説明

包装箱

【課題】収容状態での剛性を低下させることなく、取出時の作業性を向上する。
【解決手段】中しん4を、フラップ14A,14B,16A,16Bの突出方向に沿って延びるように構成し、フラップ14A,14B,16A,16Bのうち少なくとも第1のフラップ14A,14Bに、連続する壁10A,10Bとの境界から中しん4の延び方向に沿って延びる折曲誘導用折曲線20,20a〜20cを設け、各フラップ14A,14B,16A,16Bの開封状態で、第1のフラップ14A,14Bを折曲誘導用折曲線20,20a〜20cに沿って折り曲げることにより、連続する壁10A,10Bを中しん4の延び方向に沿って折曲可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の商品を収容する段ボール紙製の包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の包装箱は、対向する各一対の側壁および端壁を備え、各壁にフラップが連設されている。この包装箱は、例えば端壁に連設した内フラップを内向きに折り曲げた後、側壁に連設した外フラップを内向きに折り曲げ、突き合わさった外フラップの先端を粘着テープで貼着したり、内フラップと外フラップの重畳部分をホットメルトなどによって貼着することにより、閉塞する構成としている。
【0003】
この包装箱の内部には、小箱や缶飲料などの商品を詰めるように収容させることが多い。しかし、この場合には、包装箱と商品との間に隙間が殆どないため、包装箱から商品を取り出す際の作業性が悪い。
【0004】
そこで、特許文献1では、一対の側壁の下端中央から上端隅部に向けて傾斜して延びる略V字形状の第1折曲線と、側壁の下端中央から連続するフラップの先端中央にかけて延びる第2折曲線とを設けた汎用形式の包装箱を提供している。
【0005】
また、特許文献2では、側壁の下端隅部から連続する上側外フラップの先端中央に向けて傾斜して延びる略逆V字形状の折目線を設けたラップラウンド形式の包装箱を提供している。
【0006】
これらの包装箱は、上蓋を構成する上フラップを開封した状態で、商品と側壁との間に手を差し込むことにより、折目線に沿って側壁および外フラップを折り曲げ、商品と側壁との間に取出用の隙間を形成できる。よって、商品を取り出す際の作業性を向上できる。
【0007】
しかしながら、これらの包装箱は、側壁に上下方向に延びる折目線を設けているため、表紙および裏紙の間に中しんを配設した段ボール紙製であっても、剛性が低下して耐圧強度が悪くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−287322号公報
【特許文献2】特開2009−73537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、収容状態での剛性を低下させることなく、取出時の作業性を向上できる包装箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の包装箱は、表紙および裏紙の間に波状をなすように中しんを配設した段ボール紙からなり、対向する各一対の側壁および端壁を備え、各壁の上端に上蓋を構成するフラップを連設した包装箱において、前記中しんを、前記フラップの突出方向に沿って延びるように構成し、前記フラップのうち少なくとも第1のフラップに、連続する壁との境界から前記中しんの延び方向に沿って延びる折曲誘導用折曲線を設け、各フラップの開封状態で、第1のフラップを折曲誘導用折曲線に沿って折り曲げることにより、連続する壁を前記中しんの延び方向に沿って折曲可能な構成としている。
この包装箱では、前記中しんおよび折曲誘導用折曲線は、第1のフラップと連続する壁との境界線に対して直交方向に延びる構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装箱は、中しんをフラップの突出方向に沿って延びるように構成しているため、即ち、中しんを収容状態で他の包装箱を積み上げる上下方向に延びるように構成している。よって、商品の収容状態では、上下方向に延びる側壁および端壁には、何ら折曲線を設けていないため、包装箱の剛性が低下することを防止でき、耐圧強度を確保できる。
【0012】
そして、包装箱内の商品を取り出す際には、折曲誘導用折曲線を設けた第1のフラップを連設した壁と商品との間に手を差し込む。これにより、第1のフラップが折曲誘導用折曲線に沿って折れ曲がる。また、第1フラップが折れ曲がると、中しんの延び方向である段目に沿って、折曲誘導用折曲線に追従して連続した壁が折れ曲がる。その結果、壁と商品との間には、有効的な取出用の隙間が形成される。よって、包装箱内の商品の取出作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の包装箱の封緘状態を示す斜視図である。
【図2】図1の包装箱の開封状態を示す斜視図である。
【図3】図1の包装箱の商品取出状態を示す斜視図である。
【図4】(A)は図1の包装箱のブランクを示す平面図、(B)は段ボール紙の構成を示す断面図である。
【図5】第2実施形態の包装箱の商品取出状態を示す斜視図である。
【図6】図5の包装箱のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1から図4は、本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す。この包装箱は、四方を囲繞する壁面10A,10B,11A,11Bを備え、これら壁面10A,10B,11A,11Bの上端に上蓋を構成する上側フラップ14A,14B,16A,16Bを連設するとともに、下端に下蓋を構成する下側フラップ15A,15B,17A,17Bを連設している。そして、本発明の包装箱は、一対の上側外フラップ14A,14Bに、折曲誘導用折曲線20を設けることにより、内部に収容した商品5の取出作業性を向上できるようにしたものである。
【0016】
この包装箱は、段ボール紙1を周知の紙器打抜装置(図示せず)によって図4(A)に示す連続した一枚のブランクとして打ち抜き、所定部位を糊付けにより貼着して成形される。なお、段ボール紙1は、図4(B)に示すように、表紙2および裏紙3の間に波状をなすように中しん4を配設したものである。
【0017】
第1実施形態の包装箱のブランクは、図4(A)に示すように、横方向に連続する4面の壁面10A,10B,11A,11Bを備えている。具体的には、左端から右端にかけて、側壁10A、端壁11A、側壁10Bおよび端壁11Bの順番で連設されている。各一対の側壁10A,10Bおよび端壁11A,11Bは、それぞれ組立状態で互いに対向し、平行に延びるように位置する。そのうち、左側端部に位置する側壁10Aの側縁には、右側端部に位置する端壁11Bに貼着するための糊代部12が連設されている。これら側壁10A,10B、端壁11A,11Bおよび糊代部12の各境界部分には、肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した第1折曲線13が設けられている。
【0018】
側壁10A,10Bには、それぞれの上端に上側外フラップ14A,14Bが連設され、それぞれの下端に下側外フラップ15A,15Bが連設されている。また、端壁11A,11Bには、それぞれの上端に上側内フラップ16A,16Bが連設され、それぞれの下端に下側内フラップ17A,17Bが連設されている。さらに、糊代部12には、上端に組立状態で隣接する上側内フラップ16Bに貼着するための糊代片18が連設されている。そして、これら各フラップ14A,14B〜17A,17Bと、連続した各壁面10A,10B,11A,11Bとの各境界部分、および、糊代部12と糊代片18の境界部分には、第1折曲線13に対して直交方向に延びる第2折曲線19が設けられている。
【0019】
この包装箱のブランクは、段ボール紙1の中しん4の延び方向(以下「段目」と称する。)が、フラップ14A,14B〜17A,17Bの突出方向、即ち、第1折曲線13の延び方向に沿って延びるように構成している。これにより、図1に示すように、組立方向の包装箱は、段目が各壁面10A,10B,11A,11Bに対して上下方向に延びるようになる。これにより、包装箱の上に他の包装箱を積み上げた際の剛性(耐圧強度)を向上できるように構成している。
【0020】
そして、本実施形態では、上側外フラップ14A,14Bに、連続した側壁10A,10Bとの境界である第2折曲線19から上側外フラップ14A,14Bの先端縁にかけて延びる折曲誘導用折曲線20a,20b,20cが設けられている。これら折曲誘導用折曲線20a〜20cは、第1および第2折曲線13,19と同様に、肉厚を圧縮するように裏紙3の側から罫を入れて形成したもので、それぞれ段目に沿って平行に延びるように設けられている。また、中央に位置する折曲誘導用折曲線20aは、側壁10A,10Bの横方向の中央に位置し、その両側に位置する折曲誘導用折曲線20b,20cは、側壁10A,10Bの横方向の略1/4の箇所に位置するように構成されている。
【0021】
このように構成した包装箱のブランクは、表紙2に収容する商品5に応じた印刷が施され、その印刷により天地の方向性が規定される。また、この包装箱は、糊代部12および糊代片18の表紙2に酢酸ビニルエマルジョン系の接着剤などを塗布した状態で、端壁11Aに対して側壁10Aを折り曲げるとともに、側壁10Bに対して端壁11Bを折り曲げる。そして、重畳した端壁11Bの端部と糊代部12、および、上側内フラップ16Bと糊代片18をプレスすることにより接着し、この状態で所定の商品5の製造メーカに出荷される。
【0022】
そして、製造メーカでは、各壁面10A,10B,11A,11Bが平面視矩形状をなすように広げ、下蓋を構成する下側内フラップ17A,17Bを内向きに屈曲させた後、下側外フラップ15A,15Bを内向きに屈曲させる。その後、例えば互いに突き合わさった下側外フラップ15A,15Bの先端を粘着テープで貼着することにより封緘する。または、下側外フラップ15A,15Bと下側内フラップ17A,17Bの重畳部分をホットメルトなどにより貼着することにより封緘する。
【0023】
この状態で、内部に小箱などの商品5を詰め込んで収容させ、上蓋を構成する上側内フラップ16A,16Bを内向きに屈曲させた後、上側外フラップ14A,14Bを内向きに屈曲させる。その後、下側フラップ15A,15B,17A,17Bと同様にして、包装箱の天面を封緘する。
【0024】
図1に示すように、この封緘状態の包装箱は、上下方向に延びる側壁10A,10Bおよび端壁11A,11Bには、切断部を含む折曲線は何ら設けられていない。そのため、段ボール紙1が有する腰が十分に維持され、上下方向に加わる圧縮強度に対して高い抗力を有する。そのため、包装箱の剛性を十分に確保できる。よって、輸送時にこの包装箱を積み上げても、下側の包装箱が上側の包装箱の荷重によって座屈などの変形が生じることを防止できる。
【0025】
一方、この包装箱に収容した商品5を納入した販売店などは、販売の際に包装箱から商品5を取り出す。この際には、天面の粘着テープまたはホットメルトを剥がして、図2に示すように、上蓋を開封する。その後、図3に示すように、商品5と側壁10Aまたは側壁10Bの間(図示では側壁10B)に手を差し込む。これにより第1のフラップである上側外フラップ14Bが折曲誘導用折曲線20a〜20cに沿って折れ曲がる。そうすると、折曲誘導用折曲線20a〜20cの折れ曲がりに追従して、連続した側壁10Bが段目に沿って折れ曲がる。その結果、図示のように、側壁10Bと商品5との間には、有効的な取出用の隙間が形成される。よって、包装箱内の商品5の取出作業性を向上できる。
【0026】
しかも、本実施形態の包装箱は、側壁10A,10B、端壁11A,11B、および、フラップ14A,14B〜17A,17Bを備えた汎用の包装箱に対して、上側外フラップ14A,14Bに折曲誘導用折曲線20a〜20cを設けただけの構成である。そのため、この種の包装箱を打ち抜く際には、汎用機械であるフレキソグルアにより製造できる。よって、安価かつ容易に大量生産することができる。
【0027】
図5および図6は第2実施形態の包装箱を示す。この包装箱は、上側外フラップ14A,14Bに形成する折曲誘導用折曲線20を1本のみ、横方向の中央に設ける構成とした点でのみ、第1実施形態と相違している。このように構成した第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0028】
なお、本発明の包装箱は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0029】
例えば、前記実施形態では、折曲誘導用折曲線20,20a〜20cを一対の上側外フラップ14A,14Bにそれぞれ設けたが、一方の上側外フラップ14Aまたは14Bに設けてもよい。また、上側外フラップ14A,14Bに限られず、折曲誘導用折曲線20,20a〜20cは、上側内フラップ16Aまたは16Bに設けてもよい。
【0030】
また、前記実施形態では、折曲誘導用折曲線20,20a〜20cを段ボール紙1の肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した折曲線により構成したが、裏紙3だけを切断するようにした半切り線や、折曲線上に所定間隔をもって切断部を設けたリード罫により構成してもよい。勿論、裏紙3ではなく、表紙2の側に設けるようにしてもよい。
【0031】
さらに、前記実施形態では、折曲誘導用折曲線20,20a〜20cを上側外フラップ14A,14Bの先端縁にかけて設けたが、先端縁には達しない寸法で設けてもよい。即ち、連続する側壁10A,10Bとの境界である第2折曲線19から上側外フラップ14A,14Bの先端に向けて段目に沿って延びる構成であればよい。
【0032】
そして、前記実施形態では、側壁10A,10B,端壁11A,11B、および、上蓋と下蓋を構成するフラップ14A,14B〜17A,17Bからなる六面体構造の包装箱を例に挙げたが、各側壁10A,10Bと端壁11A,11Bとの境界部分に面取り壁を設けた平面視八角形状の包装箱であっても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1…段ボール紙
2…表紙
3…裏紙
4…中しん
5…商品
10A,10B…側壁
11A,11B…端壁
14A,14B…上側外フラップ(第1のフラップ)
15A,15B…下側外フラップ
16A,16B…上側内フラップ
17A,17B…下側内フラップ
20,20a〜20c…折曲誘導用折曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙および裏紙の間に波状をなすように中しんを配設した段ボール紙からなり、対向する各一対の側壁および端壁を備え、各壁の上端に上蓋を構成するフラップを連設した包装箱において、
前記中しんを、前記フラップの突出方向に沿って延びるように構成し、
前記フラップのうち少なくとも第1のフラップに、連続する壁との境界から前記中しんの延び方向に沿って延びる折曲誘導用折曲線を設け、
各フラップの開封状態で、第1のフラップを折曲誘導用折曲線に沿って折り曲げることにより、連続する壁を前記中しんの延び方向に沿って折曲可能としたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記中しんおよび折曲誘導用折曲線は、第1のフラップと連続する壁との境界線に対して直交方向に延びることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−98763(P2011−98763A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255210(P2009−255210)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】