説明

包装用紙箱

【課題】本発明の課題は、開封時または開封後に内容物が何であるのかが、直感的に分かり、目の不自由な人でも触覚によって内容物の識別が可能な包装用紙箱を提案するものである。
【解決手段】1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片、背面板、右側面板、前面板、左側面板が縦方向の折り曲げ線を介して順次連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の下端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ底面板、底面ダストフラップ、底面フラップ、底面ダストフラップが連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の上端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ天面フラップ、ダストフラップ、天面板、ダストフラップが連設されており、天面板、底面板、前面板、背面板、右側面板、左側面板のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マークを有することを特徴とする包装用紙箱である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する包装用紙箱に関し、特に医薬品や化粧品等を収納する紙箱として好適な包装用紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品や化粧品等を収納する包装用紙箱としては、板紙等で構成された直方体形状の紙箱が一般的に使用されている。しかし医薬品や化粧品等の包装用紙箱は、同じ程度の大きさ、形のものが多いため、うっかりとり違えたりする可能性があった。特に視力の弱った老人などが、例えばかぜ薬と胃腸薬をとり違えて服用したりする事故の可能性は否定できなかった。
【0003】
特許文献1に記載された包装用紙箱は、箱の内面に印刷表示された取り扱い説明を、箱を展開することによって、読み取り可能とするものであり、特に化粧品等の収納に適した包装用紙箱である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-62713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された包装用紙箱は、構造上、余った内容物を再封止することができないものであり、内容物を1回で使い切るような用途に限定されるという問題があった。また、上述の取り違え防止対策がなされていないため、誤って服用したりする可能性があった。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、開封時または開封後に内容物が何であるのかが、直感的に分かり、目の不自由な人でも触覚によって内容物の識別が可能な包装用紙箱を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片、背面板、右側面板、前面板、左側面板が縦方向の折り曲げ線を介して順次連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の下端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ底面板、底面ダストフラップ、底面フラップ、底面ダストフラップが連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の上端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ天面フラップ、ダストフラップ、天面板、ダストフラップが連設されており、天面板、底面板、前面板、背面板、右側面板、左側面板のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マークを有することを特徴とする包装用紙箱である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片、背面板、右側面板、前面板、左側面板が縦方向の折り曲げ線を介して順次連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の下端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ底面板、底面ダストフラップ、底面フラップ、底面ダストフラップが連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の上端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ天面フラップ、ダストフラップ、天面板、ダストフラップが連設されており、天面板
、底面板、左側面板のいずれか1以上の端面が波線形状を含むことを特徴とする包装用紙箱である。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片、背面板、右側面板、前面板、左側面板が縦方向の折り曲げ線を介して順次連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の下端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ底面板、底面ダストフラップ、底面フラップ、底面ダストフラップが連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の上端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ天面フラップ、ダストフラップ、天面板、ダストフラップが連設されており、天面板、底面板、前面板、背面板、右側面板、左側面板のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マークを有し、天面板、底面板、左側面板のいずれか1以上の端面が波線形状を含むことを特徴とする包装用紙箱である。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記穿孔マークが、紙が二重に重なった部分の外側の紙に形成されていることを特徴とする請求項1または3に記載の包装用紙箱である。
【0011】
また請求項5に記載の発明は、天面部および底面部の双方で開封可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装用紙箱である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る包装用紙箱が、天面板、底面板、前面板、背面板、右側面板、左側面板のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マークを有するものである場合には、この部分を指で触れることにより、触覚から紙箱を識別することができる。このため、内容物の種類に応じて、穿孔マークの構成を変えることにより、視力の低下した人でも、触覚によって内容物を識別することが可能となる。
【0013】
また本発明に係る包装用紙箱が、天面板、底面板、左側面板のいずれか1以上の端面が波線形状を含むものである場合には、同様にしてこの部分を指で触れることにより、触覚から紙箱を識別することができる。このため、内容物の種類に応じて、端面の波線形状を変えることにより、視力の低下した人でも、触覚によって内容物を識別することが可能となる。
【0014】
また本発明に係る包装用紙箱が、天面板、底面板、前面板、背面板、右側面板、左側面板のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マークを有し、さらに天面板、底面板、左側面板のいずれか1以上の端面が波線形状を含むものである場合には、穿孔マークと波線形状の組み合わせによって、上記触覚による情報伝達機能をより確実なものとすることができる。またより情報量の多い伝達を可能とすることができる。
【0015】
また、穿孔マークが、紙が二重に重なった部分の外側の紙に形成されている場合には、穿孔マークの部分が貫通孔とならないため、紙容器の密封性が確保される。
【0016】
また、天面部および底面部の双方で開封可能である場合には、使用後の箱を廃棄する際に、解体または折り畳む操作が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る包装用紙箱の一実施態様を示した斜視図である。
【図2】図1に示した包装用紙箱のブランクの展開図である。
【図3】本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。
【図4】本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。
【図5】図4に示した包装用紙箱のブランクの展開図である。
【図6】本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。
【図7】本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に従い、本発明に係る包装用紙箱の実施態様について、詳細に説明する。
図1は、本発明に係る包装用紙箱の一実施態様を示した斜視図であり、図2は、図1に示した包装用紙箱のブランクの展開図である。この展開図は、用紙の表面側すなわち箱の外側となる面から見た状態を示している。本発明に係る包装用紙箱は、1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片13、背面板3、右側面板6、前面板4、左側面板5が縦方向の折り曲げ線15を介して順次連設され、背面板3、右側面板6、前面板4、左側面板5の下端縁には、横方向の折り曲げ線16aを介してそれぞれ底面板2、底面ダストフラップ11b、底面フラップ10、底面ダストフラップ11aが連設され、背面板3、右側面板6、前面板4、左側面板5の上端縁には、横方向の折り曲げ線16bを介してそれぞれ天面フラップ9、ダストフラップ8b、天面板1、ダストフラップ8aが連設され、天面フラップ9の先端には折り曲げ線17を介して差込片12が連設されており、天面板1と左側面板5に三つの丸孔から構成される穿孔マーク7が形成されている。このように、本発明に係る包装用紙箱は、天面板1、底面板2、前面板4、背面板3、右側面板6、左側面板5のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マーク7を有することを特徴としている。
【0019】
本発明に係る包装用紙箱は、図1に示したように、複数の穿孔から構成される穿孔マークを有するので、一見して紙箱の特徴が明確に識別できる。この実施態様においては、穿孔マーク7は、三つの丸孔から構成されている。図3は、本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示したものであり、図3に示した実施態様においては、穿孔マーク7は、三つの三角形から構成されている。このように、穿孔マーク7は、穿孔の形と数、あるいは異なる形の穿孔の組み合わせ等によって、紙箱の内容物に関する情報を表現することができる。
【0020】
このように、本発明に係る包装用紙箱は、穿孔マークを構成する穿孔の数や形状から一見して特徴が認識できるだけではなく、視力の低い人でも手で触れることによって識別が可能である。このため、例えば医薬品であれば、感冒薬と胃腸薬と頭痛薬で穿孔マーク7の構成を変えることにより、うっかり取り違えて服用するという危険性を低減することができる。
【0021】
本発明に係る包装用紙箱を組み立てるには、図2に示したブランクのすべての折り曲げ線を山折りし、糊代片13を左側面板5に接着し、底面ダストフラップ11a、11bを折り込んで、底面フラップ10と底面板2を接着し、ダストフラップ8a、8bを折り込んで天面フラップ9と天面板1を接着することによって、図1に示したような包装用紙箱が完成する。
【0022】
図1、図2に示した実施態様においては、穿孔マーク7が天面板1と左側面板5に設けられており、この穿孔マーク7の下には、それぞれ天面フラップ9と糊代片13が存在するため、穿孔マーク7の部分は、貫通孔にはなっていない。このように穿孔マーク7が、
紙が二重に重なった部分の外側の紙に形成されている場合には、穿孔マーク7が貫通孔にはならないため、紙容器としての密封性が確保され、貫通孔が存在しては不都合な場合にも適用することができる。
【0023】
また図2に示した実施態様においては、前面板4の上部にミシン目線14によって区画された開封部18が設けてある。開封部18を指で押し込むとミシン目線14が切断して開封部18が開封される。また天面フラップ9と天面板1も接着しておくことにより、開封操作によって天面が完全に開放されるようになる。
【0024】
この実施態様においては、さらに背面板3の下部にもミシン目線19によって区画された底面開封部20が設けられているため、紙箱が不要となった時に、この底面開封部20から底面を開封することにより、紙箱を解体あるいは折り畳む操作が容易となる。
【0025】
図4は、本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示した斜視図であり、図5は図4に示した包装用紙箱のブランクの展開図である。この実施態様においては、糊代片13、背面板3、右側面板6、前面板4、左側面板5が縦方向の折り曲げ線15を介して順次連設され、背面板3、右側面板6、前面板4、左側面板5の下端縁には、横方向の折り曲げ線16aを介してそれぞれ底面板2、底面ダストフラップ11b、底面フラップ10、底面ダストフラップ11aが連設され、背面板3、右側面板6、前面板4、左側面板5の上端縁には、横方向の折り曲げ線16bを介してそれぞれ天面フラップ9、ダストフラップ8b、天面板1、ダストフラップ8aが連設されており、天面板1と左側面板5の端面が全長にわたって半円形の連続した波線となっている。このように、本発明に係る包装用紙箱は、天面板1、底面板2、左側面板5のいずれか1以上の端面が波線形状21を含んでいることを特徴とする。
【0026】
図6は、本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。図6に示した実施態様においては、天面板1と左側面板5の端面が三角形が連続した波線形状21すなわち鋸歯状となっている。このように、端面の波線形状21は、特に限定されるものではなく、正弦波やサイクロイド曲線など、規則的な波線形状に限らず、不規則な波線でもよいが、一見して特徴が明かであり、指で触ってその特徴が明確に識別できるものであることが好ましい。また波線形状21は、端面の全長にわたって設けず、一部分だけに設けても良い。
【0027】
このように、本発明に係る包装用紙箱は、天面板1、底面板2、左側面板5の端面の波線形状21によって一見して特徴が認識できるだけではなく、視力の低い人でも手で触れることによって識別が可能である。このため、例えば医薬品であれば、感冒薬と胃腸薬と頭痛薬で端面の波線形状21を変えることにより、うっかり取り違えて服用するという危険性を低減することができる。
【0028】
図5に示したブランクの展開図から、図4に示した包装用紙箱を組み立てるには、ブランクのすべての折り曲げ線を山折りし、糊代片13を左側面板5に接着し、底面ダストフラップ11a、11bを折り込んで、底面フラップ10と底面板2を接着し、ダストフラップ8a、8bを折り込んで天面フラップ9と天面板1を接着することによって、図4に示したような包装用紙箱が完成する。
【0029】
図7は、本発明に係る包装用紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。この実施態様においては、天面板1と左側面板5に3個の丸孔から構成される穿孔マーク7が設けられており、さらに天面板1と左側面板5の端面が波線形状21を含んでいる。このように、穿孔マーク7と端面の波線形状21を併用することにより、視覚ないしは触覚による情報伝達の確実性が向上する。また場合によっては、より複雑な情報量の多い情報を伝達する
ことが可能となる。
【0030】
また本発明に係る紙箱には、これらの情報の他に、例えば内容物を示すエンボス文字を設けたり、フラップの形状を特殊な形状としたりすることもできる。
【0031】
図4、5に示した実施態様においては、前面板4の上部にミシン目線14によって区画された開封部18が設けてあり、開封部18を指で押して破ることにより、ミシン目線14が切断して開封部18が差込片12とともに開封される。また天面フラップ9と天面板1も接着しておくことにより、開封操作によって天面が完全に開放されるようになる。
【0032】
この実施態様においても、背面板3の下部にもミシン目線19によって区画された底面開封部20が設けられているため、紙箱が不要となった時に、この底面開封部20から底面を開封することにより、紙箱を解体あるいは折り畳む操作が容易となる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・天面板
2・・・底面板
3・・・背面板
4・・・前面板
5・・・左側面板
6・・・右側面板
7・・・穿孔マーク
8a、8b・・・ダストフラップ
9・・・天面フラップ
10・・・底面フラップ
11a、11b・・・底面ダストフラップ
12・・・差込片
13・・・糊代片
14・・・ミシン目線
15・・・縦方向の折り曲げ線
16a、16b・・・横方向の折り曲げ線
17・・・折り曲げ線
18・・・開封部
19・・・ミシン目線
20・・・底面開封部
21・・・波線形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片、背面板、右側面板、前面板、左側面板が縦方向の折り曲げ線を介して順次連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の下端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ底面板、底面ダストフラップ、底面フラップ、底面ダストフラップが連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の上端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ天面フラップ、ダストフラップ、天面板、ダストフラップが連設されており、天面板、底面板、前面板、背面板、右側面板、左側面板のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マークを有することを特徴とする包装用紙箱。
【請求項2】
1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片、背面板、右側面板、前面板、左側面板が縦方向の折り曲げ線を介して順次連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の下端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ底面板、底面ダストフラップ、底面フラップ、底面ダストフラップが連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の上端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ天面フラップ、ダストフラップ、天面板、ダストフラップが連設されており、天面板、底面板、左側面板のいずれか1以上の端面が波線形状を含むことを特徴とする包装用紙箱。
【請求項3】
1枚のブランクから組み立てられる包装用紙箱であって、糊代片、背面板、右側面板、前面板、左側面板が縦方向の折り曲げ線を介して順次連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の下端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ底面板、底面ダストフラップ、底面フラップ、底面ダストフラップが連設され、背面板、右側面板、前面板、左側面板の上端縁には、横方向の折り曲げ線を介してそれぞれ天面フラップ、ダストフラップ、天面板、ダストフラップが連設されており、天面板、底面板、前面板、背面板、右側面板、左側面板のいずれか1以上に複数の穿孔から構成される穿孔マークを有し、天面板、底面板、左側面板のいずれか1以上の端面が波線形状を含むことを特徴とする包装用紙箱。
【請求項4】
前記穿孔マークは、紙が二重に重なった部分の外側の紙に形成されていることを特徴とする請求項1または3に記載の包装用紙箱。
【請求項5】
天面部および底面部の双方で開封可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装用紙箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−269800(P2010−269800A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120671(P2009−120671)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】