説明

包装用袋

【課題】
柔らかい風合いながらもコシがあって高級感があり、しかもリサイクルの容易性をも高めることのできる包装用袋を提供できるようにする。
【解決手段】
開口12を有する包装用袋において、可撓性及び保形性を有し、少なくとも表面に凸となる多数の略半球状の突起をエンボス加工により形成した合成樹脂シートよりなるものとし、また、前記シートにて前後の胴部7、8、マチ部9、10、底部11を構成し、角底袋6に形成し、前記シートと同素材のシートを内底に設けて、前記シートと同素材のシートを前後の胴部における開口部寄りの内側に設け、前記シートと同素材の合成樹脂材よりなる把手13、13を設けて手提げ袋に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装用袋に関し、より詳しくは表面にエンボス加工を施してあって、特に角底の手提げ袋に好適な包装用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂材よりなる袋は、軟質のフィルム材からなるいわゆるレジ袋と呼ばれる保形性を有しない袋(例えば、特許文献1参照)が一般的であり、保形性を有する袋としては、防水性、装飾性を高めることを目的として表面に合成樹脂フィルムを積層した紙よりなる袋や、保形性を有する合成樹脂シートを用いて構成される袋(例えば、特許文献2参照)がある。
【0003】
保形性を有する従来の合成樹脂製シートよりなる袋は、袋の外観をシャープに構成できるとともに、防水性に加えて十分な強度も得られるので、商品の包装用として有用であり、しかも単一の素材で構成した場合には使用後に容易にリサイクルが可能であるというメリットがある。
【0004】
しかしながら、合成樹脂シートの厚さを薄くすれば柔らかい風合いになる反面コシがなくなってしまい、シートの厚さを厚くすれば硬質で安っぽい風合いになり、柔軟性も損なわれてしまい、合成樹脂シートの厚さを最適な状態に設定することが困難であるという問題もあった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−67139号公報(第1〜4頁、図1、2)
【特許文献2】特開平8−85171号公報(第1〜4頁、図1〜16)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、柔らかい風合いながらもコシがあって高級感があり、しかもリサイクルの容易性をも高めることのできる包装用袋を提供できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る包装用袋は、開口を有する包装用袋において、可撓性及び保形性を有し、少なくとも表面に凸となる多数の略半球状の突起をエンボス加工により形成した合成樹脂シートよりなるものとしてある。
【0008】
また、前記シートにて前後の胴部、マチ部、底部を構成し、角底袋に形成し、前記シートと同素材のシートを内底に設けて、前記シートと同素材のシートを前後の胴部における開口部寄りの内側に設け、前記シートと同素材の合成樹脂材よりなる把手を設けて手提げ袋に構成したものとしてある。
【0009】
さらに、前記合成樹脂をポリプロピレンで構成したものとしてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、合成樹脂シートにエンボス加工を施したものを使用することによりシートにコシが出てその分シートに薄手のものを採用することができ、手触りの柔らかな高級感に溢れる袋とすることができる。
【0011】
また、袋に折り目を付しても、折り目がエンボスによる突起の間に形成されるので、折り目によって生じる白っぽいすじが比較的目立ちにくくなり、角底袋とした場合においても角底を構成する際の折り目によって生じるすじが目立ちにくいというメリットもある。
【0012】
さらに、袋本体に保形性を有する合成樹脂シートを用いるので、内底用のシートや開口部内側の補強用シートも袋本体と同素材のものを使用することができ、さらには把手にも同素材のものを使用することができ、したがって使用済みの袋を廃棄する際にリサイクルを極めて容易に行うことができる。
【0013】
また、保形性を有する合成樹脂シートを用いるので、把手を設けた手提げ袋とする場合であっても、把手の基部の接続強度を十分に得ることができ、開口部内側の補強用シートを省略することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る包装用袋の実施例を、添付図面に示す具体例に基いて詳細に説明する。
図1は、前後の胴部1、2よりなる平袋の一例を示しており、1枚の合成樹脂製シートで構成してあって、開口部3と折り目4で構成される2辺を除く残りの2辺(図1では右辺と下辺)を、例えば高周波溶着で閉じてある。
【0015】
しかして、前後の胴部1、2の表面には、図2、3に拡大して示すようにいずれもエンボス加工によって略半球状の多数の突起5、5を格子状に配列してあって、各突起の平面上での直径を例えば1mm程度のものとしてある。
【0016】
上記格子状の配列は、例えば開口部3の辺と平行をなす方向に所定のピッチでならぶ横列が、1列ごとに半ピッチずつずれるいわゆる千鳥格子状としてあり、このような千鳥格子状に構成することによって突起を密に形成することができるとともに、横方向及び斜め方向の折り目を容易かつ正確に付すことができるというメリットもある。
【0017】
上述したエンボス加工は、公知のエンボスロールを使用する工程によって所要寸法の突起を形成することができ、図3では裏側の面に凹部5aが生じるものとしてあるが、表面に突起が形成されて裏面はフラットなものとする場合もある。
【0018】
また、合成樹脂製シートには厚さ設定の自由度が高いポリプロピレンを使用するのが好適であり、IPP(インフレーションポリプロピレン)、OPP(オリエンテッドポリプロピレン)や、CPP(キャステッドポリプロピレン)などの各種のものを使用することができ、また、HDPE(高密度ポリエチレン)やLDPE(低密度ポリエチレン)などのポリエチレン製のものを使用する場合もある。
【0019】
上述のように構成した袋においては、エンボス加工によって表面に形成される突起の上から通常の手段によって所要の印刷を施すことができるが、スクラッチ性の高くない印刷を敢えて施すことにより突起の頂部を擦って色落ちさせ、独特な風合いのデザインとすることもできる。
【0020】
図4は本発明に基いて構成した角底タイプの手提げ袋を示しており、袋本体6は前後の胴部7、8、左右のマチ部9、10、底部11を備え、開口部12近傍の前後の胴部7、8にそれぞれ把手13、13を取り付けてあって、袋本体6の表面には前述した実施例の袋と同様にエンボス加工による多数の突起が形成されている。
【0021】
また、内底には合成樹脂製シートよりなる補強用底部シート14を設けてあるとともに、開口部12内側の折り返し部12aと前後の胴部7、8との各間にも合成樹脂製シートよりなる補強用口部シート15を設けてある。
【0022】
上記補強用の底部シート14と口部シート15はいずれも袋本体6を構成するシートと同素材(例えばポリプロピレン製)のものとしてあり、底部シート14は袋本体6の底部11に例えば高周波溶着等の手段により固定してある。
【0023】
かくすることにより、使用済みの袋を廃棄する際には袋本体をそのまま単一素材の資源ごみとしてリサイクルが容易な状態で処分することができ、環境対策に資することができる。
【0024】
また、前記把手13、13も袋本体6と同素材の合成樹脂材で構成することがリサイクル容易性の観点から好ましいが、使用済み手提げ袋からの把手13、13の取り外しは他の部分よりも比較的容易な構造として分別処理が困難でないように構成することができるので、適宜の繊維よりなる紐や他の合成樹脂材で構成する場合もある。
【0025】
また、把手を設けない角底袋や他の底形状のものとする場合もあり、このように把手を設けない場合は前述した口部シート15を設けない場合もある。
【0026】
さらに、把手を設ける場合であっても、袋本体の素材そのものの強度や寸法、用途によっては口部シートを省略する場合もある。
【0027】
なお、上述した角底袋は合成樹脂シートの素材や突起の形状などのその他の構成については前述した平袋ものもと同様のものとしてあり、マチ部9、10や底部11には突起を形成しない合成樹脂シートを使用する場合もある。また、前記底部シート14や口部シート15には突起を形成しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る袋の実施例を示す斜視図。
【図2】胴部表面の拡大図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】本発明に係る袋の他の実施例を示す斜視図。
【図5】図4のV−V線端面図。
【符号の説明】
【0029】
1、2 胴部
3 開口部
4 折り目
5 突起
6 袋本体
7、8 胴部
9、10 マチ部
11 底部
12 開口部
13 把手
14 底部シート
15 口部シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する包装用袋において、可撓性及び保形性を有し、少なくとも表面に凸となる多数の略半球状の突起をエンボス加工により形成した合成樹脂シートよりなる包装用袋。
【請求項2】
前記シートにて前後の胴部、マチ部、底部を構成し、角底袋に形成してなる請求項1に記載の包装用袋。
【請求項3】
前記シートと同素材のシートを内底に設けてなる請求項2に記載の包装用袋。
【請求項4】
前記シートと同素材のシートを前後の胴部における開口部寄りの内側に設けてなる請求項1または2に記載の包装用袋。
【請求項5】
前記シートと同素材の合成樹脂材よりなる把手を設けて手提げ袋に構成してなる請求項1乃至4に記載の包装用袋。
【請求項6】
前記合成樹脂をポリプロピレンで構成してなる請求項1乃至5に記載の包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−195435(P2008−195435A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33780(P2007−33780)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000205823)大昭和紙工産業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】