説明

包装用容器及びブランクシート

【課題】切込部の周囲に発生する毛羽が切込部の表面に露呈するのを抑制することができる包装用容器を提供する。
【解決手段】 包装用容器(1)の切込部(200)は、連結部分(101)の始点と終点とを結ぶ線の方向が、開封片(5)を容器本体(2)から切り離す切離方向と交差する複数の切り込み(100)が施された領域で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器及びブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、一般的なラップフィルム用の包装用容器の構成例を示す。図6に示す包装用容器は、コートボール紙で作られている。この種の包装用容器は、流通過程で蓋体90が容器本体91から開かないように、蓋体90の前面壁92にミシン目93を介して連設された開封片94の裏面を、容器本体91の前面壁95の表面に接着させているのが一般的である。
【0003】
そして、包装用容器に収容されたラップフィルム等の包装媒体(図示せず)をユーザが使用する場合は、開封片94をミシン目93に沿って切り離すと共に、開封片94を容器本体91の前面壁95から引き剥がすことで、蓋体90を容器本体91に対して開閉可能とし、容器本体91内に収容されている包装媒体を引き出せるように構成している。
【0004】
なお、上述した包装用容器は、開封片94を十分な接着力で前面壁95に接着させ、流通過程、例えば、搬送中に蓋体90が開かないようにする必要がある。一方、ユーザの使用性を鑑み、開封片94を容器本体91の前面壁95から簡易に引き剥がせるようにする必要がある。
【0005】
この相反する要請に対応するため、従来においては、図6に示す如く、開封片94を容器本体91の前面壁95の表面に、適宜間隔で設けられた円形の接着エリア96のみで接着し、他の部分は非接着状態として封止能力の調整を図っていた。また、開封片94の引き剥しを更に容易とするために、接着エリア96とその他の部分との境界に半切り線が入れられていた。
【0006】
しかし、図6に示す構成では、開封片94を容器本体91の前面壁95から引き剥がすと、接着エリア96が深くえぐり取られ、その接着エリア96の灰色、または、茶色の古紙層(前面壁95の内部の古紙層)がむき出しとなり、見栄えが悪くなるという問題点があった。
【0007】
なお、接着エリア96に半切り線を入れず、開封片94の裏面側の古紙層を剥離する方法もある。しかし、この場合も、灰色等の古紙層の剥離残片が前面壁95に残ってしまい、上記問題点を解決することができない。
【0008】
このようなことから、図7に示すように、開封片94に複数の切り込み97を施し、その複数の切り込み97が施された領域で構成される切込部98のみを前面壁95の接着エリア96(図6参照)で接着し、他の部分は非接着状態として封止能力の調整を図っている包装用容器がある。この図7に示す構成の場合は、開封片94を容器本体91の前面壁95から引き剥がすと、切り込み97同士を連結する連結部分99が切断し、切込部98が前面壁95に残存した状態で、開封片94を容器本体91の前面壁95から切り離すことができる。このため、図7に示す構成の場合は、上述した図6に示す構成の問題点を解決することができる。
【0009】
しかし、図7に示す構成の場合であっても、開封片94を容器本体91の前面壁95から引き剥がす際に、連結部分99が綺麗に切断されず、切込部98の周囲に開封片94の古紙層が残ってしまい、切込部98の周囲に毛羽(紙剥け)が発生し、見栄えが悪くなることがある。また、切込部98の周囲に発生した毛羽がラップフィルム等の包装媒体に付着してしまうおそれがある。
【0010】
このため、切込部98の周囲に発生する毛羽が切込部98の表面に露呈するのを抑制することが可能な包装用容器を開発する必要がある。
【0011】
なお、本出願人が出願した先行技術文献として、特許文献1(特開2006-56578号公報)には、開封片2と接着する部分に複数の半切れ部6を有し、開封片2を切り離す際に、半切れ部6の内側の表面が層間剥離する容器1であり、半切れ部6施された部分に突起部7が施された容器1について開示されている。
【0012】
また、本発明より先に出願された先行技術文献として、特許文献2(特許第3955387号公報)には、開封片30を引き剥がした場合に、容器本体8の前面壁14の白色系の表層の中間部で剥離することができ、開封後に灰色の古紙層6が現れることのない包装用容器について開示されている。
【0013】
また、特許文献3(特許第3142969号公報)には、開封片6の裏面が前板1の表面に貼合している処の局部接合部9を引き剥がすラップフィルムの収納箱において、局部接合部9を、前板1の板紙表面の局部的層剥離のみで破壊できる状態にした技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−56578号公報
【特許文献2】特許第3955387号公報
【特許文献3】特許第3142969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上述した特許文献1〜3に開示されている構成は、図7に示す構成のように、切込部98を前面壁95に残存させる構成ではないため、切込部98の周囲に発生する毛羽が切込部98の表面に露呈するのを抑制する点については何ら記載も示唆もされていない。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、切込部の周囲に発生する毛羽が切込部の表面に露呈するのを抑制することができる包装用容器及びブランクシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。
【0018】
<包装用容器>
本発明にかかる包装用容器は、
内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部を被包する容器蓋と、を有し、前記容器蓋は、前記容器本体の一頂縁に連接し、前記一頂縁を軸として前記容器本体に対して回動可能な包装用容器であって、
前記容器蓋は、前記包装用容器の開封部となる開封片と切取線を介して連接しており、
前記開封片には、貫通した切り込みが複数施されており、その複数の切り込みが施された領域で構成される切込部が前記容器本体と接着しており、
前記開封片を前記切取線に沿って前記容器蓋から切り離した際に、前記切り込み同士を連結する連結部分が切断し、前記切込部が前記容器本体側に残存した状態で、前記開封片を前記容器本体から切り離すことになり、
前記切込部は、
前記連結部分の始点と終点とを結ぶ線の方向が、前記開封片を前記容器本体から切り離す切離方向と交差する複数の切り込みが施された領域で構成されていることを特徴とする。
【0019】
<ブランクシート>
本発明にかかるブランクシートは、
上記記載の包装用容器の構造を形成するためのブランクシートであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、切込部の周囲に発生する毛羽が切込部の表面に露呈するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態における包装用容器1の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態における包装用容器1の概略展開図を示す図である。
【図3】包装用容器1を構成する際の製造工程を説明するための図である。
【図4】切込部200の形状を説明するための図である。
【図5】本実施形態の切込部200の形状の変形例を示す図である。
【図6】本発明と関連する第1の包装用容器の外観を示す斜視図である。
【図7】本発明と関連する第2の包装用容器の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<本実施形態の包装用容器1の概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の包装用容器1の概要について説明する。
【0023】
本実施形態の包装用容器1は、内容物を収容する容器本体2と、容器本体2の開口部を被包する容器蓋3と、を有し、容器蓋3は、容器本体2の一頂縁iに連接し、一頂縁iを軸として容器本体2に対して回動可能な包装用容器である。
【0024】
本実施形態の包装用容器1の容器蓋3は、包装用容器1の開封部となる開封片5と切取線4を介して連接しており、その開封片5には、貫通した切り込み100が複数施されており、その複数の切り込み100が施された領域で構成される切込部200が容器本体2と接着している。
【0025】
そして、開封片5を切取線4に沿って容器蓋3から切り離した際に、切り込み100同士を連結する連結部分101が切断し、切込部200が容器本体2側に残存した状態で、開封片5を容器本体2から切り離すことになる。
【0026】
これにより、本実施形態の包装用容器1は、開封片5と容器本体2との接着部分である切込部200が容器本体2側に残存することになるため、開封片5と容器本体2との接着部分の見栄えが悪くなるのを解消することができる。
【0027】
また、本実施形態の包装用容器1の切込部200は、連結部分101の始点と終点とを結ぶ線の方向が、開封片5を容器本体2から切り離す切離方向と交差する複数の切り込み100が施された領域で構成している。
【0028】
これにより、本実施形態の包装用容器1は、連結部分101を切断する際に、切離方向とは異なる方向に力が加わった場合でも、次の切り込み100に到達することができるため、連結部分101を綺麗に切断することができる。その結果、切込部200の周囲に開封片5の古紙層が残存するのを抑制することができる。また、本実施形態の連結部分101は、切込部200の形状の窪んだ箇所を構成することになるため、連結部分101を切断する際に毛羽が発生したとしても、その毛羽が切込部200の表面に露呈するのを抑制することができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態における包装用容器1について詳細に説明する。
【0029】
<包装用容器:1の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の包装用容器1の構成例について説明する。図1は、本実施形態の包装用容器1の外観斜視図であり、開封のために開封片5の一部が切り離された状態を示している。
【0030】
本実施形態の包装用容器1は、図1に示すように、ラップフィルム等の包装媒体を収容する容器本体2と、当該容器本体2と連接した容器蓋3と、を有して構成している。
【0031】
本実施形態の包装用容器1は、例えば、厚紙、ボール紙などの紙素材により形成することが可能である。また、包装用容器1は、複数枚、または、1枚の紙素材から形成することも可能である。また、本実施形態の包装用容器1を構成する容器本体2は、少なくとも、1度折り曲げても元に戻ろうとする復元性を有していることが好ましい。
【0032】
容器本体2は、矩形の本体底面板12と、この本体底面板12の各長縁部から垂直上方に延びる本体前面板11及び本体後面板13と、本体底面板12の各短縁部から垂直上方に延び且つ本体前面板11及び本体後面板13の対向端部間を連結する本体側面板15,15'と、を有している。容器本体2の上部は、容器本体2に収容された包装媒体(図示せず)を引き出すための開口部として開放されている。
【0033】
容器蓋3は、容器本体2の一方の本体後面板13の頂縁部から連続して延び且つ容器本体2の開口部を実質的に覆う矩形の蓋体蓋板21と、この蓋体蓋板21の各短縁部から垂直に容器本体2側に延びる蓋体側面板23,23'と、蓋体蓋板21の前側の長縁部から垂直に延び且つ蓋体側面板23,23'の前側端部間を連結する掩蓋片6と、を有している。
【0034】
掩蓋片6の先端縁部の裏面には、包装媒体(図示せず)を切断するための鋸刃状のカッター8が取り付けられている。なお、カッター8の形状は、特に限定するものではなく、あらゆる形状で構成することが可能であり、例えば、直線形状や、略中央部分が他の部分よりも突出するV字形状で構成することが可能である。また、カッター8の刃の種類としては、材質が金属、プラスチック、紙、バルカナイズド硬化紙等で、その端縁を、鋸刃状に加工したもの、砥粒を塗布加工したもの、或いは、両者の加工を併用したものが適用可能である。また、カッター8の配備方法としては、カッター8を掩蓋片6の適所に対しカシメ具や接着剤などで固定する方法などを採用することが可能である。
【0035】
また、掩蓋片6には、包装用容器1を使用する際に切除する開封片5が設けられており、その開封片5には、貫通した切り込み100が複数施されており、その複数の切り込み100が施された領域で構成される切込部200のみが容器本体2の本体前面板11と接着している。なお、図1の構成では、開封片5に8つの切込部200が設けられているが、切込部200の数や設置位置は特に限定せず、包装用容器1のサイズ形状に応じて任意に設計変更することが可能である。
【0036】
本実施形態の包装用容器1は、開封片5に設けられた切込部200の部分を容器本体2の本体前面板11に接着し、切込部200以外の部分は非接着状態とし、封止能力の調整を図っている。このため、切取線4に沿って開封片5を切除することで、切り込み100同士を連結する連結部分101が切断し、開封片5と本体前面板11との接着部分である切込部200が容器本体2の本体前面板11側に残存した状態で、容器蓋3が容器本体2の一頂縁iを軸として容器本体2に対して回動可能な状態を構成することができる。なお、図1に示す切取線4は、開封片5を切取線4に沿って容易に切除することが可能な形状のミシン目が施されていることが好ましい。
【0037】
また、本実施形態の包装用容器1は、切取線4に沿って開封片5を切除した際に、開封片5と本体前面板11との接着部分である切込部200が容器本体2の本体前面板11側に残存することになるため、開封片5と本体前面板11との接着部分の見栄えが悪くなるのを解消することができる。また、切込部200の表面に印刷を施すことで、その切込部200の表面に施した印刷を本体前面板11側に残存させることが可能となる。その結果、切込部200の表面に施した印刷と、本体前面板11の表面に施した印刷と、の組合せで、様々な態様の印刷を容器本体2に施すことが可能となる。
【0038】
また、本実施形態の切込部200は、切り込み100同士を連結する連結部分101の方向が、開封片5を切取線4に沿って容器本体2から切り離す切離方向と交差するような切り込み100を施して構成している。このため、連結部分101を切断する際に、切離方向とは異なる方向に力が加わった場合でも、次の切り込み100に到達することができるため、連結部分101を綺麗に切断することができる。その結果、切込部200の周囲に開封片5の古紙層が残存するのを抑制することができる。また、本実施形態の連結部分101は、切込部200の形状の窪んだ箇所を構成することになるため、連結部分101を切断する際に毛羽が発生したとしても、その毛羽が切込部200の表面に露呈するのを抑制することができる。その結果、切込部200の周囲に発生した毛羽がラップフィルム等の包装媒体に付着してしまうことも回避することができる。
【0039】
<包装用容器:1の展開図>
次に、図2を参照しながら、本実施形態における包装用容器1の概略展開図について説明する。なお、図2は、本実施形態における包装用容器1を展開したものである。
【0040】
本実施形態における包装用容器1は、包装媒体を収納する容器本体2の部分と、容器本体2の開口部を被包する容器蓋3の部分と、で構成している。
【0041】
<容器本体:2>
容器本体2の部分は、本体前面板11と、本体底面板12と、本体後面板13と、が順次、折線a、bを介して連接している。
【0042】
また、本体前面板11の両側辺には、第1の折込片14、14'がそれぞれ折線c、c'を介して連接している。
【0043】
また、本体底面板12の両側辺には、本体側面板15、15'がそれぞれ折線d、d'を介して連接している。また、本体側面板15、15'の両側辺には、本体側面板15、15'の裏面側に折り返し可能な第3の折込片17、17'が折線m、m'を介して連接している。折線m、m'の両端部には切込10、10'が施されており、第3の折込片17、17'が折線m、m'を介して本体側面板15、15'の裏面側に容易に折り返し可能な構造にしている。
【0044】
また、本体後面板13の両側辺には、第2の折込片16、16'がそれぞれ折線e、e'を介して連接している。
【0045】
<容器蓋:3>
容器蓋3の部分は、蓋体蓋板21が本体後面板13に折線iを介して連接している。
【0046】
また、蓋体蓋板21には、掩蓋片6が折線jを介して連接している。
【0047】
また、蓋体蓋板21の両側辺には、蓋体側面板23、23'がそれぞれ折線k、k'を介して連接している。
【0048】
また、掩蓋片6の両側辺には、蓋体折込片24、24'がそれぞれ折線l、l'を介して連接している。
【0049】
また、掩蓋片6には、図1に示すように、カッター8を露出させるための開封片5が切取線4(図1参照)で区画されている。
【0050】
本実施形態の開封片5は、複数の切り込み100が施された領域で構成される切込部200を有し、切込部200の部分のみを本体前面板11の表面で接着し、他の部分は非接着状態として封止能力の調整を図ることにしている。
【0051】
<包装用容器:1の製造工程>
次に、図2、図3を参照しながら、図2に示す板紙製のブランクシートを組み立てて、図1に示すような包装用容器1を構成するまでの製造工程について説明する。図3は、包装用容器1を構成する際の製造工程を説明するための図である。なお、以下に説明する製造工程は一例であり、本実施形態の包装用容器1を構成することが可能であれば、当業者が適宜修正、変更を加え、様々な製造工程を適用することが可能であることは言うまでもない。
【0052】
本実施形態の包装用容器1を構成する製造工程の概略としては、図2に示す板紙製のブランクシートの必要な箇所に糊付を行い、図2に示す折線a,iに沿って折り曲げ、図3(a)に示す状態に折り畳まれた包装用容器1を作製し、その後、図3(b)に示す状態時の包装用容器1の中に、ロール状に巻回された包装媒体Rを収納し、図3(c)に示す状態の包装用容器1を構成する。
【0053】
まず、図2に示す本体前面板11を折線aに沿って内側に折り曲げ、更に、蓋体蓋板21を折線iに沿って折り曲げ、掩蓋片6を本体前面板11の上に重ね、掩蓋片6の開封片5と、本体前面板11と、を貼り合せる。
【0054】
本実施形態では、開封片5に設けられた切込部200の部分のみを本体前面板11に接着剤で貼り付け、切込部200以外の部分は非接着状態とし、封止能力の調整を図っている。なお、切込部200の部分と本体前面板11とを貼り付ける際の方法は、切込部200の部分のみを本体前面板11に貼り付けることが可能であれば特に限定せず、公知の貼り付け方法を用いることが可能である。例えば、本体前面板11の表面に対し、切込部200と接着する接着以外の領域に接着防止用の剥離OPニスを塗布し、本体前面板11の表面の剥離OPニスを塗布していない領域(切込部200と接着する接着領域)に対し、接着剤を塗布する方法がある。また、本体前面板11の表面に対し、切込部200と接着する接着以外の領域に接着防止用の剥離OPニスを塗布し、開封片5の裏面に対し、切込部200の領域に接着剤を塗布する方法がある。これにより、本体前面板11の表面に剥離OPニスが塗布されていない領域と、開封片5の裏面に接着剤が塗布された切込部200の領域と、が接着し、切込部200の部分のみを本体前面板11に接着剤で貼り付けることができる。その結果、図2に示す板紙製のブランクシートを折り畳んだ図3(a)に示す状態の包装用容器1を構成することができる。なお、切込部200の部分に接着剤を塗布する際は、切り込み100の部分や、連結部分101に接着剤を塗布しないようにする必要がある。このため、切込部200の形状に応じて接着剤を塗布する部分を適宜変更する必要がある。
【0055】
本実施形態の包装用容器1は、図3(a)に示す状態で、保管、搬送等を行う。本実施形態の包装用容器1は、図3(a)に示すように、開封片5に設けられた切込部200の部分のみを本体前面板11に接着剤300で貼り付け、切込部200以外の部分は非接着状態とし、封止能力の調整を図っている。このため、開封片5を十分な接着力で本体前面板11に接着させ、流通過程、例えば、搬送中に容器蓋3が開かないようにすることができる。
【0056】
次に、図3(a)に示す状態に折り畳んだ包装用容器1に対し、包装媒体Rを収納することになる。
【0057】
この場合、まず、図3(a)に示す状態に折り畳まれた包装用容器1を起こし、図3(b)に示すように、包装用容器1を四角柱形状に構成し、図3(c)に示すように、一方の側面の開口部から包装媒体Rを挿入する。
【0058】
なお、図3(c)に示すように、包装媒体Rを包装用容器1内に挿入した後は、包装用容器1の両側面を構成する各部(14,14',15,15',16,16'17,17',23,23',24,24')を折り曲げ、図1に示す包装用容器1を構成することになる。これにより、包装媒体Rを収容した包装用容器1を構成することができる。
【0059】
なお、上記方法では、容器本体2に包装媒体Rを挿入した後に、包装用容器1の両側面を形成することにした。しかし、例えば、一方の側面を形成した後に、容器本体2に包装媒体Rを挿入し、もう一方の側面を形成するように構築することも可能である。
【0060】
なお、上述した製造工程で形成された包装用容器1を使用する際には、図1に示すように、掩蓋片6の開封片5を切取線4に沿って切除する。そして、容器蓋3を開き、容器本体2に収容された包装媒体(図示せず)の先端部を摘んで所望の長さだけ引き出し、その引き出した包装媒体(図示せず)をカッター8で切断する。
【0061】
本実施形態の包装用容器1は、図1、図3(d)に示すように、開封片5を切取線4に沿って切除した際に、開封片5と本体前面板11との接着部分である切込部200が容器本体2の本体前面板11側に残存することになるため、開封片5と本体前面板11との接着部分の見栄えが悪くなるのを解消することができる。また、切込部200の表面に印刷を施すことで、その切込部200の表面に施した印刷を本体前面板11側に残存させることが可能となる。その結果、切込部200の表面に施した印刷と、本体前面板11の表面に施した印刷と、の組合せで、様々な態様の印刷を容器本体2に施すことが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の切込部200は、図4(a)に示すように、切り込み100同士を連結する連結部分101の始点Aと終点Bとを結ぶ線の方向αが、開封片5を切取線4に沿って切り離す切離方向βと交差するような複数の切り込み100が施された領域で構成している。このため、連結部分101を切断する際に、切離方向βとは異なる方向に力が加わった場合でも、次の切り込み100に到達することができるため、連結部分101を綺麗に切断することができる。その結果、切込部200の周囲に開封片5の古紙層が残存するのを抑制することができる。また、本実施形態の連結部分101は、切込部200の形状の窪んだ箇所を構成することになるため、連結部分101を切断する際に毛羽が発生したとしても、その毛羽が切込部200の表面に露呈するのを抑制することができる。その結果、切込部200の周囲に発生した毛羽がラップフィルム等の包装媒体に付着してしまうことを回避することができる。
【0063】
なお、従来の切込部98は、図4(b)に示すように、切り込み97同士を連結する連結部分99の支点Aと終点Bとを結ぶ線の方向αが、切離方向βと平行するような複数の切り込み97が施された領域で構成している。このため、連結部分99を切断する際に、切離方向βとは異なる方向に力が加わった場合は、次の切り込み97に到達することができず、連結部分99が綺麗に切断されず、切込部98の周囲に開封片94(図7参照)の古紙層が残ってしまい、切込部98の周囲に毛羽が発生し、見栄えが悪くなってしまう。また、従来の連結部分99は、切込部98の形状の窪んだ箇所を構成することがないため、連結部分99を切断する際に毛羽が発生した場合は、その毛羽が切込部98の表面に露呈してしまい、切込部98の周囲に発生した毛羽がラップフィルム等の包装媒体に付着してしまうことになる。
【0064】
これに対し、図4(a)に示す本実施形態の切込部200の形状は、切込部200の周囲に発生する毛羽が切込部200の表面に露呈するのを抑制することができるため、図4(b)に示す従来の切込部98の形状よりも、見栄えが良く、且つ、毛羽がラップフィルム等の包装媒体に付着してしまうことを防止することができる。
【0065】
<本実施形態の包装用容器;1の作用・効果>
このように、本実施形態の包装用容器1の切込部200は、図4(a)に示すように、連結部分101の始点Aと終点Bとを結ぶ線の方向αが、開封片5を容器本体2から切り離す切離方向βと交差するような複数の切り込み100が施された領域で構成している。
【0066】
これにより、本実施形態の包装用容器1は、連結部分101を切断する際に、切離方向βとは異なる方向に力が加わった場合でも、次の切り込み100に到達することができるため、連結部分101を綺麗に切断することができる。その結果、切込部200の周囲に開封片5の古紙層が残存するのを抑制することができる。また、連結部分101は、切込部200の形状の窪んだ箇所を構成することになるため、連結部分101を切断する際に毛羽が発生したとしても、その毛羽が切込部200の表面に露呈するのを抑制することができる。
【0067】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0068】
第1の実施形態の包装用容器1は、図5(a)に示す形状の切込部200を開封片5に設けることにした。しかし、切込部200の形状は、図5(a)に示す形状に限定するものではなく、例えば、図5(b)〜(d)に示す形状にすることも可能である。即ち、本実施形態の切込部200の形状は、図4(a)に示すように、連結部分101の始点Aと終点Bとを結ぶ線の方向αが、開封片5を容器本体2から切り離す切離方向βと交差するような複数の切り込み100が施された領域で構成していれば、あらゆる切り込み形状で構成された切込部200を開封片5に設けることができる。
【0069】
なお、本実施形態の切込部200の形状は、開封片5を左右(図5に示す切離方向の左右)のどちらからから切り離しても、上述した第1の実施形態と同様な効果を得るためには、図5(c)に示す形状にすることが好ましい。また、開封片5を右側(図5に示す切離方向の右側)から切り離す場合に、上述した第1の実施形態と同様な効果を得るためには、図5(b)、(d)に示す形状にすることが好ましい。なお、切込部200の形状は、開封片5に対して切り込み100を簡易に施すことができるように、図5(a)、(c)に示すように、切込部200の中心位置Oを支点として、切離方向に左右対称であり、且つ、切離方向と直交する直交方向に左右対称な形状で構成されていることが好ましい。また、図5(b)、(d)に示すように、切込部200の中心位置Oを支点として、切離方向と直交する直交方向に左右対称な形状で構成されていることが好ましい。
【0070】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記実施形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。
【0071】
例えば、本実施形態における包装用容器1は、包装媒体Rを切断することが可能であれば、カッター8に限定するものではなく、あらゆる構成の切断部を設けるように設計することが可能である。また、切断部の位置も特に限定するものではなく、包装媒体Rを切断可能な任意の位置に設けることが可能である。例えば、包装媒体Rとしてアルミホイル等を適用する場合には、カッター8を設けず、掩蓋片6の先端部分を切断部として使用するように設計することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、ロール状に巻回された包装媒体、例えば、ラップフィルムに代表される樹脂製フィルムや紙、アルミホイル等を包装するための容器に適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 包装用容器
2 容器本体
3 容器蓋
4 切取線
5 開封片
6 掩蓋片
8 カッター切断部
11 本体前面板
12 本体底面板
13 本体後面板
14、14' 第1の折込片
15、15' 本体側面板
16、16' 第2の折込片
17、17' 第3の折込片
21 蓋体蓋板
23、23' 蓋体側面板
24、24'蓋体折込片
100 切り込み
101 連結部分
200 切込部
300 接着剤
R 包装媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部を被包する容器蓋と、を有し、前記容器蓋は、前記容器本体の一頂縁に連接し、前記一頂縁を軸として前記容器本体に対して回動可能な包装用容器であって、
前記容器蓋は、前記包装用容器の開封部となる開封片と切取線を介して連接しており、
前記開封片には、貫通した切り込みが複数施されており、その複数の切り込みが施された領域で構成される切込部が前記容器本体と接着しており、
前記開封片を前記切取線に沿って前記容器蓋から切り離した際に、前記切り込み同士を連結する連結部分が切断し、前記切込部が前記容器本体側に残存した状態で、前記開封片を前記容器本体から切り離すことになり、
前記切込部は、
前記連結部分の始点と終点とを結ぶ線の方向が、前記開封片を前記容器本体から切り離す切離方向と交差する複数の切り込みが施された領域で構成されていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記切込部は、
前記切込部の中心位置を支点として、前記切離方向に左右対称な形状で構成されていることを特徴とする請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
前記切込部は、
前記切込部の中心位置を支点として、前記切離方向と直交する直交方向に左右対称な形状で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の包装用容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかの請求項に記載の包装用容器の構造を形成するためのブランクシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−225226(P2011−225226A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94728(P2010−94728)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】