説明

包装材

【課題】 簡単な作業で見栄えよく被包装物を包装することができる上に、包装後において持ち運びが便利な包装材を提供することを課題とする。
【解決手段】 被包装物を包装するための包装材であって、被包装物を載置した状態で該被包装物側に両側部を折り返し可能で、両側部の折り返し方向と交差方向に二つ折り可能なサイズに設定された折り曲げ自在なシート材と、該シート材が二つ折りにされたときに重合する両端部を直接的又は間接的に合わせ持つための把持部とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等の被包装物を包装するための包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品等の被包装物を包装する包装材として包装紙が用いられている。かかる包装紙による包装は、包装紙で被包装物を完全に包囲して外部から中身が見えないような態様にされるのが一般的である。すなわち、包装紙による包装は、包装紙上に被包装物を載置した状態にして、包装紙の被包装物を載置した部分以外を被包装物の形状に即して適宜折り曲げ、最終的に被包装物を完全に包み込むようにして行われる。
【0003】
これにより、包装紙は、外部から中身が判らない状態で体裁のよい包装ができるとして、一般的な商品、進物やおみやげ等を包装する包装材として幅広く採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、包装紙による包装は、被包装物の形状に即して適宜包装紙を折り曲げて被包装物を完全に包み込むようにするため、非常に手間がかかってしまうといった問題がある。特に、観光地等のように訪問客が多い場所(土産物店等)では、顧客からは見栄えのよい包装が要求されるにもかかわらず、一時に多数の顧客に対応しなければならないため、被包装物を包装する店員に多大な負担が生じてしまう。
【0005】
また、包装紙で包装すると持ち運びが不便であるといった理由から、包装紙で包装したものを把持する部分を備えた袋でさらに包装するといった包装態様をとる場合があるが、かかる包装態様は、必要以上の包装資源を無駄に使用することになり、資源の有効活用等の観点において問題がある。
【0006】
そのため、包装紙に代えて把持する部分を備えた袋で被包装物を直接包装することも考えられるが、かかる袋は、特定の被包装物を包装の対象としていないため、包装する被包装物に対して大きすぎたり、小さすぎたりする場合があり、被包装物の大きさや形態等に合わせた体裁のよい包装をするのに限界がある。特に、ビニル袋等は単に持ち運びのみを考慮したもので、体裁の良い包装が要求される進物等の包装材として採用することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、簡単な作業で体裁良く被包装物を包装することができる上に、包装後において持ち運びが便利な包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装材は、被包装物を包装するための包装材であって、被包装物を載置した状態で該被包装物側に両側部を折り返し可能で、両側部の折り返し方向と交差方向に二つ折り可能なシート材と、シート材が二つ折りにされたときに該シート材の重合する両端部を直接的又は間接的に合わせ持つための把持部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成の包装材によれば、シート材が被包装物を載置した状態で該被包装物側に両側部を折り返し可能で、両側部の折り返し方向と交差方向に二つ折り可能であるので、シート材上に被包装物を載置し、該シート材の両側部を被包装物側に折り返した上で該シート材を両側部の折り返し方向と交差方向にさらに二つ折りにすれば、被包装物がシート材に包囲された状態になる。
【0010】
そして、該包装材は、シート材が二つ折りにされたときに重合する両端部を直接的又は間接的に合わせ持つための把持部を備えているので、上述の如く、被包装物を包囲した状態のシート材の両端部を把持部を介して直接的又は間接的に合わせ持つことで、シート材を二つ折りの状態で維持させることができ、鞄や把持する部分を備えた袋の如く態様で持ち運ぶことができる。
【0011】
また、該包装材は、シート材が被包装物を包囲(被包装物を包装)した状態で、シート材上に両側部の折り返しによる折曲線と、二つ折りにすることによる折曲線とが交差した態様で形成されるので、折り返した両側部が開いてしまうことがなく、被包装物が脱落するといった事態になるのを防止することができる。なお、シート材の両側部の折り返しと二つ折りとで被包装物の脱落を防止することはできるが、シート材の略中央に向けて向き合う、或いは重なり合う両側部同士を粘着テープで貼り合わせるようにしても勿論よい。また、二つ折りにしたシート材の両端部同士を粘着テープで貼り合わせも勿論よい。このように、シート材の両側部同士、両端同士を粘着テープで貼着すれば、より確実な包装にすることができる。
【0012】
さらに、商品に合わせてシート材の両側部を折り返した上で、それを更に二つ折りにして包装するため、包装後の態様が非常に体裁のよいものとなる。特に、シート材に折曲線が形成されることで角張った部分が形成され、包装紙で包装した場合と同様に外観上メリハリのある包装にすることができる。
【0013】
本発明の一態様として、シート材の両端部のそれぞれにシート片が貼設され、各シート片は、指を挿入するための指挿入穴が穿設されるとともに、該指挿入穴に指を挿入した手で把持可能に前記把持部が形成され、少なくともシート材の両端部を合わせ持つときに、各シート片の指挿入穴及び把持部がシート材の端縁よりも外側に位置して互いに重なった状態になるように構成してもよい。このようにすれば、両側部を折り返したシート材を二つ折りにした上で各シート片(把持部)を一緒に把持することで、シート材の両端部を間接的に(シート片を介して)合わせ持つことができる。そして、少なくともシート材の両端部を合わせ持つときに、各シート片の指挿入穴及び把持部がシート材の端縁よりも外側に位置して互いに重なった状態になるので、シート材の両端部を合わせ持つのにシート材の端部が占領されることがなく、シート材の一端から他端の全領域を被包装物を包装する領域として最大限に活用することができる。
【0014】
また、本発明の他態様として、シート材の両端部のそれぞれに、指を挿入するための指挿入穴が穿設されるとともに、該指挿入穴に指を挿入した手で把持可能に前記把持部が形成されている構成されてもよい。このようにすれば、両側部を折り返したシート材を二つ折りにすることで、両端部の指挿入穴同士、及び把持部同士が重なり合うことになる。これにより、各把持部を一緒に把持することができ、直接的にシート材の両端部を合わせ持つことができる。
【0015】
さらに、本発明の別の態様として、折り返し可能に構成されるとともに折返稜線を基準にした対称位置に指を挿入するための二つの指挿入穴が穿設されたシート片を備え、該シート片は、シート材の一端から外側に延出するように一端部が該シート材の一端部に貼着される一方、他端部が二つ折りにされたシート材の他端部に貼着可能に構成され、シート片の両端部がシート材に貼着された状態で二つの指挿入穴間に前記把持部が形成されるようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、両側部を折り返したシート材を二つ折りにした状態でシート材の両端部が重なり合うことになる。そして、シート材の一端部にシート片の一端部が貼着されているので、二つ折りにされたシート材の他端部に対してシート片(折り返したシート片)の他端部を貼着することで、一枚のシート片によってシート材の両端部が連結(接続)された態様となる。そして、シート片に穿設された二つの指挿入穴が、シート片を折返稜線を基準にした対称位置に設けられているので、折り返したシート片がシート材の両端部に接続された状態で、二つの指挿入穴が重なりあってそれぞれに指を挿入できる状態になるとともに、その指挿入穴間(折返稜線を含んだ領域)に把持部が形成される。従って、シート材の両端部を接続したシート片に形成される把持部を把持することで、シート材の両端部を間接的に合わせ持つことができる。
【0017】
そして、上述の何れの場合も、前記シート材が和紙で構成されてもよい。このようにすれば、シート材に高級感を持たせることができ、包装紙と同様に進物等に最適な包装材にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る包装材によれば、簡単な作業で見栄えよく被包装物を包装することができる上に、包装後において持ち運びが便利であるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0020】
まず、本発明の第一実施形態に係る包装材について説明すると、本実施形態に係る包装材は、図1に示す如く、進物やおみやげ等の被包装物として商品Pを包むためのシート材1と、該シート材1の両端部のそれぞれに貼着され、シート材1に包まれた商品Pを持ち運ぶ者(例えば、消費者)が把持する把持部5の形成された一対のシート片2,2とで構成されている。
【0021】
シート材1は、折り曲げ自在なシートで構成されており、商品Pを載置した状態で該商品P側に両側部S,Sを折り返し可能で、両側部S,Sの折り返し方向に対して交差方向に二つ折り可能にサイズ及び形状が設定されている。本実施形態に係るシート材1は、高級感や風合いに優れた和紙を平面視略長方形状にしたもので、長手方向(長手方向に延びる中心線(以下、長手中心線という)CL1に沿った方向)と直交する短手方向(長手中心線CL1と直交する中心線(以下、短手中心線という)CL2に沿った方向)の両側部S,Sを載置した商品P側に折り返し、その状態から該シート材1の長手方向に二つ折りにできるようにサイズ(大きさ)が設定されている。
【0022】
各シート片2,2は、厚手のシート(本実施形態においては厚紙)が平面視略長方形状に形成されたもので、本実施形態においては、長手方向の長さがシート材1の短手方向の長さの三分の一の長さ以下に設定されている。
【0023】
各シート片2,2には、指を挿入するための指挿入穴3,3が穿設されている。前記指挿入穴3,3は、該シート片2,2の長手方向と直交する方向(短手方向)の一端側に長手方向に延びる長穴状に形成されている。
【0024】
これにより、各シート片2,2は、指挿入穴3,3に指を挿入した手で把持可能な把持部5が指挿入穴3,3とシート片2,2の端縁(一端縁)との間に形成されている。また、各シート片2,2は、短手方向の他端部にシート材1に貼着するための糊代部4が設けられている。すなわち、本実施形態に係るシート片2,2は、一端側に長穴状の指挿入穴3,3を穿設することで、該指挿入穴3を介して把持部5と糊代部4とが対向し、それぞれの両端部が指挿入穴3の両側に形成された一対の接続部(採番しない)を介して接続された態様をなしている。
【0025】
上記構成の各シート片2,2は、長手方向がシート材1の長手方向と直交する(シート材1の端縁に沿った態様となる)ように、糊や接着剤等の接着手段を介して糊代部4がシート材1の長手方向の両端部のそれぞれに貼着されている。本実施形態においては、各シート片2,2は、長手方向の略中央がシート材1の長手中心線CL1上に位置するように設けられている。なお、シート片2,2は、シート材1の何れの面に貼着してもよいが、商品Pを包装する際に内側になる面に貼着し、商品Pを包装した状態で糊代部4がシート材1で隠れるようにして外観を良好にすることが好ましい。
【0026】
本実施形態に係る包装材は、以上の構成からなり、商品Pを包装する際の手順について説明すると、まず、広げたシート材1上に商品Pを載置する。この際、シート材1の長手中心線CL1上に位置するように、シート材1の短手中心線CL2を境にした一方の領域内に商品Pを配置する。そして、図2(イ)に示す如く、シート材1の短手方向の両側部S,Sを商品P側に折り返す。すなわち、シート材1上の商品Pの大きさや形態に合わせてシート材1における短手方向の両側を商品P側(長手中心線CL1側)に折り返す。そうすると、折り返した部分が少なくとも商品Pの一部を覆うことになる。なお、商品Pの大きさによって、折り返した両側部S,S同士が重なる場合と長手中心線CL1を挟んで対向する場合とがあるが、折り返した部分が少なくとも商品Pの一部に覆い被さる状態になっていればよい。
【0027】
そして、必要に応じて折り返した両側部S,S同士を粘着テープTを介して貼着する。しかる後、図2(ロ)に示す如く、シート材1を長手方向に二つ折りにする。すなわち、シート材1の両端部に貼着したシート片2,2同士が互いに対向するように、シート材1を二つ折りにする。そうすると、各シート片2,2の指挿入穴3,3同士、及び把持部5,5同士が重なり、それぞれの指挿入穴3,3に対して指を連続して挿入して各シート片2,2の把持部5を一緒に把持できる状態となって商品Pに対する包装が完了する。
【0028】
そして、包装後の商品Pを持ち歩く際に両シート片2,2の把持部5を一緒に把持すれば、商品Pをシート材1で包囲した状態で各把持部5を介してシート材1の両端部を間接的に合わせ持った態様となる。
【0029】
以上のように、本実施形態に係る包装材は、商品Pを載置した状態でシート材1の両側部S,Sを商品P(長手中心線CL1)側に折り返した後に、そのシート材1を二つ折りにするだけで、商品Pを包装することができ、包装に係る作業が非常に簡便である。
【0030】
そして、該包装材は、シート材1を二つ折りにすることで重合する両端部を間接的に合わせ持つことのできる把持部5を備えているので、二つ折り状態にあるシート材1が開いて商品Pを脱落させる等といった事態になるのを確実に防止できる上に、鞄や把持する部分を備えた袋の如く態様で持ち運ぶことができ、非常に便利である。
【0031】
また、商品Pを包装した状態で、シート材1上に両側部S,Sの折り返しによる折曲線と、二つ折りにすることによる折曲線とが交差(例えば、直交)した態様で形成されるので、包装後にその折り返した両側部S,Sが開いてしまうのを防止することができる。従って、本実施形態に係る包装材は、商品Pを包装する際にシート材1の両側部S,Sが商品Pの一部を覆うことのできるサイズにシート材1が形成されているので、商品Pの脱落を防止することができる。また、商品Pに合わせてシート材1の両側部を折り返した上で、それを更に二つ折りにして包装するため、包装後の態様が非常に体裁のよいものとなる。特に、シート材1に折曲線が形成されることで角張った部分が形成され、包装紙で包装した場合と同様に外観上メリハリのある包装にすることができる。
【0032】
また、シート材1の端縁から外側に延出するように各シート片2,2をシート材1の両端部のそれぞれに貼着し、シート材1から外側に延出した部分に把持部5を形成するようにしたので、シート材1の長手方向における一端から他端の全領域を商品Pを包装する領域として最大限に活用することができる。
【0033】
さらに、本実施形態においては、シート片2,2の長手方向の長さをシート材1の短手方向の長さの三分の一以下にしたので、シート片2,2の存在によってシート材1の両側部S,Sの折り返しが阻害される領域を少なくすることができ、種々のサイズの商品Pを包み込んだ態様で包装することができる。すなわち、シート材1の両側部S,Sを折り返すことのできる領域を大きくすることができ、包装できる商品Pの対象の幅を広げることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る包装材は、シート材1に和紙が採用されているので、高級感や風合いのあるものとなっており、外観良好な包装が要求される進物や土産等の包装にも好適である。
【0035】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る包装材は、基本的な思想が第一実施形態と同様であるため、第一実施形態と同様の構成を備えている。従って、本実施形態において、第一実施形態の構成と同一或いは相当する構成については同一符号及び同一名称を付し、同一の構成についての説明を割愛して相違する点についてのみ以下に説明する。
【0036】
本実施形態に係る包装材は、図3に示す如く、シート材1の長手方向の両端部に指を挿入するための指挿入穴3,3が直接的に穿設されるとともに、指挿入穴3,3に指を挿入した手で把持可能な把持部5,5が、指挿入穴3,3とこれに対して直近に位置するシート材1の端縁との間に形成されている。本実施形態に係る指挿入穴3,3は、第一実施形態と同様に、シート材1の短手方向に延びる長穴状をなし、長手方向の中心位置をシート材1の長手中心線CL1上(短手方向の略中央)に位置させるようにして形成されている。なお、包装時にシート材1の両側部S,Sを折り返すことを考慮して、本実施形態に係る指挿入穴3,3は、長軸方向の穴径(長手方向の長さ)がシート材1の短手方向の長さの三分の一以下に設定されている。
【0037】
本実施形態に係る包装材は、以上の構成からなり、商品Pを包装する際の手順について説明すると、まず、広げたシート材1上に商品Pを載置する。この際、シート材1の長手中心線CL1上に位置するように、シート材1の短手中心線CL2を境にした一方の領域(指挿入穴3,3と中心線との間の領域)内に商品Pを配置する。
【0038】
そして、図4(イ)に示す如く、シート材1の短手方向の両側部S,Sを商品P側に折り返す。すなわち、シート材1上の商品Pの大きさや形態に合わせてシート材1における短手方向の両側を商品P側(長手中心線CL1側)に折り返す。そうすると、折り返した部分が少なくとも商品Pの一部を覆うことになる。本実施形態においては、指挿入穴3,3をシート材1の両端部に形成しているため、シート材1の両側部S,Sを折り返した状態のままにしておくと、その折り返した部分が指挿入穴3,3と重なって指挿入穴3,3に指を挿入させることができなくなるため、折り返した部分が指挿入穴3,3に重ならないように、シート材1の角部C…を含む各領域を折り返しておく。なお、本実施形態においても、商品Pの大きさによって、折り返した両側部S,S同士が重なる場合と長手中心線CL1を挟んで対向する場合とがあるが、シート材1の両側部S、Sが少なくとも商品Pの一部に覆い被さる状態になっていればよい。
【0039】
そして、必要に応じて折り返した両側部S,S同士を粘着テープTを介して貼着する。しかる後、図4(ロ)に示す如く、シート材1を長手方向で二つ折りにする。すなわち、シート材1の長手方向の両端部に穿設した指挿入穴3,3同士、及び把持部5,5同士が互いに対向する(重なり合う)ように、シート材1を二つ折りにする。そうすると、それぞれの指挿入穴3,3に対して指を連続して挿入できる状態、すなわち、シート材1の両端部に形成された把持部5を一緒に把持できる状態となり、商品Pに対する包装が完了する。
【0040】
そして、包装後の商品Pを持ち歩く際にシート材1の両端部に形成された各把持部5を一緒に把持すれば、商品Pをシート材1で包囲した状態で各把持部5を介してシート材1の両端部を直接的に合わせ持った態様となる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る包装材においても、第一実施形態と同様に、商品Pを載置した状態でシート材1の両側部S,Sを商品P(長手中心線CL1)側に折り返した後に、そのシート材1を二つ折りにするだけで、商品Pを包装することができ、包装に係る作業が非常に簡便である。そして、該包装材は、シート材1を二つ折りにすることで重合する両端部を直接的に合わせ持つことのできる把持部5を備えているので、第一実施形態と同様に、二つ折り状態にあるシート材1が開いて商品Pが脱落する等といった事態になるのを確実に防止できる上に、鞄や把持する部分を備えた袋の如く態様で持ち運ぶことができ、非常に便利である。
【0042】
また、商品Pを包装した状態で、シート材1上に両側部S,Sの折り返しによる折曲線と、二つ折りにすることによる折曲線とが交差した態様で形成されるので、包装後にその折り返した両側部S,Sが開いてしまうのを防止することができる。従って、本実施形態に係る包装材は、シート材1を商品Pを包装する際にシート材1の両側部S,Sが商品Pの一部を覆うことのできるサイズにシート材1が形成されているので、商品Pの脱落を防止することができる。また、商品Pに合わせてシート材1の両側部を折り返した上で、それを更に二つ折りにして包装するため、包装後の態様が非常に体裁のよいものとなる。特に、シート材1に折曲線が形成されることで角張った部分が形成され、包装紙で包装した場合と同様に外観上メリハリのある包装にすることができる。
【0043】
また、本実施形態に係る包装材は、第一実施形態のシート片2,2のようなシート材1の端縁から突出する部材を備えていないため、包装紙の保管態様と同様の態様で保管することができる。すなわち、本実施形態に係る包装材は、上述のような優れた作用、効果を奏する上に、従来の包装紙と同様の取り扱いが可能である。
【0044】
また、本実施形態に係る包装材は、シート材1に和紙が採用されているので、高級感や風合いのあるものとなっており、外観良好な包装が要求される進物や土産等の包装においても好適である。
【0045】
次に、本発明の第三実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る包装材についても基本的な思想が第一実施形態と同様であるため、第一実施形態と同様の構成を備えている。従って、本実施形態において、第一実施形態の構成と同一或いは相当する構成については同一符号及び同一名称を付し、同一の構成についての説明を割愛して相違する点についてのみ以下に説明する。
【0046】
本実施形態に係る包装材は、図5に示す如く、シート材1の一端部に、その端縁から外側に延出するシート片2’が設けられている。
【0047】
本実施形態に係るシート片2’は、シート材1側に折り返し可能に構成されており、折り返した状態で重なり合うように、指を挿入する指挿入穴3,3が二つ形成されている。
【0048】
具体的に説明すると、本実施形態に係るシート片2’は、長方形状に形成されており、長手方向の一端部に糊代部4が設けられている。そして、該シート片2’は、短手方向の長さがシート材1の短手方向の長さの三分の一の長さ以下に設定され、該短手方向の略中央がシート材1の長手中心線CL1上に位置するように該糊代部4を介してシート材1の一端部に貼着されている。
【0049】
該シート片2’は、長手方向の略中央に短手方向に延びる折返稜線(折曲稜線)を形成して折り返し可能に構成されており、折返稜線を境にして一対の片2’a,2’bを形成している。そして、各片2’a,2’bには、前記指挿入穴3,3が該シート片2’の短手方向に延びる長穴状に形成されており、シート片2’を折り返した状態(各片2’a,2’bが対向した状態)で各指挿入穴3,3が互いに重なり合うようになっている。すなわち、二つの指挿入穴3,3は、シート片2’の折曲稜線を基準にして対称位置に形成されている。これにより、本実施形態に係るシート片2’は、二つの指挿入穴3,3間の領域(各片2’a,2’bにおける折曲稜線から指挿入穴3,3までの各領域)がシート片2’を折り返した状態において把持部5になるようになっている。
【0050】
また、該シート片2’は、長手方向の他端部がシート材1の他端部に接続する接続部Zとして設定されている。そして、該シート片2’は、折返稜線で折り返した状態で長手方向に二つ折りにされたシート材1(商品Pを包装した状態のシート材1)の他端部(一端部と重合状態にある他端部)に接続部Zが外側から重なるようになっており、その接続部Zを糊や接着剤、粘着テープT等を介してシート材1に貼着するようになっている。
【0051】
なお、本実施形態においては、上述の如く、シート片2’を折り返した状態で、該シート片2’の両端部をシート材1の各端部に接続するように構成されているため、シート材1の長手方向の一端側と他端側に対する接続態様を対応させるべく、シート片2’の糊代部4はシート材1の外側の面に貼着されている。
【0052】
本実施形態に係る包装材は、以上の構成からなり、商品Pを包装する際の手順について説明すると、まず、広げたシート材1上に商品Pを載置する。この際、シート材1の長手中心線CL1上に位置するように、シート材1の短手中心線CL2を境にした一方の領域内に商品Pを配置する。そして、図6(イ)に示す如く、シート材1の短手方向の両側部S,Sを商品P側に折り返す。すなわち、シート材1上の商品Pの大きさや形態に合わせてシート材1における短手方向の両側を商品P側(長手中心線CL1側)に折り返し、その折り返した部分で少なくとも商品Pの一部を覆った状態にする。なお、商品Pの大きさによって、折り返した両側部S,S同士が重なる場合と長手方向の中心線を挟んで対向する場合とがあるが、折り返した部分が商品Pに覆い被さる状態になっていればよい。
【0053】
そして、本実施形態においても、必要に応じて折り返した両側部S,S同士を粘着テープTを介して貼着する。しかる後、図6(ロ)に示す如く、シート材1の長手方向の両端部が互いに対向するように、シート材1を二つ折りにする。そして、シート片2’を折り返して接続部Zをシート材1の他端部に対して外側から重ね合わせ、糊や接着剤、片面粘着テープ、両面粘着テープ等の貼着手段(図においては片面粘着テープT)を介してシート片2’の接続部Zをシート材1に貼着し、シート片2’の両端がシート材1の各端部に対して接続された状態にする。
【0054】
そうすると、シート片2’の二つの指挿入穴3,3が重なり、各指挿入穴3,3に対して指を連続して挿入できる状態、すなわち、シート片2’の把持部5が把持できる状態となり、商品Pに対する包装が完了する。
【0055】
そして、包装後の商品Pを持ち歩く際にシート材1に貼着されたシート片2’の把持部5を把持すれば、商品Pをシート材1で包囲した状態で把持部5を介してシート材1の両端部を間接的に合わせ持った態様となる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る包装材は、第一及び第二実施形態と同様に、商品Pを載置した状態でシート材1の両側部S,Sを商品P(長手中心線CL1)側に折り返した後に、そのシートを二つ折りにするだけで、商品Pを包装することができ、包装に係る作業が非常に簡便である。
【0057】
そして、該包装材は、シート材1を二つ折りにすることで重合する両端部を間接的に合わせ持つことのできる把持部5を備えているので、二つ折り状態にあるシート材1が開いて商品Pを脱落させる等といった事態になるのを確実に防止できる上に、鞄や把持する部分を備えた袋の如く態様で持ち運ぶことができ、非常に便利である。
【0058】
また、商品Pを包装した状態で、シート材1上に両側部S,Sの折り返しによる折曲線と、二つ折りにすることによる折曲線とが交差した態様で形成されるので、包装後にその折り返した両側部S,Sが開いてしまうのを防止することができる。従って、本実施形態に係る包装材においても、商品Pを包装する際にシート材1の両側部S,Sが商品Pの一部を覆うことのできるサイズにシート材1が形成されているので、商品Pの脱落を防止することができる。
【0059】
また、商品Pに合わせてシート材1の両側部を折り返した上で、それを更に二つ折りにして包装するため、包装後の態様が非常に体裁のよいものとなる。特に、シート材1に折曲線が形成されることで角張った部分が形成され、包装紙で包装した場合と同様に外観上メリハリのある包装にすることができる。
【0060】
また、シート片2’の両端部がシート材1の長手方向の両端部に接続された状態で、該シート片2’がシート材1の端縁から外側に延出し、その延出した部分に把持部5及び指挿入穴3,3が位置するので、シート材1の長手方向における一端から他端の全領域を商品Pを包装する領域として最大限に活用することができる。
【0061】
さらに、本実施形態においては、シート片2’の短手方向の長さをシート材1の短手方向の長さの三分の一以下にしたので、シート片2’の存在によってシート材1の両側部S,Sの折り返しが阻害される領域を少なくすることができ、種々のサイズの商品Pを包み込んだ態様で包装することができる。すなわち、シート材1の両側部S,Sを折り返すことのできる領域を大きくすることができ、包装できる商品Pの対象の幅を広げることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る包装材においても、シート材1に和紙が採用されているので、高級感や風合いのあるものとなっており、外観良好な包装が要求される進物や土産等の包装においても好適である。
【0063】
尚、本発明の包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0064】
上記実施形態の何れにおいても、包装材が店舗で使用されることを前提に、包装する対象(被包装物)として商品を一例に挙げて説明したが、かかる包装材で包装する被包装物は商品に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る包装材は、例えば、被包装物としてのプレゼント等を個人的に包装するためのもの(家庭的に使用される包装材)として用いても勿論よい。
【0065】
上記実施形態の何れにおいても、シート材1に和紙を採用したが、これに限定されるものではなく、シート材1は、例えば、一般的な包装紙や、樹脂シート等で構成してもよい。また、第一及び第三実施形態において、シート片2,2,2’を厚紙で構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、シート片2,2,2’を設ける場合には、例えば、シート材1と同様に折曲自在な紙シートや樹脂シートでシート片2,2,2’を形成するようにしてもよい。
【0066】
また、二つ折りにしたシート材1の両端部を間接的に合わせ持つようにする場合、シート片2,2,2’に把持部5を形成する態様に限定されるものではなく、例えば、使用者が把持可能に構成された把持部と、該把持部をシート材に接続するための接続部とを一体的に樹脂成形し、接続部をシート材に接続するようにしてもよい。この場合、把持部の両端部に接続部を設けた門型の樹脂成型品や、把持部と該把持部の両端に接続された接続部とが連続したアーチ状をなすような樹脂成形品等を作製しておき、接続部をシート材の端部に接続するようにしてもよい。このようにシート材とは別の性状を持つ把持部(シート材よりも剛性のある把持部)を設ける場合、シート材と把持部との接続は、第一及び第三実施形態と同様に貼着手段を介して行ってもよいが、例えば、リベットや鳩目のような締着手段を介してシート材と把持部とを接続するようにしてもよい。
【0067】
上記何れの実施形態においても、シート材1を長方形状にしたが、これに限定されるものではなく、例えば、平面視において、正方形状をなすものや、矩形状の角部を落とした形状(例えば、多角形状)をなすもの等適宜採用することができる。すなわち、本発明に係る包装材は、シート材1が長方形状のものに限定されるものではなく、シート材1を商品Pを載置した状態で該商品P側に両側部を折り返し可能で、両側部の折り返し方向と交差方向に二つ折り可能なサイズであれば、適宜形状を変更することができる。特に、第二実施形態においては、シート材1の両側部S,Sを折り返した後に角部C…を含んだ領域を折り返して指挿入穴3,3にシート材1が覆い被さるのを防止したが、図7に示す如く、第二実施形態において指挿入穴3,3に覆い被さるのを防止すべく折り返した領域(角部C…を含んだ領域)を切除した形状にシート材1を構成することで、包装時にシート材1を折り曲げる作業を減らすことができ、作業効率を向上させることができる。
【0068】
上記何れの実施形態においても、商品Pを包装するに際してシート材1の短手中心線CL2を境にした一方の領域に商品Pを配置するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、布製品等のように商品(被包装物)P自体が折り曲げ可能なものである場合、短手中心線CL2の両側の領域に跨るように被包装物Pを配置するようにしてもよい。この場合においても、シート材1の両側部S,Sを被包装物P側に折り返した後、被包装物Pと共にシート材1を二つ折りにすることで包装することができる。
【0069】
上記第一、及び第三実施形態において、非包装状態であってもシート片2,2,2’がシート材1の端縁から延出した状態になるように、シート片2,2,2’をシート材1に貼着するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、指挿入穴3の形成されたシート片2,2,2’の一部(一端部)をシート材1に貼着し、非包装状態でシート片2,2,2’の全体がシート材1の領域内に位置する一方で商品Pを包装するに際して指挿入穴3と把持部5とがシート材1の端縁よりも外側に位置するように、該シート片2,2,2’を折り曲げ可能に形成してもよい。このようにすれば、商品Pを包装するに際して第一及び第三実施形態のシート片2,2,2’と同様の態様となり、同様の作用、効果を奏することができる一方で、商品Pを包装するまでは、シート片2,2が外側に延出することなく、現状における包装紙と同様の保管態様で当該包装材を保管することができる。
【0070】
上記第二実施形態において、シート材1に直接指挿入穴3,3を穿設するようにしたが、例えば、該指挿入穴3,3の周辺を補強し、把持したときに把持部5が必要以上に変形するのを防止するようにしてもよい。この補強としては、指挿入穴3,3と同様の貫通穴が設けられた厚紙を補強部材としてシート材1に貼着したり、指挿入穴3,3の周縁部に環状の樹脂成形品を取り付けるようにしたりすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第一実施形態に係る包装材の全体斜視図を示す。
【図2】第一実施形態に係る包装材で被包装物としての商品を包装する際の状態を説明するための状態図であって、(イ)は、シート材の両側部を折り返した状態の概略斜視図を示し、(ロ)は、(イ)の状態のシート材をさらに二つ折りにして商品を包装した状態の概略斜視図を示す。
【図3】本発明の第二実施形態に係る包装材の全体斜視図を示す。
【図4】第二実施形態に係る包装材で被包装物としての商品を包装する際の状態を説明するための状態図であって、(イ)は、シート材の両側部を折り返した状態の概略斜視図を示し、(ロ)は、(イ)の状態のシート材をさらに二つ折りにして商品を包装した状態の概略斜視図を示す。
【図5】本発明の第三実施形態に係る包装材の全体斜視図を示す。
【図6】第三実施形態に係る包装材で被包装物としての商品を包装する際の状態を説明するための状態図であって、(イ)は、シート材の両側部を折り返した状態の概略斜視図を示し、(ロ)は、(イ)の状態のシート材をさらに二つ折りにして商品を包装した状態の概略斜視図を示す。
【図7】本発明の他実施形態に係る包装材の全体斜視図を示す。
【符号の説明】
【0072】
1…シート材、2、2’…シート片、2’a,2’b…片、3…指挿入穴、4…糊代部、5…把持部、P…商品、S…両側部、T…粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を包装するための包装材であって、被包装物を載置した状態で該被包装物側に両側部を折り返し可能で、両側部の折り返し方向と交差方向に二つ折り可能なシート材と、シート材が二つ折りにされたときに該シート材の重合する両端部を直接的又は間接的に合わせ持つための把持部とを備えたことを特徴とする包装材。
【請求項2】
シート材の両端部のそれぞれにシート片が貼設され、各シート片は、指を挿入するための指挿入穴が穿設されるとともに、該指挿入穴に指を挿入した手で把持可能に前記把持部が形成され、少なくともシート材の両端部を合わせ持つときに、各シート片の指挿入穴及び把持部がシート材の端縁よりも外側に位置して互いに重なった状態になるように構成されている請求項1記載の包装材。
【請求項3】
シート材の両端部のそれぞれに、指を挿入するための指挿入穴が穿設されるとともに、該指挿入穴に指を挿入した手で把持可能に前記把持部が形成されている請求項1記載の包装材。
【請求項4】
折り返し可能に構成されるとともに折返稜線を基準にした対称位置に指を挿入するための二つの指挿入穴が穿設されたシート片を備え、該シート片は、シート材の一端から外側に延出するように一端部が該シート材の一端部に貼着される一方、他端部が二つ折りにされたシート材の他端部に貼着可能に構成され、シート片の両端部がシート材に貼着された状態で二つの指挿入穴間に前記把持部が形成されるようになっている請求項1記載の包装材。
【請求項5】
前記シート材が和紙で構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−197059(P2007−197059A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19126(P2006−19126)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(594199452)株式会社鈴木松風堂 (10)
【Fターム(参考)】