説明

包装用箱

【課題】カバンタイプの包装用箱において、開封動作に伴って確実に開口部が形成される構成を提供する。
【解決手段】包装用箱10の前壁11は、その上端近傍領域において、破断線23で区画された破取可能な開封片20を備えるとともに、開閉フラップ30は、その内面において開封片20に接着されている。破断線23の下端部23aは、前壁を覆う開閉フラップ30の下端部30aよりも下方位置にまで延在して、「破断線の下端部23a」と「開閉フラップの下端部30a」で囲まれた押破り領域25が外部から視認可能に前壁11上に露出する。消費者は、押破り領域25を親指で押し破るとともに、開封片20および開閉フラップ30の両方を一体に摘んで開封する。このため、開封動作を行ったときに、内容物の取出用開口が間違いなく形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子等を収容して販売される包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の包装用箱として、従来、箱の上端近傍に開封用ジッパを設け、開封時にはこのジッパを破り捨てるものが知られていた。しかしながら、破り捨てられるジッパがゴミとなることや、一旦開封した箱のリクローズ性(再封止性)が良くないという問題がある。
【0003】
一方、特許文献1には、対向する前壁と後壁を含み、後壁の上端縁に連設された開閉フラップが前壁を上端側から部分的に覆うように延在してなるカバンタイプの包装用箱が開示されている。このようなカバンタイプの包装用箱では、ゴミとして捨てられるジッパもなく、リクローズ性も良好であるが、次のような問題が残る。
【0004】
この箱は、消費者が「摘み片(開閉フラップ)」を摘み上げた際に、当該「摘み片」の裏側に接着された「開口片」が「摘み片」と一緒に破断され、これにより内容物の取出開口が現れる構成となっている。消費者が摘むのは「摘み片」だけであり、摘み上げ動作に伴って、「摘み片」に接着された「開口片」が付随的に破り取られるのである。
このような構成においては、「摘み片」と「開口片」の接着強度が十分でない場合に、消費者が「摘み片」を摘み上げても「開口片」がこれに追従せず、結局、開封されない(開口部が現れない)ということが起こりうる。
【0005】
【特許文献1】特開平9-48427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の事情に鑑み、本発明の目的は、上記カバンタイプの包装用箱において、開封動作に伴って確実に開口部が形成される構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装用箱は、対向する前壁と後壁を含み、後壁の上端縁に連設された開閉フラップが前壁を上端側から部分的に覆うように延在してなる。
前壁は、その上端近傍領域において、破断線で区画された破取可能な開封片を備えるとともに、開閉フラップは、その内面において開封片に接着されている。
開封片を区画する破断線の下端部は、前壁を覆う開閉フラップの下端部よりも下方位置にまで延在して、「破断線の下端部」と「開閉フラップの下端部」で囲まれた押破り領域が外部から視認可能に前壁上に露出している。
この包装用箱は、押破り領域を指で押し破るとともに、開封片および開閉フラップを一体に摘んで開封する。
【発明の効果】
【0008】
上記構成を有する本発明の包装用箱においては、開封の際に消費者が押し破る「押破り領域」は、「破断線の下端部」と「開閉フラップの下端部」で囲まれた状態で外部から視認可能に前壁上に露出している。
したがって、特別な開封動作説明が箱体上に表示されていなかったとしても、包装用箱の前壁を見ただけで消費者は、「そこに親指を押し込んで開封すればよい」ということを自ずと悟る(いわゆるアホーダンス特性)。
しかも、「押破り領域」に押し込んだ親指は、人差し指と共に、必ず「開封片」および「開閉フラップ」を一体に摘むこととなるので、開封動作を行ったときに、内容物の取出用開口が間違いなく形成されることとなる。
【0009】
また、開封片を区画する破断線は、開封動作後の開口面積を規定することとなるが、本発明では、当該破断線が開閉フラップの下端部よりも下方位置にまで延在するので、その結果、開口面積も必然的に大きくなり、内容物を取り出し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る包装用箱10を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図1(a)は組立前の包装用箱10を、図1(b)は組立後を示す斜視図である。
【0011】
≪包装用箱10の全体構成≫
包装用箱10は、代表的には1枚のブランクから組み立てることができる。図示の例では、最終的に、開閉フラップ30が、その内面において、開封片20に(あるいは、その周辺の前壁11にも)接着されて、対向する前壁11と後壁12を含む略六面体形状の箱体を構成する(図1b)。
【0012】
後壁12の上端縁には、折罫“A”を介して、開閉フラップ30が連設されている。開閉フラップ30は、箱体の天面を構成する天面部分31と、前壁11に沿って延在する前方部分32とで構成され、両者31、32が折罫“B”を介して連設されている。
包装用箱を組み立てた状態(図1b)においては、開閉フラップ30が、前壁11を上端側から部分的に覆うように延在する。
【0013】
前壁11は、その上端近傍領域に開封片20を有する。開封片20は、破断線23で区画されていて、詳しくは後述するように、前壁11から破り取ることができる。図示の例では、開封片20は、箱体の前面に位置する破取り部分21と、組立後において開閉フラップ30の天面部分31の内側に位置する上方フラップ22とで構成され、両者21、22が折罫“C”を介して連設されている。
【0014】
≪押破り領域25≫
図1(b)において、包装用箱10の前壁11の中央部やや上方寄りの位置に、押破り領域25が視認できる。押破り領域25は、包装用箱10を開封する際に消費者が、指でこれを押し破る領域である。
図1(b)において、「開封片20を区画する破断線の下端部23a」は、「前壁11を部分的に覆う開閉フラップの下端部30a」よりも下方位置にまで延在している。その結果、「破断線の下端部23a」と「開閉フラップの下端部30a」で囲まれた押破り領域25が形成され、これが外部から視認可能に前壁11上に露出する。
図2は、開封動作の一例を示す斜視図である。消費者は、押破り領域25を親指で押し破るとともに(図2a)、この親指と人差し指で、開封片20および開閉フラップ30を一体に摘んで、上方へ破り開けることで、包装用箱10を開封することができる(図2b)。
【0015】
以上の構成では、消費者が開封動作を行うと、開閉フラップ30だけでなく、その下方に位置する開封片20も一緒に摘まれ、両者が一体に破り開けられるので、確実に開口部を設けることができる。
すなわち、特許文献1に示した従来例においては、開閉フラップ30だけを摘んで破り開ける構成であるため、接着強度が不十分であったり、接着位置が不適正な場合に、開封片20が前壁11に残ってしまう(開口が形成されない)とか、適正な開口が形成されない等の不都合があったが、本発明では、そのような不都合は起こり得ない。
【0016】
また、図1(b)によく示されている通り、押破り領域25は、「破断線の下端部23a」と「開閉フラップの下端部30a」で囲まれた状態で、前壁11上に露出しているので、特別な開封動作説明が箱体上に表示されていなかったとしても、前壁11を見ただけで消費者は、「そこに親指を押し込んで開封すればよい」ということを自ずと悟る(いわゆるアホーダンス特性)。
【0017】
さらには、「破断線の下端部23a」が「開閉フラップの下端部30a」を超えて下方へ延在しているため、必然的に、開封後における開口面積が大きくなる。すなわち、開封片20を区画する破断線23は、開封動作後の開口面積を規定することとなるが、当該破断線23が開閉フラップの下端部30aよりも下方位置にまで延在するので、その分だけ開口面積も大きくなり、内容物を取り出し易くなるというメリットが生まれる。
【0018】
≪親指に痛みを与えない押破り領域の形状≫
押破り領域25の具体的な輪郭形状は、図示の例に限定されない。ただし、図示の例では、押し破る際に消費者の親指に優しい形状を採用している。
すなわち、開閉フラップ30が前壁11を覆った状態において、当該フラップの下端部30aが上方へ向かって凹む湾曲凹状としている(図1b)。親指の腹に沿う湾曲形状を採用することで、押し破り動作を行う親指に痛み等を与えることがない。
【0019】
≪内容物を保護するための構成≫
開封片20には、破取り部分21の先端近傍位置(図1a中、下方端部側)に折罫24が形成されている。図1(b)に示したように、折罫24は、開閉フラップ30の湾曲凹状の下端部30aの底付近を横方向に延在している。
破り開ける際、開封片20は、折罫24において、先端がほぼ直角に折れ曲がって、前壁11の内面から箱内部に向かって突出する(図3b)。図3では、この折れ曲がった先端部を“T”で表し、その高さも“T”とする。この高さ“T”は、折罫24から開封片の下端部23aまでの距離に等しい。
【0020】
本発明では、このように直角に突出する先端部“T”が内容物50を後壁12に圧接することのないサイズに制限しておく。例えば、図3(b)に示した例では、内容物50は、細長い棒状のスティック菓子を収容した袋体を示している。先端部“T”があまりに高いと、これによって、スティック菓子が後壁12に押し付けられて、スティック菓子が破壊されることもある。
【0021】
本発明では、高さ“T”の寸法を制限することで、これを防止している。高さ“T”の具体的な値は、箱体の寸法や、内容物の種類、量等に応じて、個別に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用箱の組立図。
【図2】図1の包装用箱の開封動作を説明する図。
【図3】図1の包装用箱において、内容物が破壊されるのを防止する構造を説明する図。
【符号の説明】
【0023】
10 包装用箱
11 前壁
12 後壁
20 開封片
21 破取り部分
22 上方フラップ
23 破断線
23a 破断線の下端部
24 折罫
25 押破り領域
30 開閉フラップ
30a 開閉フラップの下端部
31 天面部分(開閉フラップ)
32 前方部分(開閉フラップ)
50 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する前壁(11)と後壁(12)を含み、後壁(12)の上端縁に連設された開閉フラップ(30)が前壁(10)を上端側から部分的に覆うように延在してなる包装用箱であって、
前壁(11)は、その上端近傍領域において、破断線(23)で区画された破取可能な開封片(20)を備えるとともに、開閉フラップ(30)は、その内面において開封片(20)に接着され、
開封片(20)を区画する破断線の下端部(23a)は、前壁を覆う開閉フラップの下端部(30a)よりも下方位置にまで延在して、破断線の下端部(23a)と開閉フラップの下端部(30a)で囲まれた押破り領域(25)が外部から視認可能に前壁(11)上に露出し、
押破り領域(25)を指で押し破るとともに、開封片(20)および開閉フラップ(30)を一体に摘んで開封するよう構成したことを特徴とする、包装用箱。
【請求項2】
上記前壁を覆う開閉フラップの下端部(30a)は、上方へ向かって凹む湾曲凹状に構成されていることを特徴とする、請求項1記載の包装用箱。
【請求項3】
上記開封片(20)には、開閉フラップの湾曲凹状の下端部(30a)の底付近を横方向に延在する折罫(24)が形成されており、当該折罫(24)から開封片の下端部(23a)までの距離は、
折罫(24)において開封片(20)を直角に折り曲げた時に、開封片(20)の下端部(20a)が内容物(50)を後壁(12)に圧接することのない長さに制限されていることを特徴とする、請求項2記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−23852(P2010−23852A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184906(P2008−184906)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000000228)江崎グリコ株式会社 (187)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】