説明

包装用ケース

【課題】 外観良好で、顧客の注目を引くことのできる包装用ケースを提供する。
【解決手段】 包装対象物P1,P2を収容する包装用ケース1であって、互いに対向する一対のシート壁10a,10bの上端Eu同士及び両側端Es,Es同士が接続されると共に、前記シート壁10a,10bが下端側ほど互いに離間して下端同士が底片11を介して接続され、一対のシート壁10a,10b間に包装対象物P1,P2が収容されるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装対象物(各種商品)を収容する包装用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
各種商品の陳列形態として、商品に付加価値を与えるべく、商品を箱状の包装用ケースに入れて陳列される場合がある。該包装用ケースは、上述の如く、商品に付加価値を与えるためのものであるが、箱状に形成されることで上下方向の何れの箇所においても幅が略同一で、天面を有することから単調で且つ一般的な形態であるため、顧客の注目を高めるべく、斬新な印刷等を施されるのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の如く、上記箱状の包装用ケースは、形態が単調であるためスッキリした感じがない上に、一般的な形態であるため形態による顧客の注目度が低い。また、該包装用ケース自体の注目度が低いため、顧客を注目させるのに斬新な印刷に頼るしかないが、印刷のデザインによって顧客の注目度が異なるといった問題がある。そのため、顧客の注目を印刷に頼ることのない、或いは印刷による注目に加え、包装用ケース自体に顧客の注目を引く顧客吸引力を持たせたいとの要請もある。
【0004】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、外観良好で、顧客の注目を引くことのできる包装用ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る包装用ケースは、包装対象物を収容する包装用ケースであって、互いに対向する一対のシート壁の上端同士及び両側端同士が接続されると共に、前記シート壁が下端側ほど互いに離間して下端同士が底片を介して接続され、一対のシート壁間に包装対象物が収容されるように構成されていることを特徴とする。
【0006】
かかる包装用ケースによれば、シート壁の上端同士、両側端同士が接続されているため、当該包装用ケースの上端及び両側端に真っ直ぐな稜線が形成された形態となり、従来の箱形の包装用ケースのような単調な形態とならない上に、非常に見栄えのよい(スッキリとした感じ)ものとなる。これにより、当該包装用ケースの形態で顧客の注目を引くことができる。
【0007】
本発明の一態様として、前記包装対象物は、少なくとも一部に一対のシート壁の間隔よりも大きな大径部分を有し、前記一対のシート壁の少なくとも何れか一方に、包装対象物の大径部分と対向する領域を上端側から取り囲むように切込部が設けられ、該切込部を境に舌片が形成されてもよい。シート壁間の間隔よりも大きな大径部分を有する包装対象物を収容すると、一対のシート壁が押し広げられ、上端やその近傍が歪に変形してスッキリした感じを維持することができない場合があるが、一対のシート壁の少なくとも何れか一方に、収容物の大径部分と対向する領域を上端側から取り囲むように切込部を設けて舌片を形成することで、シート壁全体が押し広げられるのを防止することができる。即ち、一対のシート壁間に、少なくとも一部に一対のシート壁の間隔よりも大きな大径部分を有した包装対象物が収容された場合、舌片が包装対象物(大径部分)に押されて起き上がることになる。これにより、包装対象物の当接によるシート壁に対する押し広げ作用がシート壁(包装用ケース)の上端及びその近傍に作用することがなく、当該包装用ケース(一対のシート壁)における上端の直線性を担保することができ、非常に見栄えのよい状態(スッキリとした感じ)で維持させることができる。その上、舌片が包装用ケースの大径部分によって外方に押され、シート壁における舌片の周囲よりも起き上がるため、舌片がポップラベルの如く目立つ態様となる。従って、舌片に包装対象物に関す情報等を印刷したり、シール等を貼着したりすることで、シート壁の上端の直線性による見栄えの良さに加え、ラベル効果を付加して顧客吸引力が増すといった効果を兼ね備えることができる。
【0008】
この場合、前記切込部は、包装対象物の大径部分の形状に即して形成されることが好ましい。このようにすれば、必要以上に切込部(舌片)が大きく形成されることがなく非常にシンプルで見栄えのよいものにすることができる。その上、収容される包装対象物の大径部分の形状に即して切込部が形成されることで、当然に舌片も大径部分に即した形状となるので、例えば、シート壁が透明な樹脂シート等から形成されて包装対象物が外部から視認可能な場合であっても、包装対象物と包装用ケースとを美的に一体感を持たせることができる。
【0009】
また、大径部分を有する包装対象物を少なくとも一つ以上含んで二つ以上の包装対象物を収容可能に構成され、前記切込部が、包装対象物の大径部分の配置に対応して設けられてもよい。このようにすれば、包装対象物を二つ以上収容できる上に、見栄えの良い状態で維持することができる。従って、複数の包装対象物(商品)を一セットにして販売する場合や、試供品として提供する場合に最適な包装用ケースとなる。
【0010】
本発明の他態様として、前記包装対象物は、少なくとも一部に一対のシート壁の間隔よりも大きな大径部分を有し、前記一対のシート壁の少なくとも何れか一方には、包装対象物の大径部分に対応する領域に開口又はスリットが形成されてもよい。このようにすれば、包装対象物をシート壁間に収容したときに、大径部分が開口又はスリットに入り込むことになり、シート壁が無理に押し広げられず、上端やその近傍が歪に変形することなくスッキリした感じで維持することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の包装用ケースによれば、外観良好で、顧客の注目を引くことができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用ケースについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0013】
本実施形態に係る包装用ケースは、洗剤や化粧品をはじめとする種々の商品(包装対象物)を包装するものであるが、本実施形態に係る包装用ケースに対する包装対象物として、図1(イ)及び図1(ロ)に示す如く、チューブ入りの商品(蓋が取り付けられた基端側が大径で先端側が先細りした形状の容器(チューブ)に入れられた商品:以下、第一商品P1という。)P1、及びボトル入りの商品(本実施形態においては、断面略楕円形をなし、軸線方向に断面形状が略均一な容器(ボトル)に入れられた商品(以下、第二商品P2という。)P2が採用されている。なお、本実施形態において、第二商品(ボトル)P2は、正面視における上端縁が円弧状をなし、第一商品P1は、下部(チューブの基部及び該基部に取り付けられた蓋)が第二商品(ボトル)P2の最大径(正面から見た径)よりも大径になっている。
【0014】
本実施形態に係る包装用ケース1は、互いに対向して上端Eu同士及び両側端Es同士が接続された一対のシート壁10a,10bと、該一対のシート壁10a,10bの下端同士を接続する底片11とを備えている。これにより、該包装用ケース1は、正面視において上端Euが真っ直ぐ直線状に形成され、前記底片11の介在によって一対のシート壁10a,10bの下端側が互いに離間した態様、即ち、上端Eu側ほど先細りに形成された態様をなしている。
【0015】
当該包装用ケース1は、樹脂シート(後述する原シート)を折り曲げ加工して形成されており、前記一対のシート壁10a,10bは、それぞれ平面視において略矩形状に形成され、上端Eu及び両側端Esのそれぞれの接続部分に折り曲げ稜線が形成されている。具体的には、一方のシート壁10aの両側端Esに延設された貼着片12が、シート壁10aとの境界で折り曲げられ、接着剤や両面粘着テープ等を介して他方のシート壁10bの側端部に貼着されることで、当該包装用ケース1の上端Eu及び両側端Esにシート壁10a,10b同士を接続する直線状の稜線が形成されている。
【0016】
ところで、上述の如く、包装対象物である第二商品P2は、軸心方向において断面形状が一定であることから、上部Lpが一対のシート壁10a,10b間の間隔よりも大きくなっている(以下、この部分を大径部分という。)。即ち、当該包装用ケース1は、先端側ほど先細りしているため、シート壁10a,10b間の間隔が上端Eu側ほど狭くなる一方で、第二商品P2は、断面が略均一であるため、第二商品P2の配置領域内(包装用ケース1の上端Eu側)において、第二商品P2の大径部分Lpの外径よりもシート壁10a,10bの間隔が狭くなっている。
【0017】
そのため、本実施形態に係る包装用ケース1は、第二商品P2を収容した状態で上端Eu側が歪に変形するのを防止すべく、一方のシート壁10aには、第二商品P2の大径部分Lpと対向する領域を上端Eu側から取り囲むように切込部13が設けられ、該切込部13を境にして、該切込部13で包囲される領域に舌片14が形成されている。
【0018】
前記切込部13は、線状に形成されており、両端が、第二商品P2の大径部分Lpの外径と、シート壁10a,10b間の間隔とが略一致するところ、又は、シート壁10a,10b間の間隔が第二商品P2の大径部分Lpの外径よりも広いところに位置するように形成されている。なお、本実施形態においては、第二商品P2が断面長手方向と包装用ケース1の幅方向とを一致させるように収容されるため、各図には、切込部13の両端が、第二商品P2の大径部分Lpの外径(断面短手方向の径)とシート壁10a,10b間の間隔とが略一致するところに位置するように切込部13を形成している。
【0019】
このようにすることで、本実施形態に係る包装用ケース1は、収容する第二商品P2がシート壁10a,10bの間隔よりも大きな大径部分Lp(本実施形態においてはボトルの上部)を一部に有していても、舌片14のみが外方に向けて押されることになり、舌片14以外のシート壁10aが押し広げられることがないようになっている。即ち、本実施形態に係る包装用ケース1は、切込部13を設けて舌片14を形成することで、大径部分Lpを有する包装対象物P2を収容しても、上端Eu及びその近傍をはじめとする舌片14(切込部13)周辺に不均一な引っ張り作用を生じず、当該包装用ケース1は、上端Euの直線性を担保できるようになっている。
【0020】
本実施形態において、上述の如く、第一商品P1及び第二商品P2の二つ収容するように構成されているが、第二商品P2のみがシート壁10a,10b間の間隔に対する大径部分Lpを有するため、前記切込部13(舌片14)は、収容状態における第二商品P2の大径部分Lp(ボトルの上部)の配置に対応して形成されている。さらに、本実施形態に係る第二商品P2は、大径部分(上部)Lpの形状(正面視における上端縁)が円弧状に形成されているので、切込部13は第二商品P2の上部の形状(正面形状)に即して円弧状に形成されている。これにより、第二商品P2の大径部分Lpが舌片14を外側に押した状態で、第二商品P2の大径部分Lpが舌片14の存在していた領域に嵌り込んだ態様となり、舌片14の周辺部分(切込部13で形成された端縁)で上下方向の移動が規制されることになる。
【0021】
他方のシート壁10bは、下端部に後述する差込部17bを差し込むための切込み(以下、差込用切込部という。)15が設けられている。差込用切込部15は、包装用ケース1(シート壁10a,10b)の幅方向(側端Es,Es間)に二つ並列に設けられており、各側端Esに向けて凸をなす矩形状の片を形成するように、それぞれコの字状に形成されている。二つの差込用切込部15は、シート壁10bの幅方向の中央に上下方向に延びる中心線(図示しない)を基準にして鏡像状態で形成されている。
【0022】
前記底片11は、一方のシート壁10aの下端に延設されており、当該シート壁10aとの境界で他方のシート壁10bに向けて折り曲げられている。そして、該底片11の先端には、当該先端に沿って折曲片16が延設され、該折曲片16の先端には、底片11を他方のシート壁10bに固定するための固定片17が延設されている。前記折曲片16は、底片11の先端に沿って帯状に形成され、固定片17は、折曲片16の先端から延出した延出部17aと、該延出部17aの先端部を残して両側に延設された二つの差込部17bとで構成されている。これにより、固定片17は、延出部17aと差込部17bとにより略十字状に形成され、延出部17aの先端部分で底片11を開封する際の把持部として機能させるようになっている。
【0023】
前記底片11は、上述の如く、他方のシート壁10bに向けて折り曲げられた状態で、折曲片16が他方のシート壁10bの下端部を外側から覆うように(底片11とシート壁との間の隙間を覆うように)折り曲げられ、その先端に延設された固定片17(差込部17b)を他方のシート壁10bの下端部に設けられた差込用切込部15に差し込むことで他方のシート壁10bに固定、即ち、一対のシート壁10a,10bの下端同士を接続できるようになっている。これにより、本実施形態においては、底片11が開閉可能になっており、包装用ケース1の下端側から包装対象物(第一商品P1及び第二商品P2)を収容できるようになっている。
【0024】
上述の如く、本実施形態においては、第一商品P1の蓋が第二商品P2の外径よりも大径であるため、第一商品P1及び第二商品P2を横並びに収納できるように、前記底片11は、シート壁10a,10bの一側端Es側が他側端Es側に比して幅広に形成されている。即ち、底片11は、包装対象物P1,P2を収容した状態で、外径の異なる第一商品P1と第二商品Pとを横並びにして載置できるように略扇状に形成されている。
【0025】
本実施形態に係る包装用ケース1は、以上の構成からなり、次に、上記構成の包装用ケース1を作製するための原シートについて説明する。
【0026】
前記原シートは、図2に示す如く、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂から硬質、又は半硬質に形成されたシート材を裁断して形成されており、肉厚が0.1乃至0.8mmのものが採用されている。また、該原シートSには、適宜印刷が施されており、特に、舌片14となる領域(切込みによって取り囲まれた領域)には、原シートSから包装用ケース1を作製した時に、舌片14がポップラベル(起立状態で貼着されるラベル)の如く機能するように、ポイント的な印刷が施されている。
【0027】
該原シートSは、前記一対のシート壁10a,10bを形成するための一対のシート壁形成領域50a,50bと、底片11を形成するための底片形成領域51と、貼着片12を形成するための貼着片形成領域52と、折曲片16を形成する折曲片形成領域53と、固定片17を形成する固定片形成領域54とで構成されている。
【0028】
前記一対のシート壁形成領域50a,50bは、それぞれ矩形状をなし、シート壁10a,10b(包装用ケース1)の上端Euとなる一端同士が接続され、シート壁形成領域50a,50b同士の境界上には折曲罫線(以下、第一罫線という)L1が設けられている。なお、第一罫線L1、及び後述する折曲罫線(第二乃至第四罫線L2,L3,L4)には、ミシン目や、局部的に肉厚を薄くするように形成された線状の溝等で構成することができる。
【0029】
一方のシート壁10aとなるシート壁形成領域50aには、前記切込部13となる切込みが一端側に入れられて舌片14が形成され、他方のシート壁10bとなるシート壁形成領域50bには、差込用切込部15となる一対の切込みが他端側に設けられている。
【0030】
底片形成領域51は、直線状をなす基端が一方のシート壁形成領域50aの他端に接続され、該シート壁形成領域50aとの境界には、折曲罫線(以下、第二罫線という。)L2が設けられている。該底片形成領域51は、直線状をなす先端が包装用ケース1の幅方向において基端に対し、一側端側が他側端側よりも離間しており、一側端側ほど幅広に形成されている。そして、包装用ケース1における幅方向の位置する各端縁(基端の始点と先端の始点とを結ぶ端縁、及び基端の終点と先端の終点とを結ぶ端縁)は、それぞれ外側に凸をなす円弧状に形成されている。
【0031】
前記貼着片形成領域52は、一方のシート壁形成領域50aの両側端に沿って帯状に形成され、シート壁形成領域50aとの境界には折曲罫線(以下、第三罫線という。)L3が設けられている。このように一方のシート壁10aとなるシート壁形成領域50aの側端に貼着片形成領域52を延設することで、貼着片形成領域52が第三罫線L3で他方のシート壁形成領域50b側に折り曲げられた状態で、陳列時における包装用ケース1の前面(一方のシート壁10a)側に貼着片12が露呈しないようにしている。
【0032】
前記折曲片形成領域53は、底片形成領域51の先端に接続されて帯状に形成されており、底片形成領域51との境界に、折曲罫線(以下、第四罫線という。)L4が形成されている。
【0033】
前記固定片形成領域54は、折曲片形成領域53の先端(底片形成領域51に接続された端縁とは反対側の端縁)に接続さており、前記延出部17aとなる延出部形成領域54aと、差込部17bとなる差込部形成領域54bとで構成されている。延出部形成領域54aは、突片状に形成され、差込部形成領域54bは、延出部形成領域54aの先端部分を残して延出方向の略中央部分の両側に延設されている。これにより、固定片形成領域54が固定片17として機能するに際し、延出部形成領域54aの先端部分が把持部として機能するように形成されている。
【0034】
原シートSは、以上の構成からなり、該原シートSを用いて上記構成の包装用ケース1を作製するには、図3(イ)に示す如く、まず、一対のシート壁形成領域50a,50bを第一罫線L1で折り返す。そして、図3(ロ)に示す如く、各貼着片形成領域52を第三罫線L3で他方のシート壁形成領域50b側に折り返し、各貼着片形成領域52を接着剤或いは両面粘着テープ等によって他方のシート壁形成領域50bの外面(側端部)に貼着する。
【0035】
この状態で、一対のシート壁形成領域50a,50bのそれぞれは、上端Eu及び両側端Es同士が接続された一対のシート壁10a,10bとなり、シート壁10a,10b同士が接続される端縁によって真っ直ぐな稜線(折曲稜線)が形成されることになる。そして、図3(ハ)に示す如く、一対のシート壁10a,10bの下端側(包装用ケース1の下端開口)から、第一商品P1及び第二商品P2(包装対象物)を挿入する。本実施形態においては、底片11(底片形成領域51)が包装用ケース1の一側端Es側ほど幅広に形成されているので、下部が第二商品P2よりも大径をなす第一商品P1をシート壁10aの一側端Es側に収容し、第二商品P2をシート壁10bの他側端Es側に収容する。なお、第一商品P1はチューブが先細りしているので、包装用ケース1に挿入するに際し、チューブ側から挿入、即ち、蓋がシート壁10a,10bの下端側に位置するように挿入する。
【0036】
そして、第二商品P2を第一商品P1に対して横並びに挿入すると、上述の如く、第二商品P2(ボトル)の上部がシート壁10a,10bの間隔に対して大径部分Lpとなっているので、シート壁10a,10b間に挿入するに伴って(包装用ケース1の上端Eu側)で第二商品P2の大径部分Lpがシート壁10a,10bと接触することになるが、上述の如く、一方のシート壁10a(シート壁形成領域50a)の第二商品P2の上部Lpと対向する領域に舌片14が形成されているので、図4に示す如く、第二商品P2の大径部分Lpが舌片14を外側に押して徐々に起き上がらせ、最終的に舌片14がポップラベルの如く態様となる。
【0037】
そして、切込部13が収容状態における第二商品P2の上部Lp(大径部分Lp)の配置に対応し、且つ該上部Lpの正面形状に即して円弧状に形成されているので、第二商品P2が完全に収容された状態(底片11を閉じて第二商品P2の底が底片11に支えられる状態)で、第二商品P2の上端面が切込部13によって形成された端縁に当接した状態になる。(即ち、ボトルの大径部分Lpが舌片14の存在していた領域に嵌め込まれた態様となる。この状態において、舌片14が第二商品P2によって外側に押されているので、舌片14以外の部分(一対のシート壁10a,10b同士の接続部分(包装用ケース1の上端Eu)及びその周辺)に、不均一な引っ張り作用などが生じず、上端Euが真っ直ぐな状態で維持されることになる。
【0038】
そして、第二罫線L2で底片形成領域51(底片11)を他方のシート壁10b(シート壁形成領域50b)側に折り曲げると共に、第四罫線L4で折曲片形成領域53(折曲片16)を他方のシート壁10bの下端を覆うように折り曲げる。そして、図1(ロ)に示す如く、固定片形成領域54(固定片17)の差込部形成領域(差込部17b)を他方のシート壁10bに形成された差込用切込部15に差し込むことで、第一商品及び第二商品(包装対象物)P1,P2を収容した包装用ケース1が完成する。なお、第一商品及び第二商品(包装対象物)P1,P2を取り出す場合は、固定片17における延出部17aの先端部分(把持部)を把持し、当該部分を他方のシート壁10bから離間させることで、差込部17bが差込用切込部15から抜けて底片11を開ける(包装用ケース1の下端開口を解放する)ことができる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る包装用ケース1は、シート壁10a,10bの上端Eu、及び両側端Es,Esを接続し、底片11側ほどシート壁10a,10bが離間するような形態としたので、上端Eu及び両側端Es,Esに稜線が形成されたスッキリした外観とすることができ、該包装用ケース1自体の形態で顧客の注目を引くことができる。
【0040】
また、本実施形態に係る包装用ケース1は、切込部13を設けて舌片14を形成するようにしたので、包装対象物(第二商品P2)の当接によるシート壁10a,10bに対する押し広げ作用が上端Eu及びその近傍に作用することがなく、当該包装用ケース1(一対のシート壁10a,10b)における上端Euの直線性を担保することができ、非常に見栄えのよい状態(スッキリとした感じ)で維持させることができる。
【0041】
その上、舌片14が周囲部分よりも起き上がるため、ポップラベルの如き態様にすることができる。従って、舌片14に包装対象物(第一商品P1及び第二商品P2の少なくとも何れか一方)に関する情報等を印刷したり、シール等を貼着したりすることで、シート壁の上端Euの直線性による見栄えの良さに加え、ラベル効果を付加して顧客吸引力が増すといった効果を兼ね備えることができる。
【0042】
また、前記切込部13が、包装対象物(第二商品)P2の大径部分(上部)Lpの形状に即して形成されているので、舌片14が必要以上に大きく形成されることがなく非常にシンプルで見栄えのよいものにすることができる。さらに、舌片14が第二商品P2の上部Lpの形状に即して形成されるため、シート壁に透明な領域を形成して内部が外部から視認可能であっても、包装対象物P1,P2(第二商品P2)と包装用ケース1とを美的に一体感を持たせることができる。さらに、第二商品P2の上部が舌片14の存在していた領域に嵌り込むため、切込部13によって形成された端縁によって、包装対象物P2(第二商品P2)の移動を規制することもできる。
【0043】
また、第一商品P1及び第二商品P2(二つの包装対象物)を収容できるように構成し、収容状態での第二商品P2(ボトル)の大径部分Lpの配置に対応して切込部13を設けるようにしたので、第一商品P1及び第二商品P2(二つの包装対象物)を収容しても見栄えの良い状態で維持することができ、複数の商品を一セットにして販売する場合や、試供品として提供する場合等において最適である。
【0044】
尚、本発明の包装用ケースは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0045】
上記実施形態において、断面形状が略楕円形状をなし、該断面形状が軸線方向において略一定の第二商品Pを包装用ケース1に収容し、該第二商品Pの大径部分Lpに対応してシート壁10aに切込部13を設けるようにしたが、包装用ケース1に収容される包装対象物はこれに限定されるものではなく、例えば、軸線方向において少なくとも一部に大径部分Lpを有して瓢箪型をなすようなものや、シート壁100a,100bの間隔とは逆に下部側に先細りしたようなもの、断面形状が軸線方向において略一定のボトル等であってもよい。即ち、本発明の包装用ケースは、包装対象物の配置領域内におけるシート壁10a,10b間の間隔よりも大きな部分(大径部分Lp)を少なくとも一部に有する包装対象物を収容する場合に、上記実施形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0046】
上記実施形態において、二つの包装対象物(第一商品P1及び第二商品P2)を収容できるように構成したが、これに限定されるものではなく、包装用ケース1は、包装対象物を一つ以上収容できるものであればよい。但し、包装対象物を複数収容できる場合には、少なくとも包装対象物の一つがシート壁10a,10b間の間隔よりも大きな大径部分Lpを少なくとも一部に有するものを含んでいることは勿論のことである。従って、大径部分を複数箇所に有する包装対象物を収容する場合や、大径部分を有する包装対象物を複数収容する場合においては、それらを収容した状態を前提にして、各大径部分の配置に対応して複数箇所に切込部13を設けて舌片14を適宜形成するようにすればよい。
【0047】
上記実施形態において、切込部13を包装対象物(第二商品:ボトル)P2の大径部分Lp(上部)の形状に即して形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、包装対象物の大径部分と対向(対応)する領域を少なくとも含むようにシート壁10aに切込部13を設けるようにすればよい。また、切込部13は円弧状のもの限定されるものではなく、例えば、コの字やΛ状のもの等であってもよい。但し、大径部分に対応する領域を含むように形成することは言うまでもない。
【0048】
また、上記実施形態において、第二商品P2(ボトル)の断面よりも大径の蓋を備えた第一商品Pを収納するようにしたため、底片11が包装用ケース1の一側端Es側ほど幅広となるように形成したが、これに限定されるものではなく、底片11は、収容される包装対象物の外径に対応して形状設定するようにすればよい。
【0049】
上記実施形態において、一方のシート壁10aのみに切込部13を設けて舌片14を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、一方のシート壁10aの切込部13及び舌片14に加え、他方のシート壁10bにも切込部13を設けて舌片14を形成するようにしてもよい。この場合においても、包装対象物の大径部分に対向する領域を上端Eu側から取り囲むように形成すればよい。
【0050】
上記実施形態において、底片11を開閉するように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示す如く、一方のシート壁10aの上端に上記実施形態に係る折曲片20及び固定片21を設ける共に、他方のシート壁10bの上端Eu部に差込用切込部23を設け、底片11をシート壁10a,10bに貼着片24を介して接続した構成であってもよい。このようにすれば、包装対象物を包装用ケース1の上端開口から収容することになるが、切込部13を設けて舌片14を形成することで、シート壁10a,10bの上端Eu側に無理な引っ張り作用が生じないので、折曲片20及び固定片21を介して一対のシート壁10a,10bの上端Euを間接的に接続しても、他方のシート壁10bに固定された折曲片20と一方のシート壁10aとの境界に真っ直ぐな稜線を形成することができ、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。但し、この場合においては、上端開口を閉塞した状態で、包装用ケース1の前面となる一方のシート壁10a側に折曲片20や固定片21が位置しないように設けることは勿論のことである。
【0051】
上記実施形態において、シート壁10aに切込部13設けて舌片14を形成し、包装対象物P2が大径部分Lpを有していても、シート壁10a,10bが押し広げられないように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(イ)に示す如く、シート壁10a,10bの何れにも切込部及び舌片を設けないような態様であってもよい。このようにしても、シート壁10a,10bの上端Eu及び両側端Es,Es同士が接続されているので、当該包装用ケース1の上端Eu及び両側端Es,Esに稜線が形成され、見栄えのよいものとなる。但し、この場合においては、包装対象物を収容した状態でシート壁10a,10bが押し広げられないように、シート壁10a,10b間の空間よりも小さな包装対象物P2や、上記実施形態のチューブ入り商品のように収容状態での上端側が先細りした包装対象物P1を収容することになる。
【0052】
さらに、上記実施形態の如く、大径部分Lpを有する包装対象物P2を収容する場合、図6(ロ)に示す如く、シート壁10a,10bの少なくとも何れか一方における包装対象物P2の大径部分Lpと対向する領域に開口100を形成するようにしてもよい。このようにすれば、収容した大径部分Lpが開口100に入り込むことになり、シート壁10a,10bが無理に押し広げられることがなく、上端Eu及び両側端Es,Esの直線性を確保した状態で維持することができる。この場合においても、大径部分を二つ以上有する包装対象物を収容する場合や、包装対象物が二つ以上収容されてシート壁10a,10b間に対する大径部分が複数存在する場合には、各大径部分の配置に対応して適宜箇所に開口を形成すればよい。そして、かかる開口は、大径部分に対応したサイズ及び形状に形成すれば、必要以上に大きなものとならず、開口を介して露呈する大径部分が開口にきっちりと嵌り込んで見た目良好な状態にすることができる。また、前記開口100に代えて、一又は複数のスリットを大径部分Lpに対応する領域に該大径部分Lpの上方に対応させて形成しても同様の作用を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る包装用ケースは、洗剤や化粧品をはじめとする種々の商品を包装する包装材として採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用ケースの全体斜視図であって、(イ)は、陳列時に正面となる前面側から見た斜視図を示し、(ロ)は、陳列時に背面となる後面側から見た斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る包装用ケースを作製するための原シート(包装用ケースの展開図)を示す。
【図3】同実施形態に係る包装用ケースの製作工程を説明するための図であって、(イ)は、原シートのシート壁形成領域同士を折り返した状態を示し、(ロ)は、貼着片形成領域を折り曲げて他方のシート壁形成領域に貼着した状態を示し、(ハ)は、シート壁(シート壁形成領域)間に包装対象物(第一商品及び第二商品)を挿入した状態を示す。
【図4】図3(ハ)のI−I断面であって、包装対象物(第二商品)を収容する際の舌片の状態を説明するための説明図を示す。
【図5】本発明の他実施形態に係る包装用ケースの全体斜視図であって、(イ)は、陳列時に正面となる前面側から見た斜視図を示し、(ロ)は、陳列時に背面となる後面側から見た斜視図を示す。
【図6】本発明の別の実施形態に係る包装用ケースの斜視図であって、(イ)は、切込部及び舌片が設けられていないものを示し、(ロ)は、包装対象物の大径部分と対向する領域に開口が形成されたものを示す。
【符号の説明】
【0055】
1…包装用ケース、10a,10b…シート壁、11…底片、12,24…貼着片、13…切込部、14…舌片、15,23…差込用切込部、16,20…折曲片、17,21…固定片、17a…延出部、17b…差込部、50a,50b…シート壁形成領域、51…底片形成領域、52…貼着片形成領域、53…折曲片形成領域、54…固定片形成領域、54a…延出部形成領域、54b…差込部形成領域、Eu…上端、Es…側端、L1…第一罫線(折曲罫線)、L2…第二罫線(折曲罫線)、L3…第三罫線(折曲罫線)、L4…第四罫線(折曲罫線)、Lp…大径部分(上部)、(折曲罫線)、P1…第一商品(包装対象物)、P2…第二商品(包装対象物)、S…原シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装対象物を収容する包装用ケースであって、互いに対向する一対のシート壁の上端同士及び両側端同士が接続されると共に、前記シート壁が下端側ほど互いに離間して下端同士が底片を介して接続され、一対のシート壁間に包装対象物が収容されるように構成されていることを特徴とする包装用ケース。
【請求項2】
前記包装対象物は、少なくとも一部に一対のシート壁の間隔よりも大きな大径部分を有し、前記一対のシート壁の少なくとも何れか一方に、包装対象物の大径部分と対向する領域を上端側から取り囲むように切込部が設けられ、該切込部を境に舌片が形成されている請求項1記載の包装用ケース。
【請求項3】
前記切込部は、包装対象物の大径部分の形状に即して形成されている請求項2記載の包装用ケース。
【請求項4】
大径部分を有する包装対象物を少なくとも一つ以上含んで二つ以上の包装対象物を収容可能に構成され、前記切込部が、包装対象物の大径部分の配置に対応して設けられている請求項2又は3記載の包装用ケース。
【請求項5】
前記包装対象物は、少なくとも一部に一対のシート壁の間隔よりも大きな大径部分を有し、前記一対のシート壁の少なくとも何れか一方には、包装対象物の大径部分に対応する領域に開口又はスリットが形成されている請求項1記載の包装用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−335372(P2006−335372A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159104(P2005−159104)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】