説明

包装装置

【課題】隔壁やカバー等で区画されたフィルムセット部の領域の温度調整を容易に行なうことができ、フィルムを確実に引き出し移送することができる包装装置を提供する。
【解決手段】機枠13に配置したフィルムロール5からフィルム5’を引き出して所定長さに切断し、該フィルムを包装部4に張架し、該フィルムで被包装物を包装する包装装置において、前記フィルムロール5が配置されるフィルムセット部6の領域Eの温度を下げる冷却手段30を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装置のフィルムセット部に配置したフィルムロールからフィルムを引き出して包装部に張架し、そのフィルムで被包装物を包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置のフィルムセット部にフィルムロールをセットし、該フィルムロールからフィルムを引き出して包装部に張架し、該フィルムに向かって被包装物を押し上げて該被包装物の表面を前記フィルムで包装する包装装置は数多く提案され、既に実用化されている。
そして、最近は商品を包装するフィルムの原材料の価格が高騰しており、また、環境に配慮するという面から使用する原材料を少なくし、フィルムの厚さを薄くする傾向にある。
【0003】
一方、フィルムの温度が下がるとフィルムの伸縮性や接着性(粘着性)が低下し、フィルムロールからフィルムが引き出されて搬送される際に密着するローラとの密着性が悪くなり、フィルム搬送が正常に行なわれない、或いは包装時に皺が生じる等の問題が発生する。その為に、前記問題を解決する為に、フィルムロールから引き出した待機フィルム(供給フィルム)を支持する箇所に温風ヒータを配置し、フィルムに柔軟性を与えるフィルム予熱装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、前記のように使用するフィルムの厚さが薄くなると、温度変化による影響を受け易くなり、例えば、前記したフィルムロールが配置されるフィルムセット部の領域の温度が高いと、フィルムロールから引き出したフィルムの先端側をフィルムフィード手段の始端部へ移送する際に、フィルムの長手方向が伸びるようにフィードされ、そのためフィルムの幅方向は逆に狭くなり、その結果、フィルムの幅方向の両側縁を挟持してフィルムを包装部へ移送するフィルムフィード手段に対して、フィルムの幅方向の両側縁の位置がずれてしまい、フィルムを引き出し移送することができないということがおきる。
【0005】
又、フィルムセット部の領域の温度が高くなると、ピーンと張ったフィルムがカッタで切断された場合、フィルムロールと繋がるフィルムの端部は収縮して所定の待機位置よりフィルムロール寄りに下がり、次の包装の為にフィルムの先端側をフィルムフィード手段の始端部へ移送し、受け渡そうとしても、所定位置より後退している為に受け渡すことができず、フィルムフィード手段でフィルムを引き出し移送することができないという問題を生じる。
【0006】
そのため、上記のような問題が生じた場合、フィルムロールが配置されるフィルムセット部の領域を温めるファンヒータをOFFにすることもできるが、前記フィルムロールが配置されている領域は仕切り板とカバー等で覆われているので温度は容易に下がらず、フィルムセット部の領域の温度を容易に調整することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−130009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、フィルムセット部の領域の温度調整を容易に行なうことができ、フィルムを確実に引き出し移送することができる包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の包装装置は、機枠に配置したフィルムロールからフィルムを引き出して所定長さに切断し、該フィルムを包装部に張架し、該フィルムで被包装物を包装する包装装置において、前記フィルムロールが配置されるフィルムセット部の
領域の温度を下げる冷却手段を備えた構成を特徴とする(請求項1)。
前記冷却手段は、外気(装置外の空気(室内空気)、又は屋外の空気)を流入させて冷却する方法、或いは冷媒を用いて冷却する方法等、何れでもよく、領域の温度を下げることが出来ればよい。又、外気流入は自然流入、或いはファンを用いた強制流入の何れでもよい。
前記フィルムセット部が配置される位置は、包装装置の内部下方(包装部より下方位置)に限らず、包装装置の上方(包装部より上方位置)であってもよい。
【0010】
上記手段によれば、領域の温度が高い場合は領域内に配置した冷却手段を作動することでフィルムセット部が配置される領域の温度を容易に下げることができる。それにより、フィルムフィード不良等を無くすことができる。
【0011】
前記領域は区画形成し、該領域内の温度を上げる加熱手段を備えてもよい(請求項2)。
前記領域の区画形成は、機枠を構成する金属製平板で周壁を区画する方法、或いは区画周壁の一部を合成樹脂製のシートで形成する等、何れでもよく、要はフィルムセット部が包装装置の動作を制御する電装部品関係と隔離され、且つ包装装置の動作中(フィルムロールの回転中)、該フィルムセット部へのアクセスが遮断されるようになっていればよい。
前記加熱手段は、セラミックヒータ、熱線ヒータ等、空気を温めて領域内の温度を上げることができるものであればよく、ヒータの種類、形態は限定されない。又、ファンを組み合わせ装備してもよい。
【0012】
上記手段によれば、領域内に配置した加熱手段を作動することでフィルムセット部の領域の温度を上げることができ、逆に該領域の温度が高い場合は冷却手段を作動させて所定の温度まで下げることができる。従って、フィルムの引き出しの状況に応じて領域内の温度を適正温度に調整することができ、フィルムの安定した引き出しを確保することができる。
【0013】
前記加熱手段と冷却手段は夫々独立して別々に配置してもよいが、加熱手段と冷却手段を一体化し、装置外の空気を取り入れて前記領域内の温度を上下するようにしてもよい(請求項3)。例えば、加熱手段としてセラミックヒータを用い、冷却手段として外気を強制流入させるファンを用いた場合、ケース内の外側にファン、内側にセラミックヒータを収容配置して一体化してもよい。
【0014】
上記手段によれば、加熱手段と冷却手段をコンパクトにまとめて領域内に配置することができる。そして、例えば、セラミックヒータ(加熱手段)とファン(冷却手段)を組み合わせた一体型では、セラミックヒータに通電し、ファンを回転すれば、温風をフィルムセット部に送風でき温めることができる。又、前記セラミックヒータに通電せずにファンのみを回転すれば、装置外の空気をフィルムセット部に送風でき、温度を下げることができる。
【0015】
又、前記領域に装置外と通じる通気孔を開設してもよい(請求項4)。前記通気孔を開設する場所(壁面)は、装置外と通じればどこでもよいが、特に加熱手段又は冷却手段が配置された面と対向する面が効果的である。
更に、前記通気孔部分には、該通気孔の開口量を調節するシャッタを備えてもよい(請求項5)。
【0016】
上記手段によれば、加熱手段又は冷却手段の装置外と連通する吸気口から領域内に流入した空気は、通気孔から流出する。それにより、前記領域を通り抜ける空気の流れができて、領域内の温度を空気の流れによって効率よく下げることができる。
又、前記通気孔部分にシャッタを設け、該シャッタの操作で通気孔の開口量を調節可能とした場合は、領域の温度に応じてシャッタを操作することで温度調整を適確に行なうことができる。
【0017】
又、前記領域内の温度調整は、前記加熱手段及び冷却手段を手動操作により行なう方式に限らず、自動で制御される方式としてもよい。例えば、使用するフィルムに応じて自動的に温度が制御されるようにする。具体的には、前記領域内に該領域の温度を検知する温度検知手段と、使用するフィルムロール毎に予め設定記憶した温度情報と、該設定した温度情報を読み出す読み出し手段と、該読み出し手段により読み出された温度情報と、前記温度検知手段により検知された温度情報とに基づいて、前記加熱手段又は冷却手段により前記領域の温度を制御する構成とする(請求項6)。
フィルムロール毎に設定記憶する温度情報とは、例えばフィルムの厚さに応じて、夫々のフィルムが動作する上での最適な温度帯を設定する。
【0018】
上記手段によれば、フィルムセット部にセットしたフィルムロールに応じた温度情報を読み出し手段により読み出し、その読み出した温度情報と、領域内の温度を検知する温度検知手段の検知温度とに基づいて、領域内の温度が最適温度帯(範囲)に入るように自動的に制御される。即ち、領域内の温度が使用フィルムの最適温度帯に対して低ければ、加熱手段を作動させて温度を上げ、領域内の温度が使用フィルムの最適温度帯に対して高ければ、冷却手段を作動させて温度を下げ、最適温度帯に入るように制御する。
【0019】
また、前記自動制御は装置外の室温と領域内の温度との温度差によって制御するようにしてもよい。具体的には、前記機枠に装置外の室温を計測する室温検知手段(温度センサ)を設け、前記加熱手段は前記領域内の空気を吸引して加熱する内部循環タイプの加熱手段であり、前記冷却手段は前記装置外の空気を導入して冷却する冷却手段であり、前記温度検知手段による温度情報と前記室温検知手段による温度情報とに基づき前記加熱手段或いは冷却手段を選択制御するようにしてもよい(請求項7)。
【0020】
上記手段によれば、一般的に包装装置が配置されるエリアは温度が低い場合が多いが、装置内は電気部品等や機器の駆動により温度が高くなり、領域内の温度を下げたい時に、領域内の温度よりも室温(装置外)が低い時は外気導入の冷却手段のファンを駆動し、加熱手段は非駆動とすることで、領域内の温度を効率的に下げることができる。又、逆に、例えば朝一番等、領域内の温度を上げたい時に、室温より領域内の温度の方が高い時は、内部循環タイプの加熱手段を駆動させることで、領域内の暖かい空気を加熱手段で温めるので、領域内の温度より低い装置外の空気を導入して温めるより効率よく制御できる。
【0021】
前記領域は、フィルムセット部だけでなく、該フィルムセット部にセットされたフィルムロールのフィルムをフィルムフィード手段に案内するローラ部分までを含むように構成してもよい。例えば、フィルムセット部に配置したフィルムロールと前記包装部までフィルムを移送するフィルムフィード手段との間に、前記フィルムロールから引き出されたフィルムを保持する保持ローラを備え、前記領域は少なくとも前記保持ローラまでを含む構成としてもよい(請求項8)。
前記保持ローラは、1個のローラとは限らず、フィルムの繰り出し方向に沿って配置した複数のローラで構成されていてもよい。
【0022】
上記手段によれば、フィルムセット部の他に、フィルムセット部にセットされたフィルムロールのフィルムをフィルムフィード手段に受け渡すフィルム保持部の保持ローラまでを含む領域を、前記加熱手段或いは冷却手段で同一の温度に調整することができる。従って、例えば、フィルムロールより引き出すフィルムの温度よりフィルム保持部の保持ローラの方が冷えていて、フィルムが保持ローラに保持されず、フィルムをフィルム保持部でフィルムフィード手段に移送できず、受け渡すことができないということを防ぐことができる。
又、一日の作業を終了し、包装装置の電源を切り、翌日電源を立ち上げた時に、装置内の温度と外気温との差によりフィルム保持部の保持ローラに結露が発生するような場合であっても、前記領域の温度を上げることで結露を解消することができる。従って、保持ローラに付着した水滴によりフィルムロールのフィルムをフィルムフィード手段に受け渡すことができないという自体の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の包装装置は請求項1記載の構成により、フィルムセット部が配置される領域の温度を容易に下げることができるので、フィルムフィード不良等を無くすことができる。
又、請求項2記載の構成により、フィルムセット部の領域の温度を、フィルムのフィード状況に応じて最適な温度範囲に調整することができる。よって、安定したフィルムフィードを確保する包装装置を提供できる。
又、請求項3記載の構成により、加熱手段と冷却手段をコンパクトにまとめることができ、フィルムセット部の領域内における加熱手段と冷却手段の占有空間を小さくできる。
更に、請求項4、5記載の構成により、前記領域を通り抜ける空気の流れができて、領域内の温度を空気の流れによって効率よく下げることができる。
又、前記通気孔部分にシャッタを設け、該シャッタの操作で通気孔の開口量を調節可能とした場合は、領域の温度に応じてシャッタを操作することで温度調整を適確に行なうことができる。
【0024】
又、請求項6記載の構成により、領域内の温度調整を使用するフィルムに応じた最適な温度帯に入るように自動で調整することができる。
また、請求項7記載の構成により、領域内の温度調整を効率よく行なうことができる。 更に、請求項8記載の構成により、フィルムセット部の他に、フィルムセット部にセットされたフィルムロールのフィルムをフィルムフィード手段に受け渡すフィルム保持部の保持ローラまでを含む領域を、前記加熱手段或いは冷却手段で同一の温度に調整することができる。従って、例えば、フィルムロールより引き出すフィルムの温度よりフィルム保持部の保持ローラの方が冷えていて、フィルムが保持ローラに保持されず、フィルムをフィルム保持部でフィルムフィード手段に移送できず、受け渡すことができないということを防ぐことができる。
又、装置内の温度と外気温との差によりフィルム保持部の保持ローラに結露が発生するような場合であっても、前記領域の温度を上げることで結露を解消することができる。従って、保持ローラに付着した水滴によりフィルムロールのフィルムをフィルムフィード手段に受け渡すことができないという事態の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る包装装置の概略を示す縦断側面図。
【図2】同縦断正面図。
【図3】要部の拡大断面図。
【図4】包装装置の電気ブロック図。
【図5】RAMに記憶されるフィルムファイルの一例。
【図6】RAMに記憶される商品ファイルの一例。
【図7】温度制御の動作を示すフローチャート図。
【図8】他の実施の形態を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2はストレッチフィルムを用いて商品を包装する包装装置Aの概略を示し、機枠13の前方には被包装物である商品Wを載置する商品載置部1を設け、該商品載置部1に載せた商品Wをプッシャコンベア2により機枠13内部に設けたエレベータ3まで搬送する。尚、商品載置部1は、計量部の計量皿として構成されている。
上記エレベータ3の上方には包装部4が設けられ、その包装部4の側方(プッシャコンベアと直角に交差する方向)にフィルムロール5のフィルムセット部6と、そのフィルムセット部6にセットされたフィルムロール5から引き出されるフィルム5’の先端を保持するフィルム保持部7が設けられ、そのフィルム保持部7で保持されたフィルム5’の先端を挟持して引き出し、包装部4まで移送するフィルムフィード手段8が前記フィルム保持部7の先端に接近させて配置される。
また、前記フィルム保持部7とフィルムフィード手段8との間には、該フィルムフィード手段で挟持され引き出されたフィルム5’を所定長さに切断するカッタ9が配置されている。
更に、前記フィルムフィード手段8の上方には、商品Wの上面を覆うフィルム5’の端部を商品Wの底面側に折り込む左右折り込み板10,10’と、後折り込み板11、及び後折り込み板11の上方に位置して包装済みの商品W’を排出する排出プッシャ12が配設されている。
【0027】
上記包装装置Aにおいては、エレベータ3上に搬送された商品Wが、該エレベータ3の上昇により包装部4に張架されたフィルム5’に対して突き上げられ、商品Wの上面を覆ったフィルム5’の端部は左右折り込み板10,10’と後折り込み板11とにより商品Wの底面側に折り込まれた後、排出プッシャ12により商品を機枠13前側の排出部(ヒートシール部)14へ向けて水平に押動されながら上記フィルム5’の前側端部を前折り込みローラ14’で商品の底面側へ折り込んで包装動作が完了される。
【0028】
前記フィルム保持部7は、フィルムセット部6にセットされたフィルムロール5のフィルム5’先端部を保持するもので、フィルムの下側に位置して前後方向(フィルムの幅方向)に所定の間隔をおいて平行に配置した無端ベルト15に亘って架設固定されたフィルム受け板16と、そのフィルム受け板16の表面に支持されるフィルム5’を前記フィルム受け板16とで挟んで保持する同形状の保持板17と、前記保持板17に取り付けた保持ローラ18とで構成される。
【0029】
前記保持板17は、無端ベルト15の駆動により上下方向に摺動するフィルム受け板16に開閉回動可能に支持されると共に、フィルム受け板16と係着して一緒に上下摺動し、フィルム受け板16と保持板17とで挾着保持するフィルム5’の先端をフィルムフィード手段8に受け渡し得るように構成されている。
【0030】
前記保持ローラ18は、保持板17の裏面(フィルム5’をフィルム受け板16とで挟む面)より対向するフィルム受け板16側に該ローラの略半周分を突出させて支持され、その突出部分がフィルム受け板16に形成した凹部16’に嵌入されている、これにより、フィルム受け板16と保持板17との間に挟まれるフィルム5’は保持ローラ18の周面に沿って蛇行され、フィルム5’の保持が確実に行なわれるようになっている。尚、保持ローラ18はフィルム5’の引き出し方向にのみ回転するように構成されている。
【0031】
又、前記無端ベルト15は、前記フィルム保持部7の上流側に配置した繰り出しローラ19の軸に対し遊転自在に取り付けられたプーリと、該繰り出しローラ19より下流側に配置された軸に固着された従動プーリとに亘って巻回されており、モータ20の駆動によって無端ベルト15がフィルム5’の移動方向に沿って上下(正逆回転)し、それによりフィルム受け板16と保持板17が一緒にフィルムフィード手段8の方向に移動するように構成されている。又、繰り出しローラ19はモータ(モータ20とは別のモータ)により駆動が制御されており、フィルムを繰り出す他、待機中にはフィルムを保持することで、次のフィルムフィードの為のフィルム待機位置を維持している。
そして、モータ20でフィルム保持部7を上方に移動させる時(フィルム5’先端部をフィルムフィード手段8に渡す時)には、繰り出しローラ19も同期をとって駆動回転させ、フィルム保持部7を初期位置に戻す時には、前記繰り出しローラ19はフィルムフィード手段8に同期して回転するモータの正方向の回転で回転を続け、フィルム5’の繰り出しが行なわれる。
【0032】
フィルムフィード手段8は、フィルム5’の幅方向の両側端部を挟持する上下一対の無端状の弾性ベルト21,22と、下側の弾性ベルト22内に配設されたクランプ板23と、上側の弾性ベルト21内に配設された当て板24と、上側の弾性ベルト21のフィルム供給側に連接された押えベルト25とで構成され、それらが包装部4を挟んで前後に配置されている。
【0033】
上記の如く構成した包装装置Aのフィルムセット部6、及び該フィルムセット部6にセットしたフィルムロール5のフィルム5’先端部をフィルム保持部7へ案内する繰り出しローラ19を含む領域Eが、機枠13内に隔壁26とカバー27、及び前記カバー27を垂下取り付けたカバー取付板45の折り曲げ突片で区画形成されている。尚、カバー取付板45は、図2において折り曲げ突片近傍を中心として右方向に回転可能になっている。そして、カバー取付板45が開く時に、保持板17もカバー取付板45に追随して開くように移動する。これにより、フィルム受け板16と保持板17の間に隙間ができて、該隙間にフィルムロール5から伸びるフィルムをセットすることができる。
そして、前記領域E内のフィルムセット部6の開放端部と対向する機枠13の側面(図1では左側側面)にはフィルムロール5の交換を行なうための開閉扉28が設けられており、前記領域E内の前記開閉扉28と対向する機枠13の側壁には、該領域E内の温度を加熱する加熱手段29と、領域E内の温度を冷却する冷却手段30が一体化されて配置されている。
【0034】
前記加熱手段29は、図3(a)に示すように、セラミックヒータ29aとモータ29b’を備えた吸引ファン29bとで構成されたファンヒータで、前記吸引ファン29bは機枠13の側壁に開設した吸気口31に面して配置され、モータ29b’の駆動による吸引ファン29bの回転で装置外の空気を領域E内に導入し得るように構成されている。
従って、前記加熱手段29は、セラミックヒータ29aをON(通電)し、モータ29b’を駆動して吸引ファン29bを回転することで、セラミックヒータ29aの熱で温められた温風を領域E内に吹き込み、領域E内の温度を上げることができる。又、前記セラミックヒータ29aをOFFのままで、モータ29b’を駆動して吸引ファン29bを回転することで装置外の空気を領域E内に導入して、領域E内の温度を下げることができる。従って、セラミックヒータ29aをONさせずに吸引ファン29bのみを作動させた場合は冷却手段30として利用することができる。つまり、セラミックヒータ29aと吸引ファン29bとが駆動する時はそれぞれが加熱手段29として作用し、吸引ファン29bだけが駆動する時は該吸引ファン29bが冷却手段30として作用する。
【0035】
前記吸引ファン29bが冷却手段30として作用する場合、外気導入の効果を高める為に、前記加熱手段29を配置した面と対向する面(図示例では開閉扉28)に通気孔32を開設することで、領域E内に導入された空気は通気孔32から装置外に流出する。即ち。吸気口31から流入して通気孔32から流出する空気の流れの道ができて、領域E内の温度を効率よく下げる(換気)ことが可能となる。
尚、装置外の空気を領域E内に導入する吸引ファンは、吸引ファン29bとは別に、送風専用のファンを前記加熱手段29の近傍に位置して配置してもよい。
【0036】
又、前記通気孔32を開設した開閉扉28には、前記通気孔32の開閉を切り替えるシャッタ33を取り付け、該シャッタ33の操作により通気孔32の開口量を調整できるようにしてある。
例えば、領域E内の温度を上げる場合は、開閉扉28の通気孔32をシャッタ33で閉じ、セラミックヒータ29aをONする。逆に、領域E内の温度を下げる場合は、前記通気孔32を開放し、セラミックヒータ29aをOFFにし、吸引ファン29bのみを駆動することで、領域E内の温度をより効率的に上げ下げすることができる。
【0037】
更に、前記領域E内には該領域内の温度を検知する温度検知手段(温度センサ)34が設置され、該温度検知手段34の検知情報に基づいて前記加熱手段29または冷却手段30の動作を制御し、領域E内の温度をフィルムにあった最適な温度範囲に調整し得るように構成されている。
【0038】
前記温度検知手段(温度センサ)34の検知情報に基づく領域E内温度の制御は、例えば、包装に使用するフィルムの厚さ(種類)毎に最適温度帯を示す制御データ(図5参照)を設定する、或いは、商品ファイルの各商品毎に前記制御データの制御NOを関連付けて設定(図6参照)ことにより、商品を選択することで使用フィルムにあった最適な温度範囲に自動的に制御することができる。
【0039】
又、前記加熱手段29のセラミックヒータ29aと吸引ファン29bのモータ29b’は、図4に示すように、包装装置を制御するCPUに制御回路を介して接続され、それにより包装に使用するフィルム、或いは包装する商品によった前記セラミックヒータ29aのON/OFF、モータ29bの駆動が制御されるようになっている。
前記隔壁26の背面には、包装装置の電源や基板を収納する電気ボックス43が配置され、電源等から発熱される熱がフィルムロール5に伝わらないように前記隔壁26が設けられている。
【0040】
図4は包装装置の電機構成を示すブロック図で、CPU35にはバス35’を介してROM36、RAM37、表示操作部38、計量部、ラベル印字部、ラベル貼付部及びI/Oポート39が接続されている。以下、本発明に関係する部分について説明する。
上記ROM36にはCPU35が実行する制御プログラムが格納されており、RAM37には包装に使用するフィルムに関するデータを記憶するフィルムファイルや、商品に関する各種データを記憶しておくPLUファイルなどのファイル領域を有する。
上記フィルムファイルには、包装に使用するフィルムの厚さ(種類)毎に使用環境の最適温度帯、即ち、前記加熱手段29を制御する制御NOが記憶設定されている(図6参照)。
また、上記PLUファイルには、商品毎にプリセットされた品名、単価、有効日等の商品データが品番に対応して記憶されているが、更に、該商品の包装に使用するフィルムに関する制御データ(制御NO)が記憶されている(図7参照)。
表示操作部38は、マイクロコンピュータで構成されるCPUを内蔵し、各種指令及びデータを入力するとともに、その入力した指令やデータ、又はRAM37に記憶されているデータ又は包装装置の動作状況を表示する他、各種操作、エラーメッセージが文字、図形等で表示されるようになっている。
【0041】
I/Oポート39はCPU35によって制御される包装装置全体を概念的に示したもので、包装動作の駆動各部とその制御回路が接続され、本発明の主要部分に関連する構成としては加熱装置29を構成するセラミックヒータ29aが制御回路40を介して接続され、吸引ファン29bを駆動するモータ29b’が制御回路41を介して接続されている。
【0042】
次に、上記包装装置におけるフィルムロール5が配置されるフィルムセット部6及びフィルムロール5から引き出されるフィルム5’の先端をフィルムフィード手段8に受け渡すフィルム保持部7の保持ローラ18、更にフィルム5’を繰り出す繰り出しローラ19を含む領域E内の温度制御動作を図7のフローチャートに基づいて説明する。
(S1)…包装に使用するフィルム(フィルムロール)を選択する。
(S2)…表示操作部より、包装する商品の商品番号(品番)を入力し、前記選択した使用フィルムに設定された温度情報(最適温度帯)を読み出す。
(S3)…使用フィルムに設定された最適温度帯と、領域E内に設置した温度検知手段34が検出した温度とを比較判断し、その結果に応じて加熱手段29の動作が制御される。
例えば、領域E内の温度が設定した最適温度帯より低い場合(YES)はS4へ進み、領域E内の温度が設定した最適温度帯より高い場合(NO)はS5へ進む。
(S4)…加熱手段29のセラミックヒータ29aをON(通電)し、且つ吸引ファン29bのモータ29b’を駆動して吸引ファン29bを回転させ、装置外の空気を前記吸引ファン29bの回転で導入し、セラミックヒータ29aの熱で温められた空気を領域E内に吹き入れる。尚、領域E内の温度は温度検知手段34によって常時監視され、領域E内に温風が吹き込まれることで該領域E内の温度が上昇し、設定した最適温度帯に入った場合は、前記前記セラミックヒータ29aへの通電を止め、且つ吸引ファン29bのモータ29b’の駆動を停止する。
(S5)…加熱手段29の吸引ファン29bを駆動するモータ29b’を駆動して吸引ファン29bを回転し、装置外の空気を領域E内に導入し、領域E内の温度が最適温度帯に入るまで下げる。尚、領域E内の温度は上記したように温度検知手段34で常時監視されている為、該領域E内の温度が最適温度帯より下がった場合は、S3の判断が行なわれてS4が実行される。
【0043】
上記温度制御により、フィルムセット部6にセットされるフィルムロール5だけでなく、フィルム保持部7の保持ローラ18及び繰り出しローラ19を含む領域Eが同一の温度になるので、例えば、フィルムよりも繰り出しローラ19が冷えていて、フィルム5’が前記繰り出しローラ19に保持されず、フィルムの繰り出しが正常に行なわれないということは解消できる。
又、一日の作業が終了し、包装装置の電源を切り、翌日電源を入れて装置を立ち上げた時に、領域E内の温度と装置外との温度差により前記繰り出しローラ、保持ローラに結露が発生するような場合でも、前記領域E内の温度を上げることで結露を解消でき、包装作業の開始から安定したフィルムの繰り出しが可能となる。
【0044】
また、フィルムロールだけが温められた場合は、フィルムがフィルムロールから引き出された時に、温かい部分だけがより伸ばされた上でフィルムが包装部まで搬送される。つまり、温かい部分だけはより伸びるのでその部分だけが薄くなった状態で包装部へ搬送され、その状態でフィルムが幅方向へストレッチされ、或いは幅方向のストレッチがなくとも、包装部に展張されたフィルムに下から商品が突き上げられた場合にフィルムが裂けるということも想定されるが、本装置のように、少なくともフィルムロール5に繋がるフィルムを保持し、フィルムを繰り出す繰り出しローラ19までがフィルムロールと同じ温度になるので、次に引き出されるフィルムの一部だけの温度が高く、或いは低くなるといったことがなく、前記のような問題の発生を防止できる。
【0045】
又、前記温度制御において、加熱手段29におけるセラミックヒータ29aの発熱量は一定であってもよいが、温度検知手段(温度センサ)34で計測された領域E内の温度と、予め設定した最適温度帯とに基づき、前記セラミックヒータ29aの発熱量を変化するようにしてもよい。
【0046】
図8は他の実施の形態を示し、前記実施の形態で示した領域E内に、該領域E内の空気を加熱して循環させる加熱手段41を配置し、更に、装置外には装置が設置された室内の温度を検知する室温検知手段(温度センサ)42を設置する。尚、前示実施の形態で示した部材と同じ部材については、説明を省略する。
上記構成により、加熱手段29は装置外の空気を吸引して領域内に吹き込み、加熱手段41は領域E内の空気を吸引して領域内で循環させる。
それにより、例えば、領域E内の温度を下げたい時に、領域E内の温度よりも装置が設置されている室内の温度(装置外の温度)の方が低い時は、加熱手段29のセラミックヒータ29aをOFFにして吸引ファン29bを駆動することで、領域E内の温度を効率よく下げることができる。この場合、開閉扉28の通気孔32をシャッタ33の操作で開放することで空気の流れがおき、更に効率よく温度を下げることができる。
また、領域E内の温度を上げたい時に、室内の温度(装置外の温度)より領域E内の温度の方が高い時は、加熱手段29は作動させずに、もう一つの加熱手段41を駆動させる。即ち、加熱手段41のセラミックヒータ41aをONし、且つ吸引ファン41bを作動させることで、領域E内の暖かい空気を吸い込んでセラミックヒータ41aで温めて領域E内に吹き出す。それにより、領域E内の温度より低い装置外の空気を導入して温めるより効率よく温度制御することができる。
【0047】
本発明は図示の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、冷却手段として加熱手段の吸引ファンのみを作動させて行なう空冷について説明しているが、該冷却手段として冷媒を用いて温度を下げる所謂クーラー機能を備えたものを領域内に配置してもよい。
(2)実施の形態では、開閉扉の通気孔を開放/閉鎖するシャッタは手動操作としたが、温度検知手段から出力される温度と、設定した温度情報(最適温度帯)とに基づいて、領域内を温める必要がある時は通気孔を閉鎖し、領域内の冷やす必要がある時は、通気孔を開放するようにシャッタの動作を自動制御するようにしてもよい。
(3)実施の形態では、フィルムロールのセット部が機枠(装置)の下方内部に配置された形態について説明したが、フィルムロールのセット部が機枠(装置)の上部に配置された形態の包装装置についても、同様にフィルムセット部を含む領域を平板等で区画し、その領域内に加熱手段、冷却手段、温度検知手段等を配置してもよい。
(4)上記実施の形態では、繰り出しローラ19までが領域Eにより、フィルムと同じ温度になる説明をしたが、繰り出しローラだけに限らず、保持ローラ18までが同じ温度に温まるような機構の場合、繰り出しローラ19と保持ローラ18との両方が温まるようになっていてもよい。つまり、フィルムロール5からフィルムフィード手段8の始端部までの間に位置するローラまでもが、本発明の加熱手段により温められることで、フィルムが該ローラにて正しく保持されるようになる。
(5)上記実施の形態では、領域Eはフィルムセット部6、繰り出しローラ19、隔壁26、カバー27、カバー取付板45(折り曲げ突片)で区画されている領域としたが、これに限らず、フィルム保持部7までをも含んで領域Eとしてもよい。
(6)上記実施の形態では、室温検知手段(温度センサ)42を包装装置Aの外側面に配置した形態を説明したが、該室温検知手段(温度センサ)42は包装装置に取り付けることなく、包装装置が配置される室の壁面等に配置してもよい。
(7)上記実施の形態では、区画されたフィルムセット部内の温度を下げる、或いは温度を上げる例を示したが、フィルムセット部は包装装置内において区画されてなく、フィルムセット部が配置されている領域の温度を上下すると、包装装置内の他の領域の温度も上下するような機構でもよい。つまり、包装装置内のフィルムセット部近傍の領域の温度を下げたり、或いは温度を上げたりすることができればよい。
(8)上記実施の形態では、冷却手段、及び加熱手段そのものをフィルムセット部の領域内に配置し、該領域内の温度を下げたり、或いは温度を上げたりする説明をしたが、冷却手段、加熱手段そのものはフィルムセット部の領域外に配置されており、該場所から冷気や温風をフィルムセット部にダクトを介して送り込み、フィルムセット部の領域の温度を上下するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
A…包装装置
E…領域
5…フィルムロール
5’…フィルムロールから引き出されるフィルム
6…フィルムセット部
7…フィルム保持部
29…加熱手段
30…冷却手段
32…通気孔
33…シャッタ
34…温度検知手段(領域内温度)
41…加熱手段(内部循環タイプ)
42…温度検知手段(装置外温度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠に配置したフィルムロールからフィルムを引き出して所定長さに切断し、該フィルムを包装部に張架し、該フィルムで被包装物を包装する包装装置において、
前記フィルムロールが配置されるフィルムセット部の領域の温度を下げる冷却手段を備えたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記領域は区画形成され、該領域内の温度を上げる加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記領域の加熱手段と前記冷却手段は一体化されており、前記装置外の空気を取り入れて前記領域内の温度を上下することを特徴とする請求項2記載の包装装置。
【請求項4】
前記領域に、装置外と通じる通気孔を開設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の包装装置。
【請求項5】
前記通気孔部分に、該通気孔の開口量を調節するシャッタが設けられていることを特徴とする請求項4記載の包装装置。
【請求項6】
前記領域内に該領域の温度を検知する温度検知手段と、
使用するフィルムロール毎に予め設定記憶した最適温度情報と、
該設定した最適温度情報を読み出す読み出し手段と、
該読み出し手段により読み出された最適温度情報と、前記温度検知手段により検知された温度情報とに基づいて、前記加熱手段又は冷却手段により前記領域の温度を制御することを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項記載の包装装置。
【請求項7】
前記機枠に装置外の室温を計測する室温検知手段を設け、前記加熱手段は前記領域内の空気を吸引して加熱する内部循環タイプの加熱手段であり、前記冷却手段は前記装置外の空気を導入して冷却する冷却手段であり、前記温度検知手段による温度情報と前記室温検知手段による温度情報とに基づき前記加熱手段或いは冷却手段を選択制御することを特徴とする請求項6記載の包装装置。
【請求項8】
前記フィルムセット部に配置したフィルムロールと、前記包装部までフィルムを移送するフィルムフィード手段の始端部との間に、前記フィルムロールから引き出されたフィルムを保持する保持ローラを備え、前記領域は少なくとも前記保持ローラまでを含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の包装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−235169(P2010−235169A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86536(P2009−86536)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】