説明

包装材料用エッジガイド

【課題】包装材料を筒状にして液体食品を充填する紙容器の充填装置における包装材料の端部からの紙粉発生を減少する包装材料用エッジガイドを提供する。
【解決手段】包装材料用エッジガイド6は略直方体形状の上ブロック13と下ブロック14とが連結ボルト15を介して連結され、上ブロック13の底面13bと下ブロック14の頂面14aによって隙間Sのスリット部11が形成される。隙間Sは連結ボルト15の調整によって任意に設定できる。スリット部11には側面13c、14cと平行で包装材料2の端面P2に対向する5組のローラー12を一列に備える。包装材料2の挿入側の上ブロック13と下ブロック14の各側面13c、14cにガイドローラー16を回転自在にそれぞれ備え、この一組のガイドローラー16の隙間Q2は包装材料2の厚みQ1に略等しく設定される。ローラー12とガイドローラー16はそれぞれベアリング式である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体食品を充填する紙容器の充填装置に関し、詳しくは包装材料を用いて紙容器を形成する過程で包装材料の幅方向の位置を一定に保つ包装材料用エッジガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュース、牛乳等の液体食品などを充填する紙容器の充填装置に関する従来技術として特許文献1の内容が知られている。特許文献1によれば、図7に示すように、充填機20において帯状の包装材料21をロール21aから繰出し長手方向に縦シールして成るチューブ状包装材料22に、内容液23を充填菅23aで充填し、所定間隔毎に横シール24で密封且つ切断して紙容器25を形成する。ここで、包装材料21を安定した位置で確実に縦シールするために重ね位置Kがズレないように制御する一対のエッジガイド26を包装材料21の両端部に備える。
【0003】
図8に示すように、エッジガイド26は樹脂製で包装材料21の幅方向の位置を一定に保持するため、ブロック状のエッジガイド本体27の略中央部に水平に設けられたスリット28の内部にステンレス棒29が装着される。ステンレス棒29の断面形状は包装材料21のエッジ21bをガイドするためV字状溝が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−173104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、包装材料21の端部21bがステンレス棒29に擦れると摩擦や衝撃・発熱のため、端部21bが傷ついて包装材料を構成する紙やポリエチレンの粉末が発生して稀に紙容器25に混入する恐れがあった。さらに、包装材料21とエッジガイド29の接触による摩擦抵抗で包装材料の引出しのために無駄な動力が必要になるという問題があった。
【0006】
これらの問題を避けるために、包装材料21の端部21bが接触するエッジガイド29にポリテトラフルオロエチレンテープを貼るかポリテトラフルオロエチレンコーティングを施工する場合、ポリテトラフルオロエチレンテープやポリテトラフルオロエチレンコーティングの耐久性が劣るので充填機の稼働率が低下するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来の紙容器充填装置に設ける紙粉除去の問題点を解決して、包装材料端部の紙粉の発生を減少して紙容器への紙粉混入を確実に防止すると同時に紙容器充填装置の稼働率を向上して紙容器の製造コストを低減することができる包装材料用エッジガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、熱可塑性樹脂を両面に備える包装材料を筒状にして頂面と底面を形成して成る紙容器の成形装置に備える包装材料用エッジガイドであって、前記包装材料用エッジガイドは包装材料の端部を挿入するスリット部と前記端部の端面に沿って配置する複数の回転自在のローラーから成ることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の包装材料用エッジガイドであって、前記スリット部の外側に前記包装材料の両面を挟む一対のガイドローラーを備えることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の包装材料用エッジガイドであって、前記ローラーと前記ガイドローラーはベアリング式であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、前記包装材料用エッジガイドのスリット部に包装材料の端部を挿入することで、前記包装材料の端部がガイドされて前記包装材料は脈動することなく安定して流れる。さらに、挿入した前記端部の端面に沿って配置する複数の回転自在のローラーによって包装材料は安定して流れる。このため、前記包装材料を無理なく確実に位置決めできるので紙容器成形性が向上する。前記包装材料の端面を傷つけることなく紙粉発生の減少効果が確実かつ顕著に得られるので紙粉が紙容器内に混入するのを確実に防止することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、前記スリット部の外側に前記包装材料の両面を挟む一対のガイドローラーを備えるので、前記包装材料は脈動なく安定して流れるので請求項1の効果と同様の効果をさらに確実に得ることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、前記ローラーと前記ガイドローラーはベアリング式なので、転がり抵抗が非常に小さいので容易に回転して前記包装材料の端部と端面を安定して滑らかにガイドすることができるので、請求項1又は請求項2の効果がさらに確実に得られ、前記包装材料の繰出しに必要な動力が軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一の実施形態における、連続的に繰出される帯状の包装材料2を縦シールSで筒状部3を形成し、充填パイプ4を介して内容液5を充填し、横シールT且つ横切断して紙容器10が形成される紙容器成形装置1において、帯状の包装材料2に一対の包装材料用エッジガイド6が設置された状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における、帯状の包装材料2の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における、包装材料用エッジガイド6の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態における、図3のB−B矢視図で、包装材料用エッジガイド6と包装材料2の位置関係を示す側面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態における、図4のC−C矢視図で、包装材料用エッジガイド6のローラー12とガイドローラー16の位置関係を示す平面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態における、包装材料2の端部P1とローラー12の外周部12aとの状態を示す断面図である。
【図7】従来例における、帯状の包装材料21をロール21aから繰出して、長手方向に縦シールして成るチューブ状包装材料22に内容液23を充填管23aで充填し、所定間隔毎に横シール24で密封且つ切断して紙容器25が形成される充填機20において、包装材料21にエッジガイド26を備えた状態を示す斜視図である。
【図8】従来例における、包装材料21の幅方向に設けたエッジガイド26の状態を示す斜視図(A)及びY矢射図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の第一の実施形態>
以下に、本発明の第一の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
<包装材料用エッジガイドの構成>
【0016】
図1に示すように、図示しないクリーンチャンバー内に設置された紙容器成形装置1において、帯状の包装材料2がロール状に巻かれた繰出機3から連続的に繰出される。包装材料2は図示しない複数のガイドローラーに案内され、上方から下方に下降しながら矢印Aに示すように両側の端部P1を寄せ重ね、熱圧着で縦シールSをして筒状に形成される。この筒状部3に充填パイプ4を介して内容液5が連続的に充填される。包装材料2の両端部P1に詳細後述する包装材料用エッジガイド6が左右対称に一対配置される。
【0017】
さらに、紙容器一個分に相当する位置で熱圧着により遂次横シールTをして密封し、この横シールTを横切断して枕状の原型容器7が連続的に形成される。この原型容器7の一対のフラップ部8、9を折込み熱圧着して頂面10aと底面10bを形成し、他の四組の側面10cと共に外形直方体形状の紙容器10が形成される。なお、筒状部3の内部側における縦シール部Sの包装材料2の端面P2は図示しないストリップテープで覆われるので内容液5に触れることはない。
【0018】
図2に示すように、包装材料2の断面構成は外側から内側にかけて順に、外側層2a、紙基材2b、接着層2c、バリヤー層2d、二層の内側層2e、2fから成り、紙基材2bの外側面にデザイン等2gが予め印刷される。外側層2a、内側層2fは低密度ポリエチレン樹脂、内側層2eはポリエチレン或いはエチレン共重合体等の樹脂、バリヤー層2dはアルミ箔等で形成される。
【0019】
なお、包装材料2の頂面10aに相当する領域には図示しない内容液注出用の開口予定部が紙基材2bを部分削除して形成される。紙基材2bには予め図示しない複数の折り目が、縦方向、横方向、斜め方向に形成されるので、この折り目に沿って包装材料2を矩形直方体形状の紙容器10が容易に形成できる。
【0020】
ここで、帯状の包装材料2は幅広の包装材料を図示しない裁断装置で所定幅に裁断して形成するので、帯状の包装材料2の端面P2は紙基材2bと熱可塑性材料層等の切断面が露出する状態である。このため、包装材料2の紙粉には、熱可塑性材料層のポリエチレン等の樹脂粉、バリヤー層2dのアルミニウム等の箔粉も含まれる。
【0021】
図3、図4、図5に示すように、包装材料用エッジガイド6は対称的に一対形成され、厚さQ1の包装材料2の端部P1を挿入するスリット部11と包装材料2の端面P2に沿って配置する複数の回転自在のローラー12から成る。より詳しくは、包装材料用エッジガイド6は頂面13a、底面13b、二側面13c、前後面13dからなる略直方体形状の樹脂製の上ブロック13と、頂面14a、底面14b、二側面14c、前後面14dからなる略直方体形状の樹脂製の下ブロック14とが連結ボルト15を介して連結され、上ブロック13の底面13bと下ブロック14の頂面14aによってスリット部11の隙間Sが形成される。
【0022】
ここで、上ブロック13の底面13bと下ブロック14の頂面14aはそれぞれの前後面13dと前後面14dに平面状の角取りRが施される。スリット部11の奥部に側面14cと平行で包装材料2の端面P2に対向する5組のローラー12を一列に備え、各ローラー12は扁平円柱形状である。
【0023】
さらに、包装材料2の挿入側の上ブロック13と下ブロック14の各側面13c、14cにガイドローラー16をそれぞれ回転自在に備える。ローラー12とガイドローラー16はベアリング式である。なお、スリット部11の隙間幅Sは連結ボルト15の調整によって任意に設定可能で、包装材料2の材質や厚みQ1に対応して包装材料2が脈動せずスムーズに流れる範囲で調整固定される。ガイドローラー16の隙間Q2は包装材料2の厚みQ1 に略等しく設定される。
<包装材料用エッジガイドの作用>
【0024】
一対のガイドローラー16によって包装材料2の端部P1は脈動が無くなり確実に安定することができる。さらに上ブロック13の底面13bと下ブロック14の頂面14aによって隙間Sのスリット部11が形成されるので、包装材料2の端部P1がスリット部11を通過する際に端面P2を含む端部P1のバタツキが押さえられる。この一対の包装材料用エッジガイド6によって包装材料2の端面P2が一列で備えた複数のローラー12に当接するので左右に振れることなく安定して流すことができる。このため、紙容器10の成形性が向上する。包装材料用エッジガイド6は構造が簡単なので製作コストが安価で狭い場所でも設置可能である。
【0025】
ローラー12とガイドローラー16はベアリング式なので摩擦抵抗が少ないため回転がスムーズなので包装材料2の端部P1及び端面P2を安定してガイドできるので紙粉の発生を著しく減少させることができる。
【0026】
このため、紙容器10の成形時に紙粉の影響による接着不良の影響が発生しない。紙粉によるトラブルの減少により充填装置の稼働率が向上するので歩留りが良くなり、紙容器の製造コストを低減することができる。紙粉の付着状態、混入状態等の目視監視や抜取検査等を行う必要がなくなるので作業を簡素化できる。
【0027】
上記、上ブロック13の底面13bと下ブロック14の頂面14aはそれぞれの前端部と後端部に角取りRが施されるので包装材料12をスリット部11に挿入容易であり、包装材料用エッジガイド6における包装材料のセットアップが迅速に実施できる。
【0028】
<本発明の第二の実施形態>
本発明の第二の実施形態を図6に基づいて説明するが、図4と同様の構成に関しては同符号を用いて重複する説明を省く。
【0029】
包装材料用エッジガイド6の複数の回転自在のローラー12の外周部12aがV字溝状に形成される。このV字溝状の壁面12bの傾斜によって包装材料2の端面P2の両角部P3が端面P2の中心方向に閉じる作用Wが働くので、外周部12aが平面の場合に比べると包装材料2のバタツキも減少して端面P2からの紙粉の発生が更に減少する。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。たとえば、ローラー12は複数では無く一組で構成することもできる。ローラー12の外周部12aはU字溝状でも構わない。ガイドローラー16の隙間Q2はガイドローラー16自身の偏芯機構等で微調整できる構成でもよい。包装材料用エッジガイド6を通過する包装材料が連続的な包装材料の代わりに紙容器一個分毎のシート状の包装材料を規則正しく通過し、このシートを筒状に成形して底部を形成し、内容液を充填の後に頂面を形成する方式の屋根型紙容器の充填機においても同様の効果が得られる。
【0031】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、液体食品の包装充填の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
2 包装材料
6 包装材料用エッジガイド
11 スリット部
12 ローラー
13 上ブロック
13b 底面
13c 側面
14 下ブロック
14a 頂面
14c 側面
15 連結ボルト
16 ガイドローラー
S 隙間
P2 端面
Q1 厚み
Q2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を両面に備える包装材料を筒状にして頂面と底面を形成して成る紙容器の成形装置に備える包装材料用エッジガイドであって、
前記包装材料用エッジガイドは包装材料の端部を挿入するスリット部と前記端部の端面に沿って配置する複数の回転自在のローラーから成ることを特徴とする包装材料用エッジガイド。
【請求項2】
請求項1に記載の包装材料用エッジガイドであって、前記スリット部の外側に前記包装材料の両面を挟む一対のガイドローラーを備えることを特徴とする包装材料用エッジガイド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の包装材料用エッジガイドであって、前記ローラーと前記ガイドローラーはベアリング式であることを特徴とする包装材料用エッジガイド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−166800(P2012−166800A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27415(P2011−27415)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】