説明

包装機

【課題】フィルムを使用して被包装物を包装する包装機を小型化することが可能な技術を提供する。
【解決手段】ストレッチフィルムSFに対してトレーTRが突き上げられた場合に、当該トレーTRが排出プッシャー44に当たらない場合には、当該トレーTRと対向する、第1の左側押動部材440−1及び第1の右側押動部材の一端が当該トレーTRを押動する。一方で、ストレッチフィルムSFに対してトレーTRが突き上げられた場合に、第1の左側押動部材440−1〜第Lの左側押動部材440−L及び第1の右側押動部材〜第Lの右側押動部材が回動した際には、当該トレーTRと対向する、第(L+1)の左側押動部材440−(L+1)及び第(L+1)の右側押動部材の一方端が当該トレーTRを押動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを使用して被包装物を包装する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルムを使用して被包装物を包装する包装機に関して様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1,2に記載の包装機では、広げられたフィルムに対して被包装物が突き上げられることによって当該被包装物が当該フィルムで覆われ、その後、当該フィルムの周縁部が当該被包装物の下側に折り込まれて当該被包装物が包装される。特許文献1,2に記載の包装機では、フィルムに対して被包装物が突き上げられた後、まず、フィルムの左右側の端部及び後ろ側の端部が被包装物の下側に折り込まれる。そして、被包装物が排出プッシャーによって押動されることによって、フィルムの前側の端部が当該被包装物の下側に折り込まれるとともに、当該被包装物は包装機から排出される。なお、特許文献3,4にもフィルムを使用して被包装物を包装する包装機に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−332004号公報
【特許文献2】特開2007−223638号公報
【特許文献3】特開平11−70909号公報
【特許文献4】特開昭57−194915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1,2に記載の包装機では、被包装物の排出方向(押動方向)の寸法が小さくなると、被包装物と、待避状態(移動前)の排出プッシャーとの距離が大きくなる。そのため、排出プッシャーが被包装物の押動を開始するまで、言い換えれば、排出プッシャーが被包装物に当たるまでに排出プッシャーを移動させる量は、被包装物の排出方向の寸法が小さくなるにつれて大きくなる。
【0005】
一方で、被包装物の大きさにかかわらず被包装物を一定量だけ押動することによって、被包装物が包装機から出る量を抑えることができ、排出された被包装物が載置される排出台を小さくすることができる。例えば、被包装物に対する押動量を、排出方向の寸法が最も小さい被包装物の全体が包装機からちょうど出るような量に設定すると、排出方向の寸法が大きい被包装物を押動した場合には、当該被包装物は部分的にしか包装機から押し出されない。よって、被包装物の大きさにかかわらず、被包装物が包装機から出る量を抑えることができる。
【0006】
このように、被包装物の大きさにかかわらず被包装物を一定量だけ押動する場合には、特許文献1,2の装置では、被包装物の排出方向の寸法が小さくなるについて、排出プッシャーに必要な移動量が大きくなる。よって、排出プッシャーの移動距離は、排出方向の寸法が最も小さい被包装物に合わせて設定する必要があり、当該移動距離がどうしても大きくなる。その結果、特許文献1,2の技術では包装機の小型化が容易ではなかった。
【0007】
そこで、本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、フィルムを使用して被包装物を包装する包装機を小型化することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、広げられたフィルムに対して被包装物を突き上げて当該フィルムで当該被包装物を覆った後、当該フィルムの周縁部を当該被包装物の下側に折り込んで当該被包装物を包装する包装機であって、前記フィルムに対して突き上げられることによって当該フィルムで覆われた被包装物の横側を押動して、当該被包装物を所定の場所に向けて移動する押動部を備え、前記押動部は、それぞれが一方端で被包装物の横側を押動する、一体となって移動する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の押動部材を有し、前記第1〜第Nの押動部材は、押動方向における前記一方端の位置が、この順番で前記押動方向とは反対方向に向かって並ぶように、前記フィルムの上方に配置されており、Mを1以上N未満の自然数であるとすると、当該Mが取り得る値のそれぞれについて、前記押動部では、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、当該被包装物によって第1〜第Mの押動部材が下側から押されると、当該第1〜第Mの押動部材のそれぞれが、前記一方端とは反対側の端部を支点として回動し、当該被包装物に対して第(M+1)の押動部材の前記一方端が対向し、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に当該被包装物が前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれを押さない場合には、当該被包装物と対向する、前記第1の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動し、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、当該被包装物が第1〜第L(Lは1以上N未満の自然数)の押動部材を下側から押すことによって、当該第1〜第Lの押動部材が回動した際には、当該被包装物と対向する、第(L+1)の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動する。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の包装機であって、前記第1〜第Nの押動部材の前記押動方向の寸法は、この順で大きくなっており、前記第1〜第Nの押動部材は、前記一方端とは反対側の他方端が揃うように配置されており、前記第1〜第Nの押動部材における、前記一方端とは反対側の端部には共通の回動軸が取り付けられている。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の包装機であって、前記フィルムにおける、前記押動方向側の端部を把持する把持部と、前記フィルムの前記端部を被包装物の下側に折り込むための折り込み部材とを備え、前記フィルムの前記端部は、被包装物の前記押動方向の移動にともなって、当該被包装物の下側に折り込まれていき、前記把持部は、前記押動部が被包装物の押動を開始した後、前記フィルムの前記端部が当該被包装物の下側に折り込まれていく間に、前記フィルムの前記端部の把持を解放する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の包装機であって、前記押動部では、前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれが対で設けられており、前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれにおいては、対を成す2つの押動部材における、前記押動方向の前記一方端の位置は同じであり、Mが取り得る値のそれぞれについて、前記押動部では、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、当該被包装物によって前記第1〜第Mの押動部材のそれぞれの対が下側から押されると、当該第1〜第Mの押動部材のそれぞれの対が、前記一方端とは反対側の端部を支点として回動し、当該被包装物に対して、対を成す2つの第(M+1)の押動部材の前記一方端が対向し、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に当該被包装物が前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれの対を押さない場合には、当該被包装物と対向する、対を成す2つの前記第1の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動し、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、前記第1〜第Lの押動部材のそれぞれの対を下側から押すことによって、当該第1〜第Lの押動部材のそれぞれの対が回動した際には、当該被包装物と対向する、対を成す2つの前記第(L+1)の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1乃至請求項4の発明によれば、フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に当該被包装物が第1〜第Nの押動部材のそれぞれを押さない場合には、一方端の位置が最も被包装物側にある第1の押動部材が当該被包装物を押動する。そして、フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、当該被包装物が、第1〜第L(Lは1以上N未満の自然数)の押動部材を下側から押すことによって、当該第1〜第Lの押動部材が回動した際には、回動していない残りの押動部材のうち、一方端の位置が最も被包装物側にある第(L+1)の押動部材が当該被包装物を押動する。これにより、被包装物の押動方向の寸法にかかわらず、押動部が移動してからすぐに被包装物の押動を開始することができる。よって、押動部の移動距離を小さくすることができ、本包装機の小型化が可能となる。
【0013】
特に、請求項2の発明によれば、第1〜第Nの押動部材には共通の回動軸が取り付けられているため、押動部の構成を簡素化できる。
【0014】
特に、請求項3の発明によれば、被包装物の押動方向の寸法にかかわらず、押動部が移動してからすぐに被包装物の押動を開始することができることから、被包装物の押動方向の寸法にかかわらず、押動部の移動の開始を基準とした際の、把持部がフィルムの把持を解放するタイミングを一定にしたとしても、被包装物に対するフィルムの張り具合のばらつきを抑えることができる。よって、被包装物の押動方向の寸法が変化するたびに当該タイミングを調整する必要がなくなる。
【0015】
さらに、フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、被包装物が第1〜第Lの押動部材を下側から押すと、被包装物は、第1〜第Lの押動部材に載られた状態となり、被包装物は、第1〜第Lの押動部材の重さによって下側に押さえつけられた状態で押動部によって押動される。よって、把持部がフィルムの押動方向側の端部を把持している状態で被包装物が押動されることによって生じる、当該被包装物の端部が浮き上がることを抑制できる。その結果、被包装物に対するフィルムのより均一な張り具合を実現することができる。
【0016】
特に、請求項4の発明によれば、対を成す2つの押動部材で被包装物を押動するため、被包装物を安定して押動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る包装機を備える計量包装値付機の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る包装機と計量装置の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る包装機の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る包装機の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る包装機の構成を示す側面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る前側搬送ベルトを示す側面図である。
【図7】ストレッチフィルムが前側クランプ部及び後側クランプ部によって把持されている様子を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るフィルム折り込み機構を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るフィルム供給部を示す側面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るガイド部の外側部材を示す斜視図である。
【図11】ストレッチフィルムがガイド部にセットされる様子を示す側面図である。
【図12】ガイド部にセットされたストレッチフィルムがフィルム搬送機構に受け渡される様子を示す側面図である。
【図13】ガイド部にセットされたストレッチフィルムがフィルム搬送機構に受け渡される様子を示す側面図である。
【図14】ガイド部にセットされたストレッチフィルムがフィルム搬送機構に受け渡される様子を示す側面図である。
【図15】ガイド部にセットされたストレッチフィルムがフィルム搬送機構に受け渡される様子を示す側面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係るヒータローラの動作を示す側面図である。
【図17】最小トレーがストレッチフィルムに突き上げられてから、包装後の最小トレーが排出台に排出されるまでの包装機の動作を示す側面図である。
【図18】最小トレーがストレッチフィルムに突き上げられてから、包装後の最小トレーが排出台に排出されるまでの包装機の動作を示す側面図である。
【図19】最小トレーがストレッチフィルムに突き上げられてから、包装後の最小トレーが排出台に排出されるまでの包装機の動作を示す側面図である。
【図20】最小トレーがストレッチフィルムに突き上げられてから、包装後の最小トレーが排出台に排出されるまでの包装機の動作を示す側面図である。
【図21】最大トレーがストレッチフィルムに突き上げられてから、包装後の最大トレーが排出台に排出されるまでの包装機の動作を示す側面図である。
【図22】最大トレーがストレッチフィルムに突き上げられてから、包装後の最大トレーが排出台に排出されるまでの包装機の動作を示す側面図である。
【図23】最大トレーがストレッチフィルムに突き上げられてから、包装後の最大トレーが排出台に排出されるまでの包装機の動作を示す側面図である。
【図24】第1の中間サイズトレーがストレッチフィルムに突き上げられた際の包装機を示す側面図である。
【図25】第2の中間サイズトレーがストレッチフィルムに突き上げられた際の包装機を示す側面図である。
【図26】一の押動部材を有する排出プッシャーで最小トレーを押動する様子を示す図である。
【図27】一の押動部材を有する排出プッシャーで最大トレーを押動する様子を示す図である。
【図28】本発明の実施の形態に係る包装機の変形例を示す平面図である。
【図29】本発明の実施の形態に係る排出プッシャーの変形例を示す平面図である。
【図30】本発明の実施の形態に係る排出プッシャーの変形例を示す平面図である。
【図31】本発明の実施の形態に係るヒータローラの変形例を示す断面図である。
【図32】本発明の実施の形態に係るヒータローラの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係る包装機3を備える計量包装値付機1の外観を示す斜視図である。本計量包装値付機1は、商品を計量した後に包装し、その後、当該商品に対して、価格等が印字されたラベルを貼付して排出する。以下の説明では、計量包装値付機1の前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向とするXYZ直交座標系を適宜使用する。
【0019】
図1に示されるように、計量包装値付機1は、計量装置2と、包装機3と、ラベル貼付装置6、表示部7と、操作部8と、これらの構成要素を制御する制御部9とを備えており、これらの構成要素は筐体10に固定されている。
【0020】
制御部9は、筐体10内に収納されており、CPUやメモリなどで構成されている。制御部9は、計量包装値付機1の各構成要素を制御して、計量包装値付機1全体の動作を統括的に制御する。表示部7は例えばタッチパネルであって、操作部としても機能する。操作部8は、例えば複数の操作キーで構成されている。表示部7及び操作部8に対してユーザから入力された操作情報は制御部9に入力される。制御部9は、入力された操作情報に応じた動作を行う。
【0021】
本実施の形態に係る計量包装値付機1では、計量装置2に対して、食品等の内容物が搭載された、処理対象のトレー(商品)が投入される。計量装置2は、投入されたトレーを包装機3に向けて搬送しながら当該トレーの計量を行う。計量装置2での計量結果は制御部9に入力される。制御部9は、表示部7を制御して、入力された計量結果を表示部7に表示させる。包装機3は、リフト機構31を使用して、計量装置2から搬送されてきたトレーを包装エリアPAまで待ち上げる。このとき、包装機3では、フィルム供給部30から供給されるストレッチフィルムSFが包装エリアPAに張られている。包装機3は、リフト機構31によってトレーを持ち上げることによって、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーを突き上げて、トレーをストレッチフィルムSFで覆う。その後、包装機3は、ストレッチフィルムSFで覆われたトレーの下側にストレッチフィルムSFの周縁部を折り込むことによって、トレーを包装する。包装機3は、包装後のトレーを排出台32に向けて排出する。このとき、ラベル貼付装置6がトレーを覆うストレッチフィルムSFに対してラベルを貼付する。このラベルには、トレーに搭載されている内容物の重量や、当該トレーに係る商品の価格が印字されている。これらの重量や価格については、制御部9が計量装置2での計量結果に基づいて求める。
【0022】
<計量装置の構成>
図2は、計量包装値付機1のうち計量装置2及び包装機3の構成を示す側面図である。図2に示されるように、計量装置2は、重量センサー20と、内容物が搭載された、処理対象のトレーTRが搭載される計量皿21と、搭載されたトレーTRを−X方向に沿って搬送する爪状の搬送部材22と、計量皿21を支持する支持筐体部23とを備えている。重量センサー20は、支持筐体部23内に収納されており、計量皿21に搭載されたトレーTRを計量する。計量皿21には、−X側の一端から+X側に向かって延びるスリット(図示せず)が形成されている。搬送部材22は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによって、計量皿21の上面(搬送面)から部分的に突出した状態で、計量皿21のスリット内を、その+X側の一端から−X側の一端まで移動する。これにより、計量皿21に搭載されたトレーTRの横側が搬送部材22によって+X側から押動される。その結果、トレーTRは−X方向に搬送され、最終的にはリフト機構31上に載置される。搬送部材22は、計量皿21の−X側の一端、言い換えれば、スリットの−X側の一端に達すると、支持筐体部23の内部に完全に入り込んだ後、+X方向に移動し、その後、計量皿21のスリットにおける+X側の端部から再び部分的に突出するようになる。そして、計量皿21に新たなトレーTRが搭載されると、搬送部材22は、当該トレーTRの横側を+X側から押動しながら、当該トレーTRを−X方向に搬送して、リフト機構31上に載置する。
【0023】
<包装機の構成>
まず、最初に図2を参照して包装機3についての概略の構成及び動作について説明する。なお、図2では包装機3においてトレーTRが移動する様子を一点鎖線で示している。図2に示されるように、計量装置2から搬送されてきたトレーTRは、Z軸方向に沿って移動可能なリフト機構31に載置される。リフト機構31は、載置されたトレーTRを+Z方向に持ち上げて、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーTRを突き上げる。これにより、トレーTRがストレッチフィルムSFで覆われる。トレーTRがストレッチフィルムSFに対して突き上げられると、当該トレーTRは、トレー押さえ部材43によって+Z側から−Z方向に向けて押さえられる。
【0024】
トレーTRがストレッチフィルムSFに覆われると、ストレッチフィルムSFのY軸方向の両端部が左右側折り込み部材38,39(左右側折り込み部材39は図2では図示されていない)によってトレーTRの下側に折り込まれ、ストレッチフィルムSFの−X側の端部が後側折り込み部材37によってトレーTRの下側に折り込まれる。その後、トレーTRは、トレー押さえ部材43によって押さえられた状態で、排出プッシャー44によって排出台32に向かって(+X方向に)押動される。このとき、ストレッチフィルムSFの+X側の端部が前側折り込み部材36によってトレーTRの下側に折り込まれる。これにより、ストレッチフィルムSFの周縁部のすべてがトレーTRの下側に折り込まれる。また、トレーTRが排出台32に向けて押動される際には、トレーTRは2つのヒータローラ40,41上を移動し、当該ヒータローラ40,41によって、ストレッチフィルムSFにおける、トレーTRの底面で重なっている部分が熱溶着される。その後、トレーTRは、搬送ローラ42上を移動して、排出台32まで搬送される。
【0025】
次に、包装機3の詳細な構成及び動作について説明する。
【0026】
<フィルム搬送機構>
図3は包装機3を+Z側(上側)から見た際の当該包装機3の構成を示す平面図である。図4は、包装機3が有する前側クランプ部34を−X側(後側)から見た際の包装機3の構成を示す側面図である。図5は、包装機3が有する後側クランプ部35を+X側(前側)から見た際の包装機3の構成を示す側面図である。
【0027】
図2〜5に示されるように、包装機3は、フィルム供給部30から供給されるストレッチフィルムSFを、リフト機構31の上方に位置する包装エリアPAに搬送するためのフィルム搬送機構を備えている。このフィルム搬送機構は、Z軸方向に並べられた一対の前側搬送ベルト47,48と、Z軸方向に並べられた一対の後側搬送ベルト49,50と、包装エリアPAを間に挟んでY軸方向で互いに対向する一対の上側ベルトローラ51,52と、包装エリアPAを間に挟んでY軸方向で互いに対向する一対の下側ベルトローラ53,54とを備えている。
【0028】
上側ベルトローラ51,52及び下側ベルトローラ53,54のそれぞれはX軸方向に延在している。−Y側の上側ベルトローラ51及び下側ベルトローラ53はZ軸方向に並んで配置されており、+Y側の上側ベルトローラ52及び下側ベルトローラ54はZ軸方向に並んで配置されている(図4,5)。
【0029】
前側搬送ベルト47,48及び後側搬送ベルト49,50のそれぞれはY軸方向に延在している。+Z側(上側)の前側搬送ベルト47は、一対の上側ベルトローラ51,52の+X側の端部に巻き掛けられており、−Z側(下側)の前側搬送ベルト48は、一対の下側ベルトローラ53,54の+X側の端部に巻き掛けられている(図4)。また、+Z側の後側搬送ベルト49は、一対の上側ベルトローラ51,52の−X側の端部に巻き掛けられており、−Z側の後側搬送ベルト50は、一対の下側ベルトローラ53,54の−X側の端部に巻き掛けられている(図5)。
【0030】
図6は、前側搬送ベルト47,48を−Y側から見た様子を示す側面図である。図6に示されるように、+Z側の前側搬送ベルト47は複数本の紐状ベルト470で構成されており、−Z側の前側搬送ベルト48は複数本の紐状ベルト480で構成されている。複数本の紐状ベルト470は間隔を空けて上側ベルトローラ51,52に巻き掛けられ、複数本の紐状ベルト480は間隔を空けて下側ベルトローラ53,54に巻き掛けられている。そして、複数本の紐状ベルト470は下側ベルトローラ53,54に当接し、複数本の紐状ベルト480は上側ベルトローラ51,52に当接している。
【0031】
同様に、後側搬送ベルト49,50のそれぞれは、複数の紐状ベルトで構成されている。後側搬送ベルト49を構成する複数本の紐状ベルトは間隔を空けて上側ベルトローラ51,52に巻き掛けられ、後側搬送ベルト50を構成する複数本の紐状ベルト480は間隔を空けて下側ベルトローラ53,54に巻き掛けられている。そして、後側搬送ベルト49を構成する複数本の紐状ベルトは下側ベルトローラ53,54に当接し、後側搬送ベルト50を構成する複数本の紐状ベルトは上側ベルトローラ51,52に当接している。
【0032】
以上のようなフィルム搬送機構では、+Y側の下側ベルトローラ54が、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによって回転する。下側ベルトローラ54が回転すると、それに巻き掛けられている前側搬送ベルト48及び後側搬送ベルト50が回転し、それらに当接する上側ベルトローラ51,52が回転する。そうすると、上側ベルトローラ51,52に巻き掛けられている前側搬送ベルト47及び後側搬送ベルト49が回転する。このように、+Y側の下側ベルトローラ54が回転することによって、前側搬送ベルト47,48及び後側搬送ベルト49.50が回転するようになる。
【0033】
また、図4,5に示されるように、ストレッチフィルムSFは、+Y側から前側搬送ベルト47,48の間と後側搬送ベルト49,50の間に供給される。前側搬送ベルト47,48及び後側搬送ベルト49.50が回転すると、前側搬送ベルト47,48がストレッチフィルムSFの+X側の端部を挟み、後側搬送ベルト49,50がストレッチフィルムSFの−X側の端部を挟んだ状態で、前側搬送ベルト47,48及び後側搬送ベルト49,50がストレッチフィルムSFを包装エリアPAに向けて搬送する。
【0034】
このように、ストレッチフィルムSFの+X側の端部及び−X側の端部を、上下の前側搬送ベルト47,48及び上下の後側搬送ベルト49,50のそれぞれで挟んで当該ストレッチフィルムSFを搬送することによって、ストレッチフィルムSFの幅(X軸方向の寸法)に対する、フィルム搬送機構のX軸方向の寸法を抑えることができる。
【0035】
<フィルムクランプ機構>
包装機3は、フィルム搬送機構によって包装エリアPAまで搬送されてきたストレッチフィルムSFを把持するフィルムクランプ機構を備えている。このフィルムクランプ機構は、前側クランプ部34と、後側クランプ部35とを備えている。図7はストレッチフィルムSFが前側クランプ部34及び後側クランプ部35によって把持されている様子を示す平面図である。
【0036】
図2〜5,7に示されるように、前側クランプ部34は、前側上方クランプ部材340と、3つの前側下方クランプ部材341〜343とで構成されており、ストレッチフィルムSFの+X側の端部を把持する。また、後側クランプ部35は、後側上方クランプ部材350と、3つの後側下方クランプ部材351〜353とで構成されており、ストレッチフィルムSFの−X側の端部を把持する。
【0037】
図4に示されるように、前側上方クランプ部材340は、前側搬送ベルト47,48における、ストレッチフィルムSFを挟む部分の上方に配置され、前側下方クランプ部材341〜343は、当該部分の下方において、この順で−Y方向に沿って配置されている。そして、前側下方クランプ部材341〜343のそれぞれは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、+Z方向及び−Z方向に移動可能である。
【0038】
同様に、後側上方クランプ部材350は、後側搬送ベルト49,50における、ストレッチフィルムSFを挟む部分の上方に配置され、後側下方クランプ部材351〜353は、当該部分の下方において、この順で−Y方向に沿って配置されている。そして、後側下方クランプ部材351〜353のそれぞれは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、+Z方向及び−Z方向に移動可能である。
【0039】
以上のようなフィルムクランプ機構において、+Y側の前側下方クランプ部材341及び後側下方クランプ部材351が+Z方向に移動すると、前側下方クランプ部材341と前側上方クランプ部材340とによって、ストレッチフィルムSFの+X側の端部のうち+Y側の部分が把持されるとともに、後側下方クランプ部材351と後側上方クランプ部材350とによって、ストレッチフィルムSFの−X側の端部のうち+Y側の部分が把持される。これにより、前側下方クランプ部材341及び前側上方クランプ部材340と、後側下方クランプ部材351及び後側上方クランプ部材350とによって、ストレッチフィルムSFの+Y側の端部が把持される。
【0040】
−Y側の前側下方クランプ部材343及び後側下方クランプ部材353が+Z方向に移動すると、前側下方クランプ部材343と前側上方クランプ部材340とによって、ストレッチフィルムSFの+X側の端部のうち−Y側の部分が把持されるとともに、後側下方クランプ部材353と後側上方クランプ部材350とによって、ストレッチフィルムSFの−X側の端部のうち−Y側の部分が把持される。これにより、前側下方クランプ部材343及び前側上方クランプ部材340と、後側下方クランプ部材353及び後側上方クランプ部材350とによって、ストレッチフィルムSFの−Y側の端部が把持される。
【0041】
中央の前側下方クランプ部材342が+Z方向に移動すると、前側下方クランプ部材342と前側上方クランプ部材340とによって、ストレッチフィルムSFの+X側の端部の中央部分が把持される。中央の後側下方クランプ部材352が+Z方向に移動すると、後側下方クランプ部材352と後側上方クランプ部材350とによって、ストレッチフィルムSFの−X側の端部の中央部分が把持される。
【0042】
このように、フィルムクランプ機構が包装エリアPAに搬送されてきたストレッチフィルムSFを把持することによって、図2,7に示されるように、ストレッチフィルムSFは張られた状態で包装エリアPAに配置される。
【0043】
<フィルム折り込み機構>
包装機3は、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対して突き上げられたトレーTRの下側に、ストレッチフィルムSFの周縁部を折り込むためのフィルム折り込み機構を備えている。このフィルム折り込み機構は、前側折り込み部材36と、後側折り込み部材37と、一対の左右側折り込み部材38,39とを備えている。
【0044】
図8はフィルム折り込み機構を示す斜視図である。図8及び上述の図2,3に示されるように、前側折り込み部材36は、Y軸方向に沿って延在する丸棒状部材であって、包装エリアPAの+X側の端部に配置されている。後側折り込み部材37及び左右側折り込み部材38,39のそれぞれは、板状部材であって、後側折り込み部材37は包装エリアPAの−X側の端部に配置され、左右側折り込み部材38,39は、包装エリアPAの−Y側及び+Y側の端部にそれぞれ配置されている。そして、後側折り込み部材37は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによって、X軸方向に沿って移動可能であって、左右側折り込み部材38,39のそれぞれは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによって、Y軸方向に沿って移動可能である。
【0045】
以上のようなフィルム折り込み機構においては、包装エリアPAに配置されたストレッチフィルムSFに対してトレーTRが突き上げられて、トレーTRがストレッチフィルムSFに覆われると、まず左右側折り込み部材38,39が+Y方向及び−Y方向にそれぞれ移動する。つまり、左右側折り込み部材38,39が互いに接近するように移動する。そうすると、−Y側の左右側折り込み部材38が、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している−Y側の端部に当接しながらトレーTRの下側に潜り込み、+Y側の左右側折り込み部材39が、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している+Y側の端部に当接しながらトレーTRの下側に潜り込むようになる。その結果、左右側折り込み部材38によってストレッチフィルムSFの−Y側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていき、左右側折り込み部材39によってストレッチフィルムSFの+Y側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていく。
【0046】
ストレッチフィルムSFの−Y側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていく際には、当該−Y側の端部を把持する、前側下方クランプ部材343及び前側上方クランプ部材340と後側下方クランプ部材353及び後側上方クランプ部材350が、ストレッチフィルムSFの把持を解放する。同様に、ストレッチフィルムSFの+Y側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていく際には、当該+Y側の端部を把持する、前側下方クランプ部材341及び前側上方クランプ部材340と後側下方クランプ部材351及び後側上方クランプ部材350が、ストレッチフィルムSFの把持を解放する。これにより、ストレッチフィルムSFの−Y側の端部及び+Y側の端部は、ストレッチフィルムSFにおけるトレーTRを覆う部分に対してY軸方向の張りを与えるようにトレーTRの下側に折り込まれる。
【0047】
ストレッチフィルムSFの−Y側の端部及び+Y側の端部がトレーTRの下側に折り込まれると、今度は、後側折り込み部材37が+X方向に移動する。そうすると、後側折り込み部材37が、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している−X側の端部に当接しながらトレーTRの下側に潜り込むようになる。その結果、後側折り込み部材37によってストレッチフィルムSFの−X側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていく。
【0048】
ストレッチフィルムSFの−X側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていく際には、当該−X側の端部を把持する、中央の後側下方クランプ部材352及び後側上方クランプ部材350が、ストレッチフィルムSFの把持を解放する。これにより、ストレッチフィルムSFの−X側の端部は、ストレッチフィルムSFにおけるトレーTRを覆う部分に対して−X方向の張りを与えるようにトレーTRの下側に折り込まれる。
【0049】
ストレッチフィルムSFの−X側の端部がトレーTRの下側に折り込まれると、後述する排出プッシャー44によってトレーTRが+X方向に押動される。そうすると、前側折り込み部材36が、ストレッチフィルムSFにおける、傾斜している+X側の端部に当接しながらトレーTRの下側に潜り込むようになる。その結果、前側折り込み部材36によってストレッチフィルムSFの+X側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていく。ストレッチフィルムSFの+X側の端部がトレーTRの下側に折り込まれていく際には、当該+X側の端部を把持する、中央の前側下方クランプ部材342及び前側上方クランプ部材340が、ストレッチフィルムSFの把持を解放する。これにより、ストレッチフィルムSFの+X側の端部は、ストレッチフィルムSFにおけるトレーTRを覆う部分に対して+X方向の張りを与えるようにトレーTRの下側に折り込まれる。
【0050】
<フィルム供給部>
図9は図5に示されるフィルム供給部30を拡大して示す図である。図9及び図3〜5に示されるように、フィルム供給部30は、ストレッチフィルムSFがロール状に巻かれたフィルムロール300と、フィルムロール300を支持する支持ローラ301,302と、フィルムロール300から繰り出されるストレッチフィルムSFを、前側搬送ベルト47,48の間と後側搬送ベルト49,50の間に案内するガイド部303と、ストレッチフィルムSFを切断するカッター304とを備えている。
【0051】
支持ローラ301,302は、それぞれX軸方向に沿って延在しており、支持ローラ301を+Y側(外側)にしてY軸方向で互いに対向するように配置されている。支持ローラ302は、一方向にだけ回転可能なワンウェイローラであって、支持ローラ301は両方向に回転可能である。フィルムロール300は、支持ローラ301,302上に載せられている。
【0052】
ガイド部303は、内側部材303aと、当該内側部材303aに対して開閉可能である外側部材303bとを備えている。ガイド部303では、内側部材303aと外側部材303bとの間にストレッチフィルムSFが通される。ガイド部303は、上側ベルトローラ52及び下側ベルトローラ54の+Y側において、上側ベルトローラ52及び下側ベルトローラ54に沿うように配置されている。ガイド部303は、その+Z側の端部を支点にして回動可能となっている。これにより、ガイド部303の−Z側の端部は、上側ベルトローラ52及び下側ベルトローラ54の境界部分に近づいたり、離れたりすることが可能である。
【0053】
図10は外側部材303bを拡大して示す斜視図である。図10及び上述の図9に示されるように、外側部材303bの−Z側の端部には、X軸方向に並ぶ複数の爪部303bbが形成されており、当該複数の爪部303bbは、内側部材303aの方に曲がっている。そして、各爪部303bbの内側の面(−Y側の面)にはクッション303cが設けられている。ガイド部303にストレッチフィルムSFが通された状態で、ガイド部303が、その複数の爪部303bbが上側ベルトローラ52及び下側ベルトローラ54の境界部に近づくように回動すると、各爪部303bbに設けられたクッション303cが、上側ベルトローラ52とそれに巻き掛けられた前側搬送ベルト47及び後側搬送ベルト49とに対して、ストレッチフィルムSFを軽く押しつけるようになる。クッション303cの材料としては、ストレッチフィルムSFとの間で摩擦が小さいものが採用される。
【0054】
図11は作業者がストレッチフィルムSFをガイド部303にセットする様子を示す図である。図11に示されるように、ガイド部303が上側ベルトローラ52及び下側ベルトローラ54から離れた位置(待機位置)にある状態で、外側部材303bが作業者によって開かれて、外側部材303bが内側部材303aから引き離される。そして、支持ローラ301,302に支持されたフィルムロール300からストレッチフィルムSFが作業者によって引き出されて、ストレッチフィルムSFの先が、外側部材303bの爪部303bbから少しだけ出るように、外側部材303bと内側部材303aの間にストレッチフィルムSFが作業者によって通される。その後、作業者によって外側部材303bが閉められると、ガイド部303は図9のような状態となって、ストレッチフィルムSFは外側部材303bと内側部材303aとで挟まれた状態となる。これにより、包装機3に対するストレッチフィルムSFのセットが完了する。
【0055】
図12〜15は包装機3にセットされたストレッチフィルムSFを上述のフィルム搬送機構に受け渡す様子を示す図である。まず下側ベルトローラ54が、駆動手段によって駆動されることにより回転する。そうすると、上述のように、上側ベルトローラ51,52、前側搬送ベルト47,48及び後側搬送ベルト49,50が回転する。
【0056】
次に図12に示されるように、図9の状態のガイド部303を+Z側の端部を支点として回動させて、外側部材303bの各爪部303bb上のクッション303cを上側ベルトローラ52に軽く押し当てる。これにより、外側部材303bの各爪部303bbから少し出ているストレッチフィルムSFが、前側搬送ベルト47及び後側搬送ベルト49に押し当てられるとともに、上側ベルトローラ52における、前側搬送ベルト47を構成する複数本の紐状ベルト470から露出している部分及び後側搬送ベルト49を構成する複数本の紐状ベルトから露出している部分に押し当てられる。そうすると、ストレッチフィルムSFは、回転する、前側搬送ベルト47、後側搬送ベルト49及び上側ベルトローラ52によって−Y方向に繰り出されていく。本実施の形態では、上側ベルトローラ52の表面は鏡面仕上げされていることから、ストレッチフィルムSFは上側ベルトローラ52に密着し易くなり、ストレッチフィルムSFを安定して繰り出すことができる。その後、ストレッチフィルムSFは、その+X側の端部が前側搬送ベルト47,48で挟まれ、その−X側の端部が後側搬送ベルト49,50で挟まれるようになり、その状態で−Y方向に繰り出されていく。
【0057】
ストレッチフィルムSFが所定の長さだけ繰り出されると、図13に示されるように、下側ベルトローラ54の回転が停止する。その後、ガイド部303が、その−Z側の端部が上側ベルトローラ52から離れるように回動すると、ガイド部303は待機位置に戻る。
【0058】
次に図14に示されるように、待機位置のカッター304が、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによってストレッチフィルムSFまで移動し、上側ベルトローラ52及び下側ベルトローラ54の+Y側においてストレッチフィルムSFを切断する。これにより、トレーTRの包装に使用される分のストレッチフィルムSFが得られる。その後、図15に示されるように、下側ベルトローラ54が再び回転し、ストレッチフィルムSFが前側搬送ベルト47,48及び後側搬送ベルト49,50によって包装エリアAPの所定位置まで搬送される。
【0059】
このように、フィルム供給部30を、フィルムロール300と、2つの支持ローラ301,302と、ガイド部303とで構成することによって、簡単な構成で、フィルム搬送機構に対してストレッチフィルムSFを供給する機構を実現できる。
【0060】
また、フィルム供給部30を動作させるために、モータ等の駆動手段は不要であるため、包装機3の構成を簡素化できる。
【0061】
また、上側ベルトローラ52よりも上方(+Z側)に位置するフィルムロール300からストレッチフィルムSFを下側(−Z側)に引き出して、それを、フィルムロール300近傍から上側ベルトローラ52近傍まで延びるガイド部303に通すことによって、包装機3にストレッチフィルムSFがセットされるため、作業者は比較的高い位置でストレッチフィルムSFを包装機3にセットする作業を行うことができる。よって、作業者が、ストレッチフィルムSFを包装機3にセットする際に腰を曲げることを抑制できる。よって、作業負担が軽減される。
【0062】
なお、本実施の形態に係るフィルム供給部30と同じ構成のフィルム供給部を、上側ベルトローラ51及び下側ベルトローラ53の近くに設けて、当該フィルム供給部から、上側ベルトローラ51及び下側ベルトローラ53の境界部分に対して、フィルム供給部30から供給されるストレッチフィルムSFとは幅が異なるストレッチフィルムを供給できるようにしても良い。これにより、ストレッチフィルムSFのサイズ変更に容易に対応することができる。
【0063】
<ヒータローラ>
図16はヒータローラ40,41の動作を示す側面図である。図16及び上述の図2,3に示されるように、ヒータローラ40,41のそれぞれは、Y軸方向に延在しており、制御部9によって制御される加熱手段(図示せず)によって加熱される。ヒータローラ40は、前側折り込み部材36に対して+X側で対向するように配置され、ヒータローラ41は、ヒータローラ40に対して+X側で対向するように配置されている。そして、ヒータローラ41の+X側には、ヒータローラ41と対向するように、Y軸方に沿って延在する搬送ローラ42が配置されている。
【0064】
図16に示されるように、ヒータローラ40,41のそれぞれは、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることによって、Z軸方向に沿って移動することが可能である。ヒータローラ40,41のそれぞれは、包装機3が包装動作をしているときには、排出プッシャー44によって搬送されてくるトレーTRの底面と当接する位置に配置される。これにより、ヒータローラ40,41によって、ストレッチフィルムSFにおける、トレーTRの底面で重なっている部分を熱溶着することができる。そして、包装機3が包装動作をしていないときには、ヒータローラ40,41のそれぞれは、−Z方向に移動させられて、前側折り込み部材36及び搬送ローラ42よりも−Z側(下側)に配置される。
【0065】
このように、ヒータローラ40,41を使用する必要が無い場合には、ヒータローラ40,41を下側に退避することによって、作業者は、例えば150℃まで加熱されるヒータローラ40,41の接触を気にすることなく、包装機3に対してメンテナンス作業等の作業を行うことができる。よって、作業効率が向上する。
【0066】
なお、ヒータローラ40,41が下側に退避している際には、節電のために、ヒータローラ40,41を加熱する温度を低減しても良いし、ヒータローラ40,41に対する加熱を完全に停止しても良い。
【0067】
<排出プッシャー及びトレー押さえ部材>
排出プッシャー44は、図2,3,5に示されるように、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nと、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nと、ベース部材442と、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−N及び第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nをベース部材442に取り付けるための取り付け部材443とを備えている。ここで、Nは2以上の自然数である。本実施の形態では、例えばN=4とする。排出プッシャー44は、リフト機構31で持ち上げられてきたトレーTRの横側を−X側から+X方向に押動し、当該トレーTRを排出台32に向けて移動させる。以後、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nを特に区別する必要が無い場合には、それぞれを単に「左側押動部材」と呼び、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nを特に区別する必要が無い場合には、それぞれを単に「右側押動部材」と呼ぶことがある。
【0068】
第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、それぞれ細長い板状部材であって、この順に長さが長くなっている。第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、ベース部材442に固定された取り付け部材443に対して取り付けボルト444によって取り付けられている。第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、それらの長手方向及び短手方向がX軸方向及びZ軸方向にそれぞれ沿うように、この順で+Y方向に接触して並べられている。また、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、それらの−X側端が揃うように配置されており、取り付けボルト444は第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nの−X側の端部を貫通している。これにより、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nにおける+X側端のX軸方向の位置は、この順番で−X方向に向かって並ぶようになる。第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nのそれぞれは、下側(−Y側)から押されると、取り付けボルト444を回動軸として個別に回動することが可能である。つまり、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nのそれぞれは、+X側の端部が上側(+Z側)に移動するように、−X側の端部を支点として個別に回動することが可能である。
【0069】
第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、左側押動部材と同様に、それぞれ細長い板状部材であって、この順に長さが長くなっている。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nとそれぞれ同じ長さに設定されている。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、取り付け部材443に対して取り付けボルト445によって取り付けられている。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、それらの長手方向及び短手方向がX軸方向及びZ軸方向にそれぞれに沿うように、この順で+Y方向に接触して並べられている。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、それらの−X側端が揃うように配置されており、取り付けボルト445は第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nの−X側の端部を貫通している。これにより、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nにおける+X側端のX軸方向の位置は、この順番で−X方向に向かって並ぶようになる。また、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、Y軸方向で、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nと所定距離を成してそれぞれ対向するように配置されている。そして、Kを1以上N以下の自然数とすると、Kが取り得る値のそれぞれについて、第K(Kは1以上N以下の自然数)の右側押動部材441−Kにおける+X側端のX軸方向の位置は、第Kの左側押動部材440−Kにおける+X側端のX軸方向の位置と一致している。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nのそれぞれは、左側押動部材と同様に、下側から押されると取り付けボルト445を回動軸として個別に回動することが可能である。つまり、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nのそれぞれは、+X側の端部が上側に移動するように、−X側の端部を支点として個別に回動することが可能である。
【0070】
ベース部材442は、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によって駆動されることにより、X軸方向に移動する。ベース部材442がX軸方向に移動することによって、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−N及び第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−NのそれぞれはX軸方向に移動する。
【0071】
トレー押さえ部材43は細長い板状部材であって、第1の左側押動部材440−1と第1の右側押動部材441−1との間において、その長手方向及び短手方向がX軸方向及びY軸方向にそれぞれ沿うように配置されている。トレー押さえ部材43の−X側の端部は、取り付け部材46に固定されており、取り付け部材46は、筐体10に固定されたフレーム45に固定されている。このように、板状のトレー押さえ部材43の端部を固定することにより、トレー押さえ部材43は板バネとして機能する。リフト機構31によって持ち上げられたトレーTRが、トレー押さえ部材43にその下側から当接すると、トレー押さえ部材43は、その+X側の端部が上方に向かうように反って、弾性変形する。トレーTRは、弾性変形したトレー押さえ部材43の復元力により、下側に押さえられるようになる。
【0072】
以上のような排出プッシャー44においては、Mを1以上N未満の自然数とすると、Mがとり得る値のそれぞれについて、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーTRがリフト機構31によって突き上げられた場合に、当該トレーTRによって、第1の左側押動部材440−1〜第Mの左側押動部材440−M及び第1の右側押動部材441−1〜第Mの右側押動部材441−Mが下側から押されると、それらの押動部材が−X側の端部を支点として回動して、当該トレーTRに対して、第(M+1)の左側押動部材440−(M+1)及び第(M+1)の右側押動部材441−(M+1)の+X側端が対向するようになる。
【0073】
例えば、M=1の場合、つまり、トレーTRによって、第1の左側押動部材440−1及び第1の右側押動部材441−1が下側から押されると、それらの押動部材が−X側の端部を支点として回動して、当該トレーTRに対して、第2の左側押動部材440−2及び第2の右側押動部材441−2の+X側端が対向するようになる。
【0074】
また、M=3の場合、つまり、トレーTRによって、第1の左側押動部材440−1〜第3の左側押動部材440−3及び第1の右側押動部材441−1〜第3の右側押動部材441−3が下側から押されると、それらの押動部材が−X側の端部を支点として回動して、当該トレーTRに対して、第4の左側押動部材440−4及び第4の右側押動部材441−4の+X側端が対向するようになる。
【0075】
本実施の形態では、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーTRがリフト機構31によって突き上げられた場合には、第1の左側押動部材440−1〜第L(Lは1以上N未満の自然数)の左側押動部材440−L及び第1の右側押動部材441−1〜第Lの右側押動部材441−LがトレーTRによって下側から押されるか、トレーTRが排出プッシャー44に触れないかのどちらかとなる。第1の左側押動部材440−1〜第Lの左側押動部材440−L及び第1の右側押動部材441−1〜第Lの右側押動部材441−LがトレーTRによって下側から押されると、当該トレーTRは、それに対向する、第(L+1)の左側押動部材440−(L+1)及び第(L+1)の右側押動部材441−(L+1)の+X側端で+X方向に押動される。また、トレーTRが排出プッシャー44に触れない場合には、トレーTRに対して、第1の左側押動部材440−1及び第1の右側押動部材441−1の+X側端が対向するようになり、トレーTRは、第1の左側押動部材440−1及び第1の右側押動部材441−1の+X側端で+X方向に押動される。
【0076】
このように、本実施の形態に係る包装機3では、+X側端のX軸方向の位置が同じである一の左側押動部材及び一の右側押動部材が対を成して、ストレッチフィルムSFに突き上げられたトレーTRを押動する。以後、トレーTRを押動する際に対を成す、第Kの左側押動部材440−K及び第Kの右側押動部材441−Kを「第Kの押動部材対446−K」と呼ぶ。
【0077】
<排出プッシャーの動作説明>
以下に、排出プッシャー44の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0078】
図17〜20は、包装機3での包装対象となる複数種類のトレーTRのうち最もサイズの小さいトレーTR(以後、「最小トレーTR」と呼ぶ)がストレッチフィルムSFに突き上げられてから、包装後の最小トレーTRが排出台32に排出されるまでの包装機3の動作を示す側面図である。
【0079】
まず図17に示されるように、最小トレーTRが、リフト機構31(図示せず)によって持ち上げられてストレッチフィルムSFに突き上げられる。このときのトレーTRにおける+X側端のX軸方向の位置P1は、トレーTRの大きさにかかわらず一定となる。上述のように、本実施の形態では、計量装置2の搬送部材22がトレーTRの+X側端を−X方向に押動し、トレーTRがリフト機構31上に載置されると、搬送部材22は支持筐体部23内に入り込んでトレーTRを押動しなくなる。したがって、リフト機構31上のトレーTRにおける+X側端のX軸方向の位置は、トレーTRの大きさにかかわらず一定となる。そして、リフト機構31は、載置されたトレーTRをそのまま+Z方向に持ち上げることから、トレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられた際の、トレーTRにおける+X側端のX軸方向の位置P1は、トレーTRの大きさにかかわらず一定となる。
【0080】
図17に示されるように、最小トレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられると、最小トレーTRは、トレー押さえ部材43とその下側から当接し、トレー押さえ部材43によって−Z側に押さえられるようになる。また、最小トレーTRは、排出プッシャー44には触れておらず、最小トレーTRに対して、第1の押動部材対446−1の+X側端が対向している。ここで、図17に示される距離D1は、トレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられた際の、当該トレーTRと、当該トレーTRに対向する押動部材対の+X側端との距離を示している。
【0081】
次に、左右側折り込み部材38,39が、最小トレーTRの下側に移動して、最小トレーTRを覆うストレッチフィルムSFのY軸方向の両端部を最小トレーTRの下側に折り込む。左右側折り込み部材38,39が、ストレッチフィルムSFのY軸方向の両端部を最小トレーTRの下側に折り込んでいく際には、前側クランプ部34及び後側クランプ部35が、適切なタイミングで、ストレッチフィルムSFのY軸方向の両端部の把持を解放する。その後、図18に示されるように、後側折り込み部材37が、+X方向に移動して、ストレッチフィルムSFの−X側の端部を最小トレーTRの下側に折り込む。後側折り込み部材37が、ストレッチフィルムSFの−X側の端部を最小トレーTRの下側に折り込んでいく際には、後側クランプ部35が適切なタイミングでストレッチフィルムSFの−X側の端部の中央部分の把持を解放する。
【0082】
次に図19に示されるように、ベース部材442が駆動されて排出プッシャー44が初期位置から+X方向に移動すると、最小トレーTRに対向していた第1の押動部材対446−1の+X側端が最小トレーTRの横側を−X側から+X方向に押動するようになる。そうすると、前側折り込み部材36が最小トレーTRの下側に潜り込んで、ストレッチフィルムSFの+X側の端部が最小トレーTRの下側に折り込まれる。前側折り込み部材36が、ストレッチフィルムSFの+X側の端部を最小トレーTRの下側に折り込んでいく際には、前側クランプ部34が適切なタイミングでストレッチフィルムSFの+X側の端部の中央部分の把持を解放する。その後、最小トレーTRは、第1の押動部材対446−1による押動によって、ヒータローラ40,41上を通過する。このとき、ヒータローラ40,41によって、ストレッチフィルムSFにおける、最小トレーTRの底面で重なっている部分が熱溶着される。これにより、最小トレーTRに対する包装が完了する。そして、図20に示されるように、最小トレーTRは、第1の押動部材対446−1による押動によって排出台32まで搬送される。本実施の形態では、排出プッシャー44についての、トレーTRを排出するために移動を開始してから、当該トレーTRの排出台32への移動が終了するまでの移動距離D2(図20参照)は、押動する対象のトレーTRの大きさにかかわらず一定である。排出プッシャー44は、トレーTRの排出台32への搬送が終了すると、−X方向に移動して、初期位置まで戻る。なお、図20に示される位置P2は、排出プッシャー44によるトレーTRの排出台32への搬送が終了した際の当該トレーTRの+X側端のX軸方向の位置を示している。
【0083】
図21〜23は、包装機3での包装対象となる複数種類のトレーTRのうち最もサイズの大きいトレーTR(以後、「最大トレーTR」と呼ぶ)がストレッチフィルムSFに突き上げられてから、包装後の最大トレーTRが排出台32に排出されるまでの包装機3の動作を示す側面図である。
【0084】
まず図21に示されるように、最大トレーTRが、リフト機構31(図示せず)によって持ち上げられて、ストレッチフィルムSFに突き上げられる。このときのトレーTRにおける+X側端のX軸方向の位置P1は、上述のように、トレーTRの大きさにかかわらず一定となる。図21に示されるように、最大トレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられると、最大トレーTRは、トレー押さえ部材43とその下側から当接して、トレー押さえ部材43によって−Z側に押さえられるようになる。また、最大トレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられる際には、最大トレーTRは、排出プッシャー44における、第1の左側押動部材440−1〜第3の左側押動部材440−3及び第1の右側押動部材441−1〜第3の右側押動部材441−3のそれぞれを下側から押して、これらの押動部材のそれぞれは、−X側の端部を支点として回動するようになる。その結果、最大トレーTRに対して、第4の押動部材対446−4の+X側端が対向するようになる。
【0085】
次に、左右側折り込み部材38,39が、最大トレーTRの下側に移動して、最大トレーTRを覆うストレッチフィルムSFのY軸方向の両端部を最大トレーTRの下側に折り込む。そして、後側折り込み部材37が、+X方向に移動して、ストレッチフィルムSFの−X側の端部を最大トレーTRの下側に折り込む。
【0086】
次に、図22に示されるように、ベース部材442が駆動されて排出プッシャー44が初期位置から+X方向に移動すると、最大トレーTRに対向していた、第4の押動部材対446−4の+X側端が最大トレーTRの横側を−X側から+X方向に押動するようになる。そうすると、前側折り込み部材36が最大トレーTRの下側に潜り込んで、ストレッチフィルムSFの+X側の端部が最大トレーTRの下側に折り込まれる。最大トレーTRは、第4の押動部材対446−4による押動によって、ヒータローラ40,41上を通過して、図23に示されるように排出台32まで搬送される。排出プッシャー44についての、トレーTRを排出するために移動を開始してから、当該トレーTRの排出台32への搬送が終了するまでの移動距離D2は、上述のように、押動する対象のトレーTRの大きさにかかわらず一定である。排出プッシャー44は、トレーTRの排出台32への搬送が終了すると、−X方向に移動して、初期位置まで戻る。
【0087】
図24は、包装機3での包装対象となる複数種類のトレーTRのうち、最小トレーTRよりも少し大きいトレーTR(以後、「第1の中間サイズトレーTR」と呼ぶ)がストレッチフィルムSFに突き上げられた際の包装機3を示す側面図である。図25は、包装機3での包装対象となる複数種類のトレーTRのうち、最大トレーTRよりも少し小さいトレーTR(以後、「第2の中間サイズトレーTR」と呼ぶ)がストレッチフィルムSFに突き上げられた際の包装機3を示す側面図である。
【0088】
図24に示されるように、最小トレーTRよりも少し大きい第1の中間サイズトレーTRが、リフト機構31(図示せず)によって持ち上げられて、ストレッチフィルムSFに突き上げられると、第1の中間サイズトレーTRは、トレー押さえ部材43とその下側から当接して、トレー押さえ部材43によって−Z側に押さえられるようになる。また、第1の中間サイズトレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられる際には、第1の中間サイズトレーTRは、排出プッシャー44における、第1の左側押動部材440−1及び第1の右側押動部材441−1のそれぞれを下側から押して、これらの押動部材のそれぞれは−X側の端部を支点として回動するようになる。その結果、第1の中間サイズトレーTRに対して、第2の押動部材対446−2の+X側端が対向するようになる。その後、第1の中間サイズトレーTRは、排出台32に向けて、第2の押動部材対446−2に押動される。第1の中間サイズトレーTRは、第2の押動部材対446−2に押動されている間に包装されて、排出台32まで搬送される。
【0089】
また、図25に示されるように、最大トレーTRよりも少し小さい第2の中間サイズトレーTRが、リフト機構31(図示せず)によって持ち上げられて、ストレッチフィルムSFに突き上げられると、第2の中間サイズトレーTRは、トレー押さえ部材43とその下側から当接して、トレー押さえ部材43によって−Z側に押さえられるようになる。また、第2の中間サイズトレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられる際には、第2の中間サイズトレーTRは、排出プッシャー44における、第1の左側押動部材440−1及び第2の左側押動部材440−2と第1の右側押動部材441−1及び第2の右側押動部材441−2のそれぞれを下側から押して、これらの押動部材のそれぞれは−X側の端部を支点として回動するようになる。その結果、第2の中間サイズトレーTRに対して、第3の押動部材対446−3の+X側端が対向するようになる。その後、第2の中間サイズトレーTRは、排出台32に向けて、第3の押動部材対446−3に押動される。第2の中間サイズトレーTRは、第3の押動部材対446−3に押動されている間に包装されて、排出台32まで搬送される。
【0090】
以上のように、本実施の形態に係る包装機3では、ストレッチフィルムSFに対してトレーTRが突き上げられた場合にトレーTRが排出プッシャー44の各押動部材を下側から押さない場合には、+X側端の位置が最もトレーTR側にある第1の押動部材対446−1がトレーTRを押動する(図17〜20)。そして、ストレッチフィルムSFに対してトレーTRが突き上げられた場合に、トレーTRが、第1の押動部材対446−1〜第Lの押動部材対446−Lを下側から押して、これらの押動部材対が回動すると、回動していない残りの押動部材対のうち、+X側端の位置が最もトレーTR側にある第(L+1)の押動部材対446−(L+1)が当該トレーTRを押動する。これにより、トレーTRのX軸方向の寸法が変化した場合における、ストレッチフィルムに突き上げられたトレーTR(押動される前のトレーTR)とそれを押動する押動部材対の+X側端との距離D1のばらつきを抑えることができる。したがって、本実施の形態のように、トレーTRを排出する際の排出プッシャー44の移動距離D2を一定にした場合であっても、排出台32に載置されたトレーTRの+X側端のX軸方向の位置P2を、トレーTRのX軸方向の寸法にかかわらず、ほぼ一定にすることができる(図20,23)。つまり、トレーTRのX軸方向の寸法に応じて排出プッシャー44の移動距離D2を変化させることなく、排出台32に載置されたトレーTRの+X側端のX軸方向の位置P2をほぼ一定にすることができる。その結果、排出プッシャー44に対する簡単な移動制御で、トレーTRが包装機3から出る量を抑えることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、トレーTRのX軸方向の寸法が変化した場合における、ストレッチフィルムSFに突き上げられたトレーTRとそれを押動する押動部材対の+X側端との距離D1のばらつきを抑えることができることから、トレーTRのX軸方向の寸法にかかわらず距離D1を小さくすることができる(図17,21,24,25)。つまり、トレーTRのX軸方向の寸法にかかわらず、排出プッシャー44が移動してからすぐにトレーTRの押動を開始することができる。よって、排出プッシャー44の移動距離D2を小さくすることができ、その結果、本包装機3の小型化が可能となる。
【0092】
これに対して、特許文献1,2のように、一の押動部材を備える排出プッシャーによってトレーTRを押動する場合には、トレーTRのX軸方向の寸法が小さくなるにつれて、押動される前のトレーTRと、当該トレーTRを押動する押動部材の+X側端との距離は大きくなる。図26,27はその様子を示している。図26,27は、本実施の形態に係る包装機3において、排出プッシャー44の替わりに、一の押動部材801を備える排出プッシャー800によってトレーTRを押動する様子を示す図である。図26は最小トレーTRが押動される様子を、図27は最大トレーTRが押動される様子をそれぞれ示している。
【0093】
本実施の形態のように、トレーTRがストレッチフィルムSFに突き上げられた際の、トレーTRにおける+X側端のX軸方向の位置P1が、トレーTRの大きさにかかわらず一定となるような包装機3では、図26,27に示されるように、トレーTRのX軸方向の寸法が小さくなるにつれて、トレーTRの−X側端の位置が押動部材801から離れるようになるため、ストレッチフィルムSFに突き上げられたトレーTRと、それを押動する押動部材801の+X側端との距離D1Aは、トレーTRのX軸方向の寸法が小さくなるにつれて大きくなる。つまり、トレーTRのX軸方向の寸法が小さくなるにつれて、排出プッシャー800が移動を開始してからトレーTRの押動を開始するまでの排出プッシャー800の移動距離が大きくなる。したがって、包装後のトレーTRが包装機3から出る量を抑えるためにトレーTRを排出台32に載置した際のトレーTRの+X側端の位置P2を一定にするためには、トレーTRのX軸方向の寸法が小さくなるにつれて排出プッシャー800の移動距離D2Aを大きくする必要がある。
【0094】
一方で、図27と上述の図21に示されるように、最大トレーTRを基準にして排出プッシャー800の初期位置を決定することによって、最大トレーTRを排出プッシャー800で押動する際の距離D1Aを、本実施の形態に係る包装機3での距離D1(図17,21,24,25)とほぼ等しくすることができる。
【0095】
しかしながら、排出プッシャー800でトレーTRを押動する際には、トレーTRのX軸方向の寸法が小さくなるにつれて距離D1Aが大きくなることから、最大トレーTRを押動する際の距離D1A及び距離D1を等しくしたとしても、最小トレーTRを排出プッシャー800で押動する際の距離D1Aは、本実施の形態に係る包装機3での距離D1よりもどうしても大きくなる。よって、トレーTRを排出する際の排出プッシャー800の移動距離D2Aは、本実施の形態に係る排出プッシャー44の移動距離D2と比較して、トレーTRのX軸方向の寸法が小さくなるにつれて大きくなる。したがって、X軸方向の寸法が異なる複数種類のトレーTRに対応するためには、排出プッシャー800の移動可能距離を広く確保する必要がある。
【0096】
本実施の形態では、上述のように、トレーTRのX軸方向の寸法にかかわらず、排出プッシャー44が移動してからすぐにトレーTRの押動を開始することができることから、排出プッシャー44の移動距離D2を小さくすることができる。よって、本包装機3の小型化が可能となる。
【0097】
また、図26,27に示されるように、一の押動部材801でトレーTRを押動する際には、トレーTRのX軸方向の寸法が変化すると、トレーTRとそれを押動する押動部材801との距離D1Aが大きく変化することから、トレーTRのX軸方向の寸法が変化すると、排出プッシャー800が移動を開始してからトレーTRの押動を開始するまでの時間も大きく変化する。したがって、ストレッチフィルムSFの+X側の端部をトレーTRの下側に折り込む場合においては、トレーTRに対するストレッチフィルムSFの張り具合のばらつきを抑えるために、トレーTRのX軸方向の寸法に応じて、排出プッシャー800の移動の開始を基準とした際の、前側クランプ部34がストレッチフィルムSFにおける+X側の端部の中央部の把持を解放するタイミングを調整する必要がある。例えば、最大トレーTRを包装する際には、排出プッシャー800は移動を開始してからすぐにトレーTRの押動を開始するため、排出プッシャー800の移動の開始を基準とした際の、前側クランプ部34がストレッチフィルムSFにおける+X側の端部の中央部の把持を解放するタイミングを早くする必要がある。一方で、最小トレーTRを包装する際には、排出プッシャー800は、移動を開始してから、しばらく時間が経過した後にトレーTRの押動を開始するため、排出プッシャー800の移動の開始を基準とした際の、前側クランプ部34がストレッチフィルムSFにおける+X側の端部の中央部の把持を解放するタイミングを遅くする必要がある。
【0098】
これに対して、本実施の形態では、トレーTRのX軸方向の寸法にかかわらず、排出プッシャー44は、移動を開始してからすぐにトレーTRを押動することができることから、トレーTRのX軸方向の寸法が変化した場合における、排出プッシャー44が移動を開始してからトレーTRの押動を開始するまでの時間のばらつきを抑制することができる。したがって、ストレッチフィルムSFの+X側の端部をトレーTRの下側に折り込む場合において、トレーTRのX軸方向の寸法にかかわらず、排出プッシャー44の移動の開始を基準とした際の、前側クランプ部34がストレッチフィルムSFにおける+X側の端部の中央部の把持を解放するタイミング(図19,22)を一定にしたとしても、トレーTRに対するストレッチフィルムSFの張り具合のばらつきを抑えることができる。よって、トレーTRのX軸方向の寸法が変化するたびに当該タイミングを調整する必要がなくなる。
【0099】
また、上述の図18に示されるように、前側クランプ部34がストレッチフィルムSFの+X側の端部の中央部を把持している状態でトレーTRが押動されることから、トレーTRの+X側端が斜め下方向に引っ張られた状態でトレーTRが押動されるようになる。したがって、トレーTRの−X側端が浮き上がりやすくなる。本実施の形態では、ストレッチフィルムSFに対してトレーTRが突き上げられた場合に、トレーTRが第1の押動部材対446−1〜第Lの押動部材対446−Lを下側から押すと、トレーTRは、第1の押動部材対446−1〜第Lの押動部材対446−Lに載られた状態となる。したがって、トレーTRは、トレー押さえ部材43だけではなく、第1の押動部材対446−1〜第Lの押動部材対446−Lの重さによって下側に押さえつけられた状態で、排出プッシャー44によって押動される(図17〜25)。よって、前側クランプ部34がストレッチフィルムSFの+X側(押動方向側)の端部の中央部を把持している状態でトレーTRが押動されることによって生じる、当該トレーTRの−X側の端部が浮き上がることを抑制できる。その結果、トレーTRに対するストレッチフィルムSFのより均一な張り具合を実現することができる。
【0100】
なお、上記の例では、排出プッシャー44に対する移動制御を簡素化するために、トレーTRの種類のかかわらず、排出プッシャー44の移動距離D2を一定にしているが、排出台32上のトレーTRの+X側端のX軸方向の位置P2がトレーTRの種類のかかわらず一定となるように、トレーTRの種類に応じて排出プッシャー44の移動距離D2を制御しても良い。この場合には、トレーTRのX軸方向の寸法に応じて、排出プッシャー44の移動距離D2は多少変化するが、その変化量は、図26,27の移動距離D2Aの変化量よりも非常に小さいため、移動距離D2を小さくすることができる。よって、包装機3を小型化できる。
【0101】
<排出プッシャーの構成の各種変形例>
<第1の変形例>
上述の例では、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nが、この順で−Y方向に並べられていたが、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−NのY軸方向の並びは自由である。例えば、X軸方向の寸法が最も大きい第1の左側押動部材440−1が最も外側にくるように、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nをこの順に+Y方向に並べても良い。また、X軸方向の寸法が大きいもの順に第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−NをY軸方向に沿って並べる必要もない。同様に、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−NのY軸方向の並びは自由である。
【0102】
<第2の変形例>
上述の例では、排出プッシャー44の各押動部材を、まっすぐに伸びた板状部材で構成したが、図28に示されるように、トレーTRを押動する一方の端部がL字状に曲げられた板状部材で構成しても良い。これにより、トレーTRをより安定して押動することができる。
【0103】
<第3の変形例>
上述の例では、トレーTRをより安定して押動するために、トレーTRを一対の2つの押動部材で押動しているが、板状の押動部材の厚みをある程度確保すれば、トレーTRを一の押動部材で押動することも可能である。図29は、この場合の排出プッシャー44の構成を示す図である。
【0104】
図29に示される排出プッシャー44には、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−N及び第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nの代わりに、第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nが設けられている。第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nは、図示しない取り付け部材によって、上述のベース部材442(図29では図示せず)に取り付けられる。具体的には、第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nは、取り付けボルト449によって取り付け部材に対して取り付けられ、当該取り付け部材がベース部材442に固定される。
【0105】
第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nは、上述の左側押動部材及び右側押動部材と同様に、それぞれ細長い板状部材であって、この順に長さが長くなっている。第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nは、それらの長手方向及び短手方向がX軸方向及びZ軸方向にそれぞれ沿うように、この順で+Y方向に接触して並べられている。また、第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nは、それらの−X側端が揃うように配置されており、取り付けボルト449が第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nの−X側の端部を貫通している。これにより、第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nにおける+X側端のX軸方向の位置は、この順番で−X方向に向かって並ぶようになる。そして、第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nのそれぞれは、下側(−Y側)から押されると、取り付けボルト449を回動軸として個別に回動することが可能である。つまり、第1の押動部材448−1〜第Nの押動部材448−Nのそれぞれは、+X側の端部が上側(+Z側)に移動するように、−X側の端部を支点として個別に回動することが可能である。
【0106】
以上のような排出プッシャー44においては、Mを1以上N未満の自然数とすると、当該Mがとり得る値のそれぞれについて、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーTRがリフト機構31によって突き上げられた場合に、当該トレーTRによって、第1の押動部材448−1〜第Mの押動部材448−Mが下側から押されると、それらの押動部材が−X側の端部を支点として回動して、当該トレーTRに対して、第(M+1)の押動部材448−(M+1)の+X側端が対向するようになる。
【0107】
そして、本変形例では、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーTRがリフト機構31によって突き上げられた場合には、第1の押動部材448−1〜第L(Lは1以上N未満の自然数)の押動部材448−LがトレーTRによって下側から押されるか、トレーTRが排出プッシャー44に触れないかのどちらかとなる。第1の押動部材448−1〜第Lの押動部材448−LがトレーTRによって下側から押されると、当該トレーTRは、それに対向する、第(L+1)の押動部材448−(L+1)の+X側端で+X方向に押動される。また、トレーTRが排出プッシャー44に触れない場合には、トレーTRに対して、第1の押動部材448−1の+X側端が対向するようになり、トレーTRは、第1の押動部材448−1の+X側端で+X方向に押動される。
【0108】
このような排出プッシャー44を採用する場合であっても、同様の効果を得ることができる。なお、トレーTRを一の押動部材で押動する場合には、トレーTRをより安定して押動するために、図28に示されるように、各押動部材の+X側の端部をL字状に曲げることが好ましい。
【0109】
<第4の変形例>
上述の例では、X軸方向の寸法が互いに異なる第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nを使用したが、X軸方向の寸法が互いに同じである第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nを使用しても良い。同様に、X軸方向の寸法が互いに同じである第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nを使用しても良い。図30は、X軸方向の寸法が互いに同じである第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nと、X軸方向の寸法が互いに同じである第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nと備える排出プッシャー44の構成を示す平面図である。
【0110】
図30に示される排出プッシャー44では、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nの長手方向の寸法が同じとなっている。第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、図示しない取り付け部材によって上述のベース部材442(図30では図示せず)に取り付けられている。具体的には、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、複数の取り付けボルト444によってそれぞれ取り付け部材に取り付けられ、当該取り付け部材はベース部材442に固定される。第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、それらの長手方向及び短手方向がX軸方向及びZ軸方向にそれぞれ沿うように、この順で−Y方向に並べられている。そして、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nは、それらの+X側端のX軸方向の位置が、この順番で−X方向に向かって並ぶように配置されている。また、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nのそれぞれの−X方向の端部には、取り付けボルト444が貫通している。第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nのそれぞれは、下側(−Y側)から押されると、−X側の端部を貫通する取り付けボルト444を回動軸として回動することが可能である。
【0111】
第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nについても、それらの長手方向の寸法が同じとなっている。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、複数の取り付けボルト445によってそれぞれ取り付け部材に取り付けられ、当該取り付け部材はベース部材442に固定される。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、それらの長手方向及び短手方向がX軸方向及びZ軸方向にそれぞれ沿うように、この順で+Y方向に並べられている。そして、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nは、それらの+X側端のX軸方向の位置が、この順番で−X方向に向かって並ぶように配置されている。また、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nのそれぞれの−X方向の端部には、取り付けボルト445が貫通している。第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nのそれぞれは、下側(−Y側)から押されると、−X側の端部を貫通する取り付けボルト445を回動軸として回動することが可能である。
【0112】
このような排出プッシャー44は、図2,3等に示される排出プッシャー44と同様の動作を行う。図30に示される排出プッシャー44では、Mを1以上N未満の自然数とすると、Mがとり得る値のそれぞれについて、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーTRがリフト機構31によって突き上げられた場合に、当該トレーTRによって、第1の左側押動部材440−1〜第Mの左側押動部材440−M及び第1の右側押動部材441−1〜第Mの右側押動部材441−Mが下側から押されると、それらの押動部材が−X側の端部を支点として回動して、当該トレーTRに対して、第(M+1)の左側押動部材440−(M+1)及び第(M+1)の右側押動部材441−(M+1)の+X側端が対向するようになる。
【0113】
そして、本例では、包装エリアPAに張られたストレッチフィルムSFに対してトレーTRがリフト機構31によって突き上げられた場合には、第1の左側押動部材440−1〜第L(Lは1以上N未満の自然数)の左側押動部材440−L及び第1の右側押動部材441−1〜第Lの右側押動部材441−LがトレーTRによって下側から押されるか、トレーTRが排出プッシャー44に触れないかのどちらかとなる。第1の左側押動部材440−1〜第Lの左側押動部材440−L及び第1の右側押動部材441−1〜第Lの右側押動部材441−LがトレーTRによって下側から押されて回動すると、当該トレーTRは、それに対向する、第(L+1)の左側押動部材440−(L+1)及び第(L+1)の右側押動部材441−(L+1)の+X側端で+X方向に押動される。また、トレーTRが排出プッシャー44に触れない場合には、トレーTRに対して、第1の左側押動部材440−1及び第1の右側押動部材441−1の+X側端が対向するようになり、トレーTRは、第1の左側押動部材440−1及び第1の右側押動部材441−1の+X側端で+X方向に押動される。
【0114】
このように、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−NにおけるX軸方向の寸法が同じであっても、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−NにおけるX軸方向の寸法が同じであっても、例えば図30のように構成を採用することによって、同様の効果を得ることができる。なお、図2,3等に示される排出プッシャー44では、第1の左側押動部材440−1〜第Nの左側押動部材440−Nの回動軸(取り付けボルト444)は共通であり、第1の右側押動部材441−1〜第Nの右側押動部材441−Nの回動軸(取り付けボルト445)は共通であるため、図30の排出プッシャー44と比較して、構成を簡素化できる。
【0115】
<ヒータローラの変形例>
上述の例では、未使用時にはヒータローラ40,41を下側に退避させていたが、この代わりに、あるいはこれと併用して、ヒータローラ40,41の構造として、回転ローラに対して、短時間で加熱及び冷却されるインパルスヒータを取り付けたものを採用しても良い。図31,32は、このようなヒータローラ40の構造を示す図である。なお、ヒータローラ41も図30,31のような構造としても良い。
【0116】
図31はヒータローラ40の断面図を示している。図32はヒータローラ40が有する、回転ローラ40a及びそれに取り付けられているニクロム線40bを示す側面図である。図31,32に示されるヒータローラ40では、回転ローラ40aの表面に、インパルスヒータとして機能するニクロム線40bが取り付けられている。そして、ニクロム線40bを覆うように耐熱テープ40cが回転ローラ40aの表面に張られている。
【0117】
このようなヒータローラ40,41を使用する際には、包装機3が包装動作を開始する際に、制御部9によって制御される駆動手段(図示せず)によってニクロム線40bの通電を開始する。これにより、ヒータローラ40,41を使用するときにはすぐにヒータローラ40,41を高温にすることができる。したがって、包装機3では、包装動作を開始してからすぐにトレーTRに対する包装処理を行うことができる。また、包装機3が包装動作を停止するときには、駆動手段により、ニクロム線40bの通電を停止する。これにより、ヒータローラ40,41を使用しないときにはすぐにヒータローラ40,41の温度を下げることができる。よって、作業者は、ヒータローラ40,41に接触するかどうかを気にすることなく、包装機3に対してメンテナンス作業等の作業を行うことができる。その結果、作業効率が向上する。
【0118】
<その他の変形例>
上述の計量包装値付機1では、トレーTRの種類のかかわらず、包装機3の動作条件を一定としていたが、より安定した包装を実現するためにトレーTRの種類に応じて包装機3の動作条件を変更しても良い。例えば、トレーTRの種類に応じて、前側クランプ部34がストレッチフィルムSFの把持を解放するタイミングや、後側クランプ部35がストレッチフィルムSFの把持を解放するタイミングを変更しても良い。この場合には、トレーTRの梱包袋に貼付されているラベルに印字されている、当該トレーTRを特定するためのJANコードを計量包装値付機1に入力し、当該JANコードから、包装機3の動作条件を決定しても良い。以下のこの場合の計量包装値付機1の動作について説明する。
【0119】
まず、作業者によって操作部8が操作されることにより、トレーTRの梱包袋に貼付されているラベルに印字されているJANコードが計量包装値付機1に入力されると、当該JANコードは制御部9に入力される。なお、制御部9に接続されたバーコードリーダが、トレーTRの梱包袋に貼付されているラベルに印字されている、JANコードを示すバーコードを読み取ることによって、当該JANコードを制御部9に入力しても良い。
【0120】
制御部9は、トレーTRのJANコードと包装条件とを対応付ける包装条件テーブルを記憶している。この包装条件テーブルでは、トレーTRのJANコードごとに、当該JANコードで特定されるトレーTRを包装する際の最適な包装条件が登録されている。制御部9は、JANコードが入力されると、包装条件テーブルを参照して、当該JANコードに対応する包装条件を取得して、それを包装機3に通知する。これにより、包装機3は、包装対象のトレーTRの種類に応じた最適な動作条件で包装動作を行う。
【0121】
制御部9が記憶している包装条件テーブルについては、作業者が、タッチパネルである表示部7を操作することによって更新可能としても良いし、操作部8を操作することによって更新可能としても良い。また、ASP(Application Service Provider)サービスを使用して制御部9内の包装条件テーブルを自動更新しても良い。具体的には、制御部9をインターネットに接続可能に構成し、当該インターネットに接続されたASPサーバから、制御部9内の包装条件テーブルを自動更新しても良い。
【0122】
このように、トレーTRの梱包袋に示されている、当該トレーTRを特定するためのJANコードを制御部9に入力し、制御部9が入力されたJANコードに基づいて、包装対象のトレーTRについての最適な包装条件を包装機3に設定することによって、包装対象のトレーTRの種類が変更されるたびに最適な包装条件を制御部9に入力する必要がなくなる。よって、作業者の作業負担が軽減される。さらに、包装機3に設定される包装条件が作業者ごとに異なることを防止でき、包装の不具合を低減できる。
【0123】
また、制御部9内の包装条件テーブルをASPサービスにより更新する場合には、当該ASPサービスを利用するユーザからサービス料を徴収することができ、収入増加が見込める。
【符号の説明】
【0124】
3 包装機
34 前方クランプ部
36 前側折り込み部材
44 排出プッシャー
440−1〜440−4,441−1〜441−4,448−1〜448−4 押動部材
444,445,449 取り付けボルト
SF ストレッチフィルム
TR トレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広げられたフィルムに対して被包装物を突き上げて当該フィルムで当該被包装物を覆った後、当該フィルムの周縁部を当該被包装物の下側に折り込んで当該被包装物を包装する包装機であって、
前記フィルムに対して突き上げられることによって当該フィルムで覆われた被包装物の横側を押動して、当該被包装物を所定の場所に向けて移動する押動部を備え、
前記押動部は、それぞれが一方端で被包装物の横側を押動する、一体となって移動する第1〜第N(Nは2以上の自然数)の押動部材を有し、
前記第1〜第Nの押動部材は、押動方向における前記一方端の位置が、この順番で前記押動方向とは反対方向に向かって並ぶように、前記フィルムの上方に配置されており、
Mを1以上N未満の自然数であるとすると、当該Mが取り得る値のそれぞれについて、前記押動部では、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、当該被包装物によって第1〜第Mの押動部材が下側から押されると、当該第1〜第Mの押動部材のそれぞれが、前記一方端とは反対側の端部を支点として回動し、当該被包装物に対して第(M+1)の押動部材の前記一方端が対向し、
前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に当該被包装物が前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれを押さない場合には、当該被包装物と対向する、前記第1の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動し、
前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、当該被包装物が第1〜第L(Lは1以上N未満の自然数)の押動部材を下側から押すことによって、当該第1〜第Lの押動部材が回動した際には、当該被包装物と対向する、第(L+1)の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動する、包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の包装機であって、
前記第1〜第Nの押動部材の前記押動方向の寸法は、この順で大きくなっており、
前記第1〜第Nの押動部材は、前記一方端とは反対側の他方端が揃うように配置されており、
前記第1〜第Nの押動部材における、前記一方端とは反対側の端部には共通の回動軸が取り付けられている、包装機。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の包装機であって、
前記フィルムにおける、前記押動方向側の端部を把持する把持部と、
前記フィルムの前記端部を被包装物の下側に折り込むための折り込み部材と
を備え、
前記フィルムの前記端部は、被包装物の前記押動方向の移動にともなって、当該被包装物の下側に折り込まれていき、
前記把持部は、前記押動部が被包装物の押動を開始した後、前記フィルムの前記端部が当該被包装物の下側に折り込まれていく間に、前記フィルムの前記端部の把持を解放する、包装機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の包装機であって、
前記押動部では、前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれが対で設けられており、
前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれにおいては、対を成す2つの押動部材における、前記押動方向の前記一方端の位置は同じであり、
Mが取り得る値のそれぞれについて、前記押動部では、前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、当該被包装物によって前記第1〜第Mの押動部材のそれぞれの対が下側から押されると、当該第1〜第Mの押動部材のそれぞれの対が、前記一方端とは反対側の端部を支点として回動し、当該被包装物に対して、対を成す2つの第(M+1)の押動部材の前記一方端が対向し、
前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に当該被包装物が前記第1〜第Nの押動部材のそれぞれの対を押さない場合には、当該被包装物と対向する、対を成す2つの前記第1の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動し、
前記フィルムに対して被包装物が突き上げられた場合に、前記第1〜第Lの押動部材のそれぞれの対を下側から押すことによって、当該第1〜第Lの押動部材のそれぞれの対が回動した際には、当該被包装物と対向する、対を成す2つの前記第(L+1)の押動部材の前記一方端が当該被包装物を押動する、包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−20700(P2011−20700A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166312(P2009−166312)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】