説明

包装機

【課題】フィルムを使用して包装する包装機において、自動的に適切な長さのフィルムを得ることが可能な技術を提供する。
【解決手段】包装機3では、包装エリアPAに対してフィルムロールFRからストレッチフィルムSFが繰り出されることが可能な状態において、リフト部30が、商品Pを持ち上げて、当該商品Pを包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して突き上げる。そして、切断部33が、リフト部30が包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して商品Pを突き上げた状態において、当該ストレッチフィルムSFをフィルムロールFRから切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを使用して被包装物を包装する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルムを使用して被包装物を包装する包装機に関して様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1,2に記載の包装機では、包装が行われる包装エリアに対して、フィルムがロール状に巻かれたフィルムロールからフィルムが供給される。次に、包装エリアに供給されたフィルムがフィルムロールから切断される。そして、包装エリアに広げられたフィルムに対して被包装物が突き上げられた後に、当該フィルムの周縁部が当該被包装物の下側に折り込まれて当該被包装物が包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−222203号公報
【特許文献2】特開2007−30898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1,2に記載のような包装機においては、様々な大きさの被包装物に対応できるために、例えば、最も大きい被包装物を適切に包装できるような長さのフィルムを常に使用することが考えられる。しかしながら、このような場合には、フィルムの無駄が発生する。
【0005】
一方で、被包装物ごとに適切なフィルムの長さを包装機に登録しておき、被包装物の包装を行う際にユーザが当該被包装物に適切なフィルムの長さを選択することによって、様々な大きさの被包装物を適切に包装することが可能となる。しかしながら、この場合には、ユーザの選択ミスが生じる可能性があり、フィルムの長さが足りないことがある。
【0006】
そこで、本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、フィルムを使用して包装する包装機において、自動的に適切な長さのフィルムを得ることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、広げられたフィルムに対して被包装物を突き上げて当該フィルムで当該被包装物を覆った後、当該フィルムの周縁部を当該被包装物の下側に折り込んで当該被包装物を包装する包装機であって、被包装物の包装が行われる包装エリアに対して、フィルムロールからフィルムを供給するフィルム供給部と、前記包装エリアに対して前記フィルムロールからフィルムが繰り出されることが可能な状態において、被包装物を持ち上げて、当該被包装物を前記包装エリアのフィルムに対して突き上げるリフト部と、前記リフト部が前記包装エリアのフィルムに対して前記被包装物を突き上げた状態において、当該フィルムを前記フィルムロールから切断する切断部とを備える。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の包装機であって、前記フィルムロールから前記包装エリアに繰り出されたフィルムを、前記フィルムロールと前記包装エリアの間において、互いに離れた位置で把持する第1及び第2把持部をさらに備え、前記切断部は、前記第1及び第2把持部に把持された状態のフィルムを、前記第1及び第2把持部の間で切断する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1及び請求項2の発明によれば、包装エリアに対してフィルムロールからフィルムが繰り出されることが可能な状態において、被包装物が包装エリアのフィルムに対して突き上げられるため、被包装物の大きさに応じた量だけ包装エリアにフィルムが繰り出されることになる。したがって、包装エリアのフィルムに対して被包装物を突き上げた状態において、当該フィルムをフィルムロールから切断することによって、自動的に適切な長さのフィルムを得ることができる。
【0010】
特に、請求項2の発明によれば、包装エリアに繰り出されたフィルムは、第1及び第2把持部に把持された状態において、当該第1及び第2把持部の間で切断されるため、フィルムの切断が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る計量包装値付機の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る計量搬送機構及び包装機の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る包装機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るフィルム把持機構を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る前側把持部を示す正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る前側把持部及び後側把持部を示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るフィルム折込機構の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る左側折込部材及び右側折込部材の動作を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る左側折込部材及び右側折込部材の動作を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る左側折込部材及び右側折込部材の動作を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る左側折込部材及び右側折込部材の動作を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る後側折込部材及び前側折込部材の動作を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る後側折込部材及び前側折込部材の動作を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る後側折込部材及び前側折込部材の動作を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態に係る後側折込部材及び前側折込部材の動作を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る商品マスタファイルの一例を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態に係るトレーマスタファイルの一例を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る包装機の動作を示す図である。
【図26】変形例1に係る計量搬送機構と包装機の構成の一部を示す側面図である。
【図27】変形例1に係る計量搬送機構と包装機の構成の一部を示す平面図である。
【図28】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図29】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図30】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図31】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図32】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図33】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図34】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図35】変形例2に係る包装機の動作を示す図である。
【図36】変形例3に係る商品マスタファイルを示す図である。
【図37】変形例4に係るトレー一覧画面の一例を示す図である。
【図38】変形例4に係る生産画面の一例を示す図である。
【図39】変形例4に係る生産画面の一例を示す図である。
【図40】変形例4に係る生産画面の一例を示す図である。
【図41】変形例4に係るトレー登録画面の一例を示す図である。
【図42】変形例4に係る包装条件一覧画面の一例を示す図である。
【図43】変形例4に係るトレー一覧画面の一例を示す図である。
【図44】変形例5を説明するための図である。
【図45】変形例5を説明するための図である。
【図46】変形例6を説明するための図である。
【図47】変形例6を説明するための図である。
【図48】変形例6を説明するための図である。
【図49】変形例6を説明するための図である。
【図50】変形例6を説明するための図である。
【図51】変形例8に係るコンベアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の実施の形態に係る包装機3を備える計量包装値付機1の外観を示す斜視図である。本実施の形態に係る計量包装値付機1は、野菜や果物などの商品を計量した後に包装し、その後、包装後の商品を排出するとともに、当該商品の価格等が印字されたラベルを排出する。計量包装値付機1では、例えば、トレーに搭載された状態の商品をトレーとともに包装することができる。また、計量包装値付機1では、商品をトレーに搭載せずにそのまま包装することができる。ここで、トレーに搭載されている商品については、トレーとそれに搭載されている商品(内容物)との両方をあわせて「商品」と呼ぶ。以下の説明では、計量包装値付機1の前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれX方向、Y方向、Z方向とするXYZ直交座標系(図1参照)を適宜使用する。
【0013】
図1に示されるように、計量包装値付機1は、計量搬送機構2と、包装機3と、ラベル発行装置4と、表示部5と、操作部6と、記憶部8と、これらの構成要素を制御する制御部9とを備えている。
【0014】
制御部9は、筐体10内に収納されており、CPUなどで構成されている。記憶部8は、筐体10内に収納されており、ハードディスクなどで構成されている。記憶部8には、動作プログラムなどの各種情報が記憶されている。制御部9のCPUが、記憶部8内の動作プログラムを実行することによって、制御部9の各種機能が実現される。
【0015】
表示部5は、例えばタッチパネルディスプレイであって、操作部としても機能する。操作部6は、例えば複数の操作キーで構成されている。表示部5及び操作部6に対してユーザから入力された操作情報は制御部9に入力される。制御部9は、入力された操作情報に応じた動作を行う。以後、表示部5と操作部6とをまとめて「操作部7」と呼ぶことがある。
【0016】
計量搬送機構2は、ユーザによって投入された商品を包装機3に向けて搬送しながら当該商品の計量を行う。計量搬送機構2での計量結果は制御部9に入力される。制御部9は、表示部5を制御して、入力された計量結果を表示部5に表示させる。
【0017】
包装機3は、リフト部30を使用して、計量搬送機構2から搬送されてきた商品を包装エリアPAまで持ち上げる。このとき、包装機3では、ストレッチフィルムSFが包装エリアPAに供給されている。包装機3には、ストレッチフィルムSFがロール状に巻かれたフィルムロールFRを収納するフィルム収納部31が設けられており、包装エリアPAに対して、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFが供給される。包装機3は、リフト部30によって商品を持ち上げることによって、包装エリアPAに配置されたストレッチフィルムSFに対して当該商品を突き上げて、当該商品をストレッチフィルムSFで覆う。その後、包装機3は、ストレッチフィルムSFで覆われた商品の下側に、当該ストレッチフィルムSFの周縁部を折り込む。これにより、商品が包装される。包装機3は、包装後の商品を排出台45に向けて排出する。
【0018】
ラベル発行装置4は、包装機3が包装後の商品を排出台45に向けて排出する際に、外部に向けてラベルLを発行する。このラベルLには、商品の重量及び価格などが印字されている。これらの重量及び価格については、制御部9が計量搬送機構2での計量結果に基づいて求める。
【0019】
<計量搬送機構の構成>
図2は、計量包装値付機1のうち計量搬送機構2及び包装機3の構成を示す側面図である。なお、図2では商品Pが移動する様子を二点鎖線で示している。計量搬送機構2は、重量センサ20と、処理対象の商品Pが搭載される載置部21と、載置部21に搭載された商品Pをリフト部30に搬送する搬送部22と、載置部21を支持する支持部23とを備えている。重量センサ20は、載置部21に載置された商品Pの重量を検出して、その検出結果を制御部9に出力する。載置部21は、X方向に沿って互いに離れて配列された、商品Pが搭載される複数の搭載部分21aを有している。各搭載部分21aはY方向に沿って延在している。
【0020】
搬送部22は、X方向に沿って互いに離れて配列された、商品Pを支持する複数の支持部分22aを有している。各支持部分22aは、Y方向に沿って延在している。複数の支持部分22aと、載置部21の複数の搭載部分21aとは、X方向に沿って交互に配置されている。搬送部22は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、Z方向及びY方向に移動する。
【0021】
載置部21の複数の搭載部分21aに商品Pが載置されると、搬送部22は、各支持部分22aの上端が、各搭載部分21aの上端よりも上方(+Z側)となるように、図2に示す位置から+Z方向に移動する。これにより、搬送部22が、載置部21上の商品Pを下側からすくい上げるようになり、その結果、当該商品Pが搬送部22に支持される。そして、搬送部22は、−Y方向に移動して、商品Pがリフト部30の上方に位置するようになると停止する。リフト部30は、X方向に配列された複数のリフトヘッド300と、複数のリフトヘッド300を支持する支持部301とを備えている。搬送部22は、その複数の支持部分22aが、複数のリフトヘッド300の間に入り込むように移動する。搬送部22上の商品Pは、+Z方向に移動するリフト部30によってすくい上げられて包装エリアPAまで持ち上げられる。その後、搬送部22は、−Z方向に移動した後に+Y方向に移動して、再び図2に示す位置に戻る。
【0022】
<包装機の構成>
図3は包装機3の構成を示すブロック図である。図1〜3に示されるように、包装機3は、リフト部30と、フィルム収納部31と、フィルム供給部32と、フィルム切断部33と、前側把持部34と、後側把持部35と、左側把持部36と、右側把持部37とを備えている。さらに包装機3は、左側折込部材38と、右側折込部材39と、後側折込部材40と、前側折込部材41と、排出プッシャー42と、ヒータ部43と、搬送ローラ44と、排出台45とを備えている。なお図2では、図面の煩雑さを避けるために、左側把持部36、右側把持部37及び右側折込部材39の図示を省略している。
【0023】
包装機3では、フィルム供給部32が、包装エリアPAに対して、フィルム収納部31に収納されているフィルムロールFRからストレッチフィルムSFを供給する。リフト部30は、搬送部22上の商品Pを+Z方向に持ち上げて、当該商品Pを包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して突き上げる。これにより、商品PがストレッチフィルムSFで覆われる。その後、包装エリアPAのストレッチフィルムSFは、フィルム切断部33によってフィルムロールFRから切断される。これにより、ストレッチフィルムSFが所定の長さにカットされる。
【0024】
カットされた包装エリアPAのストレッチフィルムSFでは、+Y側端部及び−Y側端部が前側把持部34及び後側把持部35でそれぞれ把持され、−X側端部及び+X側端部が左側把持部36及び右側把持部37でそれぞれ把持される。そして、ストレッチフィルムSFの−X側端部及び+X側端部が左側折込部材38及び右側折込部材39によってそれぞれ商品Pの下側に折り込まれ、ストレッチフィルムSFの−Y側端部が後側折込部材40によって商品Pの下側に折り込まれる。その後、商品Pは、排出プッシャー42によって排出台45に向かって(+X方向に)押動される。このとき、ストレッチフィルムSFの+Y側の端部が前側折込部材41によって商品Pの下側に折り込まれる。これにより、ストレッチフィルムSFの周縁部のすべてが商品Pの下側に折り込まれる。また、商品Pが排出台45に向けて押動される際には、商品Pはヒータ部43が有する2つのヒータローラ430,431上を移動し、当該ヒータローラ430,431によって、ストレッチフィルムSFにおける、商品Pの底面で重なっている部分が熱溶着される。その後、商品Pは、搬送ローラ44上を移動して、排出台45まで搬送される。
【0025】
次に、包装機3の詳細な構成及び動作について説明する。
【0026】
<フィルム供給部及びフィルム把持機構>
図4は、前側把持部34、後側把持部35、左側把持部36及び右側把持部37から成るフィルム把持機構を+Z側から見た際の平面図である。図5は前側把持部34を−Y側から見た際の正面図である。図6は前側把持部34及び後側把持部35を−X側から見た際の側面図である。
【0027】
図4,6に示されるように、前側把持部34及び後側把持部35は、包装エリアPAを間に挟んでY方向で対向するように配置されている。前側把持部34及び後側把持部35は+Y側及び−Y側にそれぞれ配置されている。また、左側把持部36及び右側把持部37は、包装エリアPAを間に挟んでX方向で対向するように配置されている。左側把持部36及び右側把持部37は−X側及び+X側にそれぞれ配置されている。
【0028】
前側把持部34は、X方向に並ぶ3つの前側下方把持部材340bと、それらの上方(+Z側)に配置された前側上方把持部材340aとを備えている。各前側下方把持部材340bの後側把持部35側の端部には、X方向に並ぶ複数の凸部340bbが形成されている。これより、各前側下方把持部材340bの後側把持部35側の端部は櫛歯形状となる。同様に、前側上方把持部材340aの後側把持部35側の端部には、X方向に並ぶ複数の凸部340aaが形成されている。これより、前側上方把持部材340aの後側把持部35側の端部は櫛歯形状となる。
【0029】
3つの前側下方把持部材340bのそれぞれは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、個別に+Z方向及び−Z方向に移動可能である。また、前側把持部34は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、全体的に+Y方向及び−Y方向に移動可能である。−X側の前側下方把持部材340bが+Z方向に移動すると、当該前側下方把持部材340bと前側上方把持部材340aとによって、ストレッチフィルムSFの+Y側端部のうち−X側の部分が把持される。+X側の前側下方把持部材340bが+Z方向に移動すると、当該前側下方把持部材340bと前側上方把持部材340aとによって、ストレッチフィルムSFの+Y側端部のうち+X側の部分が把持される。そして、中央の前側下方把持部材340bが+Z方向に移動すると、当該前側下方把持部材340bと前側上方把持部材340aとによって、ストレッチフィルムSFの+Y側端部の中央部分が把持される。
【0030】
後側把持部35は、第1把持部350及び第2把持部351を備えている。第1把持部350及び第2把持部351は、第1把持部350が−Y側となるようにY方向に沿って並べられている。第1把持部350と第2把持部351との間にはフィルム切断部33が設けられている。フィルム切断部33は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、+Z方向及び−Z方向に移動可能である。
【0031】
第1把持部350は、上方把持部材350aと、その下方に配置された下方把持部材350bとを備えている。下方把持部材350bは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、+Z方向及び−Z方向に移動可能である。下方把持部材350bが+Z方向に移動すると、下方把持部材350bと上方把持部材350aとによってストレッチフィルムSFが把持される。
【0032】
第2把持部351は、X方向に並ぶ3つの下方把持部材351bと、それらの上方に配置された上方把持部材351aとを備えている。各下方把持部材351bの前側把持部34側の端部には、X方向に並ぶ複数の凸部351bbが形成されている。これより、各下方把持部材351bの前側把持部34側の端部は櫛歯形状となる。同様に、上方把持部材351aの前側把持部34側の端部には、X方向に並ぶ複数の凸部351aaが形成されている。これより、上方把持部材351aの前側把持部34側の端部は櫛歯形状となる。
【0033】
3つの下方把持部材351bのそれぞれは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、個別に+Z方向及び−Z方向に移動可能である。−X側の下方把持部材351bが+Z方向に移動すると、当該下方把持部材351bと上方把持部材351aとによって、ストレッチフィルムSFの−Y側端部のうち−X側の部分が把持される。また、+X側の下方把持部材351bが+Z方向に移動すると、当該下方把持部材351bと上方把持部材351aとによって、ストレッチフィルムSFの−Y側端部のうち+X側の部分が把持される。そして、中央の下方把持部材351bが+Z方向に移動すると、当該下方把持部材351bと上方把持部材351aとによって、ストレッチフィルムSFの−Y側端部の中央部分が把持される。
【0034】
前側把持部34が−Y方向に移動すると、前側把持部34における前側上方把持部材340aの櫛歯状の端部と、後側把持部35の第2把持部351における上方把持部材351aの櫛歯状の端部とが互いに嵌合するとともに、前側把持部34における複数の前側下方把持部材340bの櫛歯状の端部と、後側把持部35の第2把持部351における複数の下方把持部材351bの櫛歯状の端部とが互いに嵌合する。
【0035】
左側把持部36は、上方把持部材360と、その下方に配置された下方把持部材361とを備えている。下方把持部材361は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより+Z方向及び−Z方向に移動可能である。下方把持部材361が+Z方向に移動すると、上方把持部材360と下方把持部材361とによって、ストレッチフィルムSFの−X側端部が把持される。
【0036】
右側把持部37は、上方把持部材370と、その下方に配置された下方把持部材371とを備えている。下方把持部材371は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより+Z方向及び−Z方向に移動可能である。下方把持部材371が+Z方向に移動すると、上方把持部材370と下方把持部材371とによって、ストレッチフィルムSFの+X側端部が把持される。
【0037】
フィルム収納部31内には、図6に示されるように、フィルムロールFRを支持する一対の支持ローラ50,51が設けられている。さらにフィルム収納部31内には、フィルムロールFRからストレッチフィルムを繰り出す繰り出しベルト52と、ベルトローラ53とが設けられている。
【0038】
支持ローラ50,51は、それぞれX軸方向に沿って延在しており、支持ローラ51を−Y側にしてY軸方向で互いに対向するように配置されている。支持ローラ50,51のそれぞれは回転自在に設けられている。フィルムロールFRは、このような支持ローラ50,51の上に載せられている。
【0039】
ベルトローラ53は、X軸方向に沿って延在しており、一方の支持ローラ51に対してやや外側の下方に配置されている。繰り出しベルト52は、支持ローラ51とベルトローラ53とに巻き掛けられている。ベルトローラ53は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより回転する。これにより、繰り出しベルト52が回転する。
【0040】
フィルムロールFRが包装機3に取り付けられる際には、作業者によってフィルムロールFRが一対の支持ローラ50,51上に載せられる。そして、作業者によってフィルムロールFRからストレッチフィルムSFが引き出される。引き出されたストレッチフィルムSFの先端は、作業者によって、ストレッチフィルムSFが繰り出しベルト52に対して外側から接触するように、後側把持部35における第1把持部350の上方把持部材350aと下方把持部材350bとの間に通される。そして、繰り出しベルト52が回転し、ストレッチフィルムSFがフィルムロールFRから繰り出されて、ストレッチフィルムSFの先端が、後側把持部35における第2把持部351の上方把持部材351aと複数の下方把持部材351bとの間に搬送される。このとき、図4に示されるように、ストレッチフィルムSFの先端は、上方把持部材351aの複数の凸部351aaの間から露出するとともに、複数の下方把持部材351bの複数の凸部351bbの間から露出する。これにより、フィルムロールFRの包装機3へのセットが完了する。
【0041】
本実施の形態では、一対の支持ローラ50,51と、繰り出しベルト52と、ベルトローラ53と、後側把持部35と、前側把持部34とで、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFを包装エリアPAに供給するフィルム供給部32が構成されている。
【0042】
次に、ストレッチフィルムSFが包装エリアPAに供給されてから、ストレッチフィルムSFがフィルムロールFRから切断され、その後、ストレッチフィルムSFの端部が把持されるまでの包装機3の動作について説明する。図7〜12は包装機3の動作を示す図である。
【0043】
まず図7に示されるように、前側把持部34が−Y方向に移動して、前側把持部34の前側上方把持部材340aの櫛歯状の端部と、後側把持部35における第2把持部351の上方把持部材351aの櫛歯状の端部とが嵌合するとともに、前側把持部34の複数の前側下方把持部材340bの櫛歯状の端部と、後側把持部35における第2把持部351の複数の下方把持部材351bの櫛歯状の端部とが嵌合する。このとき、後側把持部35における第2把持部351の複数の凸部351aaの間及び複数の凸部351bbの間に現れている、ストレッチフィルムSFの+Y側端部は、前側把持部34における、前側上方把持部材340aと複数の前側下方把持部材340bとの間に挿入される。そして、前側上方把持部材340aと、複数の前側下方把持部材340bとが、ストレッチフィルムSFの+Y側端部を把持する。
【0044】
次に図8に示されるように、前側把持部34が+Y方向に移動する。そうすると、前側把持部34と後側把持部35との間、つまり、包装エリアPAにストレッチフィルムSFが供給される。なお、本実施の形態では、商品Pの大きさにかからず、包装エリアPAにストレッチフィルムSFが供給された状態での前側把持部34と後側把持部35との間の距離D1は一定である。
【0045】
次に図9に示されるように、リフト部30の複数のリフトヘッド300に商品Pが搭載されると、図10に示されるように、リフト部30が+Z方向に移動して、商品PがストレッチフィルムSFに対して突き上げられる。このとき、後側把持部35の第1把持部350及び第2把持部351はストレッチフィルムSFを把持しておらず、ストレッチフィルムSFは包装エリアPAに対して自由に繰り出し可能となっている。そのため、商品PがストレッチフィルムSFに突き上げられると、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFが包装エリアPAに繰り出される。なお、本実施の形態では、リフトヘッド300の+Z方向への移動量D2、つまり、商品Pの+Z方向の移動量は、商品Pの大きさにかからず一定である。
【0046】
次に図11に示されるように、後側把持部35では、第1把持部350の下方把持部材350bが+Z方向に移動するとともに、第2把持部351の複数の下方把持部材351bが+Z方向に移動する。これにより、第1把持部350及び第2把持部351は、フィルムロールFRから包装エリアPAに繰り出されたストレッチフィルムSFを、フィルムロールFRと包装エリアPAの間において、互いに離れた位置で把持するようになる。さらに、包装機3では、左側把持部36の下方把持部材361が+Z方向に移動するとともに、右側把持部37の下方把持部材371が+Z方向に移動する。これにより、包装エリアPAのストレッチフィルムSFの−X側端部及び+X側端部が、左側把持部36及び右側把持部37でそれぞれ把持される。
【0047】
次に図12に示されるように、後側把持部35の第1把持部350及び第2把持部351の間に位置するフィルム切断部33が、+Z方向の移動して、ストレッチフィルムSFをフィルムロールFRから切断する。これにより、商品Pの包装に使用される分だけのストレッチフィルムSFが得られる。そして、フィルム切断部33が−Z方向に移動する。
【0048】
その後、商品Pの包装が完了して、包装エリアPAのストレッチフィルムSFが存在しなくなると、繰り出しベルト52が回転し、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFが繰り出されて、ストレッチフィルムSFの先端が、後側把持部35における第2把持部351の上方把持部材351aと複数の下方把持部材351bとの間に搬送される。以後、同様にして、包装エリアPAに新たなストレッチフィルムSFが供給されて商品Pが包装される。
【0049】
<フィルム折込機構>
図13は、左側折込部材38、右側折込部材39、後側折込部材40及び前側折込部材41で構成されるフィルム折込機構の構成を示す斜視図である。図13と上述の図2に示されるように、前側折込部材41はX方向に沿って延在する丸棒状部材である。前側折込部材41は包装エリアPAの+Y側端部に配置されている。左側折込部材38、右側折込部材39及び後側折込部材40のそれぞれは板状部材である。左側折込部材38及び右側折込部材39は、包装エリアPAの−X側及び+X側の端部にそれぞれ配置され、後側折込部材40は、包装エリアPAの−Y側の端部に配置されている。左側折込部材38及び右側折込部材39のそれぞれは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによって、X方向に沿って移動可能である。後側折込部材40は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによって、Y方向に沿って移動可能である。
【0050】
次にフィルム折込機構の動作について説明する。図14〜17は左側折込部材38及び右側折込部材39の動作を示す図である。
【0051】
図14に示されるように、包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して商品Pが突き上げられた状態で、当該ストレッチフィルムSFがフィルムロールFRから切断されると、図15に示されるように、まず左側折込部材38及び右側折込部材39が+X方向及び−X方向にそれぞれ移動する。つまり、左側折込部材38及び右側折込部材39が互いに接近するように移動する。そうすると、左側折込部材38が、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している−X側端部に当接しながら商品Pの下側に潜り込み、右側折込部材39が、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している+X側端部に当接しながら商品Pの下側に潜り込むようになる。その結果、左側折込部材38によってストレッチフィルムSFの−X側端部が商品Pの下側に折り込まれていき、右側折込部材39によってストレッチフィルムSFの+X側端部が商品Pの下側に折り込まれていく。
【0052】
左側折込部材38及び右側折込部材39が+X方向及び−X方向にそれぞれ移動する際には、前側把持部34では、−X側及び+X側の前側下方把持部材340bが−Z方向に移動し、後側把持部35では、第2把持部351の−X側及び+X側の下方把持部材351bが−Z方向に移動する。これにより、左側折込部材38及び右側折込部材39が+X方向及び−X方向にそれぞれ移動する際には、ストレッチフィルムSFの+Y側端部の中央部のみが前側把持部34で把持され、ストレッチフィルムSFの−Y側端部の中央部のみが後側把持部35の第2把持部351で把持される。したがって、前側把持部34及び後側把持部35が、左側折込部材38及び右側折込部材39の折り込み動作を妨げることはない。
【0053】
また、本実施の形態に係るリフト部30では、X方向に並ぶ複数のリフトヘッド300のうち中央のリフトヘッド300以外については、その上側半分が内側に倒れることが可能となっている。そして、図15に示されるように、左側折込部材38は、中央のリフトヘッド300よりも−X側に位置する複数のリフトヘッド300の上側半部を内側に倒しながら商品Pの下側に潜り込んでいく。また、右側折込部材39は、中央のリフトヘッド300よりも+X側に位置する複数のリフトヘッド300の上側半部を内側に倒しながら商品Pの下側に潜り込んでいく。これにより、本実施の形態のように、商品Pが複数のリフトヘッド300で支持されている場合であっても、商品Pの下側にストレッチフィルムSFのX方向の両端部を折り込むことができる。
【0054】
左側折込部材38によってストレッチフィルムSFの−X側端部が商品Pの下側に折り込まれていく際には、図16に示されるように、左側把持部36の下方把持部材361が−Z方向に移動し、左側把持部36がストレッチフィルムSFの−X側端部の把持を解放する。同様に、右側折込部材39によってストレッチフィルムSFの+X側端部が商品Pの下側に折り込まれていく際には、右側把持部37の下方把持部材371が−Z方向に移動して、右側把持部37がストレッチフィルムSFの+X側端部の把持を解放する。そして、左側折込部材38及び右側折込部材39は、中央のリフトヘッド300に近づくと停止する。これにより、ストレッチフィルムSFにおけるX方向の両端部の折り込みが完了する。その後、図17に示されるように、リフト部30が−Z方向に移動する。このとき、商品Pは左側折込部材38及び右側折込部材39によって支持されている。
【0055】
次に後側折込部材40及び前側折込部材41の動作について説明する。図18〜21は後側折込部材40及び前側折込部材41の動作を示す図である。
【0056】
ストレッチフィルムSFのX方向の両端部の折り込みが完了すると、図18に示されるように、後側折込部材40が+Y方向に移動する。そうすると、図19に示されるように、後側折込部材40が、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している−Y側端部に当接しながら商品Pの下側に潜り込むようになる。その結果、後側折込部材40によってストレッチフィルムSFの−Y側端部が商品Pの下側に折り込まれていく。後側把持部35の第2把持部351は、後側折込部材40によってストレッチフィルムSFの−Y側端部が商品Pの下側に折り込まれていく最中に、ストレッチフィルムSFの把持を解放する。
【0057】
ストレッチフィルムSFの−Y側端部が商品Pの下側に折り込まれると、図20に示されるように、後側把持部35の第2把持部351の上方に位置する排出プッシャー42が+Y方向に移動する。そして、排出プッシャー42は、商品Pの横側を+Y方向に押動する。そうすると、前側折込部材41が、ストレッチフィルムSFにおける傾斜している+Y側端部に当接しながら商品Pの下側に潜り込むようになる。これにより、前側折込部材41によって、ストレッチフィルムSFの+Y側端部が商品Pの下側に折り込まれていく。
【0058】
前側把持部34は、ストレッチフィルムSFの+Y側端部が商品Pの下側に折り込まれていく最中に、ストレッチフィルムSFの把持を解放する。そして、排出プッシャー42が商品Pをさらに+Y方向に押動すると、図21に示されるように、ストレッチフィルムSFの+Y側端部が商品Pの下側に完全に折り込まれるようになる。これにより、ストレッチフィルムSFの周縁部が商品Pの下側に折り込まれる。そして、商品Pは、排出プッシャー42によって排出台45に搬送される。
【0059】
<ヒータ部>
包装機3のヒータ部43は、上述の図2等に示されるように、2つのヒータローラ430,431で構成されている。ヒータローラ430,431及び搬送ローラ44のそれぞれはY軸方向に沿って延在している。前側折込部材41、ヒータローラ430、ヒータローラ431、搬送ローラ44及び排出台45は、この順で+Y方向に沿って配置されている。ヒータローラ430,431は、制御部9によって制御される加熱手段(図示せず)によって加熱される。排出プッシャー42により排出台45に向けて搬送されてくる商品Pは、ヒータローラ430,431上を移動する。これにより、ストレッチフィルムSFにおける、商品Pの底面で重なっている部分が、ヒータローラ430,431によって熱溶着される。その後、商品Pは搬送ローラ44上を移動して排出台45に載置される。
【0060】
以上のような包装機3の包装動作は、制御部9が、包装対象の商品Pに応じた包装条件に基づいて包装機3を制御することによって実現される。制御部9は、記憶部8に記憶されている商品マスタファイル800及びトレーマスタファイル801に基づいて、包装対象の商品Pに応じた包装条件を取得する。
【0061】
図22は商品マスタファイル800の一例を示す図である。図22に示されるように、商品マスタファイル800は、テーブル形式を成しており、商品Pを識別するための商品番号、商品名、単価、トレーを識別するためのトレー番号などの情報を含んでいる。商品マスタファイル800では、各商品番号に対して、当該商品番号で特定される商品Pについての商品名及び単価、当該商品Pに使用されているトレーについてのトレー番号などが対応付けられている。
【0062】
図23はトレーマスタファイル801の一例を示す図である。図23に示されるように、トレーマスタファイル801は、テーブル形式を成しており、トレー番号、トレーサイズ、トレー材質、包装条件などの情報を含んでいる。トレーマスタファイル801では、各トレー番号に対して、当該トレー番号で特定されるトレーについてのトレーサイズ、トレー材質及び包装条件などが対応付けられている。トレー材質には、比較的堅い材質を意味する「ハードトレー」と、比較的やわらかい材質を意味する「ソフトトレー」とがある。また、包装条件には、左側折込部材38、右側折込部材39及び後側折込部材40の移動量や、前側把持部34、後側把持部35、左側把持部36及び右側把持部37がストレッチフィルムSFの把持を解放するタイミングなどが含まれている。
【0063】
ここで、上述のように、本実施の形態に係る計量包装値付機1では、トレーに内容物が搭載された商品Pだけではなく、トレーが使用されていない商品P(以後、「トレー無し商品P」と呼ぶ)に対しても包装を行うことができる。本実施の形態では、トレーマスタファイル801において、トレーが使用されている商品Pについての包装条件だけでなく、トレー無し商品Pについての包装条件も管理するために、トレー無し商品Pの包装条件に対してトレー番号を便宜的に対応付けている。図22の例では、“005”及び“006”が、トレー無し商品Pの包装条件に対応付けられているトレー番号となっている。そして、トレー無し商品Pの包装条件に対応付けられたトレー番号に対しては、「ノートレー」というトレー材質を対応付けている。また、当該トレー番号に対応付けられている「トレーサイズ」は、トレーの大きさで仮に表した際のトレー無し商品Pの大きさを示している。
【0064】
ユーザは、計量包装値付機1において、ある商品Pの処理を開始する際には、当該商品Pの商品番号を操作部7を利用して計量包装値付機1に入力する。この商品番号は制御部9に入力される。制御部9は、商品マスタファイル800を参照して、入力された商品番号に対応付けられているトレー番号を取得する。次に、制御部9は、トレーマスタファイル801を参照して、取得したトレー番号に対応付けられている包装条件を取得する。これにより、制御部9は、包装対象の商品Pに応じた包装条件を取得することができる。その後、制御部9は、取得した包装条件に基づいて包装機3を制御する。
【0065】
以上のように、本実施の形態に係る包装機3では、包装エリアPAに対してフィルムロールFRからストレッチフィルムSFが繰り出されることが可能な状態において、被包装物である商品Pが包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して突き上げられるため(図10参照)、商品Pの大きさに応じた量だけ包装エリアPAにストレッチフィルムSFが繰り出されることになる。したがって、本実施の形態のように、包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して商品Pを突き上げた状態において、当該ストレッチフィルムSFをフィルムロールFRから切断することによって(図11参照)、自動的に適切な長さのストレッチフィルムSFを得ることができる。
【0066】
図24,25は、図9〜12に示される商品Pよりも大きな商品Pを包装する際の包装機3の動作を示す図である。図24は、ストレッチフィルムSFに商品Pを突き上げる直前の様子を示しており、図25は、ストレッチフィルムSFに商品Pを突き上げた直後の様子を示している。図10と図25とを比較して理解できるように、背の高い商品PをストレッチフィルムSFに突き上げた際には、ストレッチフィルムSFはより高い位置まで突き上げられることから、その分だけ、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFが包装エリアPAに対して多く繰り出されることになる。また、Y方向の寸法が大きい商品PをストレッチフィルムSFに突き上げた際には、ストレッチフィルムSFにおいて商品Pに突き上げられている部分のY方向の寸法が大きくなることから、その分だけ、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFが包装エリアPAに対して多く繰り出されることになる。
【0067】
このように、包装エリアPAに対してフィルムロールFRからストレッチフィルムSFが繰り出されることが可能な状態において、商品Pを包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して突き上げて、その後、当該ストレッチフィルムSFをフィルムロールFRから切断することによって、商品Pの大きさに応じた適切な長さのストレッチフィルムSFを自動的に得ることができる。よって、ストレッチフィルムSFの無駄を無くすことができる。また、前側把持部34と後側把持部35との間の距離D1を商品Pごとに変更して包装エリアPAのストレッチフィルムSFの長さを調整する必要がない。特に野菜や果物などの自然物の商品Pをトレーに搭載することなく直接包装する場合には、個々の商品Pで大きさがばらつくことから、本実施の形態のようにして包装に使用するストレッチフィルムSFを得ることは非常に有効である。
【0068】
また、本実施の形態では、上述の図12に示されるように、包装エリアPAに繰り出されたストレッチフィルムSFは、第1把持部350及び第2把持部351に把持された状態において、第1把持部350及び第2把持部351の間で切断されるため、ストレッチフィルムSFの切断が容易となる。
【0069】
<変形例1>
本変形例では、商品Pの大きさに応じた適切な長さのストレッチフィルムSFを自動的に得ることができる別の方法について説明する。
【0070】
図26は本変形例に係る計量包装値付機1の計量搬送機構2と包装機3の構成の一部を示す側面図であって、図27は本変形例に係る計量包装値付機1の計量搬送機構2と包装機3の構成の一部を示す平面図である。なお図26では、図27に示される左方側面カバー101の図示は省略されている。
【0071】
図26,27に示されるように、計量搬送機構2には、複数の商品検出センサ110〜112が設けられている。商品検出センサ110〜112は、例えば光学式センサであって、計量搬送機構2の載置部21に載置された商品Pが搬送部22によって包装機3のリフト部30まで搬送されるまでの搬送経路に配置されている。
【0072】
商品検出センサ110は投受光器110a及び反射板110bを備え、商品検出センサ111は投受光器111a及び反射板111bを備え、商品検出センサ112は投受光器112a及び反射板112bを備える。計量包装値付機1の筐体10は、載置部21とリフト部30との間に、X軸方向で互いに対向配置された、+X側の右方側面カバー100及び−X側の左方側面カバー101を備えている。投受光器110a〜112aは、Y軸方向及びZ軸方向の位置がそれぞれ互いに異なるように右方側面カバー100の内面に取り付けられている。反射板110b〜112bは、Y軸方向及びZ軸方向の位置がそれぞれ互いに異なるように左方側面カバー101の内面に取り付けられている。そして、投受光器110a及び反射板110bはX軸方向で互いに対向配置され、投受光器111a及び反射板111bはX軸方向で互いに対向配置され、投受光器112a及び反射板112bはX軸方向で互いに対向配置されている。
【0073】
以上のような商品検出センサ110では、投受光器110a及び反射板110bの間に商品Pが存在しない場合には、投受光器110aが出力した光が反射板110bで反射して投受光器110aで検出される。一方で、投受光器110a及び反射板110bの間に商品Pが存在する場合には、投受光器110aが出力した光が商品Pで遮られて、投受光器110aで検出されなくなる。このように、商品検出センサ110では、投受光器110aが出力した光が当該投受光器110aで検出されるか否かによって商品Pが検出される。商品検出センサ111,112のそれぞれでも、同様にして商品Pが検出される。商品検出センサ110,111,112での商品Pの検出結果は、制御部9に入力される。
【0074】
本変形例では、制御部9は、商品検出センサ110,111,112での商品Pの検出結果を用いて、当該商品Pの高さ(Z軸方向の長さ)と奥行き(Y軸方向の長さ)を求める。図26に示されるように、商品検出センサ110〜112では、投受光器110a〜112aのZ軸方向の位置が互いに異なっており、反射板110b〜112bのZ軸方向の位置が互いに異なっていることから、商品Pの高さによって、商品検出センサ110〜112での商品Pの検出結果が変化するようになる。例えば、一番低い位置に配置された商品検出センサ112の位置よりも商品Pの高さが低い場合には、商品検出センサ110〜112のすべてにおいて商品Pが検出されず、一番高い位置に配置された商品検出センサ110の位置よりも商品Pの高さが高い場合には、商品検出センサ110〜112のすべてにおいて商品Pが検出される。よって、制御部9は、商品検出センサ110〜112での商品Pの検出結果に基づいて当該商品Pの概略の高さを求めることができる。
【0075】
また記憶部8には、搬送部22の−Y方向の移動速度(商品Pの搬送速度)が予め記憶されている。そして、制御部9は、記憶部8内の当該移動速度と、商品検出センサ110〜112のうち商品Pを検出している商品検出センサでの商品Pを検出している時間とに基づいて、当該商品Pの奥行きを求める。例えば、搬送部22の移動速度がVcm/secであって、商品検出センサ110において商品Pを検出している時間がTsecだとすると、当該商品Pの奥行きは(V×T)cmとなる。
【0076】
さらに、本変形例では、制御部9は、商品検出センサ110〜112での商品Pの検出結果を用いて、搬送部22上での商品PのY軸方向の位置を求める。そして、制御部9は、搬送部22上での商品PのY軸方向の位置から、リフト部30上での当該商品PのY軸方向の位置を推定する。搬送部22上での商品Pの位置が変化すれば、それに応じてリフト部30上での当該商品Pの位置も変化することから、制御部9は、搬送部22上での商品PのY軸方向の位置から、リフト部30上での当該商品PのY軸方向の位置を推定することができる。本変形例に係る制御部9は、搬送部22が商品Pの搬送を開始してから、商品検出センサ110〜112において最初に商品Pが検出されるまでの時間を計測しており、当該時間に基づいて搬送部22上での商品PのY軸方向の位置を求める。以後、搬送部22が商品Pの搬送を開始してから、商品検出センサ110〜112において最初に商品Pが検出されるまでの時間を単に「計測時間」と呼ぶ。商品Pが搬送部22上において前側(−Y側)に位置している場合には計測時間は短くなり、商品Pが搬送部22上において後側(+Y側)に位置している場合には計測時間は長くなる。このように、搬送部22上での商品PのY軸方向の位置に応じて計測時間は変化するため、制御部9は、計測時間に基づいて搬送部22上での商品PのY軸方向の位置を求めることができる。
【0077】
制御部9は、以上のようにして商品Pの高さ及び奥行きとリフト部30上の当該商品PのY軸方向の位置を求めると、これらの情報に基づいて包装条件を決定する。具体的には、制御部9は、当該商品Pの包装に使用するストレッチフィルムSFの長さ、包装エリアPAにおけるストレッチフィルムSFの位置、前側把持部34及び後側把持部35でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミング、後側折込部材40の移動量などを決定する。
【0078】
ここで、上記の例では、包装エリアPAに対してフィルムロールFRからストレッチフィルムSFが繰り出されることが可能な状態において、商品Pを包装エリアPAのストレッチフィルムSFに対して突き上げて、その後、当該ストレッチフィルムSFをフィルムロールFRから切断しているため、包装に使用されるストレッチフィルムSFの長さは自然と決まっていた。
【0079】
これに対して、本変形例の包装機3では、包装エリアPAに供給されたストレッチフィルムSFのY軸方向の両端部を前側把持部34及び後側把持部35が把持した状態で、フィルム切断部33が当該ストレッチフィルムSFをフィルムロールFRから切断し、その後、得られた所定の長さのストレッチフィルムSFに対してリフト部30が商品Pを突き上げるようになっている。したがって、包装機3では、包装に使用するストレッチフィルムSFの長さを決定する必要がある。本変形例では、制御部9が、商品Pの高さ及び奥行きに基づいて、当該商品Pの包装に使用するストレッチフィルムSFの長さを決定する。例えば、商品Pの高さが大きい場合や、商品Pの奥行きが大きい場合には、包装に使用するストレッチフィルムSFの長さを長くし、商品Pの高さが小さい場合や、商品Pの奥行きが小さい場合には、包装に使用するストレッチフィルムSFの長さを短くする。この場合には、制御部9は、商品Pの高さ及び奥行きだけで、当該商品Pの包装に使用するストレッチフィルムSFの長さを決定しても良い。あるいは、記憶部8が記憶する包装条件に、包装に使用するストレッチフィルムSFの基準値を含めておいて、制御部9は、当該基準値を包装対象の商品Pの高さ及び奥行きに基づいて補正することによって、最終的に使用するストレッチフィルムSFの長さを決定しても良い。
【0080】
なお、包装エリアPAにストレッチフィルムSFが供給された状態での前側把持部34と後側把持部35との間の距離D1(図8参照)を変化させることによって、包装に使用するストレッチフィルムSFの長さを変化させることができる。
【0081】
また、本変形例の制御部9は、リフト部30上の商品PのY軸方向の位置に基づいて、包装エリアPAにおけるストレッチフィルムSFの位置を決定する。具体的には、制御部9は、ストレッチフィルムSFの位置を、当該ストレッチフィルムSFがリフト部30上の商品Pの真上にくるような位置とする。この場合には、制御部9は、リフト部30上の商品PのY軸方向の位置だけを使用してストレッチフィルムSFの位置を決定しても良い。あるいは、記憶部8が記憶する包装条件に、包装エリアPAにおけるストレッチフィルムSFの位置の基準値を含めておいて、制御部9は、当該基準値をリフト部30上の商品PのY軸方向の位置に基づいて補正することによって、最終的なストレッチフィルムSFの位置を決定しても良い。
【0082】
なお、前側把持部34だけではなく後側把持部35もY軸方向に移動可能とし、前側把持部34と後側把持部35の両方の絶対位置を変化させることによって、包装エリアPAにおけるストレッチフィルムSFの位置を変化させることができる。
【0083】
また、本変形例の制御部9は、リフト部30上の商品PのY軸方向の位置に基づいて、前側把持部34及び後側把持部35でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングを決定する。例えば、リフト部30上において商品Pが後側(−Y側)に位置する場合には、制御部9は、後側把持部35でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングを早くするとともに、前側把持部34でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングを遅くする。この場合には、制御部9は、リフト部30上の商品PのY軸方向の位置だけを使用して前側把持部34及び後側把持部35でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングを決定しても良い。あるいは、記憶部8が記憶する包装条件に、前側把持部34及び後側把持部35でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングの基準値を含めておいて、制御部9は、当該基準値をリフト部30上の商品PのY軸方向の位置に基づいて補正することによって、最終的な前側把持部34及び後側把持部35でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングを決定しても良い。
【0084】
また、本変形例の制御部9は、リフト部30上の商品PのY軸方向の位置に基づいて、後側折込部材40の移動量を決定する。例えば、リフト部30上において商品Pが後側(−Y側)に位置する場合には、後側折込部材40に移動量を小さくする。この場合には、制御部9は、リフト部30上の商品PのY軸方向の位置だけを使用して後側折込部材40の移動量を決定しても良い。あるいは、記憶部8が記憶する包装条件に、後側折込部材40の移動量の基準値を含めておいて、制御部9は、当該基準値をリフト部30上の商品PのY軸方向の位置に基づいて補正することによって、最終的な後側折込部材40の移動量を決定しても良い。
【0085】
このように、商品検出センサ110〜112を設けて、商品Pの高さ及び奥行きと、リフト部30上での当該商品PのY軸方向の位置を求めることによって、当該商品Pにとって適切な包装条件を自動的に得ることができる。特に、果物や野菜などの自然物の商品Pを直接包装する場合には、同じ種類の商品Pであっても大きさにばらつきが生じるため、同じ包装条件を使用して同じ種類の商品Pを包装する場合には、包装仕上がり精度にばらつきが生じる。本変形例のように、商品検出センサ110〜112での検出結果に基づいて、包装に使用するストレッチフィルムSFの長さを決定することにより、同じ種類の複数の商品Pの間で大きさがばらついた場合であっても、包装仕上がり精度のばらつきを抑制することができることができる。
【0086】
<変形例2>
野菜や果物などの自然物の商品Pを直接包装する際には、同じ種類の商品Pであっても大きさにばらつきが生じるため、商品Pを覆うストレッチフィルムSFの張り具合にばらつきが生じる可能性がある。
【0087】
そこで、特許文献2にも開示されているように、出力トルクが所定の制限値よりも大きくならないように出力トルクが制限されたモータ(以後、「トルク制限付きモータ」と呼ぶ)によって左側折込部材38を駆動することが考えられる。この場合には、左側折込部材38の移動速度を検出し、当該移動速度が所定値よりも小さくなったタイミングに基づいて、左側把持部36でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングを制御する。右側折込部材39及び後側折込部材40についても同様である。
【0088】
しかしながら、商品Pが小さくなると、左側折込部材38が商品Pから離れた状態において、左側折込部材38の移動速度が所定値よりも小さくなり、左側把持部36でのストレッチフィルムSFの把持の開放タイミングが所望のタイミングよりも早くなることがある。その結果、ストレッチフィルムSFにおける−X側端部が、商品Pの下側に適切に折り込まれないことがある。右側折込部材39及び後側折込部材40についても同様である。
【0089】
そこで、本変形例では、ストレッチフィルムSFの周縁部を商品Pの下側に適切に折り込むことができる包装機3について説明する。
【0090】
図28〜35は、本変形例に係る包装機3においてストレッチフィルムSFの−X側端部が商品Pの下側に折り込まれる様子を示す図である。本変形例に係る包装機3では、左側折込部材38は、制御部9によって制御されるトルク制限付きモータ138によって駆動されることによって、X軸方向に沿って移動する。また、左側把持部36は、制御部9によって制御される駆動モータ136によって駆動されることによって、X軸方向に沿って移動する。さらに包装機3には、駆動モータ136の回転量を検出するモータ回転検出部236と、トルク制限付きモータ138の回転量を検出するモータ回転検出部238とが設けられている。制御部9は、モータ回転検出部236で検出された、駆動モータ136の回転量に基づいて、左側把持部36の+X方向の移動量を求める。また、制御部9は、モータ回転検出部238で検出された、トルク制限付きモータ138の回転量に基づいて、左側把持部36の+X方向の移動量を求める。そして、制御部9は、左側把持部36及び左側折込部材38の+X方向の移動量に基づいて、X軸方向における、左側把持部36と左側折込部材38の間の距離を求める。
【0091】
包装機3において、ストレッチフィルムSFの−X側端部が商品Pの下側に折り込まれる際には、図28に示されるように、左側折込部材38が+X方向に移動して、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している−X側端部に当接する。そして、左側折込部材38が、ストレッチフィルムSFの−X側端部に当接しながら+X方向へ移動する。
【0092】
左側折込部材38がストレッチフィルムSFに当接しながら+X方向へ移動すると、ストレッチフィルムSFに発生する張力(以後、単に「フィルム張力」と呼ぶ)が増大し、トルク制限付きモータ138の出力トルクが増大する。したがって、左側折込部材38の+X方向への移動が進んでいくと、トルク制限付きモータ138の出力トルクが所定の制限値となって、図29に示されるように、左側折込部材38の+X方向の移動が停止するようになる。
【0093】
左側折込部材38が停止すると、図30に示されるように、左側把持部36が+X方向に所定距離だけ移動する。そうすると、フィルム張力が低減し、その結果、トルク制限付きモータ138の出力トルクが低下して、図31に示されるように、左側折込部材38の+X方向への移動が再開する。
【0094】
その後、左側折込部材38の+X方向への移動が進んでいくと、トルク制限付きモータ138の出力トルクが所定の制限値となって、左側折込部材38の+X方向の移動が再び停止するようになる。そうすると、図32に示されるように、左側把持部36が再び+X方向に所定距離だけ移動する。その後、左側把持部36及び左側折込部材38は同様に動作して、図33に示されるように、左側折込部材38が商品Pの下側に潜り込むようになる。
【0095】
左側折込部材38が商品Pの下側に潜り込むようになると、つまり、ストレッチフィルムSFの−X側端部についての商品Pの下側への折り込みが開始すると、図28〜32の場合(つまり、ストレッチフィルムSFの−X側端部についての商品Pの下側への折り込みが未だ行われていない場合)と比較して、ストレッチフィルムSFにおいて左側折込部材38が当接している部分には、左側折込部材38が少し移動しただけでも、より大きな張力が発生する。その結果、ストレッチフィルムSFの−X側端部についての商品Pの下側への折り込みが行われている場合には、図28〜32の場合と比較して、停止した左側折込部材38が移動を再開してから再び停止するまでに当該左側折込部材38が移動する距離が小さくなる。よって、ストレッチフィルムSFの−X側端部についての商品Pの下側への折り込みが開始すると、X軸方向における、左側折込部材38と左側把持部36の間の距離が小さくなっていく。つまり、左側折込部材38と左側把持部36は互いに近づくようになる。
【0096】
本変形例に係る制御部9は、図34に示されるように左側折込部材38と左側把持部36とが互いに近づいて、左側把持部36及び左側折込部材38の+X方向の移動量に基づいて求めた、X軸方向における、左側把持部36と左側折込部材38の間の距離D3が、所定値以下となると、図35に示されるように、左側把持部36を制御して、左側把持部36にストレッチフィルムSFの−X側端部の把持を解放させる。その後、左側折込部材38は、初期位置から所定距離だけ移動すると停止する。これにより、ストレッチフィルムSFの−X側端部についての商品Pの下側への折り込みが完了する。
【0097】
このように、X軸方向における、左側把持部36と左側折込部材38の間の距離D3が所定値以下となると、ストレッチフィルムSFの−X側端部の把持を解放することによって、左側折込部材38が商品Pの下側に十分に潜り込んだ状態で、ストレッチフィルムSFの−X側端部の把持を解放することができる。よって、ストレッチフィルムSFの−X側端部を商品Pの下側に適切に折り込むことができる。
【0098】
なお、制御部9が、左側折込部材38が+X方向への移動を開始してから十分長い時間が経過した後に、左側把持部36を所定距離だけ移動させることによって、トルク制限付きモータ138の出力トルクが制限値となって左側折込部材38の移動が停止した後に、左側把持部36を所定距離だけ移動させることができる。よって、この場合には、左側把持部36が停止したか否かを検出する必要はない。
【0099】
あるいは、モータ回転検出部238において、トルク制限付きモータ138の回転速度を検出し、制御部9が、その回転速度に基づいて左側折込部材38の+X方向への移動速度を求める。そして、制御部9は、左側折込部材39の移動速度が零になったとき、左側把持部36を所定距離だけ移動させる。これにより、トルク制限付きモータ138の出力トルクが制限値となって左側折込部材38の移動が停止した後に、左側把持部36を所定距離だけ移動させることができる。この場合には、左側折込部材38の移動速度が零になる前に、つまり、当該移動速度が所定値よりも小さくなったときに、左側把持部36を所定距離だけ移動させても良い。
【0100】
また、右側折込部材39及び右側把持部37を同様に動作させることによって、ストレッチフィルムSFの+X側端部を商品Pの下側に適切に折り込むことができる。また、後側折込部材40及び後側把持部35の第2把持部351も同様に動作させることによって、ストレッチフィルムSFの−Y側端部を商品Pの下側に適切に折り込むことができる。
【0101】
<変形例3>
上述の実施の形態及び変形例1,2においては、包装に使用するストレッチフィルムSFの長さ、左側把持部36などの把持部でのストレッチフィルムSFの把持の解放タイミングなどの包装条件は自動的に決定されていた。
【0102】
しかしながら、上述のように自動的に決定した包装条件が、最適な包装条件とならない場合がある。
【0103】
そこで、本変形例に係る計量包装値付機1では、自動的に決定される包装条件に対する調整量が商品Pごとにユーザによって登録可能となっている。以下に本変形例について具体的に説明する。
【0104】
ユーザは、ある対象商品Pについての調整量を計量包装値付機1に登録する際には、当該対象商品Pのサンプルを計量包装値付機1に投入して、計量包装値付機1を試験的に動作させる。計量包装値付機1では、上述のようにして自動的に包装条件が決定され、その包装条件で対象商品Pのサンプルに対する包装が行われる。そして、ユーザは、対象商品Pのサンプルについての包装仕上がりを確認する。その後、ユーザは、対象商品Pのサンプルの包装仕上がりに基づいて、自動的に決定された包装条件に対する調整量を操作部7を操作して計量包装値付機1に入力する。制御部9は、計量包装値付機1に入力された調整量を、対象商品Pについての商品番号に対応付けて商品マスタファイル800に登録する。図36は、商品マスタファイル800に調整量が登録されている様子を示す図である。
【0105】
商品マスタファイル800に登録される調整量としては、自動的に決定されるストレッチフィルムSFの長さに対するオフセット量や、自動的に決定される、左側把持部36等の把持部でのストレッチフィルムSFの把持の解放タイミングに対するオフセット量などがある。
【0106】
制御部9は、計量包装値付機1がある商品Pの包装を行う際には、商品マスタファイル800を参照して、当該商品Pの商品番号に対応付けられている調整量を取得する。そして、制御部9は、取得した調整量に基づいて自動的に決定される包装条件を調整する。例えば、変形例1において、制御部9は、包装エリアPAにストレッチフィルムSFが供給された状態での前側把持部34と後側把持部35との間の距離D1を調整することによって、包装に使用されるストレッチフィルムSFの長さを調整する。
【0107】
このように、自動的に決定される包装条件に対する調整量を登録可能とすることによって、商品Pをより適切に包装することが可能となる。なお、商品マスタファイル800内の調整量は定期的に更新することが望ましい。
【0108】
<変形例4>
野菜や果物などの自然物は、季節により大きさが変化し、トレーを使用せずに自然物を直接包装する場合には、その大きさに応じて包装条件を設定し直す必要がある。また、野菜や果物などは、複数個で一つの商品Pとなって、複数個単位で包装されることがある。また、その際の構成品の積み方(並べ方)は、横並びや俵積みなど複数種類存在する。さらに、野菜や果物などは、1/2個、1/4個といったように、複数に切り分けられたうちの一つだけが包装されることがある。包装対象のトレー無し商品Pにおいて、包装単位(個数)、構成品の積み方(横並び、俵積み)、切り分け方(1/2、1/4)が変化すると、それに応じて包装条件を設定し直す必要がある。
【0109】
ユーザは、表示部5に表示されるトレー一覧画面500及び生産画面501を利用して新たな包装条件を設定することができる。図37はトレー一覧画面500の一例を示す図である。図37に示されるように、トレー一覧画面500には、トレー番号、トレー名、トレーサイズ(幅、奥行き、高さ)などが示される。トレー番号に対応付けられているトレー名は、当該トレー番号に対応付けられている包装条件が特定できるような情報となっている。図37の例において、例えば、トレー番号“0001”に対応付けられているトレー名から、ユーザは、包装単位が1本で、サイズが大きいトレー無し商品Pに適した包装条件がトレー番号“0001”に対応付けられていることが理解できる。また、トレー番号“0005”に対応付けられているトレー名から、ユーザは、包装単位が3本で、構成品の並びが横並びで、各構成品のサイズが大きいトレー無し商品Pに適した包装条件がトレー番号“0005”に対応付けられていることが理解できる。また、トレー番号“0008”に対応付けられているトレー名から、ユーザは、包装単位が3本で、構成品の積み方が俵積みで、各構成品のサイズが小さいトレー無し商品Pに適した包装条件がトレー番号“0008”に対応付けられていることが理解できる。このように、ユーザは、トレー名から包装条件を特定することができるため、新たに設定する包装条件に対応付けられたトレー番号を特定することができる。
【0110】
図38は、計量包装値付機1における、ある処理対象の商品Pについての生産画面501の一例を示す図である。図38に示されるように、生産画面501には、対象商品Pの名称(図38の例では「きゅうり」)、加工日、消費期限などが示されている。また、生産画面501には5売価表1501が示されている。5売価表1501では、対象商品Pについての5種類の売価が示されている。また、5売価表1501では、5種類の売価のそれぞれに対して、当該売価で販売される際の対象商品Pについての包装単位(図38では「記号」の欄に示されている)と、当該売価で販売される際の対象商品Pに適した包装条件が対応付けられたトレー番号(図38では「トレーNo.」の欄に示されている)とが示されている。さらに、5売価表1501では、5種類の売価に対して、“1”〜“5”の単価番号が対応付けられている。ユーザが、生産画面501における、ある単価番号が示されている領域を押して当該単価番号を選択すると、選択された単価番号に対応付けられたトレー番号に係る包装条件が計量包装値付機1に設定される。ユーザが選択した単価番号に係る売価、包装単位、トレー番号、当該トレー番号に対応付けられているトレー名は、生産画面501の売価表示欄1502、包装単位表示欄1503、トレー番号表示欄1504及びトレー名表示欄1505にそれぞれ示される。
【0111】
ユーザは、トレー名表示欄1505に示される、包装条件を特定できるトレー名を確認しながら、選択する単価番号を切り替えることによって、新たな包装条件を設定することができる。
【0112】
また、ユーザは、トレー番号とトレー名との対応表を利用するなどして、新たに設定する包装条件に対応付けられたトレー番号を特定し、特定したトレー番号に係る単価番号を選択することにより、新たな包装条件を設定することができる。
【0113】
また、ユーザは、表示部5にトレー一覧画面500を一旦表示させて、トレー一覧画面500のトレー名を参照して、トレー一覧画面500から新たに設定する包装条件に対応付けられているトレー番号を特定する。そして、ユーザは、表示部5の表示を生産画面501に切り替えて、特定したトレー番号に対応付けられている単価番号を選択する。これにより、新たな包装条件が設定される。
【0114】
以上ように、生産画面501及びトレー一覧画面500を利用して新たな包装条件を設定する際には、選択する単価番号を切り替えながらトレー名表示欄1505の表示を確認したり、表示部5に一旦トレー一覧画面500を表示させる必要があることから、タッチパネルである表示部5に対する操作の回数が多くなり、作業時間が長くなる。また、トレー番号とトレー名との対応表を利用するなどして、新たに設定する包装条件に対応付けられたトレー番号を特定する場合には、すぐにトレー番号を特定することができず、作業時間が長くなる。
【0115】
そこで、生産画面501を図38から図39のように変更する。これにより、新たな包装条件をすぐに設定することが可能となる。以下にこの点について詳細に説明する。
【0116】
図39に示されるように、本変形例に係る生産画面501の5売価表1501では、トレー番号が表示されていた欄に、トレー番号の替わりに、当該トレー番号に対応付けられている包装条件を特定することが可能な情報が図形1501aで示されている。例えば、単価番号“1”に対応付けられている図形1501aは、包装単位が3本で、構成品の並びが横並びで、各構成品のサイズが大きいトレー無し商品Pに適した包装条件であることを示している。また、単価番号“4”に対応付けられている図形1501aは、包装単位が3本で、構成品の並びが俵積みで、各構成品のサイズが小さいトレー無し商品Pに適した包装条件であることを示している。
【0117】
図40は生産画面501の他の一例を示す図である。図40に示される生産画面501の5売価表1501では、トレー番号の表示欄に、トレー番号に加えて、当該トレー番号に対応付けられている包装条件を特定することが可能な情報が文字列1501bで示されている。例えば、単価番号“2”に対応付けられている文字列1501bは、包装単位が3本で、構成品の並びが横並びで、各構成品のサイズが小さいトレー無し商品Pに適した包装条件であることを示している。また、単価番号“3”に対応付けられている文字列1501bは、包装単位が3本で、構成品の並びが俵積みで、各構成品のサイズが大きいトレー無し商品Pに適した包装条件であることを示している。
【0118】
このように、5売価表1501において、包装条件を特定することが可能な情報を図形や文字列で示すことによって、ユーザは、新たに設定する包装条件に対応する単価番号をすぐに特定することができる。よって、ユーザは、新たな包装条件をすぐに設定することが可能となる。
【0119】
なお、ユーザは、トレー登録画面502を利用して、トレー番号ごとに包装条件を計量包装値付機1に登録することができる。図41はトレー登録画面502の一例を示す図である。図41は、トレー番号“0001”に対して包装条件を対応付ける際のトレー登録画面502が示されている。トレー登録画面502では、トレー番号に対して、包装条件だけではなく、トレー名、トレーサイズ、トレー材質、包装速度及び供給速度などを対応付けることができる。
【0120】
また、ユーザは、トレー無し商品Pに対して新たにトレー番号を対応付ける際には、表示部5を操作して当該表示部5に包装条件一覧画面503を表示させる。図42は包装条件一覧画面503の一例を示す図である。図42に示されるように、包装条件一覧画面503には、包装条件を特定することが可能な情報が例えば図形で示される。ユーザが、包装条件一覧画面503において、対象のトレー無し商品Pに適した包装条件を特定することが可能な図形を押して当該図形を選択すると、複数のトレー番号のうち、選択された包装条件に対応付けられているトレー番号だけを含むトレー一覧画面500が表示部5に表示される。図43はその様子を示す図である。その後、ユーザは、トレー一覧画面500に示されたトレー番号を押して当該トレー番号を選択すると、選択されたトレー番号が対象のトレー無し商品Pに対応付けられる。このように、トレー一覧画面500には、複数のトレー番号のうち、対象商品Pに適した包装条件が対応付けられたトレー番号だけが示されるため、ユーザはすぐにトレー番号を選択することができる。
【0121】
<変形例5>
自動ラインに対応すべく計量包装値付機1と自動供給機とを連動させる場合において、自動供給機の搬送バーによって商品Pを計量包装値付機1に供給する際には、計量搬送機構2の載置部21上において商品Pが適切な位置に載置されないことがある。その結果、包装の仕上がり精度が悪化することがある。これは、商品Pの重量、重心及び底面の状態によって載置部21と商品Pとの間の摩擦力が変化し、滑りやすい商品Pについての載置部21上での停止距離が長くなってしまうことに起因する。このようなときには、ラインを一時停止させて商品Pを置き直す等の処置が必要となり、生産効率の低下を招く。
【0122】
このような問題を解決するために、ユーザが、自動供給機の搬送速度を商品Pに応じて変更することが考えられる。これにより、商品Pの滑りを少なくすることできる。このような場合において、自動供給機の搬送速度を細かく設定できるようにすると、商品Pごとの搬送速度の設定が非常に煩雑となる。したがって、自動供給機の搬送速度の切り替えは、低速及び高速の2段階、あるいは、低速、中速及び高速の3段階が現実的である。この場合には、搬送速度についての複数段階の設定値の間での差は大きくなるため、搬送速度を例えば低速に変更すると、搬送速度は大きく低減してしまい、生産効率の低下を招く。
【0123】
さらに、同じ商品Pであっても生産時の諸条件により滑り状態が変化し、その都度、搬送速度の設定の変更を要する場合がある。したがって、自動供給機において搬送速度の設定値の種類を少なくしたとしても、ユーザによる搬送速度の設定はそれほど簡素化されない。
【0124】
そこで、本変形例では、商品Pについての載置部21上での適切な位置からのはみ出し量(以後、単に「はみ出し量」と呼ぶ)を検出し、当該はみ出し量に基づいて自動供給機の搬送速度を調整する。これより、自動供給機の搬送速度は、商品Pの滑り具合に応じて自動的に調整され、商品Pは載置部21上の適切な位置に配置されるようになる。したがって、ユーザによる煩雑な設定無しに、生産効率を向上することができる。以下に、本変形例について詳細に説明する。
【0125】
図44は本変形例を説明するための図である。本変形例では、計量包装値付機1の計量搬送機構2の載置部21上の商品Pを自動認識する自動認識装置が設けられている。この自動認識装置は例えばカメラ等で構成される。自動認識装置は商品Pの寸法を検出するとともに、当該商品Pについてのはみ出し量を検出する。
【0126】
図44に示されるように、計量包装値付機1及び自動供給機を含むラインの全体を統合的に制御するメイン制御部は、自動供給機から載置部21上に商品Pが供給されると、自動認識装置に対して認識要求を通知する。認識要求が通知された自動認識装置は、載置部21の商品Pのサイズ及びはみ出し量を検出して、それらをメイン制御部に通知する。メイン制御部は、通知された商品Pのサイズ及びはみ出し量を計量包装値付機1の制御部9に通知する。制御部9は、通知された商品Pのサイズに基づいて当該商品Pを特定し、当該商品Pに適切な包装条件で動作するように包装機3を制御する。さらに、制御部9は、通知されたはみ出し量に基づいて、自動供給機の搬送速度の調整量を求めて、求めた調整量を自動供給機に通知する。自動供給機は、通知された調整量だけ搬送速度を変更する。これにより、自動供給機の搬送速度は、商品Pの滑り具合に応じて自動的に調整され、商品Pは載置部21上の適切な位置に配置されるようになる。
【0127】
なお、図45に示されるように、計量包装値付機1から自動認識装置に対して、はみ出し量を検出することを要求する認識要求を通知し、それを受けた自動認識装置が計量包装値付機1に対して検出したはみ出し量を通知しても良い。
【0128】
また、計量包装値付機1は、求めた搬送速度の調整量を商品マスタファイル800に記憶しておいて、次に同じ商品Pに対する処理を行う際には、この調整量を自動供給機に通知しても良い。
【0129】
また、はみ出し量を検出する手段としては、光電センサや距離センサなどを使用することができる。
【0130】
<変形例6>
上述の変形例5のように、計量包装値付機1と自動供給機とが連動する場合には、計量包装値付機1における計量搬送機構2の載置部21の周囲に、商品Pを載置部21に搬送するために必要な部品550が配置される。重量センサ20は、載置部21に載置された商品Pの重量を検出することはできるものの、部品550に載置された商品Pの重量を検出することはできない。
【0131】
一方で、特殊な形状の商品Pについては、自動供給機を使用せずに、ユーザが手動で商品Pを載置部21に載置することがある。自動供給機から商品Pを載置部21に供給する場合には、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置された状態で計量動作が行われることは少ないが、ユーザが手動で商品Pを載置部21に供給する場合には、図46に示されるように、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されることがあり、この状態で計量動作が行われることがある。この場合には、誤計量された商品Pが市場に流通するおそれがある。
【0132】
そこで、本変形例に係る計量包装値付機1においては、ラベル発行装置4がラベルLを発行する前に、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されているか否かを検出し、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されている場合には表示部5等を利用して外部にエラーを通知する。これにより、誤計量された商品Pが市場に流通することを防止できる。以下に、本変形例に係る計量包装値付機1について詳細に説明する。
【0133】
本変形例に係る計量包装値付機1には、図47に示されるように、載置部21と部品550との境界付近に商品Pが位置しているか否かを検出する位置検出センサ560が設けられている。位置検出センサ560は、例えば光学式センサであって、互いに対向して配置された投受光器560a及び反射板560bを備えている。位置検出センサ560では、投受光器560aが出力した光が当該投受光器560aで検出されるか否かによって、載置部21と部品550との境界付近に商品Pが位置しているか否かが検出される。位置検出センサ560での検出結果は制御部9に入力される。制御部9は、ラベル発行装置4にラベルLを発行させる前に、位置検出センサ560での検出結果を確認する。制御部9は、位置検出センサ560において、載置部21と部品550との境界付近に商品Pが位置していることが検出されると、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されていると判定し、表示部5にエラー表示を行わせるなどして、外部にエラーを通知する。
【0134】
なお、図48に示されるように、位置検出センサ560の代わりに、商品Pを上方から撮像するカメラ570を設けても良い。この場合には、制御部9は、カメラ570で得られた撮像データから、商品Pにおいて部品550にはみ出している領域P1が存在するか否かを判定することによって、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されているか否かを判断する。
【0135】
また、商品Pが特殊な形状を有する場合には、図49に示されるように、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されているにもかかわらず、位置検出センサ560において、載置部21と部品550との境界付近に商品Pが位置していることが検出されないことがある。また、位置検出センサ560の代わりにカメラ570を使用する場合においては、図50に示されるように、商品Pの高さが大きいと、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されていないにもかかわらず、カメラ570においては、商品Pが部品550にまではみ出しているような画像が得られることがある。したがって、この場合には、実際には商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されていないにもかかわらず、制御部9は、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されていると判断することがある。
【0136】
このように、位置検出センサ560とカメラ570のどちらか一方を使用した場合には誤検出されることがあることから、両方を使用して、商品Pが載置部21と部品550とに跨って載置されているか否かを判断することが望ましい。
【0137】
<変形例7>
野菜や果物などは、季節、産地、カットの仕方により、その外形形状にばらつきがある。したがって、同じトレー無し商品Pを常に同じ包装条件で包装する場合には、包装仕上がりにばらつきが生じることがある。また、包装がゆるい、ストレッチフィルムSFが破れてしまう、ストレッチフィルムSFの長さが足りないといった問題も生じる可能性がある。
【0138】
そこで、本変形例に係る計量包装値付機1では、トレーマスタファイル801において、トレー番号に対応付けてトレーサイズ(商品Pの大きさ)を登録する際に、そのトレーサイズに係るトレー無し商品Pの重さも登録しておく。そして、トレー無し商品Pの包装の際に、計量搬送機構2で検出されたトレー無し商品Pの重さと、トレーマスタファイル801内の重さとの比率から、包装対象のトレー無し商品Pのサイズを類推して、包装条件を変更する。これにより、トレー無し商品Pの形状のばらつきに応じて包装条件を自動的に変更することができる。よって、美しい包装状態を実現することができる。
【0139】
<変形例8>
食品等の商品についての生産ラインとして、盛り付けコンベヤ、自動供給機、計量包装値付機及び金属検出器がこの順で上流から下流に向けて配置されたものが存在する。生産ラインでは、装置間が一つあるいは複数のコンベアで接続されるのが一般的であり、コンベヤ間の搬送速度差、コンベヤのベルトについての水平調整不足等のために、上流のコンベヤから下流のコンベヤへの乗り継ぎ時に商品の姿勢が斜めになることがある。斜めになった商品が上述の計量包装値付機1に供給された場合には、適切に商品を包装できない場合がある。また、計量包装値付機1のラベル発行装置4が使用されずに、計量包装値付機1の下流に、ラベルを発行して商品に貼付するラベル貼付装置が配置された場合には、ラベル貼付装置に対して斜めになった商品が供給されると、ラベルの貼り付け不良が生じることがある。
【0140】
このような問題を解決するために、コンベヤの左右に商品ガイド(トレーガイド)を設けて、商品の姿勢が斜めになることを防止することが考えられる。しかしながら、この場合には、商品の幅が変わるたびに左右の商品ガイド間の距離を変更する必要があり、さらには、商品が商品ガイドに引っかかる可能性がある。
【0141】
そこで、本変形例では、商品ガイドを使用せずに商品の姿勢が斜めになることを防止することが可能な技術を提供する。
【0142】
図51は本変形例を説明するための図である。図51に示されるように、本変形例においては、コンベア600が左右に2分割されており、左側コンベア600a及び右側コンベア600bの搬送速度のそれぞれが独立して変更できるようになっている。そして、左側コンベア600aの上方の所定位置には、上流コンベア620から搬送されてくる商品Pを検出する左側検出センサ610aが設けられており、右側コンベア600bの上方の所定位置にも、上流コンベア620から搬送されてくる商品Pを検出する右側検出センサ610bが設けられている。左側検出センサ610a及び右側検出センサ610bでの検出結果は、生産ライン全体を統合的に制御するメイン制御部に入力される。メイン制御部は、左側検出センサ610a及び右側検出センサ610bでの検出結果に基づいて、商品Pの姿勢が斜めになっていることを検出し、商品Pの姿勢が左右方向に沿ってまっすぐになるように左側コンベア600a及び右側コンベア600bの搬送速度を調整する。
【0143】
図51に示されるように商品Pの姿勢が斜めになっている場合には、左側検出センサ610a及び右側検出センサ610bの間では、商品Pが検出されるタイミングに時間差を生じる。そして、その時間差の値は、商品Pの傾き量に相当する。したがって、メイン制御部は、左側検出センサ610a及び右側検出センサ610bでの検出結果に基づいて、商品Pの姿勢がどの方向に(「右下がり」なのか「左下がり」なのか)どれだけ斜めになっているかを求めることができる。そして、メイン制御部は、商品Pの姿勢が図51に示されるように左下がりになっている場合には、その傾き量に応じて、左側コンベア600aの搬送速度を右側コンベア600bの搬送速度よりも速くする。一方で、メイン制御部は、商品Pの姿勢が右下がりになっている場合には、その傾き量に応じて、右側コンベア600bの搬送速度を左側コンベア600aの搬送速度よりも速くする。これにより、商品Pは、その姿勢が左右方向に沿ってまっすぐになって、下流装置630まで搬送される。
【0144】
以上のようなコンベア600、左側検出センサ610a及び右側検出センサ610bを、計量包装値付機1やラベル貼付装置の上流に配置することによって、計量包装値付機1やラベル貼付装置に対してまっすぐな姿勢の商品Pを供給することができる。よって、包装不良の発生やラベルの貼り付け不良の発生を抑制することができる。
【0145】
なお、計量包装値付機1やラベル貼付装置が有するコンベア自体を図51のようなコンベア600とし、当該コンベア600の上方に左側検出センサ610a及び右側検出センサ610bを配置しても良い。
【符号の説明】
【0146】
3 包装機
30 リフト部
32 フィルム供給部
33 フィルム切断部
350 第1把持部
351 第2把持部
FR フィルムロール
P 商品
PA 包装エリア
SF ストレッチフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広げられたフィルムに対して被包装物を突き上げて当該フィルムで当該被包装物を覆った後、当該フィルムの周縁部を当該被包装物の下側に折り込んで当該被包装物を包装する包装機であって、
被包装物の包装が行われる包装エリアに対して、フィルムロールからフィルムを供給するフィルム供給部と、
前記包装エリアに対して前記フィルムロールからフィルムが繰り出されることが可能な状態において、被包装物を持ち上げて、当該被包装物を前記包装エリアのフィルムに対して突き上げるリフト部と、
前記リフト部が前記包装エリアのフィルムに対して前記被包装物を突き上げた状態において、当該フィルムを前記フィルムロールから切断する切断部と
を備える、包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の包装機であって、
前記フィルムロールから前記包装エリアに繰り出されたフィルムを、前記フィルムロールと前記包装エリアの間において、互いに離れた位置で把持する第1及び第2把持部をさらに備え、
前記切断部は、前記第1及び第2把持部に把持された状態のフィルムを、前記第1及び第2把持部の間で切断する、包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2011−189956(P2011−189956A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57164(P2010−57164)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】