説明

包装箱

【課題】、平面板の中途位置で平面板構成片を重ね合わせ、外フラップ部のみで接着するため検査時の開封・再封緘を容易にした包装箱の改良に関する。
【解決手段】一方の平面板とこれに連接される一対の外フラップ片が、二分割された平面板構成片及びこれに連接する二分割された外フラップ構成片からなっており、各平面板構成片が一対の立面板の外側に折目線を介して連設されており、各平面板構成片の外側に形成されて包装箱形成時に中途位置で上下に重なる重合せ部は接着せず、外フラップ構成片を内フラップ片に貼り合わせて包装箱を成形してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦横に並べたボトルや缶の包装に使用するラップアラウンド式の包装箱の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボトル飲料や缶飲料の包装箱として段ボール製のラップアラウンド式の包装箱が使用されている。
この種の包装箱30としては、例えば図14及び図15に示すように対向する長側面となる一対の立面板21、21’と、上面板22と下面板22’とを交互に設け、立面板21、21’の両端に内フラップ片23、23’を、上面板22と下面板22’の両端に外フラップ片24、24’を設けて短側面となし、ブランクの端部となるように立面板21の外側に貼付代26を設けている。
この貼付代26は上面板22の一方の端部と重ね合わせて一体に接着されている。
そのため、アセプティック充填品では、充填後に一定量の割合で製品包装箱を開封し、内容品の検査を実施後に再封かんして製品化しているが、従来のラップアラウンド式の紙容器ではケースの開封範囲が広く、再封緘作業にも手間が掛かる繁雑な作業となっている。
また、貼付代26は上面板22の一方の端部と重ね合わせて一体に接着されると共に、図14(b)に示すように、重合せ部が包装箱に収納される円筒状の缶の頭部の一部と衝合して、上面板22の端部が帯状に隆起した状態となり、包装箱を積み重ねた際に一方に傾いてしまい、段積み作業に手間がかかる虞れがあった。
また、内外フラップ片23、23’、24、24’を重ね合わせて対向する一対の端壁面(短側面)とした胴部の上下に、上面板22と下面板22’とが配置され、上記胴部の立面板21、21’の中央に、胴部を上下に分割するためのカットテープTの切始部28が設けられている。
更に、包装箱の胴部形成には、4面以外に別途に貼付代26が必要となるためその部分だけ幅が広がり、長尺の原材料からブランクを裁断する際の長さが増えコストアップが避けられなかった。
【0003】
一方、特開2003−146329(特許第4004273号)の包装箱では、各一対の立面板及び平面板を連設して、縦横に配列した複数の商品を巻き込み、各立面板及び平面板の両端縁にそれぞれ連設したフラップを貼り合せて封緘するラップアラウンド式の段ボール製包装箱において、一対の立面板に、その隅部から中央側へ向けて斜めに延びる部分と、これに続いてその中間で水平方向に延びる部分とを有する座屈誘導線を押罫により形成し、上下の座屈誘導線の水平部分の間に、これらの座屈誘導線から離して、開封用の切始部を設けた構成が開示されている。
これにより上記構成では、立面板に座屈誘導線を設けたので、荷重がかかっても座屈誘導線に沿って屈曲するので、不規則な座屈線が現れにくくなる。
しかし、上記構成も4面とは別に継代を設ける必要があるので、包装箱を積み重ねた際に偏荷重がかかってしまうし、貼合せ部の開封、再封緘は繁雑であり、また材料が増えコストアップは避けられなかった。
更に、上下の座屈誘導線で囲んだ水平部分の領域内に、これらから離して切目からなる開封用の切始部を設けるので、切目によって立面板の強度が弱まるという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−146329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その第1の課題は、胴部の重ね合わせ個所を従来の平面板の端部を除いた平面板の中途位置とし、重合せ部を接着しないことで収納物の確認のため前記貼合せ部の開封、再封緘を容易に行うことができ、更に材料を減少することでコストダウンを図った包装箱を提供することにある。
この発明の別の課題は、前記重合せ部の位置を、包装箱に縦横に並べて収納する容器の列と列の間に配置することで、重合せ部と容器の頭部との接触面積を減らし、隆起する重合せ部であっても包装箱を段積みした際に重合せ部を包装箱の内側に撓ませて平面板の凹凸を分散させ、積重ね姿勢を安定させることができる包装箱を提供することにある。
この発明の第3の課題は、ネック部を有する容器の包装に用いる包装箱として座屈しにくく、また立面板の上部に外側に向かって下降傾斜する傾斜面を設け、略台形状とすることで、更に材料を減少しうる包装箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
包装箱の左右の側壁面となる一対の立面板と、上壁面及び底壁面となる一対の平面板が交互に連設され、各立面板の両端縁には内フラップ片が、各平面板の両端縁には外フラップ片がそれぞれ連設されて端壁面となる容器収納用の包装箱において、
一方の平面板とこれに連接される一対の外フラップ片が、二分割された平面板構成片及びこれに連接する二分割された外フラップ構成片からなっており、
各平面板構成片が一対の立面板の外側に折目線を介して連設されており、
各平面板構成片の外側には包装箱形成時に平面板の端部を除いた中途位置で少なくとも一部が上下に重なる重合せ部がそれぞれ設けられ、前記一対の平面板構成片の重合せ部を接着せずに相互に重ね合わせ、外フラップ構成片を内フラップ片に貼り合わせてなることを特徴とする。
また、請求項2の発明では、
前記包装箱の平面板に配置された重合せ部が、包装箱に縦横に並んで収納される複数の容器の頭部の列と列の間に配置されてなることを特徴とする。
また、請求項3の発明では、
前記平面板構成片と折目線を介して接する立面板に、該折目線の両端から立面板と内フラップ片との折目線に向かって延びる一対の切込線が形成されると共に該切込線の先端間を結ぶ折目線が形成されており、箱組立時に左右の立面板の上部が内向きに傾斜する傾斜面となることを特徴とする。
請求項4の発明では、
前記内フラップ片の箱組立時の高さ方向の長さが、包装箱に収納される被収納物の高さよりも短く設定されてなることを特徴とする。
請求項5の発明では、
前記外フラップ構成片の外側には、平面板構成片の重合せ部の延長方向に重合せ貼付部が形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明では、
前記外フラップ構成片に重合せ貼付部が形成されず、平面板構成片に対して重合せ部の重ね合わせ個所の横幅分だけ短い横幅に設定されており、一対の外フラップ構成片が相互に接着されずにそれぞれ内フラップ片に接着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の包装箱は、平面板を端部で貼付代と重ねてホットメルトで接着する必要が無く、二分割された平面板構成片を用い平面板の端部を除いた中途位置で両者の重合せ部を接着することなく一部を重ねるだけで平面板を形成すると共に、一対の平面板構成片に連続する一対の外フラップ構成片を内フラップ片と一体に接着して貼合せて包装箱を形成するので、収納物の確認のために貼合せ個所の開封、再封緘を容易に行うことができ、また段ボール等の原紙からブランクを裁断する際の裁断数が従来より多く採ることができコストダウンを図ることができる。また、平面板構成片の重合せ部は接着しないので、成型用のホットメルト等の接着剤使用量を削減できる。
また、重合せ部は、収納物である容器の列と列の間に配置することにより、包装箱を上下に積み重ねた場合にも、重合せ部の隆起が分散され、積み重ね作業を容易に行うことができる。
更に、収納物が瓶やペットボトル等のネック部を有する容器の場合には、立面板の上部に内側に傾斜する傾斜面を設けて収納物のボトルネック部に沿った台形状とすることで、ネック部を有する容器の収納に適し、更に原紙等の材料の節約を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の包装箱のブランクの展開図である。
【図2】包装箱の胴部端壁面(短側面)側から見た図である。
【図3】同包装箱の斜視図である。
【図4】(a)は切始部、(b)は把持部を示す拡大図である。
【図5】(a)は実施例1の中央に配置した重合せ部と容器頭部との位置関係を示す説明図、(b)は重合せ部が中央より一方に偏った場合の容器頭部との位置関係を示す説明図である。
【図6】実施例2の包装箱のブランクの展開図である。
【図7】同包装箱の胴部端壁面から見た図である。
【図8】同包装箱の斜視図である。
【図9】(a)は実施例2の包装箱で切込線の異なる構造を示す包装箱のブランクの展開図、(b)は同包装箱の胴部端壁面から見た図である。
【図10】実施例2の中央に配置した重合せ部とボトル頭部との位置関係を示す説明図である。
【図11】実施例3の重合せ部が一方に偏った包装箱のブランクの展開図である。
【図12】実施例3の斜視図である。
【図13】実施例3の一方に偏った重合せ部とボトル頭部との位置関係を示す説明図である。
【図14】(a)は従来例の包装箱のブランクの展開図、(b)は従来の重合せ部と容器頭部との位置関係を示す説明図である。
【図15】胴部端壁面(短側面)側から見た立面板の胴膨れ状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明は、平面板及び外フラップ片を二分割した平面板構成片及び外フラップ構成片の外端に沿って重合せ部を設けて各立面板の外側に連接したファイブパネル構造からなり、平面板構成片の重合せ部を重ね合わせて平面板とし、外フラップ構成片を内フラップ片と接着することで、包装箱の段積みを容易にし、原紙の使用量の減少と、前記外フラップ構成片の重合せ部の貼合せ個所の開封、再封緘の容易さを実現した。
以下に、この発明の包装箱の好適実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
[包装箱]
本実施例の包装箱10は、図1から図3に示すように、1枚の段ボール等の厚紙製のブランク10’を折って四角筒状の胴部を有する箱型に組立てられる包装箱からなっている。
【0011】
[ブランク]
このブランク10’は、包装箱の左右の長側面となる一対の立面板1、1’の間に底壁面となる平面板2’が配置され、一対の立面板1、1’の外側に上壁面となる一対の平面板構成片2A、2Bがそれぞれ図中点線で示す折目線を介して交互に連設されている。
【0012】
[平面板構成片]
平面板構成片2A、2Bは、平面板2’の幅の半分より僅かに長く設定されている。
即ち、平面板2’の幅w1の半分より長く設定された部分が、胴部形成時の実質的な重合せ個所となるが、本実施例では従来の貼合せ部分となる貼付代26の半分未満の幅長(図示例では貼付代の1/4程度の10mm)に設定されている。
【0013】
これは、重合せ部が平面板構成片2A、2Bだけでなく後述の外フラップ構成片4A、4Bにも及ぶからである。
従って、平面板2’の幅w1を266mmとした場合、平面板構成片2A、2Bの幅w3はそれぞれ143mmに設定される。
そして立面板1、1’を221mmとした場合、幅の全長(w1+w2×2+w3×2)は994mmとなる。
これに対して、従来の貼付代26の幅w4は平面板にのみ連接しているので幅広に設定する必要があり、前記貼付け部分の幅の倍以上の幅に設定されている。
【0014】
そのため、図1に示すように長尺の原紙からブランクを裁断する際には、本実施例のブランクの全幅は従来構成より短いので、従来より多くのブランク数を裁断することができ、コストダウンを図ることができる。
尚、展開時の立面板1、1’及び平面板2’及び平面板構成片2A、2Bの図中縦方向の長さはいずれも401mmであり、フラップ片を含めた縦方向の全長は622mmである。
【0015】
また、各立面板1、1’の両端縁には内フラップ片3、3’が図中点線で示す折目線を介して連設され、平面板2’の両端縁には外フラップ片4’が図中点線で示す折目線を介して連設され、前記平面板構成片2A、2Bの両端縁には外フラップ構成片4A、4Bが図中点線で示す折目線を介して連設されている。
なお、平面板2の中央の丸で囲った部分は段ボールの繊維の目の方向を示す。
【0016】
[重合せ部]
前記一方の平面板構成片2Aの外端側と他方の平面板構成片2Bの外端側にはそれぞれ平面板2の形成時に中央で上下に重なる重合せ部6A、6Bが形成されている。
また、本実施例では、一方の外フラップ構成片4Aの外端側と他方の外フラップ構成片4Bの外端側にもそれぞれ外フラップ片4、4’の形成時に中央で上下に重なる重合せ貼付部6A’、6B’が形成されている。
前記の通り、平面板組立時に実質的な重合せ個所は10mm程度となるが、本実施例では、各重合せ部6A、6Bは成形誤差を含めて25mmの幅に設定している。
そして、前記一対の平面板構成片2A、2Bに形成される重合せ部6A、6Bには接着剤層を設けず、一対の外フラップ構成片4A、4Bに形成される重合せ貼付部6A’、6B’には上下に重合せた面を接着するためのホットメルト等の接着剤層を設けている。
これにより重合せ貼付部6A’、6B’相互が接着されて一体となった外フラップ片4、4’が内フラップ片3、3’に接着される。
【0017】
上記重合せ部6A、6Bは、包装箱10に収納する縦横に並んだ複数の容器、例えば缶飲料の列と列の間に配置することが好ましい。
図5(a)には実施例1と同じく平面板構成片2A、2Bが同じ幅に設定された場合であって、包装箱10に4つ並んだ缶飲料を2列収納する場合を図示しており、重合せ部6A、6Bは、平面板2の中央に配置される。
この場合、重合せ部6A、6Bと缶飲料の頭部との接触面積は狭く、図中ハッチングで示した部分が非接触部分となり、包装箱10の段積みに際して隆起する重合せ部6A、6Bを包装箱10の内側に撓ませることができるので、積重ね姿勢を安定させることができる。
また、重合せ貼付部6A’、6B’の接着により重合せ部6A、6Bの重合姿勢も強く保持される。
【0018】
図5(b)は、一方の平面板構成片2Aが幅狭で、他方の平面板構成片2Bが幅広の場合であって、包装箱10に缶飲料を3列収納する場合を図示しており、重合せ部6A、6Bは、缶飲料の1列目と2列目の間に配置されている。
この場合であっても、同様に包装箱10の段積みに際して隆起する重合せ部6A、6Bを包装箱10の内側に撓ませることができるので、積重ね姿勢を安定させることができる。
【0019】
[成形方法]
包装箱10は、ブランク10’の折目線に沿って、平面板2’や立面板1、1’を折り曲げながらボトル飲料などの収納物(図示せず)を包み込むように収納し上面の平面板構成片2A,2Bを折り曲げ、重合せ部6A、6Bの少なくとも一部を上下に重ねただけで相互には接着せずに平面板2を形成し筒状の胴部を形成する。
また、外フラップ構成片4A、4Bでは、同様に対向する重合せ貼付部6A’、6B’を上下に重ね、重合せた個所を接着剤層によって接着して一体となった外フラップ片4、4’を形成する。
【0020】
次いで、立面板1’の折目線に沿って内フラップ片3’を開口の左右方向の一方の外側から内側に折り曲げ、対向する立面板1で同じ方向に延びる一対の内フラップ片3によって開口側を左右方向の他方の外側から塞ぐ。
更に、対向する平面板2、2’で同じ方向に延びる外フラップ片4、4’を折目線に沿って上下から前記内フラップ片3、3’の外側に重なるように内向きに折り曲げ、上下一対の外フラップ片4、4’を内フラップ片3、3’と重なり合った部分で接着して前記胴部の開口を塞ぐ短側面を形成する。
【0021】
ここで、下方の外フラップ片4’は、その外端辺部が、中央で突出する凸片部4a’と、該凸片部4a’の基端側が円弧状に湾曲してから凸片部4a’の先端辺と平行に左右方向の端部まで段違い状に延びる一対の長孔構成縁部4b’とを有している(図1参照)。
【0022】
同様に、上方の外フラップ片4となる外フラップ構成片4A、4Bは、その外端辺部が、端部となる重合せ部6A’、6B’側で前記凸片部4a’を分割した凸片部構成部4aを突設しており、その先端辺と平行に左右方向の立面板1、1’の折目線側まで段違い状に延びる1つの長孔構成縁部4bとを有しており、外フラップ構成片4A、4Bを重合せ部6A’、6B’で相互に接着し貼り合わせることで、前記下方の外フラップ片4’と同様の形状となる。
【0023】
そこで上下の外フラップ片4、4’が折り曲げられることで、図3に示すように中央位置は前記一対の凸片部4a、4a’によって上下に略隙間無く接する中央連設部4Aが形成され、その両側には前記長孔構成縁部4b、4b’が上下に組み合わさって端部で開口する横倒U字状の長孔4Cが左右一対に形成される公知形状からなっている。
【0024】
[切始部]
各立面板1の延出方向に設けられた一対の内フラップ片3には、立面板1を挟んで対向する側の内フラップ片3に、それぞれ切始部8、8’が形成される。
該切始部8(8’も同じ)は、図4(a)に示すように、前記内フラップ片3の外端部より僅かに内側に離間した中央位置で、指を押し当てるための内向きの円弧状の切目からなる円弧部8aと、該円弧部8aの両端から立面板1側に向かって徐々に幅狭となる点線状の内ガイド切目8bと、円弧部8aの一方の端部から内フラップ片3の外端部に向かって延びる外ガイド切目8cとを有している。
【0025】
また、一方の内フラップ片3、3’から立面板1、1’を長手方向に通り抜け、他方の内フラップ片3、3’の端部まで中心線に沿って一連に続くカットテープ(図示せず)を裏面側に貼着しておき、前記内ガイド切目8bが切り取られた切片とカットテープの先端とが一連につながるように設定しておくことが好ましい。
【0026】
[把持用切目]
本実施例では、外フラップ片の一方、図示例では箱組立時の下部側の外フラップ片4’に把持用切目5が形成されている。
この把持用切目5は、図4(b)に示すように、中央に設けられた縦線5aと、縦線5aの下端で僅かに隙間を空けて左右に伸びる一対の横線5b、5cと、縦線5aの上端より僅かに上方で小さな円弧状に形成された頂上線5dと、前記左右の横線5c、5cから外側に無かって斜めに立ち上がり上端が外側に円弧状に折れ曲がる側方線5e、5fと、該側方線5e、5fと前記頂上線5dとを結ぶ上部傾斜線5g、5hとからなっている。
この発明で把持用切目は、把持用に手指を挿入しうる切欠を形成しうるものであればよく、その位置も上部側又は下部側の外フラップ面のいずれでもよく、あるいは設けなくてもよい。
【0027】
[切欠]
また、把持用切目5を設けた場合には、内フラップ片3、3’の端部で前記把持用切目5と箱組立時に重なる個所には、該切目5に沿って押し込んだ際に障害とならないように略半円状の切欠11、11’を透設することが好ましい。
このように、包装箱10は、平面板構成片2A、2Bで形成された平面板2の中央に沿って段部となる重合せ部6A、6Bが配置されるので、積荷状態でも平面板2に均等に荷重を分散できる。
また平面板2の重合せ部6A、6Bは接着されず、外フラップ構成片4A、4Bで形成された外フラップ片4で重合せ部6A’、6B’だけが接着されるので、開封、再封緘が容易となり、更にコストダウンを図ることができる。
そして、前記切始部8、8’に沿って包装箱10を上下に2分割してトレイとして使用することができる。
【実施例2】
【0028】
実施例2はペットボトルやボトル缶等のネック部を有する形状の容器を収納するラップアラウンド式の紙容器10であって、段積み積載時の荷重がかかって紙容器が胴膨れする虞れがあっても、これを抑制するために、胴部の上方を台形状にした異なる実施例を示す。
【0029】
[傾斜面]
即ち、図6〜図8に示すように、平面板構成片2Aと折目線L1を介して接する立面板1との間に、該折目線L1の両端から立面板1と内フラップ片3、3’との折目線L2に向かって延びる一対の切込線15が形成されている。
また、該切込線15の先端間を結ぶ折目線L3が前記折目線L1と平行に形成されており、箱組立時に左右の立面板1、1’の上部が内向きに傾斜する傾斜面9となる。
【0030】
前記切込線15は、図6に示すように、内フラップ片3、3’の折目線L2に沿って延び折目線L1−L3間で囲まれた傾斜面9の縁部となる直線部分15aと、立面板1、1’に隣接する内フラップ片3、3’で傾斜面9の折目線L1の端部と接する個所を斜めに切欠く傾斜線部分15bとを有しており、内フラップ片3、3’で傾斜面9の折目線L1の端部と接する側で切り離された略三角形状の切欠が形成されている。
これにより、傾斜面9を立面板1、1’や平面板構成片2A、2Bに対して傾斜させ、内フラップ片3、3’の傾斜線部分15bが形成された面が上記傾斜面9の端部を外側から覆うので、図7及び図8に示すように、上部が略台形となる包装箱10を組み立てることができる。
【0031】
図9(a)には切込線15の異なる構造のブランク10’を示す。
即ち、内フラップ片3、3’の折目線L2に沿って延び折目線L1−L3間で囲まれた傾斜面9の縁部となる直線部分15aと、立面板1、1’に隣接する内フラップ片3、3’で傾斜面9の折目線L1の端部と接する個所を斜めに切欠く傾斜線部分15b’と、外フラップ構成片4A、4Bで傾斜線部分15b’と対峙して折目線L3の端部から斜めに切欠く外傾斜線部分15cとからなる略三角形状の切欠が形成されている。
これにより、傾斜面9を立面板1、1’や平面板構成片2A、2Bに対して傾斜させ、外フラップ片構成片4A、4Bの外傾斜線部分15cが上記傾斜面9の端部を外側から覆うので、図9(b)に示すように上部が略台形となる包装箱10を組み立てることができる。
【0032】
本実施例の内フラップ片3、3’は、図9(a)中の横幅の長さ(図9(b)の箱組立時の高さ方向の長さ)Hを、包装箱10に収納するネック部を有する容器の高さよりも短い長さに設定している。
内フラップ片3、3’の長さHがネック部を有する容器の全高と同等であると内フラップ片3、3’に座屈が起こり、内フラップ片3、3’が変形して外フラップ片4、4’と離れたりする虞れがあるが、短い長さに設定することでて内フラップ片3、3’に座屈が起こりにくく包装箱10の形状を復元しやすくすることができる。
この内フラップ片の長さに関する構成は、前記実施例1の構成においても同様である。
【0033】
実施例2の図6、図9に示す重合せ部6A、6Bは、前記実施例1と同様に、平面板構成片2A、2Bが同じ幅に設定されている場合を例示している。
この場合の重合せ部6A、6Bの位置とネック部を有する容器との位置関係を図10に示す。
この場合、重合せ部6A、6Bは小径のネック部とは接触することが無い(図中ハッチングで示す部分)ので、段積みに際しては、隆起部分は包装箱10の内側に撓み、積み重ね姿勢は安定する。
【0034】
ここで、ブランク10’の寸法の一例を示すと、展開時の立面板1、1’及び平面板2、2’の図中縦方向の長さはいずれも401mmであり、底壁面となる平面板2’の横幅は266mm、フラップ片を含めた縦方向の全長は622mmである。
また底壁面となる平面板2’の図中横方向となる横幅は266mmであって前記実施例1と同じである。
【0035】
一方、立面板2、2’の横幅は、平面板2’の折目線から前記折目線L1までの横幅を176.5mmとし、折目線L1とL3の間の横幅を48mmとし、折目線L3から立面板構成片2A、2Bの端部までの横幅は125mmに設定されており、横幅の全長は965mmとなって、実施例1のブランク10’の横幅994mmよりも更に29mm短く形成することができる。
【0036】
包装箱10に組み立てられた立面板1、1’は上部が傾斜面9となるので折板構造となって強度が高まる。
また、ボトル飲料の場合、頭部側が截頭円錐形状となっているので、これに沿って傾斜面9を傾斜させることができる。
【0037】
また、切込線15によって内フラップ片3、3’の折目線側の辺3a、3a’は前記切込線の傾斜線部分15bによって傾斜しており、箱組立時に立面板1、1’の傾斜面の端部と衝合するように外側から塞いでおり、外フラップ片4、4’が外側から重なって固着されて端壁面を形成している。
傾斜面を除いたその他の構成は前記実施例に準じるので、その説明を省略する。
【0038】
本実施例では包装箱10の立面板1、1’は、収納される容器(例えばペットボトル)の足部(底面)から肩部までの長さに対応しており、図示例では176.5mmに設定されている。
そして、傾斜面9は傾斜面9の傾斜時の高さが、前記ペットボトルの肩部から頭部(キャップ上端)までの長さに対応しており、図示例では44.5mmになるように、傾斜面9の幅が176.5mmに設定されている。
なお、包装箱10の全高は約221mmである。
【0039】
この発明では、傾斜面9は、収納されるボトル飲料の外壁面と接する程度の傾斜角が好ましく、また包装箱の上部で全高の1/2以内、より好ましくは1/4以内とすることが好ましいが、この発明では特に限定されない。
【0040】
これにより、立面板1、1’は、傾斜面9によって外側へ突出するので、強度の向上と相俟って胴膨れを吸収することができ、傾斜面9の下側となる立面板1、1’を太鼓状に胴膨れさせることなく垂直面に維持することができる。
その他の構成は、前記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【実施例3】
【0041】
図11から図13は、実施例2と同様にネック部を有する形状の容器を収納するラップアラウンド式の紙容器10であって、重合せ部6A、6Bを上面の平面板2の中央ではなく一方に偏った位置に配置した異なる実施例を示す。
そのため平面板構成片2Aを幅狭とし、平面板構成片2Bを幅広としている。
【0042】
また、本実施例では、外フラップ構成片4A、4Bに形成される重合せ貼付部6A’、6B’を形成していない例を示す。
即ち、外フラップ構成片4A、4Bは相互に重なる部分を設けておらず、各外フラップ構成片4A、4Bを略隙間無く並べ同一面に揃えて内フラップ片3、3’にそれぞれ貼り付けることで外フラップ片4、4’となっている。
そのため、外フラップ構成片4A、4Bの縁部は、重合せ部6A、6Bの縁部と連続する延長線上には設けず、重合せ部6A、6Bの重ね合せ部分を除いた部分(図示例では平面板構成片端縁部の幅の約半分)だけ内側に狭まった位置に設定されている。
これにより、図12に示すように外フラップ4、4’は外フラップ構成片4A、4B相互が接着されず、各外フラップ構成片4A、4Bが個別に内フラップ片3、3’に接着されている(図11参照)。
これによりブランクの面積を一層狭めることができる。
【0043】
実施例3の重合せ部6A、6Bの位置とネック部を有する容器との位置関係を図10に示す。
図示例では、6つの容器が4列に並んでおり、その4列の内の1列目と2列目の間に重合せ部6A、6Bが配置されている。
重合せ部6A、6Bの配置は図示例に限定されず、容器の列と列の間に配置されるものであれば、どの位置であってもよい。
これにより隆起する重合せ部6A、6Bは下方へ撓み、包装箱10の積み重ね姿勢は安定する。
その他の構成は、前記実施例2と同様であるので、その説明を省略する。
外フラップ構成片に重合せ貼付部を設けない構成は、実施例1のような立方体又は直方体の包装箱の場合であっても適用することができる。
【0044】
この発明は上記実施例の記載に限定されず、各実施例の一部の構成を相互に置き換えて構成してもよい。
その他、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1、1’ 立面板
2、2’ 平面板
2A、2B 平面板構成片
3、3’ 内フラップ片
4、4’ 外フラップ片
4A、4B 外フラップ構成片
6A、6B 平面板構成片に形成される重合せ部
6A’、6B’外フラップ構成片に形成される接着剤層を有する重合せ貼付部
8、8’ 切始部
9 傾斜面
10 包装箱
10’ ブランク
11、11’切欠
15 切込線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱の左右の側壁面となる一対の立面板と、上壁面及び底壁面となる一対の平面板が交互に連設され、各立面板の両端縁には内フラップ片が、各平面板の両端縁には外フラップ片がそれぞれ連設されて端壁面となる容器収納用の包装箱において、
一方の平面板とこれに連接される一対の外フラップ片が、二分割された平面板構成片及びこれに連接する二分割された外フラップ構成片からなっており、
各平面板構成片が一対の立面板の外側に折目線を介して連設されており、
各平面板構成片の外側には包装箱形成時に平面板の端部を除いた中途位置で少なくとも一部が上下に重なる重合せ部がそれぞれ設けられ、前記一対の平面板構成片の重合せ部を接着せずに相互に重ね合わせ、外フラップ構成片を内フラップ片に貼り合わせてなることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
包装箱の平面板に配置された重合せ部が、包装箱に縦横に並んで収納される複数の容器の頭部の列と列の間に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
平面板構成片と折目線を介して接する立面板に、該折目線の両端から立面板と内フラップ片との折目線に向かって延びる一対の切込線が形成されると共に該切込線の先端間を結ぶ折目線が形成されており、箱組立時に左右の立面板の上部が内向きに傾斜する傾斜面となることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
内フラップ片の箱組立時の高さ方向の長さが、包装箱に収納される被収納物の高さよりも短く設定されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
外フラップ構成片の外側には、平面板構成片の重合せ部の延長方向に重合せ貼付部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
外フラップ構成片に重合せ貼付部が形成されず、平面板構成片に対して重合せ部の重ね合わせ個所の横幅分だけ短い横幅に設定されており、一対の外フラップ構成片が相互に接着されずにそれぞれ内フラップ片に接着されることを特徴とする請求項1から4に記載のいずれかに記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−255963(P2011−255963A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108869(P2011−108869)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】