説明

包装材料、その製造方法およびプレススルーパック

【課題】 アルミニウム箔を含む基材の両面に印刷を施しても印刷ピッチの狂い(ずれ)が生じることなく、所定の位置に正確に印刷を施した包装材料、プレススルーパックおよび包装材料の製造方法を提供する。
【解決手段】 アルミニウム箔1の少なくとも一方面に位置するコーティング層2と当該アルミニウム箔とを含む基材と、基材の一方面に印刷された第1の印刷層3aと、基材の他方面に印刷された第2の印刷層3bとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料、その製造方法およびプレススルーパックに関し、詳しくは両面に印刷層を有する包装材料、その製造方法およびプレススルーパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム箔を含む包装材料は古くから知られており、両面に印刷層を有する包装材料も周知である(例えば特許文献1)。しかしながら、長尺のアルミニウム箔の両面に印刷(特にピッチ印刷)を施した場合、工程中にアルミニウム箔が長手方向〈圧延方向〉にわずかながら伸びるため、印刷層のピッチに狂い(ずれ)が生じるという問題がある。印刷のピッチに狂い(ずれ)が生じると、最終製品の寸法に裁断する際に、印刷した表示(内容物表示、品番、会社名、マーク、図柄、注意書き等)が途中で切れてしまったり、美観が損なわれるため、商品価値が著しく低下してしまい、場合によっては返品、クレーム、不採用といったトラブルを招き、実用化が困難であった。
【0003】
これを打開すべく、金属シートの両面に正確なピッチ印刷を施す方法が開示された(特許文献2)。この方法では、金属シートの幅方向端部に多数のガイド孔を穿孔する。このガイド孔ごとにピッチ印刷の始点が更新されるため、両面のピッチ印刷が大きくずれることがない。
【特許文献1】実公昭62−37727号公報
【特許文献2】特開平10−122371号公報、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ガイド孔を穿孔する方法では、金属シートの幅端部に多数のガイド孔を設ける必要があり、余分な工程が増える上、ガイド孔を設けた部分は、最終的には不要な部分となるので、無駄(ロス)が大きい。また、ガイド孔を設ける際にパンチ屑や切り屑が発生しやすく、これらの屑が製品に混入するおそれもあり、包装材料としては好ましくない。また、ガイド孔とかみ合うスプロケット等の移送手段が必要となり、通常の印刷機に大幅な改造を施す必要がある。このため、より簡単な機構により両面のピッチ印刷にずれを生じない方法や印刷用シートなどの開発が望まれていた。
【0005】
本発明の目的は、アルミニウム箔を含む基材の両面に印刷を施しても印刷位置(印刷ピッチ)の狂い(ずれ)が生じることなく、所定の位置に正確に印刷を施した包装材料、その製造方法およびプレススルーパックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装材料は、アルミニウム箔の少なくとも一方面に位置するコーティング層と当該アルミニウム箔とを含む基材と、基材の一方面に位置する第1の印刷層と、基材の他方面に位置する第2の印刷層とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、基材においてコーティング層がアルミニウム箔を補強しており、その基材が両面印刷の対象物になる。このため、第1の印刷層形成時などにおいて耐伸び性が向上し、両面印刷のずれを生じにくくなる。さらに、基材の伸びを制御することにより、高い精度でピッチ印刷を行うことによって、内容物の固有情報などを含んだシンボルなどの定位置印刷を行なうことが可能となる。ここで、上記の下地の一方面または他方面に位置するとは、当該下地に接触して位置する構成もあるし、他の層を介在させて当該他の層の上に位置する構成もあることを意味する。このあとの説明でも同様である。また、上記の第1および第2の印刷層は、どのような印刷層でもよく、たとえばベタ印刷層でもよいが、通常、ともに長尺方向にピッチ印刷されたピッチ印刷層である。ピッチ印刷層の場合、第1および第2の印刷層のピッチは同じであってもよいが、同じである必要はない。
【0008】
上記のコーティング層は顔料および染料の少なくとも一方を含む樹脂層であってもよい。これにより、コーティング層が顔料や染料で補強された樹脂層となるので、より一層、耐伸び性が向上し、両面印刷でずれを生じにくくなる。またコーティング層に色を付すことができ、包装材料のデザイン性を高めることが可能となる。
【0009】
上記のアルミニウム箔の耐力は、130MPa〜180MPaの範囲にあるのがよい。コーティング層形成時、ならびに第1および第2の印刷層形成時に、乾燥のために加熱され、アルミニウム箔は軟化して耐伸び性が劣化するが、包装材料の段階で耐力(0.2%耐力)が130MPa〜180MPaあれば、十分な強度を維持している。このため上記の耐力の下では、耐伸び性の劣化は限定的であり、上記のコーティング層の作用を得て、両面印刷のずれが問題にならないようにできる。
【0010】
また、上記のアルミニウム箔の破断伸びは、1.5%〜3.0%の範囲内にあるのがよい。コーティング層形成時、ならびに第1および第2の印刷層形成時に、乾燥のために加熱され、アルミニウム箔は軟化して耐伸び性が劣化する(破断伸びが増大する)が、包装材料の段階で破断伸びが1.5%〜3.0%の範囲内にあれば、十分な耐伸び性を維持している。このため上記の破断伸び下で、耐伸び性の劣化は限定的であり、上記のコーティング層の作用を得て、両面印刷のずれが問題にならないようにできる。上記の包装材料の段階で、耐力130MPa〜180MPaまたは破断伸び1.5%〜3.0%の範囲内のアルミニウム箔は、硬質アルミニウム箔を出発原料に用いている。硬質アルミニウム箔は、アルミニウム箔地を薄くロールで圧延して箔にしたあと、焼鈍しない状態のものをさす。
【0011】
上記の第1の印刷層をピッチ印刷によって形成した印刷層とし、また第2の印刷層をピッチ印刷によって形成した印刷層とすることができる。これにより、プレススルーパック等に使用するのに好適な包装材料を提供することができる。第1の印刷層のピッチと、第2の印刷層のピッチとは同じであってもよいが、同じである必要はない。
【0012】
上記の第1の印刷層および前記第2の印刷層が同じピッチの印刷層であり、第1の印刷層のピッチの最大値Amax、最小値Amin、また第2の印刷層のピッチの最大値Bmax、最小値Bminとしたとき、(Amax−Amin)、(Amax−Bmin)、(Bmax−Amin)および(Bmax−Bmin)が、いずれも100μm以下となるようにするのがよい。最大値および最小値の測定は、裁断された小さな包装材料であれば、その包装材料のなかで片面あたり5〜10個程度のピッチを測定して、最大値および最小値を求めればよい。包装材料が長尺物である場合は、巻き始めと巻き終わりの部分で、それぞれ片面あたり10〜20個程度のピッチを測定して、最大値および最小値を求めればよい。上記のコーティング層などの作用およびピッチずれを防止する他の方策の作用により、上記の精度とすることができ、その結果、プレススルーパック等に使用するのに問題のないずれ範囲にすることができ、利用者は信頼感をもって包装材料の印字を容易に確認することが可能となる。
【0013】
上記の第1の印刷層および第2の印刷層の少なくとも一方の上にさらに熱接着層を備えてもよい。この構成により、両面印刷ピッチのずれが抑制された熱接着性の包装材料を得ることができ、プレススーパック等に使用することができる。
【0014】
本発明のプレススルーパックは、上記のいずれかの包装材料を用いたことを特徴とする。この構成により、印刷ピッチを基準としてポケットを設けることが可能となり、利用者は両面印刷の印字を、信頼感をもって確認することが容易となる。
【0015】
本発明の包装材料の製造方法は、コイル状のアルミニウム箔を引き出しながら、該アルミニウム箔の少なくとも一方面に、コーティング液を塗布し、次いで乾燥してコーティング層を形成し、当該アルミニウム箔およびコーティング層を含む基材をコイル状に巻き取る工程を備える。そして、コイル状の基材を引き出しながら該基材の一方面にピッチ印刷で第1の印刷層を形成し、コイル状に巻き取る工程と、第1の印刷層が形成されたコイル状の基材を引き出しながら該基材の他方面にピッチ印刷で第2の印刷層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
この構成により、アルミニウム箔にコーティング層を焼き付けたものを用いるので、焼き付けの加熱処理により原料(出発)アルミニウム箔に比べて軟化して耐伸び性が劣化しても、基材全体はアルミニウム箔単独の場合に比べて、十分な耐伸び性を維持できる。すなわちコイル状の基材をコイルから引き出しながら(このとき張力付加が必須)、印刷層を形成するとき伸びは抑制される。この結果、両面ピッチ印刷におけるずれを抑えることができる。さらに、基材の伸びを制御することにより、高い精度でピッチ印刷を行うことによって、内容物の固有情報などを含んだシンボルなどの定位置印刷を行なうことが可能となる。第2の印刷層を形成したあと、そのまま裁断されてもよいし、再びコイル状に巻き取られてもよい。上述のように、出発原料のアルミニウム箔はコイルに巻き取られており、コーティング層の形成時に引き出されてコーティング液の塗布および乾燥をされて、再びコイルに巻き取られる。そして、第1の印刷層形成の際もコイル状態から引き出されて印刷および乾燥をされ、再びコイルに巻き取られる。このコイルからの引き出し、および再度の巻き取りにおいて一定の張力が付加され、長尺のアルミニウム箔が乱れた状態になるのを防止している。オーバーコート層や熱接着層の形成などにおいても、同様の処理がなされる。
【0017】
また、上記のコーティング層を形成する前の原料のアルミニウム箔に、耐力160MPa以上のものを用いることができる。これにより、コーティング層の焼き付けや印刷層の焼き付けの際に軟化が生じて伸びやすくなっても、耐伸び性の劣化を限定的にすることができ(出発原料の耐力が高いため)、上記コーティング層の作用と合わせて、両面印刷のずれをより小さくする抑制することが可能となる。
【0018】
また、上記のコーティング層を形成する前の原料のアルミニウム箔に、破断伸び2.5%以下のものを用いることができる。これにより、コーティング層の焼き付けや印刷層の焼き付けにより伸びやすくなっても、耐伸び性の劣化を限定的にすることができ、上記コーティング層の作用と合わせて、両面印刷のずれをより小さく抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態における包装材料10を示す図である。本発明に用いるアルミニウム箔1(出発材料としての長尺のアルミニウム箔)は、アルミニウム箔を用いる限り、公知のアルミニウム箔を使用することができるが、好ましくは耐力(0.2%耐力)160MPa以上(さらに好ましくは160MPa〜180MPa)、伸び(破断伸び)1.0%〜2.5%の硬質アルミニウム箔を用いるのがよい。耐力160MPa未満の場合には、焼き付けの加熱処理および工程中にかかる張力によりアルミニウム箔が伸びてしまい、ピッチ印刷の場合、印刷ピッチが狂ってしまうおそれがある。アルミニウム箔の純度は特に制限されるものではないが、JIS等に規定される公知のアルミニウム箔を使用することができる。なお、本説明において耐力(0.2%耐力)および伸び(破断伸び)は、特に断りのない限り、アルミニウム箔の長手方向(アルミニウム箔の圧延方向:長尺のアルミニウム箔をコイル状に巻き取った際の巻取り方向)の機械的性質である。ピッチ印刷は長手方向に一定のピッチで繰り返し印刷する。
【0020】
機械的性質を得るための試験条件は、つぎのとおりである。
(1)試料(試験片)全長:200mm
(2)試料(試験片)幅:15mm
(3)つかみ具間の距離:100mm
(4)標点:なし(伸びはつかみ具の移動距離=チャートによる)
(5)歪速度:30mm/分
(6)測定機種:島津製作所株式会社製オートグラフ
【0021】
アルミニウム箔1の少なくとも一方面(好ましくは艶面)には、その全面にコーティング層2を設けることにより、アルミニウム箔の機械的性質を安定に保つことができる。この理由は定かでないが、アルミニウム箔1へコーティング層2を設ける際の張力、その後の乾燥工程およびコーティング層2の積層効果(補強作用)が相乗的に寄与していると考えられる。コーティング層2の主成分は塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース等から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。勿論、必要に応じて公知の有機溶剤(シンナー、トルエン、等)で希釈して、グラビア印刷、ロールコート等により塗布することができる。
【0022】
コーティング層2には公知の顔料または染料等を含ませてもよい。願料または染料の含有量は(固形分で)20重量%以下、好ましくは10〜20重量%とすればよい。顔料としては、硫酸バリウム、亜鉛華、鉄黒、黄色酸化鉄、群青、紺青、タルク、炭酸カルシウム、コバルトブルー、べんがら、モノアゾ系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系(キナクリドンレッド)、イソインドリノン系、チオインジゴ系、ピロロピロール系、ペリレン系、ジスアゾ系(ジスアゾイエロー)、酸化チタン、フタロシアニン系(フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー)、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック等およびそれらのチップ顔料等から選ばれる少なくとも1種を用いればよい。
【0023】
本説明においては、コーティング層2を設けたアルミニウム箔を基材と呼ぶが、コーティング層以外にプライマー層、アンカーコート層、その他公知の第三層を積層しても差し支えない。基材の一方面には第1の印刷層3a、基材の他方面には第2の印刷層3bを設ける。各印刷層の図柄は内容物の製品名、グレード名、ロット、内容量、製造年月日、注意書き、効能、使用法(開封方法)、バーコード等を含むものであればよいが、俗に言うベタ印刷ではなくピッチ印刷(所定の一定間隔で同じ図柄を繰り返しての印刷)であるのが好ましい。印刷層3a,3bに用いる樹脂や顔料は、コーティング層2で使用するものと同様のものを使用することができる。
【0024】
印刷の方法は特に制限されるものではないが、基材の一方面に第1の印刷層3aを設けた後、基材の他方面に第2の印刷層3bを設ければよい。ピッチ印刷の場合、第1の印刷層のピッチの第2の印刷層のピッチに対する比は、整数または整数の逆数もしくは有理数であるのが好ましく、より好ましくは(第1の印刷層のピッチ):(第2の印刷層のピッチ)=1:1である。この場合(1:1の場合)、第1の印刷層のピッチと第2の印刷層のピッチの差は、上述の最大値と最小値との間の差で100μm以下であることが好ましい。何故なら100μmを超えると表裏の印刷部の相対位置がズレてしまい所定の位置に印刷部を収めるのが困難となる。また第1の印刷層のピッチと第2の印刷層のピッチの精度(最大のピッチ−最小のピッチ)はそれぞれ100μm以下であるのが好ましい。なお、第1の印刷層および第2の印刷層とも多色刷りであってもよいのは言うまでも無い。また、図2に示すように、印刷層の外面には必要に応じてニトロセルロース系、エポキシ系の樹脂にセラック、アクリル、ブチラール等の樹脂を添加したオーバーコート層4(オーバープリント層ともいう)を形成してもよい。
【0025】
基材の両面に印刷層3a,3bを設けた後、その一方外面に、図2に示すように、熱接着層5を設けることができる。熱接着層5は特に制限されるものではないが、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、塩素化ポリプロピレン、カルボキシル化ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物を主成分とする熱可塑性接着剤を用いることができる。
【0026】
つぎに本発明の包装材料の製造方法について説明する。耐力160MPa以上の長尺アルミニウム箔の少なくとも片面にコーティング層2を設ける。コーティング方法は特に制限されるものではないが、グラビア印刷法、ロールコート法等によればよい。コーティング後、加熱処理によりコーティング層を硬化(乾燥固化)すればよいが、通常100℃〜240℃程度の乾燥器中で3秒〜30秒程度加熱すればよい。
【0027】
コーティング層2を設けたアルミニウム箔を基材とし、先ず、図3に示すように、基材の幅方向端部に基準点となるアクセサリーマーク(見当合わせマーク)23を付ける。アクセサリーマーク23は印刷の位置合せのためのマークであり、たとえば200mm程度の間隔で長手方向に沿って、表裏同じ位置(アルミニウム箔を挟んで対象の位置)に黒色等の印刷により十字型のマークをつければよい。
【0028】
基材の一方面にアクセサリーマーク23を基準として、第1の印刷層3aを設ける。上述したように第1の印刷層3aは多色刷りであってもよい。このとき同時に、レジスターマーク25をピッチ間隔Aで印刷する。第1の印刷層3aの印刷後には上述と同様の加熱処理(乾燥処理)を施せばよい。次に基材の他方面に前記アクセサリーマークを基準として第2の印刷層3bを設ける。第2の印刷層3bも多色刷りであってもよい。第1の印刷層の形成と同様に、このとき同時に、レジスターマーク25をピッチ間隔B(Aと同じ)で、ピッチ印刷する。レジスターマーク25の間隔A,Bがピッチ印刷のピッチの指標として、このあと説明するパッケージングの位置合せやピッチ測定に用いられる。また、第2の印刷層の印刷後も、上記と同様の加熱処理(乾燥処理)を施せばよい。
【0029】
第2の印刷層3bを設けた後、いずれかの外面(好ましくはアルミニウム箔の艶消面側の外面)に熱接着層5を設ければよい。熱接着層5を設ける方法は、特に制限されるものではなく、グラビア印刷、ロールコート、等によればよい。上記第1および第2の印刷層形成後に、またはパッケージを行うクライアントへの出荷時に、アクセサリーマーク23を含む端部は、切り取り線L1により除去するのが普通である。
【0030】
上記方法では、出発材料としてロール状のアルミニウム箔原反を用い、各工程中はアルミニウム箔の長手方向(巻き方向)に15〜30N程度の張力を付与しながら連続的に処理するのが好ましい。
【0031】
本発明の包装材料は、薬品等の包装材料として好適であり、特にPTP(プレススルーパック)包装の蓋材に使用するのが好ましい。PTP包装は、薬剤を収容するポケットの位置が規則正しく並んでいるため、蓋材の表示部(印刷位置)とポケットの位置を厳密に一致させることが要求されるからである。印刷位置とポケットの位置を厳密に一致させるのに、レジスターマーク25が用いられる。このパッケージングにおける位置合せが終わると、レジスターマーク25を含む端部は、切り取り線L2により除去される。図4は、図2および図3に示す包装材料10を用いたプレススルーパック50を示す図である。プレススルーパック50では、多数のポケット部7aの周りに透明なフランジ部7bを設けた収納体7に、包装材料(裏貼りシート)10を熱接着したものである。図2に示す包装材料10の熱接着層5を、収納体7のフランジ部7bに熱接着することにより、プレススルーパック50を形成する。錠剤Tは収納体7のポケット部7aに収納される。透明なオーバーコート層4側の印刷層3bは、必要によりオーバーコート層4の外面側に設けてもよい。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
厚さ20μmで幅525mmの長尺の硬質アルミニウム箔(0.2%耐力:171MPa、破断伸び1.8%)の艶面に、酸化チタン顔料を固形分比20質量%含有し、変性ポリプロピレン樹脂をバインダーとしたインキを乾燥塗布量が約1.5g/mとなるようにグラビア法により全面塗布し、雰囲気温度210℃の乾燥炉中で5秒加熱乾燥させた(コーティング層2の形成)。
【0033】
次に、得られた基材の一方面に大日本インキ化学(株)製ニトロセルロース系インキTF842カネボウコンアイをグラビア法にて乾燥塗布量0.5g/mとなるように包装体の内容物に関する文字、デザイン等をピッチ印刷し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させ(第1の印刷層3aの形成)、そのあとガラススケールにてレジスターマークを基準として印刷ピッチの測定を行い、他方面にも同様の印刷を施し、同様の乾燥処理を施した(第2の印刷層3bの形成)。さらに艶面側の印刷を施した面上にグラビアロールを用いて(株)リーダー製ニトロセルロース系耐熱性樹脂コート剤LD450LGクリアーを乾燥塗布量が約1.5g/mとなるように塗布し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させた(オーバーコート層4の形成)。その後もガラススケールにてレジスターマークを基準として印刷ピッチの測定を行った。
【0034】
上記の処理工程はつぎのように要約される。(1)硬質アルミニウム箔の一方面にコーティング層形成(210℃×5秒)→(2)基材の両面にアクセサリーマーク付着→(3)基材の一方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(4)レジスターマークを基準として印刷ピッチ測定→(5)前記と同じピッチ間隔で基材の他方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(6)オーバーコート層形成(180℃×5秒)→(7)レジスターマークを基準として印刷ピッチ測定
【0035】
上記の(4)および(7)のレジスターマークを基準とした印刷ピッチの測定をガラススケールにて測定した結果は、印刷ピッチはいずれも33.1〜33.2mmの間でしか変化しなかった。また、コーティング層、印刷層およびオーバーコート層を、剥離除去後のアルミニウム箔の0.2%耐力は132MPa、破断伸びは2.2%であった。
【0036】
(実施例2)
厚さ20μmで幅590mmの長尺の硬質アルミニウム箔(0.2%耐力:171MPa、破断伸び1.8%)の艶面に、グラビア法で酸化チタンを顔料として固形分比20質量%添加した、変性ポリプロピレン樹脂をバインダーとしたインキを乾燥塗布量が約1.5g/mとなるように全面塗布し、雰囲気温度210℃の乾燥炉中で5秒加熱乾燥させて印刷前の加熱処理をした(コーティング層2の形成)。
【0037】
次に、得られた基材の両面に大日本インキ化学(株)製ニトロセルロース系インキTF842ゲンショクアイセミコンクをグラビアにて乾燥塗布量0.5g/mとなるように包装体の内容物に関する文字、デザイン等をピッチ印刷し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させ(第1および第2の印刷層3a,3bの形成)、そのあとガラススケールにてレジスターマークを基準として印刷ピッチの測定を行った。さらに艶面側の印刷を施した面上にグラビアロールを用いて(株)リーダー製ニトロセルロース系耐熱性樹脂コート剤LD450LGクリアーを乾燥塗布量が約1.5g/mとなるように塗布し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させた(オーバーコート層4の形成)。
【0038】
上記の処理工程はつぎのように要約される。(1)硬質アルミニウム箔の一方面にコーティング層形成(210℃×5秒)→(2)基材の両面にアクセサリーマーク付着→(3)一方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(4)前記ピッチと同じピッチ間隔で他方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(5)レジスターマークを基準として印刷ピッチ測定→(6)オーバーコート層形成(180℃×5秒)
【0039】
上記(5)レジスターマークを基準とした印刷ピッチの測定の結果、印刷ピッチは48.9〜49.0mmの間でしか変化しなかった。
【0040】
(実施例3)
厚さ20μmで幅455mmの長尺の硬質アルミニウム箔(0.2%耐力:171MPa、破断伸び1.8%)の艶面に、グラビアで酸化チタンを顔料として固形分比25質量%添加した、ニトロセルロース系樹脂をバインダーとしたインキを乾燥塗布量が約1.5g/mとなるように全面塗布し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒加熱乾燥させて印刷前の加熱処理をした(コーティング層2の形成)。
【0041】
次に、得られた基材の両面に大日本インキ化学(株)製ニトロセルロース系インキTF842ゲンショクアイセミコンクおよびTF842ムラサキを45:55で配合したインキをグラビア法にて乾燥塗布量0.5g/mとなるように包装体の内容物に関する文字、デザイン等をピッチ印刷し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させ(第1および第2の印刷層3a,3bの形成)、そのあとガラススケールにてレジスターマークを基準として印刷ピッチの測定を行った。さらに艶面側の印刷を施した面上にグラビアロールを用いて(株)リーダー製ニトロセルロース系耐熱性樹脂コート剤LD452クリアーを乾燥塗布量が約1.5g/mとなるように塗布し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させた(オーバーコート層4の形成)。
【0042】
上記の処理工程はつぎのように要約される。(1)硬質アルミニウム箔の一方面にコーティング層形成(180℃×5秒)→(2)基材両面にアクセサリーマーク付着→(3)一方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(4)前記と同じピッチ間隔で他方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(5)レジスターマークを基準として印刷ピッチ測定→(6)オーバーコート層形成(180℃×5秒)
【0043】
上記(5)レジスターマークを基準とした印刷ピッチの測定の結果、印刷ピッチは32.1〜32.2mmの間でしか変化しなかった。
【0044】
(比較例1)
厚さ20μmで幅655mmの長尺の硬質アルミニウム箔(0.2%耐力:171MPa、破断伸び1.8%)の両面に大日本インキ化学(株)製ニトロセルロース系インキTF842カネボウコンアイをグラビアにて乾燥塗布量0.5g/mとなるように包装体の内容物に関する文字、デザイン等をピッチ印刷し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させ(第1および第2の印刷層3a,3bの形成)、そのあとガラススケールにてレジスターマークを基準として印刷ピッチの測定を行った。さらに艶面側の印刷を施した面上にグラビアロールを用いて(株)リーダー製ニトロセルロース系耐熱性樹脂コート剤LD450LGクリアーを乾燥塗布量が約1.5g/mとなるように塗布し、雰囲気温度180℃の乾燥炉中で5秒間加熱乾燥させた(オーバーコート層4の形成)。
【0045】
上記の処理工程はつぎのように要約される。(1)硬質アルミニウム箔の両面にアクセサリーマーク付着→(2)一方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(3)前記と同じピッチ間隔で他方面ピッチ印刷(180℃×5秒)、同時に当該ピッチ印刷と同じピッチ間隔のレジスターマークを前記アクセサリーマークと当該ピッチ印刷領域との間に印刷→(4)レジスターマークを基準として印刷ピッチ測定→(5)オーバーコート層形成(180℃×5秒)
【0046】
上記(4)の硬質アルミニウム箔のレジスターマークを基準とした印刷ピッチの測定をガラススケールにて測定した。その結果、印刷ピッチは32.0〜32.4mmの間で変動した。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の包装材料は、アルミニウム箔の少なくとも一方面にコーティング層を積層して基材を形成することによりその基材の伸びを抑制し、高い精度でピッチ印刷を行うことができる。このため錠剤等の内容物の使用者は、両面の印刷の始点と終点とが明確に揃った、整然と印字された包装体の文字情報を、高い信頼感を持って容易に確認することができる。さらに、基材の伸びを制御することにより、高い精度でピッチ印刷を行うことによって、内容物の固有情報などを含んだシンボルなどの定位置印刷を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態における包装材料を説明する図である。
【図2】図1の包装材料の変形例を示す図である。
【図3】印刷の位置合せおよびパッケージングの位置合せに用いられるマークを説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるプレススルーパックを説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1 アルミニウム箔、2 コーティング層、3a,3b 印刷層、4 オーバーコート層、5 熱接着層、10 包装材料、23 アクセサリーマーク、25 レジスターマーク、50 プレススルーパック、T 錠剤、L1,L2 切り取り線、A,B 印刷ピッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム箔の少なくとも一方面に位置するコーティング層と当該アルミニウム箔とを含む基材と、
前記基材の一方面に位置する第1の印刷層と、
前記基材の他方面に位置する第2の印刷層とを備えることを特徴とする、包装材料。
【請求項2】
前記コーティング層が顔料および染料の少なくとも一方を含む樹脂層であることを特徴とする、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記アルミニウム箔の耐力が、130MPa〜180MPaの範囲にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記アルミニウム箔の破断伸びが、1.5%〜3.0%の範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の包装材料。
【請求項5】
前記第1の印刷層がピッチ印刷された印刷層であり、前記第2の印刷層がピッチ印刷された印刷層であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の包装材料。
【請求項6】
前記第1の印刷層および前記第2の印刷層が同じピッチの印刷層であり、前記第1の印刷層のピッチの最大値Amax、最小値Amin、また前記第2の印刷層のピッチの最大値Bmax、最小値Bminとしたとき、(Amax−Amin)、(Amax−Bmin)、(Bmax−Amin)および(Bmax−Bmin)が、いずれも100μm以下であることを特徴とする、請求項5に記載の包装材料。
【請求項7】
前記第1の印刷層および第2の印刷層の少なくとも一方の上にさらに熱接着層を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の包装材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の包装材料を用いたことを特徴とする、プレススルーパック。
【請求項9】
コイル状のアルミニウム箔を引き出しながら、該アルミニウム箔の少なくとも一方面に、コーティング液を塗布し、次いで乾燥してコーティング層を形成し、当該アルミニウム箔およびコーティング層を含む基材をコイル状に巻き取る工程と、
前記コイル状の基材を引き出しながら該基材の一方面にピッチ印刷で第1の印刷層を形成し、コイル状に巻き取る工程と、
前記第1の印刷層が形成されたコイル状の基材を引き出しながら該基材の他方面にピッチ印刷で第2の印刷層を形成する工程とを備えることを特徴とする、包装材料の製造方法。
【請求項10】
前記コーティング層を形成する前の原料のアルミニウム箔に、耐力160MPa以上のものを用いることを特徴とする、請求項9に記載の包装材料の製造方法。
【請求項11】
前記コーティング層を形成する前の原料のアルミニウム箔に、破断伸び2.5%以下のものを用いることを特徴とする、請求項9または10に記載の包装材料の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−253949(P2007−253949A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76518(P2006−76518)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(399054321)東洋アルミニウム株式会社 (179)
【Fターム(参考)】