説明

包装用箱およびその製造方法

【課題】内部に物品を収容し易く、封緘を容易に行うことができる包装用箱とその製造方法を提供する。
【解決手段】断面8角形の筒状の胴体部5をなす2つの半胴体部10A,10Bが、8角形の辺E1を通る中央折り目線41において開閉自在に接続しており、これらが閉じた状態にあるとき、8角形の辺E1と対向する辺E2において半胴体部10A,10Bの側縁が当接する。そのため、半胴体部10A,10Bを封緘する場合には、半胴体部10A,10Bの側縁同士が接触する8角形の辺E2の平らな面をテープ等で止めればよいため、極めて容易に封緘を行うことが可能であり、簡易な構成の封緘機で自動的に封緘を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容する包装用箱とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生花などの壊れやすいものを運送する場合、一般に、これらを段ボール紙や厚紙などで作られた包装用箱に収容して運ぶことが一般的である。下記の特許文献1には、生花等の包装箱が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−42772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される包装用箱は、断面6辺形の筒状の箱である。縦長長方形の背板(1)の上下に6辺形の端板(2a,2b)が張り出し、背板(1)の左右には6辺形の端板に合わせて折れ曲がった側板(3a〜5a,3b〜5b)が設けられている。左右の側板(3a〜5a,3b〜5b)は、観音開きの状態で開くことができる。
【0005】
この包装用箱は、6辺形の端板(2a,2b)に設けられたフラップ板(F1〜F4,G1〜G2)が内側に向けて立ち上がった状態になっているため、比較的縦長の生花等を収容する場合、これらのフラップ板が邪魔になるという問題がある。
【0006】
また、この包装用箱は、側板の端に設けられた掛爪(P)を掛溝(Q)に差し込むことによって左右の側板(3a〜5a,3b〜5b)を閉じる構造になっているが、運送の途中で確実に閉じた状態とするためには、この左右の側板をテープ等で止めることが望ましい。ところが、この包装用箱は、物品等を入れやすいように仰向けの状態で置いた場合、左右の側板が自然に観音開きの状態になってしまうため、このテープ止めを封緘機で自動的に行うためには、左右の側板を押さえる機構が必要となり、封緘機の構造が複雑になるという問題がある。
【0007】
しかも、左右の側板が重なり合った端部が6辺形の角にあたっており、側板の縁に沿ってテープを止めようとした場合、この角でテープが折れ曲がってしまうため、封緘機によるテープ止めが難しいという問題がある。6辺形の端板(2a,2b)と側板(3a〜5a,3b〜5b)の縁をテープで止めることは更に困難である。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部に物品を収容し易く、封緘を容易に行うことができる包装用箱とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点に係る包装用箱(2)は、被包装物を内部に収容能な断面8角形の筒状の胴体部(5)と、前記胴体部(5)の両端の開口を塞ぐ2つの端面部(4、6)とを有し、前記胴体部(5)は、前記8角形の第1の辺(E1)を通る中央折り目線(41)におい開閉自在に接続し、閉じた状態のときには、前記第1の辺(E1)と対向する前記8角形の第2の辺(E2)において互いの側縁が当接する2つの半胴体部(10A、10B)を含み、前記端面部(4、6)は、前記8角形の前記第1の辺(E1)と前記第2の辺(E2)とを通る直線において2つの半端面部(30A及び30B、20A及び20B)に分かれており、前記2つの半端面部(30A及び30B、20A及び20B)がそれぞれ別の前記半胴体部(10A、10B)の端に接続する。
【0010】
好適に、前記半胴体部(10A、10B)は、前記8角形の前記第1の辺(E1)の一部を形成し、前記中央折り目線(41)に接する第1側面部(11A、11B)と、前記8角形の前記第2の辺(E2)の一部を形成し、前記中央折り目線(41)と平行な側縁を有する第2側面部(12A、12B)と、前記第1側面部(11A、11B)と前記第2側面部(12A、12B)との間に連設され、前記中央折り目線(41)と平行な側面折り目線(42A、42B)において区分される3つの第3側面部(13A〜15A、13B〜15B)とを含む。
【0011】
また、好適に、前記半端面部(30A及び30B、20A及び20B)は、前記中央折り目線(41)に対して垂直な第1端面折り目線(43A、43B、44A、44B)において前記第1側面部(11A、11B)に接続した第1フラップ(21A,21B,31A,31B)と、前記側面折り目線(42A、42B)に対して垂直な第2端面折り目線(43A、43B、44A、44B)において前記第2端面部(12A、12B)に接続した第2フラップ(22A,22B,32A,32B)と、前記側面折り目線(42A、42B)に対して垂直な第3端面折り目線(43A、43B、44A、44B)において中央の前記第3側面部(14A,14B)に接続した第3フラップ(23A,23B,33A,33B)と、を含む。
【0012】
前記胴体部(5)および前記2つの端面部(4、6)は、矩形の板状部材の一部が切り抜かれたブランクを折り曲げて形成されてよい。その場合、前記矩形の板状部材において対向する一対の側縁が、前記2つの半胴体部(10A、10B)における前記第2側面部(12A、12B)の側縁を構成し、前記矩形の板状部材において対向する他の一対の側縁が、前記第1フラップ(21A,21B,31A,31B)、前記第2フラップ(22A,22B,32A,32B)並びに前記第3フラップ(23A,23B,33A,33B)の各側縁を構成してよい。
【0013】
好適に、前記第3フラップ(23A,23B,33A,33B)の内側の面に前記第1フラップ(21A,21B,31A,31B)及び前記第2フラップ(22A,22B,32A,32B)が接着されてよい。
【0014】
本発明の第2の観点は、中央の折り目線(41)の左右に形成された2つの部分の各々が、前記中央折り目線(41)と平行な側面折り目線(42A、42B)を介して連設された5つの矩形の側面部(11A〜15A、11B〜15B)を含むブランクを用いて、断面8角形の筒状の胴体を有する包装用箱(2)を製造する方法に関するものであり、この製造方法は、前記ブランクを、前記2つの部分の各々に前記筒状の胴体の半分が形成されるように前記中央折り目線(41)及び前記側面折り目線(42A、42B)において前記ブランクを折る雄型(81L、81R)と雌型(82L、82R)の間に配置する工程と、前記中央折り目線(41)を介して接した2つの側面部(11A、11B)に対応する前記雄型(81L、81R)の溝部に当該2つの側面部(11A、11B)が嵌入するように、前記雌型の側(82L、82R)から前記溝部に向かって前記ブランクの前記中央折り目線(41)に板体(85L、85R)を押し当てる工程と、前記中央折り目線(41)に前記板体(85L、85R)を押し当てた状態で、前記雄型(81L、81R)と前記雌型(82L、82R)の間に前記ブランクを挟み込む工程とを有する。
【0015】
好適に、上記製造方法は、前記雄型(81L、81R)と前記雌型(82L、82R)の間に挟まれた前記ブランクから前記板体(85L、85R)を離し、前記雌型(82L、82R)の底部を開いて折り曲げ加工済の前記ブランクを取りだす工程を有する。
【0016】
前記5つの側面部のうち、前記中央折り目線(41)に接する第1側面部(11A、11B)、端部に位置する第2側面部(12A、12B)、及び、中央に位置する第3側面部(14A、14B)の各端部には、前記側面折り目線(42A、42B)と垂直な端面折り目線(43A、43B、44A、44B)を介してフラップが連設されてよい。この場合、上記製造工程は、前記ブランクを前記雄型(81L、81R)と前記雌型(82L、82R)の間に挟み込む前記工程の前に、前記第1側面部(11A、11B)及び前記第2側面部(12A、12B)に連設された前記フラップ(21A,21B,31A,31B,22A,22B,32A,32B)、及び/又は、前記第3側面部(14A、14B)に連設された前記フラップ(23A,23B,33A,33B)に接着剤を塗布する工程と、前記第1側面部(11A、11B)及び前記第2側面部(12A、12B)に連設された前記フラップ(21A,21B,31A,31B,22A,22B,32A,32B)を前記筒状の胴体の内側方向に向かって折る工程とを有してよい。また、前記雄型(81L、81R)と前記雌型(82L、82R)の間に前記ブランクを挟み込む前記工程では、前記第1側面部(11A、11B)及び前記第2側面部(12A、12B)に連設された前記フラップ(21A,21B,31A,31B,22A,22B,32A,32B)が前記筒状の胴体の内側に位置し、前記第3側面部(14A、14B)に連設された前記フラップ(23A,23B,33A,33B)が前記筒状の胴体の外側に位置した状態で、前記雄型(81L、81R)と前記雌型(82L、82R)の間にこれらのフラップを挟み込んでよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内部に物品を収容し易く、封緘を容易に行うことができる包装用箱とその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る包装用箱の閉じた状態の外観例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る包装用箱の開いた状態の外観例を示す図である。
【図3】図1,図2に示す包装用箱の組み立てに使用されるブランクの一例を示す図である。
【図4】図1,図2に示す包装用箱の製函装置の一例を示す正面中央縦断面図である。
【図5】図1,図2に示す包装用箱の製函装置の一例を示す平面図である。
【図6】図1,図2に示す包装用箱の製函装置の一例を示す正面図である。
【図7】製函装置と封緘装置を含むシステム全体の構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1,図2は、本発明の実施形態に係る包装用箱2の外観の一例を示す図である。図1は閉じた状態を示し、図2は開いた状態を示す。
胴体部5は、本発明における胴体部の一例である。
端面部4,6は、本発明における2つの端面部の一例である。
半胴体部10A,10Bは、本発明における2つの半胴体部の一例である。
半端面部20A及び20Bは、本発明における2つの半端面部の一例である。
半端面部30A及び30Bは、本発明における2つの半端面部の一例である。
胴体部5の断面の8角形の辺E1は、本発明における第1の辺の一例である。
胴体部5の断面の8角形の辺E2は、本発明における第2の辺の一例である。
【0020】
図1に示すように、包装用箱2は、断面が8角形の筒状の胴体部5と、胴体部5の両端の開口を塞ぐ2つの端面部4,6を有する。
閉じた状態の包装用箱2は、断面が8角形の筒状の形をしているが(図1)、開いた状態の包装用箱2は、その断面8角形の筒を長手方向に沿って2つに割ったような形となる(図2)。
【0021】
胴体部5は、2つの半胴体部10A,10Bを有する。胴体部5は、閉じた状態(図1)において半胴体部10A,10Bが重なり合うことにより断面8角形の筒状になるが、開いた状態(図2)では、辺E2(図1)の中央から2つの半胴体部10A,10Bに割れる。
半胴体部10A,10Bは、断面8角形の辺E1(図1)の中央を通る中央折り目線41において開閉自在に接続している。また半胴体部10A,10Bは、閉じた状態(図1)のとき、断面の8角形の辺E1と対向する辺E2(図1)において互いの側縁が当接する。
【0022】
端面部4,6は、断面の8角形の辺E1とこれに対向する辺E2とを通る線においてそれぞれ2つの半端面部に分かれている。すなわち、図1における手前側の端面部4は半端面部30Aと30Bに分かれており、奥側の端面部6は半端面部20Aと20Bに分かれている。半端面部20Aは半胴体部10Aの一方の端に接続し、半端面部30Aは半胴体部10Aの他方の端に接続する。半端面部20Bは半胴体部10Bの一方の端に接続し、半端面部30Bは半胴体部10Bの他方の端に接続する。
【0023】
半胴体部10A、半端面部20A及び半端面部30Aからなる部分と、半胴体部10B、半端面部20B及び半端面部30Bからなる部分は、8角形の対向する2つの辺(図1のE1,E2)を通る切断面によって8角の筒体を長手方向に切断した場合のそれぞれの片割れに相当する形を有している。図1,図2の例では、この片割れ部分が互いに同一の形状を有している。
【0024】
図3は、図1,図2に示す包装用箱2の組み立てに使用されるブランクの一例を示す図である。
側面部11A,11Bは、本発明における第1側面部の一例である。
側面部12A,12Bは、本発明における第2側面部の一例である。
側面部13A〜15A,13B〜15Bは、本発明における第3側面部の一例である。
フラップ21A,21B,31A,31Bは、本発明における第1フラップの一例である。
フラップ22A,22B,32A,32Bは、本発明における第2フラップの一例である。
フラップ23A,23B,33A,33Bは、本発明における第3フラップの一例である。
【0025】
図3に示すブランクは、矩形の板状部材(段ボール等)から打ち抜き等の加工により作られたものであり、包装用箱2はこのブランクを折り曲げて組み立てられる。
矩形のブランクの中央には、中央折り目線(罫線)41が形成される。中央折り目線41の一部には、折れ曲がり易くするための切れ込み51,52が入れられている。ブランクは、この中央折り目線41に対して線対称であり、中央折り目線41の左右の領域がそれぞれ上述した片割れ部分を形成する。
【0026】
半胴体部10Aは、5枚の矩形の側面部(11A〜15A)を有する。各側面部は、中央折り目線41と平行な側面折り目線42Aを介して連設される。
側面部11Aは中央折り目線41に接しており、8角形の辺E1(図1)の半分を形成する。側面部12Aは、中央折り目線41から最も離れた端部に位置しており、8角形の辺E2(図1)の半分を形成する。側面部12Aは、中央折り目線41と平行な側縁を有する。側面部13A〜15Aは、この側面部11Aと12Aの間に連設される。側面部13Aは側面折り目線42Aを介して側面部11Aに接し、側面部15Aは側面折り目線42Aを介して側面部12Aに接し、側面部14Aは側面部13Aと側面部14Aの間に位置する。
【0027】
側面部11Aと側面部12Aの横幅(側面折り目線42Aに垂直な方向の幅)は同一であり、側面部14Aの横幅に比べて半分になっている。また、側面部13Aと側面部15Aの横幅は同一であり、側面部14Aの横幅と比べて狭く、側面部11A,12Aの横幅に比べて広くなっている。
これらを折り曲げて半胴体部10Aを形成した場合、両端の側面部11A,12Aは中央の側面部14Aに対して垂直になり、側面部13A,15Aは中央の側面部14Aに対して斜めに傾いた状態となる。
【0028】
側面部14Aには、それぞれ縦と横に延びた2つの長孔61A,62Aが形成される。長孔61A,62Aは、手で持つ場合などに使用される。
側面部12Aと15Aの境界には、両端同士が折り目線45Aで結ばれた2本の平行な切れ込み53A,54Bが形成される。この切れ込み53A,54Bを凹ませることによって側面に形成される孔は、箱の開閉などに際に使用される。
【0029】
半端面部20Aは、3枚のフラップ(21A〜23A)が重なり合って形成される。フラップ21Aは端面折り目線43Aを介して側面部11Aの端部に接続し、フラップ22Aは端面折り目線43Aを介して側面部12Aの端部に接続し、フラップ23Aは端面折り目線43Aを介して側面部14Aの端部に接続する。端面折り目線43Aは、中央折り目線41A及び側面折り目線42Aに対して垂直に形成される。
【0030】
フラップ21Aは、端面折り目線43Aを介して側面部11Aの端部に接続した矩形部分と、この矩形部分のフラップ23A側の辺に接続した台形部分とを組み合わせた形状を有する。矩形部分は、側面部11Aと等しい横幅を有する。フラップ22Aとフラップ21Aは形状が同じであり、側面部14Aの中央を通る線に対して線対称の関係にある。
フラップ23Aは、端面折り目線43Aを介して側面部14Aの端部に接続した矩形部分と、この矩形部分の両側の辺に接続した同形状の2つの台形部分とを組み合わせた形状を有する。矩形部分は、側面部14Aと等しい横幅を有する。
フラップ21A〜23Aの各側縁は、端面折り目線43Aと平行である。
これらのフラップ21A〜23Aを重ね合わせて半端面部20Aを形成した場合、フラップ23Aは箱の外側に位置し、フラップ23Aの内側の面にフラップ21A,22Aが接着される。
【0031】
フラップ21A〜23Aの縦方向の高さはほぼ等しく、断面の8角形において対向する2辺(E1とE2、E3とE4)の距離の約半分になっている。閉状態(図1)において半端面部20A及び20Bが合わさった端面部6は、胴体部5の開口のほぼ全体を塞ぐ。
【0032】
半端面部30Aは、3枚のフラップ(31A〜33A)が重なり合って形成される。フラップ31Aは端面折り目線44Aを介して側面部11Aの端部に接続し、フラップ32Aは端面折り目線44Aを介して側面部12Aの端部に接続し、フラップ33Aは端面折り目線44Aを介して側面部14Aの端部に接続する。端面折り目線44Aは、中央折り目線41A及び側面折り目線42Aに対して垂直に形成される。
【0033】
フラップ31Aは、端面折り目線44Aを介して側面部11Aの端部に接続した矩形部分と、この矩形部分のフラップ33A側の辺に接続した台形部分とを組み合わせた形状を有する。矩形部分は、側面部11Aと等しい横幅を有する。フラップ32Aとフラップ31Aは形状が同じであり、側面部14Aの中央を通る線に対して線対称の関係にある。
フラップ33Aは、端面折り目線44Aを介して側面部14Aの端部に接続した矩形部分と、この矩形部分の両側の辺に接続した同形状の2つの台形部分とを組み合わせた形状を有する。矩形部分は、側面部14Aと等しい横幅を有する。
フラップ31A〜33Aの各側縁は、端面折り目線44Aと平行である。
これらのフラップ31A〜33Aを重ね合わせて半端面部30Aを形成した場合、フラップ33Aは箱の外側に位置し、フラップ33Aの内側の面にフラップ31A,32Aが接着される。
【0034】
フラップ31A〜33Aの縦方向の高さはほぼ等しいが、上述したフラップ21A〜23Aよりも短くなっている。そのため、閉状態において半端面部30A及び30Bが合わさった端面部4の中央には、図1に示すように矩形の開口が形成される。この開口は、内部の収容物を視認するために使用される。
【0035】
半胴体部10B、半端面部20B及び半端面部30Bについては、上述した半胴体部10A、半端面部20A及び半端面部30Aの説明における「A」を「B」に読み替えれば良いので、詳細な説明は割愛する。
【0036】
次に、図4〜図7を参照して、包装用箱2の製造方法を説明する。
図4〜図7は、図1,図2に示す包装用箱2の製函・封緘システムの一例を示す図である。図4は製函装置の正面中央縦断面図であり、図5は製函装置の平面図であり、図6は製函装置の正面図である。また、図7は、製函装置と封緘装置を含むシステム全体の構成例を示す平面図である。
雄型81L,81Rは、本発明における雄型の一例である。
雌型82L,82Rは、本発明における雌型の一例である。
円盤状の板体85L,85Rは、本発明における板体の一例である。
【0037】
図4〜図6に示す製函装置は、図3に示す組立前のシート状のブランクを供給するブランク供給部71と、ブランク供給部71から供給されたブランクを移送するとともに一部のフラップの折り曲げと接着剤の塗布を行うブランク移送部73と、ブランク移送部73によって移送されたブランクを挟み込んで各折り目線を折る雄型81L,81R及び雌型82L,82Rと、ブランクを折って形成された包装用箱2を包装作業用の作業台92へ運ぶベルトコンベヤ91とを有する。
【0038】
ブランク供給部71には、多数のシート状のブランクが重ねて収容されている。ブランクは、ブランク供給部71によって1枚ずつブランク移送部73に供給される。ブランクは、ブランク移送部73において、包装用箱2の内側となる面を上に向けた状態で移送される。
【0039】
この移送の途中、ブランクは、ブランク移送部73に設けられた折り曲げ装置によって、フラップ21A,22A,21B,22B,31A,32A、31B,32Bが上方に折り曲げられる。これらのフラップは、包装用箱2の内側に位置するものである。
【0040】
また、ブランクは、ブランク移送部73において移送される途中で、ブランク移送部73に設けられた接着剤の塗布装置により、フラップ23A,23B,33A,33Bの上側の面に接着剤が塗布される。これらのフラップは、包装用箱2の外側に位置するものであり、折り曲げ装置によって上側に折り曲げられたフラップと重なり合って接着される。
【0041】
ブランク移送部73によって移送されたブランクは、雄型81L,81Rと雌型82L,82Rの間に配置される。図6に示すように、ブランクの折り曲げは2対の雄型と雌型(81L及び82L,81R及び82R)によって行われる。筒状の包装用箱2の両端部に対応するブランクの両端部が、一対の雄型と雌型によってそれぞれ挟みこまれて、それぞれの部分で折り目線が折り曲げられる。ブランクの両端部が折り曲げられることにより、ブランクの中央部も折り目線に沿って折り曲げられる。
【0042】
図6に示す製函装置は、2対の雄型と雌型(81L及び82L,81R及び82R)の間隔を調節可能である。この間隔を調節することにより、同一の雄型・雌型を用いて様々な長さの包装用箱を形成できる。
【0043】
雄型と雌型(81L及び82L,81R及び82R)は、ブランクの中央折り目線41を境界とした左右の領域にそれぞれ筒状の包装用箱2の半分が形成されるように、ブランクを上下から挟み込んで各折り目線を折り曲げる。従って、ブランクが中央折り目線41に対して線対称であるように、雄型と雌型も左右対称であり、その形態は図2に示す開状態の包装用箱2に対応する。
【0044】
中央折り目線41を介して接する側面部11Aと11Bは、図2に示すように、開状態においてほぼぴったりと接触した状態になっている。そのため、雄型の中央部には、この側面部11Aと11Bに対応した細く深い溝が形成されている。雄型と雌型を上下から押し当てただけで、この溝に側面部11A,11Bを嵌入させることは困難である。
【0045】
そこで、本実施形態に係る製函装置では、ブランクの下側(雌型の側)に円盤状の薄い板体85L,85Rが設けられている。この円盤状の板体85L,85Rは、ブランクの下側から雄型81L,81Rの溝に向かってブランクの中央折り目線41に押し当てられる。中央折り目線41に下側から板体85L,85Rが押し当てられると、この状態で雄型81L,81Rが雌型82L,82Rに向かって下降する。雄型81L,81Rが下降するにつれて、図4に示すようにブランクが中央折り目線41から折り曲げられ、側面部11Aと11Bが雄型81L,81Rの溝に押し込まれていく。
【0046】
雄型81L,81Rが更に下降すると、側面折り目線(42A,42B)において各側面部が折り曲げられるとともに、端面折り目線43A,43B,44A,44Bにおいてフラップ23A,23B,33A,33Bが折り曲げられる。ここで折り曲げられたフラップ23A,23B,33A,33Bは、ブランク移送部73において先に折り曲げられたフラップ21A,22A,21B,22B,31A,32A、31B,32Bと外側から重なり、ブランク移送部73で塗布された接着剤により接着される。
【0047】
雄型と雌型(81L及び82L,81R及び82R)によってブランクが挟み込まれることにより包装用箱2が形成されると、雌型82L,82Rの底部が開き、包装用箱2がベルトコンベヤ91の上に落ちる。このとき、中央折り目線41に押し当てられていた円盤状の板体85L,85Rは、包装用箱2の下側から離れた位置に動かされる。
【0048】
板体85L,85Rは、例えば図6に示すように、L字状のリンク86L,86Rの一端に回転可能に取り付けられている。L字状のリンク86L,86Rの他端は、それぞれ支点87L,87Rによって回転可能に支えられている。雌型82L,82Rの底部から包装用箱2が取り出される場合、L字状のリンク86L,86Rが支点87L,87Rにおいて回動することにより、円盤状の板体85L,85Rがこの取り出し口から離れた位置に動かされる。
【0049】
ベルトコンベヤ91の上に落ちた包装用箱2は、作業台92まで運ばれ、そこで作業者によって被包装物が包装用箱2の中に収容される。このとき、包装用箱2は全開の状態(図2)になっているため、包装作業をスムーズに行うことができる。
【0050】
被包装物が収容されて閉じられた包装用箱2は、ローラが敷設された作業台92の上を滑って、封緘機101に送られる。封緘機101では、半胴体部10Aの側面部12Aの縁と半胴体部10Bの側面部12Bの縁とが接触する平らな面にテープ等が貼着される。封緘機101によって封緘された包装用箱2は、ローラが敷設された送り台102,103の上を滑って、運び出し作業等が行われる別のステーションに運ばれる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る包装用箱2では、断面8角形の筒状の胴体部5をなす2つの半胴体部10A,10Bが、8角形の辺E1を通る中央折り目線41において開閉自在に接続しており、これらが閉じた状態にあるとき、8角形の辺E1と対向する辺E2において半胴体部10A,10Bの側縁が当接する。そのため、半胴体部10A,10Bを封緘する場合には、半胴体部10A,10Bの側縁同士が接触する8角形の辺E2の平らな面をテープ等で止めればよいため、多角形の角でテープ止めが必要な従来の包装用箱に比べて容易に封緘を行うことが可能であり、簡易な構成の封緘機で自動的に封緘を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態に係る包装用箱2によれば、一方の半胴体部の上に他方の半胴体部を乗せることで閉状態(図1)となり、この半胴体部を下におろすことで開状態(図2)となるので、閉状態,開状態が比較的安定に保たれる。従って、図1に示すような全開の状態を保つために作業者が手で蓋を押さえる必要がなく、包装作業が非常に容易になる。閉状態を保つ場合も蓋を押さえる等の動作が不要になるため、より簡易な構成の封緘機で自動的に封緘を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態に係る包装用箱2によれば、矩形の板状部材(段ボール等)の一部分が切り抜かれた形態のブランクを折り曲げることによって胴体部5および端面部4,6が形成される。胴体部5の側面部12A,12Bの側縁が、この矩形の板状部材において対向する一対の側縁によって構成され、端面部4,6の各フラップ(21A〜23A,31A〜33A,21B〜23B,31B〜33B)の側縁が、矩形の板状部材において対向する他の一対の側縁によって構成される。従って、図3に示すように、包装用箱2を形成するためのブランクは、矩形の板状部材のごく僅かな部分を切り取ることによって製作可能であり、材料の無駄が非常に少なくなるため、材料のコストを削減できるとともに、資源を節約することによって環境への負荷を低減できる。
【0054】
また、本実施形態に係る包装用箱2によれば、断面を8角形にすることによって、断面が4角形の一般的な箱に比べて収容空間の無駄なスペースが小さくなるため、同一サイズの物を収容するために必要なブランクの面積を減少させることができる。従って、材料のコストを削減できるとともに、より一層環境負荷の低減を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る包装用箱2によれば、断面を8角形にすることによって、断面が4角形の一般的な箱に比べて長手方向の圧力に対する強度を高めることができる。本願出願人が検証したところでは、2倍を超える強度の向上が確認されている。これにより、材質のランクを落としても必要な強度を確保することが可能になるため、材料コストの削減を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る包装用箱2によれば、断面を8角形にすることによって、一般的な断面4角形の箱に比べて外観の印象を向上できる。
【0057】
また、本実施形態に係る包装用箱2の製造方法を用いることによって、包装用箱2を製函装置により自動的に組み立てることが可能になるため、材料となるブランクを平らなシートの状態で重ねて保管可能であり、保管場所のスペースを節約できる。
【0058】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の種々のバリエーションを含んでいる。
【0059】
上述した実施形態では、ブランクの移送途中で予めフラップ(21A,22A,21B,22B,31A,32A、31B,32B)を折り曲げる例が挙げられているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、雄型と雌型の間にブランクを挟み込む途中で、ガイド板などを用いて、これらのフラップが先に折れ曲がるようにしてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、後に折り曲げられるフラップ(23A,23B,33A,33B)に接着材を塗布する例が挙げられているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、先に折り曲げられるフラップ(21A,22A,21B,22B,31A,32A、31B,32B)に接着材を塗布してもよいし、両方のフラップに接着剤を塗布してもよい。
【符号の説明】
【0061】
2…包装用箱、4,6…端面部、5…胴体部、10A,10B…半胴体部、20A,20B,30A,30B…半端面部、11A〜15A,11B〜15B…側面部、21A〜23A,21B〜23B,31A〜33A,31B〜33B…フラップ、41…中央折り目線、42A,42B…側面折り目線、43A,43B,44A,44B…端面折り目線、71…ブランク供給部、73…ブランク移送部、81L,81R…雄型、82L,82R…雌型、85L,85R…円盤状の板体、86L,86R…リンク、87L,87R…支点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を内部に収容能な断面8角形の筒状の胴体部と、
前記胴体部の両端の開口を塞ぐ2つの端面部と、
を有し、
前記胴体部は、前記8角形の第1の辺を通る中央折り目線において開閉自在に接続し、閉じた状態のときには、前記第1の辺と対向する前記8角形の第2の辺において互いの側縁が当接する2つの半胴体部を含み、
前記端面部は、前記8角形の前記第1の辺と前記第2の辺とを通る直線において2つの半端面部に分かれており、前記2つの半端面部がそれぞれ別の前記半胴体部の端に接続する、
包装用箱。
【請求項2】
前記半胴体部は、
前記8角形の前記第1の辺の一部を形成し、前記中央折り目線に接する第1側面部と、
前記8角形の前記第2の辺の一部を形成し、前記中央折り目線と平行な側縁を有する第2側面部と、
前記第1側面部と前記第2側面部との間に連設され、前記中央折り目線と平行な側面折り目線において区分される3つの第3側面部と、
を含む、
請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記半端面部は、
前記中央折り目線に対して垂直な第1端面折り目線において前記第1側面部に接続した第1フラップと、
前記側面折り目線に対して垂直な第2端面折り目線において前記第2端面部に接続した第2フラップと、
前記側面折り目線に対して垂直な第3端面折り目線において中央の前記第3側面部に接続した第3フラップと、
を含む、
請求項2に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記胴体部および前記2つの端面部は、矩形の板状部材の一部が切り抜かれたブランクを折り曲げて形成されており、
前記矩形の板状部材において対向する一対の側縁が、前記2つの半胴体部における前記第2側面部の側縁を構成し、
前記矩形の板状部材において対向する他の一対の側縁が、前記第1フラップ、前記第2フラップ並びに前記第3フラップの各側縁を構成する、
請求項3に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記第3フラップの内側の面に前記第1フラップ及び前記第2フラップが接着される、
請求項3又は4に記載の包装用箱。
【請求項6】
中央の折り目線の左右に形成された2つの部分の各々が、前記中央折り目線と平行な側面折り目線を介して連設された5つの矩形の側面部を含むブランクを用いて、断面8角形の筒状の胴体を有する包装用箱を製造する方法であって、
前記2つの部分の各々に前記筒状の胴体の半分が形成されるように前記中央折り目線及び前記側面折り目線において前記ブランクを折る雄型と雌型の間に、前記ブランクを配置する工程と、
前記中央折り目線を介して接した2つの側面部に対応する前記雄型の溝部に当該2つの側面部が嵌入するように、前記雌型の側から前記溝部に向かって前記ブランクの前記中央折り目線に板体を押し当てる工程と、
前記中央折り目線に前記板体を押し当てた状態で、前記雄型と前記雌型の間に前記ブランクを挟み込む工程と、
を有する包装用箱の製造方法。
【請求項7】
前記雄型と前記雌型の間に挟まれた前記ブランクから前記板体を離し、前記雌型の底部を開いて折り曲げ加工済の前記ブランクを取りだす工程を有する、
請求項6に記載の包装用箱の製造方法。
【請求項8】
前記5つの側面部のうち、前記中央折り目線に接する第1側面部、端部に位置する第2側面部、及び、中央に位置する第3側面部の各端部には、前記側面折り目線と垂直な端面折り目線を介してフラップが連設されており、
前記ブランクを前記雄型と前記雌型の間に挟み込む前記工程の前に、
前記第1側面部及び前記第2側面部に連設された前記フラップ、及び/又は、前記第3側面部に連設された前記フラップに接着剤を塗布する工程と、
前記第1側面部及び前記第2側面部に連設された前記フラップを前記筒状の胴体の内側方向に向かって折る工程と、
を有し、
前記雄型と前記雌型の間に前記ブランクを挟み込む前記工程では、前記第1側面部及び前記第2側面部に連設された前記フラップが前記筒状の胴体の内側に位置し、前記第3側面部に連設された前記フラップが前記筒状の胴体の外側に位置した状態で、前記雄型と前記雌型の間にこれらのフラップを挟み込む、
請求項6又は7に記載の包装用箱の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−23233(P2013−23233A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157190(P2011−157190)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】