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包装材料の化学殺菌に適した水溶液、その製造方法及びその使用
説明

包装材料の化学殺菌に適した水溶液、その製造方法及びその使用

【課題】包装材料を化学殺菌するための水溶液浸漬浴液及び噴霧液水溶液を提供する。
【解決手段】過酸化水素と、少なくとも1種の食品適合性安定剤を含む。前記安定剤を除く前記水溶液は、PO43-で表される最大リン含量が10mg/kgであり、かつ最高10mg/kgの105℃における乾燥残渣を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2005年9月12日提出の欧州特許出願05108331.9(本明細書で援用する)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、包装材料、特に過酸化水素を含有する包装材料の化学殺菌に適した水溶液に関する。本発明は、この水溶液の製造方法及び包装材料の化学殺菌のための該水溶液の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
包装材料の化学殺菌のため過酸化水素溶液を使用することは公知である。2種の該無菌包装法が存在する。第1の無菌包装法は、例えば欧州特許出願EP 0342485に記載されているような、包装材料を過酸化水素溶液に浸漬する浸漬浴包装法である。該方法の殺菌は、通常高温、典型的に80℃で操作される。この高温で過酸化水素が分解するのを防止するため、殺菌溶液に高量の安定剤が存在しなければならない。
第2の無菌包装法は、例えば独国特許出願DE 19945500に記載されているような、包装材料を過酸化水素溶液で浄化する噴霧包装法である。これら方法で使用する過酸化水素溶液は、エバポレーター又は噴霧セクションにおける皮殻(incrustation)を防止し、それによって頻繁な清浄を回避するため、乾燥残渣が非常に少なくなければならない。乾燥残渣は、とりわけ、H2O2溶液中に存在する安定剤に由来しうる。そのため、噴霧技術は低量の安定剤を必要とする。
【0004】
従って、現在まで、これら2種の方法で2種の異なった過酸化水素溶液を使用することを避けられない。このことは、現場で両方法を最も多く行う、包装機械の使用者が2つの異なる貯蔵施設を処理することを強い、これら2つの製品の1つを取るときに誤る可能性がある。
噴霧法と浸漬浴法の両方で使用できる単一の過酸化水素溶液を開発する試みにおいて、SOLVAY INTEROX GmbHの米国特許出願US 2004/0247755は、新しい食品適合性安定剤、すなわちアミノトリスメチレンホスホン酸を提案している。特に浸漬浴法において、この安定剤を低量で効率的に使用することができる。しかしながら、このH2O2溶液の乾燥残渣は、噴霧技術でも適合性であるためにはまだ多すぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、浸漬浴法と噴霧法の両方で包装材料の化学殺菌のために使用でき、かつ以下の特徴を有する新規な過酸化水素溶液を開発することにある:
・安全である
・薬局方の基準と適合する
・過酸化水素製造の自動酸化プロセスのため生じるアントラキノンのような有害な汚染物を含まない
・噴霧法装置のヒーターブロック内又は浸漬浴法装置のゴムローラー上の皮殻若しくは沈着物を回避する
・輸送及び貯蔵安定性である
・食品グレードの品質の法的要求又は適用される他のいずれの規則をも満たす
・操作中少なくとも120時間安定である
・包装機械の簡単な清浄及び維持のための水又は希酸に可溶性の安定剤を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、包装材料の化学殺菌に適した水溶液であって、過酸化水素と少なくとも1種の食品適合性安定剤を含み、前記食品適合性安定剤を除く前記溶液は、PO43-として表される最大リン含量が10mg/kgであり、かつ最高10mg/kgの105℃における乾燥残渣を示す、水溶液に関する。
【0007】
本発明の1つの特徴は、乾燥残渣を少なくするため、食品適合性安定剤の添加前に該溶液中に存在する低量の不純物と相まって、好ましくは十分に低量で食品適合性安定剤を使用することにある。この組合せが、浸漬浴法と噴霧法の両無菌包装法で使用できる単一の過酸化水素溶液の提供を可能にした。
前記食品適合性安定剤を除く本発明の水溶液は、PO43-として表される最大リン含量が10mg/kgである。この含量は多くの場合8mg/kg以下である。ほとんどの場合、この含量は5mg/kg以下である。これは好ましくは2.5mg/kg以下である。一般的に、最大リン含量は0.1mg/kg以上である。リン含量は周知のICP-法で測定される。
本発明の水溶液(食品適合性安定剤を含む)は通常、PO43-として表される最大リン含量が10mg/kgである。この含量は、好ましくは8mg/kg以下である。多くの場合、該含量は0.1mg/kg以上である。
本発明の水溶液は、1mg/kgの最大塩素含量を有する。この含量は多くの場合0.75mg/kg以下である。ほとんどの場合、これは0.5mg/kg以下である。これは好ましくは0.1mg/kg以下、最も好ましくは0.05mg/kg以下である。通常、この含量は0.001mg/kg以上である。
【0008】
前記食品適合性安定剤を除く本発明の水溶液は、最高10mg/kg、通常、最高7mg/kg、好ましくは最高5mg/kgの105℃における乾燥残渣を示す。この乾燥残渣はしばしば0.1mg/kg以上、特に0.5mg/kg以上であり、多くの場合、少なくとも1mg/kgである。以下の手順の重量法によって、食品適合性安定剤の添加前の溶液について乾燥残渣を測定する:
1. 900℃のマッフル炉内に白金皿を1時間置く。
2. この皿をデシケーター内で冷却してから0.0001gの単位まで秤量し;この重量をBgとする;
3. 100mlのビーカーを0.0001gの単位まで秤量し、この重量を記録し;このビーカーに以下のものを加える:
・100gの試料(H2O2濃度が50%以下の場合)
・50gの試料(H2O2濃度が50%を超える場合)。
4. ビーカーを0.0001gの単位まで再秤量する。試料の添加前後のビーカーの重量の差をWgとする。
5. 50gの試料を使用する場合、脱塩水で試料を約100mlまで希釈する。
【0009】
6. 冷却水で包囲した白金の蒸発皿に少しずつかつ慎重に試料を移す。皿が極端にきれいな(輝いてる)場合、皿は凍るだろう。相当量の熱の生成と気体の発生によって過酸化水素の分解が伴うことに注意しなければならならず;十分に冷却しながら慎重に少しずつ試料を添加しなければならない。
7. 蒸気浴上で、乾燥するまで慎重に溶液を蒸発させる。蒸発前に過酸化水素を完全に分解させ損なうと、爆発の危険を生じさせるのに十分に試料を濃縮しうることに注意しなければならない。
8. 皿を105℃のオーブン内に少なくとも1時間置く。
9. 皿をデシケーター内で30分間冷却し、0.0001gの単位まで秤量する。この重量をAgとする。
10. 下記式を用いて105℃における残渣を計算する。
105℃における残渣(g/kg)={(A−B)/W}×100
式中、
・A(g)は蒸発残渣を含む皿の重量
・B(g)は空の皿の重量
・W(g)は皿に試料を加えた重量。
【0010】
本発明の水溶液(食品適合性安定剤を含む)は、最高10mg/kg、好ましくは最高7mg/kgの、上記手順で測定した105℃における乾燥残渣を示す。この乾燥残渣は多くの場合0.1mg/kg以上であり、最も多くは0.5mg/kg以上である。
本発明の水溶液は、一般的に、20〜150μS/cm、特に50〜90μS/cmの伝導率を示す。DIN IEC 60746-1規格の方法で伝導率を測定する。例えば硝酸アンモニウム又は鉱酸などの塩を水溶液に添加することによって水溶液の伝導率を調整することができる。
本発明の水溶液は、通常10〜50%wt、特に20〜45%wt、最も好ましくは30〜40%wt、典型的に約35%wtの過酸化水素濃度を示す。ISO規格7157(ドラフトバージョン)に従って過酸化水素濃度を測定する。
本発明の水溶液は、通常5mmol/kgの最大酸性度を示す。
【0011】
本発明の水溶液は食品適合性安定剤を含む。食品適合性ホスホン酸からこの安定剤を選択することができる。例は、特許出願US 2004/0247755(この内容を本明細書で援用する)に記載されているアミノトリスメチレンホスホン酸である。安定剤の量は、一般的にH2O2溶液1kg当たり少なくとも0.5mg(100%の安定剤)、特にH2O2溶液1kg当たり少なくとも1mgである。この量は、通常H2O2溶液1kg当たり50mg(100%の安定剤)以下、特にH2O2溶液1kg当たり10mg以下、好ましくはH2O2溶液1kg当たりは8mg以下である。この量は、例えばH2O2溶液1kg当たり約5mg(100%の安定剤)である。例えば50%wtの安定剤を含む水溶液の形態で安定剤を使用できる。
安定剤の存在のため、本発明の水溶液中の過酸化水素濃度は高い安定性を示す。通常、96℃で16時間後の滴定損失の相対パーセンテージが最初の過酸化水素濃度の5%以下であるように、過酸化水素濃度は安定である。ISO規格7161(ドラフトバージョン)の方法で該安定性を測定する。
【0012】
過酸化水素の水溶液を調製し、乾燥残渣が上述したような範囲に精製できるいずれの適切な方法によっても本発明の水溶液を調製でき、該水溶液に、乾燥残渣が上述したように十分に低量で食品適合性安定剤を添加することによって、本発明の水溶液を調製できる。
過酸化水素溶液の可能な製造法はKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 1981, 3rd Edition, vol 13, pages 16-21に記載されているようなアントラキノン、水素及び酸素を使用する周知の自動酸化法にある。
そのようにして得た過酸化水素溶液の可能な精製法は、膜を用いる逆浸透法によって過酸化水素溶液を処理することにある。例は、SOLVAY(Societe Anonyme)が所有する特許出願EP 0930269及びWO2005/033005で見つかるだろう。
【0013】
従って、本発明は、上記水溶液の製造方法であって、過酸化水素溶液に安定剤を添加する前に、膜を用いる逆浸透法で過酸化水素溶液を精製する方法にも関する。
包装材料の化学殺菌のために本発明の水溶液を有利に使用できる。従って、本発明は、包装材料の化学殺菌のための上記水溶液の使用にも関する。
本発明の水溶液の1つの利点は、浸漬浴無菌包装法における浸漬浴液としてのみならず噴霧無菌包装法における噴霧液として同一溶液を使用できるという事実にある。
別の利点は、特に浸漬浴無菌包装法で使用するときの本発明の水溶液の高い安定性にある。この安定性は、以下のように表される:多くの場合、過酸化水素濃度が、少なくとも120時間の操作中10%を超えては初期値と異ならない。
低い安定剤含量のため、噴霧包装機械のヒーター内の皮殻及び妨害物の危険が最小限である。
【0014】
以下の実施例の例示によって本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0015】
自動酸化プロセス後、蒸留によって未精製の過酸化水素溶液を調製した。最終生成物は以下の特徴を示した:
H2O2濃度: 35%w/w
微量金属:
Al <0.1ppm
Cr 0.03ppm
Fe 0.12ppm
Ni 0.02ppm
Cl 0.1ppm
SO42- 0.1ppm
PO43-としてのP 17.3ppm
総有機炭素(TOC): 50ppm
乾燥残渣: 25ppm
【0016】
次に、この溶液を、HYDRANAUTICS社によって供給されるSWC 3型の膜を用い、約28バールの圧力にて逆浸透法で精製した。最終精製生成物は以下の特徴を示した:
H2O2濃度: 35%w/w
微量金属:
Al <0.005ppm
Cr <0.002ppm
Fe <0.005ppm
Ni <0.002ppm
Cl <0.005ppm
SO42- <0.05ppm
PO43-としてのP <1ppm
総有機炭素(TOC): <5ppm
乾燥残渣: <2ppm
【0017】
次に、50%wt水溶液の形態でH2O2溶液1kg当たり10mgの量で安定剤としてアミノトリスメチレンホスホン酸を加えた(商標名CUBLEN AP1(製造業者ZSCHIMMER & SCHWARZ, MOHSDORF GmbH & Co KG))。
この安定化H2O2水溶液をTBA 8、TBA 9、TBA 19及びTBA 21型の浸漬浴無菌包装機械のみならずCOMBIBLOC社の噴霧無菌包装機械で連続的に使用した。両タイプの機械は少なくとも120時間、性能が落ちることなく作動した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料の化学殺菌に適した水溶液であって、過酸化水素と少なくとも1種の食品適合性安定剤を含み、前記食品適合性安定剤を除く前記溶液は、PO43-として表される最大リン含量が10mg/kgであり、かつ最高10mg/kgの105℃における乾燥残渣を示すことを特徴とする水溶液。
【請求項2】
該水溶液が50〜90μS/cmの伝導性を示すことを特徴とする請求項1に記載の水溶液。
【請求項3】
該水溶液が35〜40%wtの過酸化水素濃度を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶液。
【請求項4】
前記過酸化水素濃度が、96℃で16時間後の滴定損失が最大5%という相対パーセンテージで表される高い安定性を示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水溶液。
【請求項5】
該水溶液が5mmol/kgの最大酸性度を示すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水溶液。
【請求項6】
前記食品適合性安定剤がホスホン酸、好ましくはアミノトリスメチレンホスホン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水溶液。
【請求項7】
該水溶液が、H2O2溶液1kg当たり0.5〜50mg、好ましくはH2O2溶液1kg当たり1〜10mgの前記食品適合性安定剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水溶液。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の水溶液の製造方法であって、前記過酸化水素溶液に前記安定剤を添加する前に、膜を用いる逆浸透法によって前記過酸化水素溶液を精製することを特徴とする方法。
【請求項9】
包装材料の化学殺菌のための請求項1〜7のいずれか1項に記載の水溶液の使用。
【請求項10】
浸漬浴無菌包装法における浸漬浴液として並びに噴霧無菌包装法における噴霧液として同一の前記水溶液を使用する、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記水溶液を浸漬浴無菌包装法で使用し、かつ少なくとも120時間の操作中、前記過酸化水素濃度が初期値と10%を超えては異ならない、請求項9又は10に記載の使用。

【公開番号】特開2013−28643(P2013−28643A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234750(P2012−234750)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2008−530490(P2008−530490)の分割
【原出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】