説明

包装装置

【課題】 可動ローラーへのフィルム通しを行い易い包装装置を提供する。
【解決手段】 製袋包装装置は、フィルムを用いて物品の包装を行う包装装置であって、固定ローラー部21−24と、可動ローラー部と、第1外カバー部材37と、レバー部材40とを備える。固定ローラー部21−24は、フィルムを案内する。可動ローラー部は、固定ローラー21−24に対して近接および離反するように可動的に設けられ、フィルムを案内する。第1外カバー部材37は、外部からの可動ローラー部への接触を防ぐ部材である。そして、レバー部材40は、第1外カバー部材37の外側に設けられ、可動ローラー部を持ち上げるための部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置、特にフィルムを用いて物品の包装を行う包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを用いて物品の包装を行う包装装置は、フィルムを案内する複数のローラーを有することが多い。複数のローラーは、その間に通されるフィルムを包装動作を行う包装部などに案内する。このような包装装置においては、複数のローラーのうち一部のローラーが可動的に設けられることがある。可動的に設けられたローラー(以下、「可動ローラー」と呼ぶ)は、固定的に設けられたローラー(以下、「固定ローラー」と呼ぶ)に対して近接及び離反するように設けられ、フィルムが固定ローラーと可動ローラーとに交互に通される。これにより、フィルムの張力が強くなったときには可動ローラーが固定ローラーに近接するように移動し、フィルムの張力が弱くなったときには可動ローラーが固定ローラーから離反するように移動する。従来の包装装置では、このような可動ローラーの動きを検知することにより、例えば、フィルムの張力の検出を行っている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2001−169424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような包装装置においては、フィルムロールの交換時などに可動ローラーと固定ローラーとにフィルムを通す作業を行う必要がある。しかし、従来の包装装置では、このフィルム通し作業を行う場合、可動ローラーを手で持ち上げて作業を行っている。すなわち、作業者は、可動ローラーを固定ローラーの上方まで手で持ち上げ、可動ローラーにピンなどを差し込んで可動ローラーを一時的に保持したのち、フィルムを通す作業を行う。従って、従来の包装装置では、可動ローラーの持ち上げに多大な力が必要であり、しかも可動ローラーへのフィルム通しが行い難いという不具合がある。
【0004】
本発明の課題は、可動ローラーへのフィルム通しを行い易い包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明にかかる包装装置は、フィルムを用いて物品の包装を行う包装装置であって、固定ローラー部と、可動ローラー部と、カバー部材と、レバー部材とを備える。固定ローラー部は、フィルムを案内する。可動ローラー部は、固定ローラーに対して近接および離反するように可動的に設けられ、フィルムを案内する。カバー部材は、外部からの可動ローラー部への接触を防ぐ部材である。そして、レバー部材は、カバー部材の外側に設けられ、可動ローラー部を持ち上げるための部材である。
【0006】
この包装装置では、レバー部材を操作することによって可動ローラーを持ち上げることができる。また、レバー部材は、カバー部材の外側に設けられているため、作業者にとってはレバー部材の操作が行い易く、容易に可動ローラー部を持ち上げることができる。これにより、この包装装置では、可動ローラー部へのフィルム通しを行い易くすることができる。
【0007】
第2発明にかかる包装装置は、第1発明の包装装置であって、少なくとも包装動作中においては、レバー部材と可動ローラー部とは切り離された状態となる。
この包装装置では、包装動作中にレバー部材と可動ローラー部とが切り離された状態となるため、可動ローラー部の動きがレバー部材に伝達されなくなる。このため、包装動作中にレバー部材が動くことを防止することができる。
【0008】
第3発明にかかる包装装置は、第2発明の包装装置であって、可動ローラー部は、フィルムを案内する可動ローラーと、可動ローラーを支持し可動ローラーが固定ローラーに対して近接および離反するように可動的に設けられた可動フレームとを有する。また、包装装置は、当接部材をさらに備える。当接部材は、レバー部材の動きに連動して移動し、可動フレームに当接することによって可動ローラー部を持ち上げる。そして、少なくとも包装動作中においては、当接部材と可動フレームとは非接触となる。
【0009】
この包装装置では、レバー部材に連動する当接部材と、可動ローラーを支持する可動フレームとが非接触となることによって、レバー部材と可動ローラー部とが切り離された状態となる。このため、可動ローラー部の動きがレバー部材に伝達されなくなり、包装動作中にレバー部材が動くことを防止することができる。
第4発明にかかる包装装置は、第2発明または第3発明の包装装置であって、フィルム搬送装置と、張力検知部と、制御部とをさらに備える。フィルム搬送装置は、フィルムを搬送する。張力検知部は、可動ローラー部の変位からフィルムの張力を検知する。制御部は、フィルムの張力に基づいてフィルム搬送装置を制御する。
【0010】
この包装装置では、可動ローラー部の変位からフィルムの張力が検知され、検知されたフィルムの張力に基づいてフィルム搬送装置が制御される。これにより、フィルムの搬送を適切に行うことができる。
ここで、可動ローラー部はレバー部材によって持ち上げられることができるが、フィルムの張力は可動ローラー部の変位から検知されるものであるため、レバー部材から可動ローラー部に伝達される負荷によって、フィルムの張力の検知に悪影響を及ぼす恐れがある。しかし、この包装装置では、少なくとも包装動作中には、レバー部材と可動ローラー部とが切り離された状態となるため、フィルムの張力の検知に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0011】
第5発明にかかる包装装置は、第1発明から第4発明のいずれかの包装装置であって、ロック部材をさらに備える。ロック部材は、可動ローラー部が持ち上げられた状態でレバー部材を一時的に保持するための部材である。
この包装装置では、レバー部材によって持ち上げられた可動ローラー部をロック部材によって一時的に保持することができる。従って、フィルム通しを行う際に、可動ローラー部を保持させておくことができる。これにより、この包装装置では、フィルム通しをより行い易くすることができる。
【0012】
第6発明にかかる包装装置は、第5発明の包装装置であって、ロック部材は、カバー部材の外側に設けられる。
この包装装置では、ロック部材がカバー部材の外側に設けられるため、作業者等の手がロック部材に届き易くなっている。このため、ロック部材の操作が行い易くなる。
第7発明にかかる包装装置は、第5発明または第6発明の包装装置であって、カバー部材に固定された被係止部をさらに備える。そして、ロック部材は、レバー部材に設けられ被係止部に係止可能な部材である。
【0013】
この包装装置では、ロック部材がカバー部材に設けられた被係止部に係止することによって、可動ローラー部を一時的に保持することができる。
第8発明にかかる包装装置は、第7発明の包装装置であって、ロック部材は、レバー部材が所定位置に達することによって自動的に被係止部に係止してレバー部材を保持する。
この包装装置では、まずレバー部材が操作されることによって可動ローラー部が持ち上げられる。そして、レバー部材が所定位置まで移動すると、可動ローラー部が自動的に一時的に保持される。このように、この包装装置では、ロック部材による保持作業が容易である。
【0014】
第9発明にかかる包装装置は、第8発明の包装装置であって、被係止部は、カバー部材の外表面から突出する突起状部材である。そして、ロック部材は、レバー部材に設けられ被係止部に係止する方向に付勢された鉤状部材であり、被係止部が外側から圧接することによってロック部材が付勢方向に反して移動するように設けられたテーパ面を有する。
この包装装置では、まずレバー部材が操作されることによって可動ローラー部が持ち上げられる。そして、レバー部材が所定位置まで移動すると、ロック部材のテーパ面と被係止部が接触し、さらにレバー部材が移動することによって、被係止部が外側からテーパ面に圧接する。ロック部材は被係止部に押されて付勢方向に反して移動し、ロック部材が被係止部に係止する。このようにして、この包装装置では、レバー部材が所定位置まで移動することによって、可動ローラー部が自動的に一時的に保持される。
【0015】
第10発明にかかる包装装置は、第5発明から第9発明のいずれかの包装装置であって、ロック部材は、レバー部材に力をかけながらロック部材を移動させなければレバー部材の保持が解除されないようにレバー部材を保持する。
この包装装置では、レバー部材に力をかけながらロック部材を移動させなければレバー部材の保持が解除されない。このため、可動ローラー部が急激に落下することが防止され、安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
第1発明にかかる包装装置では、レバー部材を操作することによって容易に可動ローラー部を持ち上げることができ、可動ローラー部へのフィルム通しを行い易くすることができる。
第2発明にかかる包装装置では、少なくとも包装動作中にはレバー部材と可動ローラー部とが切り離された状態となるため、包装動作中にレバー部材が動くことを防止することができる。
【0017】
第3発明にかかる包装装置では、レバー部材に連動する当接部材と、可動ローラーを支持する可動フレームとが非接触となることによって、包装動作中にレバー部材が動くことを防止することができる。
第4発明にかかる包装装置では、可動ローラー部の変位から検知されたフィルムの張力に基づいてフィルム搬送装置が制御されるため、フィルムの搬送を適切に行うことができる。また、この包装装置では、少なくとも包装動作中には、レバー部材と可動ローラー部とが切り離された状態となるため、フィルムの張力の検知に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0018】
第5発明にかかる包装装置では、フィルム通しを行う際に、可動ローラー部を保持させておくことができ、フィルム通しをより行い易くすることができる。
第6発明にかかる包装装置では、ロック部材がカバー部材の外側に設けられるため、作業者等の手がロック部材に届き易くなり、ロック部材の操作が行い易くなる。
第7発明にかかる包装装置では、ロック部材がカバー部材に設けられた被係止部に係止することによって、可動ローラー部を一時的に保持することができる。
【0019】
第8発明にかかる包装装置では、レバー部材が所定位置まで移動すると可動ローラー部が自動的に一時的に保持されるため、ロック部材による保持作業が容易である。
第9発明にかかる包装装置では、被係止部が外側からテーパ面に圧接することによってロック部材は被係止部に押されて付勢方向に反して移動し、ロック部材が被係止部に係止する。このようにして、この包装装置では、レバー部材が所定位置まで移動することによって、可動ローラー部が自動的に一時的に保持される。
【0020】
第10発明にかかる包装装置では、可動ローラー部が急激に落下することが防止され、安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<構成>
本発明の一実施形態にかかる製袋包装装置(包装装置)1000を図1に示す。図1は、本発明の一実施形態である製袋包装装置1000の構成を示す概略側面図である。製袋包装装置1000は、フィルム2から袋を製造しながら物品の包装を行う装置であり、フィルムロール部100(フィルム搬送装置)、フィルム案内部200、製袋包装部300、本体フレーム400、制御装置500(図8参照)などを備える。
【0022】
〈フィルムロール部〉
フィルムロール部100は、フィルムロール1からフィルム2を繰り出して搬送する部分であり、支持シャフト10およびモーター11を有している。
支持シャフト10は、製袋包装装置1000の後方部に製袋包装装置1000の設置面Eに対して平行に中心軸まわりに回転可能に支持されている。支持シャフト10は、フィルムロール1の中心の円孔に挿入され、フィルムロール1を支持する。支持シャフト10は、後述する固定ローラー21−24や可動ローラー32,33と平行に配置されている。支持シャフト10は、モーター11によりタイミングベルト(図示せず)を介して回転駆動される。
【0023】
包装動作時においては、モーター11によって支持シャフト10が回転することによりフィルム2がフィルムロール1から引き出される。フィルムロール部100から引き出されたフィルム2は、フィルム案内部200へと搬送される。
〈フィルム案内部〉
フィルム案内部200は、フィルムロール部100から繰り出されたフィルム2を製袋包装部300へと案内する部分である。
【0024】
フィルム案内部200は、図2に示すように、複数の固定ローラー21−24、可動ローラー部25、フレーム部26、可動ローラー持ち上げ機構27、ロック機構28、張力検知部29、フィルム押さえ機構30、フィルム吸引保持機構31などを有する。
[固定ローラー]
複数の固定ローラー21−24は、フィルム2を案内する棒状の中空円筒部材であり、第1固定ローラー21から第4固定ローラー24までの4つの固定ローラー21−24が設けられている。図3に示すように、4本の固定ローラー21−24は、フィルム2の進行方向に対して直交するように水平に配置されている。また、図4に示すように、複数の固定ローラー21−24は、互いに平行にフィルム2の搬送方向に沿って間隔を隔てて配置されており、上側の固定ローラー21−24ほど製袋包装部300側に近づくように、下側の固定ローラー21−24ほどフィルムロール1側に近づくように傾斜した直線上に配列されている。具体的には、第1固定ローラー21が最も下方に配置され、第4固定ローラー24が最も上方に位置しており、第1固定ローラー21と第4固定ローラー24の間に、第2固定ローラー22および第3固定ローラー23が順に配置されている。フィルム2の搬送方向でいえば、フィルムロール1側すなわち上流側から第1固定ローラー21,第2固定ローラー22,第3固定ローラー23、第4固定ローラー24の順に並んでいる。第1固定ローラー21と第2固定ローラー22とは、他の固定ローラー23,24の間よりも比較的大きな距離を隔てて配置されており、第2固定ローラー22、第3固定ローラー23および第4固定ローラー24は、略等間隔に配置されている。これらの固定ローラー21−24には、図2に示すように、両端がフレーム部26に固定された軸部材51−54が挿入されており、固定ローラー21−24を自転可能に支持している。
【0025】
[可動ローラー部]
可動ローラー部25は、上記の固定ローラー21−24に対して近接および離反するように可動的に設けられ、フィルム2を案内する部分である。可動ローラー部25は、複数の可動ローラー32,33と可動フレーム34と有し、固定ローラー21−24に対して可動ローラー32,33を近接および離反させることによって、フィルム2の経路長を変更することができる。可動ローラー部25は、後述するようにフィルム2の貯留、フィルム2の手繰り寄せ、フィルム2の張力の検知などの機能を有する。
【0026】
複数の可動ローラー32,33は、フィルム2を案内する棒状の中空円筒部材であり、第1可動ローラー32と第2可動ローラー33とが設けられる。図4に示すように、複数の可動ローラー32,33は、フィルム2の進行方向に対して直交するように配置されており、固定ローラー21−24に対して平行に配置されている。第2可動ローラー33は、可動フレーム34の先端側に設けられ、第1可動ローラー32は、第2可動ローラー33よりも可動フレーム34の他端側に設けられている。また、第1可動ローラー32と第2可動ローラー33とは、その間に第2固定ローラー23が通過可能なように間隔を隔てて配列されている(図6参照)。第1可動ローラー32と第2可動ローラー33とは、可動フレーム34と共に軸部材51を中心として回転して上下に揺動可能となっている(矢印H1,H2参照)。第1可動ローラー32と第2可動ローラー33とは、可動フレーム34が移動することによって固定ローラー21−24に対して近接および離反するように移動し、互いに平行に配置された固定ローラー21−24の間を通過可能である。具体的には、第1可動ローラー32は第2固定ローラー22と第3固定ローラー23との間を通過可能であり、第2可動ローラー33は、第3固定ローラー23と第4固定ローラー24との間を通過可能である。可動ローラー32,33には、図2に示すように、両端が可動フレーム34に固定された軸部材55,56が挿入されており、可動ローラー32,33の各々が自転可能に支持されている。
【0027】
可動フレーム34は、可動ローラー32,33を支持し、可動ローラー32,33が固定ローラー21−24に対して近接および離反するように可動的に設けられた部材である。可動フレーム34は、同一形状の2つのアーム状部材34a,34bを有しており、距離を隔てて互いに平行に配置された2つのアーム状部材34a,34bがその間に設けられた複数のシャフト57,58によって連結されている。また、アーム状部材34a,34bの間には可動ローラー32,33に挿入された軸部材55,56が固定されており、可動フレーム34の先端近傍に第2可動ローラー33が設けられ、可動フレーム34の他端近傍には円孔59が設けられている。この可動フレーム34の他端の円孔59には、第1固定ローラー21と共通の軸部材51が挿入され、可動フレーム34は、この軸部材51によりフレーム部26に対して回転自在に支持されている。従って、可動フレーム34は、軸部材51を中心として回転して上下に揺動可能となっている。なお、上述したように第1可動ローラー32は、第2可動ローラー33よりも可動フレーム34の他端側すなわち円孔59が設けられた回転中心側に設けられている。
【0028】
フィルムロール1から繰り出されたフィルム2は、図4に示すように、第1固定ローラー21により案内され、第2固定ローラー22の上側を通ってからフレーム部26の内部に進入し、フレーム部26の内部で第1可動ローラー32の下側を通り、第3固定ローラー23の上側を通り、再びフレーム部26の内部で第2可動ローラー33の下側を通り、第4固定ローラー24の上側を通って製袋包装部300へと導かれる。
【0029】
[フレーム部]
フレーム部26は、固定ローラー21−24や可動ローラー部25を支持する部分であり、図2に示すように、内カバー部材14,35、シャフト部材36、外カバー部材37,38などを有する。
内カバー部材14,35は、第1内カバー部材14と第2内カバー部材35とを有しており、それぞれ板金を折り曲げて形成されている。第1内カバー部材14と第2内カバー部材35とは、距離を隔てて配置されており、その間には可動ローラー部25、固定ローラー21−24、シャフト部材36などが配置される。一対の内カバー部材14,35は、平坦な板状部分をそれぞれ有しており、可動ローラー32,33や固定ローラー21−24は内カバー部材14,35の板状部分に対して垂直に設けられている。
【0030】
シャフト部材36は、一対の内カバー部材14,35の間に配置される。シャフト部材36は、内カバー部材14,35に両端を固定され、一対の内カバー部材14,35を連結固定している。
外カバー部材37,38は、第1外カバー部材37(カバー部材)と第2外カバー部材38とを有しており、それぞれ板金を折り曲げて形成されている。第1外カバー部材37は、第1内カバー部材14の外側に設けられ、第1内カバー部材14を外側から覆っている。第2外カバー部材38は、第2内カバー部材35の外側に設けられており、第2内カバー部材35を外側から覆っている。各外カバー部材37,38は、外部からの可動ローラー部25への接触を防いでいる。
【0031】
[可動ローラー持ち上げ機構]
可動ローラー持ち上げ機構27は、固定ローラー21−24と可動ローラー32,33との間にフィルム2を通すフィルム通し作業時に可動ローラー部25を手動で持ち上げるための機構であり、レバー部材40、ボス41、シャフト42,44、当接部材43などを有する。
【0032】
レバー部材40は、図3に示すように、第1外カバー部材37の外側に設けられ、可動ローラー部25を持ち上げるための部材である。レバー部材40は、細長い略三角形状を有する板状の部材であり、その一端の頂点の一つに作業者が手で握るためのハンドル13が取り付けられている。また、図2に示すように、レバー部材40の他端の頂点の一つは、円筒形状のボス41およびシャフト42を介して当接部材43と連結されており、レバー部材40の回転がボス41およびシャフト42を介して当接部材43に伝達される。また、レバー部材40は、シャフト44を介しても当接部材43と接続されている。シャフト44は、シャフト42と平行に設けられており、その一端がレバー部材40の他端の頂点の一つに固定されており、レバー部材40の回転中心から偏心して配置されている。また、シャフト44は、その他端が当接部材43の回転中心から先端側に偏心して固定されている。このシャフト44は、レバー部材40と当接部材43との間に位置する第1外カバー部材37と第1内カバー部材14とに設けられた円弧状のスリット60,61に通されている。このスリット60,61の円弧の中心は、当接部材43およびレバー部材40の回転中心と一致しており、レバー部材40が、当接部材43の回転中心を中心に回転移動すると共に、シャフト44がスリット60,61に沿って摺動する。そして、スリット60、61の端部にシャフト44が当接することによって、レバー部材40の回転の上限および下限が定められる。すなわち、レバー部材40の回転によって移動するシャフト44がスリット60,61の上限位置に達した状態が、レバー部材40および可動ローラー部25の上限位置であり、シャフト44がスリット60,61の下限位置に達した状態が、レバー部材40および可動ローラー部25の下限位置である。
【0033】
当接部材43は、レバー部材40の動きに連動して移動し、可動フレーム34に当接することによって可動ローラー部25を持ち上げる部材である。当接部材43は、細長い板状の形状を有しており、その一端にボス41に連結されたシャフト42の他端が連結されており、当接部材43の回転中心となっている。当接部材43の中程には、上記のシャフト44の他端が連結されている。また、当接部材43の他端近傍には、フレーム部26の内側へ向けて突出する円筒形状の突起部45が設けられている。この突起部45は、可動フレーム34の下方に位置するように設けられており、当接部材43が移動することによって突起部45が可動ローラー部25の可動フレーム34に下方から当接する。包装動作中においては、フィルム2の張力によって持ち上げられた可動フレーム34と当接部材43の突起部45とは非接触となる。なお、可動フレーム34の下方には、内カバー部材14,35に固定されたシャフト部材36が位置しており、可動フレーム34の下方への動きを制限している。すなわち、自重または後述するバネによる付勢による可動フレーム34の下方への移動はシャフト部材36によって止められ、シャフト部材36に係止した位置が可動フレーム34の下限位置となっている。当接部材43は、上記の突起部45がこの下限位置にある可動フレーム34よりも下方に位置する状態となるまで回転可能となっており、下限位置の可動フレーム34と、下限位置にある当接部材43の突起部45とは非接触となっている。このため、当接部材43が下限位置にある場合には、レバー部材40と可動ローラー部25とは切り離された状態となり、可動ローラー32,33の動きがレバー部材40に伝達されてないようにされている。
【0034】
[ロック機構]
ロック機構28は、可動ローラー部25が持ち上げられた状態でレバー部材40を一時的に保持するための部分であり、ロック部材46と被係止部47(図3参照)とを有する。
ロック部材46は、図3に示すように、レバー部材40と第1外カバー部材37の間の僅かな隙間に設けられており、第1外カバー部材37の外側に設けられている。ロック部材46は、レバー部材40の内側に設けられており、レバー部材40の回転と共に移動する。また、レバー部材40は、一端が鉤状に形成されており、被係止部47に係止可能である。レバー部材40は、他端がレバー部材40の内側に回転自在に固定されており、巻きバネによって被係止部47に係止する方向に付勢されている。また、図4に示すように、ロック部材46の鉤状部分の外側には、先細りのテーパ面62が設けられており、これによって、ロック部材46は、レバー部材40が上限位置に達することによって自動的に被係止部47に係止してレバー部材40を保持することができる。
【0035】
被係止部47は、第1外カバー部材37に固定されており、第1外カバー部材37の外表面から外側へ向けて突出する突起状部材である。被係止部47は、レバー部材40が上限に位置する場合においてロック部材46に係止する位置に設けられている。被係止部47は、レバー部材40が上限に達する直前にロック部材46のテーパ面62に接触する位置に設けられており、レバー部材40がさらに上限へ向けて回転することによって、被係止部47がテーパ面62上を摺動しテーパ面62に圧接する。ロック部材46のテーパ面62は、被係止部47が外側から圧接することによってロック部材46が付勢方向に反して移動するように設けられており、レバー部材40がさらに上限位置へ向けて回転することによって、被係止部47に押されたロック部材46が係止が解かれる方向へと移動する。レバー部材40が上限位置に達すると、被係止部47がテーパ面62の端部から外れ、付勢力によってロック部材46が回転し、ロック部材46が被係止部47に係止する(図6参照)。この状態では、巻きバネの付勢力によってロック部材46が被係止部47に堅固に係止することができる。また、この付勢力によって、ロック部材46は、レバー部材40に力をかけながらロック部材46を移動させなければレバー部材40の保持が解除されないようにレバー部材40を保持する。
【0036】
[張力検知部]
張力検知部29は、可動ローラー部25の変位からフィルム2の張力を検知する部分であり、図2に示すように、バネ部材48とロードセル49とを有する。
バネ部材48は、一端が可動フレーム34のアーム状部材34a,34bに固定され他端がロードセル49に連結された複数のつる巻きバネである。バネ部材48は、可動フレーム34の動きに応じて伸縮し、伸縮による引っ張り力の変化をロードセル49に伝える。具体的には、可動ローラー32,33が固定ローラー21−24へ近接するように可動フレーム34が上方へ移動するとバネ部材48が伸張し、可動ローラー32,33が固定ローラー21−24から離反するように可動フレーム34が下方へ移動するとバネ部材48が収縮する。
【0037】
ロードセル49は、可動ローラー32,33の下方に配置されており、フレーム部26に固定されている。ロードセル49は、バネ部材48から伝達される引っ張り力を検出することによって、可動ローラー32,33の変位を検知することができる。ロードセル49によって検知された可動ローラー32,33の変位は、導線を介して制御装置500へと伝達され、フィルム2の張力として検出される。詳細には、以下のように、フィルム2の張力を検知する。
【0038】
フィルム2の張力が変動すると、下向きに付勢された可動ローラー32,33の位置が基準位置よりも上下に移動する。可動ローラー32,33にはバネ部材48を介してロードセル49が連結されており、このロードセル49がバネ部材48の引っ張り力に応じて可動ローラー32,33の基準位置からの偏移量、即ちフィルム2の張力を検知する。フィルム2を送り出すモーター11は、この検知張力に基づいて制御される。即ち、張力が大になると、モーター11の回転速度は増し、張力が小になると、モーター11の回転速度は減少して、可動ローラー32,33を基準位置に戻すフィードバック制御が行われる。
【0039】
[フィルム押さえ機構およびフィルム吸引保持機構]
フィルム押さえ機構30は、フィルム2を接合する際にフィルム2を押さえて固定する機構である。フィルム押さえ機構30は、可動ローラー32,33よりもフィルム2の搬送方向の上流側に位置している。このフィルム押さえ機構30は、棒状の押さえ部材66と、一対のシリンダー67とを有する。押さえ部材66は、固定ローラー21−24と平行に第2固定ローラー22の上方に設けられており、第2固定ローラー22と共にその間にフィルム2を挟み込んで固定することができる。シリンダー67は、押さえ部材66を第2固定ローラー22から近接および離反させる方向に移動させる。
【0040】
フィルム吸引保持機構31は、フィルム2を吸引保持する機構であり、フィルム2はフィルム吸引保持機構31によって保持された状態で移動可能である。フィルム吸引保持機構31は、第1固定ローラー21と第2固定ローラー22との間に設けられた板状の保持板64と、保持板64の背面に設けられた吸引コネクタ50とを有する。すなわち、フィルム吸引保持機構31は、可動ローラー32,33よりもフィルム2の搬送方向の上流側に位置しており、且つ、フィルム押さえ機構30よりも上流側に位置している。保持板64には、図3に示すように保持板64の両面を貫通する複数のスリット63が設けられており、これらのスリット63は背面の吸引コネクタ50(図2参照)の内部空間と連通している。
【0041】
吸引コネクタ50は、保持板64の内側に設けられており、ポンプなどの動力源とホースあるいはパイプなどによって接続されることによって保持板64のスリット63から空気を吸引する。スリット63から空気が吸引されることによって、フィルム2が保持板64に吸い付けられる。
〈製袋包装部〉
図7は、図1における製袋包装部300の詳細な構成を示す斜視図である。
【0042】
製袋包装部300は、フォーマー15、筒16、縦シール機構18、一対のプルダウンベルト19、横シール機構4およびホッパ5を有している。製袋包装部300において、フィルム2は、フォーマー15と筒16との間隙を通ることにより筒状に成形される。筒状に成形されたフィルム2は、筒16と一対のプルダウンベルト19との間を筒状の形状を保ちながらプルダウンベルト19により搬送され、縦シール機構18により重ね合わされたフィルム2の両側縁17が、縦方向に溶着される。
【0043】
さらに、上方の物品供給部(図示せず)よりホッパ5に供給された物品6は、筒16の内部を通り、筒状に成形されたフィルム2内に充填される。物品6が充填されたフィルム2は横シール機構4により、横方向に溶着されるとともにそのシール面が横方向に切断され、物品6が充填された袋7が製造される。
〈本体フレーム〉
本体フレーム400は、図1に示すように、フィルムロール部100、フィルム案内部200および製袋包装部300を支持する部分である。
【0044】
〈制御装置〉
図8は本実施形態の製袋包装装置1000の制御系を示すブロック図である。物品供給部700は、図1の製袋包装部300の上部に配置され、製袋包装部300に一定量の物品6(図7参照)を供給する。物品供給部700は、例えば、物品6の重量を一定量に計量して、所定重量分の物品6を製袋包装部300に排出する自動計量装置である。
【0045】
制御装置500(制御部)は、CPU(中央演算処理装置)等からなり、ロードセル49の出力値に基づいて、フィルム2の張力が一定になるようにモーター11の回転数を制御する。また、制御装置500は、後述するように、物品供給部700、製袋包装部300、フィルム押さえ機構30およびフィルム吸引保持機構31の動作を制御する。
<包装装置の動作>
次に、製袋包装装置1000の動作のうち、フィルムロール1の交換時の動作と、フィルムロール1のフィルム2をフィルム案内部200に通すフィルム通し作業時の動作について説明する。
【0046】
〈フィルムロール交換時の動作〉
フィルムロール1のフィルム2を使い果たして新たなフィルムロール1への交換を行う場合、物品供給部700から製袋包装部300への物品6の供給動作を停止させても、その時点では既に物品供給部700からいくつかの物品6(図7参照)が放出されてしまっているので、これらの落下途上の物品6を包装しなければ、これらを未包装品として回収しなければならない。
【0047】
そこで、本実施形態の製袋包装装置1000では、物品供給部700を停止させても、落下途上にある物品6を包装するために、フィルム案内部200の間に貯留されたフィルム2を用いて包装する方法を使うことができるようにしている。
包装動作時には、制御装置500は、上述のように、ロードセル49の出力値に基づいて、フィルム2の張力が一定になるようにモーター11の回転数を制御する。
【0048】
停止時には可動フレーム34は、自重とバネ部材48による下方への付勢とによって下限に位置している。包装動作中には、図4に示すように、フィルム2の張力に応じて、可動フレーム34が矢印H1,H2で示すように上下に揺動する。それにより、ロードセル49の出力値が変化する。この場合、可動ローラー32,33が固定ローラー21−24の下方に離間しているので、フィルム2の経路長が延長されており、可動ローラー32,33と固定ローラー21−24との間にフィルム2の一部が貯留される。
【0049】
制御装置500は、フィルムロール1からフィルム2が終端まで引き出されたか否かをロードセル49の出力から判定する。フィルム2が終端まで引き出された場合には、フィルム2がフィルムロール1から繰り出されなくなりフィルム2の搬送が停止するため、フィルム2の張力が所定値を超える。したがって、制御装置500は、ロードセル49の出力値が所定値を超えた場合にフィルム2が終端まで引き出されたと判定する。
【0050】
フィルム2が終端まで引き出されると、制御装置500は物品供給部700およびモーター11を停止させる。それにより、物品供給部700から製袋包装部300への物品6の供給が停止する。しかし、この時点では既に物品供給部700からいくつかの物品6が放出されて落下途上にある。
次に、制御装置500は、フィルム押さえ機構30を作動させる。
【0051】
このとき、製袋包装部300の動作は停止せずに、縦シール機構18、プルダウンベルト19および横シール機構4が動作して、フィルム案内部200に貯留されたフィルム2がプルダウンベルト19により製袋包装部300に搬送される。
この時、可動ローラー32,33を支持する可動フレーム34がバネ部材48の弾性力に抗してさらに上方に回転することにより、フィルム案内部200に貯留されたフィルム2が製袋包装部300に送り出される。このフィルム2を用いて、製袋包装部300は、落下途上にある各物品6を包装する。
【0052】
制御装置500は、前述と同様に、物品6の放出回数を減算しながら落下途上にある各物品6が包装されたか否かを判定する。
落下途上の物品6が全て包装されると、制御装置500は、製袋包装部300の動作を停止させ、続いて、フィルム吸引保持機構31を作動させる。作業者は、フィルム2をフィルムロール1の終端位置で切断し、フィルム2とフィルムロール1のロール芯とを分断する。
【0053】
次に、制御装置500は、フィルム押さえ機構30を解除する。それにより、可動ローラー部25は、自重およびバネ部材48の弾性力により、矢印H1で示すように軸部材51を中心に下方に回転する。それにより、可動ローラー32,33が固定ローラー21−24から下方に離反し、フィルム案内部200の上流側のフィルム2がフィルム案内部200にたぐり寄せられ、フィルム案内部200に貯留される。その結果、切断されたフィルム2の終端がフィルム吸引保持機構31に導かれる。
【0054】
次に、作業者は、新しいフィルムロール1を支持シャフト10に装着した後、新しいフィルムロール1のフィルム2の先端をフィルム吸引保持機構31まで引き出し、フィルム吸引保持機構31に吸引されているフィルム2の終端と重ね合わせて接合する。
フィルム2の接合が終了すると、作業者は、操作スイッチ(図示せず)等を用いて制御装置500にフィルム2の接合の終了を通知する。
【0055】
制御装置500は、フィルム2の接合終了を確認すると、フィルム案内部200のフィルム吸引保持機構31を解除する。それにより、交換後のフィルムロール1による運転再開が可能となる。
作業者は、操作スイッチ(図示せず)等を操作して制御装置500に運転を指示する。制御装置500は、運転ができる状態か否かを判定し、運転ができる場合には包装動作を再開する。
【0056】
このようにして、フィルム2の終端が検出された際の落下途上の物品6を貯留されたフィルム2を用いて包装することができる。
〈フィルム通し時の動作〉
この製袋包装装置1000では、上記のように、上下に揺動可能な可動ローラー部25によって、フィルム2の張力を検知すると共に、フィルム2の貯留を行うことができる。しかし、このような製袋包装装置1000では、フィルム2がフィルム案内部200に通されていない状態においては、可動ローラー部25は自重およびバネ部材48によって下向きに付勢されているため下限に位置している。従って、フィルム通し時には、作業者が可動ローラー32,33を上方へ持ち上げる必要がある。すなわち、固定ローラー21−24の下方に位置する可動ローラー32,33を固定ローラー21−24の上側まで持ち上げて固定ローラー21−24と可動ローラー32,33との間にフィルム2を差し込んだ後、可動ローラー32,33を固定ローラー21−24の下側に戻すことによって、フィルム2が固定ローラー21−24と可動ローラー32,33とを交互に通るようにフィルム2を通すことができる。この製袋包装装置1000では、このときの可動ローラー部25の持ち上げを容易に行うことができる。具体的には、以下のようにしてフィルム通し作業を行う。
【0057】
図5に示すように、フィルム通し作業を行うときには固定ローラー21−24および可動ローラー32,33の間にはフィルム2が通されていないため、可動ローラー部25は下方への付勢力によって下限に位置している。この状態では当接部材43も下限に位置しており、当接部材43の突起部45が可動ローラー部25の可動フレーム34の下方に位置している。
【0058】
そこで、作業者は、レバー部材40のハンドル13を握りレバー部材40を上限位置に向けて回転させる(矢印A1参照)。レバー部材40が上限位置へ向けて回転すると、当接部材43もレバー部材40に連動して回転し、レバー部材40の突起部45が可動フレーム34に当接する。レバー部材40がさらに回転すると、当接部材43によって可動フレーム34が持ち上げられ、可動ローラー部25が上限位置へ向けて回転する。作業者は、図6に示すように、可動ローラー32,33が固定ローラー21−24の上側に位置するまでさらにレバー部材40を回転させ、可動ローラー32,33が上限位置に達した状態でロック部材46が被係止部47に係止する。これにより、作業者がレバー部材40から手を離しても可動ローラー32,33が上限位置で保持される。
【0059】
以上の動作によって可動ローラー32,33が固定ローラー21−24の上側で保持されるので、作業者はフィルム2を可動ローラー32,33と固定ローラー21−24との間に容易に差し込むことができる。
フィルム2を可動ローラー32,33と固定ローラー21−24との間に差し込んだ後、作業者は、レバー部材40を上限位置の方向(図6の矢印A1参照)へ少し移動させる。これにより、ロック部材46と被係止部47との係止が少し緩み、ロック部材46と被係止部47との係止が解除可能となる。作業者はロック部材46を付勢方向に反する方向(矢印A2参照)に回転させて被係止部47からロック部材46を外し、再び回転自在となったレバー部材40を下限位置に向けて回転させる(矢印A3参照)。レバー部材40が下限位置に向けて回転すると、当接部材43もレバー部材40の動きに連動して移動する。このとき、可動ローラー部25は、下限位置へ向けて付勢されているため、下限位置へ向けて回転する当接部材43の突起部45に支持された状態のまま下限位置へ向けて回転移動する。可動ローラー部25が下限位置に達すると、第1内カバー部材14に固定されたシャフト部材36が可動フレーム34を下方から支持する。この状態からレバー部材40をさらに下限位置へ向けて回転させると、当接部材43の突起部45が可動フレーム34から離れて突起部45と可動フレーム34とが非接触となる。
【0060】
なお、図4−6では、図面の理解の容易のために一部の構成を省略して記載している。
<特徴>
(1)
従来の包装装置では、可動ローラーにフィルム2を通すフィルム通し作業時には、可動ローラーを手で持ち上げていた。このとき、作業者はカバー部材の内部に手を入れて可動ローラーを手で直接に持っていた。また、作業者は、可動ローラーを一方の手で持ち上げた状態のまま、他方の手でピンなどを可動ローラー部に挿入して可動ローラーを保持していた。このため、可動ローラーの持ち上げに多大な力が必要であると共に、持ち上げにくくロックも行い難かった。
【0061】
しかし、この製袋包装装置1000では、フィルム通し時に作業者がレバー部材40を回すことによって、可動ローラー32,33を作業位置まで容易に持ち上げることができる。このため、フィルム通し作業が容易となる。特に、レバー部材40はレバー比を考慮して設けられることにより、作業者は楽にレバー部材40を動かすことができる。このように、この製袋包装装置1000では、作業性が向上しており、フィルム通し作業に必要な時間を削減することができる。
【0062】
(2)
この製袋包装装置1000では、包装動作時には、可動ローラー部25の可動フレーム34と、可動ローラー持ち上げ機構27の当接部材43とが非接触であり切り離された状態となる。可動フレーム34はバネ部材48を介してロードセル49と連結されており、ロードセル49によってフィルム2の張力がセンシングされている。従って、当接部材43が可動フレーム34に接触しているとフィルム2の張力のセンシングに影響を与える恐れがあるが、この製袋包装装置1000では、作業者がレバー部材40を持ち上げない限り可動フレーム34と当接部材43とが非接触であるため、フィルム2の張力のセンシングに影響を与えることを防止することができる。
【0063】
また、包装動作中はフィルム2の張力の変化に応じて可動ローラー32,33が上下に揺動するため、可動ローラー部25とレバー部材40とが連動していると、レバー部材40も共に動いてしまい危険である。しかし、この製袋包装装置1000では、包装動作中は可動フレーム34と当接部材43とが非接触であるため、レバー部材40が勝手に動作してしまうことを防止することができる。
【0064】
(3)
この製袋包装装置1000では、ロック機構28によってレバー部材40を自動的にロックすることができる。このため、操作性がよく、また、可動ローラー32,33の落下を防止することができる。
また、ロック機構28のロック部材46は、作業者がレバー部材40に力を加えない限りロック部材46が外れ難く構成されている。このため、不用意にロック機構28が解除されてしまうことが防止され、安全性が高くなっている。また、ロック部材46は、第1外カバー部材37の外側に配置されているため、作業者の手が届きやすく、操作性が向上している。
【0065】
<他の実施形態>
上記の実施形態では、停止時においても当接部材43と可動フレーム34とが非接触となっているが、少なくとも包装動作時にフィルム2の張力によって持ち上げられた状態の可動フレーム34と当接部材43とが非接触であれば、包装動作中のセンシングへの悪影響を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、可動ローラーへのフィルム通しを行い易い効果を有し、包装装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】製袋包装装置の全体図。
【図2】フィルム案内部の分解斜視図。
【図3】フィルム案内部の外観斜視図。
【図4】フィルム案内部の側面断面図。
【図5】フィルム案内部の側面断面図。
【図6】フィルム案内部の側面断面図。
【図7】製袋包装部の外観斜視図。
【図8】製袋包装装置の制御ブロック図。
【符号の説明】
【0068】
2 フィルム
6 物品
21−24 固定ローラー
25 可動ローラー部
29 張力検知部
32,33 可動ローラー
34 可動フレーム
37 第1外カバー部材(カバー部材)
40 レバー部材
43 当接部材
46 ロック部材
47 被係止部
62 テーパ面
100 フィルムロール部(フィルム搬送装置)
500 制御装置(制御部)
1000 製袋包装装置(包装装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを用いて物品の包装を行う包装装置であって、
前記フィルムを案内する固定ローラーと、
前記固定ローラーに対して近接および離反するように可動的に設けられ前記フィルムを案内する可動ローラー部と、
外部からの前記可動ローラー部への接触を防ぐカバー部材と、
前記カバー部材の外側に設けられ、前記可動ローラー部を持ち上げるためのレバー部材と、
を備える包装装置。
【請求項2】
少なくとも包装動作中においては、前記レバー部材と前記可動ローラー部とは切り離された状態となる、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記可動ローラー部は、
前記フィルムを案内する可動ローラーと、
前記可動ローラーを支持し前記可動ローラーが前記固定ローラーに対して近接および離反するように可動的に設けられた可動フレームと、
を有し、
前記レバー部材の動きに連動して移動し、前記可動フレームに当接することによって前記可動ローラー部を持ち上げる当接部材をさらに備え、
少なくとも包装動作中においては、前記当接部材と前記可動フレームとは非接触となる、
請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記フィルムを搬送するフィルム搬送装置と、
前記可動ローラー部の変位から前記フィルムの張力を検知する張力検知部と、
前記フィルムの張力に基づいて前記フィルム搬送装置を制御する制御部と、
をさらに備える請求項2または3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記可動ローラー部が持ち上げられた状態で前記レバー部材を一時的に保持するためのロック部材をさらに備える、
請求項1から4のいずれかに記載の包装装置。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記カバー部材の外側に設けられる、
請求項5に記載の包装装置。
【請求項7】
前記カバー部材に固定された被係止部をさらに備え、
前記ロック部材は、前記レバー部材に設けられ前記被係止部に係止可能な部材である、
請求項5または6に記載の包装装置。
【請求項8】
前記ロック部材は、前記レバー部材が所定位置に達することによって自動的に前記被係止部に係止して前記レバー部材を保持する、
請求項7に記載の包装装置。
【請求項9】
前記被係止部は、前記カバー部材の外表面から突出する突起状部材であり、
前記ロック部材は、前記レバー部材に設けられ前記被係止部に係止する方向に付勢された鉤状部材であり、前記被係止部が外側から圧接することによって前記ロック部材が付勢方向に反して移動するように設けられたテーパ面を有する、
請求項8に記載の包装装置。
【請求項10】
前記ロック部材は、前記レバー部材に力をかけながら前記ロック部材を移動させなければ前記レバー部材の保持が解除されないように前記レバー部材を保持する、
請求項5から9のいずれかに記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−124018(P2006−124018A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318159(P2004−318159)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)