説明

包装用箱

【課題】物品を収納した包装用箱をフックで吊下げるとき、物品の重量が大きい場合でも、上蓋フラップが開いたり、膨れ上がったりすることがなく、箱体が垂直状態に整然と吊下げられるようにした包装用箱を提供する。
【解決手段】上蓋片を折り込むことによって箱体1の天面6を閉塞した状態で、該上蓋片の上方に左右の内フラップ23a、23bを折込み、この左右の内フラップの上部に上蓋フラップ25を折込んで被せた状態で差込係止片27を案内スリット28に差し込むと共に、第2の吊下片33を立ち上げてなる切開部39に第1の吊下片36を立ち上げて挿通することにより、第1の吊下片と第2の吊下片とを合致し、両方の吊下片に形成された吊下穴34を合致した状態でフックFに挿入可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商店等において、物品を収納した箱体をフックに吊下げた状態で陳列するようにした包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品を包装用箱に収納して店頭に出品する際、包装用箱の上部に吊下片を設け、この吊下片に形成した吊下穴にフックを挿通した状態で陳列することが行われている。
【0003】
上記のようにフックに吊下げた状態で陳列をするようにした従来の包装箱の例として、特許文献1を参照する。この文献に記載されている包装用容器は、箱体の上蓋フラップに切取線で形成された係合体が設けられ、この係合体を切取線で切り取って立ち上げると、係合体は背板の面に沿って延長上に突出する構成とされている。
【0004】
また、係合体には円形切取線で形成された穴が形成され、この穴にフックを挿通することによって、箱体を吊り下げることが可能とされている。
【0005】
ところで、上記の構成において、フックで吊下げられる係合体は、背板の面の延長上に突出しているため、箱体に重量の大きい物品を収納した場合であっても、係合体を引張る力は箱体の背板に作用し、上蓋フラップを開くような力が作用することはない。
【0006】
ところが、上記の箱体の構造において、係合体は背板の面の延長上に突出しているため、これをフックで吊下げた状態にすると、箱体の前面が斜め下方を向き、商品の表示面が隠れてしまい、陳列状態が綺麗な状態に整わないという不都合があった。
【0007】
これに対して、フックで吊下げた箱体が垂直状態となるように陳列するには、上記の文献の構造で云えば、フックを吊下げる係合片が上蓋フラップの中央から突出した構造とするのが望ましい。しかしながら、係合片が上蓋フラップの中央から突出した構造にすると、箱体に重量の大きな物品を収納した際、上蓋フラップが開いてしまうか、上蓋フラップをシール等で閉塞している場合でも、上蓋フラップの中央が膨れ上がった状態となって、見栄えが悪くなるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−160334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、物品を収納した包装用箱をフックで吊下げるとき、物品の重量が大きい場合でも、上蓋フラップが開いたり、膨れ上がったりすることがなく、箱体が垂直状態に整然と吊下げられるようにした包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明における請求項1の包装用箱は、箱体の周部を構成する正面と背面と左右の側面と、開閉可能な天面と、閉塞可能な底面とを備えた包装用箱において、箱体の正面の上縁に沿う折曲線を介して折り曲げることにより箱体の天面を閉塞する上蓋片と、該上蓋片に折曲線を介して延長された上蓋差込片と、左右の側面の上縁に折曲線を介して延長された左右の内フラップと、箱体の背面の上縁に沿って切離しを可能とするように形成された切離折曲線を介して折り曲げることにより箱体の天面を閉塞する上蓋フラップと、該上蓋フラップの先端に沿う折曲線を介して延長された所定幅の差込係止片とを有し、該差込係止片を差し込み可能に切開された所定幅の案内スリットが箱体の正面の上縁に沿って形成されると共に、上蓋片の面内に形成された所定長さの折曲線の両端から案内スリットに到るまで切込線で切り込まれた第1の吊下片が折曲線で折り曲げられることによって立上げ可能に形成される一方、上蓋フラップの面内に形成された所定長さの折曲線の両端から切離折曲線に至るまで切込線で切り込まれてなる第2の吊下片が折曲線で折り曲げられることによって立上げ可能に形成され、上蓋片を折り込むことによって箱体の天面を閉塞した状態で、該上蓋片の上方に左右の内フラップを折込み、この左右の内フラップの上部に上蓋フラップを折込んで被せた状態で差込係止片を案内スリットに差し込むと共に、第2の吊下片を立ち上げてなる切開部に第1の吊下片を立ち上げて挿通することにより、第1の吊下片と第2の吊下片とを合致し、両方の吊下片に形成された吊下穴を合致した状態でフックに挿入可能としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2の包装用箱は、請求項1において、差込係止片と上蓋フラップとの境界をなす折曲線の両端には互いに内側へ切込まれた切込溝が形成されると共に、各切込溝の上部に差込係止片の両端を突出してなる爪部が形成され、
箱体の正面の上縁に沿う中央部において差込係止片を差し込み可能に切開された所定幅の案内スリットの両端が下方斜め方向へ切開された拡開傾斜部を有すると共に、左右の拡開傾斜部の上部に左右の係止突起が形成され、差込係止片を案内スリットに差し込んだとき、該差込係止片の両端の爪部が案内スリットの各拡径傾斜部の上部に形成された夫々の係止突起に係止されることによって上蓋フラップを閉止するようにしたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の請求項3の包装用箱は、請求項1又は2において、上蓋フラップと背面の境界をなす切離折曲線の略中央に沿って背面の上部に所定幅を有する押込片がミシン目状の切離線によって形成され、箱体の天面を上蓋片で閉塞すると共に該上蓋片の上方が上蓋フラップで閉塞された状態で、押込片が上蓋差込片に接着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装用箱において、箱体を組み立てるには、底面を閉塞した後、まず、上蓋片を箱体の天面を閉塞する側へ折り込んだ状態にして、該上蓋片の上方に左右の内フラップを折込み、さらに左右の内フラップの上部に上蓋フラップを折込んで被せた状態で差込係止片を案内スリットに差し込む。また、このとき、第1の吊下片と第2の吊下片を同時に立ち上げて合致することによって、第1の吊下片と第2の吊下片に形成された吊下穴を合致させた状態にする。
【0014】
このような構成においては、左右の内フラップが上蓋片の上方に存在するが、これらの左右の内フラップはその上に折込まれた上蓋フラップで被された状態となるため、外観的にも綺麗な状態となる。また、上蓋フラップによって押え込まれた左右の内フラップが、上蓋片を押さ込む構造となり、合致した第1の吊下片と第2の吊下片を上方に引上げた場合、上蓋片や上蓋フラップが開いたり、上蓋片や上蓋フラップの中央が膨れ上がったりすることがなく、綺麗な吊下状態を維持することが可能となる。
【0015】
さらに、上記の構成において、第1の吊下片と第2の吊下片の吊下穴にフックを挿入すると、第1の吊下片と第2の吊下片は上蓋片又は上蓋フラップの面内の中央に設けられているため、箱体を垂直状態で吊下げておくことが可能となる。また、箱体は収容物等の重量で下方へ引っ張られるが、第1の吊下片と第2の吊下片の双方の吊下穴が合致した状態でフックに吊下げられた状態にあるため、第1の吊下片と第2の吊下片とはズレの生じない合致状態をたもつことが可能となる。
【0016】
また、本発明において、箱体の天面を封緘した上蓋片の上方に左右の内フラップを折込んだ状態で、その上に上蓋フラップを被せるようにして差込係止片を案内スリットに差し込んだとき、この差込係止片の両端の爪部が案内スリットの各拡径傾斜部の上部の係止突起に係止された状態で、上蓋フラップを閉止状態にすることができる。
【0017】
さらに、本発明による包装用箱において、箱体を組み立てた後に、押込片を押し込むことによって、その押圧力で押込片の周囲の切離線が切断される。そして、押込片をさらに押し上げることにより、上蓋フラップと背面とを繋いでいる切離折曲線が切断され、上蓋フラップが背面から離脱し、この上蓋フラップと上蓋片とが共に持ち上げられることにより、箱体の天面を開放状態とすることができる。
【0018】
さらに、上記のように背面から離脱された上蓋フラップの爪部を係止突起の係止状態から解除すると、上蓋フラップが自由になって案内スリットから取り出すことが可能となる。このようにして上蓋フラップを取り出すと、箱体の天面は上蓋片のみで閉塞された状態となる。この箱体の天面を閉塞している上蓋片は、上記のようにその先端に折曲線を介して上蓋差込片を有する。従って、内フラップを先に天面側に折込んだ状態で、上蓋片を箱体の天面側に折込むことにより、箱体を再封緘することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の包装用箱に係る箱体の展開図である。
【図2】本発明の包装用箱に係る箱体の底面図である。
【図3】本発明の包装用箱に係る箱体の組立て斜視図であり、(a)は天面を開放した状態、(b)は箱体の天面を上蓋片で閉塞した状態を示す。
【図4】本発明の包装用箱に係る箱体の組立て斜視図であり、(a)は天面を閉塞した上蓋片の上部に左右の内フラップを折込んだ状態、(b)は上蓋片の第1の吊下片を立ち上げた状態を示す。
【図5】本発明の包装用箱に係る箱体の組立て斜視図であり、(a)は上蓋フラップの第2の吊下片を立ち上げた開口部に上蓋片の第1の吊下片を立ち上げて挿通することにより、第1の吊下片と第2の吊下片を合致した状態、(b)は第1の吊下片と第2の吊下片とに形成された吊下穴にフックを挿通した状態を示す。
【図6】本発明の包装用箱に係る箱体の組立て後の斜視図であり、(a)は押込片を指で押し込んでいる状態、(b)は押込片を押し込むことによって該押込片を背面から切離し、上蓋フラップと上蓋片と共に持ち上げて箱体の天面を開放状態にしている状態、(c)は上蓋フラップを案内係止片から取り外している状態、(d)は上蓋片で箱体の天面を閉塞した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0021】
本実施例の包装用箱は、図1の展開形状に示すように、箱体1の周部には、正面2と背面3と右側面4と左側面5とから形成され、背面3の側部に糊代側片8が形成されている。この糊代側片8を含む正面2と背面3と右側面4と左側面5は夫々の境界に折曲線9、9…を形成してあり、各折曲線9、9…で折り曲げると共に、糊代側片8を右側面4の側部に接着することにより、図3(a)に示すような横断面矩形の箱体1が形成される。
【0022】
また、箱体1の底面7の構造としては、図1の展開形状に示すように、正面2と背面3の夫々の下方に折曲線11、11…を介して左右同形状の底蓋片12a、12bが形成されている。各底蓋片12a、12bには、図2に示すように箱体1の底面7を略半分ごとに仕切る仕切線13a、13bが設けられ、底面の略中央にて各仕切線13a、13bから外側へ突出した角部14a、14bを介して斜め辺10a、10bを経て幅広部15a、15bが形成されている。
【0023】
また、両方の底蓋片12a、12bには、夫々の仕切線13a、13bの略中央と夫々の折曲線11、11の端部とを結ぶ線に折曲可能線16a、16bを形成してあり、この折曲可能線16a、16bから外方に形成された部位は側部を少し切除して糊代底片17a、17bとして形成している。
【0024】
さらに、図1に示すように、箱体1の右側面4と左側面5の夫々の下方には折曲線11、11を介して底蓋側片18a、18bが形成されている。
【0025】
上記の構成により、図2に示すように、箱体1の底面7は、箱体1の右側面4側と左側面5側の夫々の底蓋側片18a、18bと、箱体1の正面2側と背面3側の夫々の底蓋片12a、12bとを、各折曲線11、11…で底面7の内側へ折り曲げ、夫々の角部14a、14b同士を接合した状態で各幅広部15a、15bを対接する仕切線13a、13bの下方側へ敷いた状態にする。また、各糊代底片17a、17bを対接する底蓋側片18a、18bに糊剤等で接着すると、図2に示す底面7の構成となる。
【0026】
このような箱体1の底面7の構造によれば、夫々の底蓋片12a、12bを矢印で示す左右互い違いの方向へ移動するように箱体1を潰すと、夫々の角部14a、14bが離間すると共に、夫々の折曲可能線16a、16bで折曲される。さらに、各底蓋片12a、12bと各底蓋側片18a、18bとが内側へ折り込まれて、箱体1の正面2と背面3が平状に潰れた状態となる。このように、箱体1を潰した状態にすると、箱体1の収納、保管及び運搬を省スペースで行うことが可能となる。また、上記のように潰した箱体1の底面7を矩形に展開すると、夫々の角部14a、14b同士が係止された状態で、底面7を矩形の形状に保つことができる。
【0027】
次いで、本実施例の箱体1の天面6側の構成について述べる。図1に示すように、箱体1の正面2の上方に折曲線19を介して延長された矩形の上蓋片20と該上蓋片20に折曲線22を介して延長された上蓋差込片21とが形成されている。なお、上蓋差込片21の両端部は差込み作業を行い易くするため、湾曲形状に形成されている。また、箱体1の右側面4と左側面5の夫々の上方には、折曲線19、19を介して内フラップ23a、23bが折曲げ自在に形成されている。
【0028】
一方、図1において、箱体1の背面3の上方に、ミシン目等によって切離し可能に形成された切離折曲線24を介して上方へ延長された上蓋フラップ25と該上蓋フラップ25に折曲線26を介して延長された差込係止片27とが設けられている。この差込係止片27には上蓋フラップ25との境界をなす折曲線26の両端に互いに内側方向へ切込まれた切込溝35a、35bが形成されると共に、各切込溝35a、35bの上部に差込係止片27の両端を突出してなる爪部27a、27bが形成されている。
【0029】
また、箱体1の背面3の上部には切離折曲線24の略中央に所定幅で連設されてなる押込片30がミシン目等による切離線31によって切離し可能に設けられている。
【0030】
さらに、図1に示すように、箱体1の正面2の上縁における中央部には、上蓋フラップ25の差込係止片27を略同幅で差し込み可能にした案内スリット28が切開されると共に、該案内スリット28の両端には下方へ傾斜状に拡開された各端部が湾曲形状を有する拡開傾斜部29a、29bが形成されている。
【0031】
また、上蓋片20の面内の略中央に形成された所定長さの折曲線37の両端から案内スリット28に到るまで、左右の切込線36a、36bで切り込まれた第1の吊下片36が形成されている。なお、左右の切込線36a、36bは案内スリット28に向けて幅を縮小するように互いに傾斜状に形成され、これによって第1の吊下片36が台形のような形状となるように形成されている。
【0032】
また、この第1の吊下片36の略中央には吊下穴38が形成されている。さらに、この第1の吊下片36は、図4(b)に示すように、折曲線37で折り曲げられることによって立上げ可能とされている。
【0033】
一方、上蓋フラップ25の面内に形成された所定長さの折曲線32の両端から切離折曲線24に至るまで、左右の切込線33a、33bで切り込まれてなる第2の吊下片33が形成されている。
【0034】
なお、この構成においても、左右の切込線33a、33bは切離折曲線24に向けて幅を縮小するように互いに傾斜することによって、第2の吊下片33が第1の吊下片36と同様に台形のような形状となるように形成されている。
【0035】
また、この第2の吊下片33の略中央には吊下穴34が形成されている。さらに、この第2の吊下片33もまた、図5(a)に示すように、折曲線32で折り曲げられることによって立上げ可能とされている。
【0036】
なお、上記の構成において、第1の吊下片36と第2の吊下片33とが立ち上げられたときに両者はその外形が合致するように形成されている。また、第1の吊下片36と第2の吊下片33との外形が合致したとき、両方の吊下穴34、38もまた合致する位置及び形状に形成されている。
【0037】
上記のように構成された本実施例の包装用箱の箱体1を組み立てるには、図3(a)、(b)に示すように、上蓋片20と上蓋差込片21とを夫々の折曲線19、22で折り曲げ、上蓋差込片21を箱体1の上方開口に差し込むことによって、箱体1の天面6を上蓋片20で閉塞する。
【0038】
次に、図4(a)に示すように、箱体1の天面6を閉塞した状態に折り込んだ上蓋片20の上方に左右の内フラップ23a、23bを折込んで被せる。また、このとき、図4(b)に示すように、上蓋片20第1の吊下片36を立ち上げる一方、上蓋フラップ25の第2の吊下片33を立ち上げる方向へ折り曲げると、この第2の吊下片33の立ち上がった跡には切開部39が形成される。
【0039】
次いで、上記のように上蓋片20の上方に被せた内フラップ23a、23bの上部に上蓋フラップ25を折込んで被せると共に、上蓋片20から立ち上げた第1の吊下片36を上蓋フラップ25の切開部39を挿通して、第1の吊下片36を第2の吊下片33に合致させる。このような構成において、左右の内フラップ23a、23bは上蓋片20の上方に存在するが、左右の内フラップ23a、23bが最上に折り曲げられた上蓋フラップ25で被された状態となるため、外観的にも綺麗な状態となる。
【0040】
さらに、図5(a)に示すように、上記の上蓋フラップ25の差込係止片27を案内スリット28に差し込むと、差込係止片27の両端の爪部27a、27bが案内スリット28の各拡径傾斜部29a、29bの上部に形成された夫々の係止突起30a、30bに係止される。これによって上蓋フラップ25を閉止した状態にすることができる。
【0041】
そして、上記のように上蓋フラップ25を閉じた状態にすると、図5(b)に示すように、第1の吊下片36と第2の吊下片33とが合致する。また、両方の吊下片に形成された吊下穴38、34が合致し、この吊下穴38、34を商店等に設けられた陳列台等のフックFに挿入することが可能となる。
【0042】
上記のように組み立てられた本実施例の包装用箱によれば、上蓋フラップ25によって押え込まれた左右の内フラップ23a、23bが、上蓋片20を押え込む構造となり、フックFで吊下げた状態であっても、また箱体1内に重量のある物品が収納された場合でも、上蓋片20や上蓋フラップ25が開いたり、上蓋片20や上蓋フラップ25の中央が膨れ上がったりすることなく、綺麗な吊下状態を維持することが可能となる。
【0043】
さらに、上記の構成によって、第1の吊下片36と第2の吊下片33の吊下穴38、34にフックFを挿入すると、第1の吊下片36と第2の吊下片33は上蓋片20又は上蓋フラップ25の面内の中央に設けられているため、箱体1を垂直状態で吊下げておくことが可能となる。また、箱体1は収納された物品等の重量で下方へ引っ張られるが、第1の吊下片36と第2の吊下片33の吊下穴38、34がフックFに吊下げられた状態で下方へ引っ張られるため、第1の吊下片36と第2の吊下片33とはズレの生じない合致状態を保つことが可能となる。
【0044】
さらに、本実施例の包装用箱に係る箱体1の使用形態について説明する。図6(a)は箱体1の押込片30を指で押し込んでいる状態を示すものである。このように押込片30を押し込むことによって、その押圧力で押込片30の周囲の切離線31が切断される。また、図6(b)に示すように、押込片30が背面3から切離された状態でさらに押し上げると、上蓋フラップ25と背面3とを繋いでいる切離折曲線24が切断されることによって、上蓋フラップ25が背面3から離脱する。次いで、この上蓋フラップ25と上蓋片20とが共に持ち上げられることによって、箱体1の天面6が開放状態となる。
【0045】
さらに、図6(c)は上蓋フラップ25を案内係止片29から取り外している状態を示すものである。上記のように背面3から離脱された上蓋フラップ25の爪部27a、27bを係止突起30a、30bの係止状態から解除すると、上蓋フラップ25が自由になって案内スリット28から取り出すことが可能となる。このようにして上蓋フラップ25を取り出すと、図6(d)に示すように、箱体1の天面6は上蓋片20のみで閉塞された状態となる。この箱体1の天面6を閉塞している上蓋片20は、上記のようにその先端に折曲線22を介して上蓋差込片21を有し、箱体1の天面6を開閉することが可能である。従って、内フラップ23a、23bを先に天面6側に折込んだ状態で、上蓋片20を箱体1の天面6側に折込むことによって再封緘をした状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の包装用箱は、物品を収納した包装用箱をフックで吊下げるとき、物品の重量が大きい場合でも、上蓋フラップが開いたり、膨れ上がったりすることがなく、箱体が垂直状態に整然と吊下げられるようにした包装用箱として利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 箱体
2 正面
3 背面
4 右側面
5 左側面
6 天面
7 底面
8 糊代側片
9 折曲線
10a、10b 斜め辺
11 折曲線
12a、12b 底蓋片
13a、13b 仕切線
14a、14b 角部
15a、15b 幅広部
16a、16b 折曲可能線
17a、17b 糊代底片
18a、18b 底蓋側片
19 折曲線
20 上蓋片
21 上蓋差込片
22 折曲線
23a、23b 内フラップ
24 切離折曲線
25 上蓋フラップ
26 折曲線
27 差込係止片
27a、27b 爪部
28 案内スリット
29a、29b 拡開傾斜部
30 押込片
30a、30b 係止突起
31 切離線
32 折曲線
33 第2の吊下片
33a、33b 切込線
34 吊下穴
35a、35b 切込溝
36 第1の吊下片
36a、36b 切込線
37 折曲線
38 吊下穴
39 切開部
F フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の周部を構成する正面と背面と左右の側面と、開閉可能な天面と、閉塞可能な底面とを備えた包装用箱において、
箱体の正面の上縁に沿う折曲線を介して折り曲げることにより箱体の天面を閉塞する上蓋片と、該上蓋片に折曲線を介して延長された上蓋差込片と、左右の側面の上縁に折曲線を介して延長された左右の内フラップと、箱体の背面の上縁に沿って切離しを可能とするように形成された切離折曲線を介して折り曲げることにより箱体の天面を閉塞する上蓋フラップと、該上蓋フラップの先端に沿う折曲線を介して延長された所定幅の差込係止片とを有し、
該差込係止片を差し込み可能に切開された所定幅の案内スリットが箱体の正面の上縁に沿って形成されると共に、
上蓋片の面内に形成された所定長さの折曲線の両端から案内スリットに到るまで切込線で切り込まれた第1の吊下片が折曲線で折り曲げられることによって立上げ可能に形成される一方、
上蓋フラップの面内に形成された所定長さの折曲線の両端から切離折曲線に至るまで切込線で切り込まれてなる第2の吊下片が折曲線で折り曲げられることによって立上げ可能に形成され、
上蓋片を折り込むことによって箱体の天面を閉塞した状態で、該上蓋片の上方に左右の内フラップを折込み、この左右の内フラップの上部に上蓋フラップを折込んで被せた状態で差込係止片を案内スリットに差し込むと共に、第2の吊下片を立ち上げてなる切開部に第1の吊下片を立ち上げて挿通することにより、第1の吊下片と第2の吊下片とを合致し、両方の吊下片に形成された吊下穴を合致した状態でフックに挿入可能としたことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
差込係止片と上蓋フラップとの境界をなす折曲線の両端には互いに内側へ切込まれた切込溝が形成されると共に、各切込溝の上部に差込係止片の両端を突出してなる爪部が形成され、
箱体の正面の上縁に沿う中央部において差込係止片を差し込み可能に切開された所定幅の案内スリットの両端が下方斜め方向へ切開された拡開傾斜部を有すると共に、左右の拡開傾斜部の上部に左右の係止突起が形成され、
差込係止片を案内スリットに差し込んだとき、該差込係止片の両端の爪部が案内スリットの各拡径傾斜部の上部に形成された夫々の係止突起に係止されることによって上蓋フラップを閉止するようにしたことを特徴とする請求項1記載の包装用箱。
【請求項3】
上蓋フラップと背面の境界をなす切離折曲線の略中央に沿って背面の上部に所定幅を有する押込片がミシン目状の切離線によって形成され、箱体の天面を上蓋片で閉塞すると共に該上蓋片の上方が上蓋フラップで閉塞された状態で、押込片が上蓋差込片に接着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の包装用箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−41065(P2012−41065A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183633(P2010−183633)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】