説明

包装用箱

【課題】箱外部の衝撃により箱の底部に衝撃を受けても、箱内の瓶類の破損及び箱の底からの抜けを確実に防止する。
【解決手段】箱1の底部に緩衝部2を一体的に備え、緩衝部2は支持壁21R、21L、物品底部保護壁22R、22L、固定壁23R、23L、固定部24R、24Lとにより断面略逆U字形に組み立てられ、各固定壁23R、23L及び各固定部24R、24Lが各側面壁12、14に接着固定されるとともに各下フラップ17R、17Lの先端間で各支持壁21R、21Lが相互に面接触される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤や液剤などの薬剤を収容する瓶類を個別に包装するのに使用する包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤や液剤などの薬剤を収容する瓶類を個別に包装するのに、包装用の箱が用いられている。この種の包装用の箱が例えば特許文献1に開示されている。この文献1の包装用の箱は、後面壁、右側面壁、前面壁、左側面壁をなす相互に平行に連接して形成される4面壁及びその一方の側縁に併せて形成される糊付け片と、左右の各側面壁の上下両端にそれぞれ形成される左側面壁の上フラップ、下フラップ及び右側面壁の上フラップ、下フラップと、後面壁の上下両端にそれぞれ形成される上蓋、下蓋とを備え、4面壁がそれぞれ四角柱状に折り曲げられ、一方の側縁の糊付け片と他方の側縁が糊付けされて(仮)組み立てされ、薬瓶を包装する工場において、仮組み立てされた箱の中に薬瓶が収納された後、箱の上下の開口にそれぞれ上下の各フラップが折り曲げられ、その上から上下の各蓋が折り曲げられて、全体が略直方体状に組み立てられる。なお、この箱の場合、薬瓶の周囲を保護するための緩衝部材が一体に形成されており、この緩衝材により、箱内の薬瓶を外部の衝撃から保護するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−53425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の包装用の箱では、箱の底部が右側面壁及び左側面壁の各下フラップと後面壁の下蓋が重ね合せられているだけなので、緩衝作用(クッション性)に乏しく、箱外部の衝撃により、箱の底面に衝撃を受けると、薬瓶が破損したり箱の底から抜け出たりすることがある、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の包装用箱において、箱外部の衝撃により、箱の底部に衝撃を受けても、箱内の瓶類の破損、及び箱の底からの抜けを確実に防止すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の包装用箱は、後面壁、右側面壁、前面壁、左側面壁をなす相互に平行に連接して形成される4面壁及びその一方の側縁に併せて形成される接着片と、前記4面壁のうち相互に対向する2面壁の上下両端にそれぞれ形成される上フラップ及び下フラップと、前記2面壁とは別の他の1面壁又は2面壁の上下両端にそれぞれ形成される上蓋及び下蓋とを備え、全体が略直方体形状の箱に組み立てられる包装用箱において、前記箱の底部に一体的に形成され、前記箱内部に収納する物品を前記箱外部の衝撃から保護するための緩衝部を備え、前記緩衝部は前記箱の各下フラップの先端に延長して形成される一対の緩衝部形成形状部からなり、前記一対の緩衝部形成形状部はそれぞれ、前記下フラップの先端に前記箱の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、前記下フラップの内側面との間に緩衝空間を形成し、前記緩衝部形成形状部全体を支持するための支持壁と、前記支持壁に前記下フラップの内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記下フラップが形成される側面壁の内側面まで延び、前記下フラップの内側面との間に前記緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護壁と、前記物品底部保護壁に前記下フラップが形成される側面壁の内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に形成され、当該側面壁の内側面に接着固定されて、前記支持壁とともに前記物品底部保護壁を支持するための固定壁と、前記物品底部保護壁に前記固定壁の一部として切り欠き形成され、前記固定壁とともに前記側面壁の内側面に接着固定される固定部とを備え、前記各下フラップの内側で前記各緩衝部形成形状部が断面略逆U字形に組み立てられ、前記各固定壁及び前記各固定部が前記各下フラップが形成される各側面壁に接着固定されるとともに前記各下フラップの先端間で前記各支持壁が相互に面接触される、ことを要旨とする。
この包装用箱は、次のような構成を併せて備えることが好ましい。
(1)一方の緩衝部形成形状部の支持壁に、他方の緩衝部形成形状部の支持壁に向けて延びる係止突起を備え、他方の緩衝部形成形状部の支持壁に、前記係止突起が係合可能な係合部を備え、前記係止突起と前記係合部が係合される。
(2)各下フラップは先端方向に幅狭の略台形に形成され、各緩衝部形成形状部の支持面、物品底部保護壁、及び固定壁はそれぞれ、略四角形に形成される。
(3)各緩衝部形成形状部の固定部は物品底部保護壁に略台形又は略矩形状に切り欠かれて形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の包装用箱では、箱の底部に箱内部に収納する物品を箱外部の衝撃から保護するための緩衝部を一体的に備え、緩衝部は箱の各下フラップの先端に延長して形成される一対の緩衝部形成形状部からなり、各緩衝部形成形状部は、下フラップの先端に箱の内部側に向けて略直角に折り曲げられて、下フラップの内側面との間に緩衝空間を形成し、緩衝部形成形状部全体を支持するための支持壁と、支持壁に下フラップの内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げられて、下フラップが形成される側面壁の内側面まで延び、下フラップの内側面との間に緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護壁と、物品底部保護壁に下フラップが形成される側面壁の内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げられて、当該側面壁の内側面に接着固定され、物品底部保護壁を支持壁とともに支持する固定壁と、物品底部保護壁に固定壁の一部として切り欠き形成され、固定壁とともに側面壁の内側面に接着固定される固定部とにより断面略逆U字形に組み立てられ、各固定壁及び各固定部が各側面壁に接着固定されるとともに各下フラップの先端間で各支持壁が相互に面接触されるので、各下フラップの内側で各物品底部保護壁が各支持壁により突っ張り支持されて、当該保護壁は撓みにくく、また、各支持壁がばね作用を有するので、当該保護壁全体が十分な弾性(クッション性)を有し、錠剤や液剤などの薬剤を収容するガラス瓶などの容器の包装において、十分な緩衝効果を得ることができ、箱外部の衝撃により、箱の底部に衝撃を受けても、箱内の瓶類の破損を確実に防止することができる。
また、この緩衝部の場合、各物品底部保護壁が各支持壁の相互の面接触により相互に支持されるので、この緩衝部上に瓶類の物品が載せられた状態で、箱に、物品が箱の底部を押圧する方向に力が加えられても、各物品底部保護壁は各支持壁が相互に作用し合い、その組み立て後の初期形状が保持されて、箱の底部外方に向けて押し開かれることがなく、物品の底抜けを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)本発明の一実施の形態における包装用箱の全体構成を示す正面図(b)同正面断面図
【図2】同包装用箱の組み立て前の紙基材の平面図(展開図)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1に包装用箱を示している。図1に示すように、包装用箱Bは、略直方体形状の箱1からなり、箱1の底部に、この箱1内部に収納する物品を箱1外部の衝撃から保護するための緩衝部2を一体に備える。なお、ここで例示する包装用箱Bは、薬液を収容するガラス瓶などの割れやすい物品(以下の実施の形態の説明において、単に「薬瓶」という。)を包装するための厚紙その他の紙材からなる紙の箱で、薬瓶を個別に縦置きにして収納可能な直方体形状になっている。
【0010】
図1に示すように、箱1は後面壁11、右側面壁12、前面壁13、左側面壁14をなす相互に平行に連接して形成される4面壁及びその一方の側縁に併せて形成される接着片15と、4面壁のうち相互に対向する2面壁、この場合、左右の各側面壁12、14の上下両端にそれぞれ形成される一対の上フラップ16R、16L及び下フラップ17R、17Lと、2面壁とは別の他の1面壁又は2面壁、この場合、後面壁11の上端に形成される上蓋18、及び後面壁11の下端、前面壁13の下端にそれぞれ形成される下蓋19B、19Fとを備え、上蓋18が開封可能に構成される。
【0011】
緩衝部2は、図1(b)に示すように、箱1の各下フラップ17R、17Lの先端に延長して形成される一対の緩衝部形成形状部2R、2Lからなる。一対の緩衝部形成形状部2R、2Lはそれぞれ、下フラップ17R、17Lの先端に箱1の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、下フラップ17R、17Lの内側面との間に緩衝空間S、Sを形成し、緩衝部形成形状部2R、2L全体を支持するための支持壁21R、21Lと、支持壁21R、21Lに下フラップ17R、17Lの内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、下フラップ17R、17Lが形成される側面壁12、14の内側面まで延び、下フラップ17R、17Lの内側面との間に緩衝空間S、Sを介して当該内側面に沿って配置され、物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護壁22R、22Lと、物品底部保護壁22R、22Lに下フラップ17R、17Lが形成される側面壁12、14の内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に形成され、当該側面壁12、14の内側面に接着固定されて、支持壁21R、21Lとともに物品底部保護壁22R、22Lを支持するための固定壁23R、23Lと、物品底部保護壁22R、22Lに固定壁23R、23Lの一部として切り欠き形成され、固定壁23R、23Lとともに側面壁12、14の内側面に接着固定される固定部24R、24Lとを備える。
この場合、一方の緩衝部形成形状部2Rの支持壁21Rに、他方の緩衝部形成形状部2Lの支持壁21Lに向けて延びる係止突起25Rを備え、他方の緩衝部形成形状部2Rの支持壁21Lに、係止突起25Rが係合可能な係合部25Lを備える。
このようにして各下フラップ17R、17Lの内側で各緩衝部形成形状部2R、2Lが断面略逆U字形に組み立てられ、各固定壁23R、23L及び各固定部24R、24Lが左右の各側面壁12、14に接着固定されるとともに各下フラップ17R、17Lの先端間で各支持壁21R、21Lが相互に面接触可能に配置され、一方の緩衝部形成形状部2Rの係止突起25Rと他方の緩衝部形成形状部2Lの係合部25Lが係合される。
【0012】
これらの箱1及び緩衝部2はブランクシート(空白紙)を打ち抜いて一体に形成された図2に示す一枚の紙基材Pからなり、この紙基材Pを折り曲げて組み立てることにより形成される。
【0013】
図2に示すように、この紙基材Pは、一方の側部側に所定の大きさを有する縦長の矩形状の後面壁部分11Pが形成され、この後面壁部分11Pの一方の長辺側に、箱1の右側面壁12をなす所定の大きさを有する縦長の矩形状の右側面壁部分12P、前面壁13をなす後面壁部分11Pと同じ大きさ、形状を有する前面壁部分13P、左側面壁14をなす右側面壁部分12Pと同じ大きさ、形状を有する左側面壁部分14P、一方の側縁の接着片15をなす縦長の帯状の接着片部分15Pが順次、折れ線31、32、33、34を介して連続して形成され、さらに、後面壁部分11Pの一方の短辺側に折れ線35を介して延出され、上蓋18をなす矩形状の上蓋部分18P、及びその延長上に折れ線36を介して連続して形成され、上蓋18の接着片181をなす横長の帯状の接着片部分181Pと、後面壁部分11Pの他方の短辺側に折れ線37を介して延出され、下蓋19Bをなす略直角三角形に近似する台形状の下蓋部分191Pと、右側面壁部分12Pの一方の短辺側に折れ線38を介して延出され、上フラップ16Rをなす台形状の上フラップ部分161Pと、右側面壁部分12Pの他方の短辺側に折れ線39を介して延出され、下フラップ17Rをなす台形状の下フラップ部分171P、及びその延長上に折れ線40を介して連続して形成され、緩衝部2を形成するための複合形状からなる緩衝部形成形状部部分201Pと、前面壁部分13Pの他方の短辺側に折れ線41を介して延出され、下蓋19Fをなす一方の下蓋部分191Pと同じ大きさ、形状を有する下蓋部分192Pと、左側面壁部分14Pの一方の短辺側に折れ線42を介して延出され、上フラップ16Lをなす一方の上フラップ部分161Pと概ね同じ大きさ、形状(但し、前面壁部分13Pを境に左右対称の形状)を有する上フラップ部分162Pと、左側面壁部分14Pの他方の短辺側に折れ線43、44を介して延出され、一方の下フラップ部分171P及び緩衝部形成形状部201Pと概ね同じ大きさ、形状を有する下フラップ部分172P及び緩衝部形成形状部202Pとを備える。この場合、左右の各側面壁部分12P、14Pの幅は前後の各面壁部分11P、13Pの幅よりも少し大きくなっている。上蓋部分18Pは箱1の上開口面全面を閉塞可能な大きさを有している。各下蓋部分191P、192Pは箱1の下開口面を概ね半面ずつ閉塞可能に同じ大きさを有している。各上フラップ部分161P、162Pは箱1の上開口面を概ね半面ずつ閉塞可能に同じ大きさを有している。また、このフラップ部分161P、162Pの場合、右側面壁部分12P側の上フラップ部分161Pは上蓋部分18P側の辺が右側面壁部分12Pの上縁部に対して直角に延ばされていて、左側面壁部分14P側の上フラップ部分162Pは上蓋部分18P側の辺が左側面壁部分14Pの上縁部から上蓋部分18Pから少し離れるように傾斜して延ばされている。なお、各上フラップ部分161P、162Pの他方の辺はいずれも各側面壁部分12P、14Pと前面壁部分13Pとの間の折れ線32、33に対して(各側面壁部分12P、14P側に)僅かに下がった位置から少し略直状に延び、この略直状の部分を介して前面壁部分13Pから離れる方向に傾斜して延ばされている。各下フラップ部分171P、172Pは箱1の下開口面を概ね半面ずつ閉塞可能に同じ大きさを有している。また、この場合、各下蓋部分191P、192Pの長い斜辺の略中間所定の位置から当該斜辺に対して直角に前後の各面壁部分11P、13Pの下縁部の一端に向けて折れ線44、45が付けられ、その一部にミシン面状の切り込み44S、45Sが入れられて、折り畳み線L1、L2が形成される。なお、各下蓋部分191P、192Pは、箱1の組み立てに当たり、箱1の下面において各下蓋部分191P、192Pの斜辺が当該下面の一方の対角線上に合わせられて略四角形状に組み合わせられ、折れ線44、45及び切り込み44S、45Sはこの下面の各下蓋部分191P、192P上を横切る他方の対角線上に形成されることになる。この折り畳み線L1、L2により、組み立て後の箱1がこの折り畳み線L1、L2に沿って折り畳み可能となる。また、前面壁部分13Pの上部に上縁部から下方に向けて台形状にミシン面状の切り込み13Sが入れられて、開封用の破断線L3が形成される。
そして、2つの緩衝部形成形状部201P、202Pはそれぞれ、下フラップ部分171P、172Pの先端に延長して、緩衝部2の支持壁21R、21Lをなす矩形状の支持壁部分211P、212P、物品底部保護壁22R、22Lをなす矩形状の物品底部保護壁部分221P、222P、固定壁23R、23Lをなす矩形状の固定壁部分231P、232Pが順次、折れ線40、44、461、462、471、472を介して連続して形成される。この場合、支持壁部分211P、212Pは横方向の長さが下フラップ部分171P、172Pの先端の長さと同じで、縦方向の長さが横方向の長さよりも短い横長に形成される。物品底部保護壁部分221P、222Pは横方向の長さが支持壁部分211P、212Pの横方向の長さと同じで、縦方向の長さが横方向の長さよりも短い横長に形成される。固定壁部分231P、232Pは横方向の長さが物品底部保護壁部分221P、222Pの横方向の長さと同じで、縦方向の長さが横方向の長さよりも短く、特に支持壁部分211P、212Pの縦の長さよりも少し短い横長に形成される。また、この場合、一方の下フラップ部分、ここでは右側面壁部分12P側の下フラップ部分171Pと支持壁部分211Pとの間の折れ線40上の中間部分を繋ぎ部分とし、この繋ぎ部分を台形の長い一辺(台形の下底に当たる部分)として、支持壁部分211Pが所定の大きさの略台形状に切り欠かれて、係止突起25Rをなす係止突起部分251Pが形成される。なお、この係止突起部分251Pと支持壁部分211P、物品底部保護壁部分221P間の折れ線461との間は略コ字形の角形に切り欠かれて開口される。他方の下フラップ部分、ここでは左側面壁部分14P側の下フラップ部分172Pと支持壁部分212Pとの間の折れ線44上の中間部分を台形の長い一辺(台形の下底に当たる部分)として、支持壁部分212Pが所定の大きさの略台形状に切り抜かれて開口され、係合部25Lをなす係合部部分252Pが形成される。この係合部部分252Pは係止突起部分251Pが嵌合可能な略台形状の開口で、開口の一辺をなす折れ線44上の中間部分の長さが係止突起部分251Pの繋ぎ部分の長さと略同じで係止突起部分251Pの繋ぎ部分が係合可能になっている。物品底部保護壁部分221P、222Pと固定壁部分231P、232Pとの間の折れ線471、472上の中間位置を繋ぎ部分として残し、この繋ぎ部分を台形の長い一辺(台形の下底に当たる部分)として、物品底部保護壁部分221P、222Pが所定の大きさの略台形状に切り欠かれて、固定部24R、24Lをなす固定部部分241P、242Pが形成される。
【0014】
このような構成からなる紙基材Pは、まず、各緩衝部形成形状部201P、202Pの各部分211P〜251P、212P〜252Pが次のように折り曲げられて、緩衝部2が組み立てられる。図1及び図2を参照しながら説明すると、まず初めに、下フラップ部分171P、172Pに対して折れ線40、44を介して支持壁部分211P、212Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、下フラップ部分171P、172Pの先端に直角に支持壁21R、21Lが形成される。続いて、この支持壁21R、21Lに対して折れ線461、462を介して物品底部保護壁部分221P、222Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、物品底部保護壁22R、22Lが形成され、物品底部保護壁22R、22Lが下フラップ部分171P、172Pの内側面に沿って緩衝空間S、Sを介して配置される。これに続いて、物品底部保護壁22R、22Lに対して折れ線471、472を介して固定壁部分231P、232Pが固定部部分241P、242Pとともにそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、固定壁23R、23Lが形成され、固定壁23R、23Lが物品底部保護壁22R、22Lと下フラップ部分171P、172Pとの間に配置される。このようにして各側面壁部分12P、14Pに対して折れ線39、43を介して各下フラップ部分171P、172Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、下フラップ17R、17Lが形成され、各固定壁23R、23Lが各側面壁部分12P、14Pの下端付近に当接され、各固定壁23R、23Lは固定部24R、24Lとともに各側面壁部分12P、14Pの下端付近に接着剤を介して接着固定される。この場合、各固定壁23R、23Lに固定部24R、24Lが一体的に設けられることで、各固定壁23R、23Lが各固定部24R、24Lの部分だけ各側面壁部分12P、14Pに対する接触面積が増大するので、各固定壁23R、23Lは各側面壁部分12P、14Pに対して強固に固定され、各支持壁21R、21Lとともに各物品底部保護壁22R、22Lを確実に支持することができ、緩衝部2の緩衝作用をより確実に発揮することが可能である。
次に、箱1の各部分11P〜19Pが折り曲げられて、箱1が組み立てられる。まず、後面壁部分11Pに対して折れ線31を介して右側面壁部分12Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、後面壁11及び右側面壁12が形成される。続いて、この右側面壁12に対して折れ線32を介して前面壁部分13Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、前面壁13が形成される。続いて、この前面壁13に対して折れ線33を介して左側面壁部分14Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられ、左側面壁14が形成される。続いて、左側面壁14に対して折れ線34を介して接着片部分15Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、接着片15が形成され、この接着片15が後面壁11の他方の側縁の内側に接着剤を介して接着固定される。そして、後面壁11及び前面壁13に対して折れ線37、41を介して各下蓋部分191P、192Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、下蓋19R、19Lが形成される。これらの下蓋19R、19Lはそれぞれ、箱1の下面において、各下蓋19R、19Lの斜辺が当該下面の一方の対角線上に合わせられて略四角形状に組み合わせられ、各下フラップ17R、17Lの外側面に接着剤を介して接着固定される。ここまでの組み立てが終わった段階で、箱1の組み立ては一旦中断され、この後の組み立て及び必要箇所の接着固定は、箱1内部に薬瓶が収納された後に、引き続き行われる。
この包装用箱Bの場合、各下蓋19R、19Lに折り畳み線L1、L2が形成されており、この折り畳み線L1、L2を谷にして折り畳み可能であり、この折り畳みとともに、緩衝部2は各側面壁12、14側に分かれて、各側面壁12、14と下フラップ17R、17Lとの間の折れ線39、43、下フラップ17R、17Lと緩衝部形成形状部2R、2Lとの間の折れ線40、44、緩衝部形成形状部2R、2Lの各折れ線461、462、471、472を介して各側面壁12、14の内側面上に折り畳み可能になっているので、包装用箱1全体を扁平状に折り畳むことができ、多数の包装用箱1の保管、移送を省スペースで簡易に行うことができる。
そして、この包装用箱Bの使用に際して、すなわち、この包装用箱Bの内部に薬瓶を収納する場合に、箱1が折り畳まれた状態から箱形に戻され、上面が開口される。すなわち、箱1は箱形に戻すだけのワンタッチで組み立てが可能である。また、箱1が箱形に戻されると同時に、箱1内部で2つに分かれて折り畳まれた緩衝部2が元の状態に近い形まで戻される。なお、この場合、各下蓋19B、19Fが後面壁11及び前面壁13に対して直角に復帰されず、箱1内部で緩衝部2が断面略逆V字形を呈することになることがあるが、これは薬瓶の収納とともに修正される。
薬瓶は箱1に上開口から挿入されて収納される。薬瓶が箱1内に収納されると、箱1内部で緩衝部2が断面略逆V字形に変形されていても、緩衝部2が薬瓶により上から下方に向けて押されて、各物品底部保護壁22R、22Lが各下蓋19B、19Fとともに各側面壁12、14、後面壁11及び前面壁13に対して略直角に押し戻される。このとき、一方の物品底部保護壁22Rの係止突起25Rが他方の物品底部保護壁22Lの係合部25Lに差し込まれて、各物品底部保護壁22Rが各側面壁12、14、後面壁11及び前面壁13に対して略直角に押し戻されたところで、各支持壁21R、21Lが相互に面接触され、係止突起25Rが係合部25Lに完全に係合されて固定状態となる。また、各物品底部保護壁22R、22Lは箱1の底部の中央の各支持壁21R、21Lにより突っ張り支持され、薬瓶は底面の中央が各支持壁21R、21Lにより支持されて、各物品底部保護壁22R、22Lの水平面上に安定的に保持される。
このようにして薬瓶が箱1内部に収納されると、右側面壁12及び左側面壁14に対して折れ線38、42を介して各上フラップ部分161P、162Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、各上フラップ16R、16Lが形成され、箱1の上開口が閉塞される。続いて、後面壁11P部分に対して折れ線35を介して上蓋部分18Pがそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げられて、上蓋18が形成される。このとき、上蓋18の接着片部分181Pが内側に略直角に折り曲げられて、接着片181が形成され、この接着片181が前面壁13の内側に差し込まれ、この接着片181と前面壁13が接着剤を介して接着固定される。このように薬瓶収納後の包装用箱Bがワンタッチで組み立てられ、完全に封止される。
【0015】
このようにして包装用箱Bは組み立てられ、箱1の内部に1本の薬瓶が縦置きにして収納される。そして、この箱1に収納された薬瓶は箱1の内部に一体に立体的に組み立てられた緩衝部2により保護される。この緩衝部2の場合、箱1の底部、すなわち各下蓋19B、19F上の各下フラップ17R、17Lの上にそれぞれ緩衝空間S、Sを介して物品底部保護壁22R、22Lが配置されて、この箱1の内部に収納される薬瓶の底部に対向する面が2重構造になっており、これら物品底部保護壁22R、22Lにより、薬瓶の底部が弾性的に当接支持される。この場合、各物品底部保護壁22R、22Lと各下フラップ17R、17Lの内側面との間に介在される各支持壁21R、21L及び各固定壁23R、23Lにより突っ張り支持されて撓みにくい構造で、また、各支持壁23、23がばね作用を有するので、物品底部保護壁22R、22L全体が十分な弾性(クッション作用)を有し、箱1外部の衝撃を十分に緩和して確実に保護される。
また、この緩衝部2の場合、各物品底部保護壁22R、22Lが各支持壁21R、21Lの相互の面接触により相互に支持されるので、この緩衝部2上にガラス瓶類の物品が載せられた状態で、箱1に、物品が箱1の底部を押圧する方向に力が加えられても、各物品底部保護壁22R、22Lは各支持壁21R、21Lが相互に作用し合い、その組み立て後の初期形状が保持されて、箱1の外側に向けて押し開かれることがなく、薬瓶が底抜けすることがない。
さらに、この緩衝部2の場合、一方の支持壁21Rに、他方の支持壁21Lに向けて延びる係止突起25Rを備え、他方の支持壁21Lに、係止突起25Rが係合可能な係合部25Lを備え、これら係止突起25Rと係合部25Lが係合されるので、各物品底部保護壁22R、22Lに箱1の外側に向けて押し開こうとする力が作用しても、各物品底部保護壁22R、22Lは各支持壁21R、21Lが面接触された状態に確実に保持され、箱1底部外方に向けて押し開かれることがなく、薬瓶の底抜けは確実に防止される。
【0016】
なお、この包装用箱Bは、前面壁13の上部に上縁部から下方に向けて台形状にミシン目状の切り込み13Sが入れられて、開封用の破断線L3が形成されており、箱1を開封する場合は、破断線L3で囲まれた部分を押圧して破断すればよい。これにより、上蓋18と前面壁13との接着部分が切り離され、上蓋18を上方に引き上げて、箱1の上開口を開くことができる。
【0017】
以上説明したように、この包装用箱Bでは、箱1の底部に箱1内部に収納する物品を箱1外部の衝撃から保護するための緩衝部2を一体的に備え、緩衝部2は箱1の各下フラップ17R、17Lの先端に延長して形成される一対の緩衝部形成形状部2R、2Lからなり、各緩衝部形成形状2R、2L部は、下フラップ17R、17Lの先端に箱1の内部側に向けて略直角に折り曲げられて、下フラップ17R、17Lの内側面との間に緩衝空間Sを形成し、緩衝部形成形状部2R、2L全体を支持するための支持壁21R、21Lと、支持壁21R、21Lに下フラップ17R、17Lの内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げられて、下フラップ17R、17Lが形成される側面壁12、14の内側面まで延び、下フラップ17R、17Lの内側面との間に緩衝空間S、Sを介して当該内側面に沿って配置され、物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護壁22R、22Lと、物品底部保護壁22R、22Lに下フラップ17R、17Lが形成される側面壁12、14の内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げられ、当該側面壁12、14の内側面に接着固定されて、物品底部保護壁22R、22Lを支持壁21R、21Lとともに支持する固定壁23R、23Lと、物品底部保護壁22R、22Lに固定壁23R、23Lの一部として切り欠き形成され、固定壁23R、23Lとともに側面壁12、14の内側面に接着固定される固定部24R、24Lとにより断面略逆U字形に組み立てられ、各固定壁23R、23L及び各固定部24R、24Lが各側面壁12、14に接着固定されるとともに各下フラップ17R、17Lの先端間で各支持壁21R、21Lが相互に面接触されるので、各下フラップ17R、17Lの内側で各物品底部保護壁22R、22Lが各支持壁21R、21Lにより突っ張り支持されて、当該保護壁22R、22Lは撓みにくく、また、各支持壁21R、21Lがばね作用を有するので、当該保護壁22R、22L全体が十分な弾性(クッション性)を有し、錠剤や液剤などの薬剤を収容する瓶などのガラス容器の包装において、十分な緩衝効果を得ることができ、箱1外部の衝撃により、箱1の底部に衝撃を受けても、箱1内の瓶類の破損を確実に防止することができる。また、各物品底部保護壁22R、22Lは各支持壁21R、21Lの相互の面接触により相互に支持されるので、この緩衝部2上に瓶類の物品が載せられた状態で、箱1に、物品が箱1の底部を押圧する方向に力が加えられても、各物品底部保護壁22R、22Lは各支持壁21R、21Lが相互に作用し合い、その組み立て後の初期形状が保持されて、箱1の底部外方に向けて押し開かれることがなく、物品の底抜けを確実に防止することができる。
【0018】
また、この緩衝部2の場合、特に、一方の支持壁21Rに、他方の支持壁21Lに向けて延びる係止突起25Rを備え、他方の支持壁21Lに、係止突起25Rが係合可能な係合部25Lを備え、これら係止突起25Rと係合部25Lが係合されるので、各物品底部保護壁22R、22Lに箱1の外側に向けて押し開こうとする力が作用しても、各支持壁21R、21Lの面接触が確実に保持され、各物品底部保護壁22R、22Lが箱1の底部外方に向けて押し開かれることがなく、物品の底抜けをより確実に防止することができる。また、各固定壁23R、23Lに固定部24R、24Lが一体的に設けられることで、各固定壁23R、23Lが各固定部24R、24Lの部分だけ各側面壁12、14に対する接触面積が増大されるので、各固定壁23R、23Lは各側面壁12、14に対して強固に固定され、各支持壁21R、21Lとともに各物品底部保護壁22R、22Lを確実に支持することができ、緩衝部2の強度をより高め、緩衝部2の緩衝作用をより確実に発揮することができる。そして、各物品底部保護壁22R、22Lは箱1の底部の中央の各支持壁21R、21Lにより突っ張り支持され、薬瓶の底面の中央を各支持壁21R、21Lにより支持するので、薬瓶の荷重や衝撃により潰されることなく、薬瓶を各物品底部保護壁22R、22Lの水平面上で安定的に保持することができる。これら相互の相乗効果により、上記の作用効果をより一層増大させることができる。
またさらに、包装用箱Bでは、この包装用箱Bを緩衝部2を含めて1枚の紙基材Pを折り曲げて組み立てることにより形成するので、製造工程を簡易化し、コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0019】
B 包装用箱
1 箱
11 後面壁
12 右側面壁
13 前面壁
14 左側面壁
15 接着片
16R 上フラップ
16L 上フラップ
17R 下フラップ
17L 下フラップ
18 上蓋
181 接着片
19B 下蓋
19F 上蓋
2 緩衝部
2R 緩衝部形成形状部
2L 緩衝部形成形状部
S 緩衝空間
21R、21L 支持壁
22R、22L 物品底部保護壁
23R、23L 固定壁
24R、24L 固定部
25R 係止突起
25L 係止部
P 紙基材
11P 後面壁部分
12P 右側面壁部分
13P 前面壁部分
13S 切り込み
14P 左側面壁部分
15P 接着片部分
161P 上フラップ部分
162P 上フラップ部分
171P 下フラップ部分
172P 下フラップ部分
18P 上蓋部分
181P 接着片部分
191P 下蓋部分
192P 下蓋部分
201P 緩衝部形成形状部部分
211P 支持壁部分
221P 物品底部保護壁部分
231P 固定壁部分
241P 固定部部分
251P 係止突起部分
202P 緩衝部形成形状部部分
212P 支持壁部分
222P 物品底部保護壁部分
232P 固定壁部分
242P 固定部部分
252P 係止部部分
31〜45 折れ線
44S、45S 切り込み
461 折れ線
471 折れ線
462 折れ線
472 折れ線
L1、L2 折り畳み線
L3 破断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面壁、右側面壁、前面壁、左側面壁をなす相互に平行に連接して形成される4面壁及びその一方の側縁に併せて形成される接着片と、前記4面壁のうち相互に対向する2面壁の上下両端にそれぞれ形成される上フラップ及び下フラップと、前記2面壁とは別の他の1面壁又は2面壁の上下両端にそれぞれ形成される上蓋及び下蓋とを備え、全体が略直方体形状の箱に組み立てられる包装用箱において、
前記箱の底部に一体的に形成され、前記箱内部に収納する物品を前記箱外部の衝撃から保護するための緩衝部を備え、
前記緩衝部は前記箱の各下フラップの先端に延長して形成される一対の緩衝部形成形状部からなり、
前記一対の緩衝部形成形状部はそれぞれ、
前記下フラップの先端に前記箱の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、前記下フラップの内側面との間に緩衝空間を形成し、前記緩衝部形成形状部全体を支持するための支持壁と、
前記支持壁に前記下フラップの内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記下フラップが形成される側面壁の内側面まで延び、前記下フラップの内側面との間に前記緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護壁と、
前記物品底部保護壁に前記下フラップが形成される側面壁の内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に形成され、当該側面壁の内側面に接着固定されて、前記支持壁とともに前記物品底部保護壁を支持するための固定壁と、
前記物品底部保護壁に前記固定壁の一部として切り欠き形成され、前記固定壁とともに前記側面壁の内側面に接着固定される固定部と、
を備え、
前記各下フラップの内側で前記各緩衝部形成形状部が断面略逆U字形に組み立てられ、前記各固定壁及び前記各固定部が前記各下フラップが形成される各側面壁に接着固定されるとともに前記各下フラップの先端間で前記各支持壁が相互に面接触される、
ことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
一方の緩衝部形成形状部の支持壁に、他方の緩衝部形成形状部の支持壁に向けて延びる係止突起を備え、他方の緩衝部形成形状部の支持壁に、前記係止突起が係合可能な係合部を備え、前記係止突起と前記係合部が係合される請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
各下フラップは先端方向に幅狭の略台形に形成され、各緩衝部形成形状部の支持面、物品底部保護壁、及び固定壁はそれぞれ、略四角形に形成される請求項1又は2に記載の包装用箱。
【請求項4】
各緩衝部形成形状部の固定部は物品底部保護壁に略台形又は略矩形状に切り欠かれて形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−91820(P2012−91820A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240303(P2010−240303)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(390008707)丸金印刷株式会社 (8)
【Fターム(参考)】