説明

包装箱

【課題】容易に破断することができ、破断により平らに面材の裏面が見易くなる包装箱を提供する。
【解決手段】蓋板2に差込片3が連接した差込式の蓋4を上面に有する包装箱1Aであって、蓋4を閉じた状態で差込片3と重なる正面板8の上端部に指掛け穴9を有し、正面板8の左右縁辺10、11の一方に該縁辺10の上端から延びる易破断線12を有する。正面板8の他方の縁辺11の上端と指掛け穴との距離L3に対し、易破断線12の上端と指掛け穴9との距離L2が短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に破断することができる包装箱であって、破断により平らに展開することのできる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱の開封を容易にするため、蓋板を開封するときのつまみが正面板に形成されるように、包装箱にミシン目を設けることが知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
一方、包装箱の内容物の使用方法や能書き等に関して、表示すべき情報量が多く、包装箱の面材の表面だけでは表示しきらない場合に、包装箱の面材の裏面にも表示することが行われている。内容物に関する情報が包装箱の面材の裏面に表示される場合に、その裏面の情報を読み易くするためには、破断により包装箱を平らに展開し、包装箱の面材の裏面を見易くすることが望ましい。
【0004】
しかしながら、開封を容易にするためにミシン目が設けられた従来の包装箱では、ミシン目により蓋板の開封は容易になるものの、包装箱の面材の裏面が見易いように破断することは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-11961号公報
【特許文献2】特開2005-280842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術に対し、本発明は、容易に破断することができ、かつ、破断により包装箱の面材の裏面を見易くすることのできる包装箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上面に差込式の蓋を有する包装箱において、蓋の差込片と重なる正面板の上端部に指掛け穴を、正面板の左右縁辺の一方に偏らせて設け、その偏らせた方の縁辺にミシン目等の易破断線を設けると、指掛け穴と易破断線で挟まれる正面板の上端部領域が摘み易くなり、その上端部領域を摘み上げることにより、包装箱を上端から下端に至るまで容易に破断することができ、破断した包装箱の面材の裏面が見易くなることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、蓋板に差込片が連接した差込式の蓋を上面に有する包装箱であって、蓋を閉じた状態で差込片と重なる正面板の上端部に指掛け穴を有し、正面板の左右縁辺の一方に該縁辺の上端から延びる易破断線を有し、正面板の他方の縁辺の上端と指掛け穴との距離に対し、易破断線の上端と指掛け穴との距離が短い包装箱を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装箱によれば、指掛け穴と易破断線で挟まれる正面板の上端部領域を容易に摘むことができ、さらにその領域を摘み上げることにより、包装箱を上端から下端に至るまで容易に破断することができる。したがって、破断した包装箱は面材の裏面が見易くなり、裏面に内容物等に関する表示がされている場合には、その表示が容易に読み取れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例の包装箱の展開図である。
【図2A】図2Aは、実施例の包装箱1Aの蓋を閉じた状態の斜視図である。
【図2B】図2Bは、実施例の包装箱1Aの蓋を開けた状態の斜視図である。
【図2C】図2Cは、実施例の包装箱1Aの破断途中の斜視図である。
【図2D】図2Dは、実施例の包装箱1Aの破断後の平面図である。
【図3A】図3Aは、実施例の包装箱1Bの蓋を閉じた状態の斜視図である。
【図3B】図3Bは、実施例の包装箱1Bの破断後の平面図である。
【図4A】図4Aは、実施例の包装箱1Cの蓋を開けた状態の斜視図である。
【図4B】図4Bは、実施例の包装箱1Cの破断後の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0012】
図2Aは、本発明の一実施例の包装箱1Aの蓋を閉じた状態の斜視図であり、図1は、その展開図である。
【0013】
この包装箱1Aは、概略、キャラメル箱型の紙箱であって、蓋板2に差込片3が連接した差込式の蓋4を上面に有し、下面にも蓋板5に差込片6が連接した差込式の蓋7を有する。なお、本発明において、包装箱の面材は、板紙の他、ポリプロピレン、PET等の合成樹脂シートを使用することができる。板紙の場合、坪量は200〜350g/m2が好ましく、合成樹脂シートの場合、シート厚は0.2〜0.5mmが好ましい。
【0014】
包装箱1Aは、蓋4が閉じた状態で上面の差込片3と重なる正面板8の上端部にU字型に切り込まれた指掛け穴9を有する。このように指掛け穴9を設けると、閉じている蓋4に対し、指掛け穴9を通して指で差込片3を押し上げることで蓋4を開けることが容易となる。また、図2Bに示すように、包装箱1Aにトレー状あるいは引き出し状の内容物Aが収容されている場合に、蓋4を開けた後に指掛け穴9から内容物Aに指を当て、矢印のように内容物Aを押し出すことで、容易に内容物Aを取り出すことができる。
【0015】
指掛け穴9の大きさとしては、大きすぎると内容物Aの保護が不十分となり、小さすぎると指が入らなくなるため、正面板8の上縁における穴幅L1を10〜25mmとすることが好ましい。
【0016】
また、この包装箱1Aでは、正面板8の左右の縁辺10、11のうち一方の縁辺10の上端から易破断線12が下方に延びている。ここで、易破断線12としては、ミシン目、ハーフカット等の破断を容易にする加工線が設けられる。また、正面板8の他方の縁辺11は通常の罫線(折線)となっている。このように、正面板8の左右の縁辺10、11のうち一方の縁辺10のみに易破断線12を設けること、さらには、包装箱1Aの周面の上下方向の縁辺のうち、上述の一方の縁辺10のみに易破断線12を設けることが好ましい。これにより、確実にその一方の縁辺10のみを破断し、破断後の包装箱1Aに、破断前の周面が一続きになった広い情報表示域を確保することができる。
【0017】
易破断線12の上端と指掛け穴9との距離L2は、通常の罫線となっている他方の縁辺11の上端と指掛け穴9との距離L3に対して短い。このように、指掛け穴9を易破断線12側に偏らせることにより、指掛け穴9と易破断線12で挟まれる正面板8の上端部領域13を摘みやすい幅に形成することができる。上端部領域13の幅、即ち、易切断線12の上端と指掛け穴9との距離L2は、摘み易さの点から5〜25mmとすることが好ましい。
【0018】
このようにこの包装箱1Aによれば、正面板8の一方の縁辺10に易破断線12が形成され、指掛け穴9が易破断線12側に偏っていることにより、正面板8の易破断線12側の上端部領域13が摘みやすくなっているので、図2Bのように蓋4を開けた後、図2Cに示すように上端部領域13を摘み、それを引き上げることにより、容易に易破断線12を上端から下端にいたるまで破断させることができる。そして、この破断により、包装箱1Aは、図2Dに示すように平らな展開状態になる。したがって、包装箱の面材の裏面が見易くなり、そこに印刷されている内容物の使用方法、能書きなどの情報Bが読みやすくなる。
【0019】
なお、この包装箱1Aでは、正面板8と側面板14とを繋ぐ糊しろ15が、易破断線12に隣接する側面板14に貼着されている。このように糊しろ15を易破断線12に隣接する側面板14に貼着することにより、易破断線12は一層破断が容易となるので好ましい。
【0020】
また、易破断線12としてミシン目を形成する場合に、個々のミシン目の切断線を、包装箱の上部に比して下部で長くすることにより、実際の破断線が易破断線12からずれにくくなるので好ましい。
【0021】
本発明は種々の態様をとることができる。例えば、図3Aに示す包装箱1Bのように、正面板8の縁辺10の上端から延びる易破断線12を、正面板8の下端部にてその角部を丸めるように湾曲させ、正面板8の下縁まで延ばしても良い。このように易破断線12を湾曲させると、正面板8の易破断線12側の上端部領域13を摘み上げて引っ張ることにより、一気に易破断線12を破断させることが容易となる。こうして、破断させた包装箱1Bも、図3Bに示すように、平らな展開状態となるので、その面材の裏面が見易く、そこに印刷されている内容物の使用方法、能書きなどの情報Bが読みやすくなる。
【0022】
図4Aに包装箱1Cは、図2Aに示した包装箱1Aの下面の差込式の蓋7を、底ロック式の蓋16に代えたものである。図4Bに示すように、この包装箱1Cも易破断線12で破断した後には、平らな展開状態となる。したがって、面材の裏面の情報Bが読みやすくなる。
【0023】
このように本発明においては、破断後の包装箱を平らの展開状態にする点から、包装箱の下面の蓋を、差込式、底ロック式などの組込式にすることが好ましい。
【符号の説明】
【0024】
1A、1B、1C 包装箱
2 蓋板
3 差込片
4 蓋
5 蓋板
6 差込片
7 蓋
8 正面板
9 指掛け穴
10 縁辺
11 縁辺
12 易破断線
13 指掛け穴と易破断線で挟まれる正面板の上端部領域
14 側面板
15 糊しろ
16 ロック式の蓋
A 内容物
B 情報
L1 穴幅
L2 易破断線と指掛け穴との距離
L3 罫線と指掛け穴との距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋板に差込片が連接した差込式の蓋を上面に有する包装箱であって、蓋を閉じた状態で差込片と重なる正面板の上端部に指掛け穴を有し、正面板の左右縁辺の一方に該縁辺の上端から延びる易破断線を有し、正面板の他方の縁辺の上端と指掛け穴との距離に対し、易破断線の上端と指掛け穴との距離が短い包装箱。
【請求項2】
易破断線が、正面板の左右縁辺のうち一方のみに形成されている請求項1記載の包装箱。
【請求項3】
易切断線の上端と指掛け穴との距離が5〜25mmである請求項1又は2記載の包装箱。
【請求項4】
易破断線が、正面板の下端部において、正面板の面内で湾曲して正面板の下縁まで延びている請求項1〜3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
易破断線がミシン目からなり、個々のミシン目の切断線が、包装箱の上部に対して下部で長い請求項1〜4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
下面に差込式の蓋を有する請求項1〜5のいずれかに記載の包装箱。
【請求項7】
箱を形成する面材の裏面に、該箱に収容する内容物の情報が記載されている請求項1〜6のいずれかに記載の包装箱。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−63783(P2013−63783A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201794(P2011−201794)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】