説明

包装装置

【課題】簡単な構造で、フィルム同士の重なり部分が安定に密着して包装され、きれいに商品を包装可能な包装装置を提供する。
【解決手段】フィルム成形器12の側壁部15,16が商品送り方向下流に延びた延出部15a,16aと、フィルム成形器12により成形されるフィルム10の側縁部同士が重ね合わせられて互いに合流するように密接する密着ガイド部32を備える。密着ガイド部32に近接してフィルム10の側縁部同士の重ね合わせ部に対面して位置し静電気を放射する静電電極22を有する。フィルム成形器12の下流側に近接して位置したヒートシール装置26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルム成形器を用いて熱収縮性フィルムにより商品を包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮性フィルムを用いて商品を包装する包装装置として、例えばロール状に巻き取られた包装用フィルムの間に商品を包み込ませるためのフィルム成形器を有したものがある。このフィルム成形器は、フィルムをガイドして表裏を反転させるとともに90°方向を転向し、フィルムを筒状に成形するものである。筒状に成形されたフィルムの長手方向の両側縁部は、互いに重ねられ、その筒状のフィルムの中に商品が挿入される。
【0003】
この包装方法は、包装に際して廃棄されるフィルムがなく、廃棄物処理が不用で環境負荷が少ない包装であるが、商品の大きさにより重ね合わせられる幅が異なり、重ね合わせ部分が少ないと、熱収縮時にフィルム側縁部の重ね合わせ部分が開いたりする問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1,2に開示されているように、筒状に成形したフィルムの重ね合わせた部分に静電気を帯電させて、フィルム同士を密着させる包装装置があった。
【特許文献1】特開2003−54502号公報
【特許文献2】特開2003−112703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のフィルム同士を静電気により密着させる包装装置においても、フィルムが重なった部分に正確に均一に帯電させてフィルム同士を密着させることは難しく、安定して帯電させ、密着させることができる簡易な包装装置が求められていた。
【0006】
この発明は、上記従来の技術に鑑みて成されたもので、簡単な構造で、フィルム同士の重なり部分が安定に密着して包装され、きれいに商品を包装可能な包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、二つ折りフィルム等の熱収縮性フィルムにより商品を筒状に巻いて包装するフィルム成形器と、このフィルム成形器の側壁部が商品送り方向下流に延びた延出部と、前記フィルム成形器により成形されるフィルムの側縁部同士が重ね合わせられて互いに合流するように密接する密着ガイド部と、この密着ガイド部に近接して前記フィルムの側縁部同士の重ね合わせ部に対面して位置し静電気を放射する静電電極と、前記フィルム成形器の下流側に近接して位置したヒートシール装置を備えた包装装置である。
【0008】
前記フィルム成形器を通過する商品は、前記フィルムに包まれた状態で手動で搬送される。また、前記密着ガイド部は、互いに重なり合うフィルム側縁部が各々通過するスリットに隣接し、各スリットを通過したフィルム側縁部同士を互いに密接させるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の包装装置によれば、商品を筒状に包んでシールする包装により、廃棄物を出さずに包装可能であり、しかもフィルム成形器の延出部により、フィルム側縁部同士が正確に互いに重ね合わされて強く密着し、熱収縮した状態でもフィルムにシワやゆがみがなく、きれいに包装可能なものである。さらにフィルム成形器に設けられた密着ガイド部により、機械的にもフィルム側縁部同士が密接し、重ね合わされた状態で静電気が放射され、極めて強くフィルム側縁部同士が密着する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の包装装置の一実施形態について、図1〜図6に基づいて説明する。この実施形態の包装装置は、図1に示すように、ロール状に巻き取られた包装用フィルム10により商品を包装するものである。この包装装置は、フィルム10を開いて商品を包み込み可能にするフィルム成形器12を備える。フィルム10は、例えば、熱可塑性のフィルムを二つ折りされロール状に巻き取られたものであり、その巻き取られたフィルムロールが、図示しないフィルム支持部に取り付けられている。
【0011】
フィルム成形器12は、水平面上に設けられ直角二等辺三角形に形成された一対のガイド面部13,14と、ガイド面部13,14に対して各々直角に折れた側壁部15,16とを備えている。フィルム成形器12の一対のガイド面部13,14は、直角二等辺三角形の斜辺がフィルム送り方向に対して斜め45°に互いに交差するようにして配置され、他の二辺がフィルム送り方向と直角および平行に各々位置している。各ガイド面部13,14は、上下に対向して僅かの隙間を空けて積層されて設けられ、互いに平行に位置している。一対の側壁部15,16は、フィルム10の送り方向上流側の端縁部が、フィルム10の送り方向上流側に向かって斜め45°に形成されている。フィルム成形器12の側壁部15,16の下端縁間は、包装される商品の支持底面18として一体に設けられている。そして、フィルム成形器12の下側に、フィルム10のロールが設けられている。
【0012】
フィルム成形器12の支持底面18上には、商品11をフィルム成形器12内へ搬入する搬入ガイド20が設けられている。また、フィルム成形器12のガイド面部13,14上には、フィルム10の側縁部が重ね合わされた位置に対向して、静電気を放射する静電電極22が設けられている。静電電極22は、静電気が効果的に下方のフィルム10に放射されるように、カバー24に囲まれている。
【0013】
フィルム成形器12のフィルム送り方向下流側は、四角形の開口部として形成され、この開口部に近接してフィルム10を溶断溶着するヒートシール装置26が設けられている。ヒートシール装置26は、レバー28を揺動させて手動で操作するものである。ヒートシール装置26の下流側には、商品搬出台30が設けられ、包装の終了した商品11が載置され、次の熱収縮工程に送られる。
【0014】
フィルム成形器12は、図5に示すように、ガイド面部13,14のヒートシール装置26側に、フィルム10の側縁部を互いに密着させる密着ガイド部32が設けられている。密着ガイド部32表面には、フィルム10の互いに対向する両側縁部が重ねられて位置し、その上流側には一方のフィルム側縁部が下方から表面側へ通過するスリット34が形成されている。さらに、スリット34の上流側には、フィルム10の他方の側縁部が下方から表面側へ通過するスリット36が形成されている。そして、スリット密着ガイド部32の上方に静電電極22が位置している。
【0015】
また、フィルム成形器12の出口側の側壁部15,16は、ヒートシール装置26の側方にまで延びて延出部15a,16aが位置し、静電的にフィルム側縁部同士を密着させる際のフィルム形状を安定化している。
【0016】
この実施形態の包装装置の包装動作は、先ず、フィルム10を引き出して、フィルム成形器12に被せる。その際、下方から引き出されたフィルム10は、二つ折りされた中心で表裏が反転されるようにして、ガイド面部13,14に被せられ斜辺で折り返される。これによりフィルム10は、フィルム成形器12の支持底面18内の表面に二つ折りの中心が位置して、ガイド面部13,14と側壁部15,16の内壁面に沿って搬入ガイド20の下流側へ引き出し可能になる。フィルム10及び商品11の搬送は、手動によりフィルム成形器12内へ押し込み、ヒートシール装置26を通過させて引き出す。
【0017】
商品11の搬送に際して、フィルム10の側縁部を互いに密着させる密着ガイド部32では、フィルム10の側縁部が重ねられた状態で、静電電極22から静電気を放射して、静電気によりフィルム10の側縁部同士を密着させる。フィルム10により包まれた商品11は、商品搬出台30まで引き出されて、次の熱収縮工程へ送られる。
【0018】
この実施形態の包装装置によれば、フィルム成形器12の密着ガイド部32により、フィルム端縁部同士が確実に密着した状態で静電気が放射され、フィルム側縁部同士が確実に密着する。さらに、フィルム成形器12の側壁部15,16は、延出部15a,16aにより、静電気を放射する位置まで延びているので、商品11を包んだフィルム10の形が崩れにくく、きれいに包装した状態で静電気が放射され、シワになったり曲がって密着することがない。また、このフィルム10を筒型にして端縁部を重ねて包装する方法は、廃棄物を出さず、ゴミ処理上有利であり、商品11の形状の変化に対してある程度自在に対応可能である。
【0019】
尚、この発明の包装装置は、上記実施形態に限定されず、適宜設定できるものであり、フィルムロールの種類は問わず、フィルム送り装置の形状も、二つ折りではないフィルムを、フィルム成形器に送り込んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態の包装装置を示す概略斜視図である。
【図2】この実施形態の包装装置の正面図である。
【図3】この実施形態の包装装置の右側面図である。
【図4】この実施形態の包装装置の左側面図である。
【図5】この実施形態の包装装置の平面図である。
【図6】この実施形態の包装装置のフィルム成形器の平面図である。
【符号の説明】
【0021】
10 フィルム
11 商品
12 フィルム成形器
13,14 ガイド面部
15,16 側壁部
15a,16a 延出部
18 支持底面
20 搬入ガイド
22 静電電極
26 ヒートシール装置
32 密着ガイド部
34,36 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムにより商品を筒状に巻いて包装するフィルム成形器と、このフィルム成形器の側壁部が商品送り方向下流に延びた延出部と、前記フィルム成形器により成形されるフィルムの側縁部同士が重ね合わせられて互いに合流するように密接する密着ガイド部と、この密着ガイド部に近接して前記フィルムの側縁部同士の重ね合わせ部に対面して位置し静電気を放射する静電電極と、前記フィルム成形器の下流側に近接して位置したヒートシール装置を備えたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記熱収縮性フィルムは、二つ折りフィルムであることを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記フィルム成形器を通過する商品は、前記フィルムに包まれた状態で手動で搬送されることを特徴とする請求項1または2記載の包装装置。
【請求項4】
前記密着ガイド部は、互いに重なり合うフィルム側縁部が各々通過するスリットに隣接し、各スリットを通過したフィルム側縁部同士を互いに密接させることを特徴とする請求項1、2または3記載の包装装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−195403(P2008−195403A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29335(P2007−29335)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年12月15日 インターネットアドレス「http://www.hanagata.co.jp/」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年1月11日 北日本新聞に発表
【出願人】(000135575)株式会社ハナガタ (8)
【Fターム(参考)】