説明

包装装置

【課題】 支持部材が倒れる際の抵抗が大きくなることなく、支持部材を密に配置して商品の転倒や破損を防止することができる包装装置を提供する。
【解決手段】 本発明の包装装置のリフタは、商品を支持する複数の支持部材85を有し、支持部材85のうち少なくとも1つが、該支持部材85に接触した折込部材の進行方向に沿って倒れ始めた後、前記進行方向および該進行方向に直交する方向の成分を含む斜め方向に倒れるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装ステーションに押し上げた商品の底面側にフィルムを折り込んで商品を包装する包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の包装装置では、商品を支持する複数の支持部材を有するリフト上に商品を搬送した後、前記支持部材により支持された商品を包装ステーションに押し上げ、折込部材で当該商品の底面側にフィルムを折り込むことで商品をフィルムで包装する。フィルムを商品の底面側に折り込む際には、前記折込部材により複数の支持部材が順に倒される。
【0003】
かかる包装装置を用いて、たとえば、脚付きのトレーを包装しようとすると、トレーをリフト上に搬送する際に、前記複数の支持部材間の隙間にトレーの脚が引っ掛かってトレーが転倒したり潰れるおそれがある。一方、何ら支障なく搬送できたとしても、フィルムを折り込む際に、前記隙間に落ち込んだ「脚」の部分を折込部材が叩いて潰すおそれがある。
【0004】
そこで、隙間に落ち込んだトレーの脚が折込部材よりも上方となるようにトレーの突き上げ高さを高くすることも考えられるが、この場合、支持部材自体の大きさが大きくなるので、支持部材同士の間隔を広げないと、支持部材が倒れた際に別の支持部材に干渉する。
【0005】
かかる問題を解決するため、支持部材が折込部材の進入方向に対して略45°方向に倒れるようにして、支持部材同士の干渉を防止した包装装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特公平6−029054公報 (第8頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、かかる構造では、支持部材の干渉を避けるために、支持部材の倒れる方向が折込部材の進入方向に対して略45°の1方向に固定されており、そのため、折込部材によって支持部材を倒す際の抵抗が大きくなる。このように抵抗が大きくなると、支持部材と折込部材との間でフィルムを挟む力が大きくなり、そのため、フィルムに加わる力が大きくなるので、フィルムを傷付け易くなる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、支持部材が倒れる際の抵抗が大きくなることなく、支持部材を密に配置して商品の転倒や破損を防止することができる包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の包装装置は、包装ステーションに張設されたフィルムで商品を包装する包装装置であって、起倒可能な複数の支持部材を有し、該支持部材上に載せられた商品を前記フィルムの下面に押し付けるリフタと、前記商品が前記フィルムに押し付けられた状態において、左右方向から前記支持部材を倒しながら前記商品と前記支持部材との間に入り込み、前記フィルムの周縁部を前記商品の底面側へと折り込ませる一対の左右折込部材と、前記商品が前記フィルムに押し付けられた状態において、後方向から前記支持部材を倒しながら前記商品と前記支持部材との間に入り込み、前記フィルムの周縁部を前記商品の底面側へと折り込ませる後折込部材と、を備え、前記支持部材のうち少なくとも1つは、該支持部材に最初に接触した折込部材の進行方向に沿って倒れ始めた後、前記進行方向および該進行方向に直交する方向の成分を含む斜め方向に倒れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、1ないし複数の支持部材が、折込部材に押されて倒れる際、まず始めに、前記折込部材の進行方向に沿って倒れ始めた後、前記進行方向の下流にある別の支持部材との干渉を避けるように、前記進行方向および該進行方向に直交する方向の成分を含む斜め方向に倒れる。したがって、支持部材の大きさを大きくしても支持部材を密に配置することができるから、底面に凹凸のあるトレー(商品)の転倒や破損を防止できる。
しかも、支持部材が倒れ始める瞬間は、折込部材の進行方向に沿って倒れるので、支持部材が倒れ始める際の抵抗が小さくなり、支持部材と折込部材との間でフィルムが強く挟まれることがない。したがって、フィルムに過剰な張力が作用せず、フィルムを損傷するおそれが少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施例においては、前記支持部材は、前後および左右の2方向のいずれにも起倒可能であり、前記支持部材が前記進行方向に沿って前記2つの方向のいずれか一方に若干倒れたところで前記支持部材に接触するガイドを備え、前記ガイドは、前記支持部材が接触しながら倒れることにより、当該支持部材が前記一方および別の方向の成分を含む前記斜め方向に倒れるように案内してもよい。
この態様によれば、折込部材の進行方向に若干倒れた後、斜め方向に倒れるという支持部材の変則的な動きを、従来の2方向起倒可能な支持部材に加え、支持部材に接触するガイドを設けるだけの極く簡単な構造で実現することができる。
【0011】
この場合、具体的な構成としては、前記支持部材を第1の水平軸線のまわりに回動可能に支持する第1軸部と、前記第1軸部を前記第1の水平軸線に概ね直交する第2の水平軸線のまわりに回動可能に支持する第2軸部とを備え、前記折込部材が接触することで前記支持部材が前記第1の水平軸線のまわりに回動し始め、該回動後に、該回動を伴いながら、前記支持部材の前記第2の水平軸線のまわりの回動を開始させる案内部を前記ガイドに形成するのが好ましい。
この態様によれば、第1の水平軸線のまわりに回動し始めた支持部材は、当該回動を続けながら、前記ガイドに形成された案内部によって第2の水平軸線のまわりにも回動する。かかる回動がガイドの案内部によって案内されるから、支持部材を容易かつ確実に斜め方向に倒すことができる。
【0012】
本発明においては、商品が前記リフタに対し前後方向に搬送され、前記支持部材は、前後方向および左右方向に複数列設けられると共に、前記左右方向において互いに隣接する支持部材間の隙間よりも、前記前後方向において互いに隣接する支持部材間の隙間の方が狭くなるように各支持部材が配置され、前記支持部材のうち少なくとも、前記左右折込部材よりも前記後折込部材が先に接触する位置に配置された支持部材については、前記後折込部材が接触して倒れる際に、前記前方向に倒れた後に、前記前方向に倒れながら左右の中心に向かう方向の成分を含む斜め方向に倒れるようにするのが好ましい。
こうすれば、後折込部材により前方向に倒される支持部材が、左右の中心に向って進行する左右折込部材に対し邪魔にならない方向に倒れるので、支持部材と左右折込部材との衝突による各部材の破損を防止できる。
【0013】
本明細書において、「前」とは、前記左右折込部材および後折込部材により包装された商品が排出される側のことを意味し、「後」は前記商品が排出される側とは反対側のことを意味する。
【0014】
本発明の別の好ましい実施例においては、前記支持部材は、少なくとも1つの水平軸線のまわりに回動可能に設けられていることで、前記一方の折込部材の進行方向に起倒可能であり、前記支持部材が前記水平軸線のまわりに回動して若干倒れた後、該回動を伴いながら、前記支持部材の回動中心である前記水平軸線を、鉛直な軸線のまわりに回転させる回転機構を備えるようにしてもよい。
この態様によれば、支持部材が折込部材の進行方向に若干倒れた後、該進行方向に倒れながら、回転機構により回転されることで、支持部材を斜め方向に倒れるようにすることができる。
【0015】
前記回転機構は前記水平軸線よりも下方に設けるのが好ましい。こうすれば、前記回転機構の構造が簡単になる。
【0016】
また、前記回転機構により回転される支持部材は、前記水平軸線とは別の第2の水平軸線のまわりに回動可能としてもよい。
こうすれば、支持部材の自由度が大きくなり、折込部材によって支持部材が倒される際の抵抗が更に小さくなるから、フィルムが損傷し難くなる。
【実施例1】
【0017】
全体構成:
以下、本発明にかかる包装装置の実施例1を図1〜図6に従って説明する。
なお、以下の説明において、図2の商品MはトレーT上に載置されて搬送されていくが、「商品M」とは、トレーT内の内容物を指す場合と、内容物、トレーTおよびフィルムFを含んだ概念で用いる場合とがある。また、商品Mは必ずしもトレーT上に載っている必要はない。
【0018】
まず、本包装装置の基本的な構造および動作について説明する。
図1に示すように、本包装装置は、商品を正面側2aから搬入して正面側2aに排出する正面排出型の包装装置であって、正面2aには、コンベヤなどの供給装置20が設けられている。
【0019】
図2において、供給装置20上に商品Mが載置されると、供給装置20は、商品Mの載ったトレーTをリフタ80の上方に供給する。リフタ80の各ポスト8ijは、包装機構200の包装ステーションSの直下に配置されていると共に、昇降手段88により上下昇降自在とされている。このリフタ80は、供給装置20から商品Mが供給されると、上昇して商品Mを包装ステーションSまで持ち上げる。
【0020】
一方、包装動作に先立ち、前記包装ステーションSには、フィルムFが一対の搬送ベルト202,202により供給され張設されている。このフィルムFは、商品Mが押し上げられると、商品Mの上面に密着する。この状態で、フィルム折込み機構203は、図3の一対の左右折込部材204,204、後折込部材205および排出プッシャー207(図2)によって、前記フィルムFの周縁部をトレーTの底面側に折り込んで商品Mを包装すると共に、図2の熱融着コンベヤ211上にフィルムFに包まれた商品Mを搬送する。熱融着コンベヤ211は、底面に折り込まれたフィルムF同士を互いに溶着し、その後、トレーTが排出台209上に排出される。
【0021】
一方、前記包装ステーションSの上方には、商品の内容に応じたラベルを発行するラベルプリンタ12とラベル貼付機13が配設されている。ラベル貼付機13は、商品Mが排出台209上に排出されるまでの間に、ラベルプリンタ12から発行されたラベルを商品Mの上面に貼付する。
【0022】
リフタ:
図2に示すように、リフタ80は複数のポスト8ijを有している。図4に示すように、前記ポスト8ijは、前後方向Yおよび左右方向Xに複数列設けられ、多数の第1ポスト811〜814,821〜824,841〜844,851〜854と、複数の第2ポスト831〜835とを含んでいる。前記第2ポスト831〜835は左右方向Xの中央に一列に並べて配置され、該第2ポスト831〜835の左右に2列ずつ分かれて、前記第1ポスト811〜814,821〜824,841〜844,851〜854が配置されている。
【0023】
図4において、トレーTは前後方向Yに搬送されるため、左右方向Xに互いに隣接するポスト8ij間の隙間Dxよりも、前後方向Yに互いに隣接するポスト8ij間の隙間Dyの方が狭くなるように各ポスト8ijが配置されている。
【0024】
第1ポスト:
つぎに、第1ポストの構造について説明する。
前記多数の第1ポスト811〜814,821〜824,841〜844,851〜854の構造は互いに同様であるから、以下の説明では1つの第1ポスト844を例にとって説明する。ただし、一対の左右折込部材204,204が左右の中心CLに対して左右対称に動作する関係上、中央よりも左側に配置された第1ポスト811〜814,821〜824の構造と、中央よりも右側に配置された第1ポスト841〜844,851〜854の構造とは、互いに左右対称とされている。
【0025】
図5(b),(c)に示すように、第1ポスト844は、ヘッド(支持部材の一例)85、前後回動軸(第1軸部の一例)81、左右回動軸(第2軸部の一例)82および固定部87を有している。前記固定部87は、リフタ80のフレームに取り付けられる。
前記ヘッド85は、第1ポスト844の上部に設けられ、前記回動軸81および左右回動軸82を介して、前記固定部87に対し前後方向Yおよび左右方向Xに起倒可能に取り付けられている。
【0026】
前後回動軸81は、前記ヘッド85を第1の水平軸線H1のまわりに回動可能に支持している。前記ヘッド85は、図5(c)の直立状態から前記第1の水平軸線H1のまわりに回動することで、図5(d)の矢印で示すように、前後方向Yの一方向(前方向)Y1に所定の角度まで倒れることができる。
なお、前後回動軸81の周りには、前後復帰バネ83が巻き付けられており、該前後復帰バネ83のバネ力により、ヘッド85は図5(c)の直立状態に復帰するように付勢されている。
【0027】
左右回動軸82は、前記前後回動軸81を前記第1の水平軸線H1に概ね直交する第2の水平軸線H2のまわりに回動可能に支持している。前記ヘッド85は、図5(b)の矢印で示すように、直立状態から前記第2の水平軸線H2のまわりに回動することで、左右方向Xの一方向(左右の中心CL(図4)に向かう方向)X1(以下、中心方向X1という)に約90度倒れることができる。
なお、左右回動軸82の周りには、左右復帰バネ84が巻き付けられており、該左右復帰バネ84のバネ力により、ヘッド85は図5(b)の直立状態に復帰するように付勢されている。
【0028】
図5(d)に示すように、第1ポスト844はガイド40を備えている。前記ガイド40はヘッド85が前方向Y1に若干倒れたところで、ヘッド85に接触する。図5(c)に示すように、前記ガイド40の上部はヘッド85に向って湾曲しており、図5(b)に示すように、ガイド40の上縁は前記中心方向X1の下方に向って滑らかに傾斜した案内部41を形成している。前記案内部41は、後述するように、前記ヘッド85が後折込部材205によって倒される際に、後折込部材205の進行方向(前方向)Y1および該進行方向Y1に直交する中心方向X1の成分を含む斜め方向に前記ヘッド85が倒れるように案内する。
【0029】
ここで、前記各第1ポスト811〜814,821〜824,841〜844,851〜854のヘッド85は、図3の左右折込部材204,204および後折込部材205がフィルムFを折り込む際に、左右折込部材204,204または後折込部材205のいずれかに押されて、図4の二点鎖線で示すように倒れる。このとき、前記ヘッド85に対し前記左右折込部材204,204または後折込部材205のどちらが先に接触するかで、前記ヘッド85の倒れ方が異なる。
【0030】
左右折込部材によって倒される場合の動作:
まず、後折込部材205よりも左右折込部材204,204の方が先に接触した場合の第1ポスト8ijのヘッド85の倒れ方について説明する。たとえば、図4の第1ポスト842を例にとって説明すると、該第1ポスト842のヘッド85は、中心方向X1に向って進行する右側の右折込部材204が先に接触して倒される。
【0031】
この場合、図5(b)に示すように、ヘッド85は、第2の水平軸線H2のまわりに回動して、前記右側の左右折込部材204の進行方向(中心方向)X1に沿って倒れ、前方向Y1には倒れない。そのため、ヘッド85は前記案内部41に接触せず、案内部41がヘッド85の倒れる方向に影響を及ぼすこともないから、ヘッド85は、図4の二点鎖線で示すように、前方向Y1の成分を実質的に含まない中心方向X1にのみ倒れる。
【0032】
このように、左右折込部材204,204により倒されるヘッド85は、中心方向X1にのみ倒れるので、当該ヘッド85が中心方向X1の下流にある別のヘッド85に干渉しないように、左右方向Xにおいて互いに隣接するポスト8ij間の隙間Dxは大きく設定されている。なお、左右方向の隙間Dxを大きくしても、トレーTを前後方向Yに搬送するのに支障はない。
【0033】
後折込部材によって倒される際の動作:
つぎに、左右折込部材204,204よりも後折込部材205の方が先に接触した場合の第1ポスト8ijのヘッド85の倒れ方について説明する。たとえば、図4の第1ポスト844を例にとって説明すると、該第1ポスト844のヘッド85は、前方向Y1に向って進行する後折込部材205が先に接触して倒される。
【0034】
図5(a)は、後折込部材205によって倒されるヘッド85の変位曲線をヘッド85と共に示す平面図である。図5(a)において、縦軸は前方向Yの変位を表し、横軸は中心方向X1の変位を表す。また、図5(a)中の点Pa〜Pdにそれぞれ対応するヘッド85の状態を図6(a)〜(d)の概略正面図に示す。
【0035】
前方向Y1に進行する後折込部材205(図4)が、図6(a)に示す直立状態の第1ポスト844のヘッド85に接触すると、ヘッド85は図5(c)の前記第1の水平軸線H1のまわりに回動し始める。すなわち、ヘッド85は、図5(a)の点Paから点Pbまで、前記後折込部材205の進行方向(前方向)Y1に沿って倒れ、つまり、進行方向Y1にのみ倒れ左右方向Xには実質的に倒れない。前記ヘッド85が点Pbまで倒れると、図5(d)に示すように、ヘッド85が前記ガイド40の案内部41に接触する。このように、ヘッド85がガイド40の案内部41に接触する前の第1期(Pa〜Pb)においては、ヘッド85は後折込部材205の進行方向Y1に沿って倒れる。
【0036】
前記接触後、後折込部材205で押されてヘッド85が前記第1の水平軸線H1のまわりに更に回動しようとすると、ヘッド85は、前記案内部41に案内されて、前記第1の水平軸線H1のまわりに回動しながら、図5(c)の第2の水平軸線H2のまわりに徐々に回動し始める。すなわち、前記接触後の第2期においては、図6(c)のように、ヘッド85は前記案内部41に接触しながら倒れることで、前記前方向Y1および該前方向Y1に直交する中心方向X1の成分を含む斜め方向に倒れてゆく。
【0037】
この第2期においては、図5(a)の点Pbから点Pdに向かう曲線で示すように、ヘッド85が、後折込部材205で押されて倒れるに従い、中心方向X1の変位の変化率が大きくなり、かつ、前方向Y1の変位の変化率が小さくなる。すなわち、ヘッド85が倒れるに従い、前方向Y1に倒れる変化率が小さくなると共に中心方向X1に倒れる変化率が大きくなる。
【0038】
最終的に、ヘッド85は、図5(a)の二点鎖線で示すように、前記前方向Y1および中心方向X1に対し略45度方向に倒れることで、図6(d)に示すように概ね水平となるまで倒れる。
【0039】
このように、後折込部材205によって倒されるヘッド85が、前方向Y1の下流にある別の第1ポストのヘッド85と干渉しない。そのため、ポスト8ijを前後方向Yに密に配置して前後方向Yにおいて互いに隣接するポスト8ij間の隙間Dyを狭くすることができる。したがって、前記隙間DyにトレーTの脚が落ち込んで引っ掛かることがないから、トレーTの転倒を防止することができる。
【0040】
しかも、第1ポストのヘッド85は、単に斜め方向に倒れるのではなく、後折込部材205の進行方向Y1に沿って若干倒れた後に斜め方向に倒れるようにしたので、後折込部材205によってヘッド85を倒す際の抵抗を小さくすることができる。したがって、ヘッド85と後折込部材205との間でフィルムFが強く挟まれることがないから、フィルムFを破るおそれが少なくなる。
特に、第1ポストのヘッド85は、倒れながら前方向Y1に倒れる変化率が小さくなりつつ、中心方向X1に倒れる変化率が大きくなるから、二点鎖線で示す45°の姿勢まで、スムースに倒れることができる。
【0041】
また、第1ポストのヘッド85は、左右の中心に向かう方向X1の成分を含む斜め方向に倒れるから、後折込部材205により倒される途中のヘッド85に、左右の中心に向って進行する左右折込部材204,204が接触しても、左右折込部材204,204の進行を邪魔しないので、ヘッド85や左右折込部材204,204の破損を防止できる。
【0042】
図4の中央列の第2ポスト831〜835については、左右折込部材204,204が前記第2ポスト831〜835に接触する位置まで進行せず、後折込部材205によって前方向Y1に倒されるだけであるから、前記第2ポスト831〜835については、図5(b)の前記ガイド40を設けずに、図5(c)の左右回動軸82に図示しないストッパを装着することで、各第2ポスト831〜835のヘッド85が左右方向Xには倒れず前方向Y1に向ってのみ倒れるようにしている。また、第2ポスト831〜835のヘッド85は、前方向Y1に倒れても別の第2ポストのヘッド85と干渉しないように、第1ポストのヘッド85よりも若干小さく形成してある。
【0043】
更に、前記中央列の第2ポスト831〜835のうち最も前方に配置された第2ポスト831については、左右折込部材204,204および後折込部材205のいずれによっても倒されないので、第2ポスト831のヘッド85は前後方向Yおよび左右方向Xのいずれにも倒れないように固定してもよい。
【実施例2】
【0044】
図7は本発明の実施例2を示す。
図7(c),(d)に示すように、本実施例のヘッド85は、第1軸部81により支持されて1つの水平軸線H1のまわりに回動可能に設けられている。すなわち、前記ヘッド85は、第1軸部81により、前記後折込部材205(図4)の進行方向Y1に起倒可能とされている。
図7(c)に示すように、前記水平軸線H1の下方には、前記第1軸部81を鉛直な軸線Oのまわりに回転させる回転機構90が設けられている。該回転機構90は、ピン91、コイルバネ93およびカム95などを備えている。
【0045】
前記ピン91は、前記第1軸部81を鉛直な軸線Oのまわりに回転可能に支持している。
前記コイルバネ93は、前記ピン91の周囲に巻き付けられ、前記第1軸部81を前記鉛直な軸線Oのまわりの一方向に付勢している。
前記カム94は、前記ヘッド85の下端部85aに形成され、前記ヘッド85が前記水平軸線H1のまわりに回動するのに伴って、前記水平軸線H1のまわりに回転する。図7(a),(d)に示すように、一方の前記下端部85aの後方には、該下端部85aに沿って平行に側壁部95が設けられている。
【0046】
前記カム94の輪郭は、前記水平軸線H1のまわりに所定の小さな角度Δ回転するまでは前記水平軸線H1までの距離が変わらず、所定角度Δよりも回転すると水平軸線H1までの距離が徐々に大きくなる形状に形成されている。したがって、図7(d)の前方向Y1に沿ってヘッド85がある程度倒れるまでは、ヘッド85が前方向Y1に沿って倒れるが、つまり、ヘッド85が水平軸線H1のまわりにのみ回動するが、ヘッド85が更に前方向Y1に倒れると、図7(b)のように、カム94が前記側壁部95に接触して押されることで、第1軸部81が中心方向X1に向って鉛直線Oのまわりに回転される。これにより、前記実施例1と同様に、ヘッド85が前方向Y1に若干倒れた後に、斜め方向に倒れるという動作を実現することができる。
【0047】
なお、本実施例2において、ヘッド85は、図5の前記実施例1と同様に、前記水平軸線H1とは別の第2の水平軸線H2のまわりに回動可能に設けてもよい。
【0048】
変形例:
ヘッド85を前後方向Xおよび左右方向Yを含むあらゆる方向に起倒可能とする構造は、図8(a)〜(d)に示すように、種々の構造が想定される。
たとえば、図8(a)に示すように、球関節を持つ玉継手11を設けることで、ヘッド85をあらゆる方向に起倒可能としてもよい。
また、図8(b),(c)のように、ゴム棒12やコイルバネ13などの弾性部材で構成された支軸でヘッド85を支持することで、ヘッド85をあらゆる方向に起倒可能としてもよい。なお、図8(c)のように、コイルバネ13で支持する場合は、コイルバネ13の周囲に、たとえば、ゴムホースの外皮のような被覆材14を設けて覆っておく方がよい。
また、図8(d)に示すように、ガイドリング15によりヘッド85の支軸85bを案内することで、図8(d)の矢印で示すように、ヘッド85が折込部材の進行方向に沿って倒れた後、斜め方向に倒れるようにしてもよい。
【0049】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、供給装置20はリフタ上に搭載してもよい。さらに、供給装置20に計量器を設けて商品の重さを計ってもよい。
また、前記実施例では、第2ポストを除く全域に第1ポストを設けたが、第1ポストは少なくとも、左右折込部材よりも後折込部材が先に接触する位置に1つ以上配置されていればよい。
また、第1および第2ポストの配置や本数は、前記各実施例に限定されるものではなく、商品の種類(サイズや形状など)、各折込部材の動作タイミングなどに応じて、適宜設定され得る。更に、第2ポストは必ずしも設ける必要はない。
また、折込部材の進行方向および中心方向に対して第1ポストのヘッドが最終的に倒れる角度は、必ずしも前記実施例のように45°である必要はなく、所望の角度に適宜設定し得る。
さらに、包装装置は正面排出型のものに限定されず、背面排出型の包装装置に本発明を適用してもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例1にかかる包装装置を示す概略斜視図である。
【図2】同包装装置の包装機構を示す概略側面図である。
【図3】同包装方法を示す概略斜視図である。
【図4】ポストの配置を示す概略平面図である。
【図5】(a)は後折込部材により倒されるヘッドの変位曲線をヘッドと共に示す平面図、(b),(c)は、それぞれ、第1ポストの構造を示す正面図および側面図、(d)はヘッドがガイドに接触した状態を示す一部断面側面図である。
【図6】ヘッドの倒れ方を示す正面図である。
【図7】(a)は実施例2にかかる第1ポストの構造を示す平面断面図、(b)は回転機構の動作を示す平面図、(c),(d)は、それぞれ、実施例2にかかる第1ポストの構造を示す正面図および側面図である。
【図8】(a)〜(c)はヘッドの支持構造の変形例を示す側面図、(d)はガイドの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0051】
40:ガイド
41:案内部
204:左右折込部材
205:後折込部材
80:リフタ
81,82:第1および第2軸部
85:ヘッド(支持部材)
90:回転機構
Dx:左右方向において互いに隣接する支持部材間の隙間
Dy:前後方向において互いに隣接する支持部材間の隙間
F:フィルム
H1,H2:第1および第2の水平軸線
M:商品
X:左右方向
X1:左右の中心に向かう方向
Y:前後方向
Y1:前方向
O:鉛直な軸線
S:包装ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装ステーションに張設されたフィルムで商品を包装する包装装置であって、
起倒可能な複数の支持部材を有し、該支持部材上に載せられた商品を前記フィルムの下面に押し付けるリフタと、
前記商品が前記フィルムに押し付けられた状態において、左右方向から前記支持部材を倒しながら前記商品と前記支持部材との間に入り込み、前記フィルムの周縁部を前記商品の底面側へと折り込ませる一対の左右折込部材と、
前記商品が前記フィルムに押し付けられた状態において、後方向から前記支持部材を倒しながら前記商品と前記支持部材との間に入り込み、前記フィルムの周縁部を前記商品の底面側へと折り込ませる後折込部材と、
を備え、
前記支持部材のうち少なくとも1つは、該支持部材に最初に接触した折込部材の進行方向に沿って倒れ始めた後、前記進行方向および該進行方向に直交する方向の成分を含む斜め方向に倒れることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1において、前記支持部材は、前後および左右の2方向のいずれにも起倒可能であり、
前記支持部材が前記進行方向に沿って前記2つの方向のいずれか一方に若干倒れたところで前記支持部材に接触するガイドを備え、
前記ガイドは、前記支持部材が接触しながら倒れることにより、当該支持部材が前記一方および別の方向の成分を含む前記斜め方向に倒れるように案内することを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項2において、前記支持部材を第1の水平軸線のまわりに回動可能に支持する第1軸部と、前記第1軸部を前記第1の水平軸線に概ね直交する第2の水平軸線のまわりに回動可能に支持する第2軸部とを備え、
前記折込部材が接触することで前記支持部材が前記第1の水平軸線のまわりに回動し始め、該回動後に、該回動を伴いながら、前記支持部材の前記第2の水平軸線のまわりの回動を開始させる案内部が前記ガイドに形成されている包装装置。
【請求項4】
請求項1、2もしくは3において、商品が前記リフタに対し前後方向に搬送され、
前記支持部材は、前後方向および左右方向に複数列設けられると共に、前記左右方向において互いに隣接する支持部材間の隙間よりも、前記前後方向において互いに隣接する支持部材間の隙間の方が狭くなるように各支持部材が配置され、
前記支持部材のうち少なくとも、前記左右折込部材よりも前記後折込部材が先に接触する位置に配置された支持部材については、前記後折込部材が接触して倒れる際に、前記前方向に倒れた後に、前記前方向に倒れながら左右の中心に向かう方向の成分を含む斜め方向に倒れるようにした包装装置。
【請求項5】
請求項1において、前記支持部材は、少なくとも1つの水平軸線のまわりに回動可能に設けられていることで、前記一方の折込部材の進行方向に起倒可能であり、
前記支持部材が前記水平軸線のまわりに回動して若干倒れた後、該回動を伴いながら、前記支持部材の回動中心である前記水平軸線を、鉛直な軸線のまわりに回転させる回転機構を備えた包装装置。
【請求項6】
請求項5において、前記回転機構が前記水平軸線よりも下方に設けられている包装装置。
【請求項7】
請求項5もしくは6において、前記支持部材は、前記水平軸線とは別の第2の水平軸線のまわりに回動可能である包装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−8182(P2006−8182A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188078(P2004−188078)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】