,19b 切目線
2 外枠
21 側壁
22,23 端壁
24 継代片
25 蓋受片
26 封緘片
27 切目線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収納するトレー(1)と、その外周に被せる外枠(2)とから成り、トレー(1)から外枠(2)を抜き取って商品を展示する包装展示兼用箱において、前記トレー(1)は、側壁(11)及び端壁(12,13)を連設した周壁並びに底壁(15)を備え、端壁(13)の上端に蓋板(16)を連設したものとし、前記外枠(2)は、側壁(21)及び端壁(22,23)を連設した周壁を備え、底面が開口し、周壁の上端に蓋受片(25)を連設したものとし、商品包装時には、蓋受片(25)を内側へ折り曲げ、その上に蓋板(16)を被せて閉じ、商品展示時には、蓋板(16)を開いて、トレー(1)から外枠(2)を抜き取るようにしたことを特徴とする包装展示兼用箱。
【請求項2】
前記トレー(1)の外周に外枠(2)を被せた状態で、トレー(1)の蓋板(16)を開いて、トレー(1)の底壁(15)を形成する底板(15a,15b)を上方へ折り曲げることにより、扁平に折り畳めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装展示兼用箱。
【請求項3】
前記外枠(2)の上部に封緘片(26)を設け、この封緘片(26)を、トレー(1)の蓋板(16)を有する蓋部材(18)に貼り付け、商品展示時に、蓋部材(18)を封緘片(26)と共に切り取るようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装展示兼用箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−17127(P2012−17127A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155904(P2010−155904)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】