説明

包装用トレイ

【課題】おはぎや大福といった、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子を、1個や2個といった少数であっても見栄えよく包装することができるとともに、和菓子のズレ動きを防止することができる包装用トレイを提供する。
【解決手段】外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子Wの包装に使用される包装用トレイ1であって、トレイ本体2の和菓子載置面3に、和菓子Wの外形状より僅かに小さい外形状を呈する凹陥部4を1つ又は複数設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、おはぎや大福といった、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子の包装に使用される包装用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
和菓子には様々なものがあるが、中でもおはぎや大福は値段も手頃であり、日ごろのおやつとして多くの人々に馴染み深い和菓子であることから、和菓子の専門店に限らずスーパーマーケット等の量販店やコンビニエンスストアの店頭でも広く販売されている。
【0003】
和菓子の専門店では、例えば、おはぎは、4個詰や6個詰といった形で木製又は紙製の折箱に包装されて販売されているが、量販店やコンビニエンスストア等では、透明な蓋の付いた合成樹脂製の包装用トレイに1個又は2個程度が包装されて陳列されていることが多い。このような包装形態の相違は、消費者の購入目的が贈答用であるか自家用であるかの違いによるものといえる。特に、後者の場合、最近増加している一人住まいの消費者に対応するために増えつつある包装形態でもある。
【0004】
そのような包装形態に適するものとして、従来は、例えば、特許文献1に見られるような、寿司や刺身の包装に使用される包装容器がそのままおはぎ等の包装に流用されているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−213420公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の包装容器は、あくまで寿司や刺身を包装するためのものであることから、例えば、おはぎの1個や2個程度を包装するにしては容積が大き過ぎるため、そのような包装容器におはぎを1個又は2個入れた場合、包装容器内においておはぎの周囲に大きな隙間が生じてしまい、その隙間の存在によって肝心の商品であるおはぎのボリューム感が損なわれ、見栄えが悪いといった不都合があった。
【0007】
また、そのような包装容器のほとんどは、食品の載置面が平滑面とされていることとも相俟って、包装容器の中でおはぎがズレ動き易くなっていることから、店頭での陳列作業時や店からの持ち帰り時等におはぎが不測にズレ動いて型崩れしてしまい、商品価値を損ねてしまうといった問題もあった。
【0008】
さらに、上述したように上記従来の包装容器では食品の載置面が平滑面とされているため、おはぎを包装する際におはぎの載置位置が定めにくく、その結果、おはぎが包装容器内にバランスよく配置されず、店頭陳列時の見栄えが悪くなるといった不都合もあった。
【0009】
本発明は、係る点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、おはぎや大福といった、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子を、1個や2個といった少数であっても見栄えよく包装することができるとともに、和菓子のズレ動きを防止することができる包装用トレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するため、本発明に係る包装用トレイは、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子の包装に使用される包装用トレイであって、トレイ本体の和菓子載置面に、前記和菓子の外形状より僅かに小さい外形状を呈する凹陥部が1つ又は複数設けられたことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子とは、例えば、おはぎや大福等、概ね丸められた形状を呈し、指で僅かな力を加えただけでも容易に変形するものをいい、また、生の和菓子とは、でき上がり直後の水分含量が30%前後から70%程度を越えるものを、半生の和菓子とは20〜35%程度のものをいう。
【0012】
上記したような構成の包装用トレイによれば、和菓子が、それよりも外形状が僅かに小さい凹陥部に嵌まり込むため、トレイ本体の和菓子載置面上でズレ動くようなことがない。また、包装時、凹陥部に和菓子を置くだけでトレイ上の和菓子の位置が確定することから、凹陥部の位置を和菓子載置面上の好ましい位置に形成しておくだけで、誰でも簡単に見栄えのよい包装(盛り付け)をすることができる。さらに、凹陥部は、その外形状が和菓子の外形状よりも小さく設定されているため、包装時に凹陥部が和菓子に隠れて見えなくなる。したがって、凹陥部が目立つことがなく、包装の見栄えを損ねる虞がない。
【0013】
上記包装用トレイにあっては、凹陥部の外周縁部に、和菓子載置面より上方に突出するリブが設けられていてもよい。
【0014】
この場合、リブが和菓子の底面の周囲に係合するため、和菓子を凹陥部内に確実に留めることができる。したがって、店頭での陳列作業時や店からの持ち帰り時等におはぎが不測にズレ動いて型崩れしてしまうといった虞をなくすことができる。
【0015】
また、トレイ本体の裏面において、和菓子載置面の裏側部分の周囲に、該裏側部分の膨出高さよりも高い脚部が設けられていてもよい。
【0016】
この場合、和菓子載置面が例えば陳列棚の面上に直接接することがなくなり、脚部によってトレイ本体を支持することができるため、安定した陳列を行うことができる。
【0017】
上記包装用トレイにおいては、凹陥部は円形とされ、その深さ寸法が該円の直径の5〜10%に設定されているとよい。
【0018】
このように、凹陥部の深さ寸法をその直径の5%以上とすることで、和菓子のズレ動きを十分に阻止することができ、10%以下とすることで、和菓子の底部が凹陥部の表面に追従することに起因する型崩れを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、おはぎや大福といった、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子を、1個や2個といった少数であっても見栄えよく包装することができるとともに、和菓子のズレ動きを防止することができる包装用トレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る包装用トレイの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す包装用トレイの平面図である。
【図3】図1に示す包装用トレイの中央横断面図である。
【図4】図1に示す包装用トレイにおはぎを包装した状態を示す中央横断面図であり、蓋を二点差線で示している。
【図5】本発明に係る包装用トレイの他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示す包装用トレイの平面図である。
【図7】図5に示す包装用トレイの中央横断面図である。
【図8】図5に示す包装用トレイにおはぎを包装した状態を示す中央横断面図であり、蓋を二点差線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る包装用トレイの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る包装用トレイの一実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す包装用トレイの平面図、図3は、図1に示す包装用トレイの中央横断面図、図4は、図1に示す包装用トレイにおはぎを包装した状態を示す中央横断面図である。
【0023】
なお、以下においては、和菓子としておはぎを例に挙げているが、これに限らず、概ね丸められた形状を呈し、指で僅かな力を加えただけでも容易に変形するような、所謂、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子であればよい。
【0024】
包装用トレイ1は、図1乃至図4に示すように、平面視正方形状の包装用トレイ2の和菓子載置面3に、和菓子Wの外形状より僅かに小さい外形状を呈する1つの円形の凹陥部4が、和菓子載置面3の中心に位置するよう設けられたものである。
【0025】
この包装用トレイ1の材料としては、例えば、ポリスチレン系発泡シートが好適に用いられる。ポリスチレン系発泡シートは、市場ではポリスチレンペーパー(PSP)と呼ばれているものであり、ポリスチレン系樹脂と核剤、膨張剤の溶融混練物をシート状に押出成形し、冷却して得られるものである。このポリスチレン系発泡シートの発泡倍率及び厚みは、この種のトレイに好適な値が適宜選択、採用される。上記ポリスチレン系樹脂としては、スチレンのホモポリマー、スチレン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン・αメチルスチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、あるいはこれら2種以上の混合したものが利用できる。なお、包装用トレイ1の材料は上記したようなPSPに限らず、他の合成樹脂製材料であってもよく、また、成形した板紙や積層紙の表面に樹脂加工を施したものであってもよい。要は、食品の包装に適し、且つ、成形性に優れていれば、特に限定されるものではない。
【0026】
上記凹陥部4は、図3及び図4に示すように、底部が円形の平滑面41とされ、この平滑面41の周囲から凹陥部4の外周縁部にかけては緩やかな曲面42とされている。また、このようになる凹陥部4の周囲(前記縁部)には、和菓子載置面3より上方に突出する環状のリブ5が設けられている。このリブ5の頂面は、図3及び図4に示すように、断面円弧状に形成されている。
【0027】
このように和菓子載置面3に凹陥部4が設けられるとともに、凹陥部4の外周縁部にその全周に亘ってリブ5が設けられていることにより、図4に示すように、和菓子Wが、それよりも外形状が僅かに小さい凹陥部4に嵌まり込むこととなり、包装用トレイ2の和菓子載置面3上でズレ動くようなことがないと同時に、リブ5が和菓子Wの底面の周囲に係合するため、和菓子Wを凹陥部4内に確実に留めることが可能となる。したがって、店頭での陳列作業時や店からの持ち帰り時等に和菓子Wが不測にズレ動いて型崩れしてしまうといった虞をなくすことができる。また、包装時、凹陥部4に和菓子Wを置くだけでトレイ本体2上の和菓子Wの位置が確定することから、本実施形態では凹陥部4の位置が和菓子載置面3の中心にあるため、誰でも和菓子Wを包装用トレイ2の中心に盛り付けをすることができる。したがって、包装後の見栄えがよくなる。さらに、凹陥部4は、その外形状が和菓子Wの外形状よりも小さく設定されているため、図4に示すように、包装時に凹陥部4が和菓子Wに隠れて見えなくなる。したがって、凹陥部4が目立つことがなく、包装の見栄えを損ねる虞がない。
【0028】
なお、上記リブ5は、凹陥部4の外周縁部の全周に亘って設けられているが、これに限らず、例えば、複数の円弧状のリブを相互に間隔を隔てて凹陥部4を囲むように設けられてもよい。また、このようなリブ5を設けることなく、凹陥部4だけが和菓子載置面3上に設けられていてもよい。さらに、リブ5の頂面の形状は、上記したような断面円弧状でなくてもよく、例えば、断面方形状や断面三角形状であってもよい。また、凹陥部4の形状は円形に限らず、和菓子Wの外形状に対応した形とすればよい。
【0029】
また、上記包装用トレイ2の裏面には、和菓子載置面3の裏側部分の周囲に、4ヶ所に亘って、該裏側部分の膨出高さよりも高い脚部6が設けられている。これにより、和菓子載置面3が、例えば陳列棚の面上に直接接することがなくなり、脚部6によって包装用トレイ2を支持することができるため、安定した陳列を行うことができる。
【0030】
さらに、上記包装用トレイ2の周辺には、蓋L(図1及び図4参照)の外周縁部の嵌合部L1と嵌合される外周壁部7が形成されている。ここで、和菓子Wの視認性を高めるうえからは、外周壁部7と和菓子載置面3とのレベル差が小さい方が好ましい。このため、本実施形態では、凹陥部4が形成される部位31を他の部位32よりも一段高く設定するとともに、包装用トレイ2の外周壁部7の上縁部71を4辺の各中程において凹ませている。
【0031】
なお、上記の蓋Lとしては、例えば、二軸延伸ポリスチレンシートが好適に用いられる。この二軸延伸ポリスチレンシートは、ポリスチレン樹脂を縦横二方向に延伸し、シート状にした素材であり、高い透明性、剛性、食品安全性を有することから、弁当容器や惣菜容器の蓋として広く使用されているものである。
【0032】
本実施形態に係る包装用トレイ1においては、凹陥部4は円形とされ、その深さ寸法が該円の直径の5〜10%に設定されている。具体的には、凹陥部4の直径φ(図3参照)が45〜55mm、深さ寸法dが3〜4mmとされている。このように、凹陥部4の深さ寸法をその直径の5%以上とすることで、和菓子Wのズレ動きを十分に阻止することができ、10%以下とすることで、和菓子Wの底部が凹陥部4の表面に追従することに起因する型崩れを防止することができる。なお、上記以外の部位の具体的な寸法は、凹陥部4の曲面42の曲率半径が35〜45mm、凹陥部4の底部の平滑面41の直径が25〜35mm、リブ5の幅寸法aが4〜5mm、リブ5の高さ寸法hが1〜2mm、リブ5の頂面の曲率半径が2〜4mm、とされている。これらの具体的な寸法はあくまでも一例に過ぎず、包装する和菓子Wの大きさによって適宜変更すればよい。
【0033】
以上、1個の和菓子Wを包装する例についての実施形態を説明したが、包装する和菓子Wの個数は複数個であってもよい。図5乃至図8は、2個の和菓子Wを包装する場合の実施形態を示している。
【0034】
図5は、本発明に係る包装用トレイの他の実施形態を示す斜視図、図6は、図5に示す包装用トレイの平面図、図7は、図5に示す包装用トレイの中央横断面図、図8は、図5に示す包装用トレイにおはぎを包装した状態を示す中央横断面図である。
【0035】
なお、本実施形態においては、上記の実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については図面において同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
包装用トレイ1は、図5乃至図8に示すように、平面視長方形状の包装用トレイ2の和菓子載置面3に、和菓子Wの外形状より僅かに小さい外形状を呈する2つの円形の凹陥部4が設けられたものである。これら2つの凹陥部4は、包装用トレイ2の短手方向中央部に、包装用トレイ2の長手方向に沿って列設されている。凹陥部4同士の間隔は、図8に示すように、和菓子W同士が接することなく、両者W間に適当な間隔があくような寸法とされる。
【0037】
この実施形態では、2個の和菓子Wを包装する例について説明したが、包装する和菓子Wの個数はこれに限らず3個以上であってもよい。その場合も、和菓子Wがトレイ本体上でバランスよく配置されるよう凹陥部4の位置が決定される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、おはぎや大福といった、外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子の包装に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 包装用トレイ
2 トレイ本体
3 和菓子載置面
4 凹陥部
5 リブ
6 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外的力によって型崩れし易い塊状の生又は半生の和菓子の包装に使用される包装用トレイであって、
トレイ本体の和菓子載置面に、前記和菓子の外形状より僅かに小さい外形状を呈する凹陥部が1つ又は複数設けられたことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用トレイにおいて、
前記凹陥部の外周縁部に、前記和菓子載置面より上方に突出するリブが設けられたことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装用トレイにおいて、
前記トレイ本体の裏面には、前記和菓子載置面の裏側部分の周囲に、該裏側部分の膨出高さよりも高い脚部が設けられたことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の包装用トレイにおいて、
前記凹陥部は円形とされ、その深さ寸法が該円の直径の5〜10%に設定されたことを特徴とする包装用トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−67404(P2013−67404A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207161(P2011−207161)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(000158943)株式会社積水技研 (35)
【Fターム(参考)】