包装箱
【課題】支持部材を備えた包装箱への商品の収納作業を簡便に行うこと。
【解決手段】前面板1と背面板2の下端に突片3を連設し、両突片3の横方向中央部に折り込み片7を形成するとともに、この折り込み片7の左右両側に、順に支持片8、起立片9を対称に連設する。そして、両突片3、3を包装箱の内側に折り返すとともに、対向する突片3の起立片9同士を連結片10で連結する。また、前面板1と背面板2は、両側辺において連結され、この両板1、2の間に、両突片3、3は折り畳まれた状態でコンパクトに収納される。この両側辺を互いに接近させて包装箱本体を立体的に組み立てると、両板1、2に連設された起立片9が起立し、これに伴って、商品Pを支持する支持片8が起立する。
【解決手段】前面板1と背面板2の下端に突片3を連設し、両突片3の横方向中央部に折り込み片7を形成するとともに、この折り込み片7の左右両側に、順に支持片8、起立片9を対称に連設する。そして、両突片3、3を包装箱の内側に折り返すとともに、対向する突片3の起立片9同士を連結片10で連結する。また、前面板1と背面板2は、両側辺において連結され、この両板1、2の間に、両突片3、3は折り畳まれた状態でコンパクトに収納される。この両側辺を互いに接近させて包装箱本体を立体的に組み立てると、両板1、2に連設された起立片9が起立し、これに伴って、商品Pを支持する支持片8が起立する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、化粧品等の商品を収納する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の瓶等の破損しやすい商品を収納する包装箱は、搬送中の破損を防止するため、この包装箱の内側に衝撃吸収材等の商品支持部材を設けることが多い。例えば、下記特許文献1に示す衝撃吸収材(支持部材)は、段ボールに、収納する商品がちょうど嵌まり込む切り込み等を形成し、これを立体的に組み立てたものである。この組み立てた支持部材は包装箱に入れられて、収納した商品をがたつきなく保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−291355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す支持部材は、包装箱本体とは別部材であって、この支持部材を組み立てた上で包装箱に入れ、商品を収納しなければならず、その作業が煩雑である。また、この支持部材を商品の収納作業前に予め組み立てておけば、その煩雑さは若干解消するが、組み立て済みの嵩高い支持部材を一時的にストックしておく場所を確保しなければならず、不便なことが多い。
【0005】
そこで、この発明は、支持部材を備えた包装箱への商品の収納作業を簡便に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明は、支持部材と包装箱本体を一体に構成し、商品の収納作業の際に、包装箱に立体的に組み立てた支持部材を入れる工程を行わなくても良いようにした。さらに、商品の収納前においては、包装箱及び支持部材が折り畳まれた状態として省スペース化を図る一方で、収納作業において包装箱を立体的に組み立てた際に、支持部材も同時に立体的に組み立てられるようにし、この収納作業の効率を大幅に向上し得るようにした。
【0007】
この発明の構成として、前面板の両側の側辺と、背面板の両側の側辺をそれぞれ連結し、前記両側辺を互いに接近させて前記前面板と前記背面板をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させ、両板の間に空間を形成して、この空間に商品を収納するようにした包装箱において、前記前面板と前記背面板の下端に、折目線を介して突片をそれぞれ連設し、前記突片は、その横方向中央が折り込み片であり、この折り込み片の左右両側に順に支持片、起立片を折目線を介してそれぞれ連設したものであって、前記支持片と前記折り込み片及び前記起立片とをそれぞれ画する2本の折目線は、前記前面板及び前記背面板と前記突片との間の折目線上で交差し、両突片のうち一方の突片の前記起立片に、連結片を折目線を介して連設し、前記両突片を、前記前面板及び前記背面板の内面側に沿うようにそれぞれ折り返し、この折り返した状態で前記連結片と、この連結片を形成した突片と対向する突片に形成した前記起立片とを貼り合わせ、前記商品の収納の際に、前記折り込み片は前記内面側に沿う状態を維持しつつ前記起立片が前記空間内に起立し、この起立に伴って前記起立片に連設した前記支持片も前記空間内に起立して、前記支持片で、収納した商品を支持するようにした。
【0008】
また、この支持片は、その両隣に折り込み片と起立片が連設されている。この折り込み片は、包装箱の折り畳み状態あるいは組み立て状態のいずれの状態においても、前記前面板又は前記背面板に沿う状態を保っている。その一方で、起立片は、包装箱の折り畳み状態では前記前面板等に沿う状態を保っているが、包装箱の組み立て状態では、前記前面板等から起立した状態となる。これは、前面板と背面板の側辺同士を接近させて、この前面板と背面板をそれぞれ外向きに湾曲させて(外向きに膨らませた状態として)、両板の間に空間を形成すると、この空間を跨ぐように、連結片によって連結された起立片が互いに引き合うからである。
【0009】
このように起立片が起立すると、この起立片に連設された支持片も起立しようとする。ところが、この支持片の前記折り込み片に連設された側は、折り込み片に拘束されて起立することができない。このため、この支持片は、前記前面板又は前記背面板の下端から斜め上向きに起立することとなる。
【0010】
このように、斜め上向きに起立した支持片は、商品の底面と接触してこの商品を支持し、包装箱の下側への落下を防止する底板として機能する。これと同時に、商品に下向きの衝撃が加わった場合に、前記支持片が下向きに撓んで、その衝撃を緩和する支持部材としての機能も発揮する。
【0011】
この突片を構成する折り込み片、支持片、及び起立片は、包装箱の折り畳み時はその箱体内に折り畳まれた状態で収納されていて、コンパクトで保管性に優れている。また、この包装箱の組み立てとともに、支持部材の組み立て(支持片の起立)も同時になされるため、商品の収納作業をスムーズに行い得る。
【0012】
また、前記構成においては、前記支持片の前記商品の支持端に、前記商品の底部形状に沿う湾曲部を形成するのが好ましい。
【0013】
この湾曲部の形状は、収納する商品の底部形状に対応して適宜決められる。例えば、底部中央が外周部と比較して上向きに凸形状をなす場合、起立した前記支持片の先端部付近に上方向への丸みを持たせ、この先端部が前記底部中央付近にちょうど沿うようにすれば、この支持片で商品の底部を安定的に支持することができる。
【0014】
また、前記各構成においては、前記起立片に、収納した前記商品に当接する突起部を形成するのが好ましい。
【0015】
この突起部は、商品の例えば側面に当接してがたつきを抑制し、この商品が包装箱内で偏った状態となるのを防止することができる。
【0016】
また、前記各構成においては、前記前面板又は前記背面板の少なくとも一方の上端に、箱体内に商品を収納した際の上部開口形状と同形状の蓋板を折目線を介して連設し、この蓋板に、前記商品が当接する係止部を形成するのが好ましい。
【0017】
この係止部は、商品の上部のがたつきを抑制し、これにより支持部材による商品の支持状態を安定し得る。このため、商品の破損防止機能が一層高まる。
【発明の効果】
【0018】
この発明では、商品の破損を防止する支持部材と包装箱本体を一体に構成した。商品の収納作業前においては、包装箱及び支持部材が折り畳まれた状態となっており、省スペース化を図ることができる。その一方で、収納作業においては、この包装箱を組み立てた際に、支持片等から構成される支持部材も同時に立体的に組み立てられるため、商品の収納作業の効率を大幅に向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る包装箱の第一の実施形態を示す斜視図
【図2】図1に示す包装箱の展開図
【図3A】図1に示す包装箱の組み立て工程において、突片を折り返しつつある状態を示す斜視図
【図3B】図3Aの工程に引き続いて、突片の折り込み片を包装箱の内面側に貼り付けた状態を示す斜視図
【図3C】図3Bの工程に引き続いて、前面板を背面板側に折り返しつつある状態を示す斜視図
【図3D】図3Cの工程に引き続いて、背面板に、前面板に連設した連結片を貼り付けた状態を示す斜視図
【図4】包装箱に商品を収納した状態を示す正面図
【図5】図4中のV−V線に沿う断面図
【図6】図4に示す包装箱の底面図
【図7】図4に示す包装箱の蓋板付近の要部斜視図
【図8】この発明に係る包装箱の第二の実施形態を示す展開図
【図9】図8に示す包装箱の底部付近を示す要部斜視図
【図10】この発明に係る包装箱の第三の実施形態を示す展開図
【図11】図10に示す包装箱の底部付近を示す要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る包装箱の第一の実施形態の斜視図を図1に、展開図を図2にそれぞれ示す。この包装箱は、前面板1の両側の側辺と、背面板2の両側の側辺をそれぞれ連結し、前記両側辺を互いに接近させて前面板1と背面板2をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させ、両板1、2の間に空間を形成して、この空間に商品Pを収納するようにしたものである(図1を参照)。
【0021】
この包装箱は、前面板1と、背面板2と、前面板1及び背面板2の下端に折目線fを介して連設された突片3と、前面板1及び背面板2の上端に折目線fを介して連設された蓋板4とを備えている。前面板1の側辺には、連結片5が折目線fを介して連設されている。また、前面板1には窓部6が形成されていて、この窓部6から包装箱内に収納した商品Pが見えるようになっている。
【0022】
前面板1及び背面板2の下端に連設された突片3には、その横方向中央部に折り込み片7が形成されており、この折り込み片7の左右両側に、順に支持片8、起立片9が折目線fを介して対称に連設されている。支持片8と、折り込み片7及び起立片9とをそれぞれ画する二本の折目線f、fは、前面板1及び背面板2と突片3との間の折目線fで交差している。これらの折目線fの交差点から、前面板1及び背面板2の上向きに、それぞれ罫線mが形成されている。この罫線mを形成すると、後述する包装箱の組み立ての際に、前面板1及び背面板2を、この罫線mに沿って容易に曲げることができるため、その作業性が高まる。前面板1の下端に連設された突片3の左右両端には、折目線fを介して連結片10が連設されている。
【0023】
支持片8の商品Pと当接する支持端8aは湾曲形状をしており、この支持端8aが商品Pの底部にちょうど沿うことによって、収納した商品Pを安定的に保持し得るようにしている。この支持端8aの形状は、図示のものに限定されず、商品Pの底部の形状に合わせて適宜変更するのが好ましい。
【0024】
背面板2側の蓋板4には、係止部11が形成され、収納した商品Pの上部を二つの係止部11、11で挟み込むことにより、この商品Pを安定的に保持し得るようにしている。
【0025】
この包装箱の組み立て工程の斜視図を図3A〜図3Dに示す。まず、前面板1及び背面板2に連設した突片3を、包装箱の内側にそれぞれ折り返す(図3Aを参照)。そして、折り返した突片の折り込み片7の網掛け部分に糊を塗布し、この折り込み片7を前面板1及び背面板2の内面側に貼り付ける(図3Bを参照)。
【0026】
次に、前面板1に連設した連結片5の網掛け部分に糊を塗布し、前面板1を背面板2側に折り返して、連結片5を背面板2に貼り付ける。これとともに、一方の起立片9に連設した連結片10を折り返し、この連結片10の網掛け部分にも糊を塗布し、他方の(対向する)起立片9に貼り付ける(図3Cを参照)。これで商品収納前の前準備が完了する。
【0027】
この前準備段階の包装箱は、折り込み片7、支持片8、及び起立片9から構成される支持部材は包装箱本体の内側に折り畳まれていて、全体としてフラットでコンパクトな状態となっている(図3Dを参照)。このため、折り畳んだ包装箱を重ね合わせて保管しておくことができ、この保管のために広いスペースを必要としない。
【0028】
この支持部材は、包装箱本体を立体的に組み立てる際に、同時に立体的に組み立てられ、図4及び5に示すように、その組み立てた状態で包装箱内に商品Pを収納することができる。収納された商品Pは、図6に示すように、その底部が支持片8の支持端8aに当接して安定的に保持される。しかも、図7に示すように、その頭部が二つの係止部11、11に挟み込まれるように当接してがたつきが防止されるため、搬送中等における破損が防止される。
【0029】
前記支持部材の組み立ては、次のようにしてなされる。まず、前面板1と背面板2の両側辺を互いに接近させて、前面板1と背面板2をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させて両板1、2を離間させる。すると、この離間に伴って両板1、2に連設した突片3の起立片9も互いに離間しようとする。ところが、対向する起立片9、9は、上述したように互いに連結片10によって連結されているため、両起立片9、9の自由な離間が妨げられる。このため、両起立片9、9が次第に両板1、2から引き起こされる。
【0030】
その一方で、両板1、2に貼り付けた折り込み片7は、包装箱本体の組み立ての際に、両板1、2に沿った状態が維持される。このため、折り込み片7と起立片9の両方に連設された支持片8は、その一方の折目線f側で両板1、2に沿いつつ、他方の折目線f側で起立片9によって引き起こされた状態となる。すなわち、この支持片8は、両板1、2の下端から上向きに、かつ斜め方向に張り出すように起立することとなる。
【0031】
この斜め上向き方向に起立した支持片8で商品Pを支持すると、この商品Pに上下方向の衝撃が加わったときに、この支持片8が下向きに撓みやすいため、その衝撃を効果的に緩和することができる。また、この支持片8同士の間には隙間が形成されるため、この隙間を通して、商品Pの底部に記載したロット番号等を容易に読み取ることができる。
【0032】
商品Pの収納後に、前面板1及び背面板2の上端に連設した蓋板4を内側に折り込んで、商品Pの箱詰め作業を完了する。
【0033】
この発明に係る包装箱の第二の実施形態の展開図を図8に、斜視図を図9にそれぞれ示す。この包装箱は、図1に示した包装箱の構成とほぼ同じであるが、支持片8の形状が若干異なっている。この支持片8は、包装箱を立体的に組み立てた際に、四つの支持片8の支持端8aがほぼ水平に、かつ四角形状に配置されるように構成されている。この支持片8の支持端8aの形状は、収納する商品Pの底部の形状に合わせて適宜変更することもできる。この支持片8同士の間には隙間があるため、図1等に示した包装箱と同様に、この隙間を通して、商品Pの底部に記載したロット番号等を容易に読み取ることができる。
【0034】
起立片9の先端には突起部12(図8を参照)が形成され、この突起部12が、収納した商品Pの下部に当接する。この当接により、商品Pのがたつきを防止して、搬送中等における破損を防止している。
【0035】
この発明に係る第三の実施形態の展開図を図10に、要部斜視図を図11にそれぞれ示す。第一及び第二の実施形態においては、支持片8同士の間に隙間を設け、この隙間から商品Pの底部が見える構成としたが、この実施形態のように、隙間を設けない構成とすることもできる。第二の実施形態と第三の実施形態の展開図を比較すると、第二の実施形態では突片3に形成した支持片8の支持端8a同士のなす角度は約160度であったのに対し(図8中の矢印θ1を参照)、第三の実施形態では前記角度は約100度である(図10中の矢印θ2を参照)。
【0036】
このように、支持端8a同士のなす角度を小さくすると、包装箱を組み立てた際に両支持端8a、8aを互いに当接した状態(前記隙間を閉じた状態)とすることもできる。前記隙間が閉じるための前記角度は、包装箱の形状(組み立て時の前面板1と背面板2の距離等)によって変わるため、その設計段階において適宜決定する。
【0037】
上記の各実施形態では前面板1に窓部6を形成したが、この窓部6は不要であれば省略することもできる。また、蓋板4に形成する係止部11、及び起立片9に形成する突起部12は、いずれの実施形態においても、適宜追加又は省略することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 前面板
2 背面板
3 突片
4 蓋板
5 連結片
6 窓部
7 折り込み片
8 支持片
8a 支持端
9 起立片
10 連結片
11 係止部
12 突起部
f 折目線
m 罫線
【技術分野】
【0001】
この発明は、化粧品等の商品を収納する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の瓶等の破損しやすい商品を収納する包装箱は、搬送中の破損を防止するため、この包装箱の内側に衝撃吸収材等の商品支持部材を設けることが多い。例えば、下記特許文献1に示す衝撃吸収材(支持部材)は、段ボールに、収納する商品がちょうど嵌まり込む切り込み等を形成し、これを立体的に組み立てたものである。この組み立てた支持部材は包装箱に入れられて、収納した商品をがたつきなく保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−291355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す支持部材は、包装箱本体とは別部材であって、この支持部材を組み立てた上で包装箱に入れ、商品を収納しなければならず、その作業が煩雑である。また、この支持部材を商品の収納作業前に予め組み立てておけば、その煩雑さは若干解消するが、組み立て済みの嵩高い支持部材を一時的にストックしておく場所を確保しなければならず、不便なことが多い。
【0005】
そこで、この発明は、支持部材を備えた包装箱への商品の収納作業を簡便に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明は、支持部材と包装箱本体を一体に構成し、商品の収納作業の際に、包装箱に立体的に組み立てた支持部材を入れる工程を行わなくても良いようにした。さらに、商品の収納前においては、包装箱及び支持部材が折り畳まれた状態として省スペース化を図る一方で、収納作業において包装箱を立体的に組み立てた際に、支持部材も同時に立体的に組み立てられるようにし、この収納作業の効率を大幅に向上し得るようにした。
【0007】
この発明の構成として、前面板の両側の側辺と、背面板の両側の側辺をそれぞれ連結し、前記両側辺を互いに接近させて前記前面板と前記背面板をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させ、両板の間に空間を形成して、この空間に商品を収納するようにした包装箱において、前記前面板と前記背面板の下端に、折目線を介して突片をそれぞれ連設し、前記突片は、その横方向中央が折り込み片であり、この折り込み片の左右両側に順に支持片、起立片を折目線を介してそれぞれ連設したものであって、前記支持片と前記折り込み片及び前記起立片とをそれぞれ画する2本の折目線は、前記前面板及び前記背面板と前記突片との間の折目線上で交差し、両突片のうち一方の突片の前記起立片に、連結片を折目線を介して連設し、前記両突片を、前記前面板及び前記背面板の内面側に沿うようにそれぞれ折り返し、この折り返した状態で前記連結片と、この連結片を形成した突片と対向する突片に形成した前記起立片とを貼り合わせ、前記商品の収納の際に、前記折り込み片は前記内面側に沿う状態を維持しつつ前記起立片が前記空間内に起立し、この起立に伴って前記起立片に連設した前記支持片も前記空間内に起立して、前記支持片で、収納した商品を支持するようにした。
【0008】
また、この支持片は、その両隣に折り込み片と起立片が連設されている。この折り込み片は、包装箱の折り畳み状態あるいは組み立て状態のいずれの状態においても、前記前面板又は前記背面板に沿う状態を保っている。その一方で、起立片は、包装箱の折り畳み状態では前記前面板等に沿う状態を保っているが、包装箱の組み立て状態では、前記前面板等から起立した状態となる。これは、前面板と背面板の側辺同士を接近させて、この前面板と背面板をそれぞれ外向きに湾曲させて(外向きに膨らませた状態として)、両板の間に空間を形成すると、この空間を跨ぐように、連結片によって連結された起立片が互いに引き合うからである。
【0009】
このように起立片が起立すると、この起立片に連設された支持片も起立しようとする。ところが、この支持片の前記折り込み片に連設された側は、折り込み片に拘束されて起立することができない。このため、この支持片は、前記前面板又は前記背面板の下端から斜め上向きに起立することとなる。
【0010】
このように、斜め上向きに起立した支持片は、商品の底面と接触してこの商品を支持し、包装箱の下側への落下を防止する底板として機能する。これと同時に、商品に下向きの衝撃が加わった場合に、前記支持片が下向きに撓んで、その衝撃を緩和する支持部材としての機能も発揮する。
【0011】
この突片を構成する折り込み片、支持片、及び起立片は、包装箱の折り畳み時はその箱体内に折り畳まれた状態で収納されていて、コンパクトで保管性に優れている。また、この包装箱の組み立てとともに、支持部材の組み立て(支持片の起立)も同時になされるため、商品の収納作業をスムーズに行い得る。
【0012】
また、前記構成においては、前記支持片の前記商品の支持端に、前記商品の底部形状に沿う湾曲部を形成するのが好ましい。
【0013】
この湾曲部の形状は、収納する商品の底部形状に対応して適宜決められる。例えば、底部中央が外周部と比較して上向きに凸形状をなす場合、起立した前記支持片の先端部付近に上方向への丸みを持たせ、この先端部が前記底部中央付近にちょうど沿うようにすれば、この支持片で商品の底部を安定的に支持することができる。
【0014】
また、前記各構成においては、前記起立片に、収納した前記商品に当接する突起部を形成するのが好ましい。
【0015】
この突起部は、商品の例えば側面に当接してがたつきを抑制し、この商品が包装箱内で偏った状態となるのを防止することができる。
【0016】
また、前記各構成においては、前記前面板又は前記背面板の少なくとも一方の上端に、箱体内に商品を収納した際の上部開口形状と同形状の蓋板を折目線を介して連設し、この蓋板に、前記商品が当接する係止部を形成するのが好ましい。
【0017】
この係止部は、商品の上部のがたつきを抑制し、これにより支持部材による商品の支持状態を安定し得る。このため、商品の破損防止機能が一層高まる。
【発明の効果】
【0018】
この発明では、商品の破損を防止する支持部材と包装箱本体を一体に構成した。商品の収納作業前においては、包装箱及び支持部材が折り畳まれた状態となっており、省スペース化を図ることができる。その一方で、収納作業においては、この包装箱を組み立てた際に、支持片等から構成される支持部材も同時に立体的に組み立てられるため、商品の収納作業の効率を大幅に向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る包装箱の第一の実施形態を示す斜視図
【図2】図1に示す包装箱の展開図
【図3A】図1に示す包装箱の組み立て工程において、突片を折り返しつつある状態を示す斜視図
【図3B】図3Aの工程に引き続いて、突片の折り込み片を包装箱の内面側に貼り付けた状態を示す斜視図
【図3C】図3Bの工程に引き続いて、前面板を背面板側に折り返しつつある状態を示す斜視図
【図3D】図3Cの工程に引き続いて、背面板に、前面板に連設した連結片を貼り付けた状態を示す斜視図
【図4】包装箱に商品を収納した状態を示す正面図
【図5】図4中のV−V線に沿う断面図
【図6】図4に示す包装箱の底面図
【図7】図4に示す包装箱の蓋板付近の要部斜視図
【図8】この発明に係る包装箱の第二の実施形態を示す展開図
【図9】図8に示す包装箱の底部付近を示す要部斜視図
【図10】この発明に係る包装箱の第三の実施形態を示す展開図
【図11】図10に示す包装箱の底部付近を示す要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る包装箱の第一の実施形態の斜視図を図1に、展開図を図2にそれぞれ示す。この包装箱は、前面板1の両側の側辺と、背面板2の両側の側辺をそれぞれ連結し、前記両側辺を互いに接近させて前面板1と背面板2をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させ、両板1、2の間に空間を形成して、この空間に商品Pを収納するようにしたものである(図1を参照)。
【0021】
この包装箱は、前面板1と、背面板2と、前面板1及び背面板2の下端に折目線fを介して連設された突片3と、前面板1及び背面板2の上端に折目線fを介して連設された蓋板4とを備えている。前面板1の側辺には、連結片5が折目線fを介して連設されている。また、前面板1には窓部6が形成されていて、この窓部6から包装箱内に収納した商品Pが見えるようになっている。
【0022】
前面板1及び背面板2の下端に連設された突片3には、その横方向中央部に折り込み片7が形成されており、この折り込み片7の左右両側に、順に支持片8、起立片9が折目線fを介して対称に連設されている。支持片8と、折り込み片7及び起立片9とをそれぞれ画する二本の折目線f、fは、前面板1及び背面板2と突片3との間の折目線fで交差している。これらの折目線fの交差点から、前面板1及び背面板2の上向きに、それぞれ罫線mが形成されている。この罫線mを形成すると、後述する包装箱の組み立ての際に、前面板1及び背面板2を、この罫線mに沿って容易に曲げることができるため、その作業性が高まる。前面板1の下端に連設された突片3の左右両端には、折目線fを介して連結片10が連設されている。
【0023】
支持片8の商品Pと当接する支持端8aは湾曲形状をしており、この支持端8aが商品Pの底部にちょうど沿うことによって、収納した商品Pを安定的に保持し得るようにしている。この支持端8aの形状は、図示のものに限定されず、商品Pの底部の形状に合わせて適宜変更するのが好ましい。
【0024】
背面板2側の蓋板4には、係止部11が形成され、収納した商品Pの上部を二つの係止部11、11で挟み込むことにより、この商品Pを安定的に保持し得るようにしている。
【0025】
この包装箱の組み立て工程の斜視図を図3A〜図3Dに示す。まず、前面板1及び背面板2に連設した突片3を、包装箱の内側にそれぞれ折り返す(図3Aを参照)。そして、折り返した突片の折り込み片7の網掛け部分に糊を塗布し、この折り込み片7を前面板1及び背面板2の内面側に貼り付ける(図3Bを参照)。
【0026】
次に、前面板1に連設した連結片5の網掛け部分に糊を塗布し、前面板1を背面板2側に折り返して、連結片5を背面板2に貼り付ける。これとともに、一方の起立片9に連設した連結片10を折り返し、この連結片10の網掛け部分にも糊を塗布し、他方の(対向する)起立片9に貼り付ける(図3Cを参照)。これで商品収納前の前準備が完了する。
【0027】
この前準備段階の包装箱は、折り込み片7、支持片8、及び起立片9から構成される支持部材は包装箱本体の内側に折り畳まれていて、全体としてフラットでコンパクトな状態となっている(図3Dを参照)。このため、折り畳んだ包装箱を重ね合わせて保管しておくことができ、この保管のために広いスペースを必要としない。
【0028】
この支持部材は、包装箱本体を立体的に組み立てる際に、同時に立体的に組み立てられ、図4及び5に示すように、その組み立てた状態で包装箱内に商品Pを収納することができる。収納された商品Pは、図6に示すように、その底部が支持片8の支持端8aに当接して安定的に保持される。しかも、図7に示すように、その頭部が二つの係止部11、11に挟み込まれるように当接してがたつきが防止されるため、搬送中等における破損が防止される。
【0029】
前記支持部材の組み立ては、次のようにしてなされる。まず、前面板1と背面板2の両側辺を互いに接近させて、前面板1と背面板2をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させて両板1、2を離間させる。すると、この離間に伴って両板1、2に連設した突片3の起立片9も互いに離間しようとする。ところが、対向する起立片9、9は、上述したように互いに連結片10によって連結されているため、両起立片9、9の自由な離間が妨げられる。このため、両起立片9、9が次第に両板1、2から引き起こされる。
【0030】
その一方で、両板1、2に貼り付けた折り込み片7は、包装箱本体の組み立ての際に、両板1、2に沿った状態が維持される。このため、折り込み片7と起立片9の両方に連設された支持片8は、その一方の折目線f側で両板1、2に沿いつつ、他方の折目線f側で起立片9によって引き起こされた状態となる。すなわち、この支持片8は、両板1、2の下端から上向きに、かつ斜め方向に張り出すように起立することとなる。
【0031】
この斜め上向き方向に起立した支持片8で商品Pを支持すると、この商品Pに上下方向の衝撃が加わったときに、この支持片8が下向きに撓みやすいため、その衝撃を効果的に緩和することができる。また、この支持片8同士の間には隙間が形成されるため、この隙間を通して、商品Pの底部に記載したロット番号等を容易に読み取ることができる。
【0032】
商品Pの収納後に、前面板1及び背面板2の上端に連設した蓋板4を内側に折り込んで、商品Pの箱詰め作業を完了する。
【0033】
この発明に係る包装箱の第二の実施形態の展開図を図8に、斜視図を図9にそれぞれ示す。この包装箱は、図1に示した包装箱の構成とほぼ同じであるが、支持片8の形状が若干異なっている。この支持片8は、包装箱を立体的に組み立てた際に、四つの支持片8の支持端8aがほぼ水平に、かつ四角形状に配置されるように構成されている。この支持片8の支持端8aの形状は、収納する商品Pの底部の形状に合わせて適宜変更することもできる。この支持片8同士の間には隙間があるため、図1等に示した包装箱と同様に、この隙間を通して、商品Pの底部に記載したロット番号等を容易に読み取ることができる。
【0034】
起立片9の先端には突起部12(図8を参照)が形成され、この突起部12が、収納した商品Pの下部に当接する。この当接により、商品Pのがたつきを防止して、搬送中等における破損を防止している。
【0035】
この発明に係る第三の実施形態の展開図を図10に、要部斜視図を図11にそれぞれ示す。第一及び第二の実施形態においては、支持片8同士の間に隙間を設け、この隙間から商品Pの底部が見える構成としたが、この実施形態のように、隙間を設けない構成とすることもできる。第二の実施形態と第三の実施形態の展開図を比較すると、第二の実施形態では突片3に形成した支持片8の支持端8a同士のなす角度は約160度であったのに対し(図8中の矢印θ1を参照)、第三の実施形態では前記角度は約100度である(図10中の矢印θ2を参照)。
【0036】
このように、支持端8a同士のなす角度を小さくすると、包装箱を組み立てた際に両支持端8a、8aを互いに当接した状態(前記隙間を閉じた状態)とすることもできる。前記隙間が閉じるための前記角度は、包装箱の形状(組み立て時の前面板1と背面板2の距離等)によって変わるため、その設計段階において適宜決定する。
【0037】
上記の各実施形態では前面板1に窓部6を形成したが、この窓部6は不要であれば省略することもできる。また、蓋板4に形成する係止部11、及び起立片9に形成する突起部12は、いずれの実施形態においても、適宜追加又は省略することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 前面板
2 背面板
3 突片
4 蓋板
5 連結片
6 窓部
7 折り込み片
8 支持片
8a 支持端
9 起立片
10 連結片
11 係止部
12 突起部
f 折目線
m 罫線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板(1)の両側の側辺と、背面板(2)の両側の側辺をそれぞれ連結し、前記両側辺を互いに接近させて前記前面板(1)と前記背面板(2)をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させ、両板(1、2)の間に空間を形成して、この空間に商品(P)を収納するようにした包装箱において、
前記前面板(1)と前記背面板(2)の下端に、折目線(f)を介して突片(3)をそれぞれ連設し、前記突片(3)は、その横方向中央が折り込み片(7)であり、この折り込み片(7)の左右両側に順に支持片(8)、起立片(9)を折目線(f)を介してそれぞれ連設したものであって、前記支持片(8)と、前記折り込み片(7)及び前記起立片(9)とをそれぞれ画する2本の折目線(f、f)は、前記前面板(1)及び前記背面板(2)と前記突片(3)との間の折目線(f)上で交差し、両突片(3、3)のうち一方の突片(3)の前記起立片(9)に、連結片(10)を折目線(f)を介して連設し、
前記両突片(3、3)を、前記前面板(1)及び前記背面板(2)の内面側に沿うようにそれぞれ折り返し、この折り返した状態で前記連結片(10)と、この連結片(10)を形成した突片(3)と対向する突片(3)に形成した前記起立片(9)とを貼り合わせ、前記商品(P)の収納の際に、前記折り込み片(7)は前記内面側に沿う状態を維持しつつ前記起立片(9)が前記空間内に起立し、この起立に伴って前記起立片(9)に連設した前記支持片(8)も前記空間内に起立して、前記支持片(8)で、収納した商品(P)を支持するようにしたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記支持片(8)の前記商品(P)の支持端(8a)に、前記商品(P)の底部形状に沿う湾曲部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記起立片(9)に、収納した前記商品(P)に当接する突起部(12)を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記前面板(1)又は前記背面板(2)の少なくとも一方の上端に、箱体内に商品(P)を収納した際の上部開口形状と同形状の蓋板(4)を折目線(f)を介して連設し、この蓋板(4)に、前記商品(P)が当接する係止部(11)を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の包装箱。
【請求項1】
前面板(1)の両側の側辺と、背面板(2)の両側の側辺をそれぞれ連結し、前記両側辺を互いに接近させて前記前面板(1)と前記背面板(2)をそれぞれ外向きに膨らませるように湾曲させ、両板(1、2)の間に空間を形成して、この空間に商品(P)を収納するようにした包装箱において、
前記前面板(1)と前記背面板(2)の下端に、折目線(f)を介して突片(3)をそれぞれ連設し、前記突片(3)は、その横方向中央が折り込み片(7)であり、この折り込み片(7)の左右両側に順に支持片(8)、起立片(9)を折目線(f)を介してそれぞれ連設したものであって、前記支持片(8)と、前記折り込み片(7)及び前記起立片(9)とをそれぞれ画する2本の折目線(f、f)は、前記前面板(1)及び前記背面板(2)と前記突片(3)との間の折目線(f)上で交差し、両突片(3、3)のうち一方の突片(3)の前記起立片(9)に、連結片(10)を折目線(f)を介して連設し、
前記両突片(3、3)を、前記前面板(1)及び前記背面板(2)の内面側に沿うようにそれぞれ折り返し、この折り返した状態で前記連結片(10)と、この連結片(10)を形成した突片(3)と対向する突片(3)に形成した前記起立片(9)とを貼り合わせ、前記商品(P)の収納の際に、前記折り込み片(7)は前記内面側に沿う状態を維持しつつ前記起立片(9)が前記空間内に起立し、この起立に伴って前記起立片(9)に連設した前記支持片(8)も前記空間内に起立して、前記支持片(8)で、収納した商品(P)を支持するようにしたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記支持片(8)の前記商品(P)の支持端(8a)に、前記商品(P)の底部形状に沿う湾曲部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記起立片(9)に、収納した前記商品(P)に当接する突起部(12)を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記前面板(1)又は前記背面板(2)の少なくとも一方の上端に、箱体内に商品(P)を収納した際の上部開口形状と同形状の蓋板(4)を折目線(f)を介して連設し、この蓋板(4)に、前記商品(P)が当接する係止部(11)を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の包装箱。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−91841(P2012−91841A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241920(P2010−241920)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000166258)古林紙工株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000166258)古林紙工株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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