説明

包装装置

【課題】包装部材の使用量を削減する簡易包装でありながら、人手による荷扱い性の良い包装装置を得る。
【解決手段】被包装体200を載置する底部スキッド1と、底面が開放され、被包装体の上部に被せる上部箱体2と、被包装体200の底面と底部スキッド1との間に嵌合可能な緩衝部3aを有する底部支持材3と、被包装体200の側面のうち一面を覆う面保護部材4と、一対の取っ手穴8が形成され、被包装体200の側面に巻き回される帯状部材7と、底部スキッド1と上部箱体2とを巻き回して締め付けるバンド9とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気温水器等の比較的重量で高さ寸法も大きい物の包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、比較的重量で高さ寸法も大きい物を包装する際の包装装置として、「底板と、この底板の前方かつ上方に空間を形成する張り出し部を有した製品と、この製品の上面を覆う包装用天カバーと、前記製品底部に取付固定した包装用固定台と、この包装用固定台と前記張り出し部との間に配設し、張り出し部を支持するベース保護と、前記製品の側面を覆う側面保護カバーと、前記包装用天カバーと前記包装用固定台を上下方向からはさみこんで固定する輪状の包装用タテバンドと、前記側面保護カバーを前記製品と前記包装用固定台に固定する輪状の包装用ヨコバンドを備え、前記側面保護カバーは、前記ベース保護を配設した製品側面と、この側面と隣り合わせの左右両側面を含む3面以上の製品側面を一体的に覆い、なおかつ前記包装用固定台と係合し、包装用固定台からの脱落を防止する係合片を備えた」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−51153号公報(第4―8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示された包装部材は、簡易包装を目的として包装部材の側面の一部が開放されており、被包装体はほぼ中央から上部に渡って露出した状態となっている。このため、手掛け構造が省略されており、人手による荷扱い移動を行うことができない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、包装部材の使用量を削減する簡易包装でありながら、人手による荷扱い性の良い包装装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装装置は、被包装体を載置する底部スキッドと、底面が開放され、前記被包装体の上部に被せる上部箱体と、前記被包装体の底面と前記底部スキッドとの間に嵌合可能な緩衝部を有する底部支持材と、前記被包装体の側面のうち一面を覆う面保護部材と、一対の取っ手穴が形成され、前記被包装体の側面に巻き回される帯状部材と、前記底部スキッドと前記上部箱体とを巻き回して締め付けるバンドとを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一対の取っ手穴が形成されていて前記被包装体の側面に巻き回される帯状部材を備えたので、簡易包装でありながら、人手による荷扱い性を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る包装装置100の斜視図、図2は同じく包装装置100の縦断面図である。本実施の形態1では、被包装体200が電気温水器である場合を例に説明する。
図1、図2において、電気温水器である被包装体200はほぼ直方体形状であり、その底面には、据付脚200aが設けられている。被包装体200の底面の一部には段差があり、被包装体200の底面と設置面との隙間の長さに違いが生じている箇所がある。また、被包装体200の背面の上方には、手を掛けて持ち運ぶための取っ手A(図示せず)が設けられている。
【0009】
被包装体200を包装する包装装置100は、被包装体200を載置する底部スキッド1と、被包装体200の上部を覆う上部箱体2と、被包装体200の下方に配置された一対の底部支持材3と、面ファスナー5と上部取っ手穴6とを備え被包装体200の1面を覆う面保護部材4と、取っ手穴8が形成された帯状部材7と、底部スキッド1と上部箱体2とを巻き回して固定するバンド9とを備える。なお、本発明の着脱部は面ファスナー5に相当する。
【0010】
底部スキッド1は、木材等で井桁状に構成され、被包装体200の外周とほぼ同じ外周を有する。被包装体200は底部スキッド1に載置され、据付脚200aの下部が図示しないボルトとナットによって底部スキッド1に固定されている。
【0011】
上部箱体2は、紙段ボールで構成され、被包装体200の上部の外周とほぼ同じ四辺形である。上部箱体2の底面は開放されており、被包装体200の上部に被せられて被包装体200の上部を覆うとともに、面保護部材4の上端部を収容している。
【0012】
底部支持材3は、折り曲げ可能な板状の紙段ボールで構成され、被包装体200の左側面又は右側面の下部に外接している。底部支持材3は、被包装体200の底面と底部スキッド1との隙間を側方から覆っており、その両端部は折り曲げられて被包装体200の背面と前面に外接している。このように被包装体200の底面と底部スキッド1との隙間を塞ぐことで、異物が侵入するのを防ぐことができる。また、図2に示すように、底部支持材3は、被包装体200の底面と底部スキッド1との間に嵌合する緩衝部3aを備えている。
【0013】
面保護部材4は、板状材の紙段ボールで構成され、被包装体200の背面となる1面を覆っている。面保護部材4の左右両端において、高さ方向の略中央よりも上方には、所定の長さを有する面ファスナー5aが取り付けられている。面ファスナー5aはフック状あるいはループ状であり、後述する帯状部材7に取り付けられた面ファスナー5bと一対になっている。また、面保護部材4の上部には、被包装体200の取っ手A(図示せず)と重なる位置に、取っ手穴6が形成されている。作業者は、取っ手穴6に手を入れることで被包装体200の取っ手Aに手を掛けることができる。
【0014】
帯状部材7は、紙段ボールを折り曲げて構成され、被包装体200の高さ方向の略中央よりも上方に、被包装体200の外周に沿って配置されている。帯状部材7は、面保護部材4の右端部から開始して同じく面保護部材4の左端部に至るまで、被包装体200を略水平方向に巻き回すようにして取り付けられている。また、帯状部材7の両端部には、前述の面ファスナー5aと一対となる面ファスナー5bが取り付けられており、帯状部材7は面ファスナー5a、5bによって面保護部材4に着脱可能となっている。帯状部材7を略水平方向に巻き回して面保護部材4に装着すると、面保護部材4は被包装体200に密着した状態になり、面保護部材4と被包装体200との間に隙間ができるのを防ぐことができる。また、帯状部材7には、荷扱い用の取っ手穴8が形成されている。
【0015】
バンド9は、樹脂等で構成され、底部スキッド1と上部箱体2とを略垂直方向に巻き回して結束等して固定している。
【0016】
次に、図3により、底部支持材3の構成及び底部支持材3と面保護部材4とを固定する構成について説明する。図3は、底部支持材3と面保護部材4の下端部を示す斜視図である。
図3において、底部支持材3は、その両端部の一部を切り欠いて高さの低い箇所を形成し、これを巻き回して接着あるいはワイヤステッチ止めなどで固定して筒形状の緩衝部3aを構成している。この緩衝部3aは、被包装体200の底面と、底部スキッド1との間に嵌合され、輸送中の衝撃を吸収して被包装体200の損傷を防ぐためのものである。緩衝部3aの高さは任意に変更することができるので、被包装体200の底面に段差がある場合であっても適切な高さの緩衝部3aを得ることができる。底部支持材3の両端部を巻き回して緩衝部3aを設けているので、緩衝部3aとして別部材を設ける必要がなく、構成を簡易にすることができる。緩衝部3aは、底部支持材3の両端部に設けられており、緩衝部3aの高さは、被包装体200の底面と底部スキッド1の隙間の高さとほぼ一致するように適宜定める。
【0017】
底部支持材3の背面側の緩衝部3aには嵌合溝3bが設けられ、面保護部材4の下端部にも嵌合溝4bが設けられている。嵌合溝3bと嵌合溝4bは、互いに差し込んで係合可能な位置に設けられ、かつ、差し込んだときに人手による支えがなくとも面保護部材4が倒れることなく起立した状態を維持できる深さで設けられている。このように底部支持材3と面保護部材4の両方に嵌合溝3b、4bを設けることで、両者の嵌合固定力を増すことができる。なお、底部支持材3と面保護部材4の両方に嵌合溝を設けるのではなく、いずれか一方にのみ嵌合溝を設けることとしてもよい。このようにすることで、底部支持材3あるいは面保護部材4自身の構造が弱くなるのを防ぐことができる。
【0018】
以上のように構成した包装装置100による包装方法について説明する。
まず、底部スキッド1に被包装体200を載置し、被包装体200の据付脚200aを図示しないボルトとナットなどによって底部スキッド1に固定する。そして、被包装体200の底部と底部スキッド1との間に底部支持材3の緩衝部3aを嵌合しつつ、底部支持材3を被包装体200の右側面及び左側面の下部に外接させる。続けて、面保護部材4の下端に設けた嵌合溝4bを底部支持材3の嵌合溝3bに嵌合させながら、面保護部材4を被包装体200の背面に外接させる。この状態で、面保護部材4は人手による支えがなくとも起立した状態を維持することができる。
【0019】
さらに、面保護部材4の上端部を収容するようにして、上部箱体2を被包装体200の上部に被せる。したがって、面保護部材4の上端部は、上部箱体2と被包装体200によって挟まれて固定保持されていることとなる。続けて、帯状部材7の一端側に設けた面ファスナー5bを面保護部材4の面ファスナー5aに貼り付け、帯状部材7を被包装体200の外周に沿って巻き回し、他端側の面ファスナー5a、5bも互いに貼り付けて固定する。続けて、上部箱体2と底部スキッド1とを略垂直方向にバンド9で巻き回し、固定する。このようにバンド9で固定することで、底部支持材3及び上部箱体2の脱落を防止することができ、また、帯状部材7の固定が強化される。
【0020】
次に、包装装置100によって包装された被包装体200の荷扱い動作について説明する。
輸送用トラックなどから降ろす際のずり降ろし作業においては、作業者は取っ手穴6に手を掛け、面保護部材4が下側になるように倒しながらずり降ろす。取っ手穴6は被包装体200に設けられた持ち運び用の取っ手A(図示せず)に対応する位置に設けられているので、取っ手穴6に手を掛けることで被包装体200そのものを掴むことができ、確実に作業することができる。また、ずり降ろし時に輸送用トラックなどの荷台と接するずり降ろし面である被包装装置200の背面は面保護部材4で覆われているので、被包装体200を傷つけることはない。また、面保護部材4には、大きく突出するような他の部材を配置していないので、ずり降ろし作業に支障も生じない。
【0021】
被包装体200を水平に移動したり、底部スキッド1の両端を交互に接地させながら歩かせ移動したりする作業においては、作業者は帯状部材7に設けた取っ手穴8に手を掛け、持ち上げ、引きずり、あるいは歩かせるようにして移動させる。ここで、帯状部材7は面ファスナー5a、5bにより着脱可能であるとともに、面ファスナー5aは所定の長さ寸法を有している。したがって、帯状部材7は上下に移動させて取り付けることができ、作業者が取っ手8に手を掛けやすい位置に帯状部材7を付け替えることができる。このため、作業者の作業負担を軽減し、かつ、作業効率を向上させることができる。
【0022】
以上のように本実施の形態1に係る包装装置100によれば、被包装体200の輸送作業において十分に保護されるべき箇所を保護している。即ち、ずり降ろし面となる背面、引きずり移動等するときに接地する底部、及び落下物等から保護されるべき上面は、それぞれ、面保護部材4、底部スキッド1、上部箱体2によって覆われている。そうであるとともに、包装装置100は余分な部材を設けていないので、簡易包装を実現することができる。
【0023】
また、取っ手穴8が形成され任意の高さに着脱可能な帯状部材7を設けたので、簡易包装でありながら、人手による荷扱いを容易に行うことができる。また、帯状部材7は任意の高さに移動できるので、作業者が取っ手穴8に手を掛けやすい位置に付け替えることができる。このため、作業者の作業負担を軽減することができる。また、帯状部材7は、面保護部材4と被包装体200とを略水平方向に巻き回すので、簡単な構成でありながら面保護部材4と被包装体200とを密着固定する機能も果たしている。
【0024】
なお、本実施の形態1では、上部箱体2、底部支持材3、面保護部材4、及び帯状部材7を、紙段ボールで構成する場合の例について説明したが、素材は紙段ボールに限定されるものではない。例えば、プラスチック段ボール、板紙、樹脂シートなどで構成してもよい。
【0025】
実施の形態2.
本実施の形態2では、前述の実施の形態1で述べた帯状部材の他の構成例について説明する。なお、本実施の形態2では帯状部材に特徴を有するので、この帯状部材を中心に説明する。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態2に係る帯状部材17の斜視図である。帯状部材17には、前述の実施の形態1と同様に取っ手穴8が設けられている。帯状部材17の取っ手穴8の近傍は、幅寸法が部分的に広くなるよう構成された帯幅拡大部17aが形成されている。
【0027】
このように本実施の形態2に係る帯状部材17によれば、取っ手穴8付近の幅寸法が広くなるよう帯幅拡大部17aを設けたので、荷扱い時における引っ張り強度を確保することができる。重量物である被包装体200を引きずりあるいは歩かせ移動するときには、取っ手8に大きな力が加わることとなるが、帯幅拡大部17aにより強度が確保されているので、人手による荷扱いを繰り返しても帯状部材17は壊れにくく、長期間の使用が可能となる。なお、帯状部材17は取っ手穴8の近傍にのみ帯幅拡大部17aを設けたので、少ない材料で構成することができ、簡易包装の面でも有効である。
【0028】
実施の形態3.
本実施の形態3では、帯状部材の他の構成例について説明する。なお、本実施の形態3では帯状部材に特徴を有するので、この帯状部材を中心に説明する。
【0029】
図5は、本発明の実施の形態3に係る帯状部材27の斜視図である。帯状部材27には、前述の実施の形態1と同様に取っ手穴8が設けられている。帯状部材27は、面ファスナー5bを取り付けた位置と対向する角部に、その幅寸法が部分的に広くなるように構成された帯幅拡大部27aを有している。
【0030】
このように本実施の形態3に係る帯状部材27によれば、面ファスナー5bを取り付けた位置と対応する角部に帯幅拡大部27aを設けたので、帯状部材27を面ファスナー5aに取り付ける際に、帯状部材27と被包装体200との間に隙間が生じた場合でも、帯状部材27の上下方向へのずれを抑制することができる。すなわち、帯状部材27は面ファスナー5a、5bによって面保護部材4に取り付けられるが、面ファスナー5bを面ファスナー5aに取り付ける横位置によっては帯状部材27と被包装体200との間に隙間が生じる場合が考えられる。このような場合でも、帯幅拡大部27aが広い面積で被包装体200の角部と接しているので、帯状部材27が上下方向にずれるのを抑制することができる。さらに、帯幅拡大部27aによって被包装体200の角部が覆われ、該角部の強度を確保することができる。なお、帯状部材27は角部にのみ帯幅拡大部27aを設けたので、少ない材料で構成することができ、簡易包装の面でも有効である。
【0031】
実施の形態4.
前述の実施の形態1では、面保護部材と帯状部材とを面ファスナーによって固定していた。本実施の形態4では、面保護部材と帯状部材とをジョイント部材によって結合固定する場合の例について説明する。
【0032】
図6は、本発明の実施の形態4に係る包装装置101の斜視図、図7は同じく包装装置の縦断面図である。本実施の形態4では、特徴部分である面保護部材34、帯状部材37、及びジョイント部材40を中心に説明する。なお、前述の実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付している。
【0033】
図6、図7において、包装装置101は、被包装装置200の背面となる1面を覆う背面34a、及び背面34aの両端を折り曲げて構成された折り曲げ面34bと備える面保護部材34を有し、折り曲げ面34bには複数のジョイント穴35が形成されている。また、ジョイント穴38が形成された帯状部材37が、被包装体200の背面を除く面を略水平方向に巻き回して取り付けられている。面保護部材34と帯状部材37は、それぞれに形成されたジョイント穴35とジョイント穴38を介して、ジョイント部材40により結合固定されている。また、被包装体200の下方には、底部支持材33が配置されている。
【0034】
底部支持材33は、折り曲げ可能な板状の紙段ボールで構成され、被包装体200の左側面又は右側面の下部に外接している。底部支持材33は、被包装体200の底面と底部スキッド1との隙間を側方から覆っており、その両端部は折り曲げられて被包装体200の背面と前面に外接している。このように被包装体200の底面と底部スキッド1との隙間を塞ぐことで、異物が侵入するのを防ぐことができる。また、図7に示すように、底部支持材33は、被包装体200の底面と底部スキッド1との間に嵌合する緩衝部33aを備えている。
【0035】
面保護部材34は、板状材の紙段ボール等で構成され、背面34aと、背面34aの両端部を折り曲げて形成された折り曲げ面34bを備え、略コ字状に形成されている。背面34aは、被包装体200の背面である1面を覆い、折り曲げ面34bは、被包装体200の左右両側面の一部に沿接している。なお、本発明の第一の面は背面34aに、折り曲げ面は折り曲げ面34bにそれぞれ対応する。
折り曲げ面34bにおいて、高さ方向の略中央よりも上方には、複数のジョイント穴35が形成されている。
また、面保護部材34の上部には、被包装体200の取っ手A(図示せず)と重なる位置に、取っ手穴6が形成されている。
【0036】
次に、図8により、底部支持材33の構成及び底部支持材33と面保護部材34とを固定する構成について説明する。図8は、底部支持材33と面保護部材34の下端部を示す斜視図である。
図8において、底部支持材33は、その両端部の一部を切り欠いて高さの低い箇所を形成し、これを巻き回して接着あるいはワイヤステッチ止めなどで固定して筒形状の緩衝部33aを構成している。この緩衝部33aは、被包装体200の底面と、底部スキッド1との間に嵌合され、輸送中の衝撃を吸収して被包装体200の損傷を防ぐためのものである。緩衝部33aの高さは任意に変更することができるので、被包装体200の底面に段差がある場合であっても適切な高さの緩衝部33aを得ることができる。底部支持材33の両端部を巻き回して緩衝部33aを設けているので、緩衝部33aとして別部材を設ける必要がなく、構成を簡易にすることができる。緩衝部33aは、底部支持材33の両端部に設けられており、緩衝部33aの高さは、被包装体200の底面と底部スキッド1の隙間の高さとほぼ一致するように適宜定める。
【0037】
面保護部材34の背面34aの下端部には嵌合溝34cが設けられ、また、折り曲げ面34bの下端部にも嵌合溝34dが設けられている。底部支持材33の緩衝部33aには、嵌合溝34cに対応する位置に嵌合溝33cが、嵌合溝34dに対応する位置に嵌合溝33dが設けられている。嵌合溝33cと嵌合溝34c、嵌合溝33dと嵌合溝34dは、互いに差し込んで係合可能な位置に設けられ、かつ、差し込んだときに人手による支えがなくとも面保護部材34が倒れることなく起立した状態を維持できる深さで設けられている。このように底部支持材33と面保護部材34の両方に嵌合溝33c、33d、34c、34dを設けることで、両者の固定力を増すことができる。なお、底部支持材33と面保護部材34の両方に嵌合溝を設けるのではなく、いずれか一方にのみ嵌合溝を設けることとしてもよい。このようにすることで、底部支持材あるいは面保護部材34自身の構造が弱くなるのを防ぐことができる。
【0038】
帯状部材37は、紙段ボール等を折り曲げて構成され、被包装体200の高さ方向の略中央よりも上方に、被包装体200の外周に沿って略水平方向に配置されている。帯状部材37は、面保護部材34の折り曲げ面34bの折り曲げ位置から開始して反対側の折り曲げ面34bの折り曲げ位置に至るまで、被包装体200を略水平方向に巻き回すようにして取り付けられている。前述の実施の形態1と異なり、帯状部材37は面保護部材34の背面34aには接していない。
帯状部材37の両端部には、前述のジョイント穴35とほぼ同じ形状のジョイント穴38が形成されており、ジョイント部材40が嵌合されている。
【0039】
ジョイント部材40は合成樹脂で構成されており、ジョイント穴35とジョイント穴38に着脱可能である。
図9は、ジョイント部材40の斜視図であり、図9(A)はジョイント穴に装着前の状態、図9(B)はジョイント穴に装着して固定した状態を示す。ジョイント部材40は、上下一対の回動部40aを有する。図9(A)の状態で回動部40aの手前側(図9の右側)の端部(回動部40a(1))を下方向へ押し込むと、回動部40aは回動してその奥側の端部(回動部40a(2))が上方向へ移動し、図9(B)に示す状態となる。また、図9(B)に示すように、ジョイント部材40には凹部40bが形成されており、この凹部40bには手を掛けることができる。
【0040】
ジョイント部材40を取り付ける際には、面保護部材34に設けられた複数のジョイント穴35のうちの1つとジョイント穴38の位置とが一致するようにして、帯状部材37を配置する。そして、図9(A)の状態のジョイント部材40の回動部40aの奥側の端部(回動部40a(2))を、ジョイント穴38とジョイント穴35に嵌め込み、回動部40aの手前側の端部(回動部40a(1))を下方向へ押し込む。このようにすると、ジョイント部材40は図9(B)の状態になってジョイント穴35とジョイント穴38に固着され、同時に帯状部材37が面保護部材34に固定されることとなる。
【0041】
以上のように構成した包装装置101による包装方法について説明する。
まず、底部スキッド1に被包装体200を載置し、被包装体200の据付脚200aを図示しないボルトとナットなどによって底部スキッド1に固定する。そして、被包装体200の底部と底部スキッド1との間に、底部支持材33の緩衝部33aを嵌合し、底部支持材33を被包装体200の下部に外接させる。続けて、面保護部材34の背面34aを被包装体200の背面に外接させ、折り曲げ面34bは被包装体200の左右両側面に外接させる。そして、面保護部材34の下端に設けた嵌合溝34c、34dを底部支持材33の嵌合溝33c、33dに嵌合させる。この状態で、面保護部材34は人手による支えがなくとも起立した状態を維持することができる。
【0042】
さらに、面保護部材34の上端部を収容するようにして、上部箱体2を被包装体200の上部に被せる。したがって、面保護部材34の上端部は、上部箱体2と被包装体200によって挟まれて固定保持されていることとなる。続けて、帯状部材37を、被包装体200の背面を除く3つの面を横に巻き回すようにして配置する。このとき、面保護部材34の折り曲げ面34bに設けた複数のジョイント穴35のうちの1つと、ジョイント穴38の位置が一致するように配置する。そして、ジョイント部材40を差し込んで固定する。さらに、底部支持材33を外接させた被包装体200の右側面、上部箱体2、被包装体200の左側面、及び底部スキッド1によって構成される外周を、バンド9で巻き回して固定する。このようにすることで、底部支持材33及び上部箱体2の脱落を防止することができ、また、帯状部材37の固定が強化される。
【0043】
次に、包装装置101によって包装された被包装体200の荷扱い動作について説明する。
輸送用トラックなどから降ろす際のずり降ろし作業においては、作業者は取っ手穴6に手を掛け、面保護部材34が下側になるように倒しながらずり降ろす。取っ手穴6は被包装体200に設けられた持ち運び用の取っ手に対応する位置に設けられているので、取っ手穴6に手を掛けることで被包装体200そのものを掴むことができ、確実に作業することができる。また、ずり降ろし時に輸送用トラックなどの荷台と接するずり降ろし面は面保護部材34で覆われているので、被包装体200を傷つけることはない。また、面保護部材34には、大きく突出するような他の部材を配置していないので、ずり降ろし作業に支障も生じない。さらに、面保護部材34の背面34aと折り曲げ面34bによって被包装体200の背面と左右両側面の間の角部が覆われるので、この角部を保護することができる。
【0044】
被包装体200を水平に移動したり、底部スキッド1の両端を交互に接地させながら歩かせ移動したりする作業においては、作業者は帯状部材37に取り付けたジョイント部材40の凹部40bに手を掛けて、持ち上げ、引きずり、あるいは歩かせるようにして移動させる。すなわち、ジョイント部材40が取っ手代わりとなる。ここで、ジョイント部材40は着脱可能であるとともに、面保護部材34の折り曲げ面34bには複数のジョイント穴35が設けられている。したがって、作業者が手を掛けやすい位置のジョイント穴35に、帯状部材37とジョイント部材40を付け替えることができる。このため、作業者の作業負担を軽減し、作業性を向上させることができる。
【0045】
以上のように本実施の形態4に係る包装装置101によれば、前述の実施の形態1と同様に、簡易包装でありながら被包装体200を十分に保護することができる。
【0046】
また、面保護部材34にジョイント穴35を設けるとともに帯状部材37にジョイント穴38を設け、ジョイント穴35とジョイント穴38にジョイント部材40を取り付けるようにしたので、帯状部材37を着脱可能に設けることができる。また、ジョイント部材40を取っ手代わりにして荷扱いができ、簡易包装でありながら人手による荷扱いを容易に行うことができる。また、異なる高さ位置に複数のジョイント穴35を設けたので、帯状部材37を任意の高さに移動でき、作業者が手を掛けやすい位置にジョイント部材40を付け替えることができる。このため、作業者の作業負担を軽減することができる。また、帯状部材37は、面保護部材34と被包装体200とを略水平方向に巻き回すので、簡単な構成でありながら面保護部材34と被包装体200とを密着固定する機能も果たしている。
【0047】
なお、本実施の形態4では、上部箱体2、底部支持材33、面保護部材34、及び帯状部材37を、紙段ボールで構成する場合の例について説明したが、素材は紙段ボールに限定されるものではない。例えば、プラスチック段ボール、板紙、樹脂シートなどで構成してもよい。また、ジョイント部材についても、上述したジョイント部材40の構成に限定するものではなく、複数の板状材等を結合可能で手掛け構造を有する任意のジョイント部材を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1を示す包装装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示す包装装置の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1を示す底部支持材と面保護部材の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2を示す帯状部材の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態3を示す帯状部材の斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態4を示す包装装置の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態4を示す包装装置の縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4を示す底部支持材と面保護部材の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態4を示すジョイント部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 底部スキッド、2 上部箱体、3 底部支持材、3a 緩衝部、3b 嵌合溝、4 面保護部材、4b 嵌合溝、5 面ファスナー、5a 面ファスナー、5b 面ファスナー、6 取っ手穴、7 帯状部材、8 取っ手穴、9 バンド、17 帯状部材、17a 帯幅拡大部、27 帯状部材、27a 帯幅拡大部、33 底部支持材、33a 緩衝部、33c 嵌合溝、33d 嵌合溝、34 面保護部材、34a 背面、34b 折り曲げ面、34c 嵌合溝、34d 嵌合溝、35 ジョイント穴、37 帯状部材、38 ジョイント穴、40 ジョイント部材、40a 回動部、40b 凹部、100 包装装置、101 包装装置、200 被包装体、200a 据付脚。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装体を載置する底部スキッドと、
底面が開放され、前記被包装体の上部に被せる上部箱体と、
前記被包装体の底面と前記底部スキッドとの間に嵌合可能な緩衝部を有する底部支持材と、
前記被包装体の側面のうち一面を覆う面保護部材と、
一対の取っ手穴が形成され、前記被包装体の側面に巻き回される帯状部材と、
前記底部スキッドと前記上部箱体とを巻き回して締め付けるバンドと
を備えたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記帯状部材を前記面保護部材に着脱可能に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記帯状部材を前記面保護部材に着脱可能にするとともに、前記帯状部材を前記面保護部材に装着するときの装着位置を変更可能にする着脱部を設けた
ことを特徴とする請求項2記載の包装装置。
【請求項4】
前記底部支持材は、折り曲げ可能な板状材によって構成されており、
前記緩衝部は、前記板状材の両端部を巻き回して形成された筒状部により構成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の包装装置。
【請求項5】
前記底部支持材の上端部と前記面保護部材の下端部とを嵌合固定可能に構成した
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の包装装置。
【請求項6】
前記緩衝部の上端部分に、前記面保護部材の下端部分が差し込まれて係合される嵌合溝を形成した
ことを特徴とする請求項5記載の包装装置。
【請求項7】
前記面保護部材の下端部分に、前記緩衝部の上端部分が差し込まれて係合される第二の嵌合溝を形成した
ことを特徴とする請求項5または請求項6記載の包装装置。
【請求項8】
被包装体を載置する底部スキッドと、
底面が開放され、前記被包装体の上部に被せる上部箱体と、
前記被包装体の底面と前記底部スキッドとの間に嵌合可能な緩衝部を有する底部支持材と、
前記被包装体の側面のうち一面を覆う第一の面と、該第一の面の両端部を折り曲げて形成されて前記被包装体の側面のうち1面に連接する面の少なくとも一部に沿接する折り曲げ面を有する面保護部材と、
前記被包装体の側面に巻き回される帯状部材と、
前記底部スキッドと前記上部箱体とを巻き回して固定するバンドと
を備えたことを特徴とする包装装置。
【請求項9】
前記帯状部材を前記面保護部材に着脱可能に設けた
ことを特徴とする請求項8記載の包装装置。
【請求項10】
前記帯状部材に第一の抜き穴を形成するとともに前記面保護部材の折り曲げ面に第二の抜き穴を形成し、
前記第一の抜き穴及び第二の抜き穴にジョイント部材を嵌合して前記帯状部材を前記面保護部材に着脱可能に取り付ける
ことを特徴とする請求項9記載の包装装置。
【請求項11】
前記第二の抜き穴を複数形成し、前記帯状部材を前記面保護部材に装着するときの装着位置を変更可能に構成した
ことを特徴とする請求項10記載の包装装置。
【請求項12】
前記底部支持材は、折り曲げ可能な板状材によって構成されており、
前記緩衝部は、前記板状材の両端部を巻き回して形成された筒状部により構成されている
ことを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれかに記載の包装装置。
【請求項13】
前記底部支持材の上端部と前記面保護部材の下端部とを嵌合固定可能に構成した
ことを特徴とする請求項8〜請求項12のいずれかに記載の包装装置。
【請求項14】
前記緩衝部の上端部分に、前記面保護部材の下端部分が差し込まれて係合される嵌合溝を形成した
ことを特徴とする請求項13記載の包装装置。
【請求項15】
前記面保護部材の下端部分に、前記緩衝部の上端部分が差し込まれて係合される第二の嵌合溝を形成した
ことを特徴とする請求項13または請求項14記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−89797(P2010−89797A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259643(P2008−259643)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】