説明

包装構造

【課題】包装容器から板状食品を、その一端が露出した状態で引き出せ、しかも包装容器内で板状食品の数が減っても、板状食品の整列状態を維持できる包装構造を提供する。
【解決手段】本包装構造は、包装紙4Cにより個包装したガム等の板状食品3を複数枚整列させた状態で集積して包装容器2に収容する。包装紙4Cは、板状食品3を包装容器2から取り出す際の引き抜き方向側31を覆う第1包装紙片61と、反引き抜き方向側32を覆う第2包装紙片62とを有する。第1包装紙片61および第2包装紙片62は、所定の力以上の引っ張り力が加わると分離し得るように、折り返し引っ掛け結合された一体の個包装紙となる。個包装紙によって各板状食品3が個包装されており、かつ、包装容器2に収容された状態で、各個包装紙の第2包装紙片62を包装容器2内に留め置くように、第2包装紙片62を包装容器2内に接着剤6により接着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガムやチョコレート等の板状食品を個包装して包装容器に収容する包装構造に関し、特に、包装容器から板状食品を1つずつ個別に取り出して喫食するのに良好な包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガムやチョコレート等の板状の食品を収容する包装容器として、特許文献1や特許文献2に記載のものがある。
これら特許文献に記載の包装容器は、板状食品を立てた状態で、前列よりも後列側が高くなるように段差を設けて2列に重ね、コンパクトに収容したものである。
かかる構成によれば、包装容器内の板状食品の高さが前列より後列側が高くなるため、食品の取り出しが容易になる。また、板状食品を包装容器内に仮着しているので、たとえば前列の板状食品を取り出す時に、後列の板状食品の整列が乱れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3955355号公報
【特許文献2】特許第3955356号公報
【特許文献3】特開2009−173322号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示された包装構造(包装容器)では、包装容器から個々の板状食品を取り出して喫食することができるが、取り出した際に個々の板状食品の包装紙を剥離しなければならず、喫食時の包装紙の取り外しが煩わしいという課題がある。
一方、特許文献3には、板状食品を個包装する包装紙に予めミシン目を入れておき、ミシン目入りの包装紙で個包装された板状食品の包装紙の一端側を包装容器内に接着しておくことにより、包装紙の他端側を介して板状食品を把持して板状食品を引き抜くことにより、包装紙のミシン目部分が引きちぎれて板状食品の一端が露出した状態で包装容器から取り出せ、容易に喫食できる包装構造が提案されている。
【0005】
上記ミシン目入りの個包装紙は、板状食品の引き抜き時にミシン目が切れて板状食品を喫食可能に取り出せる点では優れているが、ミシン目の大きさや間隔を板状食品毎に設計しなければ、引き抜き時にミシン目が適切に切れないこともある。そこで、より良好に板状食品を引き抜くことができ、引き抜いた際に板状食品の一端側が露出して引き出せるような包装構造が望まれる。
【0006】
この発明は、係る背景のもとになされたものであり、包装容器から板状食品を取り出した際に、個包装された板状食品の一端の包装が剥がれて板状食品の一端が露出した状態で引き出せ、しかも包装容器内で板状食品の数が減っても、板状食品がばらばらになることのない、より改善された包装構造を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、包装紙により個包装したガム等の板状食品を複数枚整列させた状態で集積して包装容器に収容する包装構造であって、前記包装紙は、前記板状食品を前記包装容器から取り出す際の引き抜き方向側を覆う第1包装紙片と、反引き抜き方向側を覆う第2包装紙片とを有し、前記第1包装紙片および第2包装紙片は、所定の力以上の引っ張り力が加わると分離し得るように、折り返し引っ掛け結合された一体の個包装紙となっており、当該個包装紙によって各板状食品が個包装されており、かつ、前記包装容器に収容された状態で、前記各個包装紙の第2包装紙片を前記包装容器内に留め置くように、前記第2包装紙片を包装容器内に接着する接着手段を有することを特徴とする、包装構造である。
【0008】
請求項2記載の発明は、包装紙により個包装したガム等の板状食品を複数枚整列させた状態で集積して包装容器に収容する包装構造であって、前記包装紙は、前記板状食品を前記包装容器から取り出す際の引き抜き方向側を覆う第1包装紙片と、反引き抜き方向側を覆う第2包装紙片とを有し、前記第1包装紙片および第2包装紙片は、所定の力以上の引っ張り力が加わると分離可能なように、紙同士の摩擦力で結合し合うオーバーラップ領域を有することにより一体の個包装紙となっており、当該個包装紙によって各板状食品が個包装されており、かつ、前記包装容器に収容された状態で、前記各個包装紙の第2包装紙片を前記包装容器内に留め置くように、前記第2包装紙片を前記包装容器内に接着するための接着手段が設けられていることを特徴とする、包装構造である。
【0009】
請求項3記載の発明は、包装紙により個包装したガム等の板状食品を複数枚整列させた状態で集積して包装容器に収容する包装構造であって、前記包装紙は、前記板状食品を前記包装容器から取り出す際の引き抜き方向側を覆う第1包装紙片と、前記第1包装紙片で引き抜き方向側が覆われた前記板状食品を、露出している反引き抜き方向側および第1包装紙片をオーバーラップするように覆う帯状に巻かれる第2包装紙片とを有し、前記包装容器に収容された状態で、前記第2包装紙片が前記包装容器内に留め残されるように、前記第2包装紙片を前記包装容器に接着する接着手段が設けられていることを特徴とする、包装構造である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、各板状食品を個包装する包装紙は、第1包装紙片および第2包装紙片が互いに折り返し引っ掛け結合されることにより、一体の個包装紙となっている。そして、この個包装紙で各板状食品が個包装されている。また、個包装紙を構成する第1包装紙片および第2包装紙片のうち、第2包装紙片は包装容器内に留まるように、包装容器内に接着手段により接着されている。
【0011】
このため、板状食品を包装容器から引き出す際には、第1包装紙片で覆われた板状食品の引き抜き方向側を把持して、把持した板状食品を所定の引っ張り力で包装容器から引き抜くことにより、把持した部分は第1包装紙片で覆われた状態で、かつ、板状食品の根元側(一端側)を覆っていた第2包装紙片が第1包装紙片から分離して包装容器内に残される。よって、第2包装紙片が離れて板状食品の一端が露出した状態で、板状食品を包装容器から引き出すことができる。これにより、把持して引き出した板状食品は、その根元側を口に入れ易く、喫食し易い状態で取り出すことができる。
【0012】
包装容器内に残った第2包装紙片は、接着手段で包装容器内に固定されているため、包装容器内にそのまま残り、他の残りの板状食品を包装している第2包装紙片との関係もそのままであるから、包装容器に収容された残りの板状食品は、当初の整列状態のまま包装容器内に収容された状態が維持される。つまり、包装容器から板状食品を引き出し、喫食していくにつれて、包装容器内の板状食品の枚数は減少していくが、第2包装紙片を介して板状食品は包装容器内に固定されているため、その整列状態が乱れたりせず、取り出し易い状態のまま包装容器内に収容されている。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、各板状食品を個包装する包装紙は、第1包装紙片および第2包装紙片のオーバーラップ領域同士が互いに摩擦力で結合されることにより、一体の個包装紙となっている。この場合、第1包装紙片が第2包装紙片の外側をオーバーラップするように重ねても、第2包装紙片が第1包装紙片の外側をオーバーラップするように重ねても、どちらでもよい。そして、この個包装紙で各板状食品が個包装されている。また、個包装紙を構成する第1包装紙片および第2包装紙片のうち、第2包装紙片は包装容器内に留まるように、包装容器内に接着手段により接着されている。このため、請求項1の発明と同様にして、板状食品を包装容器から、板状食品の一端が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。また、板状食品を個々に引き出しても、包装容器内に残った板状食品の整列状態は維持される。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、第2包装紙片が、第1包装紙片を互いにオーバーラップするように覆って巻いているので、第1包装紙片および第2包装紙片が互いに紙同士の摩擦力で結合される。そして、第1包装紙片および第2包装紙片が互いに結合された包装紙で各板状食品が個包装されている。また、第1包装紙片および第2包装紙片のうち、第2包装紙片は包装容器内に留まるように、包装容器内に接着手段により接着されている。
【0015】
このため、板状食品を包装容器から引き出す際には、第1包装紙片で覆われた板状食品の引き抜き方向側を把持して、把持した板状食品を、紙同士の摩擦力を上回る所定の引っ張り力で包装容器から引き抜くようにする。これにより、請求項1の発明と同様にして、板状食品を包装容器から、板状食品の一端が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。また、包装容器内に残った第2包装紙片は、接着手段で包装容器内に固定されているため、請求項1の発明と同様にして、板状食品を個々に引き出しても、包装容器内に残った板状食品の整列状態は維持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明の一実施形態にかかる包装構造が適用された包装体1Cの斜視図である。
【図2】図2は、包装体1Cの断面図である。
【図3】図3は、包装体1Cの製造方法を説明する模式図である。
【図4】図4は、包装体1Cの使用状態を説明する模式図である。
【図5】図5は、この発明の他の実施形態にかかる包装構造が適用された包装体1Dの断面図である。
【図6】図6は、包装体1Dの製造方法を説明する模式図である。
【図7】図7は、包装体1Dの使用状態を説明する模式図である。
【図8】図8は、この発明のさらに他の実施形態にかかる包装構造が適用された包装体1Eの製造方法を説明する模式図である。
【図9】図9は、包装体1Eの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態にかかる包装構造が適用された包装体1Cの斜視図である。図1を参照して、包装体1Cは、包装容器2と、この包装容器2に収容された包装対象物としての複数の板状食品3と、これらの板状食品3を個包装する複数の包装紙4Cとを有している。板状食品3としては、例えば、ガム、チョコレート等である。
【0018】
包装紙4Cにより個包装したガム等の板状食品3は、複数枚整列させた状態で集積され、包装容器2に収容されている。なお、図1は、包装容器2内に整列した複数の板状食品3のうちの一つを取り出した状態を図示している。また、以下では、板状食品3を包装紙4Cにより個包装したものを、食品ユニット30ともいう。この食品ユニット30は、板状食品3と包装紙4Cとを含んでいる。
【0019】
包装容器2は、箱形状をなしており、例えば、紙材により形成されている。包装容器2は、開口20を有する容器形状をなす主体部21と、主体部21の開口20を開閉可能に覆う蓋22と、蓋22と主体部21とを連結する連結部23とを有している。なお、包装容器2は、紙製の他、合成樹脂により形成してもよい。主体部21と、蓋22と、連結部23とは、展開形状の一枚の紙材を折り曲げて形成されてなる。
【0020】
蓋22を開くことにより、包装容器2の開口20を開放できる。包装容器2の開口20を通じて、包装容器2から板状食品3を引き抜くことができる。
包装容器2内において、複数の板状食品3は、互いに直交する2方向X,Y(当該板状食品3の長手方向Zにともに直交する2方向)に並んでいる。また、各板状食品3は、長手方向Zが互いに平行になるように、整列して配置されている。なお、本実施形態では、複数の板状食品3がX方向に列をなして4つ並ぶ場合(Y方向に2列並ぶ)を説明するが、Y方向に3つ以上並ぶ場合や、Y方向には1つだけで、X方向に一列に並ぶ収容の仕方にも適用できる。
【0021】
板状食品3は、当該板状食品3の長手方向Zに関して、引き抜き方向側31と、反引き抜き方向側32とを有している。引き抜き方向側31は、包装容器2内において底板24から遠い側に配置されている。反引き抜き方向側32は、包装容器2内において底板24に近い側に配置されている。
図2は、包装体1Cの部分断面図である。図1および図2を参照して、包装紙4Cは、板状食品3の引き抜き方向側31を覆う第1包装紙片61と、板状食品3の反引き抜き方向側32を覆う第2包装紙片62とを有している。
【0022】
第1包装紙片61および第2包装紙片62は、所定の大きさ以上の引っ張り力が加わると分離し得るように、折り返し引っ掛け結合された一体の個包装紙となっている。
この個包装紙によって各板状食品3は個包装されて食品ユニット30とされ、それが包装容器2に収容された状態で、個包装紙の第2包装紙片62を包装容器2内に留めるように、第2包装紙片62が集積紙8で囲われ、第2包装紙片62と集積紙8とは接着剤6で接着され、さらに集積紙8は接着剤7で包装容器2内に接着されている。つまり、集積紙8および接着剤6、7が接着手段を構成している。
【0023】
接着剤6と接着剤7とは、同じ仕様のものを利用できるし、異なる仕様のものを用いても良い。いずれの場合も、食品ユニット30を引き出すときに、個包装紙の第2包装紙片62を包装容器2内に留めることができる。
これにより、板状食品3の一端としての反引き抜き方向側32が露出した喫食し易い状態で、板状食品3を包装容器2から引き出すことができる。これとともに、喫食に伴って包装容器2内の板状食品3の数が減少しても、第2包装紙片62を介して板状食品3は包装容器2内に固定されているため、その整列状態が乱れたりせず、取り出し易い状態のまま包装容器2内に収容できる。
【0024】
第1包装紙片61は、板状食品3の長手方向Zに関して、板状食品3を把持できる長さで板状食品3の引き抜き方向側31を覆っている。
第2包装紙片62は、板状食品3の長手方向Zに関して、第1包装紙片61で覆われていない板状食品3の反引き抜き方向側32にある部分を覆っている。
また、第1包装紙片61が板状食品3を覆い、且つ第2包装紙片62が取り除かれた状態では、板状食品3の反引き抜き方向側32が、板状食品3の長手方向Zに関して、口に入れることができる長さで露出されるようになっている。
【0025】
図3は、包装体1Cの製造方法を説明する模式図である。第1包装紙片61と第2包装紙片62とは、板状食品3の長手方向Zの中間部において、互いにオーバーラップしている。オーバーラップしている部分が互いに折り返し引っ掛け結合している。すなわち、第1包装紙片61の端部は、折り返し片63を有している。第2包装紙片62の端部は、折り返し片64を有している。折り返し片63,64同士は、互いに逆向きに折り返されており、互いに引っ掛けられた状態で、互いに結合されている。なお、折り返し片63が外側で折り返し片64が内側となっていても、逆に折り返し片63が内側で折り返し片64が外側となっていても、どちらでもかまわない。これにより、第1包装紙片61および第2包装紙片62は、一体の個包装紙となっている。上述の折り返し引っ掛け結合では、第1包装紙片61および第2包装紙片62は互いに結合されている。一方で、所定の大きさ以上の引っ張り力が作用したときには、第1包装紙片61および第2包装紙片62の折り返し片63,64が変形し、その結合が解除される。そして、第1包装紙片61および第2包装紙片62が互いに分離するようになっている。
【0026】
折り返し引っ掛け結合された第1包装紙片61および第2包装紙片62は、一体の個包装紙となる。この個包装紙を用いて、板状食品3の全体を包む。これにより食品ユニット30が得られる。
次に、複数の食品ユニット30を、集積紙8に並べる。このとき、第2包装紙片62と集積紙8とを接着剤6で固定する。
【0027】
次に、集積紙8により互いに連結された複数の食品ユニット30を、包装容器2の主体部21に入れる。集積紙8と包装容器2の主体部21とを、接着剤7により固定する。これにより、包装体1Cを得る(図4参照)。
図4は、包装体1Cの使用状態を説明する模式図である。図4を参照して、所望の板状食品3を包装容器2から引き出す際には、第1包装紙片61で覆われた板状食品3の引き抜き方向側31を把持して、把持した板状食品3を、所定の引っ張り力以上の力で包装容器2から引き抜くようにする。これにより、板状食品3の根元側としての反引き抜き方向側32が露出し、且つ、この根元側を覆っていた第2包装紙片62が包装容器2内に残される。よって、板状食品3を包装容器2から、板状食品3の一端としての反引き抜き方向側32が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。
【0028】
また、各食品ユニット30は、第2包装紙片62を介して包装容器2内に固定されている。従って、包装容器2に収容された残りの食品ユニット30は、当初の整列状態のまま包装容器2内に収容された状態が維持される。つまり、包装容器2から板状食品3を引き出し、喫食していくにつれて、包装容器2内の食品ユニット30(板状食品3)の枚数は減少していくが、第2包装紙片62を介して食品ユニット30(板状食品3)は包装容器2内に固定されているため、その整列状態が乱れたりせず、取り出し易い状態のまま包装容器2内に収容されている。
【0029】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、上述の実施形態と異なる点を中心に説明する。他の構成については、上述の実施形態と同様であり、上述の実施形態と同じ符合を付しておく。
図5は、この発明の他の実施形態にかかる包装構造が適用された包装体1Dの部分断面図である。図6は、包装体1Dの製造方法を説明する模式図である。図7は、包装体1Dの使用状態を説明する模式図である。
【0030】
図5の包装体1Dは、図1に示す実施形態の包装紙4Cに代えて、包装紙4Dを有している。包装紙4Dは、第1包装紙片71および第2包装紙片72を有している。
図5および図6を参照して、第1包装紙片71および第2包装紙片72は、紙同士の摩擦力で結合し合うオーバーラップ領域73,74を有している。これらオーバーラップ領域73,74同士を摩擦力で互いに結合することにより、第1包装紙片71および第2包装紙片72は、一体の個包装紙となっている。
【0031】
この個包装紙によって各板状食品3は個包装されて食品ユニット30となっており、所定数の食品ユニット30が包装容器2に収容された状態で、個包装紙の第2包装紙片72を包装容器2内に留めるように、集積紙8および接着剤6,7が採用されている。
第1包装紙片71と第2包装紙片72とのオーバーラップ領域73,74は、板状食品3の長手方向Zの中間部に配置されている。オーバーラップ領域73,74は、互いに密着状態であり、紙同士の静止摩擦力により、第1包装紙片71および第2包装紙片72は互いに結合されている。なお、オーバーラップ領域73,74の配置位置は、板状食品3を引き抜く際に容易に把持可能とするために、引き抜き方向側31に充分な把持領域を有することができるよう、配慮する必要がある。また、オーバーラップ領域73が外側でオーバーラップ領域74が内側となっても、逆にオーバーラップ領域73が内側でオーバーラップ領域74が外側となっても、どちらでもかまわない。一方で、所定の大きさ以上の引っ張り力、すなわち紙同士の静止摩擦力以上の引っ張り力が作用したときには、第1包装紙片71および第2包装紙片72のオーバーラップ領域73,74同士が相対変位し、その結合が解除される。そして、第1包装紙片71および第2包装紙片72が互いに分離するようになっている。
【0032】
第1包装紙片71および第2包装紙片72の一部同士を互いに重ね合わされた一体の個包装紙を用いて、板状食品3の全体を包む。これにより食品ユニット30が得られる。
次に、複数の食品ユニット30を、集積紙8に並べる。このとき、第2包装紙片72と集積紙8とを接着剤6で固定する。
図7を参照して、次に、集積紙8により互いに連結された複数の食品ユニット30を、包装容器2の主体部21に入れる。集積紙8と包装容器2の主体部21とを、接着剤7で固定する。これにより、包装体1Dを得る。
【0033】
所望の板状食品3を包装容器2から引き出す際には、個包装紙で覆われた板状食品3の引き抜き方向側31を把持して、把持した板状食品3を、オーバーラップ領域73,74の紙同士の静止摩擦力以上の引っ張り力で包装容器2から引き抜くようにする。これにより、板状食品3の根元側としての反引き抜き方向側32が露出し、且つ、この根元側を覆っていた第2包装紙片72が包装容器2内に残される。よって、板状食品3を包装容器2から、板状食品3の一端としての反引き抜き方向側32が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。
【0034】
また、図1の実施形態と同様に、包装容器2に収容された残りの板状食品3は、当初の整列状態のまま包装容器2内に収容された状態が維持される。
図8は、この発明のさらに他の実施形態にかかる包装構造が適用された包装体1Eの製造方法を説明する模式図である。図9は、包装体1Eの断面図である。
包装体1Eは、図1に示す実施形態の包装紙4Cに代えて、図8の包装紙4Eを有している。包装紙4Eは、第1包装紙片71と、第2包装紙片82とを有している。
【0035】
図8に示す本実施形態では、板状食品3を第1包装紙片71で覆い、その後、第2包装紙片82でさらに覆うようにしている。
第2包装紙片82は、板状食品3の反引き抜き方向側32および第1包装紙片71の反引き抜き方向側にある部分をオーバーラップするように覆っている。第2包装紙片82は、板状食品3の長手方向Zを帯状に巻いている。
【0036】
本実施形態でも、第1包装紙片71および第2包装紙片82は、所定の大きさ以上の引っ張り力が加わると分離し得るように、紙同士の摩擦力で結合し合うオーバーラップ領域73,84を有している。なお、オーバーラップ領域73,84の配置位置は、板状食品3を引き抜く際に容易に把持可能とするために、引き抜き方向側31に充分な把持領域を有することができるよう、配慮する必要がある。
【0037】
また、各板状食品3が包装容器2に収容された状態で、第2包装紙片82が包装容器2内に留め残されるように、第2包装紙片82が包装容器2内に接着手段としての集積紙8、接着剤6,7により接着されて固定されている。
図8を参照して、包装体1Eは、例えば、下記のようにして製造することができる。
先ず、第1包装紙片71を用いて、板状食品3の引き抜き方向側31を包む。このとき、板状食品3の反引き抜き方向側32は、露出させる。次に、第1包装紙片71で包装された板状食品3における反引き抜き方向側32(露出した部分)、および第1包装紙片71の一部を、第2包装紙片82で巻くようにして覆う。これにより、食品ユニット30が得られる。
【0038】
次に、複数の食品ユニット30を、集積紙8に並べる。このとき、第2包装紙片82と集積紙8とを接着剤6で固定する。
次に、集積紙8により互いに連結された複数の食品ユニット30を、包装容器2の主体部21に入れる。集積紙8と包装容器2の主体部21とを、接着剤7で固定する。これにより、包装体1Eを得る(図8参照)。
【0039】
本実施形態においても、板状食品3を包装容器2から、板状食品3の一端が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。また、包装容器2内に残った第2の包装紙片82は、接着剤6で包装容器2内に固定されているため、板状食品3を個々に引き出しても、包装容器2内に残った板状食品3の整列状態は維持される。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1C、1D、1E 包装体
2 包装容器
3 板状食品
4C、4D、4E 包装紙(個包装紙)
6,7 接着剤
8 集積紙
20 開口
21 主体部
22 蓋
23 連結部
24 底板
30 食品ユニット
31 引き抜き方向側
32 反引き抜き方向側
61,71 第1包装紙片
62,72,82 第2包装紙片
63、64 折り返し片
73,74,84 オーバーラップ領域
X、Y 方向
Z 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装紙により個包装したガム等の板状食品を複数枚整列させた状態で集積して包装容器に収容する包装構造であって、
前記包装紙は、前記板状食品を前記包装容器から取り出す際の引き抜き方向側を覆う第1包装紙片と、反引き抜き方向側を覆う第2包装紙片とを有し、前記第1包装紙片および第2包装紙片は、所定の力以上の引っ張り力が加わると分離し得るように、折り返し引っ掛け結合された一体の個包装紙となっており、
当該個包装紙によって各板状食品が個包装されており、かつ、前記包装容器に収容された状態で、前記各個包装紙の第2包装紙片を前記包装容器内に留め置くように、前記第2包装紙片を包装容器内に接着する接着手段を有することを特徴とする、包装構造。
【請求項2】
包装紙により個包装したガム等の板状食品を複数枚整列させた状態で集積して包装容器に収容する包装構造であって、
前記包装紙は、前記板状食品を前記包装容器から取り出す際の引き抜き方向側を覆う第1包装紙片と、反引き抜き方向側を覆う第2包装紙片とを有し、前記第1包装紙片および第2包装紙片は、所定の力以上の引っ張り力が加わると分離可能なように、紙同士の摩擦力で結合し合うオーバーラップ領域を有することにより一体の個包装紙となっており、
当該個包装紙によって各板状食品が個包装されており、かつ、前記包装容器に収容された状態で、前記各個包装紙の第2包装紙片を前記包装容器内に留め置くように、前記第2包装紙片を前記包装容器内に接着するための接着手段が設けられていることを特徴とする、包装構造。
【請求項3】
包装紙により個包装したガム等の板状食品を複数枚整列させた状態で集積して包装容器に収容する包装構造であって、
前記包装紙は、前記板状食品を前記包装容器から取り出す際の引き抜き方向側を覆う第1包装紙片と、
前記第1包装紙片で引き抜き方向側が覆われた前記板状食品を、露出している反引き抜き方向側および第1包装紙片をオーバーラップするように覆う帯状に巻かれる第2包装紙片とを有し、
前記包装容器に収容された状態で、前記第2包装紙片が前記包装容器内に留め残されるように、前記第2包装紙片を前記包装容器に接着する接着手段が設けられていることを特徴とする、包装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−126564(P2011−126564A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286192(P2009−286192)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】